JP2006158340A - 複合脂質高含有素材の製造方法及び複合脂質高含有素材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能性食品、化粧品、母乳代替品あるいは医薬品の原料として利用可能な、リン脂質及びガングリオシドを高濃度で含有する乳由来複合脂質高含有素材の製造方法、及びタンパク質や糖質等の夾雑物を実質的に含まないリン脂質及びガングリオシドを高濃度で含有する乳由来複合脂質高含有素材を提供する。
【解決手段】 乳または乳素材の脱脂画分を精密濾過(MF)膜処理して濃縮画分を回収することを特徴とする乳由来複合高含有素材の製造方法。
前記濃縮画分のアルコール抽出を行うことを特徴とする前記乳由来複合脂質高含有素材の製造方法。
全固形中のリン脂質含量が40〜50重量%であり、ガングリオシド含量が1〜5重量%であり、夾雑物を実質的に含まないことを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、複合脂質高含有素材の製造方法及び複合脂質高含有素材に関する。より詳しく言うと、本発明は、乳由来リン脂質及び乳由来ガングリオシドを高濃度で含有する複合脂質高含有素材の製造方法及び複合脂質高含有素材に関する。本発明の複合脂質高含有素材は、機能性食品、化粧品、母乳代替品あるいは医薬品の原料として広く利用することができる。
大豆レシチンや卵黄レシチンは、天然物由来のリン脂質粗製物として、食品製造における乳化剤等として広く利用されているが、近年、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンのような乳由来のリン脂質が種々の生理機能を有することが報告され、注目されている。
ホスファチジルセリンやホスファチジルコリンは神経機能や運動機能の発達・維持に関わっていること、また、スフィンゴミエリンは乳幼児の腸管成熟化機能を有することが報告されている。スフィンゴミエリンは牛乳中のリン脂質の約30%を占め、スフィンゴシンと脂肪酸からなるセラミド骨格にホスホコリンが結合した構造を有する物質である。スフィンゴミエリンは脳や神経組織には大量に存在するが、大豆リン脂質や卵黄リン脂質にはわずかにしか含まれていない。
また、乳由来のガングリオシドは、スフィンゴシンと脂肪酸からなるセラミド骨格に糖を介してシアル酸が結合した構造を有し、主にGD3とGM3からなり、牛脳や牛乳に広く分布している。近年、乳由来のガングリオシドに関して、生化学的な研究が進んでおり、細胞分化、神経機能、ウイルス感染防御等の生理機能が明らかとなっている。
従来、乳由来複合脂質を含む素材の調製方法としては、バターミルクまたは還元バターミルクを酸性域に調整し、等電点沈殿を行うことにより生じたタンパク質の沈殿を除去し、上清をMF膜処理して得られる濃縮液を乾燥してリン脂質高含有粉末を得る方法がある(特許文献1)。また、バターミルク粉、脱脂粉乳等の乳製品を、クロロホルム/メタノール/水(4/8/3)の溶媒やアセトン等の有機溶媒を用いて抽出する方法もある(特許文献2)。
特開平5−292880号公報 特開平3−47192号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、有機溶媒は使用しないものの、リン脂質の含量を15重量%程度までしか濃縮できず、タンパク質や乳糖等を完全に除去することができなかったため、リン脂質の特性を利用する化粧品等の素材としては不十分であった。
また、特許文献2の方法は、クロロホルムやメタノール等、食品素材の調製には認められていない有機溶媒を使用する方法であるため、食品への利用が困難であるという問題点があった。さらに、この方法で得られる抽出物にもタンパク質等の夾雑物が含まれており、化粧品へ直接応用すること等が困難であった。
一方、ガングリオシドの製造方法としては、バターミルクから脂肪球皮膜を得る方法(特許文献3)やイオン交換樹脂を用いる方法(特許文献4)等が知られている。
しかしながら、特許文献3の方法では、工業的な規模でガングリオシド高含有組成物を製造することは非常に困難であった。また、特許文献4の方法は、イオン交換樹脂を用いるので大量処理に向かないという問題があった。
本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、先に、簡便なガングリオシド高含有素材の製造方法として、エタノールを用いる方法を提案した(特許文献5)。しかしながら、この方法ではガングリオシド高含有素材を大量に製造できるものの、膜装置を使用する工程を必要とする等多くの手順を要する等の問題があった。
特開昭60−72819号公報 特開平2−207090号公報 特開平9−291094号公報
上記したように、従来技術の方法では、リン脂質及びガングリオシドを高濃度で含有し、しかもタンパク質や乳糖等の糖質等の夾雑物を含まず、医薬品等の原料の製造には適さない溶媒等や複雑な工程を用いずに乳由来複合脂質高含有素材を製造することは不可能であった。特に、タンパク質や糖質等の夾雑物を含む素材は、化粧品、医薬品、食品への応用が困難であり、問題となっていた。
したがって、本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、リン脂質及びガングリオシドをいずれも高濃度で含有し、タンパク質や乳糖等の糖質等の夾雑物をほとんど含まず、機能性食品、化粧品、母乳代替品あるいは医薬品の原料として利用可能な乳由来複合脂質高含有素材の製造方法及び乳由来複合脂質高含有素材を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、乳由来複合脂質高含有素材を効率良く調製する方法について鋭意研究を進めたところ、乳や乳素材の脱脂画分を精密濾過(MF)膜処理して得られる濃縮画分が多量の乳由来複合脂質を含むことを見出した。さらに、前記濃縮画分のアルコール抽出を行うと、夾雑物をほとんど含まない乳由来複合脂質高含有素材を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、乳または乳素材の脱脂画分を精密濾過(MF)膜処理して濃縮画分を回収することを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材の製造方法である。
本発明はまた、前記濃縮画分のアルコール抽出を行うことを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材の製造方法である。
本発明はまた、アルコール抽出に用いるアルコールが、60〜90重量%濃度のエタノールであり、抽出を行う際の温度が50℃以上であることを特徴とする前記乳由来複合脂質高含有素材の製造方法である。
本発明はまた、乳または乳素材が、牛乳、ホエーまたはバターミルクである前記乳由来複合脂質高含有素材の製造方法である。
本発明はまた、MF膜処理に使用する膜の孔径が、0.1〜2.0μmであることを特徴とする前記乳由来複合脂質高含有素材の製造方法である。
本発明はまた、全固形中のリン脂質含量が40〜50重量%であり、ガングリオシド含量が1〜5重量%であり、夾雑物を実質的に含まないことを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材である。
本発明でいう「乳由来複合脂質高含有素材」とは、乳由来リン脂質及び乳由来ガングリオシドを高濃度で含有する素材を意味する。本発明の複合脂質高含有素材に含まれる乳由来のリン脂質とは、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等であり、機能性食品、化粧品、母乳代替品あるいは医薬品の原料として広く利用することができるものである。また、本発明の複合脂質高含有素材中に含まれる乳由来ガングリオシドとは、シアル酸が結合したスフィンゴ脂質であり、主にGD3とGM3から成り、機能性食品、母乳代替品、化粧品あるいは医薬品の原料として広く利用することができるものである。
また、本発明の製造方法において、原料として用いられる「乳または乳素材の脱脂画分」とは、脂肪分が0.05〜3%となるように乳または乳素材から脂肪分を除去した画分のことであり、特に限定されないが、たとえば、乳または乳素材を遠心分離して中性脂質含量の高いクリーム層を除去した画分等が挙げられる。なお、脂肪分が0.05%より低くなると脱脂画分に含まれるの脂質そのものが少なくなるため、回収率が悪くなり、また脂肪分が3%を越えると脱脂画分のMF膜処理が困難になってしまう。
以下、本発明の製造方法の好適例について説明する。
本発明の複合脂質高含有素材の製造方法は、乳または乳素材の脱脂画分を精密濾過(MF)膜処理して濃縮画分を回収することを特徴とするものである。
本発明の製造方法における乳または乳素材としては、特に限定されないが、牛乳、ホエーまたはバターミルク等の乳素材が挙げられる。
最初に、これらの乳または乳素材に対して、セパレーター等による遠心分離を行って、クリーム層を取り除いた脱脂画分を得る。セパレーターの運転条件は特に限定されず、通常牛乳からクリームと脱脂乳を分離する際に用いる条件で十分である。
次に、得られた脱脂画分に対してMF膜処理を行って濃縮画分を回収する。これにより、濃縮側に遠心分離で除去されなかった脂肪球が濃縮され、それと同時に、透過側にはタンパク質や乳糖等の夾雑物が集められる。MF膜は、孔径が0.1〜2.0μmであることが望ましい。孔径が2.0μmを超えると、透過側に脂肪球が透過して脂質の回収率が低くなる。また、孔径が0.1μm未満となると、濃縮側にタンパク質の残存が多くなり、濃縮画分乾固後の粉末に占める脂質の割合が低くなってしまう。
本発明の製造方法により得られるこの濃縮画分は、全固形中のリン脂質含量が0.5〜2.5重量%程度、ガングリオシド含量が0.05〜0.25重量%程度である。
なお、この濃縮画分は、MF膜処理を行った直後の濃縮液の状態でも用いることができるが、乾燥して保存することが好ましい。水分の除去の手段としては、特に限定されず、例えば、噴霧乾燥や凍結乾燥等を好ましい例として挙げることができる。
本発明の複合脂質高含有素材の製造方法は、第二に、前記濃縮画分のアルコール抽出を行うことを特徴とするものである。
アルコール抽出は、アルコール濃度が60〜90重量%となるようにアルコールを添加することが好ましい。アルコールの種類としては、特にエタノールが好ましい。
なお、アルコール抽出の前に、上記で得られた濃縮画分を噴霧乾燥や凍結乾燥等の手法により水分を除去して乾燥させ、粉末を得てから行うことが好ましい。この粉末は、脂質を約7〜20重量%含み、この脂質中に占めるリン脂質の比率は10重量%以上と非常に高い。これは、最初の遠心分離で除かれずに残っていた脂肪球が比較的小さく、また小さいために、脂肪球皮膜成分中に含まれるリン脂質等の極性脂質が全体に占める割合が高くなったからと考えられる。
すなわち、アルコール抽出は、液状の濃縮画分に対して、アルコール濃度が最終的に60〜90重量%となるようにアルコールを添加することにより行ってもよいが、あらかじめ乾燥して得られた粉末に対して行うこともできる。
添加するアルコール濃度が60重量%未満であると、水分が多くなることにより、脂質の抽出効率が低下すると同時に、タンパク質や乳糖等夾雑物の抽出量が増え、最終的に得られる素材に含まれる夾雑物の割合が多くなる傾向がある。また、アルコール濃度が90重量%より高くなると、中性脂質の抽出量が増加するために、最終的に得られる素材中に含まれるリン脂質の相対的な含量が低下する。
アルコールは、最終的に固形比率が30%以下となるように添加することが好ましい。添加するアルコール量が少なく、固形比率が30%よりも高くなると抽出溶媒の絶対量が減少することにより、脂質の抽出効率が低下してしまう。そして、アルコールを添加した後、50℃以上で攪拌して脂質成分を抽出することが好ましい。攪拌終了後の抽出液と残渣の分離に用いる方法は特には限定しないが、ブフナー型漏斗やフィルタープレス等を用いることが望ましい。
なお、得られた抽出液は、真空乾燥あるいは凍結乾燥等の方法により濃縮、乾固することが好ましい。このような方法により、全固形中のリン脂質含量が40〜50重量%で、ガングリオシド含量が1〜5重量%である乳由来の複合脂質高含有素材が得られる。
本発明の方法により、夾雑物をほとんど含まない複合脂質高含有素材が得られるが、特に、上記のように、MF膜の孔径を0.1〜2.0μmとし、アルコール抽出に用いるアルコールを、60〜90重量%のエタノールとし、抽出温度を50℃以上とすることによって、タンパク質や乳糖等の糖質等の夾雑物を実質的に含まない複合脂質高含有素材が得られる。
本発明において、「夾雑物を実質的に含まない」とは、下記確認試験において、夾雑物を含まないことを言う。
確認試験)
1)得られた素材が凍結乾燥品でない場合は、その素材を凍結乾燥する。
2)凍結乾燥した素材1gに10mlのメタノールを加えて、超音波処理を行い、さらに20mlのクロロホルムを加えて超音波処理を行う。得られた抽出液を濾過して濾液を得る。次に、除去した残渣に対して、10mlのメタノールと20mlのクロロホルムを再度添加して超音波処理を行い、濾過して濾液を得る。1度目と2度目の濾液を合わせてメスシリンダーに入れ、容量を求める。この容量の1/4量の0.88%KCl水溶液を加えて、分液漏斗に入れ、攪拌した後、下層を回収する。回収された下層について、ロータリーエバポレーター処理及び凍結乾燥処理を行うことにより、溶媒を完全に除去し、残った固形物の重量を測定する。このとき、抽出された総脂質の重量が1g、すなわち、素材の固形当り脂質含量が100%であることを確認する(フォルチの分配法)。
3)得られた総脂質画分を再度クロロホルム/メタノール(1/1)溶液に溶解し、薄層クロマトグラフィー(TLC)を行う。展開溶媒は、クロロホルム/メタノール/水(60/30/5)である。発色試薬は、(a)5%硫酸 エタノール溶液、(b)ディットマー−レスター試薬、(c)レゾルシノール試薬、(d)ニンヒドリン試薬、(e)オルシノール試薬を用いた。それぞれの試薬の特異性は、(a)全物質、(b)リン脂質、(c)ガングリオシド及びシアル酸、(d)タンパク質、(e)糖である。
これらの試薬をそれぞれ展開済みのプレートに噴霧して、(d)及び(e)の試薬が発色しないことを確認する。
本発明によれば、リン脂質及びガングリオシドを高濃度で含有し、しかもタンパク質や乳糖等の糖質等の夾雑物をほとんどまたは実質的に含まない乳由来複合脂質高含有素材を、高効率で簡便な方法により製造することができる。
以下、実施例を示しながら本発明を具体的に説明する。なお、実施例及び比較例において、「%」は重量%を意味するものとする。
脂肪分3.5%の牛乳100kgをセパレーターを用いて遠心分離し、40%脂肪のクリーム8.48kgと0.1%脂肪の脱脂乳91.52kgを得た。得られた脱脂乳に対して孔径1.4μmのMF膜(Pall Exekia社製)処理を行い、濃縮液を得た。得られた濃縮液中の総脂質含量、リン脂質含量、中性脂質含量及びガングリオシドGD3含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が10.1%、リン脂質含量が1%、中性脂質含量が9%、ガングリオシドGD3含量が0.1%であり、この濃縮液は乳由来複合脂質高含有素材であった。
次に、この濃縮液を凍結乾燥して得られた粉末400gに対して80%濃度エタノールを1100g加えて60℃に加温し、60℃に維持したまま1時間攪拌を行った。1時間経過後、抽出液と沈殿をブフナー型漏斗により分離した。得られた抽出液について、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で濃縮し、エタノールを完全に除去して濃縮物50gを得た。
得られた濃縮物中の総脂質含量、リン脂質含量、ガングリオシドGD3含量及び中性脂質含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が100%、リン脂質含量が42%、ガングリオシドGD3含量が1.5%、中性脂質含量が56.5%であり、この濃縮物は乳由来複合脂質高含有素材であった。
この素材を前記確認試験により確認したところ、タンパク質や糖質等の夾雑物が含まれていないことが確認できた。
(比較例1)
牛乳100kgを噴霧乾燥して、全粉乳13kgを得た。得られた全粉乳中の脂質含量は26%であった。次いで、得られた全粉乳4kgに対して、11kgの80%エタノールを加えて60℃に加温し、60℃に維持したまま1時間攪拌を行った。1時間経過後、抽出液と沈殿をブフナー型漏斗により分離した。また、得られた抽出液については、大型のロータリーエバポレーターを用いて減圧下で濃縮を行って濃縮物900gを得た。
得られた濃縮物中の総脂質含量、リン脂質含量及びガングリオシド含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が85%、リン脂質含量が1%、中性脂質含量が84%、ガングリオシドは検出限界値以下であった。また、タンパク質含量及び糖質含量を測定したところ、タンパク質含量は10%、糖質含量は5%であった。
このように、脱脂処理を行わない牛乳をMF膜処理せずに使用した比較例1では、得られた複合脂質にタンパク質及び糖質が多量に混入していた。これに対して、脱脂乳をMF膜処理して使用した実施例1では、得られた複合脂質にタンパク質及び糖質等の夾雑物は含まれておらず、リン脂質の特性を利用する化粧品等への用途に特に優れたものであることが分かった。
チーズ製造の副生成物であるホエー400kg(脂質含量1%)を、クラリファイヤーを用いて遠心分離を行い、脂質含量20%のクリーム18.1kgを除去した。得られた脱脂ホエー画分について、孔径0.1μmのMF膜(Pall Exekia社製)処理を行い、濃縮液を得た。得られた濃縮液中の総脂質含量、リン脂質含量、ガングリオシドGD3含量及び中性脂質含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が9.7%、リン脂質含量が1.1%、ガングリオシドGD3含量が0.1%、中性脂質含量が8.5%であり、この濃縮液は乳由来複合脂質高含有素材であった。
次に、この濃縮液を凍結乾燥して得られた粉末1kgに80%エタノールを5kg添加し、60℃に加温して1時間攪拌を行った。攪拌終了後、フィルタープレスを用いて沈殿を除去した抽出液を減圧下で濃縮し、エタノールを完全に除去して濃縮物200gを得た。
得られた濃縮物中の総脂質含量、リン脂質含量、ガングリオシドGD3含量及び中性脂質含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が100%、リン脂質含量が45%、ガングリオシドGD3含量が2%、中性脂質含量が53%であり、この濃縮物は乳由来複合脂質高含有素材であった。また、実施例1と同様に、前記確認試験で確認したところ、この素材中に、タンパク質や糖質等の夾雑物が含まれていないことが確認できた。
バター製造の副生成物であるバターミルク10kg(脂質含量10%)を、セパレーターを用いて遠心分離を行うことにより、脂質含量15%のクリーム6.64kgを除去した。得られた脱脂バターミルク画分に対して、孔径1.4μmのMF膜(Pall Exekia社製)処理を行い、濃縮液を得た。得られた濃縮液中の総脂質含量、リン脂質含量、ガングリオシドGD3含量及び中性脂質含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が10.3%、リン脂質含量が1.2%、中性脂質含量が9.9%、ガングリオシドGD3含量が0.1%であり、この濃縮液は乳由来複合脂質高含有素材であった。
次に、この濃縮液を凍結乾燥して得られた粉末20gに70%エタノールを80g添加し、60℃で1時間攪拌して脂質の抽出を行った。攪拌終了後、ブフナー漏斗で沈殿を除去した抽出液をロータリーエバポレーターを用いて減圧下で濃縮し、エタノールを完全に除去して濃縮物3gを得た。
得られた濃縮物3g中の総脂質含量、リン脂質含量、ガングリオシド含量及び中性脂質含量を測定したところ、全固形中、総脂質含量が100%、リン脂質含量が47%、ガングリオシドGD3含量が2%、中性脂質含量が51%であり、この濃縮物は乳由来複合脂質高含有素材であった。また、実施例1と同様に、前記確認試験で確認したところ、この素材中に、タンパク質や糖質等の夾雑物が含まれていないことが確認できた。
本発明の乳由来複合脂質高含有素材は、機能性食品、化粧品、母乳代替品あるいは医薬品の原料として広く利用可能である。また、本発明の製造方法によれば、乳由来複合脂質高含有素材を効率良く製造することができる。

Claims (6)

  1. 乳または乳素材の脱脂画分を精密濾過(MF)膜処理して濃縮画分を回収することを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の濃縮画分のアルコール抽出を行うことを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材の製造方法。
  3. アルコール抽出に用いるアルコールが、60〜90重量%濃度のエタノールであり、抽出を行う際の温度が50℃以上であることを特徴とする請求項2記載の乳由来複合脂質高含有素材の製造方法。
  4. 乳または乳素材が、牛乳、ホエーまたはバターミルクである請求項1〜3のいずれかに記載の乳由来複合脂質高含有素材の製造方法。
  5. MF膜処理に使用する膜の孔径が、0.1〜2.0μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の乳由来複合脂質高含有素材の製造方法。
  6. 全固形中のリン脂質含量が40〜50重量%であり、ガングリオシド含量が1〜5重量%であり、夾雑物を実質的に含まないことを特徴とする乳由来複合脂質高含有素材。
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