JP2006153019A - 過給機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ハルとデッキとで構成される船体内に、ジェット推進ポンプを駆動するエンジンを船体長さ方向に沿わせて設け、その前方側にオイルポンプを設けるととも後方側に過給機140を設け、過給機140とメインギャラリの後端部とを、オイル供給パイプ25aで連通した。過給機140へ供給されるオイルは、過給機140における軸受け部の潤滑を行うとともに、軸受けケーシング内に形成されたオイルジャケットに供給されて軸受けケーシングの冷却を行なう。過給機におけるオイル出口に連通するオイル戻しパイプ25cにはワンウェイバルブを介装する。
【選択図】 図7
Description
しかしながら、4サイクルエンジンの出力は、同排気量の2サイクルエンジンに比べて少ないため、これを補うべく過給機付きのエンジンを搭載することが検討されており、本件出願人は、すでに特開2001−140613号として、過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇を提案している。
この小型滑走艇は、図11、図12に示すように、船体1の内部に過給機3付きの4サイクルエンジン2が搭載されている。過給機3はエンジン2の後側に配置されており、エンジン2の前側にはオイルタンク5が配置されている。
図13に示すように、エンジン2の前部には、オイルタンク5の下方にオイルポンプ4が設けられており、このオイルポンプ4から圧送されるオイルは、配管6d、オイルフィルタ6、配管6eを通って、エンジン2のメインギャラリ2aに供給され、このメインギャラリ2aからエンジン各部へ供給される。
過給機3の軸受け部3aへのオイルは、メインギャラリ2aから、クランク軸2bの下側軸受け部2c内の油路2d、上側軸受け部2e内の油路2f、および配管2gを介して供給される。
過給機3の軸受け部3aを潤滑させたオイルは、配管3bを通ってエンジン下部に設けられたオイルパン2iに回収され、さらに配管6aからオイルポンプ4を経てオイルタンク5へ回収される。
このように、過給機3をエンジン2の後側に配置し、エンジン2の前側にオイルタンク5を配置すると、オイルタンク5およびその内部のオイルが過給機3で加熱されてしまうという不具合が生じなくなる。
このため、過給機の速やかで確実な作動を得る上で若干の不安があった。
請求項2記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇は、請求項1記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記エンジンの船体前方側にオイルポンプを設けるととも後方側に前記過給機を設け、この過給機と前記メインギャラリの後端部とを、オイル供給通路で連通したことを特徴とする。
請求項3記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇は、請求項1または2記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記過給機へ供給されるオイルは、過給機における軸受け部の潤滑を行うとともに、軸受けケーシング内に形成されたオイルジャケットに供給されて軸受けケーシングの冷却を行なうことを特徴とする。
請求項4記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇は、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記過給機におけるオイル出口を、エンジン停止時のオイル面より上方に配置したことを特徴とする。
請求項5記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇は、請求項4記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記エンジンがドライサンプ式エンジンであり、そのクランク軸延長上にオイルタンクを設けたことを特徴とする。
請求項6記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇は、請求項4または5記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記過給機におけるオイル出口に連通するオイル戻し通路にワンウェイバルブを介装したことを特徴とする。
したがって、エンジン始動から、過給機へオイルが供給されるまでの時間が短縮され、過給機の速やかで確実な作動を得ることができる。
しかも、従来の技術では、メインギャラリの一端部をプラグ(図13の符号2p参照)で塞ぐ必要があったが、この請求項1記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、上記プラグが不要となる。
請求項2記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、請求項1記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記エンジンの船体前方側にオイルポンプを設けるととも後方側に前記過給機を設け、この過給機と前記メインギャラリの後端部とを、オイル供給通路で連通してあるので、エンジン後部の過給機へオイルを速やかに供給することができる。
請求項3記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、請求項1または2記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記過給機へ供給されるオイルは、過給機における軸受け部の潤滑を行うとともに、軸受けケーシング内に形成されたオイルジャケットに供給されて軸受けケーシングの冷却を行なう構成となっているので、過給機における軸受け部の潤滑ばかりでなく、軸受けケーシングの冷却も行なうことができる。
そして、このように、過給機に供給されるオイルで、過給機における軸受け部の潤滑と、軸受けケーシングの冷却とを行なう構成とした場合、過給機へは、従来に比べて、より多量のオイルを速やかに供給する必要があるが、この請求項3記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、過給機へのオイルが、メインギャラリの端部から直接オイル供給路を通って過給機へ供給されるので、より多量のオイルを速やかに供給することが可能となる。
請求項4記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の過給機付き内燃機関を搭載した小型滑走艇において、前記過給機におけるオイル出口を、エンジン停止時のオイル面より上方に配置してあるので、エンジンを停止すると、過給機内のオイルがオイル出口から速やかに排出されることとなる。
エンジン停止直後に高温となっている過給機内にオイルが滞留すると、この滞留オイルが炭化し易くなり、結果として、エンジンを循環するオイル全体が劣化しやすくなるという問題があるが、この請求項4記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、エンジンを停止すると、過給機内のオイルがオイル出口から速やかに排出されるので、エンジン停止後において過給機内に滞留するオイルを極力少なくしてオイル全体の劣化を低減させることができる。
請求項5記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、請求項4記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇におおいて、前記エンジンがドライサンプ式エンジンであり、そのクランク軸延長上にオイルタンクを設けてあるので、エンジン停止時のオイル面を低くすることができる。
したがって、より速やかに、過給機内のオイルがオイル出口から排出されることとなり、結果として、オイル全体の劣化が一層低減される。
請求項6記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、請求項5記載の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇において、前記過給機におけるオイル出口に連通するオイル戻し通路にワンウェイバルブを介装してあるので、小型滑走艇が転覆した際に、高温となっている過給機へオイルが逆流して過給機内に滞留するということがなくなる。
したがって、オイルの炭化をより確実に防止することができ、オイル全体の劣化をより確実に低減させることができる。
図1は本発明に係る過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇の一実施の形態を示す概略側面図、図2は同じく平面図、図3は図1におけるIII−III部分拡大断面図(部分省略断面図)である。
船体11は、ハル14とデッキ15とを接合して内部に空間16を形成した浮体構造となっている。空間16内において、ハル14上には、エンジン20が搭載され、このエンジン20で駆動される推進手段としてのジェットポンプ(ジェット推進ポンプ)30がハル14後部に設けられている。
なお、40は燃料タンク、41は収容室である。
このエンジン20はDOHC型で直列4気筒のドライサンプ式4サイクルエンジンであり、図1に示すように、そのクランクシャフト21が船体11の前後方向に沿うように配置されている。
図4および図7に示すように、船体11の進行方向に向かってエンジン20の左側には、吸気ポートに連通するサージタンク(インテークチャンバ)22とインタークーラ23とが接続配置され、エンジン20の右側には、排気ポート20oに連通する排気マニホルド24が接続配置されている。
図6,図7に示すように、エンジン20の後方にはターボチャージャ(過給機)140が配置され、このターボチャージャ140のタービン部140Tに排気マニホルド24の排気出口24oが接続され、コンプレッサ部140Cに前記インタークーラ23が配管26(図7参照)で接続されている。図7において、23a、23bはインタークーラー23に接続された冷却水ホースである。
なお、ターボチャージャ140のタービン部140Tにてタービンを回転させた排気は、図1、図2に示すように、排気管27a,転覆時の水の逆流(ターボチャージャ140等への水の侵入)を防止するための逆流防止室27b,ウォーターマフラー27c,および排気・排水管27dを経てジェットポンプ30による水流内へと排出される。
図4,図6に示すように、オイルタンク50内において、タンク本体60の前面には水冷式オイルクーラ90が設けられており、オイルタンク50の上部にはオイルフィルタ100が設けられている。
タンク本体60は、そのカバー部66で上記各部を覆うようにして前記接合面61でエンジン20前面に接合され図示しないボルトでエンジン20前面に一体的に固定される。なお、タンク本体60は、これにオイルポンプ80、オイルクーラ90が取り付けられた後にエンジン20前面に取り付けられる。
オイル回収用のインナーおよびアウターロータ84は第1ケース81とともにオイル回収ポンプを構成し、オイル供給用のインナーおよびアウターロータ85はその第1,第2ケース81,82とともにオイル供給ポンプを構成する。
このオイルポンプ80は、第1ケース81のタンク本体60に対する接合面を、これと同形に形成された、オイルタンク本体60の前面における接合面63に接合させた後、ボルト88でタンク本体60の前面に取り付けられる。
このようにしてオイルポンプ80がタンク本体60に取り付けられた後、ポンプ軸83の後端に対し、タンク本体60の背面側からカップリング89がボルトで固定される。
図4,図6に示すように、タンク本体60における取付部64には、後述するオイル通路に連通する上穴64aと下穴64bとが形成されている。
一方、オイルクーラ90は、その内部をオイルが通る複数枚の熱交換用のプレート91と、このプレート91内に上部で連通するオイルの入り口パイプ92と、同じく下部で連通するオイルの出口パイプ93とを有している。
したがって、オイルクーラ90は、その入り口パイプ92をタンク本体60の上穴64aに、出口パイプ93をタンク本体60の下穴64bにそれぞれ連結させるようにして、タンク本体60における取付部64に取り付けられる。
また、タンク本体60におけるオイルフィルタ100用の取付部68には、オイルフィルタ100が取り付けられる。
なお、エンジン20が船体11に搭載された状態で、エンジン20およびオイルフィルタ100は、図2および図4に示すようにデッキ15の開口15aに臨んでいる。デッキ15の開口15aは、船体11に対して着脱可能に構成されているシート12を船体11から取り外すことによって開放される。
図5および図8に示すように、タンク本体60の前面とオイルポンプ80の第1ケース81の背面とでオイル回収路51が形成される。この回収路51は、タンク本体60側に形成されたオイル通路51aと、これに対向してオイルポンプ80の第1ケース81側に形成されたオイル通路51bとで形成される。
このオイル回収路51の下端51cは、パイプ52を介して、エンジン20のオイルパン28に連通しており、上端51dは、オイルポンプ80の第1ケース81に形成された回収オイル吸入口81iに連通している。
同じく、タンク本体60の前面とオイルポンプ80の第1ケース81の背面とで回収オイルの吐出路53が形成される。この回収オイル吐出路53は、タンク本体60側に形成されたオイル通路53aと、これに対向してオイルポンプ80の第1ケース81側に形成された回収オイル吐出口81oとで形成される。
この回収オイル吐出路53の上端53bは、オイルタンク50内(すなわちオイル収容部内)に開口している。
吸い込み路54の下端54aは、オイルタンク50内(すなわちオイル収容部内)に開口しており、上端54bはオイル供給ポンプの供給オイル吸入口82iに連通している。吸い込み路54には、スクリーンオイルフィルタ54cが設けられている。
吐出路55の下端55aはオイル供給ポンプの供給オイル吐出口82oに連通しており、上端55bは第1ケース81上部を横方に貫通して、タンク本体60に形成された横穴60aに連通している。横穴60aは、同じくタンク本体60に形成された縦穴60bに連通している。縦穴60bの上端60cはオイルフィルタ100の取付部68に平面視リング状になって開口しており、この開口60cに、オイルフィルタ100のオイル流入路101が連通される。
上記吐出路55に、前述したリリーフバルブ130の取付穴82aが開口しており、この取付穴82aにリリーフバルブ130が前述したようにして取り付けられている。
図6に示すように、タンク本体60内において、雌ねじ穴60dの下部には縦穴60eと、この縦穴60eの下端に連通する横穴60fが形成されており、この横穴60fが前述したオイルクーラ90の取付部64における上穴64aを介してオイルクーラ90の入り口パイプ92に連通している。
なお、オイル分配路60hの一端は、プラグ60n(図6参照)で閉じられる。
メインギャラリ20aからの経路は大きく2つに分かれている。
第1の経路は、経路20b(図5参照)を経てクランク軸21の軸受け部に供給される経路であり、第2の経路はメインギャラリ20aの後端20a1からパイプ25a(図7参照)を経てターボチャージャ140のタービン軸受けの冷却用および潤滑用に供給される経路である。ターボチャージャ140のタービン軸受けの冷却および潤滑を行ったオイルは、パイプ25b、25c(図6参照)を経てオイルパン28に回収される。
クランク軸21の軸受け部に供給されたオイルは、さらに経路20cを経てシリンダヘッドにおけるカムジャーナル20d部分およびリフター部分を潤滑させた後、チェーン室20iを経てオイルパン28に戻る。
また、クランク軸21の軸受け部に供給されたオイルは、さらに、ACG、ピストン裏ジェットノズル、コンロッド、カムチェーン、スタータニードルに供給され、それぞれの回収路を経てオイルパン28に回収される。図5において、20eがピストンの裏側にオイルを噴射してピストンを冷却するためのジェットノズル、20fがコンロッド部分への通路、20gがカムチェーンである。また、20hがACG室110cからのオイルの戻し通路である。
ACG室のオイルは、その戻し通路20hを経てオイルパン28に戻り、ジェットノズル20eからピストン裏に噴射されたオイル、コンロッドに供給されたオイル、スタータニードルに供給されたオイルは、それぞれクランク室20jを経てオイルパン28に戻る。
オイルタンク50→吸い込み路54→スクリーンオイルフィルタ54c→オイルポンプ(供給ポンプ)80→吐出路55(およびリリーフバルブ130、横穴60a、縦穴60b、リング状開口60c)→オイルフィルタ100→縦穴60e、横穴60f→オイルクーラ90→オイル通路60g、オイル分配路60h→メインギャラリ用供給路60i、左バランサ用供給路60j、右バランサ用供給路60k→メインギャラリ20a、左バランサ114L、右バランサ114Rとなる。
リリーフバルブ130からのリリーフオイルROは、直接オイルタンク50内に戻る。
左バランサ114L、右バランサ114Rに供給されたオイルはクランク室20jを経てオイルパン28に戻る。
また、メインギャラリ20aから上述した各部に供給されたオイルは、上述したようにしてオイルパン28に戻る。
そして、オイルパン28に戻ったオイルは、パイプ52,回収路51、オイルポンプ80(回収ポンプ)、回収オイル吐出路53を経てオイルタンク50に回収され、上記吸い込み路54から上述した経路で循環されることとなる。
前述したようにターボチャージャ140は、タービン部140Tとコンプレッサ部140Cとを備えている。また、これらタービン部140Tとコンプレッサ部140Cとを接続している軸受けケーシング141を備えている。
軸受けケーシング141内には、軸受け部(軸受け部材の収容室)142が設けられており、この軸受け部142の軸受け部材(セラミックボールベアリング)142aによってタービン軸143が回転可能に支持されている。
タービン軸143のタービン部140T側にはタービン羽根143Tが固定され、コンプレッサ部140C側にはコンプレッサ羽根143Cが固定されている。
したがって、前述した排気マニホルド24からの排気がタービン部140T内の排気通路T1を経て排気出口T2から前述した排気管27a(図1,図2参照)へと排出される過程でタービン軸143が回転駆動され、コンプレッサ羽根143Cが回転駆動されて、図示しない吸気ボックスに連通している吸気取り入れ口C1からの空気が、コンプレッサ部140C内の吸気通路C2を経て前述した配管26(図7参照)からインタークーラ23へと圧送されることとなる。
軸受けケーシング141の内部にはオイルジャケット146が形成されており、このオイルジャケット146に前記オイル入り口144がオイル通路144aで連通している。また、軸受け部142は、細いオイル通路144bでオイル入り口144に連通している。
したがって、オイル入り口144から入ったオイルは、オイル通路144aからオイルジャケット146へ供給されて軸受けケーシング141、軸受け部142およびタービン軸143回りを冷却するとともに、オイル通路144bから軸受け部142へ供給されて軸受け部142を潤滑させる。
オイルジャケット146のオイルは、オイルジャケット146のオイル出口146a、および146bから前述したパイプ25b、25c(図6参照)を経てオイルパン28に回収される。また、軸受け部142のオイルは、その出口142bから一旦オイルジャケット146内に入り、前記オイルジャケット146の出口146aおよび146bから前述したパイプ25b、25c(図6参照)を経てオイルパン28に回収される。
これらオイル出口146a、146bは、いずれも、エンジン停止時のオイル面O1(図6参照)より上方に配置してある。
したがって、ジェットポンプ30からの冷却水は、他の冷却対象を介することなく直接ターボチャージャ140のウォータジャケットT3に供給され、ターボチャージャ140を冷却した後、排気管27aを冷却する。なお、排気管27aを冷却した水は、さらにその後、逆流防止室27bのウォータジャケットに流入して逆流防止室27bを冷却した後、ウォーターマフラー27c内に噴射され、排気とともに、排気・排水管27dを経てジェットポンプ30による水流内へと排出される。
(a)ハル14とデッキ15とで構成される船体11内に、ジェット推進ポンプ30を駆動するエンジン20を船体長さ方向に沿わせて設け、このエンジン20の長手方向において過給機140を設けるとともに、この過給機140と、エンジン20のクランク軸21と平行に設けられたオイルのメインギャラリ20aの端部とを、オイル供給通路25aで連通してあるので、過給機140へのオイルが、メインギャラリ20aの端部から直接オイル供給路25aを通って過給機140へ供給されることとなる。
したがって、エンジン始動から、過給機140へオイルが供給されるまでの時間が短縮され、過給機140の速やかで確実な作動を得ることができる。
しかも、前述した従来の技術では、メインギャラリの一端部をプラグ(図13の符号2p参照)で塞ぐ必要があったが、この実施の形態の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇によれば、上記プラグが不要となる。
(b)エンジン20の船体11前方側にオイルポンプ80を設けるととも後方側に過給機140を設け、この過給機140とメインギャラリ20aの後端部とを、オイル供給通路25aで連通してあるので、エンジン後部の過給機140へオイルを速やかに供給することができる。
(c)過給機140へ供給されるオイルは、過給機140における軸受け部142の潤滑を行うとともに、軸受けケーシング141内に形成されたオイルジャケット146に供給されて軸受けケーシング141の冷却を行なう構成となっているので、過給機140における軸受け部142の潤滑ばかりでなく、軸受けケーシング141の冷却も行なうことができる。
そして、このように、過給機140に供給されるオイルで、過給機140における軸受け部142の潤滑と、軸受けケーシング141の冷却とを行なう構成とした場合、過給機140へは、従来に比べて、より多量のオイルを速やかに供給する必要があるが、この実施の形態の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇10によれば、過給機140へのオイルが、メインギャラリ20aの端部から直接オイル供給路25aを通って過給機140へ供給されるので、より多量のオイルを速やかに供給することが可能となる。
(d)過給機140におけるオイル出口146a、146bを、エンジン停止時のオイル面O1より上方に配置してあるので、エンジン20を停止すると(したがってオイルポンプ80の作動が停止すると)、過給機140内のオイルがオイル出口146a、146bから速やかに排出されることとなる。
エンジン停止直後に高温となっている過給機140内にオイルが滞留すると、この滞留オイルが炭化し易くなり、結果として、エンジン20を循環するオイル全体が劣化しやすくなるという問題があるが、この実施の形態の過給機付きエンジンを搭載した小型滑走艇10によれば、エンジン20を停止すると、過給機140内のオイルがオイル出口146a、146bから速やかに排出されるので、エンジン停止後において過給機140内に滞留するオイルを極力少なくしてオイル全体の劣化を低減させることができる。
(e)エンジン20がドライサンプ式エンジンであり、そのクランク軸延長上にオイルタンク50を設けてあるので、エンジン停止時のオイル面O1を低くすることができる。
したがって、より速やかに、過給機140内のオイルがオイル出口146a、146bから排出されることとなり、結果として、オイル全体の劣化が一層低減される。
(f)過給機140におけるオイル出口146a、146bに連通するオイル戻し通路25b、25cにワンウェイバルブ147を介装してあるので、小型滑走艇10が転覆した際に、オイルパン28から、高温となっている過給機140へオイルが逆流して過給機140内に滞留するということがなくなる。
したがって、オイルの炭化をより確実に防止することができ、オイル全体の劣化をより確実に低減させることができる。
(h)過給機冷却水通路148aからの冷却水は、先ず過給機140に供給され、過給機140を冷却した後、エンジン20の排気系において過給機140より下流に設けられた排気系(排気管27a、、逆流防止室27b、ウォーターマフラー27c、排気・排水管27d)に供給されるので、最も温度の低い状態の冷却水で過給機140を冷却することができる。
したがって、過給機140を一層効率よく充分に冷却することができる。
さらに、過給機140より下流に設けられた排気系も冷却することができる。
(k)過給機140を冷却した冷却水は、排気系において過給機140より下流に設けられた排気管27aに供給された後、排気とともに船舶10外へ放出されるので、過給機140を駆動した排気が排気管27a内でさらに冷却される。
すなわち、過給機140および排気管27aにおいて排気を冷却することにより、相乗的に排気エネルギーを低減させ、結果として排気音を低減させることができる。
(l)過給機140へオイルが供給されるとともに、その供給されたオイルが、過給機140における軸受け部142の潤滑と、軸受けケーシング141内に形成されたオイルジャケット146に供給されて軸受けケーシング141の冷却とを行なうので、過給機140が一層良好に冷却されることとなる。
したがって、高温になっているターボチャージャ140のケーシング等が急激にしかも部分的に冷却されるという事態が生じにくくなり、ターボチャージャ140に熱疲労が生じ難くなるので、結果としてターボチャージャ140の耐久性が向上する。
(n)ターボチャージャ140には、そのタービン部140TのケーシングにウォータジャケットT3を形成するとともに、その軸受けケーシング141にオイルジャケット146を形成し、ウォータジャケットT3には冷却水が供給されるとともに、オイルジャケット146には冷却オイルが供給されるので、ターボチャージャ140が高温になり過ぎるということがなくなる。
したがって、仮に、小型滑走艇の走行中に船体外部の大気が吸気ダクト18,19を通じて船体内空間16に導入される際に水を伴って(例えば飛沫状に)導入されたその水がターボチャージャ140に直接かかったとしても、それによるターボチャージャ140のケーシングにおける温度変化が小さくて済む。
結果として、ターボチャージャ140に熱疲労が生じ難くなり、ターボチャージャ140の耐久性が確実に向上する。
(o)ウォータジャケットT3への冷却水が、他の冷却水通路と独立した別のターボチャージャ冷却水通路148aにより供給されるのでターボチャージャ140が効率よく冷却される。
したがって、仮に、小型滑走艇の走行中に船体外部の大気が吸気ダクト18,19を通じて船体内空間16に導入される際に水を伴って(例えば飛沫状に)導入されたその水がターボチャージャ140に直接かかったとしても、それによるターボチャージャ140のケーシングにおける温度変化が一層小さくて済む。
結果として、ターボチャージャ140に熱疲労が一層生じ難くなり、ターボチャージャ140の耐久性が一層確実に向上する。
11 船体
14 ハル
15 デッキ
20 エンジン
21 クランク軸
20a メインギャラリ
20a1 端部
25a パイプ(オイル供給通路)
25b、25c パイプ(オイル戻し通路)
30 ジェットポンプ(ジェット推進ポンプ)
50 オイルタンク
80 オイルポンプ
140 ターボチャージャ(過給機)
141 軸受けケーシング
142 軸受け部
146 オイルジャケット
146a、146b オイル出口
147 ワンウェイバルブ
O1 オイル面
Claims (9)
- 過給機のタービン部とコンプレッサ部との問の軸受けケーシングに形成されたオイルジャケットにオイルを供給して前記軸受けケーシングを冷却するように成したことを特徴とする過給機。
- 軸受けケーシングと、前記軸受けケーシングに設けたオイル入り口と、前記軸受けケーシングに設けたオイルジャケットと、前記軸受けケーシングに設けた軸受け部と、前記オイル入り口と前記オイルジャケットを連通する通路と、前記オイル入り口と前記軸受け部を連通する通路と、を設け、前記オイル入り口ヘ供給されるオイルは、前記オイルジャケットに供給されて前記軸受けケーシングの冷却を行うとともに、前記軸受け部に供給されて前記軸受げ部の潤滑を行う、ことを特徴とする請求項1記載の過給機。
- 前記オイル入り口と前記オイルジャケットとを連通する通路にオリフィスを設けたことを特徴とする請求項2記載の過給機。
- ハルとデッキとで構成される船体内に船体長さ方向に沿わせて設けられるジェット推進ポンプを駆動するエンジンの長手方向に設けられると共に,前記エンジンのクランク軸と平行に設けられたオイルのメインギャラリの端部と前記オイル入り口とをオイル供給通路で連通した請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の過給機。
- ハルとデッキとで構成される船体内に船体長さ方向に沿わせて設けられるジェット推進ポンプを駆動するエンジンであって前記エンジンの船体前方側にオイルボンプを設けたエンジンの長手方向に設けられると共に、前記エンジンのクランク軸と平行に設けられたオイルのメインギャラリの端部と前記オイル入り口とをオイル供給通路で連通した請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の過給機。
- 請求項4または5に記載の過給機であって,前記過給機におけるオイル出口を、エンジン停止時のオイル面より上方に配置したことを特徴とする過給機。
- 前記エンジンがドライサンプ式エンジンであり、そのクランク軸延長上にオイルタンクを設けたことを特徴とするエンジンに連通された請求項6に記載の過給機。
- 前記過給機におけるオイル出口に連通するオイル戻し通路にワンウェイバルブを介装したことを特徴とするエンジンに連通された請求項6または7記載の過給機。
- 前記過給機は小型滑走艇に搭載用であることを特微とする請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の過給機。
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