JP2006157829A - オーディオ信号処理方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小音量の信号のスピーカからの再生特性を改善する。
【解決手段】 入力したオーディオ信号を、所定の入出力特性のスピーカ装置から出力させるための補正処理を行う場合であって、スピーカ装置の所定の入出力特性として、所定レベル以上で入力信号に対する出力レベルの直線性がほぼ確保され、所定レベル以下で入力信号に対する出力レベルが低下する特性である場合において、入力したオーディオ信号の、ほぼ所定レベル以下の信号成分に対して、出力レベルの低下分を補う補正処理を行う。
【選択図】 図2
【解決手段】 入力したオーディオ信号を、所定の入出力特性のスピーカ装置から出力させるための補正処理を行う場合であって、スピーカ装置の所定の入出力特性として、所定レベル以上で入力信号に対する出力レベルの直線性がほぼ確保され、所定レベル以下で入力信号に対する出力レベルが低下する特性である場合において、入力したオーディオ信号の、ほぼ所定レベル以下の信号成分に対して、出力レベルの低下分を補う補正処理を行う。
【選択図】 図2
Description
本発明は、オーディオ信号をスピーカ装置から再生させる場合の特性補正を行うオーディオ信号処理方法及び装置に関し、特に高音質の再生が可能なハイファイ再生用のスピーカ装置を使用する場合に適用して好適な技術に関する。
従来、高音質の再生が可能なハイファイ再生用のスピーカ装置として、各種構成のものが実用化されている。例えば、オーディオ信号の再生帯域を、低域と中域と高域の3つの帯域に分割し、それぞれの帯域ごとに個別のスピーカユニットを用意した3ウェイ構成のスピーカ装置がある。この3ウェイ構成のスピーカ装置は、各帯域用のスピーカユニットとして、それぞれの帯域での再生特性が良好なものを使用することで、低域から高域まで入力オーディオ信号に忠実な再生が可能となり、一般には1つのスピーカユニットで全ての帯域のオーディオを出力させる、いわゆるフルレンジ型のスピーカユニットに比べて、再生特性が良好になる。
また、このような3ウェイ構成や2ウェイ構成のようにして、スピーカ装置の再生音を高音質化する構成の他に、スピーカ装置に供給するオーディオ信号そのもの特性を、オーディオ信号処理装置であるアンプ装置側で補正して、結果的にスピーカ装置から出力されるオーディオの特性を改善することも行われている。例えば、スピーカ装置を駆動するオーディオ信号の増幅などの処理を行うオーディオアンプ装置で、ラウドネスコントロールと称される補正を行う場合がある。このラウドネスコントロールは、低音域部と高音域部を、中音域部に比べて出力レベルを増強させる補正処理を行って、主として小音量時に、低音域と高音域が不足して聞こえるのを補正するものである。
特許文献1には、ラウドネス補正を行う場合の再生構成の一例についての記載がある。
特開2002−171589号公報
ところが、ラウドネスコントロールされた再生音は、単に特定の周波数帯域の信号をレベルに係わらずほぼ一律に増強させてしまうので、厳密な意味で入力オーディオ信号に忠実な再生とはいえず、より入力オーディオ信号に忠実な再生ができるスピーカ装置の開発が望まれていた。即ち、従来のラウドネスコントロールされた再生音は、小音量時に聞き取り難い音を増強して再生させるので、ラウドネスコントロールされていない再生音に比べて低音域部と高音域部が聞こえやすくなり、ある程度音質を改善する効果があるが、特定の周波数帯域の信号を小レベルであっても大レベルであっても一律に増強させてしまうので、増強させる必要のない信号成分についても増強させてしまうことがあり、結果として不自然な再生音になってしまう場合がある。
ここで、従来のスピーカ装置での再生音の問題について説明すると、再生音が入力オーディオ信号を忠実に再現していない場合の例として、小振幅の信号の問題がある。即ち、例えば図9(a)に示すように、比較的大きな振幅の波形と比較的小さな振幅の波形が連続した波形の入力オーディオ信号S1がスピーカに入力した場合を想定する。このとき、スピーカからの出力オーディオ信号S2の波形としては、比較的大きな振幅の波形については、入力信号S1とほぼ同等になるが、比較的小さな振幅の波形については、入力信号S1よりも振幅が小さくなる傾向にある。これは、比較的大きな音で出力が可能な一般的な振動板を備えた形状のスピーカユニットでは、振幅が小さい小音量の信号の再現特性が悪く、小音量の信号の入出力特性のリニアリティ(直線性)が確保されないためである。
同様に、例えば図9(b)に示すように、比較的大きな振幅の波形の入力オーディオ信号S3と、比較的小さな振幅の波形の入力オーディオ信号S4とが、時間的に重なることで、本来は両信号S3,S4が合成されたオーディオ信号S5が出力されるものが、その合成信号S5の波形よりもレベルが低下した波形の出力オーディオ信号S6がスピーカから出力される状態となっている。例えば、スピーカから再生させるオーディオとして、シンフォニーのように様々の楽器の音が同時に再生されるような場合に、このような出力状態となることがある。
さらに、例えば図9(c)に示すように、特定の単一周波数の信号の振幅が徐々に低下するインパルス信号が入力オーディオ信号S7としてあった場合に、スピーカからの出力オーディオ信号S8の波形についても、レベルが低くなるに従って追従性が悪くなってしまう。
図9のいずれの例でも、スピーカからの出力としては、振幅が小さい小音量の信号の出力レベルが、入力信号レベルよりも小さくなって、小信号のリニアリティが保たれない状態となってしまう。この図9に示す状態を周波数分析すると、例えば図10に示す状態となる。図10の例は、基本波f1と、その基本波の高調波である倍音f2,f3の感度を解析した例である。レベルが高い基本波f1については、そのままのレベルで出力されるが、基本波よりもレベルが小さい倍音f2,f3については、破線で示した本来のレベルから低下した実線で示した出力感度となっている。
図11は、複数段階の信号レベルでの低域から高域までの出力特性を示した図で、図11(a)は理想的な特性であり、図11(b)は実際のスピーカの出力特性を示した図である。図11(a)に示すように、理想的な状態では、4つのレベルL1,L2,L3,L4が、ほぼ等間隔で、低域から高域までフラットな特性となっているとする。このとき、図11(b)に示す実際のスピーカの出力特性としては、出力レベルが高いレベルL1,L2,L3については、理想特性とほぼ同等の出力特性が確保できているが、最も低いレベルL4の特性については、本来必要なレベルから感度αだけ、どの周波数帯域でも低下したレベルとなっている。
このような感度の低下を、特定の周波数の特性として見たのが、図12の入出力特性図である。図12に示すように、本来はスピーカへの入力信号レベルの増大に対して直線的に出力レベルが増大する破線の特性xとなる必要があるのに対して、実際には、ある程度のレベル以上ではほぼ直線的にレベルが変化しているが、特定のレベル以下では、入力に対する振動板の動きが悪く、入力に対する出力感度が非常に悪い曲線の特性yとなっている。
具体的には、例えば一般的なスピーカによるリスニングの最大レベルを70〜100SPL(音圧レベル)と想定した場合、その最大レベルより−30dBから−60dB下がった信号は、最大レベルに対して正しく−30dBから−60dB下がった音量が出ていない(比例していない)ということになる。仮に、100SPLよりアンプ装置の出力を50SPL分下げた音量としての再生を想定すると、本来ならば50SPL前後での音量が得られるはずであるが、実際には例えばそれより10SPL低い40SPLの出力しか得られないことになる。つまり、正確にリニアリティが取れていないということになり、満足する音質が得られない一つの大きな原因となっていることが、本発明者の解析で判った。
なお、ここまで説明した特性は、比較的大音量の出力が可能な、振動板が比較的大きなスピーカユニットの場合の特性であるが、逆に、例えばヘッドホン用のスピーカユニットのように、小音量の出力用に製作された、振動板が小型軽量のスピーカユニットの場合には、小音量時に入出力のリニアリティが比較的良好に保たれて、大音量時の入出力特性のリニアリティが保たれない構成のものも存在する。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、小音量の信号のスピーカからの再生特性を改善することを目的とする。
本発明は、入力したオーディオ信号を、所定の入出力特性のスピーカ装置から出力させるための補正処理を行う場合であって、スピーカ装置の所定の入出力特性として、所定レベル以上で入力信号に対する出力レベルの直線性がほぼ確保され、所定レベル以下で入力信号に対する出力レベルが低下する特性である場合において、入力したオーディオ信号の、ほぼ所定レベル以下の信号成分に対して、出力レベルの低下分を補う補正処理を行うようにしたものである。
このようにしたことで、スピーカ装置から出力されるオーディオ信号として、そのスピーカ装置の特性に合わせて補正された入出力特性がほぼ直線的なオーディオ信号となり、特に、本来は出力レベルが不足する比較的小レベルの信号が、本来のレベルで良好に出力されるようになる。
本発明によると、スピーカ装置から出力されるオーディオ信号として、そのスピーカ装置の特性に合わせて補正された入出力特性がほぼ直線的なオーディオ信号となり、特に、本来は出力レベルが不足する比較的小レベルの信号が、本来のレベルで良好に出力されるようになり、飛躍的に再生音質を改善することができる。
この場合、補正処理として、スピーカ装置が出力するほぼ全ての周波数帯域内で、ほぼ均一に出力レベルの低下分を補う補正処理を行うようにしたことで、全ての周波数帯域で再生特性を改善でき、ラウドネスコントロールのような従来から行われている特定の帯域だけの増強とは全く異なる、入力オーディオ信号に対する忠実度の高い再生が可能となる。
また、フィルタを使用して補正処理を行うことで、フィルタを使用した比較的簡単な回路で構成できるようになる。
また、トランスを使用して補正処理を行うことで、トランスの特性を使用した補正が可能になる。
また、入力オーディオ信号をデジタル演算処理で補正することで、デジタル演算で任意の補正特性を容易に設定できるようになる。
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施の形態によるシステム構成例を示した図である。本例においては、オーディオ再生システムに接続されたスピーカ装置としてあり、図1はその全体のシステム構成例を示した図である。本例では、オーディオ信号源10がアンプ装置20に接続してあり、オーディオ信号源10でCD(ディスク),メモリなどの媒体に記録(記憶)されたオーディオ信号を再生して、その再生して出力されるオーディオ信号を、アンプ装置20に供給し、アンプ装置20でスピーカ装置を駆動するオーディオ信号とする処理を行う。
本例の場合には、オーディオ信号源10から出力されるオーディオ信号は、左チャンネル用オーディオ信号と右チャンネル用オーディオ信号の2チャンネルの信号である。アンプ装置20から出力される左チャンネル用オーディオ信号は、左チャンネル用スピーカ装置30Lに供給して出力させ、右チャンネル用オーディオ信号は、右チャンネル用スピーカ装置30Rに供給して出力させる。
左チャンネル用スピーカ装置30Lと右チャンネル用スピーカ装置30Rは、基本的には同一構成としてある(但し外形形状については左右対称の形状となるなど若干異なる場合もある)。なお、以下の説明では、左右のチャンネル用スピーカ装置30L,30Rについて、チャンネルを区別しないで説明する際には、L,Rを除いた符合を付けたスピーカ装置30と述べる場合もある。
各スピーカ装置30L,30Rの構成について説明すると、各スピーカ装置30L,30Rは、それぞれオーディオを出力させる音響出力手段としてのスピーカユニットとして、1個のスピーカユニット31(図2)を備える。それぞれのスピーカユニット31は、出力される周波数帯域から見た特性としては、可聴帯域内でほぼフラットな周波数特性で、低域から高域まで出力される特性をもつ、いわゆるフルフレンジ型のスピーカユニットであり、比較的大きな振動板を備えて、大音量の信号の出力が可能な比較的大型のスピーカユニットとしてある。スピーカユニット31については、振動板が比較的大きいために、所定レベル以上の大信号の入出力特性のリニアリティ(直線性)がほぼ保たれ、所定レベル以下では入出力特性のリニアリティが確保されず、入力信号レベルに対して出力信号レベルが劣るものを使用してある。即ち、背景技術の欄で図12を参照して説明した特性yとなるスピーカユニットを使用してある。このような特性を持つスピーカユニットは、スピーカとして一般的なものである。
本例においては、このような特性を持つスピーカユニット31を使用したスピーカ装置30が接続されたオーディオ再生システムにおいて、スピーカ装置30に供給するオーディオ信号を処理するアンプ装置20側で、信号の特性補正を行うようにしたものである。
図2は、本例のアンプ装置20内での特性補正のための構成を示した図で、スピーカ装置30を構成するスピーカユニット31までの接続構成を示してある。図2に示すように、アンプ装置のオーディオ信号入力端子21に得られるオーディオ信号を、バッファアンプ22を介して、特性補正手段として用意されたトランス23の一次側に供給する。そして、トランス23の二次側に得られる信号を、アンプ24に供給して、スピーカ駆動用に増幅し、増幅されたオーディオ信号を、スピーカ装置30内のスピーカユニット31に供給して、オーディオ信号を出力(放音)させる。アンプ24では、例えば音量調整用のボリューム(図示せず)の調整状態に応じて、増幅率が可変設定される。或いは、音量調整については、アンプ24とは別の増幅手段を使用して、実行するようにしてもよい。
図3は、トランス23で補正される特性例を示した図である。図3において、破線で示した特性aは、入力レベルの増減と出力レベルの増減とが直線的に比例するリニアリティがとれた特性であり、参考までに示してある。実線で示した特性bは、本例のトランス23で補正される特性である。
この特性bとして示すように、本例のトランス23は、一次側から二次側に信号が伝達される際に、所定レベル以上の範囲では、入力レベルの増減と出力レベルの増減とが直線的に比例するリニアリティがとれた特性(即ち特性aとほぼ一致する特性)であり、所定レベル以下の範囲では、入力レベルに対して出力レベルが、レベルが低い程、特性aに比べて増加率が高くなるようなリニアリティがとれていない曲線で示される特性となるようにしてある。
ここで、トランス23の特性bの曲線と直線が変化するレベル位置については、接続されたスピーカユニット31の特性としての、入出力特性のリニアリティ(直線性)がほぼ保たれるレベルの範囲と、入出力特性のリニアリティが確保されないレベルの範囲との変化点(即ち上述した所定レベル)のレベルとほぼ一致させるようにしてある。具体的には、オーディオ信号のピークレベルを0dBとした場合に、例えばスピーカユニット31の入出力特性のリニアリティが確保される範囲が、0dBから−25dBまである場合に、−25dBを所定レベルに設定して、その0dBから−25dBまでについては信号特性を変化させず、−25dB以下で特性bの曲線となるように設定する。また、トランス23の特性bの曲線の形状を決める特性についても、図12に示したようなスピーカユニットの入出力特性の入力と出力を逆にした特性に設定してある。このような特性の設定は、例えばトランス23の形状、材質などにより設定される。
なお、図3に示した特性bは、特定の周波数での特性を示したものであるが、本例の場合には、スピーカユニット31が再生可能な可聴帯域内全てで、ほぼ同様な特性を持つようにしてある。
図4は、このような特性を持つトランス23での補正によりオーディオ信号がスピーカ装置30から出力される状態を、複数段階の信号レベルでの低域から高域までの出力特性として示した図である。図4(a)は本例のスピーカ装置30そのものが持つ出力特性(即ち補正していない出力特性)を示した図である。この図4(a)は、背景技術として図11(b)に示したスピーカ特性と同じである。即ち、図4(a)に示すように、出力レベルが高いレベルL1,L2,L3については、理想特性とほぼ同等の出力特性が確保できているが、最も低いレベルL4の出力特性については、本来必要なレベルから感度αだけ、どの周波数帯域でも低下したレベルとなっている。
ここで、アンプ装置20内での補正により、図3に示した特性bとなる補正を全ての周波数帯域で行うことで、アンプ装置20に入力した信号の出力特性としては、図4(b)に示すように、出力レベルが高いレベルL1,L2,L3については、入力レベルと変化がないが、最も低いレベルL4の出力特性については、本来のレベルから感度βだけ、どの周波数帯域でも上昇したレベルとなっている。ここで、この高くなった感度βは、スピーカ装置30で低下する感度αをほぼ補うレベルに設定しておく。
このような特性とした上で、アンプ装置20で処理したオーディオ信号をスピーカ装置30から出力させることで、スピーカ装置30から出力されるオーディオの特性としては、図4(c)に示したように、4つのレベルL1,L2,L3,L4が、ほぼ等間隔で、低域から高域までフラットな特性となり、図11(a)に示した理想特性とほぼ等しい、入力と出力が全ての周波数帯域でレベルの大小に関係なく一致する良好な特性となる。
従って、本例のオーディオ再生システムによると、オーディオ信号源10から再生されたオーディオ信号を、スピーカ装置30から高音質で出力させることができる。このような再生特性は、従来から知られているラウドネスコントロールのような、特定の周波数帯域の信号について、レベルに関係なく増強してしまう処理とは全く異なる、入力オーディオ信号に忠実な再生を行う特性である。
なお、本例の再生システムは、種々のオーディオ再生システムに適用可能であり、図1に示した例では、オーディオ信号源10とアンプ装置20とスピーカ装置30L,30Rとを別体で構成したが、一体化されたシステム(装置)でもよい。或いは、単体のスピーカ装置の内部に、そのスピーカ装置の特性を補正する補正手段(上述例でのトランスなど)を組み込むようにして、補正処理機能のないアンプ装置に接続できる構成としてもよい。或いはまた、オーディオ信号源10から出力されるオーディオ信号そのものに、同様の補正を施すようにしてもよい。
また、例えば、本例のオーディオ再生システムを、自動車などの車両に搭載した、いわゆるカーステレオ用の再生システムに適用することで、車外ノイズの影響が大きい再生環境において、一般にノイズにかき消されやすい小レベルの音が聞き取り易くなり、音質が向上する。
次に、本発明の第2の実施の形態を、図5を参照して説明する。この図5において、第1の実施の形態で説明した図1〜図4に対応する部分には同一符号を付す。
本実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、スピーカ装置が接続されたオーディオ再生システムとしてあり、例えば図1に示したシステム構成で使用される。接続されるスピーカ装置としては、所定レベル以上の大信号の入出力特性のリニアリティがほぼ保たれ、所定レベル以下では入出力特性のリニアリティが確保されず、入力信号レベルに対して出力信号レベルが劣るものを使用してある。
そしてアンプ装置20内で、スピーカ装置の特性補正を行う点についても、第1の実施の形態と同様である。ここで本実施の形態においては、その特性補正手段を、第1の実施の形態と異なる構成としたものである、
図5は、本例のアンプ装置20内での特性補正のための構成を示した図で、スピーカ装置30を構成するスピーカユニット31までの接続構成を示してある。図5に示すように、アンプ装置のオーディオ信号入力端子21に得られるオーディオ信号を、バッファアンプ22を介して、アンプ24に供給して、スピーカ駆動用に増幅し、増幅されたオーディオ信号を、スピーカ装置30内のスピーカユニット31に供給して、オーディオ信号を出力(放音)させる。
ここで、バッファアンプ22とアンプ24との間には、補正手段として、能動素子で構成されたアクティブフィルタ25が接続してある。このアクティブフィルタ25は、バッファアンプ22とアンプ24との接続点を、コンデンサ25aを介してオペアンプ25bの一方の入力端に接続し、そのオペアンプ25bの出力端と他方の入力端と別のオペアンプ25cの出力端と一方の入力端とを接続し、さらにオペアンプ25cの入力端をコンデンサ25dを介して接地させてある。
この図5に示す構成のアクティブフィルタ25が、バッファアンプ22とアンプ24との間に接続してあることで、入力オーディオ信号のほぼ全ての周波数帯域で、このフィルタの特性で決まる所定レベル以下の信号レベルを増強する補正処理が行われるようになる。補正特性については、アクティブフィルタ25を構成する各素子の特性や常数などによる決まる。
従って、アンプ装置20に接続されたスピーカ装置30から出力されるオーディオ信号特性としては、そのスピーカ装置30が持つ小レベルの信号に対する感度の悪さが補正された、小レベルから大レベルまでリニアリティのある入出力特性に設定され、良好なオーディオ再生ができる。補正される特性そのものは、第1の実施の形態で図3、図4を参照して説明した特性補正と同様な原理である。
次に、本発明の第3の実施の形態を、図6を参照して説明する。この図6において、第1,第2の実施の形態で説明した図1〜図5に対応する部分には同一符号を付す。
本実施の形態においても、上述した第1,第2の実施の形態と同様に、スピーカ装置が接続されたオーディオ再生システムとしてあり、例えば図1に示したシステム構成で使用される。接続されるスピーカ装置としては、所定レベル以上の大信号の入出力特性のリニアリティがほぼ保たれ、所定レベル以下では入出力特性のリニアリティが確保されず、入力信号レベルに対して出力信号レベルが劣るものを使用してある。
そしてアンプ装置20内で、スピーカ装置の特性補正を行う点についても、第1,第2の実施の形態と同様である。ここで本実施の形態においては、その特性補正手段を、第1,第2の実施の形態と異なる構成としたものである、
図6は、本例のアンプ装置20内での特性補正のための構成を示した図で、スピーカ装置30を構成するスピーカユニット31までの接続構成を示してある。図6に示すように、アンプ装置のオーディオ信号入力端子21に得られるオーディオ信号を、バッファアンプ22を介して、アンプ24に供給して、スピーカ駆動用に増幅し、増幅されたオーディオ信号を、スピーカ装置30内のスピーカユニット31に供給して、オーディオ信号を出力(放音)させる。
ここで、バッファアンプ22とアンプ24との間には、補正手段として、受動素子で構成されたフィルタ26が接続してある。このフィルタ26は、バッファアンプ22とアンプ24との接続点を、コンデンサ26a及び抵抗器26bを介して接地させてあると共に、コンデンサ26aと抵抗器26bとの接続中点を、コンデンサ26cを介して接地させてある。
この図6に示す構成のフィルタ26が、バッファアンプ22とアンプ24との間に接続してあることで、入力オーディオ信号のほぼ全ての周波数帯域で、このフィルタの特性で決まる所定レベル以下の信号レベルを増強する補正処理が行われるようになる。補正特性については、フィルタ26を構成する各素子の特性や常数などによる決まる。
従って、アンプ装置20に接続されたスピーカ装置30から出力されるオーディオ信号特性としては、そのスピーカ装置30が持つ小レベルの信号に対する感度の悪さが補正された、小レベルから大レベルまでリニアリティのある入出力特性に設定され、良好なオーディオ再生ができる。補正される特性そのものは、第1の実施の形態で図3、図4を参照して説明した特性補正と同様な原理である。
次に、本発明の第4の実施の形態を、図7を参照して説明する。この図7において、第1,第2,第3の実施の形態で説明した図1〜図6に対応する部分には同一符号を付す。
本実施の形態においても、上述した第1,第2,第3の実施の形態と同様に、スピーカ装置が接続されたオーディオ再生システムとしてあり、例えば図1に示したシステム構成で使用される。接続されるスピーカ装置としては、所定レベル以上の大信号の入出力特性のリニアリティがほぼ保たれ、所定レベル以下では入出力特性のリニアリティが確保されず、入力信号レベルに対して出力信号レベルが劣るものを使用してある。
そしてアンプ装置20内で、スピーカ装置の特性補正を行う点についても、第1,第2,第3の実施の形態と同様である。ここで本実施の形態においては、その特性補正手段を、第1,第2,第3の実施の形態と異なる構成としたものであり、具体的には第1,第2,第3の実施の形態で説明した各手段を組み合わせた構成としてある。
即ち、図7に示すように、アンプ装置のオーディオ信号入力端子21に得られるオーディオ信号を、バッファアンプ22,27を介して、補正手段としてのトランス23の一次側に接続し、トランス23の二次側をアンプ24に接続して、アンプ24でスピーカ駆動用に増幅し、増幅されたオーディオ信号を、スピーカ装置30内のスピーカユニット31に供給して、オーディオ信号を出力(放音)させる。
ここで、バッファアンプ22とアンプ24との間に、補正手段として、能動素子で構成されたアクティブフィルタ25と、受動素子で構成されたフィルタ26とが接続してある。アクティブフィルタ25とフィルタ26の回路構成は、図5,図6で説明した構成と同じである。
この図7に示す構成として、トランス23とアクティブフィルタ25とフィルタ26とが接続してあることで、これらの手段23,25,26での総合的な特性で入力オーディオ信号の補正が行われ、入力オーディオ信号のほぼ全ての周波数帯域で、これらの手段の特性で決まる所定レベル以下の信号レベルを増強する補正処理が行われるようになる。
従って、アンプ装置20に接続されたスピーカ装置30から出力されるオーディオ信号特性としては、そのスピーカ装置30が持つ小レベルの信号に対する感度の悪さが補正された、小レベルから大レベルまでリニアリティのある入出力特性に設定され、良好なオーディオ再生ができる。補正される特性そのものは、第1の実施の形態で図3、図4を参照して説明した特性補正と同様な原理である。
本例の場合には、補正手段として複数の回路部品(手段)で構成させてあるので、それぞれの部品の特性などの選定で、補正特性を細かく選定でき、接続されるスピーカ装置の入出力特性に合わせて補正特性を細かく設定することが可能になる。
次に、本発明の第5の実施の形態を、図8を参照して説明する。この図8において、第1,第2,第3,第4の実施の形態で説明した図1〜図7に対応する部分には同一符号を付す。
本実施の形態においても、上述した各実施の形態と同様に、スピーカ装置が接続されたオーディオ再生システムとしてあり、例えば図1に示したシステム構成で使用される。接続されるスピーカ装置としては、所定レベル以上の大信号の入出力特性のリニアリティがほぼ保たれ、所定レベル以下では入出力特性のリニアリティが確保されず、入力信号レベルに対して出力信号レベルが劣るものを使用してある。
そしてアンプ装置20内で、スピーカ装置の特性補正を行う点についても、上述した各実施の形態と同様である。ここで本実施の形態においては、その特性補正手段として、デジタル信号処理で行う構成としてある。
即ち、図8に示すように、アンプ装置のオーディオ信号入力端子21に得られるオーディオ信号を、アナログ/デジタル変換器41に供給してデジタルオーディオ信号に変換し、変換されたデジタルオーディオ信号を、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)42に供給する。そして、このDSP42でのデジタル演算処理で、第1の実施の形態で説明した補正処理を行う。即ち、例えばデジタル演算処理で全ての周波数帯域について、所定レベル以上の信号成分と所定レベル未満の信号成分とに分け、所定レベル以上の信号成分については、何も補正処理を行わない。そして、所定レベル未満の信号成分については、入力レベルに対して出力レベルが、レベルが低い程、特性aに比べて増加率が高くなるようなリニアリティがとれていない曲線b(図3)で示される特性となるように、デジタル演算で補正処理を行う。そして、補正処理をしていない所定レベル以上の信号成分と、補正処理を行った所定レベル未満の信号成分とを合成して、その合成信号をデジタル/アナログ変換器43に供給し、アナログオーディオ信号に変換する。
変換されたアナログオーディオ信号は、アンプ24に供給して、スピーカ駆動用に増幅し、増幅されたオーディオ信号を、スピーカ装置30内のスピーカユニット31に供給して、オーディオ信号を出力(放音)させる。
この図8に示す構成として、デジタル演算処理で補正されることで、入力オーディオ信号のほぼ全ての周波数帯域で、デジタル演算処理状態で決まる所定レベル未満の信号レベルを増強する補正処理が行われるようになる。
従って、アンプ装置20に接続されたスピーカ装置30から出力されるオーディオ信号特性としては、そのスピーカ装置30が持つ小レベルの信号に対する感度の悪さが補正された、小レベルから大レベルまでリニアリティのある入出力特性に設定され、良好なオーディオ再生ができる。補正される特性そのものは、第1の実施の形態で図3、図4を参照して説明した特性補正と同様な原理である。
本例の場合には、補正手段がデジタル演算処理を行う構成であるので、DSP42での補正条件を接続されたスピーカ装置の入出力特性に合わせるようにしておけば、適正な補正が可能になる。
なお、上述した各実施の形態では、図1に示した2チャンネルオーディオ再生用のシステムへの適用を想定したが、5.1チャンネルなどのマルチチャンネルオーディオ再生用のシステムとして構成してもよい。
スピーカ装置の設置環境についても、種々の設置環境に適用可能である。例えば、自動車などの車両内に設置される、いわゆるカーステレオ用のスピーカ装置から出力させる場合の補正を、アンプ装置側で行うようにしてもよい。
10…オーディオ信号源、20…アンプ装置、21…オーディオ信号入力端子、22…バッファアンプ、23…トランス、24…アンプ、25…アクティブフィルタ、26…フィルタ、27…バッファアンプ、30,30L,30R…スピーカ装置、31…スピーカユニット、41…アナログ/デジタル変換器、42…DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、43…デジタル/アナログ変換器
Claims (6)
- 入力したオーディオ信号を、所定の入出力特性のスピーカ装置から出力させるための補正処理を行うオーディオ信号処理方法であって、
前記スピーカ装置の所定の入出力特性として、所定レベル以上で入力信号に対する出力レベルの直線性がほぼ確保され、前記所定レベル以下で入力信号に対する出力レベルが低下する特性である場合のオーディオ信号処理方法において、
入力したオーディオ信号の、ほぼ前記所定レベル以下の信号成分に対して、前記出力レベルの低下分を補う補正処理を行うことを特徴とする
オーディオ信号処理方法。 - 入力したオーディオ信号を、所定の入出力特性のスピーカ装置から出力させるための補正処理を行うオーディオ信号処理装置であって、
前記スピーカ装置の所定の入出力特性として、所定レベル以上で入力信号に対する出力レベルの直線性がほぼ確保され、前記所定レベル以下で入力信号に対する出力レベルが低下する特性である場合のオーディオ信号処理装置において、
入力したオーディオ信号の、ほぼ前記所定レベル以下の信号成分に対して、前記出力レベルの低下分を補う補正処理を行う補正手段を備えたことを特徴とする
オーディオ信号処理装置。 - 請求項2記載のオーディオ信号処理装置において、
前記補正手段は、前記スピーカ装置が出力するほぼ全ての周波数帯域内で、ほぼ均一に出力レベルの低下分を補う補正処理を行うことを特徴とする
オーディオ信号処理装置。 - 請求項3記載のオーディオ信号処理装置において、
前記補正手段は、フィルタを使用して補正することを特徴とする
オーディオ信号処理装置。 - 請求項3記載のオーディオ信号処理装置において、
前記補正手段は、トランスを使用して補正することを特徴とする
オーディオ信号処理装置。 - 請求項3記載のオーディオ信号処理装置において、
前記補正手段は、入力オーディオ信号をデジタル演算処理で補正することを特徴とする
オーディオ信号処理装置。
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