JP2006165434A - 表面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、太陽電池モジュールの表面保護材として、重量的、価格的に問題のあるガラス素材の代替えとして、耐熱性、耐候性、防湿性その他の要求される諸機能を満たすため樹脂フィルムを再検討して表面保護材のフィルム化を実現させた表面保護シート及びこの表面保護シートを使用した太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明は、太陽電池素子とこれを密封する表面保護層及び裏面保護層と両側のスペーサーとにより充填剤と太陽電池素子を密封する太陽電池モジュールにおいて、耐熱性、耐候性や防湿性等の諸機能を満たすため、前記太陽電池モジュールの表面保護シートとして、環状オレフィンコポリマーフィルム或いは前記環状オレフィンコポリマーフィルムの内面に、接着剤を介してPETフィルム、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを積層したことを特徴とする表面保護シート及びこれを用いた太陽電池モジュールである。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール及びこのモジュールの表面保護シートに関するもので、太陽電池モジュールの低価格化(コストダウン)、軽量化を図り、さらに太陽電池の用途、普及を広げる技術である。
従来より、太陽電池モジュールの表面保護素材としては屋外での使用を考慮し、機械的な強度面、耐候性や防湿性の付与といった面からガラス素材が使用されていることが知られている。例えば、図2に示すように、太陽電子素子(シリコン素子)を並列に配置し、表面保護のため前面にガラス素材を設置して両側をアルミ等によるスペーサーと裏面保護フィルム(例えば、PETフィルム等)により密封し、この中にエチレン酢酸ビニル共重合体等の充填剤を充填して太陽電池モジュールを形成していた。
しかし、表面保護に使用されているガラス素材は重量的に重いために使用用途が限定される等の問題がある。すなわち、フレキシブル性がない(折り曲げられない)、さらに作業性が悪い(メーカーでのモジュール生産時、及びユーザーでの製品据え付け時点)、といった問題を抱えている。また価格的にも高価で、太陽電池の普及を妨げる要因にもなっていた。
上記に対して、軽量化や低価格化の一つとしてガラス素材に変わりフィルム化する方法も検討されるが、透明性に優れるPETフィルム等ではバリア性の不足(防湿性不足)や耐候性不足(フィルム劣化)により太陽電池の出力低下が発生する等の問題があった。
そこで本発明は、太陽電池モジュールの表面保護材として、重量的、価格的に問題のあるガラス素材の代替えとして、耐熱性、耐候性、防湿性その他の要求される諸機能を満たすため樹脂フィルムを再検討して表面保護材のフィルム化を実現させた表面保護シート及びこの表面保護シートを使用した太陽電池モジュールを提供するものである。
本発明の請求項1は、太陽電池素子とこれを密封する表面保護層及び裏面保護層と両側のスペーサーとにより充填剤と太陽電池素子を密封する太陽電池モジュールにおいて、耐熱性、耐候性や防湿性等の諸機能を満たすため、前記太陽電池モジュールの表面保護シートとして、環状オレフィンコポリマーフィルムを用いたことを特徴とする太陽電池モジュールの表面保護シートである。
本発明の請求項2は、請求項1に記載の表面保護シートにおいて、前記環状オレフィンコポリマーフィルムの内面に、接着剤を介してPETフィルム、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを積層したことを特徴とする太陽電池モジュールの表面保護シートである。
本発明の請求項3は、太陽電池モジュールにおいて、表面保護シートとして環状オレフィンコポリマーフィルムの単体、或いは環状オレフィンコポリマーフィルムの内面に、接着剤を介してPETフィルム、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを積層した表面保護シートを用いた太陽電池モジュールである。
本発明の構成は、太陽電池素子とこれを密封する表面保護層及び裏面保護層と両側のスペーサーとにより充填剤と太陽電池素子を密封する太陽電池モジュールにおいて、耐熱性、耐候性や防湿性等の諸機能を満たすため、前記太陽電池モジュールの表面保護シートとして、環状オレフィンコポリマーフィルムを用いたことを特徴とする太陽電池モジュールの表面保護シートである。さらに前記環状オレフィンコポリマーフィルムの内面に、接着剤を介してPETフィルム、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを積層した表面保護シートである。上記の通り、環状オレフィンコポリマーを表面保護シートに使用することにより、重量を軽減することができ、しかもバリア性、耐候性に優れた太陽電池モジュールを得ることができた。また、コスト的にも比較的安価に製造することができる等の優れた効果を奏する。
図に基づき本発明の最良の形態を説明する。
図1は、本発明の実施例における太陽電池モジュールの一例を示すもので、(A)は、太陽電池モジュールの断面説明図であり、(B)は、単層の表面保護シートを示す断面説明図であり、(C)は、複数層の表面保護シートを示す断面説明図である。
本発明は、太陽電池モジュールの表面保護材として、重量的、価格的に問題のあるガラス素材の代替として、表面保護材のフィルム化を行ったものである。図1(A)に示すように、太陽電池モジュールの耐熱性、耐候性や防湿性等の要求される諸機能を満たすため、太陽電池モジュールにおける表面保護シートとして、単体の環状オレフィンコポリマーフィルムを用いたことを特徴とするものである。詳細に説明すると、図1(B)に示すように、先ず表面保護シート(12)の基材として、高透明で、耐熱性、耐候性や防湿性等を付与するために、環状オレフィンコポリマーフィルム(原料樹脂名、ポリプラスチック(株)製、Topas)を使用した。厚みとしては、5μmから300μmが望ましく、単体にて環状オレフィンコポリマーフィルム(5)を使用する場合は機械的強度を考慮して50μm以上が望ましい。なお、厚みが5μm以下の場合、フィルム製膜、モジュール製造が難しく、また防湿性も劣り機能を満たさない。また逆に300μm以上の場合、フィルムの価格が高くなり経済的でない。
この表面保護シート(12)は環状オレフィンコポリマー層だけでなく、図1(C)に示すように、PET(ポリエステル)やアクリルやポリカーボネートフィルム等との共押し出し等による積層フィルムも使用できる。すなわち、経済的に優れ、かつ機械的強度を向上させるために積層構成にて使用することができる。この場合、耐候性、防湿性は環状オレフィンコポリマーフィルム(5)にて付与することができるので、樹脂フィルム(7)には太陽光を透過させて太陽電池の発電効率を低下させない高透明なフィルムが要求されるので、ポリエチレンテレフタレートフィルムやアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルムが望ましい。また、これらのフィルムに蒸着を施した無機化合物蒸着フィルム(例、凸版印刷(株)製、GLフィルム)を使用することにより、さらに高い防湿性を付与することが可能となる。なお、厚みとしては5から300μmが良い。前述したとおり、この場合も厚みが5μm以下の厚みが薄いと機械的強度が不足し、また逆に300μm以上の場合、フィルムの価格が高くなり経済的でない。
上記に基づき、本発明は重量的、価格的に問題のあるガラス素材の代替として、表面保護材のフィルム化を図るために各々具体的実施例により試験用太陽電池モジュールを作成して比較を行った。
環状オレフィンコポリマーフィルム100μmの単層を表面保護シートとした。この保護シートを用いて、図1に示すように、厚さ200μmの紫外線吸収剤入りのエチレン酢酸ビニルフィルムを充填剤とし充填し、次いで太陽電池を配置し、さらに80μmの紫外線吸収剤入りのエチレン酢酸ビニルフィルムを積層し、裏面保護シートを重ね合わせ、150℃−30分−1torrの真空加熱によりラミネートして試験用太陽電池モジュールとした。
厚さ12μの無機化合物蒸着フィルム(凸版印刷製GL−AEHフィルム)にウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製、主剤タケラックA511/硬化剤A50=10/1)を塗布量5g/m2 に塗布し、厚さ75μmの環状オレフィンコポリマーフィルムを貼り合わせ、表面保護シートとした。この保護シートを用いて、実施例1と同様にして試験用太陽電池モジュールとした。
厚さ4mmのガラス板を表面保護材とした。これを用いて、実施例1と同様にして試験用太陽電池モジュールとした。
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製、S10)厚さ125μmの単体を表面保護シートとした。この保護シートを用いて、実施例1と同様にして試験用太陽電池モジュールとした。
厚さ12μの無機化合物蒸着フィルム(凸版印刷製GL−AEHフィルム)の蒸着面にウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製、主剤タケラックA511/硬化剤A50=10/1)を塗布量5g/m2 に塗布し、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製、S10)を貼り合わせ、表面保護シートとした。この保護シートを用いて、実施例1と同様にして試験用太陽電池モジュールとした。
以上の実施例1から実施例5の試験用太陽電池モジュールの物性比較を表1に示す。この評価方法は、重量:表面保護材の1m×1m(1m2 )の重さの測定。
防湿性:JIS K7129に準ず(40℃−90%RH)。
耐候性:表面保護材を85℃−90%RH環境下で3000時間保存後の
外観、物性劣化の度合い。
出力試験:太陽電池モジュールを85℃−90%RH環境下で500時間
保存後の電池の出力試験。
コスト:ガラス素材の価格を100とした場合の割合。
Figure 2006165434
結果は表1に示す通り、環状オレフィンコポリマーを表面保護シートに使用することにより重量が軽く、バリア性・耐候性に優れた太陽電池モジュールを得ることができた。また、コスト的にも比較的安価に作成することが可能となった。
本発明の実施例における太陽電池モジュールの一例を示すもので、(A)は、太陽電池モジュールの断面説明図であり、(B)は、単層の表面保護シートを示す断面説明図であり、(C)は、複数層の表面保護シートを示す断面説明図である。 従来における前面にガラス素材を用いた太陽電池モジュールの構成説明図である。
符号の説明
12……表面保護シートフィルム
13……スペーサー
14……充填剤
15……太陽電池素子(シリコン素子)
17……裏面保護フィルム
21……ガラス素材
5……環状オレフィンコポリマーフィルム
6……接着剤層
7……樹脂フィルム

Claims (3)

  1. 太陽電池素子とこれを密封する表面保護層及び裏面保護層と両側のスペーサーとにより、充填剤と太陽電池素子とを密封する太陽電池モジュールにおいて、耐熱性、耐候性や防湿性等の諸機能を満たすため、前記太陽電池モジュールにおける表面保護シートとして、環状オレフィンコポリマーフィルムを用いたことを特徴とする表面保護シート。
  2. 前記環状オレフィンコポリマーフィルムの内面に、接着剤を介してPETフィルム、アクリル、ポリカーボネート等の樹脂フィルムを積層したことを特徴とする請求項1に記載の表面保護シート。
  3. 太陽電池モジュールにおいて、表面保護シートとして環状オレフィンコポリマーフィルムの単体、或いは環状オレフィンコポリマーフィルムの内面に、接着剤を介してPETフィルム、アクリル、ポリカーボネート等を積層した樹脂フィルムによる表面保護シートを用いた太陽電池モジュール。
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