JP2006156431A - 筒型圧電素子と走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

筒型圧電素子と走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

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高史 森本
Yukio Kenbo
行雄 見坊
Yoshihito Inanobe
慶仁 稲野辺
Takenori Hiroki
武則 広木
Yuichi Kunitomo
裕一 國友
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Abstract

【課題】 軸方向の伸縮動作に関して簡単な構成で真直度の誤差を補正することができ、高い真直度を実現し、測定精度を高め、高アスペクト比の測定対象物も確実に測定できる筒型圧電素子および走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】 この筒型圧電素子11は、軸方向に伸縮動作させるための電極装置と電圧印加装置13を備え、その外周面に、伸縮方向の真直度の誤差を補正するための円周方向に分割された複数の分割電極16a,16b,17a,17bを備える。この構成によって、軸方向の伸縮動作における真直度の誤差を、専用の分割電極を設けてその分割電極に印加される電圧のバランスをとることにより補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、筒型圧電素子と走査型プローブ顕微鏡に関し、特に、走査型プローブ顕微鏡等で、試料表面に対して探針を接近・退避させるZ軸方向の筒型圧電素子の真直度を補正する構成に関するものである。
走査型プローブ顕微鏡では、測定対象である試料の表面にその先端が対向するように配置された探針を、試料の測定領域の表面の形状に沿って走査動作させ、かつ当該表面の形状に追従させるように接近・退避動作させるアクチュエータを備えている。このアクチュエータは、試料表面に平行なXY平面における走査動作用のXYアクチュエータと、Z軸方向(または試料表面に対して高さ方向)の接近・退避動作用のZ軸アクチュエータとから構成される。XYアクチュエータとしては、直交するロッド状の圧電素子、所要の分割電極を備えた筒型圧電素子、または平行平板型のアクチュエータが用いられる。Z軸アクチュエータとしては同様にロッド状態の圧電素子、または筒型圧電素子が用いられる。
近年、走査型プローブ顕微鏡による測定では、表面に形成された深い穴や溝など高アスペクト比を有する測定対象部を測定する必要性が高くなってきた。このような測定では、相対的に長い探針を穴等の内部に真直ぐに進入させることが必要であるため、Z軸アクチュエータには、試料表面に垂直な高さ方向(または深さ方向、Z軸方向)に向かって高い真直度で探針を移動させることが要求される。
Z軸アクチュエータとして筒型圧電素子を用いる構成では、Z軸方向の移動を生じさせる目的で筒型圧電素子をその軸方向に伸縮させるための、電極装置と、この電極装置に含まれる所定電極に電圧を印加する電圧印加装置とを備えている。
従来のZ軸アクチュエータでは、軸方向の伸縮動作に基づく探針の移動に関して、その真直度を補正する機能を有する特別な構成は存在しなかった。上記筒型圧電素子では、一般的には、機械的な加工精度や組立て精度によって真直度を確保するようにしていた。すなわち、筒型圧電素子の肉厚むらや、付設された複数の電極の電極むらをなくし、高い真直度を実現しようとしていた。
しかしながら、機械的な加工精度や組立て精度を高めることにより真直度を確保することには限度がある。特に走査型プローブ顕微鏡で寸法計測のために用いると、真直度の誤差は寸法計測の誤差に直結し、特に斜面の角度計測においては、左右の角度計測誤差を生じる。アクチュエータの変位を予め計測して、その変位誤差を補正する方法は従来から用いられている。しかし、真直度の誤差を補正するという考えは、従来なかった。また前述のごとくアスペクト比の高い穴を測定する場合には、Z軸アクチュエータ用の筒型圧電素子に真直度に誤差が存在する場合には、探針が穴や溝の底部に到達できないという問題が生じる。
なお走査型プローブ顕微鏡において、探針の走査動作と接近・退避動作を行うアクチュエータに筒型圧電素子を用いる場合、従来、筒型圧電素子の内周面と外周面には所要の電極が設けられている(特許文献1と特許文献2)。
特許文献1に開示される圧電アクチュエータは、円筒型圧電素子の内周面には全面的に共通電極が設けられ、外周面には円周方向に4分割された電極が設けられている。外周面に設けられた4分割の電極に所定の電圧を印加すると、円筒型圧電素子を軸方向へ伸縮させたり、あるいは先端部を振らせるため曲げさせたりすることができる。これにより、円筒型圧電素子の一端に取り付けられた探針の先端を三次元的に微小変位させることができる。
特許文献2では、円筒型圧電素子の内周面および外周面において円周方向に複数の分割電極を設けている。円筒型圧電素子の内周面の分割電極および外周面の分割電極は、いずれも探針に走査動作を行なわせるための横振り運動を行うためのものである。この電極構造によれば、内周面に設けられた電極も外周面に設けられる電極に対応させて分割し、内周面の分割電極への印加電圧を、対応する外周面の電極に印加する電圧と同じ値でその極性を逆にするようにしたため、従来の電極構成に比較して、同じ電圧で変位量を大きくすることができる。
上記のいずれの筒型圧電素子においても、その分割電極は、筒型圧電素子の伸縮動作に基づく探針の移動に関してその真直度を補正するための特別な構成または機能を有していない。
特開平3−112374号公報 特開平7−249392号公報
本発明は、筒型圧電素子で探針等をその軸方向(Z軸方向)に移動させるときに真直度の誤差を補正し、極めて高い真直度を実現することを課題とするものである。
従って本発明の目的は、上記の課題に鑑み、軸方向の伸縮動作に関して簡単な構成で真直度の誤差を補正することができ、これにより高い真直度を実現し、測定精度を高めることができ、さらに高アスペクト比の測定対象物も確実に測定することができる筒型圧電素子および走査型プローブ顕微鏡を提供することにある。
本発明に係る筒型圧電素子および走査型プローブ顕微鏡は、上記目的を達成するために、次のように構成される。
第1の本発明に係る筒型圧電素子(請求項1に対応)は、軸方向に伸縮動作させるための電極装置と電圧印加装置を備えた筒型圧電素子であって、その外周面に、伸縮方向の真直度の誤差を補正するための円周方向に分割された複数の分割電極を備えるように構成されている。
上記筒型圧電素子によれば、軸方向の伸縮動作における真直度の誤差を、専用の分割電極を設けてその分割電極に印加される電圧のバランスをとることにより補正することが可能となる。
第2の本発明に係る筒型圧電素子(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧を、真直度の誤差がゼロになるように調整する印加電圧調整部を備えることで特徴づけられる。この構成によれば、印加電圧調整部によって複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧のバランスをとることにより真直度誤差をゼロにすることが可能となる。
第3の本発明に係る筒型圧電素子(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、印加電圧調整部で調整される電圧は、筒型圧電素子について予め計測された真直度の誤差に基づいて決定されることを特徴とする。真直度誤差は筒型圧電素子ごとに予め計測され、当該真直度誤差がゼロになるように印加電圧の電圧バランスがとられる。
第4の本発明に係る筒型圧電素子(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、分割電極は、円周方向に4分割された電極であることを特徴とする。4分割の分割電極はX軸方向とY軸方向のそれぞれに一対ごと配置される。
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡(請求項5に対応)は、筒型圧電素子を含むアクチュエータで探針の走査動作および接近・退避動作を行うようにされた走査型プローブ顕微鏡であり、筒型圧電素子を、その軸方向に伸縮動作させるための電極装置および電圧印加装置と、筒型圧電素子の外周面に設けられ、伸縮方向の真直度の誤差を補正するための円周方向に分割された複数の分割電極と、複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧を、真直度の誤差がゼロになるように調整する印加電圧調整部と、を備えるように構成されている。
上記の走査型プローブ顕微鏡では、筒型圧電素子の伸縮動作で探針を試料表面に対して接近・退避させるとき、筒型圧電素子の真直度を正確に補正できるので、精度の高い測定を行うことが可能であり、特に、アスペクト比の高い穴や溝の測定についてその底に到るまでの高精度の測定が可能となる。
本発明によれば、筒型圧電素子に真直度を補正するための複数の分割電極を設け、かつ複数の分割電極に印加される電圧の電圧バランスをとるように構成したため、筒型圧電素子の真直度を適切に補正し、走査型プローブ顕微鏡によるアスペクト比の高い穴等の測定を可能にしかつその測定精度を高めることができる。また本発明によれば、筒型圧電素子が本来的に有する真直度誤差を予め計測しておき、当該計測情報に基づいて筒型圧電素子の真直度を補正するため、筒型圧電素子ごとに精度の高い真直度を実現できる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図4に従って本発明に係る筒型圧電素子の第1実施形態を説明する。図1は筒型圧電素子の正面図、図2は分割電極を含む部分についての筒型圧電素子の図1中の水平断面図、図3と図4は作用説明図である。
筒型圧電素子11は、所要の肉厚および軸方向長さを有する円筒形圧電部材11aを基礎に作られている。この筒型圧電素子11は、その軸方向(図1中、Z軸方向)12に関して伸縮動作するように、電極装置と電圧印加装置13とを備えて構成されている。
電極装置は、筒型圧電素子11における円筒形圧電部材11aの内周面の全体に設けられた膜状の共通電極14と、円筒形圧電部材11aの外周面の一部の全円周面に設けられ、その軸方向(Z軸方向)12の伸縮を生じさせるための膜状のZ軸電極15と、円筒形圧電部材11aの外周面の一部に設けられ、円周方向に4つに分割して設けられた膜状の補正用分割電極16a,16b,17a,17bとから構成される。
上記補正用分割電極16a,16b,17a,17bは、図2から明らかなように、X軸方向に一対の分割電極(16a,16b)、Y軸方向に一対の分割電極(17a,17b)という構成で配置されている。一対の分割電極は、互いに180°回転させた位置にあり、点対称の位置関係にある。
Z軸電極15は、通常、接地電位に保持される共通電極14に対して、電圧印加装置13からレベルを変えて所要の正電圧を印加されることにより、筒型圧電素子11の軸方向12の長さを変化させる。筒型圧電素子11、すなわち円筒形圧電部材11aは、Z軸電極15に与えられる印加電圧に応じて伸縮する。
上記の構成を有する筒型圧電素子11は、一般的に、例えば走査型プローブ顕微鏡等における探針を試料表面に対して接近・退避動作させるZ軸微動装置として利用される。この場合において、筒型圧電素子11のZ軸電極15には、探針・試料間の距離を一定に保持するためのフィードバック制御部から与えられる制御用電圧信号Vsが印加される。制御用電圧信号Vsは、探針・試料間の距離を定める基準電圧信号と、探針を有するカンチレバーの変位に係る検出電圧信号との偏差に基づいて生成される電圧信号である。制御用電圧信号Vsは、筒型圧電素子11の軸方向12の長さのみを決める電圧信号である。通常、制御用電圧信号Vsは増幅器18から出力される電圧としてZ軸電極15に印加される。前述した電圧印加装置13は、この場合、上記フィードバック制御部となる。
分割電極16a,16b,17a,17bは、Z軸電極15に対して電圧印加装置13から所要の電圧が与えられて筒型圧電素子11が伸長するときに、その軸方向12の真直度を補正するための手段である。通常、筒型圧電素子11では肉厚むらや電極むら等が存在するので、Z軸電極15に電圧を印加して所要の長さだけ伸長させようとしても、特段の補正を行わなければ、筒型圧電素子11は真直ぐ伸びず、曲がりが生じる。すなわち、その軸方向12への伸長動作で真直度の誤差が生じる。その状態を図3に示す。
図3において、筒型圧電素子11(実際には円筒形圧電部材11a)が破線のごとく伸びたときに、真直度の誤差が生じて矢印21の方向に伸び、曲がり状態22が生じる。矢印21の向きは軸方向12に対して傾きを有している。この傾きは、具体的には、例えば1°程度である。図3に示した筒型圧電素子11の曲がり状態22に対して、分割電極16a,16b,17a,17bのそれぞれに所要の電圧(V1,V2,V3,V4)を印加することにより、当該曲がり状態22を解消し、真直度の誤差をゼロする。この状態を図4に示す。図4に示した筒型圧電素子11では、その伸びの方向は、矢印23に示されるごとく軸方向12と一致しており、曲がり状態はなくなっている(破線部24)。分割電極16a,16b,17a,17bの各々に与えられる印加電圧V1〜V4は、図1に示されるごとく、印加電圧調整部25から出力される。
印加電圧調整部25は、筒型圧電素子11の真直度を補正するための補正用電圧を発生する装置であり、分割電極16a,16b,17a,17bのそれぞれに対して、増幅器26,27,28,29を介して前述の曲がり状態22を補正するための所要の電圧V1〜V4を印加する。
図3に示した曲がり状態22では、X軸方向に生じた曲がりであるので、X軸方向に配置された一対の分割電極16a,16bのそれぞれに印加される電圧V1,V2を調整することにより、当該曲がり状態22を解消し、真直度の誤差がゼロになり、筒型圧電素子11の真直度を補正する。またこの場合、Y軸方向に配置された一対の分極電極17a,17bには、Y軸方向の曲がりが生じていないので、同じ条件の電圧が印加されることになる。Y軸方向に曲がりが生じた場合には、同様にしてY軸方向に配置された一対の分割電極17a,17bのそれぞれに印加される電圧V3,V4を調整することにより、曲がり状態を解消する。X軸方向に配置された一対の分極電極16a,16bには同じ条件の電圧が印加される。
筒型圧電素子11の曲がり状態がX軸方向とY軸方向が合成された方向に生じる場合には、分割電極16a,16b,17a,17bに印加される補正用の電圧V1〜V4も曲がり状態に応じて調整される。
印加電圧調整部25から出力される補正用電圧V1〜V4の値は、予め、筒型圧電素子11の伸縮度に応じて生じる筒型圧電素子11の真直度の誤差を計測して設定される。印加電圧調整部25内に用意される調整方法は、Z軸圧電素子15および分割電極16a,16b,17a,17bを備えた筒型圧電素子11から成るZ軸微動装置としての動作特性を予め計測することにより定められる。印加電圧調整部25は、筒型圧電素子11の伸びを決める電圧印加装置13から出力される電圧V0に基づいて各分割電極16a,16b,17a,17bに印加する電圧V1〜V4を調整して出力する。分割電極16a,16b,17a,17bに印加する電圧V1〜V4の電圧バランスをとることによって、どのような方向に発生する真直度誤差も補正することができる。
上記の印加電圧調整部25は、コンピュータで実現し、各分割電極に対する印加電圧値を決定し、各分割電極ごとにD/Aコンバータと増幅器を経由して必要な印加電圧を与えるように構成することができる。さらに、印加電圧調整部25は、各分割電極の増幅器のゲインをアナログ回路で調整するように構成し、予め計測した真直度誤差を補正できるように調整した回路として実現することもできる。
上記の第1実施形態に係る筒型圧電素子11によれば、Z軸電極15とは別に、筒型圧電素子11の真直度の補正を行うための分割電極16a,16b,17a,17bを設けたため、機械的な曲がりを電圧バランスを利用することにより最適に調整し、真直度誤差をなくし、真直度を良好に補正することができる。
次に、図5と図6を参照して本発明に係る筒型圧電素子の第2実施形態を説明する。図5は第2実施形態の筒型圧電素子の正面図、図6は図5中の筒型圧電素子の水平断面図である。第2実施形態の構成において、第1実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付している。第2実施形態に係る筒型圧電素子31では、円筒形圧電部材31aの外周面において、その円周方向に4つに分割された分割電極116a,116b,117a,117bのみが設けられるように構成されている。筒型圧電素子31では、第1実施形態で示されたZ軸電極15が省略された構成になっている。分割電極116a,116b,117a,117bは、それぞれ、第1実施形態に係る筒型圧電素子11の分割電極16a,16b,17a,17bに対応して真直度を補正する補正電極としての機能を有すると共に、筒型圧電素子31すなわち円筒形圧電部材31aをその軸方向(Z軸方向)に伸縮させる上記Z軸電極15としての機能も有している。
第2実施形態に係る筒型圧電素子31においても、電圧印加装置13、印加電圧調整部25、分割電極116a,116b,117a,117bごとの増幅器26,27,28,29が設けられている。これらは第1実施形態で説明されたものと実質的に同一のものである。また筒型圧電素子31の円筒形圧電部材31aの内周面には共通電極14が設けられている。
第2実施形態の電圧印加装置13では、筒型圧電素子31の伸縮量を決める電圧値Vsが出力される。印加電圧調整部25は、入力された当該電圧値Vsに基づいて、分割電極116a,116b,117a,117bのそれぞれに印加される電圧V1〜V4を決める電圧値調整を行う。分割電極116a,116b,117a,117bのそれぞれに印加する電圧V1〜V4が同じ値であるときには、筒型圧電素子31を軸方向12aに伸縮駆動させる。この場合において、通常、筒型圧電素子31には前述のごとく曲がりが生じるという特性を有している。筒型圧電素子31で発生する曲がり状態、すなわち真直度誤差は、事前に計測し、筒型圧電素子31の伸縮量に応じたその調整の仕方は印加電圧調整部25において予め設定されている。従って、分割電極116a,116b,117a,117bのそれぞれに印加する電圧V1〜V4については、筒型圧電素子31を軸方向12aに伸縮駆動するとき、真直度誤差がゼロになるように当該電圧V1〜V4の値の大小関係が決定される。分割電極116a,116b,117a,117bのそれぞれに印加する電圧V1〜V4の値を印加電圧調整部25で調整することにより、筒型圧電素子31を所要量だけ伸縮させると共に、同時に筒型圧電素子31で生じる機械的な曲がりを電圧バランスによる曲がりで相殺し、結果として筒型圧電素子31の真直度を補正する。以上において、分割電極116a,116b,117a,117bのそれぞれに印加する電圧V1〜V4に関する電圧バランスはどのようにも調整でき、どの方向の真直度誤差も補正することができる。
上記の実施形態の筒型圧電素子はZ軸方向のアクチュエータの例を説明したが、本発明はX軸方向およびY軸方向のいずれのアクチュエータにも適用することができる。
図7は本発明に係る筒型圧電素子を走査型プローブ顕微鏡のZ軸微動装置として利用した構成例を示している。
この走査型プローブ顕微鏡は例えば原子間力顕微鏡である。41はXYZ微動装置である。XYZ微動装置41は、平行平板型XY微動装置42とZ微動装置43から成る。Z微動装置43は前述した筒型圧電素子(11,31)が使用されている。Z微動装置43の下端には探針44を備えたカンチレバー45が取り付けられている。平行平板型XY微動装置42は走査動作を行わせる手段であり、Z微動装置43は接近・退避動作を行わせる手段である。
XYZ微動装置41の下方位置では、試料ステージ46の上に試料47が配置されている。探針44は試料47の表面に臨んでいる。
探針44と試料47の間の原子間力で決まる距離は、カンチレバー45の変位として光学検出系で検出され、制御部48に入力される。制御部48は、探針・試料間を所定の距離に維持するための制御電圧(Vs)を出力し、これを印加電圧調整部25に与える。印加電圧調整部25は、入力した制御電圧に基づいてZ軸微動装置43の分割電極に与える印加電圧(V1〜V4)を決定し、出力する。これによりZ軸微動装置43は良好な真直度で伸縮し、探針・試料間距離を一定に保持する。
平行平板型XY微動装置42の走査動作はXY走査制御部49によって制御される。
上記制御部48から出力される制御電圧に係る信号、およびXY走査制御部49から与えられる制御信号は信号処理部50に入力され、ここで信号処理され、測定データが生成される。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
本発明は、走査型プローブ顕微鏡における主に探針・試料間距離を調整するためのZ軸微動装置として利用される。
本発明に係る筒型圧電素子の第1実施形態の正面図である。 第1実施形態に係る筒型圧電素子の分割電極を含む部分の水平断面図である。 第1実施形態に係る筒型圧電素子の曲がり状態を含む動作状態を示す図である。 第1実施形態に係る筒型圧電素子の曲がり状態を解消した動作状態を示す図である。 本発明に係る筒型圧電素子の第2実施形態の正面図である。 第2実施形態に係る筒型圧電素子の分割電極を含む部分の水平断面図である。 本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の要部構成図である。
符号の説明
11 筒型圧電素子
11a 円筒形圧電部材
13 電圧印加装置
15 Z軸電極
16a,16b 分割電極
17a,17b 分割電極
25 印加電圧調整部
31 筒型圧電素子
31a 円筒形圧電部材
116a,116b 分割電極
117a,117b 分割電極

Claims (5)

  1. 軸方向に伸縮動作させるための電極装置と電圧印加装置を備えた筒型圧電素子であって、その外周面に、伸縮方向の真直度の誤差を補正するための円周方向に分割された複数の分割電極を備えることを特徴とする筒型圧電素子。
  2. 前記複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧を、前記真直度の誤差がゼロになるように調整する印加電圧調整部を備えることを特徴とする請求項1記載の筒型圧電素子。
  3. 前記印加電圧調整部で調整される電圧は、前記筒型圧電素子について予め計測された前記真直度の誤差に基づいて決定されることを特徴とする請求項2記載の筒型圧電素子。
  4. 前記分割電極は、円周方向に4分割された電極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒型圧電素子。
  5. 筒型圧電素子を含むアクチュエータで探針の走査動作および接近・退避動作を行うようにされた走査型プローブ顕微鏡において、
    前記筒型圧電素子を、その軸方向に伸縮動作させるための電極装置および電圧印加装置と、
    前記筒型圧電素子の外周面に設けられ、伸縮方向の真直度の誤差を補正するための円周方向に分割された複数の分割電極と、
    前記複数の分割電極のそれぞれに印加される電圧を、前記真直度の誤差がゼロになるように調整する印加電圧調整部と、
    を備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008064978A (ja) * 2006-09-06 2008-03-21 Yamaha Corp 鍵駆動装置及び鍵駆動制御システム

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JP2008064978A (ja) * 2006-09-06 2008-03-21 Yamaha Corp 鍵駆動装置及び鍵駆動制御システム

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