JP2006159926A - 安全タイヤの中空粒子の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤ気室内に充填した中空粒子を、環境汚損等を招くことなく簡易に回収する。
【解決手段】 タイヤ1の、リム2への装着姿勢の下で、タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室内3に、熱膨張可能な中空粒子4の多数個を封入してなる安全タイヤの中空粒子を回収するに当り、タイヤ気室3への充填内圧を排出した後、リムのバルブ取付口14から差し込んだ吸引ノズル15により、タイヤ気室3の内外間での空気の流動下で中空粒子4を吸引して、それをトラップによって捕集する。
【選択図】図3
【解決手段】 タイヤ1の、リム2への装着姿勢の下で、タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室内3に、熱膨張可能な中空粒子4の多数個を封入してなる安全タイヤの中空粒子を回収するに当り、タイヤ気室3への充填内圧を排出した後、リムのバルブ取付口14から差し込んだ吸引ノズル15により、タイヤ気室3の内外間での空気の流動下で中空粒子4を吸引して、それをトラップによって捕集する。
【選択図】図3
Description
この発明は、タイヤが外傷等を受けることによってパンク状態となってなお、必要とされる距離を安全に継続走行することができる他、受傷前の定常走行時における耐久性、乗心地性等にすぐれ、しかも、タイヤの生産性を損ねることなく、汎用のリムに装着して使用に供される安全タイヤに適用した微細な中空粒子を、飛散による環境汚損等のおそれなしに回収する、安全タイヤの中空粒子の回収方法に関するものである。
タイヤの、リムへの装着姿勢の下で、タイヤとリムとで区画された空間内へ、樹脂による連続相と、大気圧より高圧に保持された独立気泡とからなる気泡含有粒子を多数個封入してなる安全タイヤは、たとえば、出願人の先の提案に係る特許文献1に記載されている。
この安全タイヤでは、タイヤが受傷して内圧が低下し始めると、気泡含有粒子が受傷部を封止し、急激な内圧低下が抑制される一方で、タイヤ内圧の低下に伴いタイヤの撓み量が増加し、タイヤ内容積が減少することによって、気泡含有粒子そのものが直接的に荷重を負担することとなり、その後の走行に必要な最低限のタイヤ内圧を保持することとなるとし、また、受傷前のタイヤ内圧下で存在していた気泡含有粒子の独立気泡中の気泡内圧力は、受傷後も上記のタイヤ内圧に準じた圧力を保ったまま、言い換えれば、受傷前の気泡含有粒子総体積を保持したままタイヤ内に存在することになるので、タイヤがさらに転動することによって、気泡含有粒子そのものが直接的に荷重を負担しつつ気泡含有粒子同士が摩擦を引き起して自己発熱し、これにより、タイヤ内の気泡含有粒子温度が急上昇して、該温度が気泡含有粒子の連続相を形成する樹脂の軟化温度を越えると、気泡含有粒子の独立気泡中の気泡内圧力が受傷前のタイヤ内圧に準じた圧力であるのに加え、前記気泡含有粒子温度の急上昇によりさらに気泡内圧力が上昇するため、気泡含有粒子が一気に体積膨張し、タイヤ内圧は受傷前の状態に近い圧力まで復活することになるとする。
また、出願人の最近の提案に係る安全タイヤとしては、たとえば特願2004−329301号にあるように、タイヤをリムに装着し、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に熱膨張が可能な樹脂による連続相と独立気泡とからなる中空粒子を、5vol%以上80vol%以下の充填率で充填するとともに、大気圧下での30℃における湿度を70%以下に調整した気体を充填したものがある。
この安全タイヤによってもまた、タイヤ受傷部の傷口を、中空粒子をもって塞ぐとともに、タイヤ気室内の中空粒子をタイヤの負荷転動に伴って熱膨張させて、体積増加させ、これによって、そのタイヤ気室内圧を回復させることで、必要とされる距離の、継続した安全走行を担保することができる。
特開2003−118312号公報
ところで、この種の安全タイヤにおいては、リムに装着したタイヤが摩耗してその寿命を全うした場合、同一リムに装着されるタイヤを、夏用タイヤと冬用タイヤとの間で変更する場合、タイヤがパンクしてランフラット走行を行って、タイヤの修理ないしは交換場所に到達した場合などのように、タイヤの、リムからの取り外しが必要となるときは、タイヤ気室内に充填した、たとえば10〜500μm程度の微細な粒径の、気泡含有粒子をも含む中空粒子を、そのタイヤ気室内から予め回収することが、中空粒子の飛散に起因する環境汚損等を防ぐ上で重要である。
そこでこの発明は、タイヤ気室内に充填した中空粒子を環境汚損等を招くことなく簡易に回収することができる技術を提供する。
この発明の、安全タイヤの中空粒子の回収方法は、タイヤの、リムへの装着姿勢の下で、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に、樹脂よりなる、一もしくは複数の小部屋を含む連続相と、それに囲まれた、一もしくは複数の独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子の多数個を、加圧下で封入してなる安全タイヤの中空粒子を回収するに当って、タイヤ気室への充填内圧を排出し、次いで、リムのバルブ取付口から差し込んだノズルにより、タイヤ気室の内外間での空気の流動下で中空粒子を吸引して、その中空粒子を、液膜フィルタその他のフィルタとすることができるトラップによって捕集するにある。
ここで好ましくは、充填内圧の排出を、リムのバルブ取付口に装着したフィルタ付きのバルブを介して行い、また好ましくは、中空粒子の吸引および捕集のそれぞれを、掃除機の作動によって行う。
この発明に係る中空粒子の回収方法によれば、タイヤ気室内の充填内圧を排出した後に、バルブ取付口から差し込んだ吸引ノズルをもって、そのタイヤ気室内の中空粒子を吸引するとともに、その中空粒子をトラップで捕集することで、微細な粒径の中空粒子を、簡易に、かつ効率良く回収することができる。
これがため、その後に続く、タイヤの、リムからの取り外しに際しては中空粒子の、意図しない飛散等のおそれを有効に取り除くことができる。
なおこの一方で、回収した中空粒子については、それ自体を再利用すること、または、内包ガスもしくは樹脂連続相を再利用することにより、省資源および経済上の利点をもたらすことができる。
そして、中空粒子をこのようにして回収する場合において、タイヤ気室内への充填内圧の排出を、リムのバルブ取付口に装着したフィルタ付きのバルブを経て行うときは、内圧の排出に伴う中空粒子の飛散のおそれを有効に取り除いて、環境上、経済上等の利点をより高めることができる。
ところで、中空粒子の吸引および捕集を掃除機によって行う場合には、中空粒子の回収を大がかりな特別の装置を準備することなく簡単に行うことができる。
図1は、この発明に係る回収方法の対象とすることができる安全タイヤを例示する幅方向断面図である。
図示の安全タイヤは、タイヤ1をリム2に装着し、該タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室3内に、樹脂よりなる連続相と、独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子4の多数を、加圧下で充填配置してなる。
なおここで、タイヤ1は、規格に従う各種自動車用タイヤ、たとえば、トラックやバス用タイヤ、乗用車用タイヤ等であれば、特に構造を限定する必要はない。すなわち、この発明はタイヤとリムとの組立体になるすべての安全タイヤに適用できる技術であり、図示のタイヤは、1対のビードコア5間でトロイド状に延びるカーカス6のクラウン部に、その半径方向外側へ順にベルト7およびトレッド8を配設してなる一般的な自動車用タイヤである。
図において、符号9は、タイヤ気室3に対する加圧気体の給排気バルブを、10はインナーライナー層をそれぞれ示し、11はサイド部を、そして12は、中空粒子4の周囲の空隙をそれぞれ示す。
図示の安全タイヤは、タイヤ1をリム2に装着し、該タイヤ1とリム2とで区画されたタイヤ気室3内に、樹脂よりなる連続相と、独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子4の多数を、加圧下で充填配置してなる。
なおここで、タイヤ1は、規格に従う各種自動車用タイヤ、たとえば、トラックやバス用タイヤ、乗用車用タイヤ等であれば、特に構造を限定する必要はない。すなわち、この発明はタイヤとリムとの組立体になるすべての安全タイヤに適用できる技術であり、図示のタイヤは、1対のビードコア5間でトロイド状に延びるカーカス6のクラウン部に、その半径方向外側へ順にベルト7およびトレッド8を配設してなる一般的な自動車用タイヤである。
図において、符号9は、タイヤ気室3に対する加圧気体の給排気バルブを、10はインナーライナー層をそれぞれ示し、11はサイド部を、そして12は、中空粒子4の周囲の空隙をそれぞれ示す。
上記中空粒子4は、略球形状の樹脂による連続相で囲まれた独立気泡を有する、たとえば粒径が10μm〜500μm程度の範囲で粒径分布を持った中空体、あるいは、独立気泡による小部屋の多数を含む海綿状構造体である。すなわち、該中空粒子4は、外部と連通せずに密閉された独立気泡を内包する粒子であり、該独立気泡の数は単数であってもよいし、複数であってもよい。この明細書では、この『中空粒子群の独立気泡内部』を総称して『中空部』と表現する。
また、この粒子が独立気泡を有することは、該粒子が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指し、さらに、樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成は後述のとおりである。
また、この粒子が独立気泡を有することは、該粒子が独立気泡を密閉状態で内包するための『樹脂製の殻』を有することを指し、さらに、樹脂による連続相とは、この『樹脂製の殻を構成する成分組成上の連続相』を指す。なお、この樹脂製の殻の組成は後述のとおりである。
この中空粒子4の多数個である中空粒子群は、高圧気体とともにタイヤ気室3の内側に充填配置することによって、通常の使用条件下ではタイヤの『使用内圧』を部分的に担うと共に、タイヤ1の受傷時には、タイヤ気室3内の失った圧力を復活させる機能を発現する源となる。この『内圧復活機能』については後述する。
ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車両毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
ここで、『使用内圧』とは、『自動車メーカーが各車両毎に指定した、装着位置ごとのタイヤ気室圧力値(ゲージ圧力値)』を指す。
ところで、中空粒子はその原料である『膨張性樹脂粒子』、すなわちガス成分を液体状態の発泡剤として樹脂に封じ込めた粒子を加熱膨張することにより得られ、この膨張性樹脂粒子には膨張開始温度Ts1が存在する。
更に、この加熱膨張によって得られた中空粒子を室温から再度加熱すると、中空粒子は更なる膨張を開始し、ここに中空粒子の膨張開始温度Ts2が存在する。発明者らは、これまで多くの膨張性樹脂粒子から中空粒子を製造し検討を重ねてきた結果、Ts1を膨張特性の指標としてきたが、中空粒子の膨張特性の指標としてはTs2が適切であることを見出すに到った。
更に、この加熱膨張によって得られた中空粒子を室温から再度加熱すると、中空粒子は更なる膨張を開始し、ここに中空粒子の膨張開始温度Ts2が存在する。発明者らは、これまで多くの膨張性樹脂粒子から中空粒子を製造し検討を重ねてきた結果、Ts1を膨張特性の指標としてきたが、中空粒子の膨張特性の指標としてはTs2が適切であることを見出すに到った。
すなわち、膨張性樹脂粒子を加熱膨張させる場合における膨張挙動を観察したところ、膨張性樹脂粒子は膨張する前の段階にあるため、中空粒子の状態に比して粒径が極端に小さく、樹脂製の殻部の厚さが極端に厚いため、マイクロカプセルとしての剛性が高い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で樹脂製の殻部の連続相がガラス転移点を越えても、更なる加熱により殻部がある程度柔らかくなるまでは、内部ガスの拡張力が殻部の剛性にうち勝つことが出来ない。よって、Ts1は実際の殻部のガラス点移転よりも高い値を示す。
この一方で、中空粒子を再度加熱膨張させる場合には、中空粒子の殻部の厚さが極端に薄く、中空体としての剛性が低い状態にある。したがって、加熱膨張の過程で殻部の連続相がガラス転移点を越えると同時に膨張を開始するため、Ts2はTs1より低い位置づけとなる。
そこで、図示の安全タイヤでは、一旦膨張させた中空粒子の更なる膨張特性を活用する。この場合、中空粒子のTs2は、90℃以上200℃以下であることが好ましい。
これはすなわち、中空粒子のTs2が90℃未満では、常用走行時のタイヤ気室内の温度環境下にて膨張するおそれがあるからであり、一方200℃を超えると、パンク受傷後のランフラット走行において、中空粒子の摩擦発熱に起因する急激な温度上昇が起こっても、Ts2に達することが出来ない場合があり、よって目的とする『内圧復活機能』を十分に発現させることが出来なくなる場合がある。
これはすなわち、中空粒子のTs2が90℃未満では、常用走行時のタイヤ気室内の温度環境下にて膨張するおそれがあるからであり、一方200℃を超えると、パンク受傷後のランフラット走行において、中空粒子の摩擦発熱に起因する急激な温度上昇が起こっても、Ts2に達することが出来ない場合があり、よって目的とする『内圧復活機能』を十分に発現させることが出来なくなる場合がある。
次に、中空粒子の中空部(独立気泡)を構成する気体としては、窒素、空気、炭素数が2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数が2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(I):
R1−O−R2・・・・ (I)
(式中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
R1−O−R2・・・・ (I)
(式中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物、からなる群の中から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
ところで、タイヤ気室3内に充填する気体は空気でも良いが、上記粒子中の気体がフルオロ化物でない場合には、安全性の面から酸素を含まない気体、たとえば窒素や不活性ガス等が好ましい。
なお、独立気泡を有する中空粒子を得る方法は特に限定されないが、発泡剤を用いて『膨張性樹脂粒子』を作製し、これを加熱膨張させる方法が一般的である。
この発泡剤としては、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用する手法、熱分解によって気体を発生する熱分解性発泡剤を活用する手法などを挙げることができる。
この発泡剤としては、高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用する手法、熱分解によって気体を発生する熱分解性発泡剤を活用する手法などを挙げることができる。
後者の熱分解性発泡剤には窒素を発生させる特徴のあるものが多く、これらによる発泡によって得られる膨張性樹脂粒子の反応を適宜制御することによって得た粒子は気泡内に主に窒素を有するものとなる。この熱分解性発泡剤としては特に限定されないが、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、パラトルエンスルフォニルヒドラジンおよびその誘導体、そしてオキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジンを好適に挙げることができる。
次に、前者の高圧圧縮ガス及び液化ガスなどの蒸気圧を活用して中空粒子となる『膨張性樹脂粒子』を得る手法を説明する。
中空粒子を形成する前記樹脂による連続相を重合する際、炭素数が2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数が2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(II):
R1−O−R2・・・・ (II)
(式中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物からなる群の中から選ばれた少なくとも1種を発泡剤として高圧下で液化させ、反応溶媒中に分散させつつ、乳化重合させる手法である。これにより上記に示されるガス成分を液体状態の発泡剤として前述の樹脂連続相にて封じ込めた『膨張性樹脂粒子』を得ることができ、これを加熱膨張させる事によって、所望の中空粒子を得る事が出来る。
中空粒子を形成する前記樹脂による連続相を重合する際、炭素数が2から8の直鎖状及び分岐状の脂肪族炭化水素およびそのフルオロ化物、炭素数が2から8の脂環式炭化水素およびそのフルオロ化物、そして次の一般式(II):
R1−O−R2・・・・ (II)
(式中のR1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1から5の一価の炭化水素基であり、該炭化水素基の水素原子の一部をフッ素原子に置き換えても良い)にて表されるエーテル化合物からなる群の中から選ばれた少なくとも1種を発泡剤として高圧下で液化させ、反応溶媒中に分散させつつ、乳化重合させる手法である。これにより上記に示されるガス成分を液体状態の発泡剤として前述の樹脂連続相にて封じ込めた『膨張性樹脂粒子』を得ることができ、これを加熱膨張させる事によって、所望の中空粒子を得る事が出来る。
また、前記『膨張性樹脂粒子』の表面に、シリカ粒子等のアンチブロッキング剤、カーボンブラック微粉、帯電防止剤、界面活性剤等をコーティングした上で加熱膨張させることにより、目的の中空粒子を得ることができる。
ここで、受傷によりタイヤ気室圧力が低下した状態において、該中空粒子によって必要最低限の内圧を付与するためには、中空粒子の中空部内に所定圧力で封入された気体が、粒子外部へ漏れ出ないこと、換言すると、中空粒子の殻の部分に相当する、樹脂による連続相が気体を透過し難い性質を有することが重要である。
すなわち、連続相を構成する樹脂は、ガス透過性の低い材質によること、具体的には、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体のいずれか少なくとも1種からなることが好ましい。これらの材料は、タイヤ変形による入力に対して中空粒子としての柔軟性を有するため、安全タイヤに適用して特に有効である。
すなわち、連続相を構成する樹脂は、ガス透過性の低い材質によること、具体的には、アクリロニトリル系共重合体、アクリル系共重合体、塩化ビニリデン系共重合体のいずれか少なくとも1種からなることが好ましい。これらの材料は、タイヤ変形による入力に対して中空粒子としての柔軟性を有するため、安全タイヤに適用して特に有効である。
とりわけ、中空粒子の連続相には、アクリロニトリル系重合体、アクリル系重合体および塩化ビニリデン系重合体のいずれかを適用することが好ましい。さらに詳しくは、重合体を構成するモノマーが、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メチルメタクリレート、メタクリル酸、塩化ビニリデンから選択される重合体であり、好ましくは、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メチルメタクリレート3元共重合体、アクリロニトリル/メタアクリロニトリル/メタクリル酸3元共重合体から選ばれた少なくとも1種がそれぞれ有利に適合する。これらの材料は、いずれもガス透過係数が小さくて気体が透過し難いために、中空粒子の中空部内の気体が外部に漏れ難く、中空部内の圧力を適切に保持することができる。
さらに、中空粒子の連続相は、30℃におけるガス透過係数が300×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、好ましくは30℃におけるガス透過係数が20×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下、さらに好ましくは30℃におけるガス透過係数が2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下であることが推奨される。
なぜなら、通常の空気入りタイヤにおけるインナーライナー層のガス透過係数は300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下のレベルにあって十分な内圧保持機能を有している実績を鑑み、粒子の連続相についても、30℃におけるガス透過係数を300×10-12(cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下とした。ただし、このガス透過係数のレベルでは、3〜6カ月に1度程度の内圧補充が必要であるから、そのメンテナンス性の点からも、20×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下とすることが推奨される。
なぜなら、通常の空気入りタイヤにおけるインナーライナー層のガス透過係数は300×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下のレベルにあって十分な内圧保持機能を有している実績を鑑み、粒子の連続相についても、30℃におけるガス透過係数を300×10-12(cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下とした。ただし、このガス透過係数のレベルでは、3〜6カ月に1度程度の内圧補充が必要であるから、そのメンテナンス性の点からも、20×10-12 (cc・cm/cm2 ・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10-12(cc・cm/cm2・s・cmHg)以下とすることが推奨される。
ところで、以上のようにして構成される中空粒子4の、タイヤ気室3内への充填下での、タイヤ気室内圧による圧潰変形を防止し、それを略球形状に維持するためには、中空粒子4に、以下のようにして熟成を施すことが好ましい。
すなわち、中空粒子4の中空部内の圧力を、所望のタイヤ気室3内の圧力に対してたとえば70%以上とした中空粒子4を、タイヤ気室3内に所定の充填量で配置するには、タイヤの使用内圧以上の高圧気体中に中空粒子4の多数を収容した耐圧容器から、タイヤ気室3に中空粒子並びに高圧気体を充填することが好ましく、これがために、中空粒子4を、耐圧容器の内部に高圧気体とともに収容したときは、その当初は、中空粒子4の中空部内の圧力(独立気泡内の圧力)が大気圧とほぼ等しく、容器内の圧力より小さいために、粒子は体積減少する。この時点での中空粒子4の形状は略球形状ではなく、球形状から扁平化して歪んだ形状となっている。
すなわち、中空粒子4の中空部内の圧力を、所望のタイヤ気室3内の圧力に対してたとえば70%以上とした中空粒子4を、タイヤ気室3内に所定の充填量で配置するには、タイヤの使用内圧以上の高圧気体中に中空粒子4の多数を収容した耐圧容器から、タイヤ気室3に中空粒子並びに高圧気体を充填することが好ましく、これがために、中空粒子4を、耐圧容器の内部に高圧気体とともに収容したときは、その当初は、中空粒子4の中空部内の圧力(独立気泡内の圧力)が大気圧とほぼ等しく、容器内の圧力より小さいために、粒子は体積減少する。この時点での中空粒子4の形状は略球形状ではなく、球形状から扁平化して歪んだ形状となっている。
粒子形状が扁平化して歪んだ状態のままこの中空粒子4をタイヤ内に充填すると、タイヤが受傷して形成され、中空粒子4が入り込んで閉塞できる傷口の大きさが小さいものだけに限定されることになり、また、中空粒子4がタイヤ外部に噴出することはないにしても、中空粒子4が扁平化して歪んだ形状であるためにミクロな通路が多く発生し、よってタイヤ気室内の気体が漏洩することがある。
加えて、その後の走行により中空粒子4は、球形状の場合と比べて粒子同士の衝突やタイヤおよびリム内面との衝突により、破壊しやすくなる。すなわち、中空粒子が扁平化して歪んだ形状では、衝突による入力を均一に分散させることができず、耐久性の面で大きな不利をもたらすことになる。
この一方で、扁平化して歪んだ中空粒子4は、その中空部内の圧力と容器内の圧力との差により体積減少した状態にあるも、一定期間にわたって耐圧容器内圧に晒すことによって、中空粒子の中空部内の圧力、言い換えれば該粒子内の独立気泡内の圧力を、耐圧容器の圧力程度にまで高めることができる。
すなわち、扁平化した中空粒子の殻の部分には元の略球形状に戻ろうとする力が働いて、扁平化した中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内圧力よりも低くなる傾向にあることから、その圧力差を解消するために、耐圧容器内の気体の分子が樹脂による連続相の殻を通過して粒子の中空部内に浸透することになる。
すなわち、扁平化した中空粒子の殻の部分には元の略球形状に戻ろうとする力が働いて、扁平化した中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内圧力よりも低くなる傾向にあることから、その圧力差を解消するために、耐圧容器内の気体の分子が樹脂による連続相の殻を通過して粒子の中空部内に浸透することになる。
また、中空粒子の中空部は独立気泡であり、その中の気体は発泡剤に起因するガスで満たされているため、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の気体とは異なる場合があり、この場合は、上述したような単なる圧力差だけではなく気体の分圧差に従いながら、その分圧差を解消するまで耐圧容器内の高圧気体が粒子中空部内へ浸透していく。
このように、耐圧容器内の高圧気体は、時間と共に中空粒子の中空部内へ浸透していくため、この中空部内に浸透した分だけ、耐圧容器内の圧力は低下することとなる。よって、中空粒子の中空部内に浸透した分を補うために、耐圧容器内へ高圧気体を充填した上で所望の圧力をかけ続けることにより、中空粒子の中空部内圧を、所望の使用内圧に調整することができる。
このように、耐圧容器内の高圧気体は、時間と共に中空粒子の中空部内へ浸透していくため、この中空部内に浸透した分だけ、耐圧容器内の圧力は低下することとなる。よって、中空粒子の中空部内に浸透した分を補うために、耐圧容器内へ高圧気体を充填した上で所望の圧力をかけ続けることにより、中空粒子の中空部内圧を、所望の使用内圧に調整することができる。
この場合、中空粒子の中空部内の圧力は、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)の圧力に、次第に近づくことになり、これにより、中空粒子は、一旦減少した粒子体積を回復して、扁平化されて歪んだ粒子形状から元の略球形状へと回復することになる。この形状回復過程で、中空粒子の中空部内圧が耐圧容器の内圧に対して70%以上にまで増加することにより、粒子形状は略球形へ十分に回復することが出来、これによって上述した中空粒子の耐久性を保証することが出来る。
かくして、中空粒子4を、タイヤとは別の耐圧容器内に配置し、粒子周囲の空隙圧力を少なくとも所望のタイヤ気室3内の使用圧力以上まで高めた状態に保持し、この圧力をかけ続けたまま該耐圧容器内にて適切な時間保管したうえで、中空部内の圧力が増加した状態の中空粒子4をその周囲の雰囲気と共にタイヤ気室内に供給することにより、その中空粒子4は、粒子体積を回復して、粒子形状を略球形に回復しているため、中空粒子充填後のタイヤの、転動時の繰り返しの変形に伴って粒子に加わる疲労や破壊も大幅に低減させることができ、中空粒子4の耐久性が損なわれることはない。
なお、中空粒子4の、耐圧容器内への適切な保持時間は、中空粒子の殻の部分、すなわち粒子の連続相に対する空隙気体の透過性と、粒子中空部内の気体と空隙気体との分圧差とを考慮して設定すればよい。
以上の機構と粒子の形状、体積の変化過程に則り、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)に充填する気体の種類と圧力とを適宜に選択、そして調節することにより、中空粒子4の中空部内の圧力を所望の範囲に設定することができる。
以上の機構と粒子の形状、体積の変化過程に則り、耐圧容器内(粒子周囲の空隙部)に充填する気体の種類と圧力とを適宜に選択、そして調節することにより、中空粒子4の中空部内の圧力を所望の範囲に設定することができる。
かように耐圧容器内で調整された中空粒子4は、タイヤ気室3内へ供給された段階で、その中空部内の圧力(独立気泡中の気泡内圧力)が、タイヤ気室3内の使用内圧に準じた高い圧力を保ったまま、言い換えれば、粒子体積と中空部圧力を保持したままタイヤ気室3内に存在する結果、安全タイヤに所要の内圧復活機能を十分に発揮することができる。
すなわち、上述した中空粒子群をタイヤ気室内に配置したタイヤ1とリム2との組立体である安全タイヤでは、タイヤ1が受傷すると、中空粒子4の相互間の空隙に存在するタイヤ気室3内の高圧気体がタイヤの外側に漏出し、これに伴って、高圧気体の流出に共連れされた中空粒子4の多数が受傷部を閉塞し、急激な気室圧力の低下を抑制する。
つまり、受傷部の傷口はタイヤ気室内の気体が漏れ出る流路となるが、中空粒子4は、その流路内に『圧密』状態で入り込んで多数の中空粒子4によって流路を詰まらせることができる。
つまり、受傷部の傷口はタイヤ気室内の気体が漏れ出る流路となるが、中空粒子4は、その流路内に『圧密』状態で入り込んで多数の中空粒子4によって流路を詰まらせることができる。
そしてさらに、後述する内圧復活機構によりタイヤ気室3内の圧力が大気圧から増圧されると、タイヤ骨格に張力が与えられることにより、傷口の内径は絞り込まれるように減少していくので、傷口内に圧密状態で入り込んだ中空粒子群には、タイヤ気室3内の増圧により、タイヤ側から絞り込まれるような圧縮力が働く。この場合、中空粒子4は、中空部圧力が高いため、その圧縮力に対し、中空部圧力に基く反力を発生して、圧密の度合いを高めることができ、より大きな内径の傷口においても、タイヤ気室3内の気体がほとんど漏れ出さない程度まで傷口を閉塞することができる。
したがって、パンクの原因となった傷口は、中空粒子4によって、瞬時にかつ確実に塞がれることになる。
したがって、パンクの原因となった傷口は、中空粒子4によって、瞬時にかつ確実に塞がれることになる。
この一方で、タイヤ気室圧力の低下に伴ってタイヤの撓み量が増加して、タイヤ気室容積が減少すると、その気室内に配置した中空粒子は、タイヤ1の内面とリム2の内面との間に挟まれながら、圧縮およびせん断入力を受けることとなり、これによれば、中空粒子同士が摩擦して、自己発熱するために、タイヤ気室3内の中空粒子4の温度が急上昇し、その温度が、中空粒子4の殻部である樹脂連続相の熱膨張開始温度Ts2(該樹脂のガラス転移温度に相当する)を超えると、該粒子の殻は軟化し始める。
このとき、中空粒子4の中空部内の圧力が、タイヤの使用内圧に準じた高い圧力にあることに加え、中空粒子温度の急上昇により中空部内圧力がさらに上昇しているために、中空粒子4が一気に体積膨張して粒子周囲の空隙気体を圧縮する事になり、タイヤ気室の圧力を、少なくともタイヤのサイド部が接地しなくなるタイヤ気室圧力まで回復させることができ、この結果として、安全タイヤ、ひいては、それを装着した車両は、必要とされる距離を安全に継続走行することが可能となる。
以上のような安全タイヤに対し、それのタイヤ気室3内の中空粒子4を所要に応じて回収するに当っては、好ましくは、リム2のバルブ取付口に装着した給排気バルブ9を、図2に軸線方向の拡大断面図で例示するように、たとえば不織布とすることができるフィルタ13を具える構造を有するものとして、これにより、タイヤ気室3内の気体圧力をバルブ9を経て排出してタイヤ気室3の内圧を大気圧とするに際しての、中空粒子4の、排気に共連れされる流出ないしは噴出をそのフィルタ13によって十分に阻止する。
これによってタイヤ気室3内を大気圧とした後は、給排気バルブ9を、リム2のバルブ取付口14から取り外し、そして、その取付口14を経て、中空粒子4の吸引・捕集手段の先端に設けた吸引ノズルを、図3に略線断面図で例示するように、タイヤ気室3内へ、中空粒子4に達する深さまで差し込む。この場合、吸引ノズル15の外径は、図3(b)に示すように、取付口14の内径より小さく設定し、これにより、ノズル15による中空粒子4の負圧吸引に際し、それらの間の隙間16を経て、タイヤ気室3内への、中空粒子4の体積の減少分に応じた量の外気の、円滑なる流入を担保する。
ここで、吸引ノズル15に接続する、中空粒子4の吸引・捕集手段としては、負圧発生部および、負圧系路内におかれるトラップ部を具える各種の手段を用い得ることはもちろんであるが、たとえば自動車のバッテリその他を電源として作動する、図4に例示するような掃除機17をその吸引・捕集手段として用い、それのフィルタ18を中空粒子4のトラップ部として機能させる場合には、特別の装置を準備することなしに、中空粒子4の吸引および捕集を簡単かつ容易に行うことができる。
以上のようにして、掃除機17の作用下で、タイヤ気室3内の中空粒子4の全部もしくはほとんどを、吸引ノズル15を介して吸引・捕集した後は、タイヤ1のリム解き作業に際する、中空粒子4の飛散等に起因する環境汚染を有効に抑制することができ、この一方で、フィルタ18に捕集された中空粒子4は、それの体積膨張の程度、破損の程度等を点検することで、可能な範囲で再利用に供することができる。
1 タイヤ
2 リム
3 タイヤ気室
4 中空粒子
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト
8 トレッド
9 給排気バルブ
10 インナーライナー層
11 サイド部
12 空隙
13,18 フィルタ
14 バルブ取付口
15 吸引ノズル
16 隙間
17 掃除機
18 フィルタ
2 リム
3 タイヤ気室
4 中空粒子
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト
8 トレッド
9 給排気バルブ
10 インナーライナー層
11 サイド部
12 空隙
13,18 フィルタ
14 バルブ取付口
15 吸引ノズル
16 隙間
17 掃除機
18 フィルタ
Claims (3)
- タイヤの、リムへの装着姿勢の下で、タイヤとリムとで区画されたタイヤ気室内に、樹脂よりなる連続相と、それに囲まれた独立気泡とからなる熱膨張可能な中空粒子の多数個を加圧下で封入してなる安全タイヤの中空粒子を回収するに当り、
タイヤ気室への充填内圧を排出した後、リムのバルブ取付口から差し込んだ吸引ノズルにより、タイヤ気室の内外間での空気の流動下で中空粒子を吸引して、それをトラップによって捕集する中空粒子の回収方法。 - 充填内圧の排出を、リムのバルブ取付口に装着したフィルタ付きのバルブを介して行う請求項1に記載の中空粒子の回収方法。
- 中空粒子の吸引および捕集を掃除機により行う請求項1もしくは2に記載の安全タイヤの中空粒子の回収方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004349576A JP2006159926A (ja) | 2004-12-02 | 2004-12-02 | 安全タイヤの中空粒子の回収方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004349576A JP2006159926A (ja) | 2004-12-02 | 2004-12-02 | 安全タイヤの中空粒子の回収方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2006159926A true JP2006159926A (ja) | 2006-06-22 |
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ID=36662424
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006159926A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109515078A (zh) * | 2018-11-26 | 2019-03-26 | 陕西理工大学 | 一种自调节式汽车防爆安全车轮及其安全系统 |
-
2004
- 2004-12-02 JP JP2004349576A patent/JP2006159926A/ja not_active Withdrawn
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