JP2006156296A - 発熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】板状又は柱状の発熱体の周囲に加熱コイルを配置してなる最もシンプルな構造を採用した場合であっても発熱体を均一に加熱しうる発熱装置を提供すること。
【解決手段】加熱コイル30によって周囲を巻回された発熱体10には、上面から下面まで貫通した十字形状の空間部20が形成されている。この十字形状の空間部20は、発熱体10の外周縁に達するスリット部22を有しており、発熱体10の厚み方向に直交する面内において、発熱体10の外周面と共に一筆書きで示される形状を構成する。よって、通電した加熱コイル30によって発熱体10の外周部分に発生させられた誘導電流は、十字形状の空間部20に沿って発熱体10の内側部分を流れ、それにより、発熱分布の均一化が図られる。
【選択図】図2

Description

本発明は、誘導過熱により発熱する発熱体と加熱コイルとを有する発熱装置に関し、特に、均一に発熱する発熱体の構造に関する。
例えば、高温上記を発生させるスチーマ(例えば、特許文献1参照)や、複数個の加熱コイルの間に管状の発熱体を配置してなるコピー又はプリンタ用のトナー定着用熱源(例えば、特許文献2参照)など、様々な分野において、空気を汚さないクリーンな熱源として、高周波誘導加熱を利用した発熱装置が用いられている。
特開2003−336801 特開2004−214081
しかしながら、板状又は柱状の発熱体の周囲に加熱コイルを配置してなる最もシンプルな構造の発熱装置では、発熱体を均一に加熱することが困難である。そのため、誘導加熱の利用用途は、特許文献2のように特定の形状を有する発熱体を用いるもの、あるいは、特許文献1のように流体などを通じて熱を放射するもの(直接的な均熱輻射原ではないもの)等に限られていた。
本発明は、板状又は柱状の発熱体の周囲に加熱コイルを配置してなる最もシンプルな構造を採用した場合であっても発熱体を均一に加熱することができる発熱装置を提供することをその目的とする。
上記目的を達成する本発明の発熱装置は、誘導加熱により発熱する発熱体と、この発熱体の周囲を巻回する加熱コイルとを備える装置であって、発熱体が、通電した前記加熱コイルによって当該発熱体の外周部分に発生させられた誘導電流の流れを当該発熱体の内側に向けてガイドする電流ガイド手段を備えるものである。
このような本発明の発熱装置において、電流ガイド手段は、例えば、前記発熱体に設けられた所定形状の空間部からなる。この場合、空間部は、前記加熱コイルの巻回軸に直交する面内において前記発熱体の外周縁から前記発熱体の内側に向かうスリット部を少なくとも一つ有している。
あるいは、電流ガイド手段は、例えば、前記発熱体の外周端に形成された所定形状の切り欠き部を含んでいる。この切り欠き部は、それぞれ前記外周端から延びる先端部が前記発熱体の中央部を指向して複数形成されるようにしても良い。
なお、上記空間部内に非導電性の部材を配置し、当該非導電性部材と空間部とで電流ガイド手段を形成するようにしても良い。
本発明によれば、電流が導電体表面に沿って流れることを利用して、電流ガイド手段が、加熱コイルにより発熱体の外周部分に発生させられた誘導電流を発熱体の内側に向けてガイドする。ガイドされた誘導電流は、発熱体の外周面に沿うようにして閉ループを形成する。この閉ループの形状を適宜選択することで、誘導電流の流れるルートが決定され、それにより均一な発熱はもとより、所望とする熱分布をも得ることができる。
本発明の実施の形態による発熱装置は、図1及び図2に示されるように、導電性部材からなる発熱体10と、発熱体10の周囲に巻回された加熱コイル30及び加熱コイル30に接続された高周波電源40を備えている。
発熱体10は、例えば板状体であり、中心部分を通る十字形状の空間部20を備えている。すなわち、空間部20は、板状の発熱体10の厚み方向に貫通した4つのスリット部を備え、且つ、それら4つのスリット部が発熱体10の中心部分で互いに接続されてなる形状を有している。空間部20を形成する4つのスリット部のうちの一つ(参照符号22で示されるスリット部)は、発熱体の外周縁に達している。これにより、空間部20を構成する面は、板状の発熱体10の外周面と共に、板状の発熱体10の厚み方向に直交する平面(以下、「所定平面」という)内において、いわゆる一筆書きで示すことのできる形状を構成する。
加熱コイル30は、例えば、板状の発熱体10の外周面の周囲を巻回するようにして設けられている。そのため、通電した加熱コイル30による誘導電流は、直接的には、発熱体10の外周面表層部に誘導される。
上述のように、発熱体10においては、空間部20を構成する面が発熱体10の外周面と共に一筆書きで示しうる形状を呈していることから、誘導電流はその面に沿って流れて最終的には閉路を形成する。換言すると、誘導電流の流れる閉路は、空間部20の形状、特に、所定平面内における空間部20の形状により適宜設定することができる。すなわち、誘導電流の閉路が所定平面内において通るルートを空間部20の形状により適切にガイドすることにより、発熱体10の中心部近傍においても誘導電流による誘導加熱を生じさせることができ、発熱体10を均一に加熱することができる。
図1に示される発熱体10は、外周形状を略四角形とした板状体であったが、発熱体は、必ずしも図1の例に限定されない。例えば、図3に示されるように、外周形状を略円形とした板状体を発熱体としても良い。
図3に示される発熱体12は、図1に示される発熱体10と同様に、所定平面内において十字形状の空間部24を形成されており、空間部24は、発熱体10の外周縁に達するスリット22により、所定平面内において外周面と共に一筆書きで示すことのできる形状を構成している。その結果、図3に示される発熱体12の周囲に設けられた加熱コイル30に実線矢印で示されるような電流が流された場合、発熱体12には破線矢印で示される閉路に沿って誘導電流が流れることになる。
発熱体12に空間部24が形成されていないとすると、誘導電流は発熱体の外周面(外側面)にのみ沿って流れることとなる。これに対して、図3から明らかなように、空間部24を形成すると誘導電流は発熱体の内側にも流れることとなる。よって、発熱体12を均一に加熱することができる。
以上説明してきた例において、発熱体10,12内に形成された空間部20,24の形状は十字形であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、空間部は図4又は図5に示されるように複数のスリット部が放射状に配置されてなる形状を有していても良い。
図4に示される発熱体14は外周形状を略円形とした板状体であり、その発熱体14には空間部26が発熱体14の厚み方向に貫通するようにして形成されている。空間部26は6つのスリット部が発熱体14の中心において結合されたアスタリスク状の外観を呈しており、6つのスリット部のうちの一つ(参照符号22で示されるスリット部)は発熱体14の外周縁に達している。これにより、空間部26を形成するアスタリスク状の面は、発熱体14の外周面と共に、所定平面内において、一筆書きで示しうる形状を構成し、それにより、誘導電流は空間部26の形状に沿って形成された閉路を通ることとなり、発熱体14において均一な発熱分布を得ることができる。なお、図4において、実線矢印は加熱コイル30に流される電流を示し、破線矢印は加熱コイル30の通電により生じる誘導電流の流れる閉路を示す。
図5に示される発熱体16は外周形状を略円形とした板状体であり、その発熱体16には空間部28が発熱体16の厚み方向に貫通するようにして形成されている。空間部28は8つのスリット部が発熱体16の中心において結合された米字状の外観を呈しており、8つのスリット部のうちの一つ(参照符号22で示されるスリット部)は発熱体16の外周縁に達している。これにより、空間部28を形成する米字状の面は、発熱体16の外周面と共に、所定平面内において、一筆書きで示しうる形状を構成し、それにより、誘導電流は空間部26の形状に沿って形成された閉路を通ることとなり、発熱体16において均一な発熱分布を得ることができる。
なお、図4及び図5に示される例において、発熱体14,16の外周形状は略円形であったが、図1に示される発熱体10と同様に、略四角形であっても良い。
発熱体は、また、その外周端に切り欠き部を形成したものであっても良い。図6は、このような発熱体を示す上面図である。図6に示される発熱体17は、外周形状を略円形とした板状体であり、その空間部27及びスリット部22の構造は図4に示される発熱体14と同じであるが、その外周端に切り欠き部24が形成されている。切り欠き部24は、それぞれ外周端から延びる先端部が発熱体17の中央部を指向して複数形成される。図示の例では、空間部27の先端部と交差する位置関係で、等間隔に形成されている。
これにより、誘導電流は、切り欠き部24及び空間部27の形状に沿って形成された閉路を通ることとなり、発熱体17において均一な発熱分布を得ることができる。
なお、図6においても、実線矢印は加熱コイル30に流される電流を示し、破線矢印は加熱コイル30の通電により生じる誘導電流の流れる閉路を示す。
図1及び図3乃至図6に示される発熱体10,12,14,16,17は板状体であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、円柱や角柱のような柱状体の発熱体を用いることもできる。
図7には、略円柱の外形を有する発熱体18が例示されている。発熱体18には、空間部20aが形成されている。空間部20aは、発熱体18の注軸方向に沿って、発熱体18の上面18aから下面18bまで貫通しており、注軸方向に直交する平面(これも「所定平面」と呼ぶ)内において十字形状を有している。空間部20aの十字形状は、図3に示される空間部24の場合と同様に、4つのスリット部が空間部20aの径方向中心にて結合されて構成されており、4つのスリット部のうちの一つ(参照符号22で示されるスリット部)は発熱体18の外側面に達している。これにより、空間部20aを形成する十字形状の面は発熱体28の柱状側面と共に各所定平面内において一筆書きで示しうる形状を構成し、それにより、誘導電流は空間部20aの形状に沿って形成された閉路を通ることとなり、発熱体28において均一な発熱分布を得ることができる。
以上、様々な形態を例示して本発明による発熱装置について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述した例のいずれにおいても、空間部は発熱体の中心部分を通っていたが、例えば、中心部近傍を通る一対の渦巻状のスリットであっても良い。この場合、各スリットは例えば中心部に対して対向する外周縁部分にそれぞれ達しているものとすると、空間部の形状を中心部に対して対称的なものとすることができ、発熱体をより均一に加熱することができる。
以上説明した本発明による発熱装置は、蒸着装置をはじめとする工業加熱分野や、加熱調理器具などに代表される民生品分野において利用可能である。
本発明の実施の形態による発熱装置に含まれる発熱体の形状を示す斜視図である。 本発明の実施の形態による発熱装置を示す斜視図である。 本発明の他の例による板状発熱体を示す上面図である。 本発明の他の例による板状発熱体を示す上面図である。 本発明の他の例による板状発熱体を示す上面図である。 本発明の他の例による板状発熱体を示す上面図である。 本発明の他の例による柱状発熱体を示す斜視図である。
符号の説明
10,12,14,16,17,18 発熱体
20,20a,24,26,27,28 空間部
22 スリット部
24 切り欠き部
30 加熱コイル
40 高周波電源

Claims (9)

  1. 誘導加熱により発熱する発熱体と、この発熱体の周囲を巻回する加熱コイルとを備え、
    前記発熱体は、通電した前記加熱コイルによって当該発熱体の外周部分に発生させられた誘導電流の流れを当該発熱体の内側に向けてガイドする電流ガイド手段を備えるものである、発熱装置。
  2. 電流ガイド手段は、前記発熱体に設けられた所定形状の空間部を含んでおり、
    前記空間部は前記加熱コイルの巻回軸に直交する面内において前記発熱体の外周縁から前記発熱体の内側に向かうスリット部を少なくとも一つ有する、
    請求項1記載の発熱装置。
  3. 前記空間部は前記発熱体の中心部を通る、
    請求項2記載の発熱装置。
  4. 前記空間部は、前記発熱体の中心部から前記発熱体の外周部分に向かって複数のスリット部が放射状に延び且つ前記複数のスリット部のうちの少なくとも一つが前記発熱体の外周縁に達している特定形状を有する、
    請求項3記載の発熱装置。
  5. 前記特定形状は、米字形状、十字形状又はアスタリスク形状のいずれかである、
    請求項4記載の発熱装置。
  6. 電流ガイド手段は、前記発熱体の外周端に形成された所定形状の切り欠き部を含んでいる、
    請求項2乃至5のいずれかに記載の発熱装置。
  7. 前記切り欠き部は、それぞれ前記外周端から延びる先端部が前記発熱体の中央部を指向して複数形成されている、
    請求項6記載の発熱装置。
  8. 前記発熱体が板状体であり、前記加熱コイルは、この発熱体の厚み方向を巻回軸として当該発熱体の周囲に巻回されている、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の発熱装置。
  9. 前記発熱体が略円柱状又は略角柱状であり、前記加熱コイルは、この発熱体の柱軸方向を巻回軸として当該発熱体の周囲に巻回されている、
    請求項1乃至7のいずれかに記載の発熱装置。
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