JP2006163113A - 画像形成装置用導電性弾性部材、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抵抗値の環境変動や通電変動が小さく、均一な抵抗値を安定的に得ることができる画像形成装置用の導電性弾性部材、及び該導電性弾性部材を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 イソシアナート成分とポリマーポリオール成分とを反応硬化させたポリウレタンに導電剤を添加配合して導電性を付与した弾性材料を主体としてなる画像形成装置用導電性弾性部材であって、上記ポリマーポリオール中のオリゴマー含有率が5%以下であることを特徴とする画像形成装置用導電性弾性部材を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機やプリンターなどの画像形成装置において、帯電、現像、転写、中間転写、トナー供給、クリーニングなどを行うための導電性弾性部材に関し、特にカラー画像を形成する際に感光ドラムからトナー像を自己の表面に一旦転写保持し、これを記録媒体へと転写する転写部材として好適に用いられる導電性弾性部材に関する。
従来から、複写機、プリンター等のOA機器には、帯電、現像、転写、中間転写、トナー層形成、トナー搬送、トナー攪拌、クリーニング、定着、紙搬送等を行うためのベルト、ローラ、ドラム、ブレード等の部材が使用されている。
これらの部材は、多くの場合、軟らかさが要求され、ゴム状弾性体やフォーム体を主体として形成される。また、適度な導電性が要求される用途では、導電剤の添加により弾性体やフォーム体に導電性を付与して用いられる。
ここで、上記ゴム状弾性体やフォーム体を構成する材料としては、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム等の固形ゴム加硫物や、ポリオールをイソシアナートにより硬化させたポリウレタンなどが用いられている。また、上記導電剤としてはカーボンブラック、金属酸化物等の電子導電剤や、アルカリ金属、アルカリ土類金属、第4級アンモニウム塩の塩化物、過塩素酸化物、ホウフッ化物、アルキル硫酸化物、カルボン酸化物等のイオン導電剤が用いられている(特許文献1:特開2000−26719号公報)。
この場合、画像形成装置用導電性弾性部材には、抵抗値が所定値でバラツキなく安定していることが要求されるが、導電剤として電子導電剤を用いた場合、低抵抗化が比較的容易であるが、抵抗値のバラツキが生じやすく、連続通電により抵抗値が上昇し易い欠点がある。一方、イオン導電剤は、バラツキの無い均一な抵抗値を有する弾性体やフォーム体を得ることができ、連続通電による抵抗値の上昇も少ないが、温度/湿度環境の変動による抵抗値の変動幅が大きく、この場合環境変動幅を小さくしようとすると通電上昇が悪化する傾向がある。また、イオン導電剤は低抵抗化が難しく、低抵抗を得ようとすると通電上昇が悪くなってしまうのが現状である。
特開2000−26719号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、抵抗値の環境変動や通電変動が小さく、均一な抵抗値を安定的に得ることができる画像形成装置用の導電性弾性部材、及び該導電性弾性部材を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、イソシアナート成分とポリマーポリオール成分とを反応硬化させたポリウレタンに導電剤を添加配合して転写部材等の画像形成装置用導電性弾性部材を得る場合に、上記ポリマーポリオール中のオリゴマー含有率を5%以下に低減化することにより、電気抵抗の環境変動特性、通電変動特性に優れた導電性弾性部材を得ることができ、特に導電剤としてイオン導電剤を用いた場合に、これら変動特性に優れ、かつ抵抗値の均一性に優れ、良好な性能を安定的に発揮し得る導電性弾性部材が得られ、高度な抵抗安定性が求められる転写部材にも良好に対応し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
従って、本発明は、イソシアナート成分とポリマーポリオール成分とを反応硬化させたポリウレタンに導電剤を添加配合して導電性を付与した弾性材料を主体としてなる画像形成装置用導電性弾性部材であって、上記ポリマーポリオール中のオリゴマー含有率が5%以下であることを特徴とする画像形成装置用導電性弾性部材、及び
感光ドラムに形成されたトナー像を記録媒体へと転写して記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記転写操作を行う転写部材として上記本発明の導電性弾性部材を用いたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
また、本発明は好適な実施態様として、導電材剤がイオン導電剤である上記導電性弾性部材、及び、該導電性弾性部材を転写部材として用いた上記画像形成装置を提供するものである。
本発明の導電性弾性部材によれば、抵抗値の環境変動や通電変動が小さく、均一な抵抗値を安定的に得ることができ、良好な性能を安定的に発揮し得る。従って、この導電性弾性部材を中間転写部材として用いた本発明の画像形成装置は、良好な画像を安定的に得ることができるものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の画像形成装置用導電性弾性部材は、上記のように、イソシアナート成分とオリゴマー含有率が5%以下のポリマーポリオール成分とを反応硬化させたポリウレタンに導電剤を添加配合して導電性を付与した弾性材料を主体とするものである。
ここで、上記ポリマーポリオールとしては、アクリロニトリル、スチレン又はこれらの両方をポリオールにグラフト重合したアクリロニトリル/スチレン系ポリマーポリオールが好ましく用いられ、特にアクリロニトリル又はアクリロニトリルとスチレンとをグラフト重合したアクリロニトリル系ポリマーポリオールが好適である。
アクリロニトリル及び/又はスチレンをグラフト重合させるポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが耐湿性等の点から好ましく、特にエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールが好適に用いられる。この場合、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールの付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率は、特に制限されるものではないが、エチレンオキサイドの比率が5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%であり、エチレンオキサイドの比率が高すぎると環境による抵抗値の変動幅が大きくなりやすい。更に、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましく用いられる。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの配列は、ランダムであるのが好ましい。このポリエーテルポリオールの分子量は、特に制限されるものではないが、3官能の場合は重量平均分子量で2000〜7000、特に3000〜5000の範囲のものが好ましい。
また、ポリエーテルポリオール等のポリオール成分とアクリロニトリルやスチレン等のポリマー成分との比率は、特に制限されるものではないが、ポリオール:ポリマー=95:5〜40:60(質量比)、特に80:20〜50:50であることが好ましい。この場合、ポリマーの比率が高すぎると、粘度が高くなりすぎて量産性に劣る弾性材料となってしまう場合があり、逆に低すぎると、一般的なポリエーテルポリオールと同等の特性となってしまう場合がある。
本発明では、これらポリマーポリオールでかつオリゴマー含有量が5質量%以下、好ましくは4質量%以下のものが用いられる。この場合、オリゴマー含有量が5質量%を超えると連続通電時の抵抗上昇が大きくなる傾向があり、また接触する相手部材を汚染させやすくなり、感光ドラムに常時接触した状態で使用される中間転写部材などには不適なものとなりやすい。
本発明では、上記ポリマーポリオールと共に他のポリオール成分を併用することもできる。他のポリオール成分としては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが挙げられ、ポリエーテルポリオールとしてはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールが例示される。この場合、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールは、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコジット、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質としてエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができる。
また、他のポリオール成分として、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを含むこともできる。ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えばテトラヒドロフランのカチオン重合によって得られ、重量平均分子量が1000〜3000の範囲のものが好ましく、特に1000〜2000の範囲のものが好ましい。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることもできる。更に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。また更に、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと上記エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることもできる。
また、上記ポリオール成分とともに、本発明の目的が損なわれない範囲で、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、アジピン酸等の酸成分とエチレングリコール等のグリコール成分を縮合して得られるポリエステルポリオール、ε一カプロラクタムを開環重合して得られるポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンなどのポリオール類やそれらの誘導体を併用することもできる。
次に、上記ポリマーポリオールと反応させるイソシアナートとしては、特に制限はなく、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート又はそれらの誘導体などの公知のイソシアナートを用いることができる。より具体的には、トリレンジイソシアナート又はその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアナート,2,4−トリレンジイソシアナート,2,6−トリレンジイソシアナート,2,4−トリレンジイソシアナートと2,6−トリレンジイソシアナートの混合物、それらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボシイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアナート又はその誘導体としては、ジアミノジフェニルメタン又はその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアナートが挙げられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体があり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアナート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアナートが例示される。またこれらのジフェニルメタンジイソシアナート又はその誘導体を変性して得られた誘導体、例えばポリオール等で変性したウレタン変性物,ウレチジオン形成による二量体,イソシアヌレート変性物,カルボシイミド/ウレトンイミン変性物,アロハネート変性物,ウレア変性物,ビュレット変性物等も用いることができ、これらの中ではウレタン変性物,カルボシイミド/ウレトンイミン変性物が好ましく用いられる。
これらのイソシアナートは、トリレンジイソシアナート又はその誘導体,ジフェニルメタンジイソシアナート又はその誘導体を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ヘキサメチレンジイソシアナート等の各種脂肪族イソシアナートやイソホロンジイソシアナート等の脂環族イソシアナート又はそれらの誘導体を併用することもできる。上記イソシアネートの配合量は、上記ポリオール成分の官能基数などに応じて適宜設定され、に制限されるものではないが、通常はNCO Indexで100〜120、特に105〜115とすることが好ましく、NCO Indexが低すぎると、硬度が低くなり過ぎて、製品毎の目標硬度が得られない場合があり、一方NCO Indexが高すぎると硬度が高くなりすぎて、同じく製品毎の目標硬度が得られない場合がある。
次に、導電剤としては、オイルファーネスブラック、サーマルブラック,チャンネルブラック,ランプブラック等のカーボンブラック、導電性金属酸化物などの電子導電物質を用いることもできるが、均一な導電性が得られ、かつ本発明の効果が顕著であることからイオン導電性物質を用いることが好ましい。イオン導電性物質としては、テトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム,ドデシルトリメチルアンモニウム(例えばラウリルトリメチルアンモニウム),へキサデシルトリメチルアンモニウム,オクタデシルトリメチルアンモニウム(例えばステアリルトリメチルアンモニウム),ベンジルトリメチルアンモニウム,変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム,ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩、リチウム,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属等の、過塩素酸塩,塩素酸塩,塩酸塩,臭素酸塩,ヨウ素酸塩,ホウフッ化水素酸塩,硫酸塩,アルキル硫酸塩,カルボン酸塩,スルホン酸塩,トリフルオロメチル硫酸塩などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。これらの中では、アルキル硫酸の第4級アンモニウム塩や多塩基カルボン酸の第4級アンモニウム塩が好ましく、アミド結合を有する第4級アンモニウムのアルキル硫酸塩が特に好ましい。
導電剤の配合量は、用途等により求められる導電性に応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、通常イオン導電性物質の場合、ポリウレタン材料100質量部に対して0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜2質量部とすることが特に好ましい。なお、カーボンブラック等の電子電性物質を用いる場合の配合量は、通常ポリウレタン材料100質量部に対して1〜40質量部とすることができる。
本発明では、上記導電剤を含むポリウレタン材料にこれを良好に硬化させるための硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、トリエチルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン,テトラメチルプロパンジアミン,テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン,ペンタメチルジプロピレントリアミン,テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン,ジメチルピペラジン,メチルエチルピペラジン,メチルモルホリン,ジメチルアミノエチルモルホリン,ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール,ジメチルアミノエトキシエタノール,トリメチルアミノエチルエタノールアミン,メチルヒドロキシエチルピペラジン,ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル,エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫マーカプチド,ジブチル錫チオカルボキシレート,ジブチル錫ジマレエート,ジオクチル錫マーカプチド,ジオクチル錫チオカルボキシレート,フェニル水銀プロピオン酸塩,オクテン酸鉛等の有機金属化合物などが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができ、これらの中では有機錫触媒が特に好ましく用いられる。
本発明の導電性弾性部材を構成する上記ポリウレタン材料は、用途に応じてエラストマーであってもフォーム体であってもよいが、フォーム状のものとする場合には、フォーム材のセルを安定させるためにポリウレタン組成物に各種界面活性剤やシリコーン整泡剤を配合することが好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分からなるものが好ましく用いられる。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく用いられ、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤,アニオン性界面活性剤,両性界面活性剤等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル,各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリウレタン材料100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましく、2〜4質量部とすることがさらに好ましい。
更に、上記ポリウレタン材料には、各種充填材、着色顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの公知の添加物を必要に応じて適量配合することができる。
本発明の導電性弾性部材を構成する上記ポリウレタン組成物からなる弾性材料は、上記のようにエラストマーであってもよいが、通常はフォーム体とすることが本発明の効果が顕著であり好ましい。この場合の発泡方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば水、有機溶剤、各種代替フロン等の発泡剤による方法、機械的な攪拌により気泡を混入する方法などを用いることができる。また、発泡倍率や嵩密度などは、用途に応じて適宜設定すればよく、特に制限されるものではないが、通常、発泡倍率は最大セル径で80〜200μm、特に80〜120μm、嵩密度は0.1〜1g/mL、特に0.2〜0.6g/mL程度であることが好ましい。
部材を製造する際の配合及び加熱硬化は、上記ポリオール成分、イソシアナート成分、導電剤、反応触媒及び所望により用いられる各種添加成分を混合撹絆し、必要に応じて上記方法により気泡を混入させ、所定のモールド等に注型するか又はブロック状に自由発泡させるなどの操作を行った後、加熱硬化させる方法が好ましく用いられる。また、予め、ポリオール成分とイソシアナート成分とを反応させてイソシアナート基を有するプレポリマーを調製し、これをエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンや分子量400〜5000程度のポリオールなどの鎖延長剤を用いて硬化させるプレポリマー法も用いることができる。
本発明の導電性弾性部材は、上記ポリウレタン組成物からなる弾性材料を主体とするものであり、ローラ状、ベルト状、ブレード状、ドラム状等の種々の形態に成形され、複写機やプリンターなどの画像形成装置の帯電部材、現像部材、転写部材、中間転写部材、トナー供給部材、クリーニング部材などとして用いられるものであるが、特にローラ状の転写部材として特に好適である。
本発明の導電性弾性部材を転写部材として用いた具体例を例示すれば、図1に示した画像形成装置を例示することができる。即ち、図1中、1はドラム状の感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光体1は、一次帯電器2によって帯電され、次いで画像露光3により露光部分の帯電が消去されて静電潜像がこの感光体1上に形成され、更に静電潜像が現像器現像され、トナー画像が感光体1上に形成される。そして、上記トナー画像が形成された感光体1に転写ローラ(転写部材)25が当接し、そのニップ部に給紙カセット9から紙等の記録媒体24が給送され、これと同時に二次転写バイアスが転写ローラ25に印加され、トナー画像が感光体1から記録媒体24に転写され、更にこの記録媒体24は定着器15へ導入されて記録媒体24上のトナー画像が加熱定着され、最終画像となる。そして、トナー画像を記録媒体24へと転写した後の感光体1は、表面の転写残留トナーがクリーニングブレード14により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
本発明の導電性弾性部材は、このようなローラ状の上記転写部材25として好適に用いられるものである。このように、ローラ状の部材とする場合、通常は金属製の芯金の周囲に上記ポリウレタン組成物からなるポリウレタン弾性材を形成してローラ状に形成される。この場合、芯金の周囲にポリウレタン弾性材を形成する方法としては、芯金を予めモールド内部に配設しておきポリウレタン原料を注型硬化する方法や、ポリウレタン弾性材を所定の形状に成型した後接着する方法を用いることができる。いずれの場合も、必要に応じて芯金とポリウレタン弾性材との間に接着層を設けることができ、導電性塗料からなる接着剤やホットメルトシート等を用いることができる。本発明のポリウレタン部材の成型方法は、既に述べた所定の形状のモールドに注型する方法の他、ブロックから切削加工により所定の寸法に切り出す方法、研磨処理により所定の寸法にする方法、あるいはこれらの方法を適宜組み合わせる方法などを用いることができる。
また、本発明の導電性弾性部材は、非汚染性に優れ、感光ドラムなどに長時間密着した状態が続いても感光ドラムなどの相手部材を汚染することはなく、通常は汚染防止を目的とした表皮層の形成は必要ないが、その用途等に応じて上記ポリウレタン組成物からなるポリウレタン弾性材の表面に表皮層を形成することもできる。更に、本発明の導電性弾性部材は、上記ポリウレタン組成物からなる弾性体を主体としていればよく、その用途や形状等に応じて適宜な芯材を用いるなど、公知の構成を付加することは差し支えない。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
表1に示した成分を機械攪拌により発泡させながら混合し、この混合物を直径6mmの金属製シャフトを中心に配置したモールド内に注型し、90℃で3時間加熱硬化させ、直径16.5mm、長さ215mmのウレタフォームローラを得た。得られた各ローラのウレタンフォームの密度は同表に示した通りである。なお、同表に示された各成分の詳細は下記の通りであり、また表中の配合量は重量部である。
[ポリオール]
POP A
官能基数が3、重量平均分子量3000のポリエーテルポリオールにアクリロニトリルとスチレンとをポリマー成分としてグラフト重合したポリマーポリオールであり、ポリエーテルポリオール(PPG)とポリマー成分との比率が質量比でPPG:ポリマー=50:50、アクリロニトリル(AN)とスチレン(ST)との比率が質量比でAN:ST=2:1であるポリマーポリオール。オリゴマー含有率は4質量%
POP B
PPG:ポリマーが65:35であり、重量平均分子量が5000であること以外はPOP Aと同様のポリマーポリオール。オリゴマー含有率は4質量%
POP C
PPG:ポリマーが80:20であり、ポリマー成分がアクリロニトリルのみであること、更に重量平均分子量が5000であること以外はPOP Aと同様のポリマーポリオール。オリゴマー含有率は5質量%
POP D
オリゴマー含有率が7質量%であること以外は、POP Cと同様のポリマーポリオール。
PPG
グリセリンにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドをランダムに付加した、官能基数が3、重量平均分子量5000のポリエーテルポリオール。
高EO含有PPG
プロピレンオキサイド(PO):エチレンオキサイド(EO)比率が質量比でPO:EO=50:50であるEO含有率の高いポリエーテルポリオール。
[整泡剤]
シリコーン整泡剤
ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物でOH価が32mgKOH/gであるシリコーン整泡剤。
[顔料]
黒色着色料
黒色顔料をポリオールに分散させてなるOH価45mgKOH/gの黒色着色料。
[触媒]
ジブチル錫ジラウレート。
[イオン導電剤]
エチル硫酸変性脂肪族ジエチル。
20重量%濃度の過塩素酸ナトリウム/1,4−ブタンジオール溶液
[イソシアナート]
変性MDI
ジフェニルメタンジイソシアナートと、ウレタン変性ジフェニルメタンジイソシアナートと、カルボシイミド変性ジフェニルメタンジイソシアナートの混合物であり、イソシアナート含有率は26.3質量%。
得られた各ローラにつき、下記方法により環境変化による抵抗値の変動幅(環境変動幅)、連続通電による抵抗値の上昇(通電上昇)、感光体への汚染性(感光体汚染)を評価した。結果を表1に示す。
[環境変動幅]
L/L環境(10℃、15%RH)、N/N環境(22℃、55%RH)、H/H環境(28℃、85%RH)の各環境下で、シャフト/ローラ表面間に10μAの電流を通電して抵抗値を測定し、測定した抵抗値を対数換算した上で最大値と最小値との差を変動幅とした。なお、各ローラは、製造時の導電剤配合によりN/N環境(22℃、55%RH)下で約107.9Ωの抵抗値を示すように調製されている。
[通電上昇]
ローラを30rpmで回転するφ30mmのアルミニウムドラム上で従動回転させながら、10μAの電流を50時間連続通電し、初期の抵抗値と50時間後の抵抗値を対数換算し、その差を通電上昇値とした。
[感光体汚染]
エプソン社製「LP−7700」用のカートリッジに搭載された感光ドラムにローラを500gの荷重で圧接して50℃、85%RHの環境下に1週間放置した後、感光ドラムを再びカートリッジ内に戻して、25%クレーを印字してローラ圧接部で画像異常(白抜け、濃度低下など)が生じているか否かを調べ、異常があれば×、無ければ○として評価した。
Figure 2006163113
表1に示されているように、オリゴマー含有率5%以下のポリマーポリオールを用いて調製した本発明のウレタンローラは、抵抗値の環境変動や通電変動が小さく、均一な抵抗値を安定的に得ることができ、良好な性能を安定的に発揮し得る上、感光体汚染などの不都合を生じることもなく、画像形成装置用導電性弾性部材として好適に用いられるものであることが確認された。
本発明の転写部材を用いた画像形成装置の一例を示す該略図である。
符号の説明
1 感光ドラム
14 クリーニングブレード
15 定着器
2 帯電器
24 記録媒体
25 転写ローラ
4 現像器

Claims (6)

  1. イソシアナート成分とポリマーポリオール成分とを反応硬化させたポリウレタンに導電剤を添加配合して導電性を付与した弾性材料を主体としてなる画像形成装置用導電性弾性部材であって、
    上記ポリマーポリオール中のオリゴマー含有率が5%以下であることを特徴とする画像形成装置用導電性弾性部材。
  2. 上記ポリマーポリオール中のポリオール:ポリマー比(質量比)が95:5〜40:60である請求項1記載の画像形成装置用導電性弾性部材。
  3. 上記ポリマーポリオールが、アクリロニトリル、スチレン又はこれらの両方をポリオールにグラフト重合したアクリルニトリル/スチレン系ポリマーポリオールである請求項1又は2記載の画像形成装置用導電性弾性部材。
  4. 上記導電剤がイオン導電剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置用導電性弾性部材。
  5. 感光ドラムからトナー像を記録媒体へと転写する転写部材である請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置用導電性弾性部材。
  6. 感光ドラムに形成されたトナー像を記録媒体へと転写して記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、前記転写操作を行う転写部材として請求項5記載の導電性弾性部材を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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