JP2006160239A - 自動変速機のパーキング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 坂路駐車時において、パーキングレンジ抜き操作を行うに当たって、シフトレバーの操作力を低減でき、パーキングレンジから他のレンジへの移行に当たり車両にショックを与えることを防止でき、かつ、パーキングギア、パーキングポールおよび自動変速機全体の重量増加を招くことなく、車両の安全性を損ねることのない、自動変速機のパーキング装置を提供する。
【解決手段】 自動変速機の出力軸とともに回転するパーキングギアを設け、車両停車中に、シフトレバー1によりパーキングレンジを選択すると当該パーキングギアに係合して前記出力軸の回転を拘束するパーキングポールを設けてなる自動変速機のパーキング装置において、
車両停車中に、シフトレバー1によりパーキングレンジを選択した場合に、前記パーキングギアの前記パーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用する場合に、当該荷重をキャンセルするようにエンジントルクを増大補正するエンジントルク制御手段2を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車に用いられる自動変速機のパーキング装置に関するものである。
従来、自動変速機のパーキング装置としては、たとえば特許文献1に記載されているように(図7)、自動変速機の出力軸51にパーキングギア52を同軸に設け、当該パーキングギア52の外周側に隣接させて、パーキングギア52の周方向に隣接する複数の歯部52aの間に形成される歯溝52bに対して、パーキングギア52の半径方向に近接および離隔変位して、近接変位時には当該歯溝52bに係合する爪部53aを有するパーキングポール53を設け、さらに、当該パーキングポール53のパーキングギア52に対する近接および離隔変位をコントロールするための、シフトレバー54、セレクトロッド55a、マニュアルレバー55b、マニュアルプレート55c、パーキングロッド56からなるリンク機構を設けて構成されるものがある。
特開平11−1158号公報
ところが、このような形態の自動変速機のパーキング装置においては、出力軸51は、ここでは図示しないファイナルギアおよびディファレンシャルを介して車輪に連結されているため、坂路に駐車した場合には、当該坂路の路面勾配に比例した力が車体に作用して、車輪が転がろうとするため、それを拘束するパーキングギア52とパーキングポール53との係合部分である爪部53aおよび歯溝52bには当該坂路の路面勾配に比例した荷重が作用することになる。このため、シフトレバー54をパーキングレンジから他のレンジに移行(パーキングレンジ抜き操作)させようとすると、平坦路に駐車した場合に比して、シフトレバー54を動かすために必要な操作力はより大きなものとなり、かつ、大きな荷重がかかった状態にてパーキングギア52からパーキングポール53を離隔変位させなければならないため、パーキングレンジ抜き操作に当たり車体に大きなショックを与えてしまうという問題点があった。
このような問題点を解決する一手段として、パーキングギア52とパーキングポール53との係合部分の接触面圧を下げるために、パーキングギア52の幅もしくは径および、パーキングポール53の爪部53aの幅をともに大きくすることも考えられるが、その効果は、車輪径、ファイナルギアレシオ、レバー比等の条件によりおのずと制約があり、それぞれの重量増加および自動変速機自体の重量増加を伴ってしまうため好ましくなく、パーキングポール53の爪部53aがパーキングギア52からあまりに抜けやすくすると、車両として安全でない方向となるので好ましくないという問題があった。また、シフトレバー54の操作力を低減するために、油圧制御により操作力をアシストすることも考えられるが、これも大幅な重量増加やコストの増大を招いてしまうという問題点があった。
本発明の目的は、上述した課題を解決することであり、坂路駐車時において、パーキングレンジ抜き操作を行うに当たって、シフトレバーの操作力を低減でき、パーキングレンジから他のレンジへの移行に当たり車両にショックを与えることを防止でき、かつ、パーキングギア、パーキングポールおよび自動変速機全体の重量増加を招くことなく、車両の安全性を損ねることのない、自動変速機のパーキング装置を提供することにある。
請求項1に係る自動変速機のパーキング装置は、自動変速機の出力軸とともに回転するパーキングギアを設け、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択すると当該パーキングギアに係合して前記出力軸の回転を拘束するパーキングポールを設けてなる自動変速機のパーキング装置において、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、前記パーキングギアの前記パーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用する場合に、当該荷重をキャンセルするように原動機トルクを増大補正する原動機トルク制御手段を備えることを特徴とする。
請求項2に係わる自動変速機のパーキング装置は、請求項1に記載の自動変速機のパーキング装置において、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、前記原動機トルク制御手段により、路面勾配を計算するとともに、当該路面勾配に応じて、原動機トルクを増大補正することを特徴とする。
請求項1に係る自動変速機のパーキング装置によれば、坂路に駐車した場合において、パーキングギアのパーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用しても、当該荷重をキャンセルするように原動機トルク制御手段が原動機トルクを増大補正して、当該係合部に作用する荷重を低減することができるため、パーキングレンジ抜き操作を行うに当たって、シフトレバーの操作力を低減して、非力な運転者でも操作を容易なものとすることができ、パーキングレンジから他のレンジへの移行に当たり、パーキングポールをパーキングギアから抜く際に車両にショックを与えることを防止することができる。さらに、パーキングギア、パーキングポールの幅および径を変更しないので、自動変速機全体の重量増加を招くこともなく、かつ、駐車時にパーキングポールがパーキングギアに対して抜けやすくなって、車両の安全性を損ねることも防止することができる。さらに油圧制御により操作力をアシストすることに比べて、重量増加やコストの増大を招くことを防止することができる。
また、請求項2に係わる自動変速機のパーキング装置によれば、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、前記原動機トルク制御手段により、路面勾配を計算するとともに、当該路面勾配に応じて、原動機トルクを増大補正するため、制御パラメータとして、計測が容易で、計測に当たり新たな計測手段が必要でない、路面勾配を使用することにより、原動機トルクの増大補正の制御をより容易なものとすることができる。
なお、本明細書中において、駐車とは、停車中においてシフトレバーによりパーキングレンジを選択した状態を言うものとする。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下に示す図1〜図5は、「原動機」が「エンジン」である場合の実施形態を示し、図1〜図5中の表記およびそれに伴う説明の中では、請求項1〜10中での、「原動機トルク」は「エンジントルク」と、「原動機トルク制御手段」は「エンジントルク制御手段」と記載するものとする。
図1は本発明に係る自動変速機のパーキング装置の一実施形態を示すシステム構成図である。
この自動変速機のパーキング装置は、図示しない自動変速機の出力軸とともに回転する図示しないパーキングギアを設け、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択すると当該パーキングギアに係合して前記出力軸の回転を拘束する図示しないパーキングポールを設けてなるものであって、車両停車中に、シフトレバー1によりパーキングレンジを選択した場合に、前記パーキングギアの前記パーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用する場合に、当該荷重をキャンセルするようにエンジントルクを増大補正するエンジントルク制御手段としての自動変速機コントローラ2を備え、(請求項1に相当)当該エンジントルク制御手段が、車両停車中に、シフトレバー1によりパーキングレンジを選択した場合に、路面勾配を計算するとともに、当該路面勾配に応じて、エンジントルクを増大補正することを特徴とする。(請求項2に相当)
請求項1および2に相当する構成による作用効果は、発明の効果において説明したのでここでは割愛する。
なおここでは図示しないが、エンジントルクを増大補正して、パーキングギアとパーキングポールとの係合部に作用する荷重を下げて、パーキングレンジ抜き操作における、シフトレバーの操作力を低減するためには、自動変速機の入力軸と出力軸とは直結されていることが前提となる。つまり、有段の自動変速機では、上りの勾配の路面においては例えば前進一速を選択し、下りの勾配においては後進を選択する。また、無段の自動変速機(CVT)においては、上りの勾配の路面においては、前進クラッチを締結し、下りの勾配の路面においては後退ブレーキを締結する。
さらにシフトレバー1により選択したレンジを検出するインヒビタースイッチ3を自動変速機4内に設け、運転者のシフトレバー1の操作力を検出する歪ゲージ5を設け、検出されたレンジと操作力とに基づいて、パーキングレンジから他のレンジへのパーキングレンジ抜き操作が開始されたと判断する、ここでは図示しないパーキングレンジ抜き操作判断手段(ここでは自動変速機コントローラ2に内蔵)を具えるとともに、エンジントルク制御手段としての自動変速機コントローラ2は、前記パーキングレンジ抜き操作判断手段がパーキングレンジ抜き操作が開始されたと判断したときに、パーキングレンジ抜き操作判断手段からエンジントルク制御手段に指令を出力し、当該指令に基づき、エンジントルク制御手段が前記エンジントルクの増大補正を開始して、エンジンコントローラ6にその指令を出力する。(請求項7に相当)
なお、図中、矢印は電気的信号を示し、インヒビタースイッチ3とシフトレバー1との間の実線は機械的に連結されていることを示す。
請求項7に相当する構成によれば、簡単な構成により、運転者がシフトレバーにより選択したレンジと、運転者のシフトレバー1の操作力とを検出して、パーキングレンジ抜き操作判断手段が、パーキングレンジ抜き操作が開始されたと判断することができ、この判断に基づき、必要な場合のみに、エンジントルク制御手段が、エンジントルクの増大補正を行うことができる。
加えて、エンジントルク制御手段としての自動変速機コントローラ2は、パーキングレンジ抜き操作が終了されたとパーキングレンジ抜き操作判断手段(ここでは自動変速機コントローラ2に内蔵)が判断したとき、より具体的には、インヒビタースイッチ3により、パーキングレンジから他のレンジ(ニュートラル、ドライブ、リバース等)に完全に切り替わったことを検出して、それにより、パーキングレンジ抜き操作が終了されたとパーキングレンジ抜き操作判断手段が判断したときに、前記エンジントルクの増大補正を終了する。(請求項8に相当)
請求項8に相当する構成によれば、簡単な構成により、エンジントルク制御手段が、運転者がシフトレバーにより選択したレンジを検出して、パーキングレンジ抜き操作が終了されたとパーキングレンジ抜き操作判断手段が判断したときに、エンジントルクの増大補正を終了して、増大補正終了後は通常の制御に復帰させることができる。これにより、必要な場合のみに、エンジントルクの増大補正を行うことができる。
図2は、本発明に係わる自動変速機のパーキング装置における、エンジントルクの増大補正開始のパターンを示す模式図である。
図2に示すように、エンジントルク制御手段がエンジントルクの増大補正を開始するにあたっては、エンジントルクを複数段階状に増大させることが好ましい。(請求項9に相当)
これによれば、エンジントルクの増大を開始するに当たっての、当該エンジントルクの変動を最小限に抑えるとともに、増大に当たって発生しがちなエンジントルクのオーバーシュートを抑制することができる。
図3は、本発明に係わる自動変速機のパーキング装置における、エンジントルクの増大補正終了のパターンを示す模式図である。
エンジントルク制御手段がエンジントルクの増大補正を終了するに当たり、エンジン水温が低温である場合には、当該エンジントルクを複数段階状に減少させる。(請求項10に相当)
これによれば、エンジントルクの増大補正を終了するに当たって、例えば、図3中Aに示すように、エンジン水温が低温(0℃程度以下)の状況下において、一段でエンジントルクを下げる場合には、エンジントルクがアンダーシュートして機械抵抗を下回ってしまうことによりエンジンストールが発生してしまうところを、図3中Bに示すように複数段階状に減少させることにより、エンジントルクのアンダーシュートを抑制して、エンジンストールが発生することを防止することができる。
図4は、本発明に係わる自動変速機のパーキング装置における、制御内容を示すフローチャートである。
前述したエンジントルク制御手段たる自動変速機コントローラにおいて、路面勾配θを演算し(S1)、車速=0である場合に(S2)、路面勾配θ>0であれば(S3)、前進側のエンジントルクを演算し(S4)、路面勾配θ<0であれば(S5)、後退側のエンジントルクを演算する(S6)。
この後、パーキングレンジ抜き操作の開始を検知すると(S7)、車速=0における路面勾配θにつりあうエンジントルクを発生させ(S8)、パーキングレンジ抜き操作の終了を検知すると(S9)、エンジントルクの増大補正を終了して通常の制御に復帰する(S10)。
図4は、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、エンジントルク制御手段により、路面勾配を計算するとともに、当該路面勾配に応じて、エンジントルクを増大補正すること(請求項2に相当:S4、S6)と、エンジントルク制御手段が、前記路面勾配につりあうようにエンジントルクを増大補正すること(請求項3に相当:S8)を含む制御内容となっている。
加えて、請求項7(S7)、請求項8(S9)も包含しているが、これによる作用効果については、先に説明したのでここでは説明を割愛する。
なお、エンジントルク制御手段たる自動変速機コントローラにおいて、路面勾配θを計算するにあたっては、スロットル開度とエンジン回転数から、自動変速機コントローラで設定しているトルクマップによりエンジントルクを算出し、平坦であればある車速VTに達することが予測できるところを、路面勾配θにより、実際の速度VAはVTより小さくなることに着目し、その差(VT−VA)と車両重量Wから、路面勾配θを算出する。
あるいは、自動変速機の入出力回転数の差からも算出可能である。
請求項2に相当する構成の作用効果は、発明の効果において説明したので割愛する。請求項3に相当する構成によれば、路面勾配による勾配抵抗と停止時の走行抵抗とを合計した抵抗に釣り合うエンジントルクを発生させることにより、路面勾配のある路面に駐車した場合に、前記パーキングギアの前記パーキングポールとの係合部に作用する荷重をより正確に打ち消して、パーキングギアからパーキングポールを引き抜く力を平坦路に駐車した場合と同等とすることができる。
図5は、本発明に係わる自動変速機のパーキング装置における、他の制御内容を示すフローチャートである。
前述したエンジントルク制御手段たる自動変速機コントローラにおいて、路面勾配θを演算し(S11)、車速=0である場合に(S12)、路面勾配θ>0であり(S13)、路面勾配θの絶対値が所定値以上であれば(S14)、前進側のエンジントルクを演算し(S15)、路面勾配θ<0であり(S16)、路面勾配θの絶対値が所定値以上であれば(S17)、後退側のエンジントルクを演算する(S18)。
この後、パーキングレンジ抜き操作の開始を検知すると(S19)、車速=0における路面勾配θにつりあうエンジントルクを発生させ(S20)、パーキングレンジ抜き操作の終了を検知すると(S21)、エンジントルクの増大補正を終了して通常の制御に復帰する(S22)。
図5は、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、エンジントルク制御手段により、路面勾配を計算するとともに、当該路面勾配に応じて、エンジントルクを増大補正すること(請求項2に相当:S15、S18)と、エンジントルク制御手段が、前記路面勾配につりあうようにエンジントルクを増大補正すること(請求項3に相当:S20)、および、エンジントルク制御手段が、前記路面勾配が所定値以上である場合に、エンジントルクを増大補正すること(請求項4に相当:S14、S17)を含む制御内容となっている。
加えて、請求項7(S19、S20)、請求項8(S21、S22)も包含しているが、これによる作用効果については、先に説明したのでここでは説明を割愛する。
請求項2に相当する構成の作用効果は、発明の効果で説明したので割愛する。請求項3に相当する構成の作用効果も、先に説明したので割愛する。
請求項4に相当する構成によれば、路面勾配θが所定値以上である場合のみに、エンジントルクを増大補正することにより、エンジントルクの増大が必要となる路面勾配、つまりは、運転者がシフトレバーを操作しにくくなる路面勾配以上の路面に駐車した場合にのみ、エンジントルクの増大補正を行うことができる。ただし、パーキングレンジ抜き操作は、フットブレーキを運転者が踏み込んだ場合にしかできない操作であるため、エンジントルクの増大の必要がない路面勾配においてエンジントルクを増大補正しても、車両が発進することはない。
なお、請求項4に記載の所定値は、自動変速機を使用したA/T車のクリープ力とつりあう路面勾配より大とすることもできるし(請求項5に相当)、その絶対値を30%以上とすることもできる。(請求項6に相当)
請求項5に相当する構成によれば、クリープ力とつりあう路面勾配より小さい路面勾配に駐車した場合において、不要なエンジントルクの増大を行うことを回避することができ、請求項6に相当する構成によれば、実際に運転者がシフトレバーを操作するに当たり、大きな操作力が必要となる30%の路面勾配以上の路面に駐車した場合にのみ、必要なエンジントルクの増大補正を行うことができ、これによっても不要なエンジントルクの増大を行うことを回避することができる。
なお、図4および図5において、ともに図示はしていないが、駐車時に、一旦イグニッションキーをオフとした場合には、演算した路面勾配θおよびエンジントルクのデータは、エンジントルク制御手段である自動変速機コントローラに記憶され、再度、イグニッションキーをオンとした場合に、当該データを呼び起こす作業を行うものとする。
以上原動機をエンジンとした場合の構成について述べたが、原動機をハイブリッド車もしくは電気自動車のモータとすることもできる。以下に原動機をハイブリッド車のモータとした場合の構成を示す。
図6は、本発明に係る自動変速機のパーキング装置をハイブリッド車に適用した場合のシステム構成図である。図6に伴う説明の中では、請求項1〜10中での、「原動機トルク」は「モータトルク」と、「原動機トルク制御手段」は「モータトルク制御手段」と記載するものとする。
図6中11は自動変速機コントローラを示し、勾配センサ12からの勾配データ、シフトレバー14に設けたインヒビタースイッチ15からのシフトレバー位置に基づき、原動機としてのモータ13のトルク増大補正量を算出して、その指令値をモータ13に出力する。加えて、自動変速機コントローラ11は、エンジン16および自動変速機17および自動変速機17のシフトを行うアクチュエータ18にも電気的に接続されて、エンジン16の回転数の制御、自動変速機17の制御を行っている。エンジン16は自動変速機17および図示しないデファレンシャルを介して車輪Wに駆動連結され、モータ13は図示しないデファレンシャルを介して車輪Wに駆動連結される。なお、前述したように、勾配データはスロットル開度とエンジン回転数から、あるいは、自動変速機の入出力回転数の差から、自動変速機コントローラ11において算出することも可能である。
このシステム構成において、自動変速機のパーキング装置として、自動変速機17内には、図示しない出力軸とともに回転する図示しないパーキングギアが設けられ、車両停車中に、シフトレバー14によりパーキングレンジを選択すると当該パーキングギアに係合して前記出力軸の回転を拘束する図示しないパーキングポールが設けられる。加えて、前記自動変速機コントローラ11が、車両停車中に、シフトレバー14によりパーキングレンジを選択した場合に、パーキングギアのパーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用する場合に、当該荷重をキャンセルするようにモータ13のトルクを増大補正する、モータトルク制御手段として機能する。(請求項1に相当)
図6に示した構成においても、原動機をエンジンとした場合と同様に、坂路に駐車した場合において、パーキングギアのパーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用しても、当該荷重をキャンセルするようにモータトルク制御手段がモータトルクを増大補正して、当該係合部に作用する荷重を低減することができるため、パーキングレンジ抜き操作を行うに当たって、シフトレバーの操作力を低減して、非力な運転者でも操作を容易なものとすることができ、パーキングレンジから他のレンジへの移行に当たり、パーキングポールをパーキングギアから抜く際に車両にショックを与えることを防止することができる。さらに、パーキングギア、パーキングポールの幅および径を変更しないので、自動変速機全体の重量増加を招くこともなく、かつ、駐車時にパーキングポールがパーキングギアに対して抜けやすくなって、車両の安全性を損ねることも防止することができる。さらに油圧制御により操作力をアシストすることに比べて、重量増加やコストの増大を招くことを防止することができる。さらに、請求項2〜9に相当する構成を適用して、それに対応する作用効果を得られることはもちろんである。
さらに、図6に示した構成においては、原動機をエンジンとした場合に比べて、以下に述べる付加的な作用効果を得ることができる。
まず、原動機をエンジンとした場合においては、坂路に駐車して、シフトレバーをパーキングレンジからドライブレンジとした場合に、その前段階として、原動機としてのエンジンのトルクを増大補正して、パーキングギアのパーキングポールとの係合部の荷重を低減するに当たって、自動変速機の入力軸と出力軸とは直結されていることが前提となり、下りの勾配においては、無段の自動変速機(CVT)においては、一旦後退ブレーキを締結する必要があるために、後退ブレーキを解放して、前進クラッチを締結しなおすためのタイムラグが大きくなってしまうが、図6に示した、原動機をモータとした構成においては、常に車輪に駆動連結されたモータのトルクを増大補正して、自動変速機を介さずに前記係合部の荷重を低減するため、そのタイムラグをなくすことができる。
加えて、原動機をエンジンとした場合においては、エンジンのトルクを前記係合部に伝達するに当たり、自動変速機を介する必要があり、特に有段の自動変速機においてはシフトチェンジをコントロールバルブを用いて行っているため、その応答性を高めることが困難であるが、図6に示した原動機をモータとして構成においては、常に車輪に駆動連結されたモータにより、自動変速機を介さずに、前記係合部にトルクを伝達するため、その応答性を高めることができる。
さらに、原動機をエンジンとして、無段の自動変速機(CVT)を使用した場合に比べて、前進クラッチおよび後退ブレーキの締結あるいは解放の頻度を少なくして、耐久性を高めることができるとともに、エンジントルクの替わりにモータトルクを増大補正することにより、エンジンの燃費の悪化を防止することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。
本発明の自動変速機のパーキング装置は、自動変速機を用いたA/T車あるいはハイブリッド車や電気自動車に用いて好適なものであり、運転者の操作性を向上するとともに、パーキングレンジ抜き操作時における車両へのショックを和らげることができるものである。
本発明に係る自動変速機のパーキング装置の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る自動変速機のパーキング装置のエンジントルクの増大補正の開始の制御内容を示す模式図である。 本発明に係る自動変速機のパーキング装置のエンジントルクの増大補正の終了の制御内容を示す模式図である。 本発明に係る自動変速機のパーキング装置の制御内容の一実施形態を示す模式図である。 本発明に係る自動変速機のパーキング装置の制御内容の他の実施形態を示す模式図である。 本発明に係る自動変速機のパーキング装置をハイブリッド車に適用した場合のシステム構成図である。 従来の自動変速機のパーキング装置を示す模式図である。
符号の説明
1 シフトレバー
2 自動変速機コントローラ
3 インヒビタースイッチ
4 自動変速機
5 歪ゲージ
6 エンジンコントローラ
11 自動変速機コントローラ
12 勾配センサ
13 モータ
14 シフトレバー
15 インヒビタースイッチ
16 エンジン
17 自動変速機
51 出力軸
52 パーキングギア
52a 歯部
52b 歯溝
53 パーキングポール
53a 爪部
54 シフトレバー
55a セレクトロッド
55b マニュアルレバー
55c マニュアルプレート
56 パーキングロッド

Claims (10)

  1. 自動変速機の出力軸とともに回転するパーキングギアを設け、車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択すると当該パーキングギアに係合して前記出力軸の回転を拘束するパーキングポールを設けてなる自動変速機のパーキング装置において、
    車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、前記パーキングギアの前記パーキングポールとの係合部に平坦路に駐車した場合よりも大きな荷重が作用する場合に、当該荷重をキャンセルするように原動機トルクを増大補正する原動機トルク制御手段を備えることを特徴とする自動変速機のパーキング装置。
  2. 車両停車中に、シフトレバーによりパーキングレンジを選択した場合に、前記原動機トルク制御手段により、路面勾配を計算するとともに、当該路面勾配に応じて、原動機トルクを増大補正することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のパーキング装置。
  3. 前記原動機トルク制御手段が、前記路面勾配につりあうように原動機トルクを増大補正することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機のパーキング装置。
  4. 前記原動機トルク制御手段が、前記路面勾配が所定値以上である場合に、原動機トルクを増大補正することを特徴とする請求項3に記載の自動変速機のパーキング装置。
  5. 前記所定値を、自動変速機を使用したA/T車のクリープ力とつりあう路面勾配より大とすることを特徴とする請求項4に記載の自動変速機のパーキング装置。
  6. 前記所定値の絶対値を30%以上とすることを特徴とする請求項4に記載の自動変速機のパーキング装置。
  7. シフトレバーにより選択したレンジを検出するインヒビタースイッチと、運転者のシフトレバーの操作力を検出する歪ゲージと、前記レンジと前記操作力とに基づいて、パーキングレンジから他のレンジへのパーキングレンジ抜き操作が開始されたと判断するパーキングレンジ抜き操作判断手段とを具えるとともに、前記原動機トルク制御手段は、前記パーキングレンジ抜き操作判断手段がパーキングレンジ抜き操作が開始されたと判断したときに、前記原動機トルクの増大補正を開始することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の自動変速機のパーキング装置。
  8. シフトレバーにより選択したレンジを検出するインヒビタースイッチを具え、前記原動機トルク制御手段は、当該レンジによりパーキングレンジ抜き操作が終了されたとパーキングレンジ抜き操作判断手段が判断したときに、前記原動機トルクの増大補正を終了することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の自動変速機のパーキング装置。
  9. 前記原動機トルク制御手段が原動機トルクの増大補正を開始するにあたり、当該原動機トルクを複数段階状に増大させることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の自動変速機のパーキング装置。
  10. 前記原動機がエンジンである場合に、前記原動機トルク制御手段が原動機トルクの増大補正を終了するに当たり、エンジン水温が低温である場合には、当該原動機トルクを複数段階状に減少させることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の自動変速機のパーキング装置。
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