JP2006162010A - 駆動伝達装置、及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 樹脂製の弾性キーを用いて従動ギヤから従動軸へ回転トルクを伝達する際に、作像系に紙などが突入して感光体ドラムに負荷が加わるような場合、この衝撃負荷トルクによって弾性キーが大きく変形する。また、トルクを伝えるキー部分が樹脂なので破壊する可能性もある。
【解決手段】 駆動源によって回転駆動される駆動ギヤ2と、駆動ギヤと噛合するプラスチック製従動ギヤ11と、従動ギヤの中心孔11aに挿通された状態でピン20によって従動ギヤと固定される従動軸15と、を備え、従動ギヤ中心部に設けたピン受部凹所と従動軸の径方向へ貫通する挿通孔とを連通させた状態でピンをピン受部凹所と挿通孔内に挿通する。ピンは、軸方向によって径が異なる段付きピン20であり、段付きピンは、挿通孔に挿通される部分の径よりも、ピン受部凹所内に挿通される部分の径の方が大きく設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、駆動ギヤと、駆動ギヤに噛合するプラスチック製従動ギヤと、該従動ギヤの中心孔に挿通されてピンによって固定される従動軸とからなる機構系において、ピンが当接するプラスチック製従動ギヤのピン受け部が経時的に変形してトルク伝達機能を低下させる不具合を改善した駆動伝達装置、及び画像形成装置に関する。
ギヤと軸との簡単な締結構造としては、例えば特開平10−339980号公報の図6に開示されているように、Dカット式、キー溝式、ピン式、ネジ止め式などが知られている。ピン式では、ギヤの中心孔に軸を挿通させた状態で固定するために、ギヤ中心部に設けた挿通孔(ピン受部)と軸に設けた挿通孔とを連通させた状態で両挿通孔内に金属製ピンを挿通させることによって、ギヤと軸との間で回転方向のトルク伝達を可能にしている。
図7(a)及び(b)はピン式の締結構造を示す正面図、及び側部縦断面図であり、従動ギヤ100の中心部には筒状の支持部101が突設しており、この支持部101の中心部には従動軸110を挿通する中心孔101aが形成されている。支持部101の外周には180度の間隔で2つの凹所101bが対向配置され、従動軸110に形成した挿通孔110aと凹所101bとを連通させた状態で平行ピン115を挿通することにより、従動ギヤと従動軸とを回転方向に固定する。
しかし、ピン式の締結構造では回転トルクはピンとギヤ側のピン受部に加わるが、ギヤがプラスチック製の場合、金属製ピンに比べてプラスチック製のピン受部は変形しやすく、長期使用においては永久ひずみが起こり、締結部のガタとなり、ギヤ伝達機能低下を招いていた。
特開平10−339980号公報「駆動力伝達装置」(特許文献1)には、従動軸にキー溝を設け、従動ギヤ側でギヤ歯面と弾性機能を持たせたキー部を同時に成形することにより、ギヤ交換が容易で、回転方向のがたつきのない駆動装置が開示されている。
特開平11−338312号公報「像形成体の駆動装置及び画像形成装置」(特許文献2)には、ギヤ側面に設けた粘弾性体によりドラムに回転力を伝達することにより、回転方向のギヤ振動を遮断し、ドラム側に伝わらないようにする技術が開示されている。
特開2002−266952公報「駆動伝達機構装置」(特許文献3)には、従動ギヤ側面に従動軸ピン受けを設け、ピン受けの弾性変形を利用して回転方向のギヤ振動を遮断する方式が開示されている。
特開平10−339980号公報 特開平11−338312号公報 特開2002−266952公報
特許文献1の発明では、樹脂製の弾性キーを用いて従動ギヤから従動軸へ回転トルクを伝達しているが、作像系に紙などが突入して感光体ドラムに負荷が加わるような場合、この衝撃負荷トルクによって弾性キーが大きく変形する。また、トルクを伝えるキー部分が樹脂なので破壊する可能性もある。このことより、衝撃負荷トルク発生時の色ズレや長期使用時での疲労破壊が懸念される。
特許文献2の発明では、ギヤの振動が粘弾性体によって感光体ドラム側には遮断されるが、感光体ドラム側に衝撃負荷トルクが加わった場合、この粘弾性体の変形分だけドラムが動く。そのため、ドラム上の画像が歪むという問題を惹起する。
特許文献3の発明では、特許文献1、2の場合と同様に、樹脂製のピン受けが感光体ドラム側の衝撃負荷によって撓み、画像ひずみを引き起こす。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、各種駆動力伝達機構に使用されるプラスチック製従動ギヤと従動軸との締結構造であって、ギヤ中心部に設けたピン受け部と、軸に設けた挿通孔とを貫通するようにピンを挿通することによってギヤと軸とを締結するものにおいて、ピン受け部の変形、へたりに起因してプラスチックギヤ伝達機構部で発生する回転ムラを抑制して、従動軸を精度良く駆動することができる駆動伝達装置、及び画像形成装置を提供することを目的としている。
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の電子写真式画像形成装置において、感光体ドラム駆動系への応用をはじめ、プラスチックギヤ伝達機構部で発生する回転ムラを抑制して、従動軸を精度良く運転する幅広い分野に応用することを目的としている。
即ち、請求項1、2の発明は、従動ギヤからの衝撃負荷トルクが発生した場合でも、従動側を一定速度で頑強に保持できるような構成とし、かつ、長期使用にも対応可能なプラスチックギヤを締結する駆動伝達装置の提供を目的とする。
請求項3、4の発明は、金属ピンからピン受部に大きな負荷トルクが加わっても変形量を小さくできる駆動伝達装置の提供を目的とする。
請求項5の発明は、大きな負荷トルクでの変形を抑えると共に、定常時でのギヤ振動を遮断する駆動伝達装置の提供を目的とする。
次に、画像機器におけるギヤ伝達機構系の影響は、塗りつぶし画像での濃度ムラ(バンディング)、多色重ね合わせでの色ずれとの関連性が高い。これは、作像プロセスで発生する外乱トルク、衝撃トルク(紙突入時など)やギヤ歯の噛合い振動が要因となっている。請求項6の発明は、この衝撃トルクに対して感光体ドラムを頑強に一定速度で支持し、画質向上を図るとともに長期間使用に適した画像形成装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、駆動源によって回転駆動される駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合するプラスチック製従動ギヤと、該従動ギヤの中心孔に挿通された状態でピンによって従動ギヤと固定される従動軸と、を備え、前記従動ギヤ中心部に設けたピン受部凹所と前記従動軸の径方向へ貫通する挿通孔とを連通させた状態で上記ピンをピン受部凹所と挿通孔内に挿通することにより前記従動ギヤを前記従動軸に固定して前記従動ギヤの回転方向のトルクを前記従動軸に伝達する駆動伝達装置において、前記ピンは、軸方向によって径が異なる段付きピンであり、前記段付きピンは、前記挿通孔に挿通される部分の径よりも、前記ピン受部凹所内に挿通される部分の径の方が大きく設定されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記段付きピンの大径部が前記ピン受部凹所の内壁と接する面のうちの少なくとも一部を平面とし、前記ピン受部凹所の内壁に設けた平坦面と前記大径部の平面とが面接触するように構成したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1、又は2において、前記段付きピンの大径部と小径部の各軸心は平行ではあるが一致していない構成を備え、各段付きピンの大径部の軸心が前記従動ギヤの回転方向先導側へずらして配置されるように前記ピン受部凹所の形状を設定したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1において、前記従動軸に前記挿通孔を少なくとも2本平行に形成し、各挿通孔の反対側開口から夫々前記段付きピンの小径部を挿通し、前記大径部が着座する前記ピン受部凹所の肉厚は、従動ギヤの圧縮応力が加わる方を厚くなるように構成したことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4において、前記段付きピンの大径部の外周に弾性材料のコーティング層を形成したことを特徴とする。
請求項6の発明は、表面に静電潜像を形成し周方向に回転移動する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、該トナー像を記録材に転写する転写手段と、該記録材上のトナー像を固定する定着手段と、を有する画像形成装置であって、請求項1乃至5の何れか一項に記載の駆動伝達装置によって、前記像担持体を駆動することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、従動側プラスチックギヤと従動軸の回転方向のトルクを伝達する部材に段付きピンを使用し、従動軸の挿通孔内に挿入される小径部の径よりも従動側プラスチックギヤにセットされる大径部の方を大きくする構成としたことで、従動ギヤと従動軸ピンとのトルクを伝達する接触面積が大きくなる。その結果、同じトルクでもギヤ側に加わる応力が減少し、圧縮変形による撓み量を抑えることができる。また、衝撃負荷に対しても頑強になるだけでなく、応力低減により永久ひずみが抑えられ、ガタなどがなくなり長期使用にも対応可能となる。
請求項2の発明によれば、段付きピンの大径部の周面の一部を平面にする構成としたことで、従動ギヤと従動軸ピンとのトルクを伝達する接触の応力分布が均一となる。その結果、同じトルクでも従動ギヤ側に加わる応力が減少し、圧縮変形による撓み量を抑えることができる。また、衝撃負荷に対しても頑強になるだけでなく、応力分布が均一になり、永久ひずみが抑えられ、ガタなどがなくなり長期使用にも対応可能となる。
請求項3の発明によれば、段付きピンは、従動軸に挿入する小径部とギヤと接する大径部の軸心をずらすように非対称とし、従動ギヤと接する大径部分の軸心を回転方向側にずらして配置することで、トルクが加わる方の従動ギヤピン受部の肉厚を大きくすることができる。その結果、大きな負荷トルクが加わっても変形量を小さくできる。
請求項4の発明によれば、段付きピンは、従動軸の中心からずらして組付けるように非対称とし、従動ギヤの圧縮応力が加わるピン受部の壁部の方を厚くなるように配置することで、トルクが加わる方の従動ギヤピン受部の肉厚を大きくすることができる。その結果、大きな負荷トルクが加わっても変形量を小さくできる。
請求項5の発明によれば、段付きピンの大径部の外周に弾性材料から成るコーティング層を施してあることで、濃度ムラ(バンディング)の要因である噛合い振動はコーティングした弾性材で吸収し、衝撃負荷トルクはコーティング厚み以上の変位に対しては接触面積の大きくなった部分で支持することになる。その結果、噛合い振動を低減すると共に衝撃負荷トルクにも強い駆動伝達装置を提供できる。
請求項6の発明によれば、像担持体を駆動する従動側プラスチックギヤと従動軸の回転方向のトルクを伝達する部材に段付きピンを使用し、そのピン形状で従動軸に挿入する小径部よりも従動側プラスチックギヤにセットされる大径部の方を大きくする構成としたことで、段付きピンとプラスチックギヤのトルクを伝達する接触面積の増加が図られ、プラスチックギヤ側での応力集中を軽減できるようになる。その結果、永久ひずみの低減、ガタ発生を抑えることが可能となる。感光体ドラムに紙が突入する場合などの衝撃負荷が加わっても、この大きな接触面で従動軸負荷トルクを受けるので従来のピンよりも変形量が小さくて済み、画像品質低下を防ぎ、長期間の使用にも耐えることができる。また、濃度ムラや色ずれの少ない画像形成装置を提供できる。
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
ギヤと軸との簡単な締結構造としては、従来からDカット式、キー溝式、ピン式、ネジ止め式などが知られているが、本発明はこのピン式締結構造を発展させたもので、特に、高精度なプラスチックギヤと従動軸との締結構造の改良に関するものである。
上述のようにピン式締結構造の場合、回転トルクは、金属製のピンと、プラスチックギヤのピン受部に加わる。金属製ピンを受けるプラスチック製ピン受部は変形しやすく、長期使用においては永久ひずみが起こり、ガタとなり、ギヤ伝達機能低下を招いていた。
そこで、本発明では図1の実施形態に示すように、プラスチック製ピン受部での応力集中を軽減できるように、ピン受部と接する部分の径が大きい段付きピンを使用し、ピンとプラスチックギヤのトルクを伝達する接触面の増加を図るようにしている。
即ち、図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成を示す正面図、及び底面図であり、(c)及び(d)はその要部構成を示す正面図、及び側部縦断面図である。この駆動伝達装置1は、図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動される駆動ギヤ2と、駆動ギヤ2と噛合するプラスチック製従動ギヤ11と、従動ギヤ11の中心孔11aに挿通された状態で段付きピン20によって従動ギヤ11と固定される従動軸15と、を備える。従動ギヤ11の中心部には、略円筒状のピン受部12が設けられており、ピン受部12の中心部に前記中心孔11aが形成されている。ピン受部12は、その外周面の180度対向した位置に凹所12aを有している。
従動ギヤ側に設けたピン受部12と従動軸15に設けた径方向へ貫通する挿通孔15aとを連通させた状態で段付きピン20をピン受部12の凹所(ピン受部凹所)12aと挿通孔15a内に挿通することにより、従動ギヤ11を従動軸15に固定して従動ギヤの回転方向のトルクを従動軸に伝達するように構成している。
段付きピン20は、軸方向によって径が異なる形状を有しており、この例では円筒状(円盤状)の大径部20aと、大径部の中心部から突出した棒状の小径部20bとから一体構成されている。段付きピン20は、挿通孔15aに挿通される部分(小径部20b)の径よりも、ギヤ側のピン受部12の凹所12a内に挿通される部分(大径部20a)の径の方が大きく設定されている点が特徴的である。この例では、この段付きピン20を180度対向配置された2つの凹所12aを介して従動軸の挿通孔15a内に挿着することにより、従動ギヤと従動軸との締結を実現している。
このように段付きピン20に設けた大径部20aの周面と、これと整合する形状を有した凹所12aとを密着させるようにしたので、接触面が広くなり、金属製段付きピン20の当りによるピン受部12への応力集中を軽減することができ、永久ひずみの低減、ガタ発生を抑えることが可能となる。従動側に衝撃負荷トルクが加わったとしても、この大きな接触面で従動軸負荷トルクを受けるので、従来の小径のピンによる狭い接触面積の場合よりも変形量が小さくて済む。即ち、図1(c)(d)において、ピン受部の圧縮変形量は、負荷トルクに比例し、接触面積(接触長と接触厚との積)に反比例する。従って、大径部20aでの接触面積が大きい段付きピンの方が圧縮変形量が小さくなり、永久ひずみも少なく優れた伝達機能を発揮する。これにより、駆動源によって駆動ギヤを駆動した場合に、従動ギヤ、従動軸の駆動が一定速度となるように維持することができる。
次に、上記実施形態では、従動ギヤ11からの回転方向のトルクを従動軸15へ伝達する段付きピン20の頂部(大径部20a)の形状を円柱状としたが、大径部20の外周部の一部を平面化して従動ギヤのピン受部12の凹所12aの内壁と面接触するように構成してもよい。
即ち、図2(a)は本発明の他の実施形態を示す要部正面図であり、この実施形態では、段付きピン20の大径部20aがギヤ側ピン受部12の凹所12aの内壁と接する面のうちの少なくとも一部を平面20a−1とし、凹所12aの内壁に設けた平坦面12a−1と大径部20aの平面20a−1とが面接触するように構成した点が特徴的である。
本実施形態では、平面20a−1と平坦面12a−1とを面接触させることにより、段付きピン20とピン受部12との接触面の応力分布が均一となるように構成している。具体的な形状としては、例えば図2(a)、(c)の左図に示すように図1に示した段付きピン20の円柱状の大径部20aの周面の一部を切り欠いて平坦状に構成してもよいし、(c)に示すように大径部20aを矩形板状に構成してもよい。
本実施形態によれば、平面部20a−1と平坦面12a−1との接触面における応力分布が均一になる分だけプラスチック製のピン受部12の圧縮変形が小さくて済み、従動側に衝撃負荷が加わっても、この大きな接触面で従動軸負荷トルクを受けることができるので、従来のピンを受けるピン受部よりも変形量が小さくて済む。これにより、モータによる駆動軸の駆動を一定速度となるように維持することができる。
次に、図3(a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の構成を示す要部底面図、及び段付きピンの斜視図である。この実施形態では、使用する段付きピン20の形状が、大径部20aに対して小径部20bが偏心した位置に固定されている点が特徴的である。即ち、円柱状(円盤状)の大径部20aの軸心と、棒状の小径部20bの軸心が、平行ではあるが、一致しておらず、ずれている。一方、各段付きピン20の小径部20bを受け入れる従動軸の挿通孔15aの形状は円筒状であるが、ピン受部に設けた2つの凹所12aの形状は、各段付きピンの大径部20aが対称となる姿勢で保持できるように対称形状に構成されている。つまり、図3(a)に示すように各凹所12a内に各段付きピンの大径部20aが着座した状態において、各大径部20aの軸心は回転方向先導側に位置をずらして配置される。
従って、従動軸の挿通孔15aに挿通した段付きピン20を介してプラスチックギヤに回転トルクが加わる際、その接触部(20aと12a)付近では、図3(a)のように力が一方向に加わり、たわむ。この変形量を小さくするために、ピン受部の撓み方向の肉厚が大きくするような構成とする。これにより、大きな衝撃負荷トルクが加わっても、撓み量を小さくすることができ、回転伝達誤差の低減が図られる。
なお、本実施形態において、大径部20aの外周面の一部を図2の例のように平面とし、凹所12aの一部を平坦面として両者を面接触させるようにしてもよい。
次に、図4は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成図であり、図1に示した段付きピンのように大径部20aと小径部20bの軸心が一致しているタイプを用いて従動ギヤと従動軸とを締結した例を示す。この実施形態では、従動軸15を貫通する挿通孔15aを2本平行に形成し、各挿通孔15a内に各段付きピン20の小径部20bを挿通し、大径部20aはピン受部12の各凹所12a内に夫々着座させた構成が特徴的である。従って、各段付きピンの大径部20aを支持する凹所12aは図1とは異なった位置関係を有することとなる。
このように本実施形態では、トルクを伝達する部材としての段付きピン20の組付け位置に関して、各段付きピンの軸心を従動軸15の回転軸中心からずらして組付けるように非対称とし、従動ギヤのピン受部12の圧縮応力が加わる方の壁厚が厚くなるように構成している。従動軸15に挿通された段付きピン20を介してプラスチック従動ギヤ11に回転トルクが加わる際、段付きピンの接触部(凹所12a)付近では、図4のように力が一方向に加わり撓みを起こす。この変形量を小さくするために、撓み方向の壁の肉厚が大きくするような構成とする。これにより、大きな衝撃負荷トルクが加わっても、撓み量を小さくすることができ、回転伝達誤差の低減が図られる。
次に、図5は本発明の他の実施形態に係る段付きピンの構成、及び特性の説明図である。
この実施形態に係る段付きピン20は、従動ギヤ11のピン受部12と接する面、即ち大径部20aの外周面に弾性材料から成るコーティング層30を施した構成が特徴的である。
従動ギヤからの衝撃負荷に対しては、上記各実施形態において提案したように従動軸と従動ギヤとの結合剛性を高めることで対応可能であるが、ギヤ歯の噛合い周期による振動は従動ギヤから従動軸へと伝達されてしまう。本実施形態によれば、弾性材料からなるコーティング層30を段付きピンの大径部外周に設けることにより、衝撃負荷にも強くかつ噛合い振動を伝えにくくすることができる。噛合い振動は、衝撃負荷トルクに比べ非常に小さいので、図5のコーティングされた弾性材料に吸収させることができる。そして、衝撃負荷に対しては、コーティング層の厚さ以上の変形とならないように頑強に支える形をとる。このコーティング層30の厚みを、噛合い振動の大きさに合わせて設定することで、効率よく衝撃負荷に対応できる。
次に、図6は本発明の駆動伝達装置、段付きピンを適用した画像形成装置の構成例を示す説明図である。この画像形成装置においては、前記各実施形態に示した従動軸15に対して画像形成用の回転体(像担持体)が装着されていることとする。
まず、図6に示す縦断面正面図を用いて画像形成装置の概要を説明する。
画像形成装置本体の一側に給紙カセット40が着脱自在に装着され、本体他側には排紙口41が設けられている。給紙カセット40から排紙口41に至る用紙搬送路の上方には感光体42が回転自在に設けられて、その周囲にはそれぞれプロセスユニットとしての帯電器43、露光器44、現像器45が配列されている。さらに感光体の外周には転写器46、クリーニング器47、除電器48等が配列されている。さらに用紙搬送路に沿って上流から下流にむけて、給紙ローラ49、レジストローラ50、ヒートローラとプレスローラを有する定着器51、排紙ローラ52が配列されている。このような構成で、帯電器43によって感光体表面を帯電させ、その部分に露光器44からのレーザー光を走査することで静電潜像を形成する。その後、感光体ドラム42の回転により、静電画像は現像器によってトナー画像として現像される。一方では、給紙カセット内の用紙が給紙ローラ49によってレジストローラ50まで引き出され、感光体ドラムの回転運動に同期回転するレジストローラによって用紙は感光体ドラム下部に給紙される。感光体上のトナー画像は転写器によって用紙に転写され、その用紙が定着器51を通るときに用紙上の転写画像が定着される。その後、定着後の用紙は排紙ローラによって、装置排紙口より排出される。
このような画像形成装置では、感光体ドラム軸の一定速度特性が画像品質に直接影響を与えるものであり、感光体を駆動するためのモータトルクをギヤによって感光体ドラム軸に伝えて駆動している場合、モータ自身のトルク変動を抑えることはもちろんギヤ噛合いによるトルク振動の低減は重要である。
この感光体ドラムを駆動する従動側従動側プラスチックギヤ11と従動軸15の回転方向のトルクを伝達する部材として上記各実施形態に示した段付きピン20を使用し、そのピン形状で従動軸に挿入する径よりも従動側プラスチックギヤにセットされる径の方を大きくした構成とする。これにより、段付きピンとプラスチックギヤのトルクを伝達する接触面積の増加が図られ、プラスチックギヤ側での応力集中を軽減できるようになる。その結果、永久ひずみの低減、ガタ発生を抑えることが可能となる。感光体ドラムに紙が突入する場合などの衝撃負荷が加わっても、この大きな接触面で従動軸負荷トルクを受けるので、従来のピンよりも変形量が小さくて済む。これにより、モータによる駆動軸の駆動に際して一定速度となるように維持することができる。
特にカラー機では多色重ね合わせするので、衝撃負荷によって感光体ドラム上で位置ズレが発生すると、各色間での色むらが発生し、画像品質低下となるので、衝撃負荷にたいする耐久構造を頑強にすることは重要である。なお、ここまで、感光体ドラムに適用した場合について説明したが、本発明は感光体ベルトを駆動する駆動ローラの伝達機構部や、中間転写ベルト方式での駆動ローラの伝達機構部にも適用できることは言うまでも無い。
なお、図6の画像形成装置に適用する駆動伝達装置1や段付きピン20の構造としては、図1乃至5に夫々開示した全てのタイプを適用することができる。
(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成を示す正面図、及び底面図、(c)及び(d)はその要部構成を示す正面図、及び側部縦断面図。 (a)は本発明の他の実施形態を示す要部正面図、(b)(c)は変形例の説明図。 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の構成を示す要部底面図、及び段付きピンの斜視図。 本発明の他の実施形態に係る駆動伝達装置の要部構成図。 (a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る段付きピンの構成、及び特性の説明図。 本発明を適用する画像形成装置の一例の縦断面図。 (a)及び(b)はピン式の締結構造を示す正面図、及び側部縦断面図。
符号の説明
1 駆動伝達装置、2 駆動ギヤ、11 従動ギヤ、11a 中心孔、12 ピン受部、12a 凹所、15 従動軸、15a 挿通孔、20 段付きピン、20a 大径部、20b 小径部、30 コーティング層。

Claims (6)

  1. 駆動源によって回転駆動される駆動ギヤと、該駆動ギヤと噛合するプラスチック製従動ギヤと、該従動ギヤの中心孔に挿通された状態でピンによって従動ギヤと固定される従動軸と、を備え、前記従動ギヤ中心部に設けたピン受部凹所と前記従動軸の径方向へ貫通する挿通孔とを連通させた状態で上記ピンをピン受部凹所と挿通孔内に挿通することにより前記従動ギヤを前記従動軸に固定して前記従動ギヤの回転方向のトルクを前記従動軸に伝達する駆動伝達装置において、
    前記ピンは、軸方向によって径が異なる段付きピンであり、
    前記段付きピンは、前記挿通孔に挿通される部分の径よりも、前記ピン受部凹所内に挿通される部分の径の方が大きく設定されていることを特徴とする駆動伝達装置。
  2. 前記段付きピンの大径部が前記ピン受部凹所の内壁と接する面のうちの少なくとも一部を平面とし、前記ピン受部凹所の内壁に設けた平坦面と前記大径部の平面とが面接触するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  3. 前記段付きピンの大径部と小径部の各軸心は平行ではあるが一致していない構成を備え、
    各段付きピンの大径部の軸心が前記従動ギヤの回転方向先導側へずらして配置されるように前記ピン受部凹所の形状を設定したことを特徴とする請求項1、又は2に記載の駆動伝達装置。
  4. 前記従動軸に前記挿通孔を少なくとも2本平行に形成し、各挿通孔の反対側開口から夫々前記段付きピンの小径部を挿通し、前記大径部が着座する前記ピン受部凹所の肉厚は、従動ギヤの圧縮応力が加わる方を厚くなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  5. 前記段付きピンの大径部の外周に弾性材料のコーティング層を形成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の駆動伝達装置。
  6. 表面に静電潜像を形成し周方向に回転移動する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を顕像化してトナー像とする現像手段と、該トナー像を記録材に転写する転写手段と、該記録材上のトナー像を固定する定着手段と、を有する画像形成装置であって、
    請求項1乃至5の何れか一項に記載の駆動伝達装置によって、前記像担持体を駆動することを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012108505A (ja) * 2010-11-15 2012-06-07 Xerox Corp 自在ねじれドナーロール駆動装置およびその駆動方法
CN106402329A (zh) * 2016-10-31 2017-02-15 江阴市天润机械制造有限公司 一种可适用不同大小转轴的齿轮

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