JP2006169323A - ポリシロキサン系グラフトポリマー - Google Patents

ポリシロキサン系グラフトポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】 感触向上剤、表面保護材、分散剤、潤滑剤等の多様な用途に用いることができる、新規なポリシロキサン系グラフトポリマー及びその簡易な製造法の提供。
【解決手段】 炭素−炭素二重結合が、エステル基、アミド基、エーテル基及びイミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する基を介してケイ素原子に連結しているシロキサン重合単位を有するポリシロキサンと、反応性不飽和基を1個有するラジカル重合性モノマーとを重合して得られる、ポリシロキサン系グラフトポリマー、並びにその製造法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スキンケア分野、ヘアケア分野、ハウスホールド分野などにおける感触向上剤、表面保護材、分散剤、潤滑剤等として有用な新規なポリシロキサン系グラフトポリマー及びその製造法に関する。
感触向上剤、表面保護材、分散剤、潤滑剤等として、ポリシロキサン系グラフトポリマーが有用な場合が多いことはよく知られている。これは、あるポリマー(幹)に対して、それと異なった性質を有するポリマーを枝状に連結した構造のグラフト共重合体とすることで、各々の性質を併せ持たせることができるからであり、この枝か幹のいずれかがポリシロキサンである。
一般的なグラフトポリマーの合成方法はいくつか知られているが、それぞれの合成方法が適用される構造には制限があり、必ずしもあらゆる所望の構造のポリシロキサン系グラフトポリマーを合成し得るものではない。また、理論的には所望の構造に適用できる方法であっても、実際にその前駆体を合成するまでに要する多段階の反応や煩雑な工程が、できるだけ安価で有用な製品を世に提供する目的に合致しない場合が少なくない。
例えば、分子鎖の一方の末端にのみメタクリル酸エステル構造等の炭素−炭素二重結合を有するマクロモノマーと他のビニルモノマーとを二重結合の重付加反応によって共重合する方法(マクロモノマー法)では、反応機構がラジカル重合であれ、イオン重合であれ、幹となるポリマーの構造が二重結合の重付加反応によって得られる構造に限定される(例えば、特許文献1の段落0026〜0039参照)。よってこの方法では、ポリシロキサンを幹とするグラフトポリマーを得ることはできない。ポリシロキサンを幹部分とするグラフトポリマーをマクロモノマー法で合成するとすれば、ジシラノールの重縮合反応に参与できる構造を分子鎖の一方の末端に導入したタイプの枝ポリマーのマクロモノマーを用いて、幹を構成する単量体(他のオルガノジシロキサン)との間でそれぞれの共重合反応を行えばよいことになる。しかし、これらの重縮合反応は立体障害を受け易く、該マクロモノマーの共重合は進行し難いため、汎用的手段としては用いられていない。
次に、幹となるポリマーの存在下に枝となるビニルモノマーをラジカル重合し、ラジカル連鎖移動反応を利用してグラフトポリマーとする方法(連鎖移動法)がある(例えば、特許文献2参照)。グラフトポリマーの性質を制御するにあたって、幹において枝が連結している間隔(グラフト点間分子量)は重要な因子であるが、この連鎖移動法ではグラフト点間分子量の設定は一般には困難である。また、ポリシロキサンを幹とするグラフトポリマーの合成にはポリシロキサンに対して連鎖移動を起こさせなければならないが、一般にオルガノポリシロキサンには連鎖移動が起こり難いため適当ではない。
また別の例として、異種のポリマー同士を連結してグラフトポリマーとする方法がある。この方法には、ある官能基を複数有する幹ポリマーと、その官能基と反応して連結できる官能基を分子鎖の一方の末端に有する枝ポリマーとを準備する必要がある。この手法で合成されるポリシロキサンを幹とするグラフトポリマーとして一例を挙げれば、特許文献3の実施例1に記載されているN−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体が知られている。しかしながら、このような連結を担う官能基は基本的に化学的活性が高いので取り扱い難く、対象とできる構造の範囲が狭い。
このように従来の方法ではそれぞれ制約があるため、ポリシロキサン系グラフトポリマーを製造するにあたり、適用範囲の広い新たな合成方法が望まれていた。
特開平6−100810号公報 特開平8−208769号公報 特開平7−133352号公報
本発明の課題は、スキンケア分野、ヘアケア分野、ハウスホールド分野などにおける感触向上剤、表面保護材、分散剤、潤滑剤等の多様な用途に用いることができる、新規なポリシロキサン系グラフトポリマー及びその簡易な製造法を提供することである。
本発明は、炭素−炭素二重結合が、エステル基、アミド基、エーテル基及びイミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する基を介してケイ素原子に連結しているシロキサン重合単位(以下、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位という)を有するポリシロキサン(以下、前駆体ポリシロキサンという)と、反応性不飽和基を1個有するラジカル重合性モノマー(以下、ラジカル重合性モノマーという)とを重合して得られる、ポリシロキサン系グラフトポリマー、並びにその製造法を提供する。
本発明により、前駆体ポリシロキサンの炭素−炭素二重結合の数を制御することで、グラフト鎖の導入数を制御した、ポリシロキサン系グラフトポリマーを製造でき、それにより所望の物性を有するポリマーを得ることができる。
本発明のポリシロキサン系グラフトポリマーには、様々な親疎水性やイオン性や相溶性を持たせることができるので、スキンケア分野、ヘアケア分野、ハウスホールド分野などにおける感触向上剤、表面保護材、分散剤、潤滑剤等に有用である。
[前駆体ポリシロキサン]
本発明に用いられる前駆体ポリシロキサンは、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位を有するポリシロキサンであり、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位としては、式(1)、式(2)、式(3)又は式(4)で表される重合単位の中から選ばれる少なくとも1種のシロキサン重合単位が好ましい。
Figure 2006169323
[式中、R1はフェニル基、又は炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、R2は炭素数2〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、又は芳香環を有する炭素数8〜12の2価の炭化水素基、R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、Xは酸素原子、又は無置換あるいは炭素数1〜3のアルキル基を有するイミノ基、Mは水素原子、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜3個のアルカノール基を有するアンモニウム、又は炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐鎖の飽和あるいは不飽和炭化水素基を1〜4個有するアンモニウム、tは0又は1、R5は炭素数1〜12の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、R6は水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を示す。]
式(1)〜(4)において、R1としては、フェニル基又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、フェニル基又はメチル基が更に好ましい。R2としては、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基が更に好ましい。R3及びR4としては、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が更に好ましい。Xは酸素原子又はNHが好ましく、NHが更に好ましい。Mは水素原子、アルカリ金属が好ましく、水素原子が更に好ましい。tは1が好ましい。R5は炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。R6は水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が更に好ましい。
式(1)、式(2)、式(3)又は式(4)で表される重合単位の中では、式(1)又は(4)で表される重合単位が好ましく、式(1)で表される重合単位が更に好ましい。
前駆体ポリシロキサンの構造において、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位と他の重合単位とのモル比は、重合のし易さとポリシロキサン系グラフトポリマーのグラフト鎖の特徴を発現させる観点から、1:1000〜1:10が好ましく、1:200〜1:20が更に好ましい。
また、前駆体ポリシロキサン中、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位と他の重合単位との連結様式は、ブロック、ランダム、交互何れの共重合状態であってもよい。
前駆体ポリシロキサンの重量平均分子量は、3000〜100万が好ましく、1万〜50万が更に好ましく、1万〜20万が特に好ましい。この範囲内では、複数の枝を導入することができると共に、グラフト重合時のゲル化も適度に防ぐことができる。
炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位の当量重、即ち、前駆体ポリシロキサンの重量平均分子量を、前駆体ポリシロキサン1分子あたりの、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位の合計数で割った値は、300〜10万が好ましく、1000〜5万が更に好ましい。
前駆体ポリシロキサンの末端を形成する基としては、ヒドロキシ基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
ポリシロキサン系グラフトポリマーを製造する際に、無用の連鎖移動反応や連結反応が頻発し、生成物をゲル化に導くことがあるため、前駆体ポリシロキサン中にはハロゲン原子が含まれていないことが好ましい。
[前駆体ポリシロキサンの製造法]
前駆体ポリシロキサンの製造法は特に限定されないが、例えば水酸基やアミノ基と環状酸無水物との反応を利用する方法がある。具体的には特開2002−114849号公報に記載されている手法があり、さらに具体的に例示すると、信越化学工業(株)製アミノ変性ポリジメチルシロキサンKF−8003の様な側鎖にアミノ基を有するポリジメチルシロキサンと無水マレイン酸との反応で、本発明に適した前駆体ポリシロキサン、即ち式(5)で表されるマレイン酸アミド基含有ポリジメチルシロキサンが合成できる。また、同じくKF−8003の様な側鎖にアミノ基を有するポリジメチルシロキサンと、無水イタコン酸との反応によって、式(6)及び(7)で表されるイタコン酸アミド基含有ポリジメチルシロキサンが合成できる。更に、同じくKF−8003の様な側鎖にアミノ基を有するポリジメチルシロキサンと、10−ウンデセン酸との脱水縮合によって、式(8)で表されるウンデセン酸アミド基含有ポリジメチルシロキサン等も合成し得る。
Figure 2006169323
(式中、a,bはそれぞれの重合単位の数を示し、ポリシロキサン部分の連結の仕方はランダムである。)
[ポリシロキサン系グラフトポリマー及びその製法]
前駆体ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーを共重合させ、前駆体ポリシロキサンの炭素−炭素二重結合部にグラフト鎖を形成することで、本発明のポリシロキサン系グラフトポリマーを製造することができる。
本発明に用いられるラジカル重合性モノマーは、具体的には、下記のものが挙げられる。
(i)アミノ基を有するモノマー又はその塩類。例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N−{3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル}(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、N−メチルジアリルアミン等が好ましい。また、3級アミンが好ましい。これらを塩とするための酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸;炭素数1〜22の飽和あるいは不飽和脂肪酸;乳酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;炭素数1〜22のモノアルキルリン酸エステル;メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の炭素数1〜26の飽和あるいは不飽和有機スルホン酸等が挙げられ、鉱酸やカルボン酸が好ましい。
(ii)カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基を有するモノマー又はその塩類。例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンカルボン酸、スチレンスルホン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸;リン酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)等が好ましい。これらの塩として、金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸等の塩が挙げられ、ナトリウム、カリウムの様なアルカリ金属塩が好ましい。
(iii)カチオン基を有するモノマー。例えば塩化2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウム、塩化ビニルベンジルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルジメチルエチルアンモニウム、塩化3−((メタ)アクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジアリルジメチルアンモニウム等が好ましい。(i)の四級化物であってもよい。四級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル,硫酸ジ−n−プロピル等の一般的なアルキル化剤が挙げられる。対イオンとして、塩素等のハロゲンイオンや、メトサルフェート等の有機アニオンが挙げられる。
(iv)無置換、又は窒素上に総炭素数1〜12、好ましくは総炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基又は炭素数7〜12のアラルキル基を有する、モノ又はジ置換(メタ)アクリルアミド。例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
(v)N−ビニル脂肪族アミド。例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等が好ましい。
(vi)炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜8の、無置換もしくは置換の、飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基又は炭素数7〜22のアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、n−又はt−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
(vii)スチレン骨格を有するモノマー。例えば、スチレン、4−エチルスチレン、α−メチルスチレン等が好ましい。
(viii)ビニルエステル。例えば、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル等が好ましい。
これらの中では、前駆体ポリシロキサンとの共溶媒を選択しやすいという観点より、(i)、(iv)〜(viii)が好ましく、(i)が更に好ましく、アミノ基を有するモノマーが特に好ましい。
前駆体ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとの共重合は、ラジカル重合開始剤の存在下で行う。反応溶媒の有無は特に限定されないが、用いる溶媒としては、水;エタノール、2−プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、グリセリン等の好ましくは炭素数1〜4のアルコール類;ジメトキシエタン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド・スルホン類等を1種以上混合して用いることができる。
混合して用いる場合、必ずしも透明に溶解した状態でなくても良い。反応溶媒を用いる場合、その使用量は、全モノマー重量(前駆体ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーの合計重量)に対して、重量比で、1〜20倍が好ましく、1〜10倍が更に好ましい。
ラジカル重合開始剤の種類は特に限定されないが、例えば過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;過酸化ピバリン酸t−ブチルやt−ブチルヒドロペルオキシド等の有機過酸化物:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の有機アゾ化合物類;亜硫酸水素ナトリウムと酸素との併用等の酸化還元系、過酸化水素等を単独あるいは併用して用いるのが好ましい。
重合開始剤の使用量は、全モノマーのモル数(前駆体ポリシロキサン中、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位のモル数とラジカル重合性モノマーのモル数の合計モル数)を基準として0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%がさらに好ましい。ここで、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位のモル数とは、前駆体ポリシロキサンのモル数に、1前駆体ポリシロキサンが有する炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位の合計数を、掛けたモル数である。
また、リビングラジカル重合(例えば、M.K.Georgesら、Macromolecules 1993年,26巻,2987ページ;M.Katoら、Macromolecules 1995年,28巻,1721ページ;M.Destaracら、Macromol.Rapid.Commun. 2000年、21巻、1337ページなどに記載)を適用しても良い。リビングラジカル重合を用いる場合には、ラジカル重合性モノマーとリビング末端との数比を3以上とするのが好ましく、10〜200とするのが更に好ましい。
前駆体ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーとを共重合する場合に、目的とする化合物に応じて、反応条件を変えることが好ましい。例えば、ゲル化を抑えたい場合は、次のような条件が好ましい。
1)ラジカル連鎖移動を起こし易い溶媒、例えば、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等のアルキル置換芳香族化合物;ハロゲン化炭化水素から選ばれる1種以上の溶媒の存在下に重合させることが好ましい。
2)本発明では、連鎖移動剤を使用することが好ましい。かかる連鎖移動剤の具体例として、ブチルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、ドデカンチオール、メルカプト変性シリコーン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアニリン、クメン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
重合を、全モノマーのモル数(前駆体ポリシロキサン中、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位のモル数とラジカル重合性モノマーのモル数の合計モル数)に対して、0.5〜20モル%の連鎖移動剤存在下で行うことが好ましく、2〜10モル%の連鎖移動剤存在下で行うことが更に好ましい。
具体的には、前述の(ii)酸性基を有するモノマー、(iii)カチオン基を有するモノマー、(iv)無置換又は置換(メタ)アクリルアミド、(vi)(メタ)アクリル酸エステル、(vii)スチレン骨格を有するモノマー、(viii)ビニルエステルを用いる場合は、連鎖移動剤を使用することが好ましく、前述の使用量が好ましい。
但し、3級アミノ基を有するモノマー、水酸基又はハロゲン基を有するモノマー(連鎖移動を起こし易い構造を持ったモノマー)を用いる場合は、連鎖移動剤を用いなくてもよいか、又は用いる量を抑えることができる。
重合時の前駆体ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーの割合は、前駆体ポリシロキサン中の炭素−炭素二重結合1当量モル、即ち、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位1モルに対して、ラジカル重合性モノマーは、3〜300モルが好ましく、5〜100モルが更に好ましく、5〜50モルが特に好ましい。
重合の際に、前駆体ポリシロキサンとラジカル重合性モノマーを、必要量一括で混合して重合しても良いし、いずれかを先に反応槽に仕込み、残りを重合開始剤や上記連鎖移動剤と共に順次添加して、重合してもよい。
重合温度は、30〜150℃が好ましく、50℃〜110℃がさらに好ましい。重合時間は特に限定されず、前駆体ポリシロキサン中の炭素−炭素二重結合の重合が用途に対応して充分に進行すれば良く、1〜100時間が好ましい。得られたポリシロキサン系グラフトポリマーの重量平均分子量は、5000〜150万が好ましく、1万〜50万が更に好ましく、1万〜20万が特に好ましい。
また、前駆体ポリシロキサンと得られたポリシロキサン系グラフトポリマーの重量平均分子量比は、反応させるラジカル重合性モノマー量により異なるが、架橋構造によるゲル化を抑えることを考慮すると、ポリシロキサン系グラフトポリマーと前駆体ポリシロキサンとの重量平均分子量比(ポリシロキサン系グラフトポリマー/前駆体ポリシロキサン)(R)が、1<R<20であることが好ましく、1<R<10が更に好ましい。
以下の例において、ラジカル重合性モノマーの重合反応はガラス製セパラブルフラスコ中窒素雰囲気下で行った。用いた試薬や溶剤は、特に記さない限り和光純薬工業(株)製試薬一級をそのまま使用した。
重合における前駆体ポリシロキサンの炭素−炭素二重結合およびラジカル重合性モノマーの消費率は、プロトンNMRスペクトルにおける炭素−炭素二重結合部分の吸収強度の変化率によって算出した。プロトンNMRスペクトルの測定は、Varian社製INOVA500あるいはMERCURY400を用いた。
合成例1:前駆体ポリシロキサン[マレイン酸アミド変性ポリジメチルシロキサン(前記式(5)で表される化合物)]の合成
式(9)
Figure 2006169323
(式中、a,bはそれぞれの重合単位の数を示し、a/b=1/25である。また、ポリシロキサン部分の連結の仕方はランダムである。)
で表される信越化学工業(株)製アミノ変性ポリジメチルシロキサンKF−8003(アミン当量:1970、滴定による実測値)300gに1,2−ジメトキシエタン60gを溶かし、窒素雰囲気下室温で攪拌した。ここに、乳鉢で粉砕した無水マレイン酸15.2gを45分掛けて加えた。全量加え終わったときには内温が42℃に上昇していたが、このまま室温環境下で攪拌を一晩続け、ごく淡い黄色の糊状物(130℃不揮発分濃度84%)を得た。クロロホルム・メタノール混合溶媒(容量比1:1)の中で、過塩素酸の酢酸溶液を用いて電位差滴定によってこの生成物(以下前駆体ポリシロキサン(1)という)を分析した結果、KF−8003のアミノ基の99.5%が消失していた。プロトンNMRスペクトル(上述の機器、重クロロホルムと重ジメチルスルホキシドとの混合溶媒、自身のジメチルシリル基のメチル基を0ppmとする)によれば、ポリマーの一部故に若干ブロード化しているが、δ=3.12ppm、6.1ppm、6.35ppmに吸収が見られ、マレイン酸とも無水マレイン酸とも異なるマレインアミド構造の吸収(式(10)における矢印部分)と帰属された(マレインアミド基当量重は2068)。得られた前駆体ポリシロキサン(1)の重量平均分子量は、約5万であった(GPC、ポリスチレン換算)。
Figure 2006169323
実施例1:前駆体ポリシロキサン(1)とN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートとのグラフトポリマーの合成
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート90.0g(0.573モル)と2−プロパノール90.0gとを混合して、無色透明な溶液(以下滴下液(1)という)を得た。
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業製V−65)5.73g(0.241モル)と2−プロパノール70.0gとを混合し、無色透明溶液(以下滴下液(2)という)を得た。
前駆体ポリシロキサン(1)(合成例1で得られた84%溶液)71.4g(マレインアミド基として0.0290モル)を2−プロパノール200gに溶かし、窒素雰囲気下で攪拌しながら76℃に昇温した。ここに、滴下液(1)と滴下液(2)とを同時に、反応液の温度が76〜79℃になるように保ちながら3時間掛けて滴下し、同温度で2時間加熱を続けた。ここにV−65 1.43g(0.0060モル)を追加し、さらに同温度で2時間加熱を続けて室温に戻した。ここで、前駆体ポリシロキサン(1)のマレインアミド基とN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのモル数との比は、1:19.8である。
前駆体ポリシロキサン(1)の炭素−炭素二重結合の消費率は、滴下液の滴下終了時点で46%、最終的に72%であった。N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの消費率は、滴下液の滴下終了時点で68%、最終的に91%であった。このような前駆体ポリシロキサン(1)とN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートとのグラフトポリマーを黄色透明溶液として484g(130℃不揮発分31.0%)得た。前駆体ポリシロキサン(1)の重量平均分子量と、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの消費率より計算されるグラフトポリマーの重量平均分子量は、約12万である。

Claims (6)

  1. 炭素−炭素二重結合が、エステル基、アミド基、エーテル基及びイミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する基を介してケイ素原子に連結しているシロキサン重合単位(以下、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位という)を有するポリシロキサン(以下、前駆体ポリシロキサンという)と、反応性不飽和基を1個有するラジカル重合性モノマー(以下、ラジカル重合性モノマーという)とを重合して得られる、ポリシロキサン系グラフトポリマー。
  2. 前駆体ポリシロキサンが、式(1)、式(2)、式(3)又は式(4)で表される重合単位の中から選ばれる少なくとも1種のシロキサン重合単位を有するポリシロキサンである、請求項1記載のポリシロキサン系グラフトポリマー。
    Figure 2006169323
    [式中、R1はフェニル基、又は炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、R2は炭素数2〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、又は芳香環を有する炭素数8〜12の2価の炭化水素基、R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、Xは酸素原子、又は無置換あるいは炭素数1〜3のアルキル基を有するイミノ基、Mは水素原子、炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、1〜3個のアルカノール基を有するアンモニウム、又は炭素数1〜18の直鎖あるいは分岐鎖の飽和あるいは不飽和炭化水素基を1〜4個有するアンモニウム、tは0又は1、R5は炭素数1〜12の直鎖あるいは分岐鎖のアルキレン基、R6は水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐鎖のアルキル基を示す。]
  3. 前駆体ポリシロキサン中、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位と他の重合単位とのモル比が、1:1000〜1:10である、請求項1又は2記載のポリシロキサン系グラフトポリマー。
  4. 前駆体ポリシロキサン中の、炭素−炭素二重結合含有シロキサン重合単位1モルに対して、ラジカル重合性モノマーを3〜300モルの割合で重合させる、請求項1〜3いずれかに記載のポリシロキサン系グラフトポリマー。
  5. ラジカル重合性モノマーが、アミノ基を有するモノマーである、請求項1〜4いずれかに記載のポリシロキサン系グラフトポリマー。
  6. 炭素−炭素二重結合が、エステル基、アミド基、エーテル基及びイミノ基の中から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する基を介してケイ素原子に連結しているシロキサン重合単位を有するポリシロキサンと、反応性不飽和基を1個有するラジカル重合性モノマーを重合する、ポリシロキサン系グラフトポリマーの製法。
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