JP2006168482A - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

車両用操舵制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006168482A
JP2006168482A JP2004361985A JP2004361985A JP2006168482A JP 2006168482 A JP2006168482 A JP 2006168482A JP 2004361985 A JP2004361985 A JP 2004361985A JP 2004361985 A JP2004361985 A JP 2004361985A JP 2006168482 A JP2006168482 A JP 2006168482A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
motor
diagnosis
drive control
motor drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004361985A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4556657B2 (ja
Inventor
Futoshi Matsuo
太 松尾
Yusuke Kato
裕介 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2004361985A priority Critical patent/JP4556657B2/ja
Publication of JP2006168482A publication Critical patent/JP2006168482A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4556657B2 publication Critical patent/JP4556657B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)

Abstract

【課題】 システム作動中であっても操舵に影響を及ぼすことなく断接手段(リレー)の故障診断を実施できる車両用操舵制御装置を提供する。
【解決手段】 前輪4,4に転舵トルクを付加する2つのモータ5a,5bを有し、2つのモータ5a,5bのトルク発生量を制御する転舵角度コントローラ15と、2つのモータ5a,5bのトルクを保持または遮断するように、それぞれ設けられたリレー24a,24bと、これらリレー24a,24bのうちの1つが遮断可能か否かを診断するモータリレー診断処理部18a,18bと、を備え、転舵角度コントローラ15は、モータリレー診断処理部18a,18bによる遮断診断の開始前および終了後、診断するリレーに対応するモータのトルク発生量を、それ以外のモータに分配する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、故障診断を行う車両用操舵制御装置の技術分野に属する。
従来、モータおよびその駆動回路の故障によるシステムの誤動作を防ぐため、モータ駆動回路の電源ラインにリレーを設けたリレーの接点チェック検出回路が知られている。リレーの故障診断を行う場合には、リレーの接点をOFFとしてモータにPWM制御信号を出力し、モータと並列配置したコンデンサの端子電圧変化を判別することにより、リレーのON固着の有無を検出している(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−293238号公報
しかしながら、上記回路において、リレー診断は、モータを停止した状態でリレーのON/OFFを行う必要があるため、この回路を車両の操舵系にトルクを出力するモータの故障診断回路として適用した場合、走行中にモータを停止させると操舵に影響を及ぼすことから、システム初期診断時でなければ故障診断を実施できない。その結果、システム作動中、モータ駆動制御部に異常が発生した場合に、リレーのON固着が原因でモータに対しての電流信号を遮断できなくなる可能性がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、システム作動中であっても操舵に影響を及ぼすことなく断接手段(リレー)の故障診断を実施できる車両用操舵制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、
操向輪に転舵トルクを付加する転舵機構または、ハンドルに反力トルクを付加する反力機構の少なくともいずれか一方は、複数のトルク発生手段を有し、
前記複数のトルク発生手段のトルク発生量を制御するトルク制御手段と、
前記複数のトルク発生手段のトルクを保持または遮断するように、それぞれ設けられた断接手段と、
これら断接手段のうちの1つが遮断可能か否かを診断する遮断診断手段と、
を備え、
前記トルク制御手段は、前記遮断診断手段による遮断診断の開始前および終了後、診断する断接手段に対応するトルク発生手段のトルク発生量を、それ以外のトルク発生手段に分配することを特徴とする。
本発明にあっては、診断開始前および診断終了後、診断のために1つのトルク発生手段が停止したとき、不足するトルク発生量を他のトルク発生手段が補うため、システム作動中であっても操舵に影響を与えることなく断接手段の診断を実施できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用操舵装置が適用されたステア・バイ・ワイヤシステムを示す全体構成図である。
実施例1装置が適用されたステア・バイ・ワイヤシステムは、図1に示すように、ハンドル1および操舵反力モータ(ハンドルに反力トルクを付加する反力機構)2を有する操舵部3と、前輪(操向輪)4,4および2つの転舵モータ(操向輪に転舵トルクを付加する転舵機構のトルク発生手段)5a,5bを有する転舵部6と、の間に機械的なつながりが無い。
操舵部3は、ハンドル1と、操舵軸7と、この操舵軸7に対し図外の減速ギア機構を介して設けられた操舵反力モータ2と、操舵角センサ8と、トルクセンサ9と、を有する。
前記転舵部6は、2つの転舵モータ5a,5bと、この転舵モータ5a,5bにより駆動される転舵軸10と、この転舵軸10のピニオンと噛み合うラックを有するステアリングギア機構11と、このステアリングギア機構11の両端部に設けられたタイロッド12,12を介して連結された前輪4,4と、を有する。
操舵反力モータ2は、操舵反力コントローラ13から供給される指令電流値に基づいて、操舵軸7に対し操舵反力トルクを出力することにより、路面反力を模擬する。操舵反力コントローラ13は、操舵コントローラ14により設定された目標反力指令値に基づき、操舵反力モータ2の実電流値を参照しつつ、指令電流値を供給する。
2つの転舵モータ5a,5bは、転舵角度コントローラ(トルク制御手段)15から供給される指令電流値に基づいて、転舵軸10に対し転舵トルクを出力し、前輪4,4を転舵する。転舵角度コントローラ15は、操舵コントローラ14により設定された目標転舵角指令値に基づき、各転舵モータ5a,5bの実電流値を参照しつつ、指令電流値を供給する。
操舵コントローラ14には、操舵角センサ8から操舵角、トルクセンサ9から操舵トルク、車速センサ30から車速、車両挙動状態量検出手段としてのヨーレートセンサ31および横Gセンサ32からヨーレートおよび横G、が入力情報として与えられる。また、操舵反力コントローラ13から、操舵反力モータ2のモータ角度が入力され、転舵角度コントローラ15から、各転舵モータ5a,5bそれぞれのモータ角度が入力される。
操舵コントローラ14は、各入力情報に基づいて、前輪4,4の目標転舵角指令値を設定と、ハンドル1に付加する目標操舵反力指令を算出し、転舵角度コントローラ15および操舵反力コントローラ13へ出力する。
図2は、実施例1の転舵角度コントローラ15を示す制御ブロック図である。
転舵角度コントローラ15は、2つの転舵角度コントローラ15a,15bから構成されている。各転舵モータ5a,5bは、転舵軸10を駆動して、前輪4,4を転舵させる。転舵角度コントローラ15a,15bは上位システムである操舵コントローラ14から入力される目標転舵角指令値に従い、転舵モータ5a,5bの角度制御を行う。
転舵角度コントローラ15a,15bは、角度制御演算部16a,16b、電流制御演算部17a,17bとモータリレー診断処理部(遮断診断手段)18a,18bから構成されている。また、転舵角度コントローラ15a,15bは、通信バスインターフェース19を備え、操舵コントローラ14とのデータ通信を行い、角度制御演算部16a,16bと電流制御演算部17a,17bにデータの送受信を行う。
また、転舵角度コントローラ15は、転舵モータ5a,5bのモータ回転角度を検出する角度センサ20a,20bからの信号を読み込むインターフェースを備えている。さらに転舵モータ5a,5bに流れる電流を検出する電流センサ21a,21bからの信号を読み込むインターフェースと、転舵モータ5a,5bを駆動するモータドライバ22a,22bに指令信号を出力するインターフェースと、モータドライバ22a,22bと電源(電力源)23との間に設けられたリレー(断接手段)24a,24bと、を備える。
リレー24a,24bは、例えば、転舵モータ5a,5bが失陥したとき、モータドライバ22a,22bに対する電源23からの電力供給を保持または遮断するためのものであり、転舵モータ5a,5bをPWM制御するためのMOSFETリレー(不図示)とは異なる。ちなみに、MOSFETリレーは、モータドライバ22a,22bと転舵モータ5a,5bとの間にそれぞれ設けられている。
転舵角度コントローラ15において、角度制御演算部16a,16bは、目標転舵角指令値に応じて対応する転舵モータ5a,5bの目標電流指令値を演算し、電流制御演算部17a,17bに出力する。電流制御演算部17a,17bは、目標電流指令値と電流センサ21a,21bからの実電流値との偏差に基づいて、電流指令値をモータドライバ22a,22bに出力する。
モータリレー診断処理部18a,18bは、モータドライバ22a,22bのリレー24a,24bが正常に動作しているか否かを診断する。リレーの診断方法としては、例えば、診断を行うリレーの接点をOFFとし、対応するモータにPWM制御信号を出力したとき、モータの電流値がゼロでない場合には、リレーのON固着とする。転舵角度コントローラ15は、リレーのON固着が検知された場合、対応するモータへの指令電流値をゼロとし、他方のモータを用いて転舵制御を継続する。
また、転舵角度コントローラ15は、上記モータリレー診断を行っているとき、目標転舵角指令値に応じた総トルク指令値から分配指令値を算出し、診断を行っていない転舵モータに分配する。これにより、走行中におけるモータリレー診断が可能となる。
上記、転舵モータ5a,5b、電流センサ21a,21b、モータドライバ22a,22b、角度制御演算部16a,16bおよび電流制御演算部17a,17bを含む転舵角度コントローラ15a,15b、角度センサ20a,20bは、それぞれ1組の組み合わせでモータ駆動制御部a,bを構成し、これが複数のモータ駆動制御部として、転舵軸10に減速ギア機構を介して接続されている。
次に、作用を説明する。
[モータリレー診断ロジック]
以下、転舵角度コントローラ15において、転舵モータ5a,5bの目標転舵角指令値である総トルク指令値から分配指令値を算出してモータリレー診断指令を出すモータ駆動制御部をメインモータ駆動制御部と呼び、それ以外のモータ駆動制御部はサブモータ駆動制御部と呼ぶ。メインモータ駆動制御部になる条件としては、あらかじめ優先順位をモータ駆動制御部a、モータ駆動制御部bの順に決めておくが、メインとなる条件はこの限りではない。
1つの転舵軸10を2つの転舵モータで動作させる上において、個々の転舵モータに対応するモータ駆動制御部間の演算誤差やセンサ誤差の差によって2つの転舵モータの回転が相互干渉を発生する問題を解決するために、実施例1では、2つのモータ駆動制御部a,bを設けて冗長構成とし、モータ駆動制御部a,bの一方をメインモータ駆動制御部、他方をサブモータ駆動制御部とする。
そして、転舵の角度制御演算と指令トルク値算出はメインモータが一括して行い、サブはメインモータ駆動制御部から送られてくるトルク指令値を用いてモータ駆動を行う。このとき、メインモータ駆動制御部は冗長構成内の転舵モータを駆動可能なモータ駆動制御部数で指令トルク値を割ることによって個々のモータ駆動制御部に対しての指令トルク値を算出している。
このように、メインとなったモータ駆動制御部の制御結果を用いることで、複数のモータ駆動制御部により、それぞれの転舵モータを動作させる場合に、相互干渉が発生することを抑制している。また、このときサブとなったモータ駆動制御部はメインと同様に角度制御演算と指令トルク算出を実施しているが、実際にモータに対してのトルクはメインから送られてくる指令トルク値を用いている。サブはメインが失陥した場合において、それまでサブとなっていたモータ駆動制御部がメインとなるようにメインモータ駆動制御部の切り替えが発生する。
このメイン切り替え時において、新しくメインとなったモータ駆動制御部のトルク指令値は、モータ駆動制御部間の演算誤差やセンサ誤差の差により古いメインのトルク指令値とはズレが生じており、このズレがトルク変動として現れる可能性がある。トルク変動は転舵角制御に影響するので、車両の挙動に影響を及ぼすことになる。よって、このトルク変動は小さいほど良く、メイン切り替え時においては出来る限りトルク変動が発生しない状況が望ましい。
[モータリレー診断制御処理]
図3は、実施例1の転舵角度コントローラ15で実行されるモータリレー診断制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、車両挙動状態、操舵状態を取得し、ステップS2へ移行する。車両挙動状態量としては、ヨーレートや横G等、操舵状態量としては、ハンドル1の操舵角および操舵角速度の情報を取得する。
ステップS2では、ステップS1で取得した車両挙動状態量、操舵状態量が、ある一定の判定基準を満足した場合において、モータリレー診断を可能とする。診断が可能であると判定した場合には、ステップS3へ移行し、診断が不可能であると判定した場合には、ステップS1へ移行する。
ここで、モータリレー診断の判定基準は、ヨーレート、横G等の車両挙動状態を示すいずれかの値が、車輪がスリップを開始する旋回限界状態に至っていないときとして(旋回限界判定手段に相当)、以下を開始条件とする。
開始条件:操舵中立時や操舵保舵中に診断を開始する。
異常検出時には、異常と確定するまでの時間が存在する。ある一定以上の時間で異常状態であった場合に、異常確定とするのが通常である。この診断を確定するまでの時間は、正常であった時の操舵状態を保持することになるので、中立付近や保舵中ではモータリレー診断中にメインが異常を検出した場合であっても、メイン切り替え時にトルク変動がほとんど発生しないため(1N以下)、車両挙動には影響が無く、安全な状況でのモータリレー診断が可能である。
ステップS3では、システム内で正常作動中のモータ駆動制御部の数を確認する。正常作動中のモータ駆動制御部の数が最低2個以上の場合に、モータリレー診断を可能とする。このとき、診断するモータ駆動制御部と、制御を継続するモータ駆動制御部の2つが最低限必要である。実施例1では、2つのモータ駆動制御部a,bが共に正常作動している場合にはステップS4へ移行し、一方でも正常作動していない場合には、リターンへ移行する。
ステップS4では、正常作動中のモータ駆動制御部よりメインとなるトルク指令値の算出、分配および指令を行うモータ駆動制御部を決定する。
メインは通常状態では以下の算出式によって、各モータ駆動制御部に対するトルク指令値を算出する。ここで、メインとなるものはモータの熱負荷や異常発生率等によって一番信頼性の高いものを選ぶのが良い。
指令トルク値=総トルク指令値/稼働可能なモータ数
または、
モータ駆動制御部a=総トルク指令値×分配率a
モータ駆動制御部b=総トルク指令値×分配率b
ここで、実施例1のように、モータ駆動制御部の構成要素が2つの場合には、メインをモータ駆動制御部aとしてモータリレー診断モータ駆動制御部をモータ駆動制御部bとした場合に、ステップS5以降においてモータリレー診断モータ駆動制御部bは、メインモータ駆動制御部aの指令値とは別に、ステップS13においてトルク指令値を算出する。メインモータ駆動制御部aが異常となった場合には、メイン切り替えが発生して、モータリレー診断を中断し、ステップS13で算出したトルク指令値を用いてモータ駆動を行う。
ステップS5では、車両挙動状態量、操舵状態量を取得し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、ステップS5において確認した車両挙動状態量、操舵状態量より、トルク分配変化率ΔTを求め、ステップS7へ移行する。
通常状態では、各モータ駆動制御部は分配されたトルク指令値で各転舵モータを制御している。モータリレー診断時において総トルク指令値を急激にトルク分配を行うと、モータに対する負荷が増加することが懸念される。しかし、診断中の失陥における車両挙動を考えると、診断時間については出来るだけ短い時間で行うことが望ましい。
そこで、トルク指令値分配量と車両挙動状態量から、トルク分配変化率ΔTを求める。例えば、分配時間を、異常が発生してから車両挙動として現れるまでの時間内(25msec程度)として、この時間での傾き(ΔT0)を、車両挙動状態量(ヨーレートや横G)によって下記式で可変とすることで、車両挙動として、極力、現れないようにさせ、かつ、モータに対しての熱負荷を軽減させる。
ΔT=ΔT0×G1×G2
ここで、
ΔT0:サブモータ駆動制御部のトルク指令分配量/分配時間
サブモータ駆動制御部のトルク指令分配量:サブモータ駆動制御部の指令トルク−総トルク指令値/N(Nはモータ駆動制御部の数)
G1:ヨーレートに応じた補正ゲイン
G2:横Gに応じた補正ゲイン
である。
ヨーレートに応じた補正ゲインG1は、図4のマップに基づいて設定される。G1は、ヨーレートが所定値となるまでは1であり、それを超えると徐々に小さくなるように設定されている。また、横Gに応じた補正ゲインG2は、図5のマップに基づいて設定される。G2は、横Gが所定値となるまでは1であり、それを超えると徐々に小さくなるように設定されている。
すなわち、ヨーレートや横Gが所定値以下であり、一方のモータ停止に伴う車両挙動への影響がほとんど無い場合には、トルク分配変化率ΔTを大きくし、速やかにトルク分配を実施し、診断時間の短縮化を図る。一方、ヨーレートや横Gが大きく、モータ停止に伴う車両挙動への影響が大きい場合には、トルク分配変化率ΔTを小さくし、車両挙動への影響を低減する。
ステップS7では、ステップS6で算出したトルク分配変化率ΔTより、各モータ駆動制御部に対してトルク指令値を算出し、ステップS8へ移行する。ここでは、メインは下記の算出式によって各モータ駆動制御部に対してのトルク指令値を算出している。
例えば、メインをモータ駆動制御部aとしてモータリレー診断モータ駆動制御部をモータ駆動制御部bとした場合、
モータ駆動制御部aのトルク指令値=総トルク指令値×分配率a−ΣΔT
モータ駆動制御部bのトルク指令値=総トルク指令値×分配率b−ΣΔT
とする。
ステップS8では、ステップS7で算出したトルク指令値がモータの定格内か否かを判定する。YESの場合にはステップS9へ移行し、NOの場合にはステップS20へ移行する。
ステップS9では、メインモータ駆動制御部はステップS7で算出した分配指令値を各モータ駆動制御部に対して送信し、ステップS10へ移行する。
ステップS10では、メインモータ駆動制御部において、現在の分配指令値よりモータリレー診断が可能となる条件であるかを判断する。YESの場合にはステップS11へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。モータリレー診断が可能となる条件としては、分配が終了していることによって判断する。
ステップS11では、メインモータ駆動制御部において、ステップS10でモータリレー診断可能と判断された場合に、モータリレー診断モータ駆動制御部に対して診断指令を通知し、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、メインモータ駆動制御部において、モータリレー診断モータ駆動制御部の診断が終了したか否かを判定する。YESの場合にはステップS18へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。
ステップS13では、サブモータ駆動制御部となった場合に、メインモータ駆動制御部が診断中に異常となった場合に用いる指令トルク値を算出し、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、モータリレー診断モータ駆動制御部において、メインモータ駆動制御から診断指令が通知されたか否かを判定する。YESの場合にはステップS15へ移行し、NOの場合にはリターンへ移行する。
ステップS15では、モータリレー診断モータ駆動制御部のモータリレー診断処理部18a(18b)において、リレーを遮断してモータリレー診断を行い、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、モータリレー診断モータ駆動制御部において、モータリレー診断が終了したか否かを判定する。YESの場合にはステップS17へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS17では、モータリレー診断モータ駆動制御部において、モータリレー診断の終了をメインサブシステムに対して通知し、リターンへ移行する。
ステップS18では、メインモータ駆動制御部において、ステップS5〜S8を実施して指令値分配を行い、ステップS19へ移行する。
ステップS19では、ステップS18の指令値分配値が通常分配値になったか否かを判定する。YESの場合にはリターンへ移行し、NOの場合にはステップS18へ移行する。
ステップS20では、メインモータ駆動制御部において、サブモータ駆動制御部に診断中止を通知し、リターンへ移行する。
[モータリレー診断制御作動]
図3のフローチャートにおいて、ステップS1〜S4では、診断開始条件判定処理として、モータリレー診断を開始するために、車両挙動状態、操舵状態を確認する。そして、モータリレー診断を実施したとき、モータ駆動制御部において異常が発生した場合であっても、システムに対する影響が小さいと判断した場合に診断開始可能と判断する。なお、診断開始条件においては、以下の限りではない。
ステップS5〜S9では、指令値分配処理として、メインモータ駆動制御部となった場合に、各モータ駆動制御部に分配するトルク指令値を、車両挙動状態、操舵状態によって分配率を変更しながら算出する。
ステップS10〜S12では、メイン診断処理として、メインモータ駆動制御部がモータリレー診断サブシステムに対してリレー診断開始の指令を通知し、リレー診断の終了待ちを行う。
ステップS13〜S17では、サブ診断処理として、サブモータ駆動制御部となった場合に、診断中にメインモータ駆動制御部の失陥によって指令トルク値が途絶えた場合等に対処するため、メインモータ駆動制御部とは別にトルク指令値を算出する。モータリレー診断モータ駆動制御部となった場合にはメインモータ駆動制御部からのリレー診断指令を待ち、指令受信時においてリレー診断し、終了通知を行う。
ステップS18,S19では、診断後処理として、診断終了時において指令値分配を行い、通常処理への移行を行う。
[モータリレー診断時のトルク指令値分配作用]
実施例1では、システム作動中にモータリレー診断を行うモータ駆動制御部のモータの駆動トルク指令値を、0[N/m]相当にすると共に、他のモータ駆動制御部で不足する総トルク指令値を補う方向で分配することで、転舵制御を継続しながら、モータリレー診断を行うことができる。
すなわち、モータリレー診断を行うモータ駆動制御部に対して、メインモータ駆動制御部が角度制御を行うために算出した総トルク指令値を、モータ駆動制御部に対するトルク指令値の分配率を変更することで、0[N/m]相当にすることが可能となる。これにより、転舵制御を継続しながらモータ停止状態となるためモータリレー診断が可能となる。このとき、0[N/m]相当となって不足する総トルク指令値は、分配率を変えたことで残りのサブモータ駆動制御部で補うことになるので、システムとしてはモータリレー診断を実施していない通常状態として動作していることになる。
[車両挙動状態、操舵状態に応じた診断開始判定作用]
実施例1では、モータリレー診断を開始するタイミングを、車両挙動状態(ヨーレートや横G)、操舵状態(中立保舵)がある一定基準を満たした場合に診断可能と判断することで、モータリレー診断中に他モータ駆動制御部で異常が発生した場合でも、システムへの影響を抑制する。
すなわち、モータリレー診断中のモータ駆動制御部の転舵モータは、非作動状態となる。そのため、残りのモータ駆動制御部でシステム作動させることになる。しかし、この状態で残りのモータ駆動制御部に異常が検出された場合には、即座にモータリレー診断を中断する必要がある。ここで、総トルク指令値が大きい場合に異常が発生すると、モータトルクが急変することによって、車両挙動に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、車両挙動状態、操舵状態で診断開始条件を判断することでシステムに及ぼす影響を軽減することが可能となる。なぜなら、ヨーレートや横Gが小さいとき、総トルク指令値は小さいため、各モータ駆動制御部に対しての分配量も小さくなる。その結果、異常発生時においてもトルクの急変を抑制でき、システムに対する影響を軽減することが可能となる。また、ヨーレートや横Gが小さい場合には、トルクの急変が発生したとしても、車両挙動に対する影響は小さくなる。
[車両挙動状態、トルク指令値分配量に応じたトルク分配変化率変更作用]
実施例1では、トルク分配変化率ΔTを、車両挙動状態やトルク指令値分配量に応じて変更し、徐々に分配率を変更することで、車両挙動への影響を抑制すると共に、総トルク指令値を補う側のモータ駆動制御部のモータにかかる負荷を軽減する。
すなわち、トルク指令値分配において、トルク指令値を補う側のモータ駆動制御部は、分配されていた分のトルク値を加算されて出力することになる。よって、モータ駆動制御部の数が少ない場合においては、モータリレー診断中にモータにかかる負荷が増加することになる。さらに、分配率を瞬間的に変更した場合には、トルク指令値が倍増することも考えられ、モータに対する負荷が急激に増加することになる。
そこで、現在の操舵状態やトルク指令値分配量に応じて、トルク分配変化率ΔTを可変することにより、モータに対する負荷を軽減させることができる。なぜなら、ヨーレートや横Gが小さい場合の操舵状態で、そもそもの総トルク指令値が小さく、分配率を瞬間的に変更してもモータに対する負荷は小さくて済むため、短時間で分配率を変更することが可能である。逆に、総トルク指令値が大きい場合では、上記のような理由により、分配率を瞬間的ではなく、ある一定時間によって徐々に変更していくことで、モータに対する急激なトルク指令値の増加を軽減させることが可能となる。
[サブモータ駆動制御部によるトルク指令値算出作用]
実施例1では、モータリレー診断モータ駆動制御部(サブモータ駆動制御部)がメインモータ駆動制御部と同様にシステムに対する角度制御演算を行い、トルク指令値を独自に算出し、モータリレー診断中にメインモータ駆動制御部が失陥した場合であっても、独自に算出したトルク指令値を用いることで通常制御を行う。
すなわち、モータリレー診断中のモータ駆動制御部の転舵モータは、非作動状態となる。そのため、残りのモータ駆動制御部でシステム作動させることになるが、残りのモータ駆動制御部で異常が検出された場合には、即座にモータリレー診断を中断し、定常状態に戻る必要がある。そこで、モータリレー診断を行うモータ駆動制御部がメインモータ駆動制御部と同様にシステムに対する角度制御演算を行い、トルク指令値を独自に算出することで、メインモータ駆動制御部の異常時に即座にトルク指令値を切り替えることが可能となる。
[モータリレー診断作用]
総トルク指令値の分配時、1つのモータに対してトルク指令値を50%から100%へと瞬間的に変化させることは、モータに対する負荷が増加する。図6のように、メインモータ駆動制御部となったモータ駆動制御部aは、総トルク指令値と車両挙動状態量(ヨーレートや横G等)と分配時間から求めた、トルク分配変化率ΔTに基づき、分配を開始するA点から徐々に分配率を変化させるような傾きを持たせることによって、モータに対する負荷を軽減させる。また、このときの傾きに対する時間は、車両挙動状態量(ヨーレートや横G等)によって可変とすることで、さらにモータ負荷を軽減させることが可能である。
次に、25msec後のモータリレー診断開始時に、モータリレー診断モータ駆動制御部がOA指令となる点B点において分配が完了していることになるので、モータリレー診断を開始する。C点においてモータリレー診断が終了したことをメインモータ駆動制御部に対して通知し、メインモータ駆動制御部は診断後処理として再度、指令値分配処理を実施し、通常状態に戻す。上記処理をモータ駆動制御部毎に行うことで、転舵制御を継続しながら影響を及ぼすことなくモータリレー診断をことができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 前輪4,4に転舵トルクを付加する2つのモータ5a,5bを有し、2つのモータ5a,5bのトルク発生量を制御する転舵角度コントローラ15と、2つのモータ5a,5bのトルクを保持または遮断するように、それぞれ設けられたリレー24a,24bと、これらリレー24a,24bのうちの1つが遮断可能か否かを診断するモータリレー診断処理部18a,18bと、を備え、転舵角度コントローラ15は、モータリレー診断処理部18a,18bによる遮断診断の開始前および終了後、診断するリレーに対応するモータのトルク発生量を、それ以外のモータに分配する。よって、診断のために1つのモータが停止したとき、不足するトルク発生量を他のモータが補うため、システム作動中であっても操舵に影響を与えることなくリレーの診断を実施できる。
(2) 転舵角度コントローラ15は、トルク分配されるモータに分配するトルク分配量が大きいほど、分配するトルク変化量を小さくするため、トルク分配されるモータの負荷が急激に増加するのを抑制できる。
(3) 車両の挙動状態量を検出する車両挙動状態量検出手段(ヨーレートセンサ31、横Gセンサ32)を備え、転舵角度コントローラ15は、車両挙動状態量が大きいほど、トルク分配されるモータに分配するトルク変化量を小さくするため、車両挙動への影響を抑えつつ、システム作動時のリレーの診断を実施できる。
(4) モータリレー診断処理部18a,18bは、トルク配分されるモータのトルク発生量が所定値以上のとき、診断を行わないため、モータに過大な負荷がかかるのを防止できる。
(5) 車両の旋回限界を判定する旋回限界判定手段を備え、モータリレー診断処理部18a,18bは、車両が旋回限界にあるとき、診断を行わないため、車両挙動に影響を及ぼすのが防止でき、安全な状況でのみモータリレー診断を実施できる。
まず、構成を説明する。
図7は、実施例2の転舵角度コントローラ15を示す制御ブロック図であり、実施例2では、3つの転舵モータ5a,5b,5cを備え、転舵角度コントローラ15は、3つの転舵角度コントローラ15a,15b,15cから構成されている。また、実施例3では、各転舵モータ5a,5b,5cのモータ温度を検出するモータ温度センサ(温度検出手段)25a,25b,25cを備えている。
実施例2では、モータ駆動制御部の構成要素が3つであったとき、メインをモータ駆動制御部aとしてサブモータ駆動制御部をモータ駆動制御部b、モータ駆動制御部cとし、モータリレー診断モータ駆動制御部はbとする。
次に、作用を説明する。
[モータリレー診断制御処理]
図8は、実施例2の転舵角度コントローラ15で実行されるモータリレー診断制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図3に示した実施例1と同じ処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、操舵状態を取得し、ステップS22へ移行する。操舵状態としては、ハンドル1の操舵角、操舵角速度の情報を取得する。
ステップS22では、ステップS1で取得した操舵状態量が、ある一定の判定基準を満たした場合に、モータリレー診断を可能とする。診断が可能であると判定した場合には、ステップS3へ移行し、診断が不可能であると判定した場合には、ステップS21へ移行する。
ここで、モータリレー診断の判定基準は、ヨーレート、横G等の車両挙動状態を示すいずれかの値が、スリップを開始する手前の旋回限界状態に至っていないときとして、以下を開始条件とする。
開始条件:操舵角速度が存在する場合に診断を開始する。
メイン切り替え時においては、1N以下のトルク変動が発生する可能性がある。車両挙動には影響しないもののハンドル1の中立状態や保舵中では、1N以下の場合でも運転者はハンドル1を通じ違和感を与える可能性があるが、操舵中では、1N以上のトルク変動が発生した場合でも、運転者は外乱相当で認識できないため、モータリレー診断中にメイン切り替えが発生した場合でも、違和感を与えることが無い。よって、操舵角速度が、保舵中で想定される値よりも大きいときには、診断を開始する。
ステップS23では、正常作動中のモータ駆動制御部よりメインとなるトルク指令値の算出、分配および指令を行うモータ駆動制御部を決定する。実施例2では、モータ駆動制御部の構成要素が3つであるため、メインをモータ駆動制御部aとしてサブモータ駆動制御部をモータ駆動制御部b、モータ駆動制御部cとし、モータリレー診断モータ駆動制御部はbのとき、モータリレー診断中は、メインモータ駆動制御部が分配率と、トルク分配変化率よりトルク指令値を算出し、モータ駆動制御部b、モータ駆動制御部cに対して通知する。
メインは通常状態では以下の算出式によって、各モータ駆動制御部に対するトルク指令値を算出する。また、実施例1と同様に、メインとなるものはモータの熱負荷や異常発生率によって一番信頼性の高いものを選ぶのが良い。
指令トルク値=総トルク指令値/(稼働可能なモータ数)
または、
モータ駆動制御部a=総トルク指令値×分配率a
モータ駆動制御部b=総トルク指令値×分配率b
モータ駆動制御部c=総トルク指令値×分配率c
ここで、モータ駆動制御部bの診断時はb=0として、a+c=100%となるように設定する。aとcの比は、モータ発熱量が少ない方(モータ温度が低い方)を大きくする。
また、ステップS5以降においてサブモータ駆動制御部cは、メインモータ駆動制御部aの指令値とは別に個別にステップS13においてトルク指令値を算出する。メインモータ駆動制御部aが異常となった場合には、メイン切り替えが発生して、モータリレー診断は継続して、ステップS13で算出したトルク指令値を用いてモータ駆動を行う。
モータリレー診断中においては、メインモータ駆動制御部aがトルク分配率より指令電流値を算出し、モータ駆動制御部b、モータ駆動制御部cに対して通知するが、実施例1のフローチャートに示したステップS5以降においてサブモータ駆動制御部cはメインモータ駆動制御部のトルク指令値とは別に個別にステップS13においてトルク指令値を算出する。
そして、メインモータ駆動制御部が異常となった場合には、モータ駆動制御部cはステップS12で算出したトルク指令値を用いてモータ駆動を行う。モータ駆動制御部cは、メインモータ駆動制御部であったモータ駆動制御部aが異常となったことによって、その後の処理を継続してメインモータ駆動制御部として動作するため、モータリレー診断を継続して行うことができる。
[メインモータ駆動制御部失陥時のモータリレー診断継続作用]
実施例2では、モータ駆動制御部を3つ設け、モータリレー診断モータ駆動制御部以外のモータ駆動制御部が異常となった場合でも、残りのモータ駆動制御部で総トルク指令値を分配することで、モータリレー診断は中断せずに、残りのモータ駆動制御部で転舵制御を継続する。
すなわち、モータ駆動制御部を3つ以上設けた場合において、モータリレー診断中のモータ駆動制御部の転舵モータは、非作動状態となる。そのため、残りのモータ駆動制御部でシステム作動させることになるが、モータ駆動制御部が3つ以上の場合において残りのモータ駆動制御部に異常が検出されたときには、残りのモータ駆動制御部によって分配することで、モータリレー診断を中断せずに診断を行うことが可能となる。
なぜなら、残りのモータ駆動制御部によってメインモータ駆動制御部とサブモータ駆動制御部が決まるが、サブモータ駆動制御部においてもメインモータ駆動制御部と同様にシステムに対する角度制御演算を行い、指令値トルク値を算出する。これによって、メインモータ駆動制御部が異常となった場合でも、サブモータ駆動制御部として動作していたモータ駆動制御部がメインモータ駆動制御部に切り替わり、継続してシステム作動できるからである。
[モータ発熱量に応じたトルク分配率変更作用]
実施例2では、モータ発熱量に応じて分配量を決定することにより、モータに対しての負荷を軽減する。すなわち、各モータは車両における配置場所がそれぞれ異なる。そのため、モータの配置場所によっては定常状態でトルク指令値の分配量が均等であっても、モータの発熱量が異なる。そこで、モータの発熱状態によって、発熱量の多いモータに対しては少ない分配量で、発熱量が少ないモータに対しては多くの分配量として総トルク指令値の分配率を変更することで、モータリレー診断に伴うモータに対する負荷を軽減することが可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用操舵制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(6) モータ5a,5bの温度をそれぞれ検出するモータ温度センサ25a,25b,25cを設け、転舵角度コントローラ15は、トルク分配されるモータの温度が低いほど、そのモータへのトルク分配量を大きくするため、モータリレー診断に伴うモータの負荷を軽減できる。
(7) 転舵角度コントローラ15は、モータリレー診断処理部18a(18bまたは18c)による遮断診断中、診断されていないモータの少なくとも1つが失陥したとき、失陥したモータの出力すべきトルク発生量を、失陥していないモータに分配するため、モータリレー診断を中断せずに診断を行うことが可能となる。
実施例3では、2つの転舵モータおよび2つのモータ駆動制御部を備え、モータリレー遮断診断中に、診断していないモータが失陥したとき、診断を中止する例である。なお、実施例3の構成は、図1,2に示した実施例1と同じであるため、説明を省略する。
[モータリレー診断中止作用]
モータリレー診断中のモータ駆動制御部の転舵モータは、非作動状態であり、この状態で他方のモータが失陥した場合、操舵に影響を及ぼす。よって、実施例3では、診断中に作動しているモータが失陥した場合には、直ちに診断を中止し、失陥したモータのトルク発生量を、診断していたモータに分配し、転舵制御を継続することができる。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両用操舵制御装置にあっては、以下の効果が得られる。
(8) モータリレー診断処理部18a,18bは、遮断診断中に診断していないモータが失陥したとき、遮断診断を中止し、転舵角度コントローラ15は、失陥したモータのトルク発生量を、診断していたモータに分配するため、操舵に影響を及ぼすことなく転舵制御を継続できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1〜3では、断接手段として、モータドライバと電源との間に設けられたリレーについて説明したが、モータのトルクを保持、遮断できれば良く、例えば、モータドライバへの指令信号入力に設けても良い。また、モータ回転出力にクラッチを設け、モータのトルクを保持、遮断しても良い。
実施例1〜3では、ハンドル1と前輪4,4が機械的に切り離されたステア・バイ・ワイヤシステムにおいて、前輪4,4を転舵させる転舵モータの制御について説明をしたが、本発明は、ハンドル1と前輪4,4が機械的に連結された操舵装置において、運転者の操舵力を補助するアシストモータの制御にも適用できる。また、操舵軸7に対して操舵反力トルクを与える操舵反力モータが複数の場合にも、適用できる。
実施例2では、総トルク指令値を等分して分配する例を示したが、等分ではなく、例えば、モータ温度に応じて変えても良い。また、モータの故障履歴から、故障の可能性の低いものに多く配分するようにしても良い。さらに、トルク変化量を、車速や操舵角等に応じて変化させる構成としても良い。
実施例1〜3では、転舵モータを転舵軸に設けた例を示したが、操舵系の他の部位、例えば、ラック軸等に設けても良い。
実施例1の車両用操舵装置が適用されたステア・バイ・ワイヤシステムを示す全体構成図である。 実施例1の転舵角度コントローラ15を示す制御ブロック図である。 実施例1の転舵角度コントローラ15で実行されるモータリレー診断制御処理の流れを示すフローチャートである。 ヨーレートに応じた補正ゲインG1の設定マップである。 横Gに応じた補正ゲインG2の設定マップである。 実施例1のモータリレー診断作用を示す図である。 実施例2の転舵角度コントローラ15を示す制御ブロック図である。 実施例2の転舵角度コントローラ15で実行されるモータリレー診断制御処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
1 ハンドル
2 操舵反力モータ
3 操舵部
4 前輪
5a,5b 転舵モータ
6 転舵部
7 操舵軸
8 操舵角センサ
9 トルクセンサ
10 転舵軸
11 ステアリングギア機構
12 タイロッド
13 操舵反力コントローラ
14 操舵コントローラ
15a,15b 転舵角度コントローラ
16a,16b 角度制御演算部
17a,17b 電流制御演算部
18a,18b モータリレー診断処理部
19 通信バスインターフェース
20a,20b 角度センサ
21a,21b 電流センサ
22a,22b モータドライバ
23 電源
24a,24b リレー
30 車速センサ
31 ヨーレートセンサ
32 横Gセンサ

Claims (8)

  1. 操向輪に転舵トルクを付加する転舵機構または、ハンドルに反力トルクを付加する反力機構の少なくともいずれか一方は、複数のトルク発生手段を有し、
    前記複数のトルク発生手段のトルク発生量を制御するトルク制御手段と、
    前記複数のトルク発生手段のトルクを保持または遮断するように、それぞれ設けられた断接手段と、
    これら断接手段のうちの1つが遮断可能か否かを診断する遮断診断手段と、
    を備え、
    前記トルク制御手段は、前記遮断診断手段による遮断診断の開始前および終了後、診断する断接手段に対応するトルク発生手段のトルク発生量を、それ以外のトルク発生手段に分配することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記トルク制御手段は、前記トルク分配されるトルク発生手段に分配するトルク分配量が大きいほど、分配するトルク変化量を小さくすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両用操舵制御装置において、
    車両の挙動状態量を検出する車両挙動状態量検出手段を備え、
    前記トルク制御手段は、前記車両挙動状態量が大きいほど、前記トルク分配されるトルク発生手段に分配するトルク変化量を小さくすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記複数のトルク発生手段の温度をそれぞれ検出する温度検出手段を設け、
    前記トルク制御手段は、前記トルク分配されるトルク発生手段の温度が低いほど、そのトルク発生手段へのトルク分配量を大きくすることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記トルク制御手段は、前記遮断診断手段による遮断診断中、診断されていないトルク発生手段の少なくとも1つが失陥したとき、失陥したトルク発生手段の出力すべきトルク発生量を、失陥していないトルク発生手段に分配することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記遮断診断手段は、遮断診断中に診断していないトルク発生手段がすべて失陥したとき、遮断診断を中止し、
    前記トルク制御手段は、前記失陥したトルク発生手段のトルク発生量を、前記診断していたトルク発生手段に分配することを特徴とする車両用操舵制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記遮断診断手段は、前記トルク配分されるトルク発生手段のトルク発生量が所定値以上のとき、診断を行わないことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
    車両の旋回限界を判定する旋回限界判定手段を備え、
    前記遮断診断手段は、前記旋回限界にあるとき、診断を行わないことを特徴とする車両用操舵制御装置。
JP2004361985A 2004-12-14 2004-12-14 車両用操舵制御装置 Active JP4556657B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004361985A JP4556657B2 (ja) 2004-12-14 2004-12-14 車両用操舵制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004361985A JP4556657B2 (ja) 2004-12-14 2004-12-14 車両用操舵制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006168482A true JP2006168482A (ja) 2006-06-29
JP4556657B2 JP4556657B2 (ja) 2010-10-06

Family

ID=36669685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004361985A Active JP4556657B2 (ja) 2004-12-14 2004-12-14 車両用操舵制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4556657B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008114762A (ja) * 2006-11-06 2008-05-22 Toyota Motor Corp パワーステアリング装置
WO2016063368A1 (ja) * 2014-10-22 2016-04-28 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング装置
WO2017122329A1 (ja) * 2016-01-14 2017-07-20 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング装置
KR20180007393A (ko) * 2016-07-12 2018-01-23 현대모비스 주식회사 Sbw 시스템의 조향 제어 장치 및 그 방법
JP2018024334A (ja) * 2016-08-10 2018-02-15 株式会社ジェイテクト モータ制御装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002153086A (ja) * 2000-11-10 2002-05-24 Mitsubishi Electric Corp 電動パワーステアリング制御装置
JP2004182039A (ja) * 2002-12-02 2004-07-02 Toyoda Mach Works Ltd 車両の操舵制御装置
JP2004196085A (ja) * 2002-12-18 2004-07-15 Nissan Motor Co Ltd 多重系車両操舵装置
JP2004276833A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Toyoda Mach Works Ltd 車両用操舵装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002153086A (ja) * 2000-11-10 2002-05-24 Mitsubishi Electric Corp 電動パワーステアリング制御装置
JP2004182039A (ja) * 2002-12-02 2004-07-02 Toyoda Mach Works Ltd 車両の操舵制御装置
JP2004196085A (ja) * 2002-12-18 2004-07-15 Nissan Motor Co Ltd 多重系車両操舵装置
JP2004276833A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Toyoda Mach Works Ltd 車両用操舵装置

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008114762A (ja) * 2006-11-06 2008-05-22 Toyota Motor Corp パワーステアリング装置
WO2016063368A1 (ja) * 2014-10-22 2016-04-28 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング装置
JPWO2016063368A1 (ja) * 2014-10-22 2017-04-27 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング装置
CN107074269A (zh) * 2014-10-22 2017-08-18 三菱电机株式会社 电动助力转向装置
CN107074269B (zh) * 2014-10-22 2020-08-04 三菱电机株式会社 电动助力转向装置
US11173952B2 (en) 2014-10-22 2021-11-16 Mitsubishi Electric Corporation Electric power steering device
WO2017122329A1 (ja) * 2016-01-14 2017-07-20 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング装置
JPWO2017122329A1 (ja) * 2016-01-14 2018-04-26 三菱電機株式会社 電動パワーステアリング装置
KR20180007393A (ko) * 2016-07-12 2018-01-23 현대모비스 주식회사 Sbw 시스템의 조향 제어 장치 및 그 방법
KR102419260B1 (ko) * 2016-07-12 2022-07-12 현대모비스 주식회사 Sbw 시스템의 조향 제어 장치 및 그 방법
JP2018024334A (ja) * 2016-08-10 2018-02-15 株式会社ジェイテクト モータ制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4556657B2 (ja) 2010-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6709326B2 (ja) 車両制御装置
US10766523B2 (en) Steering device
JP5181548B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5971427B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2000043749A (ja) 操舵制御装置および操舵装置
JP2010076637A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP6282452B2 (ja) 車両操舵用制御装置
JP4140372B2 (ja) 多重系車両操舵装置
KR20200122247A (ko) 조타 제어 시스템
JPWO2019049731A1 (ja) パワーステアリング装置の制御装置
JP2013256276A (ja) 電動式パワーステアリングシステムの故障制御方法及び装置
JP4135537B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5412822B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP4556657B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP2013079003A (ja) 車両用操舵装置
JP2006282067A (ja) 車両用操舵制御装置
KR100802741B1 (ko) 듀얼모터식 좌우독립형 sbw 시스템의 듀얼모터 제어방법
JP4872614B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2017013542A (ja) 車両操舵用制御装置
JP4243146B2 (ja) 電動ステアリング装置におけるバッテリ状態判定装置
JP7270463B2 (ja) 車両用ステアリング装置
JP5092509B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5181540B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5092763B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2008168658A (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071029

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4556657

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730

Year of fee payment: 3