JP2006161054A - 絞り缶用樹脂フィルム、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶 - Google Patents

絞り缶用樹脂フィルム、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶 Download PDF

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知正 毎田
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Abstract

【課題】無配向状態で加熱しても脆い粗大な結晶が成長することがなく、また加熱したウィケットに接触しても押さえ跡等の欠陥を生じることのない絞り缶用樹脂フィルム、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶を提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレートまたはエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体とポリブチレンテレフタレートをブレンドしてなる樹脂からなるフィルムを製膜し、この樹脂フィルムを鋼板に被覆して樹脂フィルム被覆鋼板とし、非樹脂フィルム被覆面側に白色塗料、印刷層、クリヤーニスを塗布、乾燥、焼き付けた後、絞り缶に成形する。
【選択図】なし

Description

本発明は絞り缶用樹脂フィルム、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶に関する。詳しくは魚肉等の食品を充填する絞り加工してなる食缶に用いる樹脂フィルム、その樹脂フィルムを被覆した絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびその樹脂フィルム被覆鋼板を用いた缶用鋼板を絞り加工してなる食缶用の絞り缶に関する。
魚肉、スィートコーン、惣菜などを充填するための食缶としては、比較的缶高さの低い絞り缶が用いられている。従来、これらの食缶として、鋼板の缶内面となる側に食品保護用の塗料塗布層を形成し、缶外面となる側に印刷下地としての白色塗料塗布層とその上に印刷層および印刷層を保護するクリヤーニス層を形成してなる鋼板を絞り加工した絞り缶が用いられていた。
一方、近年、飲料缶を中心に、鋼板の両面に樹脂フィルムを積層した樹脂フィルム被覆鋼板を絞り加工とストレッチ加工を施してなる缶や、絞り加工後にストレッチ加工としごき加工を同時に行う缶など、缶高さの高い樹脂フィルム被覆缶が用いられている。これらの缶においては樹脂フィルムとして加工性に優れたエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体のフィルムが用いられているが、共重合体のフィルムが耐食性と内容物のフレーバーの保護性にも優れていることから、広範な飲料用の缶として普及している。これらの飲料缶においては缶外面側の印刷層およびクリヤーニス層の形成は缶体に成形加工した後に行われる。缶側面に印刷層およびクリヤーニス層を塗布した後、缶体上端の開口部がコンベヤに接するようにしてコンベヤに載せられ、オーブン中を移動しながら焼き付けが行われる。そのため、缶の内外面とも加熱された金属等に接触することがないので、缶の内外面の樹脂フィルムに押さえ跡などの欠陥が生じることはない。
飲料缶に適用されているこの樹脂フィルム被覆鋼板を、絞り加工して食缶に適用とする試みが行われている。飲料缶に好適に用いられるエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体フィルムは、無配向で鋼板に被覆されていると、樹脂の融点近傍に長時間加熱すると脆い粗大な結晶が成長し、樹脂フィルム被覆鋼板を絞り加工した場合、樹脂フィルムに亀裂が生じ易い欠点を有している。絞り加工とストレッチ加工を施したり、絞り加工後にストレッチ加工としごき加工を同時に施したりして成形加工される飲料缶に樹脂フィルム被覆鋼板を適用する場合は、被覆された樹脂フィルムが被覆時に無配向であっても、絞り加工とストレッチ加工や、絞り加工後にストレッチ加工としごき加工を同時に行う加工によって樹脂フィルムが配向しており、また成形加工後に施される印刷層や印刷層を保護するクリヤーニス層の焼き付けは1回のみの短時間で行われるため、樹脂フィルム中に脆い粗大な結晶が成長することがない。
一方、樹脂フィルム被覆鋼板を絞り加工して食缶に適用する場合、鋼板の缶内面となる側に樹脂フィルムを被覆し、缶外面となる側に白色塗料、各色の印刷層、およびクリヤーニスを塗布し、塗布それぞれの塗布作業を行う毎に焼き付け作業を行うため、樹脂フィルムは長時間にわたって高温で加熱されることになり、樹脂フィルム中に脆い粗大な結晶が成長し易い。
また、印刷下地となる白色塗料層、印刷層および印刷層を保護するクリヤーニス層の形成は、長尺帯状の片面樹脂フィルム被覆鋼板を、数缶〜数十缶分のブランクを打ち抜ける大きさの切板に切断し、この切板の非樹脂フィルム被覆面側に印刷下地層を塗布しオーブン中で加熱して焼き付けるが、斜めに置かれた数本の金属棒からなるウィケットに樹脂フィルム被覆面側が接触するように立て掛けて加熱する。この切板の重量は1kg前後でかなりの重量があるため、比較的軟化温度の低いエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体のフィルムが加熱されたウィケットに接触すると、押さえ跡などの欠陥が生じてしまう。印刷下地層を形成させた後の印刷層およびクリヤーニス層の形成においても同様の状況が生じる。
本発明は、無配向状態で加熱しても脆い粗大な結晶が成長することがなく、また加熱したウィケットに接触しても押さえ跡等の欠陥を生じることのない絞り缶用樹脂フィルム、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶を提供することを目的とする。
本発明の絞り缶用樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなる絞り缶用樹脂フィルム、または
エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなる絞り缶用樹脂フィルム、または
上層がエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体フィルム、下層がポリエチレンテレフタレート:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなるフィルムからなる2層の絞り缶用樹脂フィルム、または
上層がエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体フィルム、下層がエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなるフィルムからなる2層の絞り缶用樹脂フィルムのいずれかである。
また本発明の絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板は、上記のいずれかの絞り缶用樹脂フィルムを鋼板の片面に積層してなる絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板であり、
鋼板が、鋼板表面に下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物とからなる2層を形成させてなる表面処理鋼板、または
鋼板表面に露出部分が存在するように形成させた錫層と、錫層および鋼板表面の鉄露出部分を被覆するように形成させた下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物とからなる3層を形成させてなる表面処理鋼板であることを特徴とする。
さらに本発明の絞り缶は、上記の絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板の非樹脂フィルム被覆面に白色塗料塗布層を設けた絞り缶用鋼板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側となるように絞り加工してなることを特徴とする絞り缶である。
本発明は、ポリエチレンテレフタレートまたはエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体とポリブチレンテレフタレートをブレンドしてなる樹脂からなるフィルムであり、無配向状態で加熱しても脆い粗大な結晶が成長することがなく、また加熱したウィケットに接触しても押さえ跡等の欠陥を生じることがなく、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶に好適に用いることができる
本発明は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体(PET/I)にブレンドするポリエステルとして、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を選択し、これらを(PET)または(PET/I):40〜80重量%及び(PBT):60〜20重量%で組み合わせたことが特徴である。
このブレンド樹脂からなるフィルムを絞り缶に適用し、この樹脂フィルムを鋼板に被覆して絞り缶に成形するものである。本発明の絞り缶用樹脂フィルムは無配向状態で加熱しても脆い粗大な結晶が成長することがなく、また加熱したウィケットに接触しても押さえ跡等の欠陥を生じることがなく、絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板、およびそれを用いた絞り缶に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の絞り缶用樹脂フィルムの一形態として、ポリエチレンテレフタレート:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなる絞り缶用樹脂フィルムを用いることが好ましい。前記したように、片面に樹脂フィルムを被覆した鋼板を絞り缶に適用する場合、非樹脂フィルム被覆面には印刷下地層、印刷層、および印刷層を保護するクリヤーニス層を塗布し、加熱焼き付けする。絞り缶に適用する場合は、鋼板に被覆された樹脂フィルムが絞り加工が可能な優れた加工性を有し、かつ絞り加工中または加工後に剥離することのない優れた密着性を有している必要があるため、鋼板に被覆された状態で無配向である必要がある。しかし、無配向で鋼板に被覆されていると、印刷下地層、印刷層、およびクリヤーニス層を焼き付けるための加熱により脆い粗大な結晶が成長し、樹脂フィルム被覆鋼板を絞り加工した場合、樹脂フィルムに亀裂が生じ易い。
本発明の絞り缶用樹脂フィルムの一成分であるポリブチレンテレフタレートは、結晶化速度が他の成分であるポリエチレンテレフタレートよりも大きいために、加熱により微細な結晶が生成し、絞り加工を施しても樹脂フィルムに亀裂が生じることがない。しかしながら、鋼板との良好な密着性に乏しくなるため、本発明の絞り缶用樹脂フィルムにおいては、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートをバランスよくブレンドしてなる樹脂を用いる。ブレンド樹脂中のポリブチレンテレフタレートが20重量%未満では絞り加工を施した場合に樹脂フィルムにクラックが生じることは避けられない。一方、60重量%を超え加工時の密着性が低下し、加工部の微小部分で局部的に樹脂フィルムが下地鋼板から剥離し、加工部があたかも白化したような観を呈するようになる。
本発明の絞り缶用樹脂フィルムの他の一形態として、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなる絞り缶用樹脂フィルムを用いることもできる。この共重合体はポリエチレンテレフタレートの酸成分であるテレフタル酸の一部をイソフタル酸で置き換えたものであり、イソフタル酸を分子中に導入することにより、樹脂フィルムの加工性および密着性が向上する。そのため、絞り比の高い、すなわち缶高さの高い絞り缶の成形用に好適に用いられる。共重合体中のエチレンイソフタレートは5〜15モル%であることが好ましい。5モル%未満では加工性および密着性が十分に向上せず、15モル%を超えると加熱した際に脆い粗大結晶が生じ易くなる。またポリブチレンテレフタレートに対するブレンド量は、前記のポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド樹脂と同様の理由で20〜60重量%とする。
樹脂フィルムの厚さは10〜50μmであることが好ましい。10μm未満の場合は内容物によっては耐透過性が不十分な場合もあり、下地の鋼板を腐食させる恐れがある。一方、50μmを超えるとコスト的に有利でなくなる。樹脂フィルムは常法の押出法を用いて上記の厚さの未延伸(キャスト)フィルムとして作成することができる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムやエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体からなるフィルムは、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド樹脂からなるフィルムと較べて、食品と接した場合に内容物のフレーバーを良好に保つことができる。そのため、前記した2種類の絞り缶用樹脂フィルムを下層とし、ポリエチレンテレフタレートフィルム、またはエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体からなるフィルムを上層、すなわち缶内面側において内容物と接する側の層とする2層フィルムを、本発明の絞り缶用樹脂フィルムとして適用することもできる。
上記のいずれかの2層フィルムにおいて、上層のフィルムの厚さは1〜10μmであることが好ましく、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体からなるフィルムの場合は1〜5μmであることがより好ましい。上層のフィルムの厚さが1μm未満ではフレーバーの良好な保持が得られ難く、10μmを超えてもフレーバーの保持効果が飽和し、コスト的に有利でなくなる。またエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体からなるフィルムの場合、5μmを超えると、非樹脂フィルム被覆面に印刷下地層を塗装して焼き付ける際に、ウィケットと接触すると押さえ跡が目立つようになる。5μm以下では押さえ跡は殆ど認められず、実用上問題とはならない。共重合体中のエチレンイソフタレートは15モル%以下であることが好ましい。15モル%を超えると厚さが5μm以下であっても、ウィケットと接触した際の押さえ跡が目立つようになる。
2層のフィルムの厚さは上記の上層フィルムの厚さを加えて10〜50μmであることが好ましい。10μm未満の場合は内容物によっては耐透過性が不十分な場合もあり、下地の鋼板を腐食させる恐れがある。一方、50μmを超えるとコスト的に有利でなくなる。
この2層フィルムにおいて、ブレンド物からなる下層フィルムは実質上未延伸乃至未配向の状態であることが必要であるが、上層のポリエチレンテレフタレートフィルム或いはエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体のフィルムは実質上未延伸乃至未配向のフィルムであっても、一軸延伸乃至二軸延伸のフィルムであってもよい。
2層フィルムは常法の熱ラミネート技術や、押出コート法によって、或いは共押出法を用いて上記の厚さのフィルムとして作成することができる。
本発明の樹脂フィルム被覆鋼板においては、鋼板の片面に上記のいずれかのフィルムを被覆し、非樹脂フィルム被覆面には白色顔料を有する印刷下地層、印刷層、およびクリヤーニス層を塗布し、焼き付けるが、白色の印刷下地層として白色顔料を有する樹脂フィルムを被覆してもよい。樹脂フィルムとしては酸化チタンを5〜30重量%含有するポリエチレンテレフタレートフィルム、または共重合体中のエチレンイソフタレートが15モル%以下であるエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体からなるフィルムのいずれかであることが好ましい。フィルム厚さは5〜16μmであることが好ましい。5μm未満であると下地の鋼板の色調を完全に隠蔽することができず、16μmを超えると隠蔽効果が飽和してコスト的に有利でなくなる。
次に、上記の樹脂フィルムを被覆する鋼板について説明する。本発明の樹脂フィルム被覆鋼板に適用する鋼板としては、樹脂フィルムとの接着性が良好であることが不可欠である。樹脂フィルムとの接着性が良好な鋼板としては、下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物とからなる2層を形成させてなる表面処理鋼板(ティンフリースチール(TFS)、以下TFSという)や、鋼板表面に鉄露出部分が存在するように形成させた錫層と、錫層および鋼板表面の鉄露出部分を被覆するように形成させた下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物とからなる3層を形成させてなる表面処理鋼板(以下有錫TFSという)を挙げることができる。
本発明の樹脂フィルム被覆鋼板は、これらの表面処理鋼板のいずれかに、前記のいずれかの未延伸フィルムを常法の加熱圧接法を用いて積層することにより得ることができる。また、単層フィルムとして積層する場合は押出機から、2層フィルムとして積層する場合は共押出機から、直接表面処理鋼板上に押し出して積層してもよい。
以上のようにして作成される本発明の樹脂フィルム被覆鋼板の非樹脂フィルム被覆面に、白色顔料を有する印刷下地層、印刷層、およびクリヤーニス層を塗布し、焼き付けるか、または白色顔料を有する樹脂フィルムを被覆し、次いで印刷層、およびクリヤーニス層を塗布し、焼き付けて両面被覆鋼板とした後、絞り加工を施して本発明の絞り缶とする。すなわち、両面被覆鋼板からブランクを打ち抜き、常法により、樹脂フィルム被覆面が缶内面側となるようにして、1段または複数段の絞り加工を施して絞り缶とする。さらに本発明の樹脂フィルム被覆鋼板は、缶の上面と下面の面積が異なり、側壁が傾斜したテーパ缶や、缶体強度を増したりデザインの観点から側壁にビード部を設けるビード缶にも適用することができる。
以下、本発明を実施例にてさらに詳細に説明する。
(実施例)
板幅:860mm、板厚:0.18mm、テンパー:DR−8の長尺帯状の冷延鋼板に、常法により連続的に電解洗浄および酸洗を施した後、表1および表2に示す条件で連続的に表面処理を施し、表3に示す皮膜量を有する有錫TFSおよびTFSを作成した。
Figure 2006161054
Figure 2006161054
Figure 2006161054
次いで、表4に示す長尺の樹脂フィルム(無配向)を製膜し、公知の加熱圧接法を用いて上記の長尺の有錫TFSおよびTFSの片面に連続的に積層した。また、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体からなる2軸延伸フィルムを同様にしてTFSの片面に積層した。
Figure 2006161054
次いで長尺帯状の樹脂フィルム被覆鋼板を長さ:900mm毎に切断して切板とし、切板の非樹脂フィルム被覆面に酸化チタンを30重量%含有する白色のポリエステル系塗料を乾燥後の厚さが5〜10μmとなるように塗布し、ウィケットに載せ、195℃に加熱したオーブン中で10分間加熱し、乾燥焼き付けを行った。一部の長尺のTFSには片面に表4に示す樹脂フィルムを、他の片面に酸化チタンを20重量%含有するエチレンテレフタレート(88モル%)とエチレンイソフタレート(12モル%)(厚さ:12μm)の共重合体フィルム(無配向)を連続的に積層した後、同様にして切板とした。
次いで塗装焼き付けを終えた上記の切板の白色面に、赤色、黄色、青色、黒色の印刷層を印刷し、ウィケットに載せてオーブン中で加熱し、乾燥焼き付けた。乾燥焼き付けは各色の印刷を行った毎に、加熱温度:150℃、加熱時間:10分で実施し、合計4回実施した。印刷層を設けた後、各切板の印刷層上にクリヤーニスを乾燥後の厚さが2〜5μmとなるように塗布し、ウィケットに載せ、195℃に加熱したオーブン中で10分間加熱し、乾燥焼き付けを行い、下記の特性評価用の試料とした。
以上のように白色塗料の乾燥焼き付け、印刷層の乾燥焼き付け、クリヤーニスの乾燥焼き付けを行った後の試料の、ウィケットに背触した側の樹脂フィルムの押さえ跡の発生状況を肉眼観察し、下記の4段階の評点で評価した。評点3以上を合格範囲とした。
評点4:ウィケットの跡は殆ど認められない。
評点3:実用上問題とならない程度の僅かなウィケットの跡が認められる。
評点2:実用上問題となる程度のウィケットの跡が認められる。
評点1:ウィケットの跡がはっきり認められる。
評価結果を表5に示す。
次いで、白色塗料、印刷層、クリヤーニスの乾燥焼き付けを行った試料を下記のようにして絞り加工し、カップ状に成形した。すなわち、試料の樹脂フィルム被覆鋼板を直径:円板状のブランクに打ち抜き、白色面がカップ外面側となるようにして3段の絞り工程による総絞り比:2.5の絞り工程でカップ状に成形した。このカップ状体の樹脂フィルムの割れおよび剥離の発生状況を肉眼観察し、下記の4段階の評点で評価した。評点3以上を合格範囲とした。
評点4:樹脂フィルムの割れおよび剥離は認められない。
評点3:樹脂フィルムの剥離は認められないが、実用上問題とならない程度の僅かな割れが認められる。
評点2:実用上問題となる程度の割れおよび剥離が認められる。
評点1:加工部全体にウィケットの割れおよび剥離が認められる。
評価結果を表5に示す。
Figure 2006161054
表5に示すように、本発明の絞り缶用の樹脂フィルムは、この樹脂フィルムを鋼板の片面に被覆し、他面に白色塗料、印刷層、クリヤーニスを塗装し乾燥焼き付けする際に、樹脂フィルムが加熱したウィケットに接触しても押さえ跡が殆ど生じない。また本発明の樹脂フィルム被覆鋼板は、他面に白色塗料、印刷層、クリヤーニスを塗装し乾燥焼き付けた後、絞り加工を施してカップ状に成形しても樹脂フィルムに割れやクラックが生じず、絞り缶に好適に適用することができる。
表5の試料番号13、17、21、24、27、30、および32の試料の樹脂フィルム被覆鋼板を、1段絞り(絞り比:1.01)、2段絞り(総絞り比:1.96)、3段絞り(総絞り比:2.44)で、それぞれ高さの異なる缶径:65mmの円筒状の缶体に成形した。次いで缶体上部をトリミングした後、油漬けした魚肉を充填してから、それぞれの缶体の作成に用いた樹脂フィルム被覆鋼板から作成した天板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側となるようにして二重巻き締めして密封し、130℃で30分間高温蒸気中で殺菌処理した後、38℃で1年間経時したが、それぞれの試料からそれぞれの絞り比で作成した缶体において、いずれの缶体の腐食および内容物の漏洩は認められなかった。

Claims (8)

  1. ポリエチレンテレフタレート:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなる絞り缶用樹脂フィルム。
  2. エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなる絞り缶用樹脂フィルム。
  3. 上層がエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体フィルム、下層がポリエチレンテレフタレート:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなるフィルムからなる2層の絞り缶用樹脂フィルム。
  4. 上層がエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体フィルム、下層がエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートの共重合体:40〜80重量%と、ポリブチレンテレフタレート:60〜20重量%をブレンドしてなるフィルムからなる2層の絞り缶用樹脂フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の絞り缶用樹脂フィルムを鋼板の片面に積層してなる絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板。
  6. 前記鋼板が、前記鋼板表面に下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物とからなる2層を形成させてなる表面処理鋼板である、請求項5記載の絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板。
  7. 前記鋼板が、前記鋼板表面に露出部分が存在するように形成させた錫層と、錫層および鋼板表面の鉄露出部分を被覆するように形成させた下層の金属クロム層と上層のクロム水和酸化物とからなる3層を形成させてなる表面処理鋼板である、請求項5の絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の絞り缶用樹脂フィルム被覆鋼板の非樹脂フィルム被覆面に白色塗料塗布層を設けた絞り缶用鋼板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側となるように絞り加工してなる絞り缶。
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