JP2006155920A - El素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 EL素子において、レーザ光を用いて、第1電極へのダメージを極力抑制しつつ第1電極を取り出せるようにする。
【解決手段】 絶縁性基板であるガラス基板10上に、第1電極20、第1絶縁層30、発光中心を含む発光層40、第2絶縁層50および第2電極60を順次積層し、光取り出し側を光学的に透明な材料にて構成するEL素子100の製造方法において、第2絶縁層50を成膜した後に、第2絶縁層50の上から336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極20の上の層を除去し第1電極20を露出させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、たとえば透明ディスプレイなどに使用されるエレクトロルミネッセンス(Electro luminescence)素子(以下、EL素子と記す)の製造方法に関し、特に下部電極である第1電極の取り出し方法に関する。
EL素子は、硫化亜鉛(ZnS)等の蛍光体に電界を印加したときに発光する現象を利用したものであり、自発光型の平面ディスプレイを構成するものとして、近年、注目されている。
このEL素子は、一般に、ガラス基板などからなる絶縁性基板上に、光学的に透明なITO(Indium Tin Oxide)膜などからなる第1電極、第1絶縁層、発光中心を含む発光層、第2絶縁層および第2電極を順次積層してなり、光取り出し側を光学的に透明な材料にて構成するようにしたものである。
ここにおいて、絶縁性基板であるガラス基板としては、コストとEL素子製造プロセスにおける耐薬品性などを考慮して、無アルカリガラスや低アルカリガラスなどが用いられている。
また、電極としてのITO膜は、酸化インジウム(In23)に錫(Sn)をドープした透明の導電膜であり低抵抗率であることから、従来より透明電極用として広く使用されている。
また、発光層としては、希土類元素を添加したII−VI族化合物半導体が用いられる。ここで、II−VI族化合物半導体は、旧周期律表におけるCa、Sr、Zn、CdなどのIIA族(現2族)およびIIB族(現12族)とO、SなどのVIB族(現16族)との化合物半導体である。
具体的には、発光層としては、たとえば硫化亜鉛を母体材料とし、発光中心としてマンガン(Mn)やテルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)などの希土類元素を添加したものが使用される。
また、上述の構造からなるEL素子において、黄燈色発光を得る発光層の構成材料としてマンガン(Mn)、緑色発光を得る発光層の構成材料としてテルビウム(Tb)、赤色発光を得る発光層の構成材料としてサマリウム(Sm)を添加した硫化亜鉛などがあり、発光中心材料の種類によって発光色を制御できる。
また、第1絶縁層および第2絶縁層には、EL素子を駆動するに適した容量になるように、材料の膜厚を選択してきた。
ここで、従来より、EL素子における第1電極の取り出しについては、EL素子の形成工程において、第1電極の上に各絶縁層や発光層などが積層されるため、これら第1電極の上の層を除去し、第1電極を露出させる必要がある。
そして、露出した第1電極の上に第2電極を形成することにより、外部と接続可能な第1電極の端子部を形成するものである。
ここで、第1電極上の絶縁層などの層を除去する方法としては、通常砥粒による研磨、ウェットエッチング、ドライエッチング等が知られているが、これらの方法は、製造プロセスとしては使用する薬品などが高価でありコストに問題がある。
そこで、従来より、絶縁層などを除去する手段として、レーザを照射することにより、第1電極を露出する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法は、第1電極に吸収される波長のレーザを照射する方法である。
特開平8−311258号公報
しかしながら、上記の従来方法にて第1絶縁層や第2絶縁層をレーザによって除去しようとすると、第1電極のダメージを制御することが難しく、通電できないという問題が生じることがわかった。
たとえば、本発明者が1064nmの波長のYAGレーザにて除去を試みたところ、第1電極もしくはその下のガラス基板まで、加工されてしまった。これは、上記特許文献1に記載されているように、赤外領域のレーザでは第1電極にてアブレーションが発生してしまうためである。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、EL素子において、レーザ光を用いて、第1電極へのダメージを極力抑制しつつ第1電極を取り出せるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、レーザ波長および除去膜の構成について検討した。その結果、本発明を実験的に創出するに至った。
請求項1に記載の発明では、絶縁性基板(10)上に、第1電極(20)、第1絶縁層(30)、発光中心を含む発光層(40)、第2絶縁層(50)および第2電極(60)を順次積層し、光取り出し側を光学的に透明な材料にて構成するEL素子の製造方法において、第2絶縁層(50)を成膜した後に、第2絶縁層(50)の上から336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極(20)の上の層を除去し第1電極(20)を露出させることを特徴としている。
本発明は、本発明者の行った検討の結果、実験的に見出されたものであり、336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極(20)へ実質的にダメージを与えることなく第1電極(20)の上の層を除去し、第1電極(20)を露出させることができる。
つまり、本発明によれば、EL素子において、レーザ光を用いて、第1電極(20)へのダメージを極力抑制しつつ第1電極(20)を取り出すことができる。
そして、露出した第1電極(20)の上に第2電極(60)を形成することにより、外部と接続可能な第1電極(20)の端子部(21)を形成することができる。
ここで、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のEL素子の製造方法においては、第1絶縁層(30)および第2絶縁層(50)として、アルミナとチタニアの積層膜である絶縁層を用いることが好ましい。
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のEL素子の製造方法において、第1電極(20)としてインジウムチンオキサイド膜を用いることを特徴としている。
このように第1電極(20)としてインジウムチンオキサイド膜を用いれば、第1電極(20)にダメージが入りにくくなり、好ましい。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3に記載のEL素子の製造方法において、レーザ光の照射においては、マスクを用いないで除去部に選択的にレーザ光を照射することにより、第1電極(20)の上の層を除去を行うことを特徴としている。
それによれば、第1電極(20)の上の層が除去された部分において、この除去部の開口端部のテーパ角が鈍角になりやすい。そのため、その除去部上に第2電極(60)を形成するときに、均一な膜厚の第2電極(60)を形成しやすくなり、好ましい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るEL素子100の構成を示す図であり、(a)はEL素子100における第1電極20の端子部21周辺の平面図、(b)は(a)中のA−A概略断面図、(c)は(a)中のB−B概略断面図である。
なお、図1(b)に示される部分は、本EL素子100の基本的な積層部に相当する部分であり、この図1(b)に示される積層構成が、そのまま本EL素子100の発光部分の断面構成を示している。
図1(b)に示されるように、EL素子100は、絶縁性基板であるガラス基板10上に順次、以下に述べられる薄膜20〜60が積層形成されることによって構成された薄膜EL素子である。
ガラス基板10上には、光学的に透明な、たとえばITO(インジウムチンオキサイド)膜や酸化亜鉛などからなる透明な第1電極20が、下部電極として形成されている。本例では、第1電極20は、好ましい形態としてITO膜から構成されている。
第1電極20の上面には、たとえばアルミナとチタニアの積層膜であるATO膜(Al23/TiO2積層構造膜)や五酸化タンタル(Ta25)などからなる第1絶縁層30が形成されている。本例では、第1絶縁層30は、好ましい形態としてAl23/TiO2積層構造膜から構成されている。
第1絶縁層30の上には、発光中心を含む発光層40が形成されている。ここで、発光層40としては、特に限定するものではないが、希土類元素などの発光中心を添加したII−VI族化合物半導体が用いられる。
ここで、II−VI族化合物半導体は、旧周期律表におけるCa、Sr、Zn、CdなどのIIA族(現2族)およびIIB族(現12族)とO、SなどのVIB族(現16族)との化合物半導体である。
具体的には、本実施形態の発光層40としては、少なくともZnS、SrS、CaSの1つを母体材料とし、発光中心としてマンガン(Mn)やテルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)などの希土類元素を添加したものが使用される。本例では、発光層40は、ZnSを母体材料とし、発光中心としてMnを添加した硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)の膜からなる。
発光層40の上には、たとえば上記ATO膜や五酸化タンタルなどからなる第2絶縁層50が形成されている。本例では、第2絶縁層50は、好ましい形態としてAl23/TiO2積層構造膜から構成されている。
第2絶縁層50の上には、光学的に透明な、たとえばITO膜や酸化亜鉛などからなる透明な第2電極60が、上部電極として形成されている。本例では、第2電極106は、好ましい形態としてITO膜から構成されている。
ここで、この第1電極20と第2電極60とが重なり合う部分が、これら電極20、60の膜間に挟まれている第1絶縁層30、第2絶縁層50および発光層40とともに画素を構成しており、第1電極20、第2電極60間に電圧を印加することで、この画素が発光可能となっている。
本例では、EL素子100は、第1電極20と第2電極60とが光学的に透明であるため、ガラス基板10側および第2電極60側の両方の側から光の取り出しが可能となっている。
また、図1(a)、(c)に示されるように、第1電極20の取り出し部である端子部21は、ガラス基板10の周辺部に設けられている。
この端子部21は、第1電極20の上の層、すなわち第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50が除去されてなる貫通穴22に第2電極60が充填されてなるものである。
そして、この端子部21は、たとえばフレキシブルプリント基板などの外部配線部材が電気的に接続されるようになっており、EL素子100と外部との電気的なやり取りが行われる部分である。
なお、本例では、図1(c)に示されるように、端子部21は、第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50発光層の積層体を除去したものとして構成されているが、発光層40は無く2つの絶縁層30、50の積層体を除去したものとしてもよい。実際には、その方が通常行われることが多い。
次に、上記図1に示される本実施形態のEL素子100の製造方法について、上記した一具体例の膜構成に基づいて説明する。
まず、ガラス基板10上に、第1電極20として光学的に透明であるITO膜をスパッタ法によって形成する。次に、その上に、第1絶縁層30として、Al23/TiO2積層構造膜をALD(Atomic−Layer−Deposition)法によって作製する。
このAl23/TiO2積層構造膜の具体的な形成方法について説明する。
まず、第1のステップとして、アルミニウム(Al)の原料ガスとして三塩化アルミニウム(AlCl3)、酸素(O)の原料ガスとして水(H2O)を用いて、Al23層をALD法で形成する。
ALD法では1原子層ずつ膜を形成していくために、原料ガスを交互に供給する。従って、この場合には、AlCl3をアルゴン(Ar)のキャリアガスで反応炉に1秒導入した後に、反応炉内のAlCl3ガスを排気するのに十分なパージを行う。
次に、H2Oを同様にArキャリアガスで反応炉に1秒導入した後に、反応炉内のH2Oを排気するのに十分なパージを行う。このサイクルを繰り返して所定の膜厚のAl23層を形成する。
第2のステップとして、Tiの原料ガスとして四塩化チタン(TiCl4)、酸素の原料ガスとしてH2Oを用いて、酸化チタン層を形成する。
具体的には、第1のステップと同様にTiCl4をArキャリアガスで反応炉に1秒導入した後に、反応炉内のTiCl4を排気するのに十分なパージを行う。次に、H2Oを同様にArキャリアガスで反応炉に1秒導入した後に、反応炉内のH2Oを排気するのに十分なパージを行う。そして、このサイクルを繰り返して所定の膜厚の酸化チタン層を形成する。
そして、上述した第1のステップと第2のステップを繰り返し、所定膜厚のAl23/TiO2積層構造膜を形成して、これを第1絶縁層30とする。具体的には、Al23層、TiO2層とも、1層当たりの厚さを5nmとし、それぞれ30層積層した構造とすることができる。
なお、Al23/TiO2積層構造膜の最初と最後の層は、Al23層とTiO2層のいずれであってもよいが、最下層すなわち第1電極20上の最初の層はAl23層であることが好ましい。
また、ALD法を用いて原子層オーダで膜を形成する場合、0.5nmより薄い膜では絶縁体として機能せず、また1層当たりの膜厚が20nmよりも厚い場合には、積層構造による耐電圧の向上効果が低下してしまう。従って、積層構造膜の1層当たりの膜厚は0.5nmから20nm、好ましくは1nmから10nmとするのがよい。
次に、第1絶縁層30上に、発光層40として、ZnSを母体材料とし発光中心としてMnを添加した硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)からなる膜を蒸着法によって形成する。
その後、第2絶縁層50を第1絶縁層30と同様の構造と膜厚で成膜し、最後に第2電極60として、第1電極20と同様にしてITO膜を成膜する。
ここで、本実施形態においては、第2絶縁層50を成膜した後に、第2絶縁層50の上から336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極20の上の層を除去し第1電極20を露出させ取り出し可能とする。つまり、第1電極20の端子部21を形成する。
図2は、この第1電極20の端子部21の製造方法を、上記図1(b)、(c)に示される断面に対応した断面にて示す工程図である。
具体的には、図2(a)、(b)に示されるように、第1電極20のうち上記端子部21となる部位に、上記波長のレーザ光を照射して、第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50を除去し、上記貫通穴22を形成する。
その後、図2(c)に示されるように、この貫通穴22を含む第2絶縁層50の上に、第2電極60を形成する。こうして、第1電極20の端子部21が形成され、上記図1(b)に示されるようなEL素子100が完成する。
ところで、本実施形態によれば、絶縁性基板であるガラス基板10上に、第1電極20、第1絶縁層30、発光中心を含む発光層40、第2絶縁層50および第2電極60を順次積層し、光取り出し側を光学的に透明な材料にて構成するEL素子100の製造方法において、第2絶縁層50を成膜した後に、第2絶縁層50の上から336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極20の上の層を除去し第1電極20を露出させることを特徴とするEL(エレクトロルミネッセンス)素子100の製造方法が提供される。
このように、第1電極20の上の層を除去し第1電極20を取り出し可能とするために、336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射する根拠について、説明する。
図3は、本具体例におけるEL素子100を構成する膜の透過率の波長依存性を測定した結果を示す図であり、横軸にレーザ光の波長、縦軸に透過率を示している。
図3において、曲線Aは、ガラス基板10上に第1絶縁層30のみを形成した場合の測定結果を示す。また、曲線Bは、ガラス基板10上に第1絶縁層30のうちアルミナ膜のみを形成した場合の測定結果であり、曲線Cは、同様のチタニア膜のみを形成した場合の測定結果を示す。また曲線Dは、ガラス基板10上に第1電極のみを形成した場合の測定結果を示す。
図3に示されるように、これら各々の被測定対象膜の特徴としては、レーザ光の波長が可視領域内では、透過率は60%以上であることである。つまり、これら被測定対象膜においては、可視光領域のレーザ光が透過することである。
よって、レーザ光によりこれらの膜が除去されるメカニズムとしては、各膜にレーザが印加されると、レーザ光による熱吸収ではなく、多光子吸収により除去がなされると考えられる。
多光子吸収とは、複数個の光子が同時に相互作用して、そのエネルギーによって膜を消滅させる反応であり、本例の被測定対象膜のすべての膜において、この多光子吸収反応により除去加工が行われていると考えられる。
ここで、各被測定対象膜において、ガラス基板上に各被測定対象膜のみを形成し、その被測定対象膜に対して同等のレーザ照射条件にて照射を行い、観察した結果、明らかにチタニア膜が最も低いパワー領域にて除去されることがわかった。このことは、チタニア膜の反応、衝撃により膜の除去がなされているものと思われる。
また、上記具体例では、第1電極20の直上の層すなわち第1絶縁層30の最下層はアルミナ膜であるが、このアルミナ膜はチタニア膜に比べて、レーザ光にて除去しにくい。そのため、アルミナ膜を第1電極20の直上の層とすれば、第1電極20へのダメージを最小限に抑えることができ、好ましい。
以上のことより、本実施形態におけるレーザ光の使用可能な波長としては第1電極20の透過率とチタニア膜の透過率との差が重要なファクタであると言える。
図3に示されるように、第1電極20の透過率とチタニア膜の透過率と比較した場合、587nm以下の波長では、第1電極20の透過率に比べてチタニア膜の透過率の方が大きく、587nmにてこれら透過率の大小が逆転し、587nm以上の波長では、第1電極20の透過率の方が大きくなることがわかる。
つまり、チタニア膜の透過率が、ITOからなる第1電極20の透過率よりも大きくなると、チタニア膜をレーザ光が透過して、第1電極20に多くのレーザ光が到達し、その結果、第1電極20が多光子吸収によりダメージを受けやすくなる。このことから、レーザ光の波長の上限値は587nmに設定することになる。
また、レーザ光の波長の下限値については、チタニア膜のみの透過率が10%を下回る値、すなわち336nm以上の波長である必要がある。これは、チタニア膜のみの透過率が10%を下回ると、チタニア膜において多光子吸収ではなく熱吸収の発生が大きくなり、第1電極20を含めた全ての膜がダメージを受けやすくなるためである。
そして、これらのことを考慮し、本実施形態の製造方法におけるレーザ光の使用可能な波長を、すなわち図3に示される加工可能範囲として、336nm〜587nmとすることにした。
以上のメカニズムに基づいて、実際に端子部21においてレーザ照射による加工を行った具体的な結果を示す。
たとえば、波長が1064nmのレーザ光を用い、第2絶縁層50の上から、第1電極20上の層である第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50に照射した場合、このレーザ光は、第1、2絶縁層30、50および発光層40を透過し、第1電極20にてアブレーションが発生し、第1電極20が除去されてしまった。
これは、第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50にて多光子吸収を発生させるパワーよりも低い領域にて、第1電極20においてアブレーションが発生してしまうためと考えられる。
これは、レーザ光が1000nm以上の波長である場合、第1電極20であるITO膜の透過率が急激に低下し、レーザ光をITO膜が吸収するようになり、多光子吸収よりも熱吸収が多く発生し、その結果、第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50にてアブレーションを引き起こすよりも低いエネルギーにて第1電極20がアブレーションを起こすためと考えられる。
また、波長が355nmのレーザ光を用いた場合、1回もしくは複数回(例えば8回)、レーザ光を照射することにより、第1電極20の上の層を適切に除去することが可能となる。
これは、チタニア膜にてアブレーションが発生しているためと考えられる。レーザ光の照射回数にて除去深さを制御することは可能であるが、1つの取り出し口を形成するにあたって除去時間が長くなってしまう。
しかし、1回の照射よりは、複数回照射する方が、バラツキは少ない。このことから、第1絶縁層30、発光層40や第2絶縁層50の構造により、レーザ光の波長や照射回数を選択することが肝要である。
また、波長が532nmのレーザ光を用いる場合には、上記した波長が355nmのレーザ光を用いる場合よりは第1電極20の透過率が高い領域にて加工が行われることになる(図3参照)。
そのため、波長が355nmのレーザ光を用いる場合に比べて、使用可能なレーザ光のパワーの領域(つまり、エネルギー密度)を広く且つ大きく設定することができる。また、それに伴い、レーザ光自体のバラツキにも強いものにできる。
これらのことより、532nmの波長のレーザ光を用いる場合には、チタニア膜で発生する多光子吸収反応のみにて絶縁層を除去することが容易である。
さらに、波長が266nmのレーザ光を照射して、第1絶縁層30、発光層40および第2絶縁層50のみを除去することを試みたが、図3に示されるように、この波長では、該膜30〜50および第1電極20ともに、該波長のレーザ光をほぼ100%吸収するので、すべての膜20〜50が除去されてしまった。
このように、本実施形態によれば、336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極20へ実質的にダメージを与えることなく第1電極20の上の層を除去し、第1電極20を露出させることができる。
つまり、本実施形態によれば、EL素子100において、レーザ光を用いて、第1電極20へのダメージを極力抑制しつつ第1電極20を取り出すことができる。
そして、露出した第1電極20の上に第2電極60を形成することにより、外部と接続可能な第1電極20の端子部21を適切に形成することができる。
ちなみに、レーザ照射パワーについては、レーザの光源、光源からEL素子までの光学系、EL素子の膜厚によって変動するが、加工部でのレーザ密度を適切な範囲に設定すれば、適切な加工が可能である。
なお、端子部21を、発光層40は無く2つの絶縁層30、50の積層体を除去したものとした場合にも、上記した加工の具体例と同様の結果が得られた。つまり、この場合にも、336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極20へのダメージを極力抑制しつつ第1電極20を取り出すことができ、結果的に、第1電極20の端子部21を適切に形成することができる。
また、本実施形態の製造方法においては、第1絶縁層30および第2絶縁層50として、アルミナとチタニアの積層膜である絶縁層を用いることも特徴のひとつである。それによれば、絶縁層30、50と発光層40のみを除去しやすくなり、好ましい。
また、本実施形態の製造方法においては、第1電極20としてITO膜(インジウムチンオキサイド膜)を用いることも特徴のひとつである。それによれば、第1電極20にダメージが入りにくくなり、好ましい。
次に、第1電極20の端子部21を形成すべくレーザ光を照射する場合、上述したように、端子部21となる部位に選択的にレーザ光を照射するが、その選択的な照射方法としては、下記に示すような3種類の方法がある。
まず、第2絶縁層50上にレジストを形成し加工したい部分だけレジストを除去し、この状態でレーザ光をガラス基板10上の全面に照射する方法(第1の方法)がある。
また、加工したい部分だけを開口したマスクをEL素子100上に配置し、この状態でレーザ光をガラス基板10上の全面に照射する方法(第2の方法)がある。さらに、マスクやレジストを用いずに、レーザ径を絞るなどにより、加工したいところだけにレーザを照射する方法(第3の方法)がある。
この中では、レーザ光の照射においては、マスクを用いないで除去部に選択的にレーザ光を照射することにより、第1電極20の上の層を除去を行うことが好ましい。
これは、第1電極20の上の層が除去された部分において、この除去部の開口端部のテーパ角が鈍角になりやすいため、その除去部上に第2電極60を形成するときに、均一な膜厚の第2電極60を形成しやすくなるためである。
このことについて、さらに言うならば、上記第1および第2の方法で除去を行う場合、加工部すべて均一な除去が可能となるが、第1、2絶縁層30、50の加工部のテーパ角が鈍角になり、第2電極60をたとえばスパッタ法にて成膜した場合、テーパ部に均一な膜厚を成膜することが難しくなる。
それに対して、第2電極60にITO膜を用いる場合に第3の方法により除去を行う、すなわちマスクレスにて照射を行った場合には、レーザ光のエネルギー密度の関係により加工部周辺の絶縁層30、50が熱加工され、上記テーパ角が鋭角になり、第2電極60を形成することが容易となる。
(他の実施形態)
なお、上記実施形態に述べられた絶縁性基板10、第1電極20、第1絶縁層30、発光層40、第2絶縁層50及び第2電極60は、一具体例を示したものであり、これらに限定されるものではない。
要するに、本発明は、絶縁性基板上に、第1電極、第1絶縁層、発光中心を含む発光層、第2絶縁層および第2電極を順次積層し、光取り出し側を光学的に透明な材料にて構成するEL素子の製造方法において、第2絶縁層を成膜した後に、第2絶縁層の上から336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、第1電極の上の層を除去し第1電極を露出させ取り出し可能とすること要部とするものであり、その他の層など、細部の構成については適宜設計変更が可能である。
本発明の実施形態に係るEL素子の構成を示す図であり、(a)は第1電極の端子部周辺の平面図、(b)は(a)中のA−A概略断面図、(c)は(a)中のB−B概略断面図である。 上記実施形態における第1電極の端子部の製造方法を示す工程図である。 上記実施形態におけるEL素子を構成する膜の透過率の波長依存性を測定した結果を示す図である。
符号の説明
10…絶縁性基板としてのガラス基板、20…第1電極、30…第1絶縁層、40…発光層、50…第2絶縁層、60…第2電極。

Claims (4)

  1. 絶縁性基板(10)上に、第1電極(20)、第1絶縁層(30)、発光中心を含む発光層(40)、第2絶縁層(50)および第2電極(60)を順次積層し、光取り出し側を光学的に透明な材料にて構成するEL素子の製造方法において、
    前記第2絶縁層(50)を成膜した後に、前記第2絶縁層(50)の上から336nm〜587nmの範囲の波長を有するレーザ光を照射することにより、前記第1電極(20)の上の層を除去し前記第1電極(20)を露出させることを特徴とするEL素子の製造方法。
  2. 前記第1絶縁層(30)および前記第2絶縁層(50)として、アルミナとチタニアの積層膜である絶縁層を用いることを特徴とする請求項1に記載のEL素子の製造方法。
  3. 前記第1電極(20)としてインジウムチンオキサイド膜を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のEL素子の製造方法。
  4. 前記レーザ光の照射においては、マスクを用いないで除去部に選択的にレーザ光を照射することにより、前記第1電極(20)の上の層を除去を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のEL素子の製造方法。
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