以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の機器及び条件等を用いることがあるが、これら材料及び条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。また太線によって光経路を示し細線によって電気経路を示す。この太線及び細線に付された番号は、その番号が付された光経路及び電気経路を伝播する光信号及び電気信号をそれぞれ意味する。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、この第1の発明である第1光パルス波高値観測方法及びこの方法を実現するための第1光パルス波高値観測装置について説明する。図1は、第1光パルス波高値観測装置の概略的ブロック構成図である。
光パルス信号生成部50は、クロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつクロック信号に同期した光パルス列5を、クロック信号に同期した変調信号7で変調してRZ(Return to Zero)符号化した光RZ信号である光パルス信号11を生成する。変調信号7は、2値デジタル電気パルス信号である。また、光パルス列5はモード同期半導体レーザ等によって生成される。すなわち、光パルス信号生成部50において、クロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつこのクロック信号に同期した光パルス列を、クロック信号に同期した変調信号で変調して光パルス信号を生成する、光パルス信号生成ステップ(以後、「ステップA」ということもある。)が実行される。
クロック信号に同期した変調信号7は、変調電気信号発生部8から光変調器10に対して供給される。光変調器10は、例えば電界吸収型光変調器(EAM: Electro-absorption Modulator)を利用することができる。なお、第1の実施の形態では、後述するように、光変調器10と可変光減衰器(VOA: Variable Optical Attenuator)12とが一体型として形成されたタンデム型光変調器を利用する。
変調電気信号発生部8から供給される変調信号7によって、光変調器10が透過状態となったり遮断状態となったりする。すなわち光変調器10を構成するEAMに逆バイアス電圧が加わっている間は不透明になり、逆バイアス電圧が小さくなるにつれて透明となる。つまり、EAMは、変調信号7に従って、透明になったり不透明になったりする透過窓である。
光パルス列5が光変調器10に入力されることによって、上述の透過窓を通過できた光パルスのみが濾し取られて、光パルス信号11として光変調器10から出力される。すなわち、光パルス信号生成部50は、クロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつクロック信号に同期した光パルス列を、クロック信号に同期した変調信号で変調して光パルス信号を生成する、光パルス信号生成ステップ(ステップA)を実現する。
次に、波高値検出ステップについて説明する。以後、波高値検出ステップを「ステップB」ということもある。ステップBは、以下に示すステップB1乃至ステップB5を具えている。
すなわち、ステップB1:上述した光変調器10において生成された光パルス信号11に直流バイアス電圧とクロック信号の周波数より低い周波数を有する変調信号との和に相当する低周波変調信号27を重畳して低周波重畳光パルス信号13を生成するステップと、ステップB2:この低周波重畳光パルス信号13を光電変換して電気パルス信号17に変換するステップと、ステップB3:この電気パルス信号17から抽出される低周波変調信号と等しい周波数成分である低周波変調成分19を抽出するステップと、ステップB4:低周波変調成分19と低周波変調信号29とをミキシングしてミキシング信号21を生成するステップと、ステップB5:ミキシング信号21から高周波成分を除去して、光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号33に変換して検出するステップとである。
波高値検出ステップを実現するための波高値検出部48は、VOA 12と、光電変換器16と、第1フィルタ18と、ミキサ20と、第2フィルタ32とを具えている。第1フィルタ18は、ローパスフィルタ(LPF: Low-Pass Filter)を利用することができる。電気パルス信号17に低周波変調成分19より低い周波数成分が含まれている可能性もあるので、この場合には、低周波変調成分19のみを透過させるバンドパスフィルタ(BPF: Band-Pass Filter)を利用するのが好適である。第2フィルタ32は、直流電圧信号33を抽出するのがその役割であるため、LPFを利用することが好適であり、BPFは利用できない。
そして、波高値検出部48は、光パルス信号11を構成する光パルスの波高値を、光パルスの波高値に比例する直流電圧信号に変換して直流電圧信号33として出力する。すなわち、光パルス信号11を構成する光パルスの波高値が、この波高値に比例した大きさの直流電圧信号に変換されて検出される。
光パルス信号生成部50から出力される光パルス信号11は、VOA 12に入力される。VOA 12には、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧信号23と低周波信号発生器24から供給される変調信号((RF:Radio Frequency)信号)25との和に相当する低周波変調信号27が入力される。すなわち、VOA 12によって、光パルス信号11に直流バイアス電圧とクロック信号の周波数より低い周波数を有する変調信号との和に相当する低周波変調信号27を重畳して、低周波重畳光パルス信号13を出力するステップ(ステップB1)が実現される。
図2(A)乃至(C)を参照して、光パルス信号11がVOA 12に入力され、直流バイアス電圧とクロック信号の周波数より低い周波数を有する変調信号との和に相当する低周波変調信号27が重畳されて、低周波重畳光パルス信号13として出力されるまでのステップを説明する。図2(A)乃至(C)の横軸は時間軸を任意スケールで目盛って示してある。図2(A)及び(C)の縦軸は光強度を、図2(B)の縦軸は電圧をそれぞれ任意スケールで目盛って示してある。
図2(A)は光パルス信号11を概略的に示している。光パルス信号11を構成する光パルスを縦軸に平行な線分で近似的に表している。実際はRZ符号化された有限の半値幅をもつ光パルスからなる光パルス信号であり、電気パルス信号で変調された2値デジタル信号である。図2(A)では、簡単のために、全ての時間スロットに光パルスが存在する状態を表しているが、実際には光パルスが存在しない時間スロットが存在する。時間スロットの間隔はtと表示してある。図2(A)において、光パルスの強度は全て等しい。以後の説明の便宜のために、図2(A)に示した光パルスの強度をI0とする。
図2(B)は低周波変調信号27を概略的に示している。低周波変調信号27の周期Tは時間スロットの間隔tに比べて十分に大きく設定する。すなわち、低周波変調信号27は、光パルス信号11のクロック信号の周波数(1/(2t))より十分に低い周波数(1/T)を有する。VOA 12には、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧信号23と低周波信号発生器24から供給される低周波数のRF信号25との和に相当する低周波変調信号27が入力される。図2(B)は、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧をVb、低周波信号発生器24から供給されるRF信号の振幅をVp/2として示してある。
図2(C)は低周波重畳光パルス信号13を概略的に示している。そして、低周波変調信号27によって光パルス信号11が受ける変調強度(変調成分の大きさ)がIpであるとして表してある。第1の実施の形態では、低周波変調信号27の周波数(1/T)を1 kHzとした。また、光パルス信号11が受ける変調強度Ipを1 dB以下、光パルス信号11が受ける変調強度の振幅Ip/2を0.5 dB以下に設定した。
光パルス信号11が受ける変調強度Ipが大きすぎると、光パルス信号を構成する光パルスの波形に影響を及ぼす等の影響が現れるので、この光パルスの強度Iに比べて変調強度Ipができるだけ小さいことが望ましい。一方、電気パルス信号17から抽出される低周波変調成分19と、位相調整器30を介して出力される低周波数の変調信号29とをミキサ20でミキシングしてミキシング信号21を生成するステップにおいては、変調強度Ipができるだけ大きいことが望ましい。
したがって、変調強度Ipをどの程度の値として設定するかは、この発明の第1光パルス波高値観測装置が利用される光時分割多重光通信システムの設計的事項に属する。すなわち、光パルス信号を構成する光パルスの波形に影響を与えない範囲で、ミキシングステップが実行できる値に設定する。
図2(C)に示された低周波重畳光パルス信号13の変調成分の大きさIpと、図2(B)に示された低周波変調信号27の変調成分の大きさVp、及び図2(A)に示された光パルス信号11の強度I0との間には、次式(1)で与えられる関係にある。
Ip = K×I0×Vp (1)
ここで、Kは定数であり、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧及びVOA 12の光減衰特性等に依存する値である。すなわち、低周波重畳光パルス信号13の変調成分の大きさIpは、光パルス信号11の強度I0に比例する関係がある。
また、低周波変調信号27の周波数(1/T)は、この発明の第1光パルス波高値観測装置が利用される光時分割多重光通信システムのビットレートに応じて設定する。すなわち、低周波変調信号27の周波数(1/T)は、この発明で利用される第1及び第2フィルタを透過することが可能である周波数であって、また、この第1及び第2フィルタがビットレートに相当する高周波成分を遮断できることが条件となる。
以上説明したように、VOA 12は、光パルス信号11に直流バイアス電圧信号23とクロック信号の周波数より低い周波数を有する変調信号25との和に相当する低周波変調信号27を重畳して低周波重畳光パルス信号13として出力する。
低周波重畳光パルス信号13は、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧と低周波信号発生器24から供給されるRF信号25との和に相当する低周波変調信号27によって光パルス信号11が変調されたものである。低周波重畳光パルス信号13は、光分岐器14によって低周波重畳光パルス信号13aと低周波重畳光パルス信号13bとに分割される。一方の低周波重畳光パルス信号13bは送信される光パルス信号となり、もう一方の低周波重畳光パルス信号13aが光パルスの波高値を検出するための信号として利用される。
以後の説明の便宜のために、光パルス列5が入力されて低周波重畳光パルス信号13が出力される、変調電気信号発生部8、光変調器10及びVOA 12を含む部分を光パルス信号生成変調部51と呼ぶこともある。
光電変換器16は、低周波変調信号27が重畳された低周波重畳光パルス信号13aを光電変換して電気パルス信号17に変換するステップB2を実行する。
第1フィルタ18は、電気パルス信号17が入力され、電気パルス信号17の高周波成分、すなわち低周波変調信号27の周波数より十分高い周波数成分を除去し、低周波変調信号27と等しい周波数成分を有する低周波変調成分19を出力するステップB3を実行する。
ミキサ20は、電気パルス信号17から抽出される低周波変調信号27と等しい周波数成分を有する低周波変調成分19と、低周波数の変調信号29とをミキシングしてミキシング信号21を生成するステップB4を実行する。低周波数の変調信号29は、低周波信号発生器24から出力される低周波数のRF信号25が分岐器28によってRF信号25aとRF信号25bとに分岐された一方のRF信号25bが位相調整器30を介してその位相が調整された信号である。低周波数の変調信号29は、この位相調整器30によって、低周波変調成分19の位相と合致するようにその位相が調整される。RF信号25aは、合流器26によって直流電圧設定回路22から出力される直流バイアス電圧信号23との和に相当する低周波変調信号27となり、VOA 12に供給される。
第2フィルタ32は、ミキシング信号21から高周波成分を除去して、低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号33に変換するステップB5を実行する。以後の説明の便宜上、ミキサ20、位相調整器30、第2フィルタ32を具えた、低周波変調成分19とRF信号25bとを入力して直流電圧信号33を抽出する部分を直流電圧信号抽出部178というものとする。
ミキサ20には、低周波変調信号27の周波数と等しい周波数成分を有する低周波変調成分19と、低周波数の変調信号29とが入力される。低周波数の変調信号29は、低周波信号発生器24から供給されるRF変調信号25が分岐器28によって2分岐された一方のRF変調信号25bであって、位相調整器30によってその位相が調整された信号である。もう一方の入力信号である低周波変調成分19は、低周波重畳光パルス信号13から抽出されたものである。低周波重畳光パルス信号13は、低周波信号発生器24から供給される電気信号の一部であるRF変調信号25aと直流バイアス電圧信号23との和に相当する低周波変調信号27によって光パルス信号11が変調され、可変光減衰器12から出力されたものである。
したがって、低周波変調成分19と低周波数の変調信号29とはその周波数が等しい。低周波変調成分19の位相と低周波数の変調信号29の位相とが一致すれば、ミキサ20から出力されるミキシング信号21は直流信号となる。このため、ミキシング信号21を第2フィルタ32によって、高周波雑音成分を除去すれば、高い感度で波高値に比例する電圧信号として波高値を変換して観測できる。
低周波変調成分19の位相と低周波数の変調信号29の位相とを一致させて得られる直流信号であるミキシング信号21の大きさは、上述した低周波重畳光パルス信号13の変調成分の大きさIpに比例する。また、上述したように、低周波重畳光パルス信号13の変調成分の大きさIpは光パルスの強度をI0に比例するので、ミキシング信号21の大きさは、光パルス信号11の強度I0に比例する関係がある。
低周波変調成分19の位相と低周波数の変調信号29の位相とを一致させるための調整を行なうのが、上述した位相調整器30である。位相調整器30によって、低周波信号発生器24から供給されるRF信号25が分岐器28によって分岐されたRF信号25bの位相を、ミキサ20から出力されるミキシング信号21の直流成分が最大となるように調整する。
低周波変調成分19の位相と低周波数の変調信号29の位相との関係は、波高値検出部48を構成する構成部品を変更する等、波高値検出部48を変更しない限り変動しない。そのため、この調整は一度行なえば、波高値検出部48を構成する構成部品を変更する等、波高値検出部48を変更しない限りする必要はない。
第2フィルタ32によって実行されるステップB5は、ミキシング信号21から高周波成分を除去して直流電圧信号33を得るためのステップである。すなわち、直流電圧信号33に高周波雑音が混入していることによって、波高値検出部48において検出されるミキシング信号21の不確定性を除去するために設けられるステップである。
上述したことから明らかなように、低周波変調成分19の位相と低周波数の変調信号29の位相とが一致していれば、直流電圧信号33の大きさは、ミキシング信号21の直流成分の大きさに比例する。したがって、直流電圧信号33の大きさは光パルスの強度I0に比例することが分かる。言い換えると、ステップB5において、ミキシング信号21から高周波成分を除去して得られる直流電圧信号33の大きさは、光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例している。
波高値検出ステップは、上述したステップB1乃至ステップB5を具えるステップB以外でも実現できる。次に、上述のステップBと一部異なる構成で波高値検出ステップを実現する例を説明する。
図3を参照して、上述したステップB1乃至ステップB5を具えるステップBを採用した第1光パルス波高値観測方法及びこの方法を実現するための第1光パルス波高値観測装置とは別の、第2光パルス波高値観測方法及び第2光パルス波高値観測装置について説明する。図3は、第2光パルス波高値観測装置の概略的ブロック構成図である。
第1光パルスの波高値観測において、電気パルス信号17から抽出される低周波変調成分19は位相調整器30を介して出力される低周波数の変調信号29に比べて微弱である場合が一般的である。そのため、上述の低周波変調成分と低周波数の変調信号とをミキシングしてミキシング信号を生成するステップ(ステップB4)がうまく実行できない場合も想定される。
そこで、上述のステップB4を次のように変更した第2光パルス波高値観測方法及びこの方法を実現できる第2光パルス波高値観測装置を完成させた。
すなわち、上述のステップB4及びB5に相当するステップが、以下に示すステップB4-1乃至ステップB5-2を具えて構成されている。なお、第2光パルス波高値観測方法のステップBにおいて、上述した第1光パルス波高値観測方法のステップB1乃至ステップステップB3は、第2光パルス波高値観測方法のステップBにおけるステップと共通するので、これらのステップを実現するための装置の構成部分とそれらに関する説明をここでは省略する。また、ステップAについても両者共通するので、同様の説明を省略する。
ステップB4は、次に示すステップB4-1乃至ステップB4-3を含んで構成される。すなわち、ステップB4-1:低周波変調成分を2分岐して第1低周波変調成分と第2低周波変調成分とに分岐するステップと、ステップB4-2:第1低周波変調成分と低周波変調信号をミキシングして第1ミキシング信号を生成するステップと、ステップB4-3:低周波変調信号の位相を90°遅らせて90°遅延低周波変調信号を生成して、第2低周波変調成分と90°遅延低周波変調信号とをミキシングして第2ミキシング信号を生成するステップとである。
また、ステップB5は、次に示すステップB5-1及びステップB5-2を含んで構成される。すなわち、ステップB5-1:第1ミキシング信号及び第2ミキシング信号からそれぞれ高周波成分を除去して、光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する第1電圧値及び第2電圧値のそれぞれに変換するステップと、ステップB5-2:第1電圧値と第2電圧値との2乗平均値である直流電圧信号を直流電圧信号として生成するステップとである。
分岐器52は、低周波変調成分19を2分岐して第1低周波変調成分19aと第2低周波変調成分19bとに分岐するステップB4-1を実行する。低周波変調信号25bは、分岐器140で2分岐されて一方は低周波変調信号59として第1ミキサ54に供給され、もう一方は90°位相遅延器58に供給される。分岐器140で2分岐されて90°位相遅延器58に供給された低周波変調信号は、90°位相遅延器58でその位相が90°遅延されて遅延低周波変調信号141として第2ミキサ56に供給される。
第1ミキサ54は、第1低周波変調成分19aと低周波変調信号59とをミキシングして第1ミキシング信号55を生成するステップB4-2を実行する。第2ミキサ56は、第2低周波変調成分19bと低周波変調信号25bの位相に対して90°位相が遅れた遅延低周波変調信号141とをミキシングして第2ミキシング信号57を生成するステップB4-3を実行する。
第3フィルタ142及び第4フィルタ144は、第1ミキシング信号55及び第2ミキシング信号57からそれぞれ高周波成分を除去して、光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する第1電圧値143及び第2電圧値145のそれぞれに変換するステップB5-1を実行する。第3フィルタ142及び第4フィルタ144は、それぞれ、直流電圧信号143及び直流電圧信号145を抽出するのがその役割であるので、LPFを利用することが好適であり、BPFは利用できない。
2乗平均値生成部146は、第1電圧値143と第2電圧値145との2乗平均値である直流電圧信号147を生成するステップB5-2を実行する。
第1フィルタ18から出力される低周波変調成分19は、低周波変調信号27と等しい周波数成分を有する電気信号である。低周波変調成分19は、分岐器52によって第1低周波変調成分19aと第2低周波変調成分19bとに分岐されてそれぞれ第1ミキサ54と第2ミキサ56とに供給される。したがって、第1低周波変調成分19aと第2低周波変調成分19bとは、低周波変調信号27と等しい周波数成分を有する電気信号である。
一方、第1ミキサ54に供給される、低周波信号発生器24から供給されるRF変調信号25が分岐器28によって2分岐された一方の低周波変調信号59は、低周波変調成分19と周波数が等しい。また、第2ミキサ56に供給される遅延低周波変調信号141は、一方の低周波変調信号59に比べてその位相が90°遅れた変調信号である。
第1ミキサ54の出力第1ミキシング信号55は第3フィルタ142によって高周波成分が除去されて第1電圧値143として2乗平均値生成部146に供給される。また、第2ミキサ56の出力第2ミキシング信号57は第4フィルタ144によって高周波成分が除去されて第2電圧値145として2乗平均値生成部146に供給される。そして、2乗平均値生成部146において、第1電圧値143と第2電圧値145との2乗平均値である直流電圧信号147が生成される。
したがって、図3に示した分岐器52、第1ミキサ54、第2ミキサ56、90°位相遅延器58、分岐器140、第3フィルタ142、第4フィルタ144及び2乗平均値生成部146を具えて構成される2相ロックインアンプ部180は、2相ロックインアンプ方式による信号抽出装置となっている。すなわち、2相ロックインアンプ部180において、低周波変調成分19から低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号147が2相ロックインアンプ方式によって抽出される。
第2光パルス波高値観測装置の2相ロックインアンプ部180は、第1光パルス波高値観測装置の直流電圧信号抽出部178と対応する。
上述したように、2相ロックインアンプ方式によって直流電圧信号147を抽出するため、低周波変調成分19と低周波変調信号25bとの位相関係に依存することなく安定して、直流電圧信号147を抽出することが可能である。このことによって、第1光パルス波高値観測装置において必要であった位相調整器30が不要となる。また、2相ロックインアンプ方式を採用することによって直流電圧信号147の抽出感度を向上させることができる。
したがって、電気パルス信号17から抽出される低周波変調成分19が微弱であっても、低周波変調成分と低周波数の変調信号とをミキシングしてミキシング信号を生成するステップ(ステップB4)が障害なく実行することが可能となる。
次に、波高値データ生成ステップについて説明する。以後、波高値データ生成ステップを「ステップC」ということもある。ステップCは、以下に示すステップC1乃至ステップC3を具えている。
すなわち、ステップC1:基準電圧値を設定するステップと、ステップC2:波高値検出ステップで生成される光パルス信号を構成する光パルスの波高値に対応する直流電圧信号を収集するステップと、ステップC3:収集された直流電圧信号と基準電圧値との差に相当する電圧値を波高値データとして生成するステップとである。
図1及び図3を参照して、波高値データ生成部46の構成とそれらの機能について説明する。なお、図1に示した第1光パルス波高値観測装置及び図3に示した第2光パルス波高値観測装置の波高値データ生成部46の構成は同一である。そこで、主に図1を参照して説明することとし、両図面において共通の機能を果たす波高値検出部については、図1における波高値検出部48について代表して説明して、図2における波高値検出部148についてはその説明を省略する。
なお、図1における波高値検出部48は図2における波高値検出部148と対応し、図1における第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33は、図2における2乗平均値生成部146から出力される直流電圧信号147に対応する。
波高値データ生成ステップを実現するための波高値データ生成部46は、初期値データ記憶部42と、データ収集部36と、データ処理部38とを具えている。また、初期値データ記憶部42、データ収集部36、及びデータ処理部38を制御するための制御部44を具えている。波高値データ生成部46は、基準電圧値と波高値検出部48から出力される直流電圧信号33との差に相当する電圧値を波高値データ47として出力する。
初期値データ記憶部42は、基準波高値に対応する電圧値として設定される基準電圧値を記憶する、ステップC1を実行する。データ収集部36は、波高値データ生成ステップで生成される低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号を収集する、ステップC2を実行する。データ処理部38は、ステップC2で収集された直流電圧信号と基準電圧値との差に相当する電圧値を波高値データとして生成する、ステップC3を実行する。
まず、第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33を、図1に破線で示すように第2フィルタ32の出力端子を初期値データ記憶部42の入力端子に接続して、初期値データ記憶部42に入力させる。そして、初期値データ記憶部42には、予め波形モニター等で得られた低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値が望ましい値をとっている状態において第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33の電圧値(以後「初期電圧値」ということもある。)を記憶させる。
次に、第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33を、初期値データ記憶部42に換えてデータ収集部36に入力させるように、第2フィルタ32の出力端子をデータ収集部36の入力端子に接続しなおす。このようにした後、逐次第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33を逐次直流電圧信号37としてデータ処理部38に送る。そしてデータ処理部38は、第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33の値と、初期データ記憶部42から出力される初期電圧値43とを比較しその大小を判定し、大きな場合は正の値を、小さな場合は負の値を出力する。すなわち、データ処理部38は、直流電圧信号37と、初期値データ記憶部42から供給される初期電圧値43との差を出力する。
制御部44は、基準波高値に対応する電圧値として設定される基準電圧値を初期値データ記憶部42に記憶する、ステップC1の実行を指示する。また、データ収集部36を制御して、波高値データ生成ステップで生成される低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号を収集する、ステップC2の実行を指示する。また、データ処理部38を制御してステップC2で収集された直流電圧信号と基準電圧値との差に相当する電圧値を波高値データとして生成する、ステップC3の実行を指示する。
第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33の値が初期電圧値より大きければ、初期電圧値として設定した電圧値に対応する光パルスの波高値が大きいことを意味する。また、逆に初期電圧値より小さければ、初期電圧値として設定した電圧値に対応する光パルスの波高値が小さいことを意味する。したがって、ステップC3において生成される波高値データは、低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値が基準波高値に対して小さいか大きいかを意味する信号である。そして、この波高値データからは、基準波高値に対して低周波重畳光パルス信号13を構成する光パルスの波高値が基準波高値に対してどの程度ずれているかを知ることができる。
以上説明したように、この第1の発明である光パルス波高値観測方法によれば、光パルスの波高値を人間の手を介さないで数値化することが可能となるので、波高値データ生成部から出力される波高値データを指標として、光時分割多重通信システムの保守を機械によって自動化する等が可能となる。
<タンデム型光変調器>
図4を参照して、光変調器10であるEAM及びVOA 12の具体的な構成例について説明する。第1の実施の形態では、光変調器10とVOA 12とが一体型として形成されたタンデム型光変調器を利用する。図4はタンデム型光変調器の概略的な構成図である。タンデム型光変調素子240は、光導波路236を具えており、この光導波路236が形成されている位置にP-N接合部が設定されたダイオードである。
タンデム型光変調素子240は、第1光吸収領域230と第2光吸収領域232とに挟まれて、導波路領域234が形成されている。すなわち、タンデム型光変調素子240は、図面向かって左側からクロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつクロック信号に同期した光パルス列5が入射光として入射し、図面向かって右側から低周波変調信号27が重畳された低周波重畳光パルス信号13が出射光として出力される構成である。そして、図面向かって左側の入射端面及び図面向かって右側の出射端面に、それぞれ反射防止膜226及び228が形成されている。
この発明において、第1光吸収領域230を光変調器10であるEAMとして機能させ、第2光吸収領域232をVOA 12として機能させる。変調電気信号発生部8は、コイル208、変調電気信号供給部206、バイアス電源210及びコンデンサー204を具えて構成される。コイル208は、変調電気信号供給部206から供給される電気信号の交流成分がバイアス電源210に入力されることを防ぐために挿入されている。また、コンデンサー204は、バイアス電源210から供給されるバイアス電圧(直流電圧)が変調電気信号供給部206に入力されることを防ぐために挿入されている。
一般に、第1光吸収領域230に電圧が印加されなければ、第1光吸収領域230の光導波路は入力光に対しては透明であると考えてよい。実際には、入力光に対する第1光吸収領域230の光導波路の光吸収係数は0ではないが、ここでは簡単のために、この光吸収係数が0であるものとして説明する。一方、第1光吸収領域230のP極側の電位をN極側の電位より低く設定すると、この電位差が大きくなるに従って、入力光に対する第1光吸収領域230の光導波路の光吸収係数は増大し不透明となる。
また、第1光吸収領域230に順方向に電圧が印加されると、第1光吸収領域230は発光ダイオードとして動作し、この場合には、第1光吸収領域230に入力される入力光に更に発光ダイオードとして発光した光が加わって出力されることになるので、光変調器として利用できなくなる。従って、第1光吸収領域230に印加するバイアス電圧は、変調電気信号の最大値が第1光吸収領域230に入力される瞬間であっても、第1光吸収領域230のP極側の電位がN極側の電位より低くなるように設定する必要がある。
図4に示すようにバイアス電源210によってコイル208を介してダイオードに対しては逆方向の電位が与えられる。すなわち、P側電極212a及び212bの電位がN側電極214の電位より低く設定されている。
また、図4に示されているように、変調電気信号供給部206からクロック信号に同期した変調電気信号が供給されて、コンデンサー204を介して変調電気信号発生部8から変調信号7としてP側電極212aに供給される。このことによって、クロック信号に同期した変調信号7は、変調電気信号発生部8から光変調器10に対して供給されることになる。
一方、この発明においては、第2光吸収領域232をVOA 12として機能させる。第2光吸収領域232には、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧23と低周波信号発生器24から供給されるRF信号25との和に相当する低周波変調信号27が入力される。すなわち、低周波変調信号27がP側電極212bに供給されるように構成されている。また、VOA 12に相当する第2光吸収領域232のP側電極212bに、直流電圧設定回路22から供給される直流バイアス電圧23と低周波信号発生器24から供給されるRF信号25との和に相当する低周波変調信号27が印加される。このことによって、第2光吸収領域232に光パルス信号11が入力されると、この光パルス信号11に直流バイアス電圧とクロック信号の周波数より低い周波数を有する変調信号との和に相当する低周波変調信号27が重畳された低周波重畳光パルス信号13が出力される。
ここでも変調電気信号発生部8におけるのと同様に、低周波信号発生器24から供給されるRF信号25が直流電圧設定回路22に入力されることを防ぐためにコイルが挿入され、直流電圧設定回路22から供給されるバイアス電圧(直流電圧)23が低周波信号発生器24に入力されることを防ぐためにコンデンサーが挿入されているが、図4では省略してある。
<第2の実施の形態>
図5を参照して、この第2の発明である光パルス波高値制御方法及びこの方法を実現するための光パルス波高値制御装置について説明する。図5は、光パルス波高値制御装置の概略的ブロック構成図である。ここでは、2チャンネル分の光パルス信号を多重した光時分割多重の場合を例にとって説明する。もちろん、この発明の光パルス波高値制御方法及びこの方法を実現するための装置は、2チャンネル多重の場合に限られるものではなく、3チャンネル以上の光時分割多重の場合においても同様に実現できる。
なお、第2の実施の形態の光パルス波高値制御装置に利用される、光変調器、可変光減衰器、低周波信号発生器、直流電圧設定回路、位相調整器、光電変換器、フィルタ、ミキサ、光分岐器、合流器及び分岐器等の構成要素は、第1の実施の形態の光パルス波高値観測装置に利用されるものと同一のものを利用できるので、これら個々の構成要素に関する説明は省略する。
図5に示された光パルス波高値制御装置は、2チャンネル光時分割多重装置であるので、光パルス信号生成変調部及び直流電圧信号抽出部がそれぞれ2箇所設けられている。すなわち、光パルス信号生成変調部は、第1チャンネルの光パルス信号生成変調部170と第2チャンネルの光パルス信号生成変調部172との2箇所、直流電圧信号抽出部は、第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174と第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176との2箇所である。
3チャンネル以上の光時分割多重に対応するには、光パルス信号生成変調部及び直流電圧信号抽出部をチャネル数分設置すればよく、以下で説明する2チャンネル光時分割多重装置に関する説明から、当業者であれば容易に3チャンネル以上の光時分割多重に対応することができる。
光パルス波高値制御装置は、光パルス信号生成部60と、波高値検出部100と、波高値データ生成部130と、バイアス電圧制御部134とを具えて構成される。
光パルス信号生成部60は、第1チャンネルの光パルス信号生成部161と第2チャンネルの光パルス信号生成部163とで構成される。クロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつクロック信号に同期した光パルス列55は、第1光分波器62によって光パルス列61と光パルス列63とに2分割され、それぞれ、第1チャンネルの光パルス信号生成部161と第2チャンネルの光パルス信号生成部163とに供給される。Nチャンネル光時分割多重装置であれば、第1光分波器62として光パルス列5をN分割できる光分波器を利用することになる。
第1チャンネルの光パルス信号生成部161において、変調電気信号発生部66から光変調器64に供給される電気変調信号によって、2分割された光パルス列55の一方の光パルス列61が光RZ信号(光パルス信号)65として生成される。また、第2チャンネルの光パルス信号生成部163において、変調電気信号発生部70から光変調器68に供給される電気変調信号によって、2分割された光パルス列55の一方の光パルス列63が光RZ信号69として生成される。
すなわち、Nチャンネル光時分割多重装置であれば光パルス信号生成部において、それぞれクロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつクロック信号に同期した光パルス列を、クロック信号に同期した変調信号で変調してNチャンネルごとの光パルス信号を生成する光パルス信号生成ステップが実行される。この光パルス信号生成ステップは、この第1の発明である光パルス波高値観測方法におけるステップAに対応するステップである。以後、混乱が生じない範囲で、このステップもステップAということもある。
以上説明したように、光パルス信号生成部60は、クロック信号の周波数に等しい繰り返し周波数を有しかつクロック信号に同期した光パルス列を、クロック信号に同期した変調信号で変調してNチャンネルごとの光パルス信号を生成する光パルス信号生成ステップ(ステップA)を実行する。
次に波高値検出ステップについて説明する。波高値検出ステップは、以下に示すステップB1乃至ステップB5を含んでいる。
この波高値検出ステップは、この第1の発明である光パルス波高値観測方法におけるステップBに対応するステップである。また、及びステップB1乃至ステップB5も同様に、この第1の発明である光パルス波高値観測方法におけるステップB1乃至ステップB5に対応するステップである。以後、混乱が生じない範囲で、第1の発明におけるステップとこの第2の発明においても、区別せずステップBあるいはステップB1乃至ステップB5というものとする。
ステップBは、ステップB1: Nチャンネルごとの光パルス信号に、Nチャンネルごとに直流バイアス電圧とクロック信号の周波数より低いNチャンネルごとに相異なる周波数を有する変調信号との和に相当するNチャンネルごとに相異なる低周波変調信号を重畳して低周波重畳光パルス信号を生成するステップと、ステップB2: Nチャンネルごとの低周波重畳光パルス信号をNチャンネル多重した光パルス信号を光電変換して電気パルス信号に変換するステップと、ステップB3: 電気パルス信号から低周波変調信号と等しい周波数成分である低周波変調成分を抽出するステップと、ステップB4: 低周波変調成分と低周波変調信号とをミキシングしてNチャンネルごとにミキシング信号を生成するステップと、ステップB5:ミキシング信号から高周波成分を除去して、光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例するNチャンネルごとの直流電圧信号に変換するステップとを含んでいる。
図5に示された光パルス波高値制御装置は、2チャンネル光時分割多重装置であるので、上述のNが2に相当する例である。第1チャンネルの光パルス信号生成変調部170と第2チャンネルの光パルス信号生成変調部172とは、図1及び図3に示された第1の発明の光パルス波高値観測装置の光パルス信号生成変調部51に対応する部分である。また、第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174と第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176とは、図1に示された第1の発明の光パルス波高値観測装置の直流電圧信号抽出部178に相当する。すなわち、2チャンネルであるので、光パルス信号生成変調部及び直流電圧信号抽出部がそれぞれ2箇所設けられている。
波高値検出ステップ(ステップB)を実現するための波高値検出部100について、第1チャンネルに関係する部分と第2チャンネルに関係する部分とに分けて説明する。これら両チャンネルに共通する部分については、第1チャンネルに関係する部分に対して説明し、第2チャンネルに関係する重複部分については、その説明を省略する。
まず、波高値検出部100における、第1チャンネルに対するステップB1を実現するための構成部分について説明する。光パルス信号生成部60の光変調器64から出力される第1チャンネルの光パルス信号65は、VOA 72に入力される。VOA 72には、直流電圧設定回路112から供給される直流バイアス電圧113と低周波信号発生器110から供給される変調信号115との和に相当する低周波変調信号119が入力される。すなわち、VOA 72によって、光パルス信号65に直流バイアス電圧とクロック信号の周波数より低い周波数を有する変調信号との和に相当する低周波変調信号119を重畳して、第1チャンネルの低周波重畳光パルス信号73を出力するステップ(ステップB1)が実現される。
一方、第2チャンネルについては、上述の第1チャンネルに対するステップB1を実現するための構成部分に、光遅延器76が更に付加されている。光遅延器76は、第1チャンネルの低周波重畳光パルス信号73に第2チャンネルの低周波重畳光パルス信号75を、ビットインターリーブして2多重の光時分割多重光パルス信号81を生成するために、VOA 74と光合波器80との間に設置されるものである。
ビットインターリーブとは、複数のチャンネルの光パルス信号を時間多重するための手段の一つであり、例えば、2チャンネル分の光パルス信号を、その一方の光パルス信号の光パルス列の隣接する光パルスの間に、もう一方の光パルス信号の光パルス列の光パルスが入り込むように合波して、両チャンネルの光パルス信号が時間多重された光時分割多重光パルス信号を得る方法である。
例えば、ビットレートが40Gb/sの第1チャンネルの光パルス信号と、同じくビットレートが40Gb/sの第2チャンネルの光パルス信号とをビットインターリーブして多重化すれば、両チャンネルのビットレートの和に相当する80Gb/sのビットレートの光パルス信号として、送信することができる。このようにして送信された光時分割多重光パルス信号は、受信装置においてそれぞれのチャンネルの光パルス信号として分離されて、再びビットレートが40Gb/sの第1チャンネルの光パルス信号と、同じくビットレートが40Gb/sの第2チャンネルの光パルス信号となり、それぞれのチャンネルの光パルス信号が分離され再生される。
すなわち、光遅延器76は、第1チャンネルの光パルス信号73の光パルス列の隣接する光パルスの間(時間スロット)に、第2チャンネルの光パルス信号75の光パルスを挿入するために、第1及び第2チャンネルの時間スロットの半分の時間に相当する遅延を第2チャンネルの光パルス信号75に対して付加する役割を果たす。第2チャンネルの光パルス信号75は、光遅延器76を通過することによって、上述の時間スロットの半分の時間に相当する時間遅延が付加されて、第2チャンネルの光パルス信号77として出力される。
上述のビットレートが40Gb/sの第1及び第2チャンネルの光パルス信号をビットインターリーブして時分割多重する例では、両チャンネルの光パルス信号の時間スロット(1/(40×109))s=2.5×10-11sの半分の時間1.25×10-11sの遅延を、光遅延器76によって第2チャンネルの光パルス信号75に付加することになる。この場合、例えば、光遅延器76として屈折率1.5、厚み2.5 cmのガラス板を利用して実現できる。すなわち、VOA 74と光合波器80との間に屈折率1.5、厚み2.5 cmのガラス板を挿入することで、第1チャンネルの光パルス信号73に第2チャンネルの光パルス信号75をビットインターリーブして2多重の光時分割多重光パルス信号81を生成することができる。
第1チャンネルの光パルス信号73と第2チャンネルの光パルス信号77とは、光合波器80によって合波されて、2多重の光時分割多重光パルス信号81として光合波器80から出力される。以後、2多重の光時分割多重光パルス信号を、誤解が生じない範囲で、単に光時分割多重光パルス信号あるいは光パルス信号ということもある。
ここで、第1チャンネルの光パルス信号73と第2チャンネルの光パルス信号75とが生成される過程について説明する。まず、第1チャンネルのVOA 72には、低周波信号発生器110から数Hz乃至数MHzの範囲内の低周波信号115と、直流電圧設定回路112から直流バイアス電圧113との和である低周波変調信号119が供給される。ここでは、低周波信号115として1.0 kHzのRF信号を用いた。また、低周波信号115はVOA 72における光パルス信号の低周波変調振幅が0.5乃至1.0 dBの範囲に収まるように設定した。
第2チャンネルのVOA 74には、同じく低周波信号発生器126から数Hz乃至数MHzの範囲内の低周波信号125と、直流電圧設定回路120から直流バイアス電圧121との和である低周波変調信号123が供給される。ただし、低周波信号125の周波数は、第1チャンネルの低周波変調信号119と分離しやすいように、低周波信号115の周波数との差が低周波信号115の周波数の1/100より大きくなるように設定した。また、低周波信号125の周波数は、低周波変調信号119の周波数の整数倍あるいは整数分の1に等しくならないように設定した。ここでは、低周波信号125の周波数を1.1 kHzに設定した。第2チャンネルにおいても、低周波信号125はVOA 74における光パルス信号の低周波変調振幅が0.5乃至1.0 dBの範囲に収まるように設定した。
光時分割多重光パルス信号81は、第2光分波器82によって光時分割多重光パルス信号83aと光時分割多重光パルス信号83bとに分割される。一方の光時分割多重光パルス信号83bは送信される光時分割多重光パルス信号となり、もう一方の光時分割多重光パルス信号83aが光パルスの波高値を検出するための信号として利用される。
光電変換器84は、光時分割多重光パルス信号83aを光電変換して電気パルス信号85に変換するステップB2を実行する。光時分割多重光パルス信号83aは、Nチャンネル光時分割多重システムにおいては、Nチャンネルごとに低周波変調信号が重畳された光パルス信号をNチャンネル多重した光パルス信号である。
第1フィルタ86は、電気パルス信号85が入力され、電気パルス信号85の高周波成分、すなわち低周波変調信号119及び123の周波数より十分高い周波数成分を除去し、低周波変調信号119と低周波変調信号123とが合成された、電気信号87を出力するステップB3を実行する。第1フィルタ86は、LPFを利用することができる。電気パルス信号85に低周波変調成分87より低い周波数成分が含まれている可能性もあるので、この場合には、低周波変調成分87のみを透過させるBPFを利用するのが好適である。
電気信号87は、低周波信号発生器110及び126が出力する低周波変調信号と等しい周波数を有する低周波変調成分である。電気信号87は、分岐器88によって電気信号87bと電気信号87aとに分岐される。
まず、第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174について説明する。第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174は、直流電圧設定回路112、低周波信号発生器110、位相調整器114、ミキサ90及び第2フィルタ94を具えて構成されている。
ミキサ90には、低周波変調信号111の周波数と等しい周波数成分を有する電気信号87aと、低周波数の変調信号116とが入力される。低周波数の変調信号116は、低周波信号発生器110から供給されるRF変調信号であって、位相調整器114によってその位相が調整された信号である。もう一方の入力信号である電気信号87aは、光パルス信号83aから抽出されたものである。
次に、第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176について説明する。第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176は、直流電圧設定回路120、低周波信号発生器126、位相調整器98、ミキサ92及び第2フィルタ96を具えて構成されている。
第2フィルタ94及び第2フィルタ96は、それぞれ、直流電圧信号95及び直流電圧信号97を抽出するのがその役割であるので、LPFを利用することが好適であり、BPFは利用できない。
ミキサ92には、低周波変調信号127の周波数と等しい周波数成分を有する電気信号87bと、低周波数の変調信号99とが入力される。低周波数の変調信号99は、低周波信号発生器126から供給されるRF変調信号であって、位相調整器98によってその位相が調整された信号である。もう一方の入力信号である電気信号87bは、光パルス信号83aから抽出されたものである。
光パルス波高値制御装置の第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174及び第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176は、第1光パルス波高値観測装置の直流電圧信号抽出部178及び第2光パルス波高値観測装置の2相ロックインアンプ部180と対応する。2相ロックインアンプを採用する場合については後述する。
ここで図6(A)乃至(G)を参照して、光パルス波高値制御装置の動作原理を説明する。図6(A)乃至(G)において、横軸は時間を任意スケールで目盛ってあり、縦軸は光強度を任意スケールで目盛ってある。
図5に示すように、点Pを通過した光パルス列55が光分波器62で2分されて光パルス列61及び光パルス列63となって、それぞれ第1チャンネルの光変調器64及び第2チャンネルの光変調器68に供給される。第1チャンネルの光変調器64及び第2チャンネルの光変調器68からそれぞれ出力される第1チャンネルの光パルス信号65及び第2チャンネルの光パルス信号69は、その位相が一致しているので、それぞれ図6(A)及び図6(B)のように示すことができる。ここでは、全ての時間スロットに光パルスが存在する場合を示している。実際にはRZ符号化された光パルス信号であるので、光パルスが存在しない時間スロットが存在する。
ここで、光遅延器76が存在しないと仮定した場合、VOA 72及びVOA 74のそれぞれの出力端から等しい位置にある点Q及び点Rの位置において、第1チャンネルの光パルス信号73及び第2チャンネルの光パルス信号75を観測すれば、その両者に位相のずれはない。しかし、第2チャンネルの伝送路のVOA 74と光合波器80との間に光遅延器76が挿入されており、この光遅延器76によって第2チャンネルの光パルス信号75が時間スロットの半分に相当する位相遅れが付加される。そのため、点Rの位置において第2チャンネルの光パルス信号77を観測すれば図6(C)に破線で示したように、図6(A)及び図6(B)に示す光パルス信号とは時間スロットの半分に相当する位相遅れが付加された光パルス信号が観測される。
光パルス信号73と光パルス信号77とは、光合波器80で合波されてビットインターリーブされた2多重の光時分割多重光パルス信号81として出力される。2多重の光時分割多重光パルス信号81を、点Sにおいて観測すれば、図6(D1)あるいは図6(D2)に示す波形が観測される。
点Sにおいて観測される波形は、光パルス信号73と光パルス信号77の波高値が異なっていれば、図6(D1)に示す波形となり、両者の波高値が等しければ図6(D2)に示す波形となる。第2の発明である光パルス波高値制御装置は、点Sにおいて、2多重の光時分割多重光パルス信号81として観測される波形が、図6(D2)に示す波形となるように、光パルス信号73と光パルス信号77の両者の波高値を等しくすることが、その目的とする機能である。
図6(E)乃至図6(G)に示す波形は、光パルスの半値幅を無視して描いてある。時間軸(横軸)に垂直に並べられた一本ごとの線分はそれぞれ1つの光パルスを示している。したがって、図6(A)乃至図6(D2)における横軸のスケールと、図6(E)乃至図6(G)における横軸のスケールとは異なっている。
点Qにおいて観測される光パルス信号73は、その光パルスの尖頭値を連ねた曲線(図6(E)において光パルスを示す線分の上端を連ねた破線)は、低周波信号発生器110から供給される変調信号(RF信号)115の周波数と等しい波形であり、1.0 kHzの正弦波となっている。また、点Rで観測される光パルス信号77は、その光パルスの尖頭値を連ねた曲線(図6(F)において光パルスを示す線分の上端を連ねた破線)は、低周波信号発生器126から供給される変調信号(RF信号)125の周波数と等しい波形であり、1.1 kHzの正弦波となっている。図6(E)及び図6(F)において、光パルス信号73を構成する光パルスと、光パルス信号77を構成する光パルスとを区別するために、前者の光パルスを実線で後者の光パルスを破線で示してある。
仮に、光パルス信号73と光パルス信号77の両者の波高値が等しく調整されていれば、点Sにおいて観測される波形は、図6(D2)及び図6(G)に示す波形となる。したがって、2多重の光時分割多重光パルス信号81には、周波数1.0 kHzの低周波変調成分と周波数1.1 kHzの低周波変調成分とが、交じり合って存在している。
以上、簡単のために2多重の場合の光時分割多重光パルス信号81を例にとって説明したが、一般にN多重の光時分割多重光パルス信号であっても、上記の説明をNチャンネルに拡張すれば、そのまま成り立つ。この場合、2多重の光時分割多重光パルス信号81に相当する光パルス信号には、Nとおりの互いの周波数の整数倍あるいは整数分の1とは異なる低周波変調成分が、交じり合って存在している。
したがって、光電変換器は、低周波変調信号が重畳されたNチャンネルごとの光パルス信号を光電変換して電気パルス信号に変換するステップを実行する。
光パルス信号83aは、2多重の光時分割多重光パルス信号81を2分割して得られた光パルス信号である。したがって、図6(G)に示す光パルス信号とその強度が相対的に弱くなっているだけで、同様の光パルス信号である。光パルス信号83aが光電変換されて得られた電気パルス信号85を、第1フィルタ86でフィルタリングすると、光パルス信号のクロック信号の周波数(数十GHz)成分が除去されて電気信号87が得られる。電気信号87は、1.0 kHz及び1.1 kHzの低周波変調成分のみを含む電気信号となる。
分岐器88で電気信号87から分岐された電気信号87a及び87bは、それぞれミキサ90及びミキサ92に入力される。
ミキサ90において、電気信号87aと低周波数の変調信号116とが入力されてミキシング信号91が出力される。ミキシング信号91は、電気信号87aに含まれる低周波変調成分の内、周波数が変調信号115の周波数と等しい低周波変調成分の位相と低周波数の変調信号116の位相とが合致した時に、第1チャンネルの光パルスの波高値に比例する直流電圧信号となる。
また、ミキサ92において、電気信号87bと低周波数の変調信号99とが入力されてミキシング信号93が出力される。ミキシング信号93は、電気信号87bに含まれる低周波変調成分の内、周波数が変調信号125の周波数と等しい低周波変調成分の位相と低周波数の変調信号99の位相とが合致した時に、第2チャンネルの光パルスの波高値に比例する直流電圧信号となる。
ミキシング信号91及びミキシング信号93を、それぞれ直流成分のみを透過してそれ以外の周波数成分を除去する第2フィルタ94及び第2フィルタ96を透過させることによって、第1チャンネル及び第2チャンネルの光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号95及び直流電圧信号97としてそれぞれ観測できる。第2フィルタ94及び第2フィルタ96は、少なくとも50 Hzにおいて、透過する電気信号が30 dB以上減衰するフィルタを利用することが望ましい。
以上説明したことから、ミキサ90及びミキサ92は、電気パルス信号83aから抽出される低周波変調信号115及び125とそれぞれ等しい周波数成分を有する電気信号87a及び87bと、低周波数の変調信号116及び99とをミキシングしてミキシング信号91及び93を生成するステップB4を実行する。Nチャンネル光時分割多重システムにおいて、ミキサは、Nチャンネルごとに設けられる。また、第2フィルタ94及び第2フィルタ96もNチャンネルごとに設けられ、それぞれの第2フィルタから、それぞれの光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号としてチャンネルごとの波高値に変換して出力する。
すなわち、ミキサは、低周波変調成分と低周波変調信号とをミキシングしてNチャンネルごとにミキシング信号を生成するステップB4を実行する。また、第2フィルタは、ミキシング信号から高周波成分を除去して、光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例するNチャンネルごとの直流電圧信号に変換するステップB5を実行する。
上述のステップB4及びB5を、第1の実施の形態において説明した第2光パルス波高値観測装置の2相ロックインアンプ部180によって実現する方法及び装置について説明する。図3に示した第2光パルス波高値観測装置の2相ロックインアンプ部180を、図5に示す光パルス波高値制御装置の第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174と第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176とに当てはめればよい。
このとき、2相ロックインアンプ部180と第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174との対応関係は、以下のとおりである。2相ロックインアンプ部180の直流電圧設定回路22及び低周波信号発生器24と、第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174の直流電圧設定回路112及び低周波信号発生器110とがそれぞれ対応する。また、2相ロックインアンプ部180からの出力信号である直流電圧信号147と第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174からの出力信号である直流電圧信号95とが対応する。2相ロックインアンプ部180の第1ミキサ54、第2ミキサ56及び90°位相遅延器58で構成された部分は、第1チャンネルの直流電圧信号抽出部174の位相変調器144とミキサ90とで構成された部分に対応する。
また、2相ロックインアンプ部180の直流電圧設定回路22及び低周波信号発生器24と、第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176の直流電圧設定回路120及び低周波信号発生器126とがそれぞれ対応する。また、2相ロックインアンプ部180からの出力信号である直流電圧信号147と第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176からの出力信号である直流電圧信号97とが対応する。2相ロックインアンプ部180の第1ミキサ54、第2ミキサ56及び90°位相遅延器58で構成された部分は、第2チャンネルの直流電圧信号抽出部176の位相変調器98とミキサ92とで構成された部分に対応する。
上述のステップB4及びステップB5を、第1の実施の形態において説明した第2光パルス波高値観測装置の2相ロックインアンプ部180によって実現する場合、次のようになる。なお、これらのステップB4及びステップB5は、この第1の発明である光パルス波高値観測方法におけるステップB4及びステップB5に対応するステップである。なお、以下の説明では、一般的なNチャンネル光時分割多重装置を前提にして説明する。上記でこれまでの説明を参酌すれば、以下のようにNチャンネル光時分割多重装置に一般化した説明を行なえば、上述のステップB4及びB5を、第1の実施の形態において説明した第2光パルス波高値観測装置の2相ロックインアンプ部180によって実現する方法及び装置についての発明の内容は、当業者にとって明らかとなる内容である。
ステップB4は、ステップB4-1: Nチャンネルごとの低周波変調成分を2分岐して第1低周波変調成分と第2低周波変調成分とに分岐するステップと、ステップB4-2:第1低周波変調成分と低周波変調信号とをNチャンネルごとにミキシングしてNチャンネルごとの第1ミキシング信号を生成するステップと、ステップB4-3:低周波変調信号の位相を90°遅らせてNチャンネルごとの90°遅延低周波変調信号を生成して、Nチャンネルごとの第2低周波変調成分と90°遅延低周波変調信号をミキシングしてNチャンネルごとの第2ミキシング信号を生成するステップとを含んで構成される。
Nチャンネルごとに設置されたN個の分岐器によって2分岐されてNチャンネルごとに第1低周波変調成分と第2低周波変調成分とに分岐するステップB4-1を実行する。
第1低周波変調成分と第2低周波変調成分とに分岐された低周波変調成分を、Nチャンネルごとに設置されたN個の第1ミキサが、第1低周波変調成分と低周波変調信号とをミキシングしてNチャンネルごとの第1ミキシング信号を生成するステップB4-2を実行する。
Nチャンネルごとに設置されたN個の第2ミキサは、第2低周波変調成分と低周波変調信号の位相に対して90°位相が遅れた遅延低周波変調信号とをミキシングしてNチャンネルごとの第2ミキシング信号を生成するステップB4-3を実行する。
また、ステップB5は、ステップB5-1:第1ミキシング信号及び第2ミキシング信号からそれぞれ高周波成分を除去して、Nチャンネルごとの光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例するNチャンネルごとの第1電圧値及び第2電圧値のそれぞれに変換するステップと、ステップB5-2:第1電圧値と第2電圧値との2乗平均値をNチャンネルごとの直流電圧信号として生成するステップとを含んで構成される。
Nチャンネルごとに設置されたN個の第2フィルタ及び第3フィルタは、第1ミキシング信号及び第2ミキシング信号からそれぞれ高周波成分を除去して、Nチャンネルごとの光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例するNチャンネルごとの第1電圧値及び第2電圧値のそれぞれに変換するステップB5-1を実行する。
Nチャンネルごとに設置されたN個の2乗平均値生成部は、Nチャンネルごとの第1電圧値と第2電圧値との2乗平均値である直流電圧信号をNチャンネルごとに生成するステップB5-2を実行する。
図7を参照して、波高値データ生成部について説明する。波高値データ生成部は、上述した第1の実施の形態における第1及び第2光パルス波高値観測装置と同様である。そこで、第2の実施の形態である光パルス波高値制御装置においても波高値データ生成ステップを「ステップC」というものとする。
ステップCは、以下に示すステップC1乃至ステップC3を具えている。
すなわち、ステップC1:基準電圧値を設定するステップと、ステップC2:Nチャンネルごとの光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号をNチャンネルごとに収集するステップと、ステップC3:収集されたNチャンネルごとの直流電圧信号と基準電圧値との差に相当するNチャンネルごとの電圧値を波高値データとして生成するステップとである。
以下の説明においては、2チャンネルの場合を例にとって説明する。すなわちN=2の場合について説明するが、N=3以上の場合についても同様である。
図7は、光パルス波高値制御装置の波高値データ生成部130の概略的ブロック構成図である。
波高値データ生成ステップ(ステップC)を実現するための波高値データ生成部130は、初期値データ記憶部150と、データ収集部154と、データ処理部160とを具えている。また、初期値データ記憶部150、データ収集部154、及びデータ処理部160を制御するための制御部158を具えている。波高値データ生成部130は、基準電圧値と波高値検出部100から出力される直流電圧信号95及び97との差に相当する電圧値を波高値データ131として出力する。
図7においては、波高値データ131を出力する出力線を1本のみとして描いてあるが、この波高値データ131を出力する出力線からは、チャンネルごとに基準電圧値と波高値検出部100から出力される直流電圧信号との差に相当する電圧値をチャンネルごとに時間を隔てて出力される。
初期値データ記憶部150は、基準波高値に対応する電圧値として設定される基準電圧値を記憶する、ステップC1を実行する。データ収集部154は、波高値検出ステップで検出される、各チャンネルの光パルス信号を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号を収集する、ステップC2を実行する。データ処理部160は、ステップC2で収集された直流電圧信号と基準電圧値との差に相当する電圧値を波高値データとして生成する、ステップC3を実行する。
まず、第2フィルタ94から出力される第1チャンネルに関する直流電圧信号95及び第2フィルタ96から出力される第2チャンネルに関する直流電圧信号97を、図7に破線で示すように第2フィルタ94及び第2フィルタ96の出力端子を初期値データ記憶部150に入力させるように接続する。
そして、初期値データ記憶部150には、予め波形モニター等で得られた光パルス信号81を構成する光パルスの波高値が望ましい値をとっている状態において第2フィルタ94または第2フィルタ96から出力される直流電圧信号の電圧値(初期電圧値)を記憶させる。この初期電圧値に全てのチャンネルの光パルスの波高値が合致するように調整することが目標である。
次に、第2フィルタ94及び第2フィルタ96から出力される直流電圧信号95及び97を、データ収集部154に入力させるように、第2フィルタ94及び第2フィルタ96の出力端子をデータ収集部154の入力端子に接続しなおす。このようにした後、逐次第2フィルタ94及び第2フィルタ96から出力される直流電圧信号95及び97を逐次直流電圧信号155及び157としてデータ処理部160に送る。そしてデータ処理部160は、第2フィルタ94及び第2フィルタ96から出力される直流電圧信号95及び97の値と、初期データ記憶部150から出力される初期電圧値151とを比較しその大小を判定し、大きな場合は正の値を、小さな場合は負の値を出力する。すなわち、データ処理部160は、直流電圧信号95及び97と、初期値データ記憶部150から供給される初期電圧値151との差をチャンネルごとに出力する。
制御部158は、基準波高値に対応する電圧値として設定される基準電圧値を初期値データ記憶部150に記憶する、ステップC1の実行を指示する。また、データ収集部154を制御して、波高値検出ステップで検出される、光パルス信号81を構成する光パルスの波高値に比例する直流電圧信号を収集する、ステップC2の実行を指示する。また、データ処理部160を制御してステップC2で収集された直流電圧信号と基準電圧値との差に相当する電圧値を波高値データとして生成する、ステップC3の実行を指示する。
第2フィルタ94及び第2フィルタ96から出力される直流電圧信号95及び97の値が初期電圧値より大きければ、初期電圧値として設定した電圧値に対応する光パルスの波高値が大きいことを意味する。また、逆に初期電圧値より小さければ、初期電圧値として設定した電圧値に対応する光パルスの波高値が小さいことを意味する。したがって、ステップC3において生成される波高値データは、光パルス信号81を構成する光パルスの波高値が基準波高値に対して小さいか大きいかを意味する信号である。そして、この波高値データからは、基準波高値に対して光パルス信号81を構成する光パルスの波高値が基準波高値に対してどの程度ずれているかを知ることができる。
以上説明した例は、2チャンネルの場合であったが、3チャンネル以上の場合であっても同様である。第2フィルタから出力される直流電圧信号が2チャンネルの場合には、チャンネル数に等しい2種類(直流電圧信号95及び97)であるが、3チャンネル以上の場合、例えば、Nチャンネルである場合には、N種類となる。N種類の第2フィルタから出力されるN種類の直流電圧信号と基準電圧値との差に相当する電圧値を波高値データとしてN種類を出力する。図7では、データ処理部160から出力されるこれらN種類の波高値データを波高値データ131として一本の線で代表して描いてある。
以上説明した波高値データ生成部の機能をまとめると次のようになる。すなわち、波高値データ生成部は、基準波高値に対応する電圧値として設定された基準電圧値と波高値検出ステップで検出された直流電圧信号との差に相当するNチャンネルごとの電圧値を波高値データとして生成する波高値データ生成ステップを実行する。
次にバイアス電圧制御部の機能について説明する。バイアス電圧制御部は、Nチャンネルごとの波高値データがそれぞれ全て互いに等しい電圧値になるように、光パルス信号を構成するNチャンネルごとの光パルスの波高値をそれぞれ制御する、波高値制御ステップを実行する部分である。
まず、波高値制御ステップを手動で行なう方法を説明する。自動化する方法については、後述する第3の実施の形態において、波高値データ生成ステップと波高値制御ステップとを一体化してコンピュータ制御により実現する方法を提示する。
伝送される光パルス信号を構成する光パルスの波高値として望ましい値が、光時分割多重伝送システムの設計上の値として決めらる。時分割多重される全てのチャンネルの光パルス信号を構成する光パルスの波高値を、この望ましい波高値に常に保つことが、光時分割多重伝送システムの運用上重要なことである。
そこで、波高値データ生成部から出力される各チャンネルの波高値データ131を読み取って、上述の望ましい波高値との比較を行なって、図5に示したVOA 72あるいは74に供給する直流バイアス電圧成分を調整する。可変光減衰器72あるいは74に供給する直流バイアス電圧成分を、それぞれ直流電圧設定回路112あるいは120を調整することで増減することができる。こうすることによって、図2(C)に示された光パルス信号の最大波高値Iに相当する、図6(E)及び図6(F)の最大波高値を増減させることができる。図6(E)及び図6(F)はそれぞれ低周波重畳光パルス信号73及び77を概略的に示している。そして、低周波変調信号119及び123によって、それぞれの光パルス信号65及び69が受ける変調強度(変調成分の大きさ)がそそれぞれIp-1及びIp-2であるとして表してある。すなわち、図6(E)及び図6(F)に、それぞれIp-1及びIp-2と示す光パルス信号の変調振幅は、図2(C)に示した光パルス信号の振幅Ipに対応する。
また、低周波信号発生器110あるいは126からの低周波信号の供給がなければ、図図6(E)及び図6(F)に示された光パルス信号はその波高値が時間的に一定である。そして、図6(D1)に示された光パルス信号の波高値I1-0及びI2-0は、それぞれ可変光減衰器72及び74に供給する直流バイアス電圧成分に依存する。この直流バイアス電圧成分は、可変光減衰器72及び74にそれぞれ直流電圧設定回路112及び120から供給される。図6(D1)に示す光パルス信号のように、その波高値I1-0及びI2-0は、互いに異なっていても、可変光減衰器72及び74に供給する直流バイアス電圧成分を、それぞれ直流電圧設定回路112及び120の設定電圧を調整することによって、図6(D2)に示す光パルス信号のように、その波高値I1-0'及びI2-0'を互いに等しくすることができる。すなわち、可変光減衰器に供給する直流バイアス電圧成分を調整することによって、光パルス信号の波高値を調整できることを意味する。
バイアス電圧制御部は、波高値制御ステップを手動で行なう場合には、光パルス波高値調整作業者が、波高値データ生成部から出力される各チャンネルの波高値データ131を読み取って、各チャンネルの直流電圧設定回路を調整することによって、各チャンネルの波高値を調整することで、その機能を代替できる。すなわち、光パルス波高値調整作業者が、Nチャンネルごとの波高値データがそれぞれ全て互いに等しい電圧値になるように、光パルス信号を構成するNチャンネルごとの光パルスの波高値をそれぞれ制御することができる。
後述する第3の実施の形態において、上述の光パルス波高値調整作業者が行なうという機能をコンピュータ制御により実現する方法を提示する。
<第3の実施の形態>
図8を参照して、光パルスの波高値の制御を自動化する方法について、波高値データ生成ステップと波高値制御ステップとを一体化してコンピュータ制御により実現する方法を説明する。
図8は、光パルスの波高値自動制御部の概略的ブロック構成図である。波高値自動制御部200は、波高値データ生成部199とバイアス電圧制御部196とを具えて構成される。波高値データ生成部199は、データ入力部186、初期値データ記憶部188と、データ収集部192と、データ処理部194とを具えている。また、データ入力部186、初期値データ記憶部188、データ収集部192、及びデータ処理部194を制御するための制御部190を具えている。
以下において行なう説明は、第1の実施の形態の第1光パルス波高値観測装置を利用することを前提として説明する。もちろん、この第3の実施の形態で提示する光パルスの波高値の制御を自動化する方法は、第1の実施の形態の第2光パルス波高値観測装置、あるいは第2の実施の形態の光パルス波高値制御装置を利用する場合にも同様に実施できる。
第3の実施の形態である光パルスの波高値自動制御方法は、以下で説明する第1工程乃至第9工程を具えている。図8及び図9を参照して、光パルスの波高値自動制御方法について説明する。図9は、光パルスの波高値自動制御方法のフローチャートである。以後の説明において、図9に示すフローチャート中の記号との対応関係が見やすいように、第1工程乃至第9工程をそれぞれステップS1乃至ステップS9と記載することとする。図9に示すフローチャート中でS1と表示してある囲み部分は第1工程に対応する内容を示している。S2乃至S9と表示してある囲み部分についても同様に、それぞれ第2工程乃至第9工程に対応する内容を示している。
ステップS1は、光パルス信号に低周波変調信号を重畳する可変光減衰器に直流バイアス電圧を供給する直流電圧設定回路に仮の電圧値を設定するステップである。可変光減衰器として利用できる素子は、熱光学効果を利用するものや光路中に遮蔽板を挿入する機械式のもの等複数あるが、ここでは、EAMを利用するものとして説明する。
可変光減衰器として利用するEAMの光損失量とバイアス電圧との関係は、EAMごとに異なる。そのため、所望の光損失量が得られるバイアス電圧を確定するために、まず直流電圧設定回路に仮の電圧値を設定して、この仮の電圧値に対する、可変光減衰器から出力される光パルス信号の波高値の関係をつかむ必要がある。ステップS1は、このために直流電圧設定回路に仮の電圧値を設定するステップである。
ステップS2は、波形モニターによって光パルス信号の波高値を観測して、この観測値が設計値の範囲内であるか否かを判定し、この波高値が設計値の範囲内でなければ上記ステップS1に戻り、波高値が設計値の範囲内であれば、直流電圧設定回路に上記の仮の電圧値を初期電圧値として設定する指示を出すステップである。このステップによって、所望の波高値を有する光パルス信号が可変光減衰器から出力されるように、可変光減衰器に供給すべき直流バイアス電圧が確定される。
ステップS1及びステップS2は、可変光減衰器を、一旦、光時分割多重装置に装着してしまえば、この光減衰器の動作特性に経時変化が発生しない限り、実行する必要がないステップである。したがって、ステップS1及びステップS2は、手動で行なえれば十分である。
上述のステップS1及びステップS2において、波形モニターによって観測された光パルス信号の波高値が設計値の範囲内であることが確かめられたら、そのときの直流電圧設定回路に供給された直流電圧値を初期電圧値として直流電圧設定回路に設定する(ステップS3)。
上記初期電圧値が直流電圧設定回路に設定された場合に、第2フィルタ182から出力信号として得られる光パルス信号に対応する直流電圧信号183を電圧出力部184に入力させる。ここで、第2フィルタ182は、図1に示す第2フィルタ32に対応する。また、直流電圧信号183は、図1に示す第2フィルタ32から出力される直流電圧信号33あるいは、図3に示す2乗平均値生成部146から出力される直流電圧信号147に対応する。
電圧出力部184には、アナログ信号/デジタル信号変換器(A/D変換器)を利用することができる。直流電圧信号183は電圧出力部184によってアナログ信号からデジタル信号に変換される。これによって以下に述べるステップS4乃至S9をコンピュータ制御によって実現できることになる。
ステップS3終了後最初の電圧出力部184の出力データであるデジタル直流電圧信号185を初期値データ記憶部188へ入力する(ステップS4)。これによって、基準波高値に対応する電圧値として基準電圧値が初期値データ記憶部に記憶される。
以上のステップS1乃至ステップS4までのステップを終了すれば、光時分割多重装置の初期設定が終了する。これ以降のステップは、光時分割多重装置が稼動中に何らかの原因で、特定のチャンネルの光パルス信号の波高値が変動した場合に、その波高値を常に設計値の範囲内に保つように制御するためのステップである。図9に示すフローチャートでは、光時分割多重装置が稼動中に、波高値を制御するステップを、ステップS3'及びステップS5乃至ステップS9で示してある。
光時分割多重装置が稼動中は、一定の時間間隔を置いて常に電圧出力部184の出力データ185をデータ収集部192に入力するように、制御部190から指示が出される(ステップS5)。すなわち、ステップS1乃至ステップS4までのステップが終了し、光時分割多重装置の初期設定終了後、電圧出力部の2番目以降の出力データをデータ収集部へ入力するステップがステップS5である。したがって、光時分割多重装置の初期設定終了後、最初にステップS5に進む場合には、ステップS3'はスキップされる。そして、その後ステップS6、ステップS7と進み、ステップS8あるいはステップS9を介してからは、ステップS3'に進むことになる。
電圧出力部184の出力データ185は、制御部190からの指示に基づき、データ入力部186からデータ収集部192に定期的に入力される。上述のステップS4において初期値データ記憶部188へ入力されている基準波高値に対応する電圧値である基準電圧値と、データ収集部192に定期的に入力される電圧値との差が、データ処理部194において計算される(ステップS6)。すなわち、ステップS6は、データ収集部に入力された電圧出力部の出力データと初期値データ記憶部へ入力された電圧出力部の出力データとの差を波高値データ195として算出してデータ処理部194から出力するステップである。初期値データ記憶部188へ入力されている基準電圧値及びデータ収集部192に定期的に入力される電圧値は、それぞれ制御部190からの指示に基づき、初期値データ記憶部188及びデータ収集部192からデータ処理部194に提供される。
データ処理部194から出力される波高値データ195は、バイアス電圧制御部196に入力されてその値が正の値であるか負の値であるかが判定される(ステップS7)。ステップS7は、バイアス電圧制御部196において実行され、その内容は波高値データの正負を判定するものである。
バイアス電圧制御部196では、次のステップS8あるいはステップS9が実行される。すなわち、波高値データが負の値であれば、可変光減衰器の光損出量が減少するように直流電圧設定回路に設定されている初期電圧値を変更させるステップ(ステップS8)及び、波高値データが正または0の値であれば、可変光減衰器の光損出量が増大するように直流電圧設定回路に設定されている初期電圧値を変更させるステップ(ステップS9)である。
上述したように、ステップS3で初期電圧値が直流電圧値設定回路に設定される。そしてステップS8あるいはステップS9でこの初期値が変更されて直流電圧値設定回路に新たな直流電圧値が再設定されることになる。そこで、図9に示すフローチャートでは、この再設定ステップをステップS3'として示してある。すなわち、上述したように、ステップS8あるいはステップS9終了後は、ステップS4より前のステップ(ステップS1乃至ステップS4)には戻ることはない。ステップS1からステップS4まで進み、次にステップS5、ステップS6及びステップS7と順次進んだ後は、ステップS8あるいはステップS9に進んで、ステップS3'へと進む。
つまり、図9に示すプログラムが開始されて、最初にステップS4が終了した時点では、直流電圧値設定回路には初期電圧値が設定されているので、直流電圧値設定回路の電圧を変更することなくそのままステップS5に進む。このときは、ステップS3'をスキップしてステップS4からステップS5に進む。しかし、ステップS8あるいはステップS9終了後は、直流電圧値設定回路の設定電圧値を初期電圧値から新たな直流電圧値に変更して再設定するステップS3'に戻る。
バイアス電圧制御部196からは、波高値データの正負及びその絶対値の大きさに応じた制御信号197が出力され、制御信号197によって直流電圧制御回路198の直流バイアス電圧値が設定される。
なお、上述の説明では必要な箇所で制御部190による制御内容を説明したが、これ以外にも、制御部190には、上述のステップS3乃至ステップS9に関する制御の状態を表示装置(図示せず。)に表示するため、ステップS3乃至ステップS9に関する情報を出力させるための制御機能を持たせることも可能である。
以上説明したように、光パルスの波高値自動制御方法によれば、波高値データが正であるか負であるかが判定されて、この波高値データが常に0に等しくなるように自動的に可変光減衰器に供給される低周波変調信号の直流バイアス成分が制御される。もちろん、システムの設計上の都合から、波高値データを0以外の定数値に設定して、この定数値に波高値データが常に等しくなるように自動的に可変光減衰器に供給される低周波変調信号の直流バイアス成分を制御する方式をとることも可能である。
上述の波高値自動制御部200を多重化されるチャンネルごとに設置すれば、各チャンネルの光パルス信号を構成する光パルスの波高値が常に初期データに対応する波高値と等しくなるように自動的に制御されるので、多重する各チャンネルの光信号を構成する光パルスの波高値が相互に常に等しくなるように自動的に制御することが可能となる。
なお、これまでの説明において、波高値データとして、基準波高値に対応する電圧値として設定する基準電圧値と波高値検出ステップで検出された直流電圧信号との差に相当する電圧値を採用した。しかし、両者の差ではなく両者の比をもって波高値データとして扱うことも可能である。波高値データとして、上記両者の差を採用するか比を採用するかは、設計事項に属する。