JP2006162479A - タイヤ空気圧監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速走行時やタイヤを別のタイヤに交換した場合でのタイヤ空気圧低下を精度よく素早く検知することができ、更に4つのタイヤが同時に空気圧低下した場合でもタイヤ空気圧の低下を精度よく素早く検知することができるタイヤ空気圧監視装置を提供する。
【解決手段】 各車輪速センサVSから出力される検出信号から算出した車輪速と車体速とから輪径比を算出して、この算出した輪径比に基づいて各車輪Wのタイヤ空気圧を監視する第1タイヤ空気圧監視装置2と、各車輪速センサVSから出力される検出信号から算出した、現在走行時の速度域に対応する各車輪Wの振動周波数基準スペクトルと、現在走行時の振動周波数現在スペクトルのパターンの比較結果に基づいて各車輪Wのタイヤ空気圧を監視する第2タイヤ空気圧監視装置3を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載されるタイヤ空気圧監視装置に係り、詳しくは走行時におけるタイヤの空気圧低下を間接的に監視するタイヤ空気圧監視装置に関する。
車輪のタイヤ空気圧の低下を、各車輪に取付けた空気圧センサで直接検知する方法ではなく、走行時におけるタイヤ空気圧の低下を、タイヤ空気圧が低下したときにタイヤ径が変化する(短くなる)ことを利用して間接的に検知する方法が知られている。
例えば、空気圧の低い車輪ほどその径が小さくなって速く回転することに着目して、各車輪に設けたABS(アンチスキッドブレーキシステム)等に用いる車輪速センサで検出される車輪の回転角速度から、4輪車両の4つのタイヤのうちの対角線上にある一対のタイヤの回転角速度の和と他の一対のタイヤの回転角速度の和との比を求めて、タイヤ空気圧の低下を検知する装置(例えば、特許文献1参照)や、タイヤ振動周波数スペクトルのピーク値が車両の速度域に応じて、ROM等に記憶されている正常空気圧時の値に対して低下あるいはシフト(周波数軸上での移動)することからタイヤ空気圧の低下を検知する装置(例えば、特許文献2参照)等が知られている。
特開平6−92114号公報(請求項1、段落番号[0048]〜[0053]等) 特許第2836652号公報(請求項1,4、図4等)
ところで、前記特許文献1の検知装置では、前記したように4輪車両の4つのタイヤのうちの対角線上にある一対のタイヤの回転角速度の和と他の一対のタイヤの回転角速度の和との比からタイヤ空気圧低下を検知することにより、4つのタイヤのうちの、1つのタイヤのみあるいは3つのタイヤ同時の空気圧低下は検知できるものの、2つのタイヤ同時や4つのタイヤ同時の空気圧低下は検知することができなかった。
さらに、前記特許文献1の検知装置では、タイヤ空気圧の低下を応答性よく素早く検知することができるが、車両の走行速度が速くなるにつれて遠心力でタイヤの動荷重半径(DLR)が増大することにより、高速走行時(例えば、120km/h程度以上)ではタイヤ空気圧の低下を精度よく検知することが難しかった。
また、前記特許文献2の検知装置では、4つのタイヤ同時の空気圧低下は検知することができるが、タイヤの特性や径が製造バラツキや銘柄等によって多少異なることにより、別の銘柄等のタイヤに交換した場合などには、タイヤ空気圧の低下を精度よく検知することが難しかった。さらに、前記特許文献2の検知装置では、タイヤ振動周波数スペクトルを得るには一定の走行時間(走行距離)が必要なので、タイヤ空気圧の低下を素早く検知できなかった。
そこで、本発明は、高速走行時やタイヤを別のタイヤに交換した場合でもタイヤ空気圧の低下を精度よく素早く検知することができ、さらに4つのタイヤが同時に空気圧低下した場合でもタイヤ空気圧の低下を精度よく素早く検知することができるタイヤ空気圧監視装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、車両の各車輪の路面状態に起因する振動をそれぞれ検出する前記車輪ごとに設けた車輪振動検出手段と、前記各車輪振動検知手段で検出した検出値をそれぞれ入力し、前記各車輪の前輪側および後輪側について前記検出値の変化のパターンをタイヤ固有の影響を除去してそれぞれ特徴抽出し、この特徴抽出した検出値の変化のパターンを前記各車輪の前輪側と後輪側とでパターンマッチングし、一致したパターンの時間差を求め、このように求めた時間差と予め記憶している基準長さとから、タイヤ空気圧に依存しない車体速を算出する車体速算出手段と、前記各車輪のタイヤ空気圧の変化に依存して変化する車輪速をそれぞれ算出する車輪速算出手段と、算出された前記車体速と前記車輪速とから前記各車輪の車輪径の変化度合いを演算し、この演算結果に基づいて前記各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定する第1空気圧低下判定手段と、を備えた第1タイヤ空気圧監視手段と、前記車輪振動検出手段で検出した検出値に所定の変換処理を行い、走行時に発生する前記各車輪の振動の周波数とその周波数のゲインとからなる振動周波数スペクトルデータを作成する振動周波数スペクトルデータ作成手段と、前記各車輪のタイヤ空気圧が正常値にあるときの基準となる振動周波数スペクトルデータを、振動周波数基準スペクトルデータとして測定された前記車体速または前記車輪速と対応つけて複数記憶する振動周波数基準スペクトルデータ記憶手段と、測定された現在の車輪速または車体速に基づいて、前記振動周波数基準スペクトルデータ記憶手段から振動周波数基準スペクトルデータを読み出すとともに、この読み出した振動周波数基準スペクトルデータのパターンと前記振動周波数スペクトルデータ作成手段により作成した現在の振動周波数スペクトルデータのパターンとを比較し、その比較結果に基づいて前記各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定する第2空気圧低下判定手段と、を備えた第2タイヤ空気圧監視手段とを有し、前記第1タイヤ空気圧監視手段と前記第2タイヤ空気圧監視手段とで同時に前記各車輪のタイヤ空気圧を監視することを特徴としている。
請求項1の発明によれば、第1タイヤ空気圧監視手段では、タイヤ空気圧の変化に応じて変化する各車輪の車輪速と、タイヤ空気圧の変化に依存しない車体速とから各車輪の車輪径の変化度合いを演算し、この演算結果に基づいて各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定することにより、4つの車輪のタイヤ空気圧が同時に低下した場合でも素早く検知することができ、また、第2タイヤ空気圧監視手段では、タイヤ空気圧が低下すると路面との接地面積が広くなること、接地面積が広くなると外乱の影響が大きくなり振動周波数スペクトルがブロードになることを利用して、タイヤ空気圧の低下がなく接地面積が狭い正常な状態での振動周波数スペクトル(振動周波数基準スペクトルデータ)と、現在走行しているときの振動周波数スペクトル(振動周波数現在スペクトルデータ)のパターンを比較することにより、高速走行時(例えば、120km/h程度以上)に遠心力によってタイヤの動荷重半径(DLR)が増大した場合でも、その影響を受けることなく、タイヤ空気圧の低下を精度よく検知できる。
また、請求項2に係る発明は、前記第1タイヤ空気圧監視手段および前記第2タイヤ空気圧監視手段の少なくとも一方が、前記各車輪のいずれかのタイヤ空気圧が低下したと判定すると、空気圧低下警報を報知することを特徴としている。
請求項2の発明によれば、第1タイヤ空気圧監視手段と第2タイヤ空気圧監視手段の少なくともどちらか一方が、タイヤ空気圧が低下したと判定すると、空気圧低下警報を報知することにより、タイヤ空気圧が低下したことをより素早く運転者に知らせることができる。
請求項1に記載の発明によれば、第1タイヤ空気圧監視手段と第2タイヤ空気圧監視手段とで同時に各タイヤの空気圧を監視するこができるので、高速走行時やタイヤを別のタイヤに交換した場合でも、タイヤ空気圧低下を精度よく素早く検知することができ、更に4つの車輪のタイヤ空気圧が同時に低下した場合でも精度よく素早く検知することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、第1タイヤ空気圧監視手段と第2タイヤ空気圧監視手段の少なくともどちらか一方が、タイヤ空気圧が低下したと判定すると空気圧低下警報を報知することにより、タイヤ空気圧の低下を直ぐに運転者に知らせることができる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るタイヤ空気圧監視装置を示す概略構成図である。なお、本実施形態では、車両(自動車)のハブに装着されるホイールとこのホイールに取付けたタイヤとを車輪と称し、前記タイヤ空気圧監視装置でタイヤの空気圧の低下を監視するものである。
図1に示すように、この車両Cの4つの車輪W(左前輪Wfl,右前輪Wfr,左後輪Wrl,右後輪Wrr)には、車輪速を検出する車輪速センサVS(左前輪車輪速センサVSfl,右前輪車輪速センサVSfr,左後輪車輪速センサVSrl,右後輪車輪速センサVSrr)がそれぞれ設けられている。車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)は、例えば、ホール素子等を用いて車輪速度パルスを生成する公知のホイールセンサであり、それぞれ対応する各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の車輪速V(左前輪車輪速Vfl,右前輪車輪速Vfr,左後輪車輪速Vrl,右後輪車輪速Vrr)に応じた検出信号を出力する。なお、本実施形態において、符号に添えられるfl,fr,rl,rrの添字は、flが左前輪側、frが右前輪側、rlが左後輪側、rrが右後輪側であることを示す。
車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)は、ABS(アンチスキッドブレーキシステム)等を搭載した車両には設置されており、本実施形態では、ABS等の制御に用いる前記車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)を車輪振動検出手段として用いている。
タイヤ空気圧監視装置1は、第1タイヤ空気圧監視装置2と第2タイヤ空気圧監視装置3を備えており、第1タイヤ空気圧監視装置2と第2タイヤ空気圧監視装置3の少なくともどちらか一方でタイヤ空気圧の低下を検知すると、タイヤ空気圧低下を報知するように構成されている。
[第1タイヤ空気圧監視装置]
図2は、第1タイヤ空気圧監視装置2の構成を示すブロック図である。同図に示すように、第1タイヤ空気圧監視装置2は、前記各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)と第1制御部(ECU)2aと空気圧警告灯15を備えており、第1制御部(ECU)2aは、安定判別演算部4、積算演算部5、平均車輪速演算部6、輪径比演算部7、平均輪径比演算部8、空気圧低下判定部9、重み演算部10、および車体速演算部11を有している。前記各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)と空気圧警告灯15は、後記する第2タイヤ空気圧監視装置3と兼用で使用される。また、車体速演算部11は、車輪速履歴保存部12、相互相関関数演算部13、および絶対車体速演算部14を有している。なお、第1制御部(ECU)2a、不図示のCPUやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース等から構成されている。
安定判別演算部4は、車両Cの走行状態を判別し、走行状態が安定しているときに各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)でそれぞれ検出された各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に応じた検出値に基づいて、後段の各処理を行わせる。即ち、安定判別演算部4は、例えば左前輪Wflと右前輪Wfr間の車輪速差(左前輪Wflの車輪速Vflと右前輪Wfrの車輪速Vfrとの差)等から旋回走行や加減速走行、低μ路面走行等に係るパラメータを算出し、これらパラメータが所定の閾値より大きい場合(つまり、旋回走行等により安定走行が成立していない場合)のデータを除いて各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に応じた検出値を、積算演算部5および車体速演算部11の車輪速履歴保存部12に出力する。なお、安定判定演算部4における判定処理は、本実施形態では10ミリ秒間隔で行われる。
積算演算部5は、左前輪車輪速(Vfl)を積算する第1積算演算部5aと、右前輪車輪速(Vfr)を積算する第2積算演算部5bと、左後輪車輪速(Vrl)を積算する第3積算演算部5cと、右後輪車輪速(Vrr)を積算する第4積算演算部5dを有している。第1〜第4積算演算部5a〜5dは、安定判別演算部4を通して入力される各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)を積算して、読み出し自在に記憶する。なお、前記積算を繰り返した回数(積算回数=PNTM)も読み出し自在に記憶される。
積算演算部5で予め定められた回数積算が行われると、この積算演算部5の後段の平均車輪速演算部6で平均車輪速を演算する。すなわち、平均車輪速演算部6は、第1積算演算部5aから入力される所定回数積算された左前輪車輪速(Vfl)からその平均車輪速V1を演算する第1平均車輪速演算部6aと、所定回数積算された右前輪車輪速(Vfr)からその平均車輪速V2を演算する第2平均車輪速演算部6bと、所定回数積算された左後輪車輪速(Vrl)からその平均車輪速V3を演算する第3平均車輪速演算部6cと、所定回数積算された右後輪車輪速(Vrr)からその平均車輪速V4を演算する第4平均車輪速演算部6dを有している。
平均車輪速演算部6の第1〜第4平均車輪速演算部6a〜6dで得られる平均車輪速V1〜V4は、以下の式(1)〜(4)に基づいて演算処理される。なお、各式において、PNTNは前記の通り積算回数である。
V1=ΣVfl/PNTN…式(1)
V2=ΣVfr/PNTN…式(2)
V3=ΣVrl/PNTN…式(3)
V4=ΣVrr/PNTN…式(4)
前記した各式において、PNTN(積算回数)を100回とすれば、例えば10ミリ秒毎に演算処理しているときには、平均車輪速演算部6では1000ミリ秒(=1秒)間におけるそれぞれの平均車輪速V1〜V4(各車輪Wのタイヤ空気圧の変化に依存した車輪速)が演算されることになる。
また、車体速演算部(車輪速履歴保存部12、相互相関関数演算部13、絶対車体速演算部14)11は、安定判別演算部4を通して入力される各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)から、タイヤ空気圧の変化(即ちタイヤの直径)に依存しない絶対的な車体速Vvを演算(推定)する(詳細は後記する)。この車体速Vvは、前記した平均車輪速演算部6の第1〜第4平均車輪速演算部6a〜6dで平均車輪速V1〜V4を算出したのと同じ区間での速度である。これは、後記する平均輪径比演算部8で算出する輪径比を適切なものとするためである。
輪径比演算部7は、平均車輪速演算部6で演算された前記各平均車輪速V1〜V4と車体速演算部11の絶対車体速演算部14で演算された前記車体速Vvに基づいて、各車輪(タイヤ)の輪径比を演算する。すなわち、輪径比演算部7は、第1平均車輪速演算部6aから入力される平均車輪速V1と絶対車体速演算部14から入力される車体速Vvに基づいて左前輪Wflの輪径比R1を演算する第1輪径比演算部7aと、第2平均車輪速演算部6bから入力される平均車輪速V2と絶対車体速演算部14から入力される車体速Vvに基づいて右前輪Wfrの輪径比R2を演算する第2輪径比演算部7bと、第3平均車輪速演算部6cから入力される平均車輪速V3と絶対車体速演算部14から入力される車体速Vvに基づいて左後輪Wrlの輪径比R3を演算する第3輪径比演算部7cと、第4平均車輪速演算部6cから入力される平均車輪速V4と絶対車体速演算部14から入力される車体速Vvに基づいて右後輪Wrrの輪径比R4を演算する第4輪径比演算部7dを有している。
輪径比演算部7の第1〜第4輪径比演算部7a〜7dで得られる輪径比R1〜R4は、以下の式(5)〜(8)に基づいて演算処理される。
R1=(V1−Vv)/Vv…式(5)
R2=(V2−Vv)/Vv…式(6)
R3=(V3−Vv)/Vv…式(7)
R4=(V4−Vv)/Vv…式(8)
平均輪径比演算部8は、輪径比演算部7で演算された前記各輪径比R1〜R4と重み演算部10で演算された安定走行性の重み(以下、重みという)WTに基づいて、各車輪(タイヤ)Wの平均輪径比を演算する。即ち、平均輪径比演算部8は、第1輪径比演算部7aから入力される輪径比R1と前記重みWTに基づいて左前輪Wflの平均輪径比R1aを演算する第1平均輪径比演算部8aと、第2輪径比演算部7bから入力される輪径比R2と前記重みWTに基づいて右前輪Wfrの平均輪径比R2aを演算する第2平均輪径比演算部8bと、第3輪径比演算部7cから入力される輪径比R3と前記重みWTに基づいて左後輪Wrlの平均輪径比R3aを演算する第3平均輪径比演算部8cと、第4輪径比演算部7dから入力される輪径比R4と前記重みWTに基づいて右後輪Wrrの平均輪径比R4aを演算する第4平均輪径比演算部8dを有している。
なお、重み演算部10で演算される前記重みWTは、安定判別演算部4で判別した安定状態(例えば、定速で直進走行時)に対して重み付けをするためのパラメータであり、安定判別演算部4で判別演算した安定走行状態の値が高くなるほど“1”に近い値となり、逆に安定走行状態が低くなるほど“0”に近い値となる。
平均輪径比演算部8の第1〜第4平均輪径比演算部8a〜8dで得られる平均輪径比R1a〜R4aは、以下の式(9)〜(12)に基づいて演算処理される。なお、各式において、(n)および(n−1)は配列変数のインデックス部分である。
R1a(n)=R1a(n−1)×(m−WT)/m+R1(n)×WT/m…式(9)
R2a(n)=R2a(n−1)×(m−WT)/m+R2(n)×WT/m…式(10)
R3a(n)=R3a(n−1)×(m−WT)/m+R3(n)×WT/m…式(11)
R4a(n)=R4a(n−1)×(m−WT)/m+R4(n)×WT/m…式(12)
なお、各式において、mは以下の式(13)で表される。
m=DEPN1(n−1)+WT…式(13)
但し、mは積算回数(PNTN)ごとにWTだけ、移動平均回数(DEPN1)を上限に増加する。
空気圧低下判定部9は、平均輪径比演算部8で演算された各平均輪径比R1a(n)〜R4a(n)と予め記憶しているそれらの閾値とを比較し、前記各平均輪径比R1a(n)〜R4a(n)がそれに対応する閾値より大きい場合には、閾値より大きい平均輪径比の車輪のタイヤ空気圧が低下していると判定し、空気圧警告灯15を点灯する。空気圧警告灯15は、車両Cのインストルメンツパネル(不図示)に設置されている。なお、空気圧警告灯15には、各車輪Wに対応して4つの警告灯を有しており、タイヤ空気圧が低下した車輪に対応した警告灯を点灯するように構成されている。
《車体速演算部の詳細》
次に、前記したタイヤ空気圧の変化(タイヤ直径の変化)に依存しない絶対的な車体速(Vv)の測定を行う車体速演算部(車輪速履歴保存部12、相互相関関数演算部13、絶対車体速演算部14)11について説明する。
図3(a)は、車輪(タイヤ)Wと路面とより生じる振動を模式的に示した図、図3(b)は、車輪速Vの検出値の変動曲線(タイヤのユニフォーミティの崩れ(タイヤ一周における強度や密度の不均一性)を含む)を示した図、図3(c)は、車輪速Vの検出値の変動曲線(タイヤのユニフォーミティの崩れの除去後)を示した図である。
車体速演算部11では、車両Cの車輪(タイヤ)Wを介して入力される路面との振動を検知する車輪振動検出手段としての前記車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)から車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)の検出値をそれぞれ入力し、特徴抽出及びパターンマッチングを行い、車輪Wの前輪側及び後輪側の車輪速の変化のパターンをマッチングすることで、タイヤ空気圧の変化に依存しない車体速(Vv)を算出する。
なお、タイヤはゴムやスチールワイヤ等を巻いて製造するため、タイヤ一周の強度や密度に不均一性(ユニフォーミティの崩れ)が存在する。このため、図3(a)に示すように車輪(タイヤ)Wが路面上を回転すると、見かけ上車両Cが一定速度で走行していても、各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)から出力される車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)の時間変動(検出値の変動曲線)には、図3(b)に示すように、タイヤのアンバランス(ユニフォーミティの崩れ)による周期の大きな変動が生じる。そして、この周期の大きな変動に、路面バンプ等による周期の小さな変動が重畳される。
車体速演算部11では、路面バンプ等による車輪速変動から絶対的な車体速(Vv)を求めるものであることから、図3(c)に示すように、タイヤのユニフォーミティの崩れによる変動成分を図示しないバンドパスフィルタで除去し(つまり、タイヤ固有の影響を除去し)、後の処理を円滑に行えるようにする。なお、この絶対的な車輪速(Vv)が早いほど、タイヤのユニフォーミティの崩れによる車輪速変動の周期(周波数)、路面バンプ等による車輪速変動の周期(周波数)、は全体的に短周期になる(高周波数帯域にシフトする)。このため、バンドパスフィルタは、車輪速が速くなるほど高い周波数帯域の車輪速の変動を通過するように、車輪速応動に構成してある。
車輪速履歴保存部12は、前記バンドパスフィルタで処理された車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)を、本実施形態では10ミリ秒ごとに、100回分(1秒分)記憶する機能を有する。相互相関関数演算部13は、フーリエ変換の一種である相互相関関数を演算し、車輪速履歴保存部12に記憶されている左前輪側の車輪速(Vfl)の変化パターンに対する左後輪側の車輪速(Vrl)の変化パターンのマッチング、右前輪側の車輪速(Vfr)の変化パターンに対する右後輪側の車輪速(Vrr)の変化パターンのマッチングを行い、両者の位相差(時間差Δt)を求める処理を行う機能を有する。絶対車体速演算部14は、前記時間差Δtから絶対的な車体速(Vv)を求める処理を行う機能を有する。
次に、相互相関関数演算部13及び絶対車体速演算部14の演算処理動作を、図4のフローチャート及び数式を参照して説明する。
《相互相関関数演算部、絶対車体速演算部の演算処理動作》
相互相関関数演算部13は、車輪速履歴保存部12に保存された車輪速に対して、相互相関関数演算回数(CNTDT)を決定する。即ち、車輪速履歴保存部12に保存されているいずれかの車輪速Vから、車両Cのホイールベース間距離(WB)の概略通過時間(TBFN)を演算し、相互相関関数演算の実行に必要なデータ数(BFN)を、次の式(14)、(15)に基づいて決定する。
TBFN=WB×3.6/V …式(14)
BFN=TBFN/LP …式(15)
なお、LPは、データのサンプリング間隔であり、本実施形態では10ミリ秒である。
このようにして、データ数(BFN)が決まったら相互相関関数演算回数(CNTDT)を、次の式(16)により決定する(ステップS1)。
CNTDT=PNTM/BFN…式(16)
なお、PNTMは、積算演算部5で積算を繰り返した回数(積算回数)である。
次に、次の式(17)、(18)、(19)、(20)に基づいて各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)の平均値(VWflsv,VWfrsv,VWrlsv,VWrrsv)を演算する(ステップS2)。ここで、式(17)、(18)は、車輪速履歴保存部12に記憶されている前輪側の車輪速(Vfl,Vfr)を相互相関関数演算回数(CNTDT)に相当する個数を読み出して、その平均を求める式に相当する。また、式(19)、(20)は、車輪速履歴保存部12に記憶されている後輪側の車輪速(Vrl,Vrr)を相互相関関数演算回数(CNTDT)の2倍に相当する個数(2・CNTDT)を読み出し、その平均を求める。なお、後輪側の車輪速(Vrl,Vrr)を多く読み出すのは、最初に前輪(Wfl,Wfr)において路面との間で生じた事象が、その後、後輪(Wrl,Wrr)でいつ起こったかを見過ごすことなく検出するためである。
VWflsv=ΣVfl/CNTDT …式(17)
VWfrsv=ΣVfr/CNTDT …式(18)
VWrlsv=ΣVrl/(2・CNTDT) …式(19)
VWrrsv=ΣVrr/(2・CNTDT) …式(20)
なお、式(17)、(18)におけるΣは、1〜CNTDT(1刻み)まで各車輪速(Vhl,Vfr)を加算する関数であり、式(19)、(20)におけるΣは、1〜2・CNTDT(1刻み)まで各車輪速(Vrl,Vrr)を加算する関数である。つまり、式(17)、(18)については、車輪速履歴保存部12から車輪速(Vfl,Vfr)のデータを1〜CNTDTの個数分だけ読み出し、式(19)、(20)については車輪速履歴保存部12から車輪速(Vrl,Vrr)のデータを1〜2・CNTDTの個数分だけ読み出し、それぞれ平均値(VWflsv〜VWrrsv)を求める処理を行う。
次に、ステップS2で求めた平均値(VWflsv〜VWrrsv)を利用して正規化を行う(ステップS3)。各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)の正規化(VWfln,VWfrn,VWrln,VWrrn)は、次の式(21)〜(24)により行われる。
VWfln(n)=Vfl(n)−VWflsv …式(21)
VWfrn(n)=Vfr(n)−VWfrsv …式(22)
VWrln(nn)=Vrl(nn)−VWrlsv …式(23)
VWrrn(nn)=Vrr(nn)−VWrrsv …式(24)
なお、nは1〜CNTDTまでの正の整数(1刻み)である。また、nnは1〜2・CNTDTまでの正の整数(1刻み)である。
ステップS3にて正規化が終わると、相互相関関数の演算を行う(ステップS4)。左前輪flと左後輪rlとの相互相関関数STrlの演算は、次の式(25)により行われ、右前輪frと右後輪rrとの相互相関関数STrrの演算は、次の式(26)により行われる。
STrl(n)=ΣΣVWfln(n)・VWrln(n+nnn) …式(25)
STrr(n)=ΣΣVWfrn(n)・VWrrn(n+nnn) …式(26)
ここで、nは1〜CNTDTの正の整数(1刻み)、nnnは0〜CNTDT(相互相関関数演算回数の正の整数(1刻み))である。即ち、この式(25)、(26)におけるΣΣは、畳み込み積分を繰り返して行う関数を示している。なお、この式(25)、(26)は、コンピュータプログラムにおけるFOR−NEXTループ、DO−CONTINUEループ等のループ関数を、ループカウンタをn及びnnnとして2重ループにし、配列変数STrl(n),STrr(n)に相互相関関数の演算結果を格納することに相当する。
ちなみに、配列変数STrl(n),STrr(n)の演算結果が大きくなるのは、正規化した車輪速の曲線(図5(a),(b)参照)における山と山、谷と谷が掛け合わされるような演算が行われる場合である。即ち、図5(a)と図5(b)の各パターンが一致し、かつ位相が一致するような演算が行われる場合である(そのような演算結果となるnの値を後で求めて時間差Δtとする)。なお、配列変数STrl(n),STrr(n)が小さくなるのは、山と谷、谷と山が掛け合わされるような演算である(マイナスの値になる)。
ステップS4で相互相関関数の演算が終わると、次の式(27)、(28)の関数を実行して、最大値を選択(抽出)する(ステップS5)。
STrl(max)=max|STrl(1),STrl(2),… ,STrl(CNTDT)| …式(27)
STrr(max)=max|STrr(1),STrr(2),… ,STrr(CNTDT)| …式(28)
これらの式で車両Cの左右の最大値を示すSTrl(max),STrr(max)のそれぞれのmaxの値(max値)が求まり、このmax値から、次の式(29)により位相遅れ時間を演算する(ステップS6)。即ち、STrl(n)が最大値となるnの値(=max値)、およびSTrr(n)が最大値となるnの値(max値)が求まる。それぞれnの値が求まれば、この値から式(29)により時間差Δtが演算される。
Δt(秒)=10(ミリ秒)/1000(ミリ秒/秒)×(n−1)…式(29)
なお、前記時間差Δtは、請求項1の「一致したパターンの時間差」に相当する。また、式(29)の10(ミリ秒)という値は、本実施形態でのデータのサンプリング間隔である。また、nから1を引くのは、区間数を求めるためである。
そして、時間差Δtが求まれば、次の式(30)により車両Cの絶対的な車体速(Vv)を演算する(ステップS7)。
Vv(km/時)=WB(m)/Δt(秒)×3600(秒/h)/1000(m/km)…式(30)
そして、この車体速(Vv)を車両Cの左側前後輪と右側前後輪で求めて平均すれば、平均車体速(AVv)が求まる(ステップS8)。なお、本実施形態では、この平均車体速(AVv)を、車両Cの絶対的な車体速(Vv)として取り扱う。
《絶対的な車体速の模式的説明》
図6(a)〜(c)は、前記した車両Cの絶対的な車体速(Vv)の測定を模式的に説明した図であり、図6(a)は、車両Cがa地点及びb地点を含む道路をb地点側へと走行する様子を模式的に示した図、図6(b)は、その際における車輪速の変化を時系列で示した図、図6(c)は、図6(b)に示した車輪速をデジタルフィルタで処理した後の検出値の変化を時系列で示した図である。
図6において、車両Cがb地点側に向けて走行すると(図6(a)参照)、タイヤのユニフォーミティの崩れによる車輪速(Vfl〜Vrr)の変動にバンプ等による車輪速(Vfl〜Vrr)の変動が重畳されるが(図6(b)の前輪側と後輪側を参照)、バンドパスフィルタで処理すると、ユニフォーミティの崩れの成分が除去される(図6(c)の前輪側と後輪側を参照)。このため、路面上のバンプ等を検出し易くなる。図6の(b)、(c)は、a地点やb地点で前輪(Wfl,Wfr)に発生した事象は、時間(時間差Δt)をおいて後輪(Wrl,Wrr)に発生することを示している。
すなわち、前記図5に示したように、(a)のパターンと(b)のパターンとがある量ずれて略一致しているが、このパターンのずれの量が位相差(時間差Δt)になる。なお、図5(a),(b)において、横軸一つの目盛りが10ミリ秒に相当するので、前輪側と後輪側との時間差(Δt)は、前記した式(29)により、
Δt=10(ミリ秒)×(15−1)/1000(ミリ秒/秒)=0.14(秒)である。
よって、車両Cのホイールベース間距離WBを例えば2.83(m)とすると、絶対的な車体速(Vv)は、前記した式(30)により、
Vv=WB/Δt×3600/1000
=2.83/0.14×3.6=73(km/h)となる。
なお、本実施形態において、図4のステップS1〜S3の処理が、特許請求の範囲の請求項1に記載した「タイヤ固有の影響を除去」、および「特徴抽出」に相当する。また、図4のステップS4〜S6の処理が、特許請求の範囲の請求項1に記載した「パターンマッチング」に相当する。
このようにして車体速演算部11により、タイヤ空気圧(タイヤ径)の変化に依存しない車両Cの絶対的な車体速(Vv)を演算(測定)することができる。
《第1タイヤ空気圧監視装置による監視動作》
次に、前記のように構成された第1タイヤ空気圧監視装置2によるタイヤ空気圧の監視動作(タイヤ空気圧の低下検知動作)を、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、車両走行時において、安定判別演算部4で、前記したように各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)で検出された各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に基づいて車両Cの走行状態を判別演算し(ステップS11)、車両Cが安定走行状態(すなわち、定速で直進走行時)であるか否かを判定する(ステップS12)。
なお、安定判別演算部4による1回ごとの安定走行状態の判別演算処理時間が本実施形態では10ミリ秒と短時間なので、後段の演算をより信頼性のあるものにするために、安定判別演算部4は、安定走行状態の判別回数(積算回数)をカウントしている。よって、本実施形態では、安定判別演算部4による安定走行判別演算が10ミリ秒ごとに行われているので、安定走行状態の判別回数(積算回数)が100回のときに、積算判別時間(以下、安定時間という)が1000ミリ秒(=1秒)となる。
ステップS12で、非安定走行状態(旋回走行時、加減速走行時、低μ路面走行時、悪路走行時など)であると判別した場合(NO)は、前記安定時間をカウントする安定時間カウンタをクリアしてリセットし(ステップS13)、RETURNに移行する。
一方、ステップS12で、安定走行状態(定速で直進走行時)であると判別した場合(YES)は、前記したように積算演算部5の第1〜第4積算演算部5a〜5dにて各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)を演算する(ステップS14)と共に、車体速演算部11の車輪速履歴保存部12に各車輪速V(Vfl〜Vrr)を記憶する(ステップS15)。
次に、ステップS16で、前記安定時間(本実施形態では、1秒)が経過したか否かを判定し、この安定時間を経過していない場合(NO)は、安定時間カウンタを1つインクリメントし(ステップS17)、RETURNに移行する。
一方、ステップS16で、前記安定時間(本実施形態では、1秒)を経過している場合(YES)、即ち、ステップS14の各車輪速演算が1000ミリ秒(1秒)間積算(安定時間カウンタが“100”)されると、前記したように平均車輪速演算部6の第1〜第4平均車輪速演算部6a〜6dにより、前記式(1)〜(4)に基づいて各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の平均車輪速V1〜V4を演算する(ステップS18)。本実施形態では、10ミリ秒ごとに得られる各車輪速のデータが1000ミリ秒(=1秒)分積算されると、安定時間が経過したと判断する。よって、ステップS16は、前記安定時間カウンタが“100”になった否かを判定するものである。
次に、ステップS15で車輪速履歴保存部12に記憶した各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に基づいて、前記したように相互相関関数演算部13により相互相関関数を演算し(ステップS19)、タイヤ空気圧に依存しない絶対的な車体速(Vv)を演算する(ステップS20)。ステップS20による車両Cの絶対的な車体速(Vv)は、前記図4に示したフローチャートに基づいて演算される。
次に、前記したように輪径比演算部7の第1〜第4輪径比演算部7a〜7dにより、前記式(5)〜(8)に基づいて各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の輪径比(R1〜R4)を演算する(ステップS21)。ステップS21で演算された各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の輪径比R1〜R4は記憶される。
次に、前記したように平均輪径比演算部8の第1〜第4平均輪径比演算部8a〜8dにより、前記式(9)〜(12)に基づいて各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の平均輪径比R1a〜R4aを演算する(ステップS22)。
次に、前記したように空気圧低下判定部9により、ステップS22で算出した各平均輪径比と予め設定した閾値を各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)ごとに比較し(ステップS23)、閾値よりも算出した平均輪径比の方が大きい場合(YES)は、閾値より大きい平均輪径比の車輪のタイヤ空気圧が低下していると判定し、空気圧警告灯15を点灯する(ステップS24)。一方、ステップS23で、閾値よりも算出した各平均輪径比の方が小さい場合(NO)、各車輪のタイヤ空気圧は低下していないと判定し、RETURNに移行する。
このように、本実施形態の第1タイヤ空気圧監視装置2によれば、車両Cの1輪ごとのタイヤ空気圧の低下を精度よく検出することができるので、2つのタイヤ同時や4つのタイヤ同時の空気圧低下も精度よく素早く検知することができる。
[第2タイヤ空気圧監視装置]
次に、第2タイヤ空気圧監視装置3について説明する。図8は、第2タイヤ空気圧監視装置3の構成を示すブロック図である。同図に示すように、第2タイヤ空気圧監視装置3は、前記各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)と第2制御部(ECU)3aと前記空気圧警告灯15を備えており、第2制御部(ECU)3aは、入出力インタフェース21、安定判別演算部22、第1バッファコントローラ23(23fl,23fr,23rl,23rr)、第1データバッファ24(24fl,24fr,24rl,24rr)、基準スペクトルデータ作成部25(25fl,25fr,25rl,25rr)、第2バッファコントローラ26(26fl,26fr,26rl,26rr)、第2データバッファ27(27fl,27fr,27rl,27rr)、スペクトルデータ作成部28(28fl,28fr,28rl,28rr)、空気圧低下判定部29(29fl,29fr,29rl,29rr)等から構成されている。
入出力インタフェース21は、第2タイヤ空気圧監視装置3で処理する信号の入力と、第2タイヤ空気圧監視装置3からの信号等の出力とを行う。本実施形態の場合、第2タイヤ空気圧監視装置3に対しては、入出力インタフェース21を介し、各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)から出力される車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に応じた検出信号が入力し、前記空気圧警告灯15への点灯/消灯信号が出力される。
安定判別演算部22は、車両Cの走行状態を判別し、走行状態が安定しているときに各車輪速センサVS(VSfl,VSfr,VSrl,VSrr)でそれぞれ検出された各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)の車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に応じた検出値に基づいて、後段の各処理を行わせる。安定判別演算部22も、前記した第1空気圧監視装置2の安定判別演算部22と同様に、例えば左前輪Wflと右前輪Wfr間の車輪速差(左前輪Wflの車輪速Vflと右前輪Wfrの車輪速Vfrとの差)等から旋回走行や加減速走行、低μ路面走行等に係るパラメータを算出し、これらパラメータが所定の閾値より大きい場合(つまり、旋回走行等により安定走行が成立していない場合)のデータを除いて各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に応じた検出値を、第1バッファコントローラ23(23fl,23fr,23rl,23rr)に通過させる。
第1バッファコントローラ23(23fl,23fr,23rl,23rr)は、安定判別演算部22から入力した各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)を例えば数ミリ秒間隔でそれぞれ取得し、これらを第1データバッファ24(24fl,24fr,24rl,24rr)に各車輪ごと、各車速域ごとのデータとして記憶させると共に、記憶させた車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)を読み出す機能を有する。なお、図9のデータ処理の流れを示す図では、左前輪Wflについての車輪速Vflに応じた検出値が、第1バッファコントローラ23flから第1データバッファ24flに各車速域ごと(図では10km/hごと)に分類されて記憶されることを示している(速度域分類)。
第1データバッファ24(24fl,24fr,24rl,24rr)は、車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)の記憶を行うランダムアクセスメモリ(RAM)であり、データの読み書きは第1バッファコントローラ23を介して行われる。
第1バッファコントローラ23flは、第1データバッファ24flに車輪速Vflが所定量(例えば、1024個)以上蓄えられた場合、これらに基づき移動平均処理を行って平均化および安定化された平均基準車速データを作成する。なお、図9は、左前輪Wflの車輪速Vflに応じた検出値が、第1バッファコントローラ23flにおいて、速度域ごと(図では10km/hごと)に平均化および安定化されることを模式的に示している。ここで、移動平均は、例えば、1024個ある車輪速Vflの検出値の1番目から10番目までの平均、2番目から11番目までの平均、3番目から12番目までの平均…1015番目から1024番目までの平均といったように算出していく。
基準スペクトルデータ作成部25(25fl,25fr,25rl,25rr)は、第1バッファコントローラ23(23fl,23fr,23rl,23rr)が作成した各車輪Wごとに、各車速域ごとの例えば1015個の平均基準車速データに基づき、各車輪Wごとに、各車速域ごとに振動周波数基準スペクトルデータを高速フーリエ変換(FFT)により演算・作成し、さらにこれらを各車輪Wごとに、各車速域ごとのスペクトルデータのゲインの最高値で除すことによって正規化する。図9では、左前輪Wflについての平均基準車速データAVFfl(例えば、1015個のデータ)に基づき、基準スペクトルデータ作成部25flが各車速域ごとに正規化された振動周波数基準スペクトルデータを作成することを示している。なお、図9は、左前輪Wflの車輪速Vflの処理を説明するものであるが、他の車輪Wfr,Wrl,Wrrについても同様の処理が並行して行われる。
第2バッファコントローラ26(26fl,26fr,26rl,26rr)は、基準スペクトルデータ作成部25(25fl,25fr,25rl,25rr)から入力した振動周波数基準スペクトルデータを第2データバッファ27(27fl,27fr,27rl,27rr)に、各車輪Wごとに、各速度域ごとに分類して書き込むと共に、書き込んだ振動周波数基準スペクトルデータを読み出す機能を有する。
第2データバッファ27(27fl,27fr,27rl,27rr)は、振動周波数基準スペクトルデータの記憶を行うEEPROM等の不揮発性のランダムアクセスメモリであり、データの読み書きは第2バッファコントローラ26(26fl,26fr,26rl,26rr)を介して行われる。なお、第2データバッファ27(27fl,27fr,27rl,27rr)は、特許請求の範囲の請求項1に記載した「振動周波数基準スペクトルデータ記憶手段」に相当する。
スペクトルデータ作成部28(28fl,28fr,28rl,28rr)は、第1データバッファ24(24fl,24fr,24rl,24rr)内に蓄積された各車輪速V(Vfl,Vfr,Vrl,Vrr)に基づき、各車輪Wごとに現時点での振動周波数スペクトルデータ、すなわち振動周波数現在スペクトルデータを高速フーリエ変換により演算・作成し、さらにこれらを各車輪Wごとに、各車速域ごとの各スペクトルデータのゲインの最高値で除すことによって正規化する。
なお、このスペクトルデータ作成部28は、通常走行時のタイヤ空気圧の変化を監視するために現在の振動周波数現在スペクトルデータを作成するものであり、その役割は新品状態のタイヤの基準データ(振動周波数基準スペクトルデータ)を作成する基準スペクトルデータ作成部25とは異なる。なお、スペクトルデータ作成部28は、特許請求の範囲の請求項1に記載した「振動周波数スペクトルデータ作成手段」に相当する。
空気圧低下判定部29(29fl,29fr,29rl,29rr)は、振動周波数基準スペクトルデータ(第2データバッファ27(27fl,27fr,27rl,27rr)に記憶されている)と振動周波数現在スペクトルデータに対してパターン認識の一種である相互相関関数を演算する一方で、振動周波数基準スペクトルデータの自己相関関数を演算する。そして、この相互相関関数と自己相関関数との偏差が所定の閾値以上である場合にタイヤ空気圧の低下と判定し、空気圧警告灯15に点灯信号が出力される。
次に、前記のように構成された第2タイヤ空気圧監視装置3の動作(タイヤ振動周波数基準スペクトルデータ作成処理動作とタイヤ空気圧低下判定処理動作)を、図8〜図14を参照して説明する。なお、タイヤ空気圧の監視は各車輪W(Wfl,Wfr,Wrl,Wrr)に対して同一の手順で行われるため、以下の説明は左前輪Wflに代表させるが、他の車輪Wfr,Wrl,Wrrについても、左前輪Wflと並行してタイヤ空気圧が監視される。
≪タイヤ振動周波数基準スペクトルデータ作成処理≫
以下、タイヤ振動周波数基準スペクトルデータ作成処理を、左前輪Wf1を例にして、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
例えば、前記車両Cが工場で組み立てられた後に新車として走行を始めると、第2タイヤ空気圧監視装置3は、図10のフローチャートに示したタイヤ振動周波数基準スペクトルデータの作成処理を開始する。すなわち、第2タイヤ空気圧監視装置3は、安定判別演算部22において、車両Cが安定走行状態(定速で直進走行状態)にあるか否かを判別し(ステップS31)、この判定がNOである場合にはスタートに戻って処理を繰り返す。前記のように、安定判別演算部22では、左右前輪Wfl,Wfr間の回転速度差(左前輪Wflの車輪速Vflと右前輪Wfrの車輪速Vfrとの差)等から旋回走行や加減速走行、低μ路面走行等に係るパラメータ(ヨーレートや加減速度、スリップ量等)を算出し、これらパラメータと所定の閾値とを比較して安定走行状態にあるか否かを判定する。
ステップS31の判定がYESの場合、図9に示したように、第1バッファコントローラ23flを介して、車輪速Vflに応じた検出値を第1データバッファ24flに記憶させる(ステップS32)。なお、車輪速Vflの検出値は、所定のサンプリングインターバル(例えば、数ミリ秒から数十ミリ秒)をもって取得される。また、車輪速Vflに応じた検出値は、所定の速度域(例えば、0〜150km/hの範囲で、例えば、10km/hごと(1〜10km/h,11〜20km/h,21〜30km/h…)に分類され、第1データバッファ24flに記憶される。
次に、図示しないタイヤ交換リセットスイッチからの信号入力が無く、タイヤ交換フラグFtが“0”となっているか否かを判定する(ステップS33)。タイヤ交換リセットスイッチは、インストルメンツパネル等に設けられており、整備工場やタイヤショップ等でタイヤ交換が行われた後、整備士や運転者によりリセット操作されると“1”となる。なお、タイヤ交換フラグFtの初期値は“0”であり、通常の場合においては前記の判定がYESとなる。
ステップS33の判定がYESの場合には、次に総走行距離Dtがデータ作成基準距離Dtmaxを超えていないか否かを判定する(ステップS34)。データ作成基準距離Dtmaxは、後記の振動周波数基準スペクトルデータFflの作成に走行距離による制約を与えるものである。なお、総走行距離Dtは、車両C内に積算距離データを有している装置があればその積算距離データを流用してもよいし、左右前輪Wfl,Wfrの車輪速Vfl,Vfrとタイヤの周長とから算出してもよい。
ステップS34の判定がYESの場合には、次に第2データバッファ27fl内の振動周波数基準スペクトルデータFflに未作成の速度域のものがあるか否かを判定する(ステップS35)。例えば、新車時においては振動周波数基準スペクトルデータFflも全く作成されていないため、この判定は当然にYESとなる。
ステップS35の判定がYESの場合には、次に振動周波数基準スペクトルデータFflを作成する速度域を選択する(ステップS36)。この選択は、例えば、第1データバッファ24fl内に所定の速度域に対応する連続した車輪速Vflの検出値が、例えば1024個以上存在することをもって行ってもよいし、その条件を満たす速度域が複数存在する場合には最も検出値の個数の多いものを選択してもよい。
ステップS36で作成する速度域の選択を終えると、次に第1データバッファ24flに記憶された車輪速Vflの検出値を読み出し、1番目から10番目、2番目から11番目までといったように、10ポイントずつ移動平均をとって平均基準車速データAVFflを作成した後(ステップS37)、この平均基準車速データAVFflにFFT(高速フーリエ変換)をかけて振動周波数基準スペクトルデータFflを作成する(ステップS38)。図9に示したように、振動周波数基準スペクトルFflの中心周波数f0がタイヤの回転時における固有振動数であり、車速が上昇するに従って固有振動数も増大する。因みに、1024ポイント連続しているデータの初めの部分から10ポイントずつ移動平均をとると、1015個の移動平均データ(平均基準車速データAVFfl)が得られる。
次に、前記基準スペクトルデータ作成部25(25fl)により振動周波数基準スペクトルデータFflを正規化し、正規化された振動周波数基準スペクトルデータFflを第2データバッファ27flに格納する(ステップS39)。具体的には振動周波数基準スペクトルデータFflをその最大値が1.0となるように正規化し、これを第2データバッファ27flに格納する。これにより、図11のグラフに示したように、振動周波数基準スペクトルFflのゲインのピーク値が1.0となる。
次に、正規化された振動周波数基準スペクトルデータFflの自己相関関数(畳み込み積分)S1を次の式(31)により演算し、その演算結果(S1)を第2データバッファ27flに格納する(ステップS40)。なお、この演算においては、例えば、振動周波数基準スペクトルデータFflを、ピーク値を中心にした約2.0Hzの周波数帯域を0.05Hzごとに区切り、これにより得られた40のポイントに対して行えばよい。
S1=Ffl(1)・Ffl(1)+Ffl(2)・Ffl(2)+…+Ffl(40)・Ffl(40) …式(31)
以上の処理を行うことにより、車両Cが市街地や高速道路等での走行を重ねていくと、各速度域の振動周波数基準スペクトルデータFflが徐々に蓄積されていく。
一方、ステップS33の判定がNOの場合、即ち、タイヤ交換フラグFtが“1”となっていた場合には、第2データバッファ27fl内の振動周波数基準スペクトルデータFflを全てクリアし(ステップS41)、ステップS41でのタイヤ交換フラグFtを“0”として(ステップS42)、RETURNに移行する(ステップS31に戻って新たにタイヤ振動周波数基準スペクトルデータ作成処理を開始する)。これにより、整備工場やタイヤショップ等で規格の異なるタイヤが装着された場合には、新しいタイヤの特性等に応じた振動周波数基準スペクトルデータFflの作成が可能となる。
また、ステップS34の判定がNOの場合、即ち、総走行距離Dtがデータ作成基準距離Dtmaxを超えていた場合には、RETURNに移行し、実質的な処理を行わないようにする。これにより、長距離走行等によりタイヤトレッドの損耗等が大きくなっているタイヤでの、振動周波数基準スペクトルデータFflの作成を行わないようにすることができる。
≪タイヤ空気圧低下判定処理≫
以下、タイヤ空気圧低下判定処理を、左前輪Wflを例にして、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
第2タイヤ空気圧監視装置3は、前記したタイヤ振動周波数基準スペクトルデータ作成処理と並行して、図12のフローチャートに示したタイヤ空気圧低下判定処理を開始する。すなわち、図示しないエアチャージリセットスイッチから信号入力が無く、エアチャージフラグFaが“0”となっているか否かを判定する(ステップS51)。前記エアチャージリセットスイッチは、インストルメンツパネル等に設けられており、整備工場やタイヤショップ等でタイヤパンク修理や適正空気圧へのエアチャージが行われた際に、整備士や運転者によりリセット操作されると“1”となる。なお、エアチャージフラグFaの初期値は“0”であり、通常走行時においては前記の判定がYESとなる。
ステップS51の判定がYESの場合には、次に安定判別演算部22において前記車両Cが安定走行状態にあるか否かを判別する(ステップS52)。このステップS52での安定判別演算部22による安定判別処理は、図10に示した「タイヤ振動周波数基準スペクトルデータ作成処理」におけるステップS31の処理と同一である。
ステップS52の判定がYESの場合には、次に現在の走行時における車速が含まれる速度域の振動周波数基準スペクトルデータFflが第2データバッファ27flに格納されているか否かを判定し(ステップS53)、この判定がNOであればスタートに戻って処理を繰り返す。これは、その速度域の振動周波数基準スペクトルデータFflが無い状況では、振動周波数現在スペクトルデータGflを作成しても無駄となるからである。
ステップS53の判定がYESの場合には、次に第1データバッファ24fl内に蓄積された現在の連続した例えば、1024個の車輪速Vflの検出値から10ポイントずつ移動平均をとって平均現在車速データAVGflを作成した後(ステップS54)、この平均現在車速データAVGflにFFT(高速フーリエ変換)をかけて振動周波数現在スペクトルデータGflを算出する(ステップS55)。
次に、前記スペクトルデータ作成部28(28fl)により振動周波数現在スペクトルデータGflを正規化する(ステップS56)。具体的にはGflのゲインの最大値が1.0となるように正規化処理する。正規化された振動周波数現在スペクトルGflは、図13のグラフに破線で示したように、タイヤが新品でタイヤ空気圧が適正に調整された新車時において前記の振動周波数基準スペクトルFflと同一となるが、タイヤ空気圧の低下に伴ってタイヤの路面との接地面積が増大すると、図13のグラフに実線で示したように、ホワイトノイズ(たとえば、図14に示すような周波数特性のホワイトノイズ)の混入によって帯域が拡がるようになる。
次に、振動周波数基準スペクトルFflと振動周波数現在スペクトルGflとを比較するべく、振動周波数基準スペクトルデータFflと振動周波数現在スペクトルデータGflとの相互相関関数(畳み込み積分)S2を次の式(32)により演算し、その演算結果(S2)を第2データバッファ27flに格納する(ステップS57)。なお、この演算においても、例えば、振動周波数基準スペクトルデータFflおよび振動周波数現在スペクトルデータGflを、ピーク値を中心にした約2.0Hzの周波数帯域を0.05Hzごとに区切り、これにより得られた40のポイントに対して行えばよい。
S2=Ffl(1)・Gfl(1)+Ffl(2)・Gfl(2)+…+Ffl(40)・Gfl(40) …式(32)
次に、空気圧低下判定部29(29fl)により、第2データバッファ27flから現在の速度域に対応する振動周波数基準スペクトルデータFflの畳み込み積分(式(31))の前記演算結果(S1)を抽出し、これと式(32)の演算結果(S2)との偏差(S2−S1)の絶対値と所定の閾値Sthとを比較(|S2−S1|≧Sth)する(ステップS58)。なお、前記閾値Sthとしては、例えば、タイヤ空気圧が基準値より30%低下した際の偏差の絶対値を予め実験等により得ておき、これを用いるようにすればよい。
次に、ステップS58の判定がYESの場合(タイヤ空気圧が低下していると判定した場合)、空気圧警告灯15に点灯信号を出力し、空気圧警告灯15を点灯させて運転者にタイヤ空気圧が低下していることを報知する(ステップS59)。
また、ステップS51の判定がNOの場合、即ち、エアチャージフラグFaが“1”となっていた場合には、空気圧警告灯15への点灯信号の出力を停止状態とし、空気圧警告灯15を消灯状態とする(ステップS60)。即ち、整備工場やタイヤショップ等でタイヤパンク修理や適正空気圧へのエアチャージが行われ、エアチャージリセットスイッチが整備士や運転者によりリセット操作されると、空気圧警告灯15が消灯される。
このように、本実施形態の第2タイヤ空気圧監視装置3によれば、タイヤの特性や径が製造バラツキや銘柄等により多少異なっていたり、別の銘柄等のタイヤに交換した場合などにおいても、車両Cの1輪ごとのタイヤ空気圧の低下を精度よく検出することができ、さらに、車両Cの走行速度に影響されることなく、低速走行時から高速走行時においてタイヤ空気圧の低下を精度よく検出することができる。
そして、本実施形態に係る前記したタイヤ空気圧監視装置1は、タイヤ空気圧の検知方法の異なる前記第1タイヤ空気圧監視装置2と前記第2タイヤ空気圧監視装置3によって同時に各車輪Cのタイヤ空気圧を監視しているので、少なくともどちらか一方が先にタイヤ空気圧が低下したと判定した時点で空気圧警告灯15を点灯して、タイヤ空気圧の低下を報知することにより、タイヤ空気圧が低下したことをより素早く運転者に知らせることができ、かつ、タイヤ空気圧の監視動作の信頼性をより高めることができる。
また、前記実施形態では、車輪振動検出手段として車輪速センサを例に説明したが、路面と車両(タイヤ)との間で発生する振動を検出することのできるものであれば、変位計、重量計、Gセンサ等、様々なセンサを適用することができる。例えば、前輪側、後輪側のサスペンションにこれらセンサを設置するようにし、この検出値により振動周波数スペクトルデータを演算するようにしてもよい。
また、前記実施形態では、振動周波数スペクトルデータのパターンの類似を相互相関関数を用いて判定したが、この判定方法は一例であり、本発明がこれに限定されることはなく、何らかの手法によりパターンの類似度を比較し、その比較結果(類似度)が所定の値を超えたことをもってタイヤ空気圧の低下を判定するようにしてもよい。
本発明の実施形態に係るタイヤ空気圧監視装置を備えた車両を示す概略構成図。 本実施形態における第1タイヤ空気圧監視装置の構成を示すブロック図。 (a)は、走行時に路面に接するタイヤを模式的に示した図、(b)は、車輪速の検出値の変動曲線(タイヤのユニフォーミィの崩れ含む)を示す図、(c)は、車輪速の検出値の変動曲線(タイヤのユニフォーミィの崩れの除去後)を示す図。 車体速の演算処理を示すフローチャート。 (a)は、正規化した前輪側の車体速を模式的に示した図、(b)は、正規化した後輪側の車体速を模式的に示した図。 車体速の測定を説明する図であり、(a)は、車両がa地点およびb地点を含む道路をb地点側へと走行するようすを模式的に示した図、(b)は、その際における車輪速の検出値の変化を時系列で示した図、(c)は、(b)の検出値をデジタルフィルタで処理した後の検出値の変化を時系列で示した図。 本実施形態に係る第1タイヤ空気圧監視装置によるタイヤ空気圧の監視動作(タイヤ空気圧の低下検知動作)を示すフローチャート。 本実施形態における第2タイヤ空気圧監視装置の構成を示すブロック図。 本実施形態における第2タイヤ空気圧監視装置によるデータ処理の流れを示す図。 本実施形態における第2タイヤ空気圧監視装置でのタイヤ振動周波数基準スペクトルデータの作成処理を示すフローチャート。 本実施形態における第2タイヤ空気圧監視装置によるデータ処理での正規化後の振動周波数スペクトルを示す図。 本実施形態における第2タイヤ空気圧監視装置によるタイヤ空気圧の監視動作(タイヤ空気圧の低下検知動作)を示すフローチャート。 本実施形態における第2タイヤ空気圧監視装置によるデータ処理での正規化後の振動周波数現在スペクトルを示す図。 ホワイトノイズの一例を示す図。
符号の説明
1 タイヤ空気圧監視装置
2 第1タイヤ空気圧監視装置
2a 第1制御部
3 第2タイヤ空気圧監視装置
3a 第2制御部
4 安定判別演算部
5 積算演算部
6 平均車輪速演算部
7 輪径比演算部
8 平均輪径比演算部
9 空気圧低下判定部
10 重み演算部
11 車体速演算部
12 車輪速履歴保存部
13 相互相関関数演算部
14 絶対車体速演算部
15 空気圧警告灯
21 入出力インタフェース
22 安定判別演算部
23 第1バッファコントローラ
24 第1データバッファ
25 基準スペクトルデータ作成部
26 第2バッファコントローラ
27 第2データバッファ
28 スペクトルデータ作成部
29 空気圧低下判定部
C 車両
W 車輪
VS 車輪速センサ

Claims (2)

  1. 車両の各車輪の路面状態に起因する振動をそれぞれ検出する前記車輪ごとに設けた車輪振動検出手段と、前記各車輪振動検知手段で検出した検出値をそれぞれ入力し、前記各車輪の前輪側および後輪側について前記検出値の変化のパターンをタイヤ固有の影響を除去してそれぞれ特徴抽出し、この特徴抽出した検出値の変化のパターンを前記各車輪の前輪側と後輪側とでパターンマッチングし、一致したパターンの時間差を求め、このように求めた時間差と予め記憶している基準長さとから、タイヤ空気圧に依存しない車体速を算出する車体速算出手段と、前記各車輪のタイヤ空気圧の変化に依存して変化する車輪速をそれぞれ算出する車輪速算出手段と、算出された前記車体速と前記車輪速とから前記各車輪の車輪径の変化度合いを演算し、この演算結果に基づいて前記各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定する第1空気圧低下判定手段と、を備えた第1タイヤ空気圧監視手段と、
    前記車輪振動検出手段で検出した検出値に所定の変換処理を行い、走行時に発生する前記各車輪の振動の周波数とその周波数のゲインとからなる振動周波数スペクトルデータを作成する振動周波数スペクトルデータ作成手段と、前記各車輪のタイヤ空気圧が正常値にあるときの基準となる振動周波数スペクトルデータを、振動周波数基準スペクトルデータとして測定された前記車体速または前記車輪速と対応つけて複数記憶する振動周波数基準スペクトルデータ記憶手段と、測定された現在の車輪速または車体速に基づいて、前記振動周波数基準スペクトルデータ記憶手段から振動周波数基準スペクトルデータを読み出すとともに、この読み出した振動周波数基準スペクトルデータのパターンと前記振動周波数スペクトルデータ作成手段により作成した現在の振動周波数スペクトルデータのパターンとを比較し、その比較結果に基づいて前記各車輪のタイヤ空気圧の低下を判定する第2空気圧低下判定手段と、を備えた第2タイヤ空気圧監視手段とを有し、
    前記第1タイヤ空気圧監視手段と前記第2タイヤ空気圧監視手段とで同時に前記各車輪のタイヤ空気圧を監視する、
    ことを特徴とするタイヤ空気圧監視装置。
  2. 前記第1タイヤ空気圧監視手段および前記第2タイヤ空気圧監視手段の少なくとも一方が、前記各車輪のいずれかのタイヤ空気圧が低下したと判定すると、空気圧低下警報を報知する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ空気圧監視装置。
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