JP2006151325A - 車両のサスペンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】サスペンション装置を構成するバネの特性を調整することで、車高を支持し車高を維持する性能1、操縦性、安定性を確保する性能2、乗り心地を確保する性能3の全てを満足させる。
【解決手段】支持用バネ11が、車体1を支持する態様で車体1とサスペンション部材32、33とに連結される。調整用バネ21、22は、気体バネで構成され、車体1とサスペンション部材32、33との間に連結される。容量変化手段44、45、46、47、48、49、52、53によって、調整用気体バネ21、22の容量が変化されることで、調整用気体バネ21、22のバネ定数が調整される。
【選択図】図8

Description

本発明は、車両のサスペンション装置に関し、特に、バネによって車体とサスペンション部材とが支持された構造の装置に関するものである。
建設機械や乗用車等の車両には車輪、リンクやアーム等のサスペンション部材、バネ、ダンパからなるサスペンション装置(懸架装置)が設けられている。一般的には、車輪が上下方向に揺動するように、車体と車輪とがリンクやアーム等のサスペンション部材を介して連結され、車体とサスペンション部材とがバネおよびダンパを介して連結されて、サスペンション装置が構成される。
バネの種類には、コイルスプリング等の弾性を利用した機械バネ、空気等の気体が圧縮されることによる反発力を利用した気体バネまたは油気圧バネがある。
ダンパに関しては、作動油をシリンダ内に封入し作動油がピストンのオリフィスを通過するときの抵抗を利用して減衰力を発生するオイルダンパが一般的に用いられる。
ここで、サスペンション装置に要求される性能には、つぎの3点がある。
性能1)車体重量(輪荷重)を支えつつ、車高を維持する。
性能2)操縦安定性を確保する剛性を持つ(一般的に、バネ定数を大きく(硬く )することで実現される)。
性能3)乗り心地を確保する剛性を持つ(一般的に、バネ定数を小さく(柔らか く)することで実現される)。
上記性能1は、サスペンション装置を設計する上で必須条件であって、バネで車体を支持することで実現される。
上記性能2および3は、バネのバネ定数およびダンパの減衰係数を調整することで実現される。
しかしながら、性能2と性能3は一般的にトレードオフの関係にあり、バネ定数、減衰係数の切り換え機構や電子制御を用いて性能を確保しているのが実状である。
図1(a)は、機械バネ80によって車体1を支持する構成を示し、図1(b)は、機械バネ80のストロークSとバネ力Fとの関係(機械バネ80の特性)を示している。
機械バネ80のバネ定数は、車体1の自重と所望する車高に基づいて設定される。すなわち、機械バネ80が車体1から自重に応じた輪荷重(静荷重)を受けて、あるストローク量Sbだけ変位したときに所望の車高が得られるように、バネ定数が定められる。なお、図1(b)に示す機械バネ80の特性上、車体1から輪荷重を受けて輪荷重とバネ力Fが釣り合っている点を中立点(平衡点)Pbという。また、中立点Pbからみてバネが伸張するストローク範囲を「伸び側」、中立点Pbからみてバネが縮退するストローク範囲を「縮み側」という。
しかし、機械バネ80の場合、輪荷重や車高に応じて、バネ定数が一意に定まり、一度定められたバネ定数を変更することはできない。また機械バネ80の場合、輪荷重に応じてストローク量Sbが定まりそれによって車高が一意に定まるため、機械バネ80自身に車高を調整する機能はない。仮に車高を調整したい場合には、機械バネ80とは別に車高調整装置を設ける必要がある。また、機械バネ80は、バネ定数が全ストローク範囲で一定であり、あるストローク値で急激にバネ定数が変化するバンプストッパ機能(縮み側)や、リバウンドストッパ機能や(伸び側)や、サスペンションロック機能(中立点付近)を持たせることはできない。
このように機械バネ80は、性能1は確保することができるが、バネ定数が一意に定まるため、性能2、性能3の両方を満足させることはできない。このため、ダンパの減衰係数を調整することで性能2、性能3の両方を確保する必要がある。
つぎに、図2(a)は、エアバネ(気体バネ)70によって車体1を支持する構成を示し、図2(b)は、エアバネ70のストロークSとバネ力Fとの関係(エアバネ70の特性)を示している。
エアバネ70は、車体1の自重を支持しており、輪荷重に応じてストローク量Sbだけ変位したときに所望する車高になるように調整されている点は、機械バネ80と同様であるが、機械バネ80と異なり、バネ定数、バネの硬さが全ストローク範囲で一定でなく、ストロークSの増加に伴い、略2次曲線的に漸増するという非線形な特性を示す。このようにエアバネ70は圧縮されるにしたがって硬くなる特性を持っていることから、小さな凹凸では柔らかい(中立点Pb付近で柔らかい)一方で、大きな衝撃力に対してはショックを効果的に和らげる(縮み側の大きなストロークで硬くなる)という利点がある。すなわち、エアバネ70は、中立点Pb付近では大きなバネ力F(自重の支持力)を発生しつつ小さいバネ定数を持たせることができる(乗り心地に対してメリットがある)。また、エアバネ70は、縮み側で大きなバネ定数を持ち、大きなバネ力を発生でき、エアバネ70はそれ自身に、バンプストッパ機能を持っている。ただし、エアバネ70単体では、リバウンドストッパ機能、サスペンションロック機能を有していない。
また、エアバネ70は、図2(c)に示すように、エアの圧力、体積を変化させることで、バネ定数を調整することができ、異なるバネ特性1、特性2、特性3に変化させることができる。
また、エアバネ70自身は、車高調整機能を持っており、図2(d)に示すように、エアの体積を変化させることで、輪荷重に対応するストローク量Sbを所望の値S′bに調整でき、これにより車高を調整することができる。
以上のようにエアバネ70は、機械バネ80と異なりバネ定数を変更できるため、性能1を確保しつつ、バネ定数とダンパの減衰係数を調整することで、性能2、性能3の両方をある程度満足させることができる。
ここで、本件発明に関連する一般的技術水準を示す文献に下記に示す特許文献1がある。この特許文献1には、コイルバネと、このコイルバネに直列に設けられたエアバネを介して、車体と車軸が連結された構造のサスペンション装置が開示されている。
特開2001−121936号公報
しかしながら、エアバネ70のバネ定数は、主に体積変化によってでしか実現できない。つまり、輪荷重およびエアバネ70の断面積を一定とした場合、内部圧力は一定値となる。車体の自重を支持するという制約(エアバネ70の内部圧力一定)のため、圧力を調整することでバネ定数を自由に調整できない。
また、図2(d)に示すように、車高を調整すると、体積が変化するため、エアバネ70のバネ定数が意図せずして変化してしまう。仮に、このバネ定数の変動を回避しようとすると、車体1の自重を支えることができる大きな圧力を調整する装置が必要となるか、別途、車高を調整する装置が必要になる。
エアバネ70は、体積変化に対するバネ定数の変化が、中立点Pb付近では緩やかであり、バネ定数の調整値は安定している。しかし、このバネ定数の調整値が安定するストローク範囲で、バネ定数を調整すると、上述したように車体の自重を支持するという制約があるためバネ定数の調整範囲を広く取ることはできない。一方、バンプストッパ機能が実現されている縮み側のストローク範囲では、体積変化に対するバネ定数の変化が急激である。このためバンプストッパ機能が実現されているストローク範囲では、バネ定数の調整範囲をある程度大きく取れるものの、バネ定数の調整値自体が安定しない。この結果、エアバネ70では、所望のバネ定数を得ることができるストローク範囲が狭い。
以上のように、エアバネ70を使用しても性能1による制約が大きく、それによってバネ定数の調整範囲およびバネ定数を調整できるストローク範囲には制限があり、バネの調整だけで性能2および3の両方を満足することは困難である。
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、サスペンション装置を構成するバネの特性を調整することで、性能1、性能2、性能3の全てを満足させることができるようにすることを解決課題とするものである。
なお、上記特許文献1に記載されたサスペンション装置は、コイルバネと、エアバネを直列に設けた構造であり、エアバネは、コイルバネと同様に車体を支持しているため、性能1の制約があり、エアバネのバネ定数の調整だけで性能2および3の両方を満足させることは困難である。
第1発明は、
車体(1)を支持する態様で車体(1)とサスペンション部材(32、33)とに連結される支持用バネ(11)と、
前記車体(1)と前記サスペンション部材(32、33)との間に連結される調整用気体バネ(21、22)と、
前記調整用気体バネ(21、22)の容量を変化させる容量変化手段(44、45、46、47、48、49、52、53)と
を備えること
を特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
前記調整用気体バネ(21、22)の気体室を大気に開放・遮断する大気開放・遮断手段が設けられること
を特徴とする請求項1記載の車両のサスペンション装置。
第3発明は、第1発明において、
前記調整用気体バネ(21、22)は、
前記サスペンション部材(32、33)が前記支持用バネ(11)の縮み側に移動するときに縮む態様で前記車体(1)と前記サスペンション部材(32、33)とに連結される第1の調整用気体バネ(21)と、
前記サスペンション部材(32、33)が前記支持用バネ(11)の伸び側に移動するときに縮む態様で前記車体(1)と前記サスペンション部材(32、33)とに連結される第2の調整用気体バネ(22)とからなり、
前記第1の調整用気体バネ(21)の内部の気体室と前記第2の調整用気体バネ(22)の内部の気体室とを連通・遮断する連通・遮断手段(50)が設けられること
を特徴とする。
第4発明は、第3発明において、
前記第1の調整用気体バネ(21)の気体室の圧力と前記第2の調整用気体バネ(22)の気体室の圧力の圧力供給源(52、53)が更に設けられることを特徴とする。
第5発明は、第1発明において、
サスペンションロックするように、前記調整用気体バネ(21、22)の容量が変化されること
を特徴とする。
第6発明は、第1発明において、
リバウンドストップするように、前記調整用気体バネ(21、22)の容量が変化されること
を特徴とする。
第1発明によれば、図8に示すように、支持用バネ11が、車体1を支持する態様で車体1とサスペンション部材32、33とに連結される。調整用バネ21、22は、気体バネで構成され、車体1とサスペンション部材32、33との間に連結される。容量変化手段44、45、46、47、48、49、52、53によって、調整用気体バネ21、22の容量が変化されることで、調整用気体バネ21、22のバネ定数が調整される。
本発明によれば、調整用気体バネ21、22の容量を変化させることで、支持用バネ11によって車高を保持したまま、バネ特性を自由に調整することができる。
第2発明によれば、支持用バネ11によって、車高が調整されると、調整用気体バネ21、22の気体室が大気に開放されて、調整用バネ21、22の力が車高調整時の中立点で釣り合う状態になり、支持用バネ11のみによって車高が保持される状態となる。つぎに調整用気体バネ21、22の気体室が大気から遮断状態にされて、遮断状態で調整用気体バネ21、22の容量を変化させることで、バネ特性が調整される。このように、調整された所望の車高に応じた所望のバネ特性を得ることができる。
第3発明によれば、連通・遮断手段50によって、第1の調整用気体バネ21の内部の気体室と第2の調整用気体バネ22の内部の気体室とを遮断した状態で、第1の調整用気体バネ21、第2の調整用気体バネ22の容量を調整することで、支持用バネ11の伸び側、縮み側の両方のバネ特性を各別かつ自由に調整することができる。また、支持用バネ11によって、車高が調整されると、調整用気体バネ21、22の気体室が連通されて、第1および第2の調整用気体バネ21、22の力が車高調整時の中立点で釣り合う状態になり、支持用バネ11のみによって車高が保持された状態となる。つぎに調整用気体バネ21、22の気体室が遮断状態にされて、遮断状態で第1および第2の調整用気体バネ21、22の容量を変化させることで、支持用バネ11の伸び側、縮み側の両方のバネ特性が各別に調整される。このように、調整された車高に応じた所望のバネ特性を、支持用バネ11の伸び側、縮み側で各別に得ることができる。
第4発明では、第3発明において、第1および第2の調整用気体バネ21、22の気体室の圧力の圧力供給源52、53が更に設けられる。これにより気体バネ21、22の気体室の圧力を調整することができ、バネ特性の調整の自由度が一層向上する。
第5発明では、図6または図7に示すように、調整手段44、45、46、52、47、48、49、53によって、サスペンションロックするように、第1の調整用気体バネ21および第2の調整用気体バネ22のバネ定数が調整される。
第6発明では、図6に示すように、調整手段44、45、46、52、47、48、49、53によって、リバウンドストップするように、第1の調整用気体バネ21および第2の調整用気体バネ22のバネ定数が調整される。
以下、図3〜図5を用いて本発明の効果について、更に具体的に説明する。
1)性能1と性能2、性能3とを独立に調整できるようになり、バネのみによって性能2、性能3の両方を満足させる特性が得られるようになる。
すなわち、車体1を支持する機能、つまり性能1については、支持用バネ11が担当しており、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24としては、車体1を支持する機能は必要がなく、中立点Pbで各バネ力F0が等しくなりさえすれば、中立点Pbにおけるバネ力F0(バネ定数)は、輪荷重とは無関係に任意の所望する値に設定することができる。これにより図4(c)に示す調整用バネ21〜24の合成特性を、輪荷重や車高に関係なく、任意に設定可能となり、性能2と性能3の両方を満足できる特性に調整することが可能となる。いいかえれば、任意の車高(サスペンションストローク)を取りながらも、任意のバネ特性に調整することができる。
特に、エアバネで車体を支持していた従来の場合には、車体1の自重に応じて圧力が定まるため(エアバネの圧力は負荷(バネ力)を断面積で割った圧力値以外をとることができない)、エアの体積の調整でバネ定数を調整するしかなかった。これに対して本実施形態では、両調整用バネ(エアバネ)21、22(23、24)をサスペンション部材31に連結し、支持用バネ11の中立点Pbで両バネ力F0を釣り合わせる構成をとっているため、エアの体積を一定にしたままエア圧の調整のみでバネ定数を調整することが可能になる。つまり、中立点Pbにおけるストローク量Sbを維持したままでバネ定数を調整することが可能となる。これにより調整用バネ(エアバネ)21、22(23、24)の体積を調整するためのエアタンクの場所を確保できない場合であっても、バネ定数を調整することが可能になる。
2)バネ定数の調整範囲が従来よりも広がり、しかも安定したバネ定数が広いストローク範囲で得られる。
すなわち、上述したように、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24には、車体1を支持する機能は必要がなく、中立点Pbで各バネ力F0が等しくなりさえすれば、中立点Pbにおけるバネ力F0(バネ定数)は、輪荷重とは無関係に任意の所望する値に設定することができる。このため中立点Pb付近の比較的バネ定数が安定しているストローク領域で、バネ定数を広範囲を変化させることが可能になる。しかも、図4(c)に示すように、中立点Pb付近の比較的バネ定数の変化率が少ないストローク領域を有する第1の調整用バネ21、23と、同じく中立点Pb付近の比較的バネ定数の変化率が少ないストローク領域を有する第2の調整用バネ22、24とを合成したことによって、バネ定数が安定するストローク範囲が広がり、広いストローク範囲で、安定したバネ定数が得られる。
3)従来のエアバネ単体で得られなかった機能を持たせることができる。
本明細書において、バンプストッパ機能とは、縮み側のあるストローク位置で急激にバネ定数が変化する機能であり、リバウンドストッパ機能とは、伸び側のあるストローク位置で急激にバネ定数が変化する機能であり、サスペンションロック機能とは、中立点付近のストローク領域で急激にバネ定数が変化する機能である。
エアバネ単体では、バンプストッパ機能しか持ち得なかったが、図6に示すように、支持用バネ11のストローク範囲内に、第2の調整用バネ22、24のバンプストッパする領域が入るように調整すれば、複合バネ11、21〜24にリバウンドストッパ機能を持たせることができる。複合バネ11、21〜24がリバウンドストッパするストローク位置は、伸び側であれば、支持用バネ11のストローク範囲内の任意の位置に設定することができる。
また、図7に示すように、第1の調整用バネ21、23のバネ定数が中立点Pb付近で急激に増加するように調整するとともに、第2の調整用バネ22、24のバネ定数が中立点Pb付近で急激に増加するように調整すれば、複合バネ11、21〜24にサスペンションロック機能を付加することができる。複合バネ11、21〜24がサスペンションロックするストローク位置は、中立点Pb近辺であれば、支持用バネ11のストローク範囲内の任意の位置に設定することができる。
4)特に支持用バネ11を機械バネで構成した場合には、機械バネ80に、従来なかったバンプストッパ機能を付加することができるようになる。
図4(d)あるいは図6に示すように、支持用バネ11のストローク範囲内に、第1の調整用バネ21、23のバンプストッパ領域が入るように、調整すれば、機械バネ80に従来なかったバンプストッパ機能を付加することができる。複合バネ11、21〜24がバンプストッパするストローク位置は、縮み側であれば、支持用バネ11のストローク範囲内の任意の位置に設定することができる。
5)更に第1の調整用バネ21、23の特性と、第2の調整用バネ22、24の特性を、それぞれ異なる特性に設定することで、複合バネ11、21〜24の特性を、伸び側と縮み側で異なる特性にすることができる。たとえば縮み側のバネ定数が大きく、伸び側のバネ定数が小さい特性の複合バネ11、21〜24を設計することができる。
6)上述したように、複合バネ11、21〜24のバネ特性を柔軟に変更することができるため、従来よりも広範囲なバネの制御を行うことができる。
すなわち、「広範囲にわたるバネ定数一定機能」、「伸び側、縮み側で異なるバネ定数を付加する機能」、「任意ストローク位置でのバンプストッパ機能」、「任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能」、「任意ストローク位置でのサスペンションロック機能」といった複合バネ11、21〜24の各特性を選択するスイッチを車両に設け、スイッチの選択内容に応じて、複合バネ11、21〜24の特性を変更することができる。これにより性能2、性能3が広範囲にわたって満足される。
以下、図面を参照して本発明に係る車両のサスペンション装置の実施の形態について説明する。
図3は実施形態のサスペンション装置の構成を示す図である。
実施形態のサスペンション装置は、リンクやアーム等のサスペンション部材(支持対象物)31、支持用バネ11、図中上方の第1の調整用バネ21、23、図中下方の第2の調整用バネ22、24とからなる。支持用バネ11は、コイルバネ等の機械バネが使用され、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24は、エアバネ等の気体バネが使用される。ここで、エアバネ等の気体バネは、エア(気体)の体積または圧力が変化される気体室を備えたバネである。すなわち、シリンダ(ボディ)内にエア、窒素等の気体が圧縮されて封入され、ロッドに接続されたピストンが摺動自在にシリンダ内に設けられた構造のバネであり、ロッドの伸縮に応じて気体室内のエアが圧縮されるときの反発力がバネ力として取り出される。エアバネ等の気体バネにあっては、シリンダによって圧縮されている気体の体積、シリンダによって圧縮されている気体の圧力を調整することで、バネ定数を変化させることができる。
図示しない車輪は、サスペンション部材31に連結されている。
支持用バネ11は、車体1を支持する態様で車体1とサスペンション部材31とに連結されている。すなわち、支持用バネ11は、車体1の自重に応じた輪荷重(静荷重)を受けて、自然長からあるストローク量Sbだけ変位し、このストローク量Sbに応じて静定時の車高が定まる。
車輪が図中上下方向に揺動すると、それに応じてサスペンション部材31が揺動し、支持用バネ11は、サスペンション部材31の揺動方向に伸縮する。
図4(a)は、支持用バネ11のストロークSとバネ力Fとの関係(支持用バネ11の特性)を示している。
機械バネである支持用バネ11のバネ定数は、車体1の自重と所望する車高に基づいて設定される。すなわち、機械バネ80が車体1から自重に応じた輪荷重(静荷重)を受けて、あるストローク量Sbだけ変位したときに所望の車高が得られるように、バネ定数が定められる。図4(a)に示す支持用バネ11の特性上、車体1から輪荷重を受けて輪荷重とバネ力が釣り合っている点を中立点(平衡点)Pbという。また、中立点Pbからみてバネが伸張するストローク範囲を「伸び側」、中立点Pbからみてバネが縮退するストローク範囲を「縮み側」という。
一方、図5に示すように、第1の調整用バネ21、23と第2の調整用バネ22、24はそれぞれ、支持用バネ11の中立点Pbにおいて両バネ力が釣り合い、互いに逆向きに伸縮するように、サスペンション部材31に連結されている。
図3の図中左側の第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を代表させて説明すると、第1の調整用バネ21は、ロッド21aが図中下向きになるように配置され、ロッド21aがサスペンション部材31に連結されている。第1の調整用バネ21のボディは車体1に連結されている。一方、第2の調整用バネ22は、ロッド22aが図中上向きになるように配置され、ロッド22aがサスペンション部材31に連結されている。第2の調整用バネ22のボディ(シリンダ)は車体1に連結されている。
図3の図中右側の第1の調整用バネ22、第2の調整用バネ24についても、上述した第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22と同様に構成されている。
支持用バネ11の中立点Pbにおいて、第1の調整用バネ21と第2の調整用バネ22の両バネ力を釣り合せる(第1の調整用バネ21と第2の調整用バネ22の合力を零にする)ためには、支持用バネ11が中立点Pbの位置で、第1の調整用バネ21と第2の調整用バネ22それぞれで発生するバネ力が等しくなるように、各調整用バネ21、22の体積あるいは圧力を調整して、バネ定数を調整する。調整用バネ21、22の中立点Pbで発生するバネ力F0の大きさ、バネ定数は任意の値に設定することができる。中立点Pbにおけるバネ力F0を大きくし、バネ定数を大きくするほど、各調整用バネ21、22の中立点Pbへの復元力が大きくなる。たとえば図5に示すように、サスペンション部材31が図中上側に微小ストロークだけ揺動したとき、図中上側の第1の調整用バネ21は、その微小ストロークだけ縮むが、そのとき発生するバネ力の大きさ、つまり中立点Sb側に伸びようとする復元力は、中立点Pbで調整したバネ力F0の大きさに応じたものになる。
図4(b)は、第1の調整用バネ21、23のストロークSと、第1の調整用バネ21、23の合成バネ力Fとの関係(第1調整用バネ21、23の合成特性)を示すとともに、第2の調整用バネ22、24のストロークSと、第2の調整用バネ22、24の合成バネ力Fとの関係(第2調整用バネ22、24の合成特性)を示している。
上述したように、車体1を支持する機能は、支持用バネ11が担当しており、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24としては、車体1を支持する機能は必要がなく、中立点Pbで各バネ力F0が等しくなりさえすれば、中立点Pbにおけるバネ力F0(バネ定数)は、輪荷重とは無関係に任意の所望する値に設定することができる。
つぎに、図4(c)に、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24を合成したバネのストロークSと、第1の調整用バネ21、23と第2の調整用バネ22、24との合成バネ力Fとの関係(第1調整用バネ21、23と第2調整用バネ22、24の合成特性)を示す。図4(c)における「縮み側」は、第1の調整用バネ21、23の縮み側(第2の調整用バネ22、24の伸び側)に対応し、図4(c)における「伸び側」は、第1の調整用バネ21、23の伸び側(第2の調整用バネ22、24の縮み側)に対応している。
同図4(c)に示すように、調整用バネ21〜24の合成バネ力は、中立点Pb(ストローク量Sb)で零となる。
そして、図4(d)に、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24を合成したバネ(以下、適宜、複合バネという)のストロークSと、支持用バネ11と第1の調整用バネ21、23と第2の調整用バネ22、24との合成バネ力Fとの関係(支持用バネ11と第1調整用バネ21、23と第2調整用バネ22、24の合成特性)を示す。図4(d)における「縮み側」は、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、23の縮み側(第2の調整用バネ22、24の伸び側)に対応し、図4(d)における「伸び側」は、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、23の伸び側(第2の調整用バネ22、24の縮み側)に対応している。
同図4(d)に示すように、中立点Pb付近の広範囲のストローク領域で、バネ定数を所望の一定値にすることができ(広範囲にわたるバネ定数一定機能)、縮み側のストローク値でバネ定数が急激に上昇するバンプストッパ機能を付加することができる。
つぎに本実施形態のサスペンション装置の効果について各項目毎に説明する。
1)性能1と性能2、性能3とを独立に調整できるようになり、バネのみによって性能2、性能3の両方を満足させる特性が得られるようになる。
すなわち、車体1を支持する機能、つまり性能1については、支持用バネ11が担当しており、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24としては、車体1を支持する機能は必要がなく、中立点Pbで各バネ力F0が等しくなりさえすれば、中立点Pbにおけるバネ力F0(バネ定数)は、輪荷重とは無関係に任意の所望する値に設定することができる。これにより図4(c)に示す調整用バネ21〜24の合成特性を、輪荷重や車高に関係なく、任意に設定可能となり、性能2と性能3の両方を満足できる特性に調整することが可能となる。いいかえれば、任意の車高(サスペンションストローク)を取りながらも、任意のバネ特性に調整することができる。
特に、エアバネで車体を支持していた従来の場合には、車体1の自重に応じて圧力が定まるため(エアバネの圧力は負荷(バネ力)を断面積で割った圧力値以外をとることができない)、エアの体積の調整でバネ定数を調整するしかなかった。これに対して本実施形態では、両調整用バネ(エアバネ)21、22(23、24)をサスペンション部材31に連結し、支持用バネ11の中立点Pbで両バネ力F0を釣り合わせる構成をとっているため、エアの体積を一定にしたままエア圧の調整のみでバネ定数を調整することが可能になる。つまり、中立点Pbにおけるストローク量Sbを維持したままでバネ定数を調整することが可能となる。これにより調整用バネ(エアバネ)21、22(23、24)の体積を調整するためのエアタンクの場所を確保できない場合であっても、バネ定数を調整することが可能になる。
2)バネ定数の調整範囲が従来よりも広がり、しかも安定したバネ定数が広いストローク範囲で得られる。
すなわち、上述したように、第1の調整用バネ21、23、第2の調整用バネ22、24には、車体1を支持する機能は必要がなく、中立点Pbで各バネ力F0が等しくなりさえすれば、中立点Pbにおけるバネ力F0(バネ定数)は、輪荷重とは無関係に任意の所望する値に設定することができる。このため中立点Pb付近の比較的バネ定数が安定しているストローク領域で、バネ定数を広範囲を変化させることが可能になる。しかも、図4(c)に示すように、中立点Pb付近の比較的バネ定数の変化率が少ないストローク領域を有する第1の調整用バネ21、23と、同じく中立点Pb付近の比較的バネ定数の変化率が少ないストローク領域を有する第2の調整用バネ22、24とを合成したことによって、バネ定数が安定するストローク範囲が広がり、広いストローク範囲で、安定したバネ定数が得られる。
3)従来のエアバネ単体で得られなかった機能を持たせることができる。
本明細書において、バンプストッパ機能とは、縮み側のあるストローク位置で急激にバネ定数が変化する機能であり、リバウンドストッパ機能とは、伸び側のあるストローク位置で急激にバネ定数が変化する機能であり、サスペンションロック機能とは、中立点付近のストローク領域で急激にバネ定数が変化する機能である。
エアバネ単体では、バンプストッパ機能しか持ち得なかったが、図6に示すように、支持用バネ11のストローク範囲内に、第2の調整用バネ22、24のバンプストッパする領域が入るように調整すれば、複合バネ11、21〜24にリバウンドストッパ機能を持たせることができる。複合バネ11、21〜24がリバウンドストッパするストローク位置は、伸び側であれば、支持用バネ11のストローク範囲内の任意の位置に設定することができる。
また、図7に示すように、第1の調整用バネ21、23のバネ定数が中立点Pb付近で急激に増加するように調整するとともに、第2の調整用バネ22、24のバネ定数が中立点Pb付近で急激に増加するように調整すれば、複合バネ11、21〜24にサスペンションロック機能を付加することができる。複合バネ11、21〜24がサスペンションロックするストローク位置は、中立点Pb近辺であれば、支持用バネ11のストローク範囲内の任意の位置に設定することができる。
4)特に支持用バネ11を機械バネで構成した場合には、機械バネ80に、従来なかったバンプストッパ機能を付加することができるようになる。
図4(d)あるいは図6に示すように、支持用バネ11のストローク範囲内に、第1の調整用バネ21、23のバンプストッパ領域が入るように、調整すれば、機械バネ80に従来なかったバンプストッパ機能を付加することができる。複合バネ11、21〜24がバンプストッパするストローク位置は、縮み側であれば、支持用バネ11のストローク範囲内の任意の位置に設定することができる。
5)更に第1の調整用バネ21、23の特性と、第2の調整用バネ22、24の特性を、それぞれ異なる特性に設定することで、複合バネ11、21〜24の特性を、伸び側と縮み側で異なる特性にすることができる。たとえば縮み側のバネ定数が大きく、伸び側のバネ定数が小さい特性の複合バネ11、21〜24を設計することができる。
6)上述したように、複合バネ11、21〜24のバネ特性を柔軟に変更することができるため、従来よりも広範囲なバネの制御を行うことができる。
すなわち、上述した「広範囲にわたるバネ定数一定機能」、「伸び側、縮み側で異なるバネ定数にする機能」、「任意ストローク位置でのバンプストッパ機能」、「任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能」、「任意ストローク位置でのサスペンションロック機能」といった複合バネ11、21〜24の各特性を選択するスイッチを車両に設け、スイッチの選択内容に応じて、複合バネ11、21〜24の特性を変更することができる。これにより性能2、性能3が広範囲にわたって満足される。
以下、サスペンション装置の各実施例について説明する。
図8は、支持用バネ11にエアバネを使用した実施例の構成を示している。本実施例では、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の全てがエアバネで構成される。支持用バネ11は、ロッド11aが図中上下方向に伸縮するように配置され、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22は、各ロッド21a、22aが図中左右方向に伸縮するように配置されている。
本実施例の図8におけるアーム32、33が、前述した実施例の図3におけるサスペンション部材31に相当する。また、前述した図3の実施例では、第1の調整用バネ、第2の調整用バネがそれぞれ2つ設けられていたが、本実施例では、第1の調整用バネ、第2の調整用バネがそれぞれ1つ設けられた場合を想定する。
車輪2は、アーム32に連結されている。
支持用バネ11は、車体1を支持する態様で車体1とアーム32とに連結されている。アーム32は、支持用バネ11のロッド11aを伸縮させる向きに揺動するようにピンジョイント65を介して車体1に連結されている。
アーム33は、第1の調整用バネ21のロッド21a、第2の調整用バネのロッド22aを伸縮させる向きに揺動するようにアーム32に固定されている。第1の調整用バネ21と第2の調整用バネ22はそれぞれ、支持用バネ11の中立点Pbにおいて両バネ力が釣り合い、各ロッド21a、22aが互いに逆向きに伸縮するように、アーム33に連結されている。第1の調整用バネ21のロッド21aはピンジョイント61を介してアーム33に連結され、第1の調整用バネ21のボディはピンジョイント63を介して車体1に連結されている。同様にして第2の調整用バネ22のロッド22aはピンジョイント62を介してアーム33に連結され、第2の調整用バネ22のボディ(シリンダ)はピンジョイント64を介して車体1に連結されている。
このため車輪2の揺動に伴い、アーム32がピンジョイント65回りに揺動し、この揺動に伴い第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22がピンジョイント63、64回りに揺動し、この揺動に応じて第1の調整用バネ21のロッド21a、第2の調整用バネ22のロッド22aが互いに逆向きに伸縮する。
支持用バネ11の外部または内部には、支持用バネ11の気体室の体積を変化させるためのエアタンクが設けられている。本実施例では、外部に1つあるいは複数のエアタンク41が設けられた場合を例示している。また、支持用バネ11の外部または内部には、支持用バネ11の気体室の圧力を変化させるための圧力供給源が設けられている。本実施例では、外部に圧力供給源51が設けられた場合を例示している。
支持用バネ11の気体室は、管路43、バルブ42を介してエアタンク41に連通している。バルブ42の開閉の度合いに応じて、支持用バネ11の気体室のエアの体積が変更される。
支持用バネ11の気体室は、管路43を介して圧力供給源51に連通している。圧力供給源51でエアの圧力が調整されることによって、支持用バネ11の気体室のエアの圧力が変更される。
第1の調整用バネ21の外部または内部には、第1の調整用バネ21の気体室の体積を変化させるためのエアタンクが設けられている。本実施例では、外部に1つあるいは複数のエアタンク44が設けられた場合を例示している。第2の調整用バネ22についても同様である。また、第1の調整用バネ21の外部または内部には、第1の調整用バネ21の気体室の圧力を変化させるための圧力供給源が設けられている。本実施例では、外部に圧力供給源52が設けられた場合を例示している。第2の調整用バネ22についても同様である。
第1の調整用バネ21の気体室は、管路46、バルブ45を介してエアタンク44に連通している。バルブ45の開閉の度合いに応じて、第1の調整用バネ21の気体室のエアの体積が変更される。
第1の調整用バネ21の気体室は、管路46を介して圧力供給源52に連通している。圧力供給源52でエアの圧力が調整されることによって、第1の調整用バネ21の気体室のエアの圧力が変更される。
同様に、第2の調整用バネ22の気体室は、管路49、バルブ48を介してエアタンク47に連通している。バルブ48の開閉の度合いに応じて、第2の調整用バネ22の気体室のエアの体積が変更される。
第2の調整用バネ22の気体室は、管路49を介して圧力供給源53に連通している。圧力供給源53でエアの圧力が調整されることによって、第2の調整用バネ22の気体室のエアの圧力が変更される。
管路46と管路49とは、連通バルブ50を介して連通、遮断が自在に接続されている。連通バルブ50の開閉度合いに応じて、第1の調整用バネ21の気体室と第2の調整用バネの気体室との連通、遮断の状態が変化される。
第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22は、連通バルブ50の開放時に同じバネ力が得られるように設計されている。
このように本実施例では、支持用バネ11が、車体1を支持する態様で車体1とサスペンション部材32、33とに連結されている。そして、調整用バネ21、22は、気体バネで構成されており、車体1とサスペンション部材32、33との間に連結されている。そして、第1および第2の調整用バネ21、22には、容量変化手段としての、エアタンク44、47、バルブ45、48、管路46、49、圧力供給源52、53が設けられている。このため、後述する動作の説明で述べるように、これら容量変化手段によって、第1および第2の調整用バネ21、22の容量、つまり気体室の体積、圧力が変化され、第1および第2の調整用バネ21、22のバネ定数が、車高を保持したまま、所望の値に調整される。
また、第1の調整用バネ21は、サスペンション部材32、33が支持用バネ11の縮み側に移動するときに縮む態様で車体1とサスペンション部材32、33とに連結されている。第2の調整用バネ22は、サスペンション部材32、33が支持用バネ11の伸び側に移動するときに縮む態様で車体1とサスペンション部材32、33とに連結されている。また、第1の調整用バネ21の内部の気体室と第2の調整用気体バネ22の内部の気体室とを連通・遮断する連通・遮断手段としての連通バルブ50が設けられている。このため、後述する動作の説明で述べるように、連通バルブ50によって、第1の調整用バネ21の内部の気体室と第2の調整用バネ22の内部の気体室とが遮断された状態で、第1の調整用気体バネ21、第2の調整用気体バネ22の容量、つまり気体室の体積、圧力を調整することで、支持用バネ11の伸び側、縮み側の両方のバネ特性を各別に調整することができる。
つぎに本実施例の動作について説明する。
(車高調整)
バルブ42の開閉度合いが調整されて、支持用バネ11の気体室の体積が変更され、車体1の車高が所望する高さにされる。
(第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の力の釣り合いの調整)
車高調整により、中立点Pb(ストローク量Sb)が定まると、つぎに、連通バルブ50が開放される。これにより、第1の調整用バネ21の気体室と第2の調整用バネ22の気体室とが連通され、中立点Pbにおいて第1の調整用バネ21のバネ力と第2の調整用バネ22のバネ力とが釣り合わせられる。
(第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のバネ定数の調整)
バルブ45、48の開閉度合いを調整するとともに、圧力供給源52、53の圧力を調整することによって、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のバネ定数が調整される。調整時期は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の力の釣り合いを調整する前後が考えられる。調整後のエアタンク44、47の内圧は、調整時の内圧となるため、調整後にエアタンク44、47を開放すると、その時点での気体室の圧力によってバネ定数は影響を受ける。バネ定数を適宜調整することで、図6、図7で説明したように、複合バネ11、21、22に、リバウンドストッパ機能、サスペンションロック機能等の機械バネ単体、エアバネ単体では得られない機能を付加することができる。
以上のように本実施例によれば、第1および第2の調整用バネ21、22の気体室の体積、圧力を変化させることで、支持用バネ11によって車高を保持したまま、バネ特性を自由に調整することができる。
第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のバネ定数の調整は、連通バルブ50を開放状態(連通状態)にして行ってもよく、遮断状態にして行ってもよい。
第1および第2の調整用バネ21、22の気体室が遮断状態にされた状態で、第1および第2の調整用バネ21、22の体積、圧力を変化させた場合には、支持用バネ11の伸び側、縮み側の両方のバネ特性を各別に所望の特性に調整することができる。すなわち、調整された車高に応じた所望のバネ特性を、支持用バネ11の伸び側、縮み側で各別に得ることができる。
以上のようにして図8に示す実施例においても、中立点Pbにおいて第1の調整用バネ21のバネ力と第2の調整用バネ22のバネ力とが釣り合い、互いに逆向きに伸縮するように構成したため、図3の構成の実施例と同様の効果が得られる。
特に、本実施例の場合には、図3の実施例と異なり、支持用バネ11をエアバネで構成したため、車高を所望の高さに調整することができ、その調整された所望の車高に応じた所望のバネ特性を得ることができる。更に、本実施例では、車高調整後に、調整用バネ21、22の気体室を遮断状態にして、第1および第2の調整用バネ21、22の体積、圧力を変化させてバネ定数を調整するようにしているので、調整された所望の車高に応じた所望のバネ特性が、支持用バネ11の伸び側、縮み側で各別に得られる。
図8に示す実施例では、連通バルブ50を設け、車高調整後に、連通バルブ50を開放状態(連通状態)にして、第1および第2の調整用バネ21、22の力を車高調整時の中立点で釣り合わせ、支持用バネ11のみによって車高が保持された状態とし、つぎに連通バルブ50を遮断状態にして第1および第2の調整用バネ21、22のバネ定数を調整するようにしているが、連通バルブ50の代わりに、第1および第2の調整用気体バネ21、22の気体室を大気に開放する状態、大気から遮断する状態にすることができる大気開放・遮断バルブを設けて、同様の調整を行うようにしてもよい。
すなわち、支持用バネ11によって、車高が調整されると、大気開放・遮断バルブが開放状態にされ、第1および第2の調整用バネ21、22の気体室が大気に開放されて、第1および第2の調整用バネ21、22の力が車高調整時の中立点で釣り合う状態にされ、支持用バネ11のみによって車高が保持される状態とされる。つぎに、大気開放・遮断バルブが遮断状態にされ、第1および第2の調整用バネ21、22の気体室が大気から遮断状態にされて、遮断状態で第1および第2の調整用バネ21、22の体積、圧力が変化され、バネ定数が調整される。これにより、同様にして、調整された車高に応じた所望のバネ特性を得ることができる。
なお、図8に示す実施例では、圧力供給源52、53を設けて、第1および第2の調整用バネ31、22の気体室の圧力を調整するようにしているが、圧力供給源52、53を省略する実施も可能である。圧力供給源52、53を設けた場合には、気体バネ21、22の気体室の体積のみを変化させた場合と比較して、バネ特性の調整の自由度が一層向上する。
図9は、図8の実施例の変形例を示している。
図9に示すように、支持用バネ11がコイルバネ(機械バネ)で構成され、図8に設けられていたエアバネに必要な構成要素(管路43、バルブ42、エアタンク41、圧力供給源51)が省略されている以外は、上述した図8の実施例の構成と同じである。
また、支持用バネ11を機械バネで構成したため、設計されたバネ定数によって車高が一義的に定まり、車高を所望する高さに自由に調整することはできないが、それ以外の動作は、上述した図8の実施例の動作と同じである。
図10は、更に図8の実施例の変形例を示している。
図10に示すように、支持用バネ11がトーションバー(機械バネ)で構成され、図8に設けられていたエアバネに必要な構成要素(管路43、バルブ42、エアタンク41、圧力供給源51)が省略されている以外は、上述した図8の実施例の構成と同じである。トーションバーとしての支持用バネ11は、図8、図9におけるピンジョイント65と同位置に設けられる。
また、支持用バネ11を機械バネで構成したため、設計されたバネ定数によって車高が一義的に定まり、車高を所望する高さに自由に調整することはできないが、それ以外の動作は、上述した図8の実施例の動作と同じである。
特に本実施例では、支持用バネ11をトーションバーで構成し、図8、図9に示すような、支持用バネ11を、車体1と車軸(アーム32)とを連結するストラット構造にしなくて済むため、省スペース化が図られ、たとえばタイヤハウジング内のスペースを広くとれるなどの利点が得られる。
なお、上述した実施例では、バネ定数を調整できるバネとしてエアバネを例示して説明したが、エアバネの代わりに、気体室、油室を有し、バネ要素とダンパ要素を兼ね備え、気体室内の気体圧縮を油を媒介にして行う油気圧バネを使用してもよい。
油気圧バネとは、気体室内の気体圧縮を油を媒介にして行うバネのことである。
図30は、気体バネ(エアバネ)と油気圧バネの構造を比較して示す図である。
図30(a)に示すように気体バネ(エアバネ)は、ピストン変位により気体室内の気体を圧縮してバネ力を発生するという構造であるのに対して、図30(b)に示すように油気圧バネは、ピストン変位により油室内の油を気体室側に押出すことで気体室内の気体を圧縮してバネ力を発生する構造であるという違いがある。
また、上述した実施例では、調整用バネ同士が中立点で釣り合い、互いに逆方向に伸縮するように、2本以上の調整用バネを設けた構成について説明したが、図11に示すように、図11に示すように、調整用バネ(気体バネまたは油気圧バネ)21を1本設けた構成であってもよい。
すなわち、同図11に示すように、支持用バネ11が、車体1を支持する態様で車体1とサスペンション部材35とに連結される。調整用バネ21は、気体バネまたは油気圧バネで構成され、車体1を支持しない態様で、つまり調整用バネ21のボディ(シリンダ)が支持用バネ11のボディ(シリンダ)に固定されて、車体1を支持しない状態で、サスペンション部材35に連結される。
この図11に示す構成においても、車体1の自重支持(車高維持)と、バネ定数とを独立に調整することが可能となり、性能1を確保しつつ、性能2と性能3の両方を満足させることが可能である。ただし、調整用バネ21が1本であるため、調整用バネ21の特性が支持用バネ11の特性に影響を及ぼし、両者を独立に調整できなくなることがある。
また、サスペンションロック機能以外であれば、図6に示す各機能を任意に付加することができる。
また、上述した実施例では、第1の調整用バネ、第2の調整用バネを気体バネ(若しくは油気圧バネ)で構成しているが、第1の調整用バネ、第2の調整用バネを気体バネ(または油気圧バネ)の代わりに機械バネで構成してもよい。この構成によれば、エアバネのようにバネ定数を調整することはできないが、エアバネで構成した実施例と同様に、車体1を支持する機能は、支持用バネ11が担当し、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22は、車体1を支持する機能を担当する必要がないため、車高変化やストローク量変化を伴うことなく、支持用バネ11のバネ定数を異なる特性に微調整することができる。
ことができる。
上述したサスペンション装置の構成例は、一例であり、種々の変形例が可能である。
図12(a)に示す構成例では、前述した図8に示す実施例の構成と同様に、支持用バネ11が、車体1を支持する態様で車体1とサスペンション部材34とに連結されている。第1の調整用バネ21と第2の調整用バネ22はそれぞれ、支持用バネ11の中立点Pbにおいて両バネ力が釣り合い、互いに逆向きに伸縮するように、ロッド21a、ロッド22aがサスペンション部材34に連結されている。
ただし、図8に示す構成と異なり、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22は、その伸縮方向が支持用バネ11の伸縮方向と同じ向きとなるように配置され、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のボディ(シリンダ)は、支持用バネ11のボディ(シリンダ)に固定されている。
このため車輪2の揺動に伴い、アーム34が上下方向に揺動し、この揺動に伴い第1の調整用バネ21のロッド21a、第2の調整用バネ22のロッド22aが互いに逆向きに伸縮する。
この図12(a)に示す構成は、前述した図8に示す構成と同様な構成の図12(b)に示す構成と等価である。
図12(b)に示す構成では、図8と同様に、第1の調整用バネ21のボディ(シリンダ)はピンジョイント61を介してアーム33に連結され、第1の調整用バネ21のロッド21aはピンジョイント63を介して車体1に連結されている。また第2の調整用バネ22のボディ(シリンダ)はピンジョイント62を介してアーム33に連結され、第2の調整用バネ22のロッド22aはピンジョイント64を介して車体1に連結されている。
このため車輪2の揺動に伴い、アーム32がピンジョイント65回りに揺動し、この揺動に伴い第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22がピンジョイント63、64回りに揺動し、この揺動に応じて第1の調整用バネ21のロッド21a、第2の調整用バネ22のロッド22aが互いに逆向きに伸縮する。
以下、具体的な数値を挙げて、複合バネのバネ特性の設定方法について説明する。
図13は、エアバネ70の構成を斜視図にて示している。
エアバネ70のシリンダ75内に、ロッド71に接続されたピストン72が摺動自在に設けられ、気体室76が形成されており、気体室76はバルブ74を介して、エアバネ70のシリンダ75外部のタンク(サブタンク)73に連通している。
図13において、
u:タンク体積
A:ピストン断面積
L:ストローク範囲
s:ストローク量
C:定数
P:ガス(エア)圧
V:ガス(エア)体積
γ:断熱指数
とすると、ガス(エア)の断熱変化を示す基礎式は、以下のように表される。
PVγ =C …(1)
ガス体積V、つまりタンク73の体積uと気体室76の体積(L−s)Aとを合計した体積は次式で表される。
V=u+(L−s)A …(2)
バネ力Fは次式で表される。
F=AP
=CAV−γ …(3)
バネ定数kは次式で表される。
k=dF/ds
=CγA−(γ+1)
=γ(A/V)F
=γA(P/V) …(4)
以上のように、エアバネ70のバネ力Fの大きさは、ガス圧Pに依存する(車体の自重を支持する場合のように負荷が一定の場合には、ガス圧Pは一定となる)。
また、エアバネ70のバネ定数kは、ガス圧Pに比例し、ガス体積Vに反比例する(ガス圧Pが一定の場合にはバネ定数kはガス体積Vのみに依存する)。ガス圧Pが一定ならば、バネ定数kはガス体積Vが大きいほど小さくなり、柔らかいバネとなる。本実施例のように、圧力に応じて負荷が発生し、釣り合いが保たれ、圧力調整が可能な場合には、バネ定数kはガス圧Pに比例するため、ガス圧Pが大きいほど硬いバネとなる。
ストローク量sとバネ力Fとの関係(バネ特性)は、基礎式(1)中の定数Cの値に依存する。定数Cが同じならば同じバネ特性を持つ。これは定数Cが同じならば中立位置Pbでのバネ力や、バンプストッパの特性などが同じになることを意味している。
定数Cが大きい程エアバネ70は硬くなり、定数Cが小さいほどエアバネ70は柔らかくなるバネ特性を示す。
つぎに、図14は、本実施形態の第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22からなる複合バネの構成を示している。図14では図13に示す各符号u、A、L、s、P、Vにサフィックス「1」、「2」を付して、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を識別している。
図14において、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の各バネ力F1、F2は、次式で表される。
F1=A1P1 …(5)
F2=A2P2 …(6)
第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の合成バネ力Fは、次式で表される。
F=F2−F1
=A2P2−A1P1 …(7)
第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の各バネ定数k1、k2は、次式で表される。
k1=−γA1(P1/V1) …(8)
k2=γA2(P2/V2) …(9)
第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の合成バネ定数kは、次式で表される。
k=k2−k1
=γ(A1(P1/V1)+A2(P2/V2)) …(10)
このように本実施例の複合バネは、2つのバネが互いに逆向きに伸縮するように構成しているため、上記(7)式に示すようにバネ力は互いに打ち消し合い、上記(10)式に示すようにバネ定数は互いに強め合う方向に作用する。
つぎに、図6、図7に示す「広範囲にわたるバネ定数一定機能」、「任意ストローク位置でのバンプストッパ機能」、「任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能」、「任意ストローク位置でのサスペンションロック機能」といった各機能を複合バネに付加するための手順について説明する。
(1)広範囲にわたるバネ定数一定機能の付加
まず、中立点Pbにおける合成バネ力F(上記(7)式)を零とする。これは、中立点Pbにおける支持用バネ11への影響をキャンセルするためである。
断面積A1、A2が等しいとすると、中立点Pbで連通バルブ50を開いて各第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のガス圧を同じにすれば、合成バネ力Fは、零となる。
つぎに、合成バネ定数k(上記(10)式)をストローク領域の広範囲に渡りほぼ一定とするため、伸び側のストローク範囲のリバウンド位置での合成バネ定数kd、縮み側のストローク範囲のバンプ位置での合成バネ定数kpを、両者の差が小さくなるように設定する。全ストローク範囲の両端位置(リバウンド位置、バンプ位置)で合成バネ定数を近い値に設定すれば、リバウンド位置〜バンプ位置の区間で合成バネ定数はほぼ一定の値をとる。また、ガス圧P1、P2を調整して合成バネ定数の設定することができるため、ガス圧P1、P2を上げてバネを硬く調整したり、タンク体積u1、u2を増やして(ガス体積V1、V2を増やして)、バネを柔らかく調整することができる。
(2)任意ストローク位置でのバンプストッパ機能の付加
まず、中立点Pbにおける合成バネ力F(上記(7)式)を零とする。これは、中立点Pbにおける支持用バネ11への影響をキャンセルするためである。
断面積A1、A2が等しいとすると、中立点Pbで連通バルブ50を開いて各第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のガス圧を同じにすれば、合成バネ力Fは、零となる。
つぎに、バンプ位置での合成バネ力F(上記(7)式)を設定する。設定する合成バネ力Fは、複合バネ11、21、22の仕様値から支持用バネ11のバンプ位置でのバネ力を差し引いた値である。縮み側のバネ特性は、バンプ位置での合成バネ力Fを設定することで定まる。一方、伸び側は、バネ定数kが一定となるように設定する。また、中立点Pbでの合成バネ力Fの設定値次第で、バンプストッパ領域におけるバネ定数の立ち上がりの鋭さが定まる。バンプストッパ領域で合成バネ定数kが所望の立ち上がりとなるように、中立点Pbにおけるガス圧P1、P2を設定すればよい。
(3)任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能の付加
まず、中立点Pbにおける合成バネ力F(上記(7)式)を零とする。これは、中立点Pbにおける支持用バネ11への影響をキャンセルするためである。
断面積A1、A2が等しいとすると、中立点Pbで連通バルブ50を開いて各第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のガス圧を同じにすれば、合成バネ力Fは、零となる。
つぎに、リバウンド位置での合成バネ力F(上記(7)式)を設定する。設定する合成バネ力Fは、複合バネ11、21、22の仕様値から支持用バネ11のリバウンド位置でのバネ力を差し引いた値である。伸び側のバネ特性は、リバウンド位置での合成バネ力Fを設定することで定まる。一方、縮み側は、バネ定数kが一定となるように設定する。また、中立点Pbでの合成バネ力Fの設定値次第で、リバウンドストッパ領域におけるバネ定数の立ち上がりの鋭さが定まる。リバウンドストッパ領域で合成バネ定数kが所望の立ち上がりとなるように、中立点Pbにおけるガス圧P1、P2を設定すればよい。
(4)任意ストローク位置でのサスペンションロック機能の付加
まず、中立点Pbにおける合成バネ力F(上記(7)式)を零とする。これは、中立点Pbにおける支持用バネ11への影響をキャンセルするためである。
断面積A1、A2が等しいとすると、中立点Pbで連通バルブ50を開いて各第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のガス圧を同じにすれば、合成バネ力Fは、零となる。
つぎに、縮み側のサスペンションロック位置での合成バネ力F(上記(7)式)を設定する。設定する合成バネ力Fは、複合バネ11、21、22の仕様値から支持用バネ11の縮み側のサスペンションロック位置でのバネ力を差し引いた値である。縮み側のバネ特性は、縮み側サスペンションロック位置での合成バネ力Fを設定することで定まる。
つぎに、伸び側のサスペンションロック位置での合成バネ力F(上記(7)式)を設定する。設定する合成バネ力Fは、複合バネ11、21、22の仕様値から支持用バネ11の伸び側のサスペンションロック位置でのバネ力を差し引いた値である。伸び側のバネ特性は、伸び側サスペンションロック位置での合成バネ力Fを設定することで定まる。また、中立点Pbでの合成バネ力Fの設定値次第で、サスペンションロック領域におけるバネ定数の立ち上がりの鋭さが定まる。サスペンションロック領域で合成バネ定数kが所望の立ち上がりとなるように、中立点Pbにおけるガス圧P1、P2を設定すればよい。
つぎに、本実施例のサスペンション装置の効果を従来技術との比較において検証する。このために、下記のバネに要求される設計仕様を仮に設定し、設計仕様の達成度合いを指標にして、各サスペンション装置の性能を比較する。
設計仕様は、以下の5項目と仮定する。

(仕様1)輪荷重; 30[kN](ストローク:中立位置Sb)
(仕様2)最大ストローク量; 300[mm]
(最大伸び位置0[mm]〜中立位置150[mm]〜最大縮み位置3 00[mm])
(仕様3)バンプストッパ特性;バンプ位置(ストローク量300[mm])で 3G(=30×3=90[kN])
(仕様4)中立点Pbでのバネ定数; ストロークが中立位置Sb(ストローク量 150[mm])で50[kN/m]
(仕様5)バネ定数の安定度(ストローク変化に対するバネ定数のふらつき度合 いの指標);ストロークが中立位置Sbから±50[mm]の範囲で ±10[kN/m]

図15は、図1(a)で説明した機械バネと同様に、機械バネ80によって車体1とサスペンション部材31とを連結した構造の従来のサスペンション装置(以下、従来技術1という)を示している。図15はストロークが中立位置Sbの状態を示している。
図16(a)は、機械バネ80のストロークとバネ力との関係を示し、図16(b)は、機械バネ80のストロークとバネ定数との関係を示しており、設計仕様の仕様値を○印で示している。
図16からわかるように、機械バネ80単体を用いた従来技術1のサスペンション装置の各設計仕様に対応する計算結果は以下のとおりとなり、従来技術1によれば、設計仕様1、2、5は満たされるが(○にて示す)、設計仕様3、4は満たされない(×にて示す)という結果となった。

(機械バネ80の計算結果)
(仕様1) 30[kN] ○
(仕様2) 150[mm] ○
(仕様3) 60[kN] ×
(仕様4) 200[kN/m] ×
(仕様5) ±0[kN/m] ○
つぎに、図17は、図2(a)で説明したエアバネと同様に、エアバネ80によって車体1とサスペンション部材31とを連結した構造のサスペンション装置(以下、従来技術2という)を示している。図17はストロークが中立位置Sbの状態を示している。図17のエアバネ70は、図13で説明したエアバネと異なり、タンク73がシリンダ75と一体に形成された(バネに内蔵された)構造のエアバネである。
図18(a)は、エアバネ70のストロークとバネ力との関係を示し、図18(b)は、エアバネ70のストロークとバネ定数との関係を示しており、設計仕様の仕様値を○印で示している。
仕様3のバンプストッパ特性を優先したバネ特性1の場合と、仕様4、5のバネ定数を優先したバネ特性2の場合のそれぞれについて計算を行った。
図18からわかるように、エアバネ70単体を用いた従来技術2のサスペンション装置の各設計仕様に対応する計算結果は以下のとおりとなった。

(バネ特性1(バンプストッパ特性優先)のエアバネ70の計算結果)
(仕様1) 30[kN] ○
(仕様2) 150[mm] ○
(仕様3) 90[kN] ○
(仕様4) 150[kN/m] ×
(仕様5) −50〜+94[kN/m] ×

(バネ特性2(バネ定数優先)のエアバネ70の計算結果)
(仕様1) 30[kN] ○
(仕様2) 150[mm] ○
(仕様3) 40[kN] ×
(仕様4) 50[kN/m] ○
(仕様5) −6〜+8[kN/m] ○
このようにバネ特性1(バンプストッパ特性優先)の場合には、設計仕様1、2、3は満たされるが(○にて示す)、設計仕様4、5は満たされない(×にて示す)という結果となった。また、バネ特性2(バネ定数優先)の場合には、設計仕様1、2、4、5は満たされるが(○にて示す)、設計仕様3は満たされない(×にて示す)という結果となった。いずれにせよ、エアバネ70単体を用いた従来技術2のサスペンション装置の場合には、全ての設計仕様1〜5を同時に満足させるバネ特性は得られない。
つぎに、図11に示す前述した、1本の支持用バネ11、1本の調整用バネ21からなるサスペンション装置(以下、実施例1という)のバネ特性について説明する。なお、図11に示すように、支持用バネ11、調整用バネ21はそれぞれ、図17に示すタンク内蔵型のエアバネ70と同構造のエアバネで構成されている。図11はストロークが中立位置Sbの状態を示している。
図19(a)は、支持用バネ11のストロークとバネ力との関係、調整用バネ21のストロークとバネ力との関係、両バネを合成した複合バネ11、21のストロークとバネ力との関係を示しており、図19(b)は、支持用バネ11のストロークとバネ定数との関係、調整用バネ21のストロークとバネ定数との関係、両バネを合成した複合バネ11、21のストロークとバネ定数との関係を示しており、設計仕様の仕様値を○印で示している。
図19からわかるように、1本の支持用バネ11と1本の調整用バネ21の複合バネを用いた実施例1のサスペンション装置の各設計仕様に対応する計算結果は以下のとおりとなった。

(仕様1) 30[kN] ○
(仕様2) 150[mm] ○
(仕様3) 90[kN] ○
(仕様4) 50[kN/m] ○
(仕様5) −7〜+9[kN/m] ○

このように1本の支持用バネ11と1本の調整用バネ21の複合バネを用いた実施例1のサスペンション装置によれば、全ての設計仕様1〜5を同時に満足するバネ特性が得られる。
つぎに、図12(a)に示す前述した、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の複合バネからなるサスペンション装置(以下、実施例2という)のバネ特性について説明する。図20は、図12(a)に示す構成に対応する図であり、図20に示すように、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22はそれぞれ、図17に示すタンク内蔵型のエアバネ70と同構造のエアバネで構成されている。図20はストロークが中立位置Sbの状態を示している。
図21(a)は、支持用バネ11のストロークとバネ力との関係、調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係、各バネを合成した複合バネ11、21、22のストロークとバネ力との関係を示しており、図21(b)は、支持用バネ11のストロークとバネ定数との関係、調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係、各バネを合成した複合バネ11、21、22のストロークとバネ定数との関係を示しており、設計仕様の仕様値を○印で示している。
図21からわかるように、支持用バネ11、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を複合したバネを用いた実施例2のサスペンション装置の各設計仕様に対応する計算結果は以下のとおりとなった。

(仕様1) 30[kN] ○
(仕様2) 150[mm] ○
(仕様3) 90[kN] ○
(仕様4) 50[kN/m] ○
(仕様5) −5〜+9[kN/m] ○

このように支持用バネ11、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を複合したバネを用いた実施例2のサスペンション装置によれば、全ての設計仕様1〜5を同時に満足するバネ特性が得られる。
以上の従来技術1、従来技術2、実施例1、実施例2を比較すると、つぎの点が明らかであり、本実施例によれば、従来技術に対して優れた効果が得られることがわかる。
・従来技術1
ストロークとバネ力の関係を示すバネ特性(図16(a))上の1点(中立点Pb)を定めると、バネ特性が一義的に定まる。バネ定数は安定しているが、バネ定数の値は、上記1点(中立点Pb)で一義的に定まり、バネ定数の大きさを調整することができない。
・従来技術2
ストロークとバネ力の関係を示すバネ特性(図18(a))およびストロークとバネ定数の関係を示すバネ定数特性(図18(b))上の2点を定めると、バネ特性が一義的に定まる。上記2点の定め方によりバネ定数の大きさを調整できるが、性能2(たとえばバネ定数の安定性)と性能3(たとえばバンプストッパ特性)の両方を満足させることは困難である。
・実施例1
支持用バネ11で車体1を支持し、性能1を確保しつつ、調整用バネ21のバネ定数を調整することで、性能2(たとえばバネ定数の安定性)と性能3(たとえばバンプストッパ特性)の両方を満足させることが可能である。ただし、図19に示すように、調整用バネ21のバネ力は、中立点Pbで零にならないため、中立位置Sbにおける支持用バネ11のバネ特性と干渉し、それぞれのバネ特性を独立に調整することができない。
・実施例2
支持用バネ11で車体1を支持し、性能1を確保しつつ、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22のバネ定数を調整することで、性能2(たとえばバネ定数の安定性)と性能3(たとえばバンプストッパ特性)の両方を満足させることが可能である。第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の合成バネ力は、中立点Pbで零にならないため、中立位置Sbにおける支持用バネ11のバネ特性と干渉することなく、それぞれのバネ特性を独立に調整することができる。
つぎに、上記実施例1、2の構成で、「広範囲にわたるバネ定数一定機能の付加」、「任意ストローク位置でのバンプストッパ機能の付加」、「任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能の付加」、「任意ストローク位置でのサスペンションロック機能の付加」を実現できるかについて検証した。
図22(a)、(b)、(c)、(d)は、「広範囲にわたるバネ定数一定機能」を実現するためにバネ定数が調整された第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の特性を示している。
図22(a)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ力との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ力との関係を示しており、図22(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示している。また、図22(c)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ定数との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ定数との関係を示しており、図22(d)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
実施例2の複合バネ11、21、22のバネ力、バネ定数は、図22(b)、(d)の特性で表され、実施例1の複合バネ11、21のバネ力、バネ定数は、図22(a)、(c)の第1の調整用バネ21(1本の調整用バネ21)の特性で表される。
これら図22から明らかなように、実施例1、実施例2ともに、全ストローク(0〜300mm)でほぼ一定のバネ定数が得られる。特に実施例2の場合には、第1調整用バネ21、22の各バネ力が中立位置Sbで互いに逆向きに作用し同じ大きさであるため(図22(a))、中立位置Sbにおける支持用バネ11のバネ力に影響を与えることなくバネ定数を調整することができる。
調整用バネ21が1本で構成された実施例1の場合には、バネ定数は全ストローク範囲でほぼ一定であるものの、中立点Sbにおいて零ではないバネ力が作用するため支持用バネ11のストローク量に影響を与える。このため調整用バネ21によってバネ定数を、支持用バネ11による車体支持と独立して調整することができず、調整範囲を大きくとると、支持用バネ11の特性を調整する必要に,となる場合もある。
図23(a)、(b)は、中立位置Sbにおけるガス圧を、「基準値」、「基準値より大」、「基準値より小」の各大きさに変化させたときのバネ特性を示している。なお、ガス圧の基準値は、約150[kN/m]とした。図23(a)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示しており、図23(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
これら図23から明らかなように、2本の調整用バネ21、22からなる実施例2の場合には、ガス圧の大きさに応じてバネ定数を変化させることができる。バネ定数は、ガス圧に比例して大きくなり、ガス圧が大きくなるに伴いバネ定数が増加することがわかる。
つぎに、図24(a)、(b)、(c)、(d)は、「任意ストローク位置でのバンプストッパ機能」を実現するためにバネ定数が調整された第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の特性を示している。
図24(a)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ力との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ力との関係を示しており、図24(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示している。また、図24(c)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ定数との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ定数との関係を示しており、図24(d)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
実施例2の複合バネ11、21、22のバネ力、バネ定数は、図24(b)、(d)の特性で表され、実施例1の複合バネ11、21のバネ力、バネ定数は、図24(a)、(c)の第1の調整用バネ21(1本の調整用バネ21)の特性で表される。
これら図24から明らかなように、実施例1、実施例2ともに、最大縮み位置(ストロークが300mm)で大きなバネ力が得られ、バンプストッパ機能が付加されていることがわかる。特に実施例2の場合には、第1調整用バネ21、22の各バネ力が中立位置Sbで互いに逆向きに作用し同じ大きさであるため(図24(a))、中立位置Sbにおける支持用バネ11のバネ力に影響を与えることなくバンプストッパ機能を付加することができる。
調整用バネ21が1本で構成された実施例1の場合には、バンプストッパ機能を付加できるものの、中立点Sbにおいて零ではないバネ力が作用するため支持用バネ11のストローク量に影響を与える。このため調整用バネ21によってバネ定数を、支持用バネ11による車体支持とは独立して調整することができず、調整範囲を大きくとると、支持用バネ11の特性を調整する必要になる場合もある。
図25(a)、(b)は、中立位置Sbにおけるガス圧を、「基準値」、「基準値より大」、「基準値より小」の各大きさに変化させたときのバネ特性を示している。図25(a)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示しており、図25(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
これら図25から明らかなように、2本の調整用バネ21、22からなる実施例2の場合には、ガス圧の大きさに応じてバンプストッパ領域のバネ力、バネ定数の立ち上がりの鋭さを変化させることができる。バンプストッパ領域におけるバネ定数、バネ力の立ち上がりは、ガス圧に比例して鋭くなり、ガス圧が大きくなるに伴いバネ定数、バネ力の立ち上がりの鋭さが増すことがわかる。
また、2本の調整用バネ21、22からなる実施例2の場合には、ガス体積、ガス圧の大きさに応じてバンプ位置を変更することができる。
図26(a)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示しており、図26(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
図26(a)、(b)を、図24(b)、(d)と対比してわかるように、ガス体積、ガス圧を調整して、バンプ位置を、ストローク量300[mm](図26(b)、(d))の位置から200[mm](図26(a)、(b))の位置に変更することができた。
つぎに、図27(a)、(b)、(c)、(d)は、「任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能」を実現するためにバネ定数が調整された第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の特性を示している。
図27(a)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ力との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ力との関係を示しており、図27(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示している。また、図27(c)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ定数との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ定数との関係を示しており、図27(d)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
実施例2の複合バネ11、21、22のバネ力、バネ定数は、図27(b)、(d)の特性で表され、実施例1の複合バネ11、21のバネ力、バネ定数は、図27(a)、(c)の第1の調整用バネ21(1本の調整用バネ21)の特性で表される。
これら図27から明らかなように、実施例1、実施例2ともに、最大伸び位置(ストロークが0mm)で大きなバネ力が得られ、リバウンドストッパ機能が付加されていることがわかる。特に実施例2の場合には、第1調整用バネ21、22の各バネ力が中立位置Sbで互いに逆向きに作用し同じ大きさであるため(図27(a))、中立位置Sbにおける支持用バネ11のバネ力に影響を与えることなくリバウンドストッパ機能を付加することができる。
調整用バネ21が1本で構成された実施例1の場合には、リバウンドストッパ機能を付加できるものの、中立点Sbにおいて零ではないバネ力が作用するため支持用バネ11のストローク量に影響を与える。このため調整用バネ21によってバネ定数を、支持用バネ11による車体支持とは独立して調整することができず、調整範囲を大きくとると、支持用バネ11の特性を調整する必要になる場合もある。
なお、前述した図25(a)、(b)と同様にして、2本の調整用バネ21、22からなる実施例2の場合には、ガス圧の大きさに応じてリバウンドストッパ領域のバネ力、バネ定数の立ち上がりの鋭さを変化させることができる。また、前述した図26(a)、(b)と同様にして、ガス体積、ガス圧の大きさに応じてリバウンド位置を変更することができる。
つぎに、図28(a)、(b)、(c)、(d)は、「任意ストローク位置でのサスペンションロック機能」を実現するためにバネ定数が調整された第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の特性を示している。
図28(a)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ力との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ力との関係を示しており、図28(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示している。また、図28(c)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ定数との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ定数との関係を示しており、図27(d)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
実施例2の複合バネ11、21、22のバネ力、バネ定数は、図28(b)、(d)の特性で表され、実施例1の複合バネ11、21のバネ力、バネ定数は、図28(a)、(c)の第1の調整用バネ21(1本の調整用バネ21)の特性で表される。
これら図28から明らかなように、実施例2によれば、中立位置Sb(ストロークが150mm)付近で、伸び側、縮み側に大きなバネ力の勾配が得られ、サスペンションロック機能が付加されていることがわかる。実施例2の場合には、第1調整用バネ21、22の各バネ力が中立位置Sbで互いに逆向きに作用し同じ大きさであるため(図28(a))、中立位置Sbにおける支持用バネ11のバネ力に影響を与えることなくサスペンションロック機能を付加することができる。サスペンションロック機能は、図28(a)、(c)から明らかなように、第1の調整用バネ21のバンプストッパ機能、第2の調整用バネ22のリバウンドストッパ機能とを組み合わせて実現される。
したがって、調整用バネ21が1本で構成された実施例1の場合には、サスペンションロック機能を実現することができない(図28(a)、(c)参照)。
また、上記各機能を適宜組み合わせることもできる。
図29(a)、(b)、(c)、(d)は、「任意ストローク位置でのバンプストッパ機能」と「任意ストローク位置でのリバウンドストッパ機能」とを組み合わせた機能を実現するためにバネ定数が調整された第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22の特性を示している。
図29(a)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ力との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ力との関係を示しており、図29(b)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ力との関係を示している。また、図29(c)は、第1の調整用バネ21のストロークとバネ定数との関係、第2の調整用バネ22のストロークとバネ定数との関係を示しており、図29(d)は、第1の調整用バネ21、第2の調整用バネ22を合成した調整用バネ21、22のストロークとバネ定数との関係を示している。
これら図29から明らかなように、実施例2によれば、最大縮み位置(ストロークが300mm)で大きなバネ力が得られるとともに、最大伸び位置(ストロークが0mm)で大きなバネ力が得られ、バンプストッパ機能、リバウンドストッパ機能の両方が付加されていることがわかる。
本発明は、建設機械、軍需用車両、一般自動車等の車両のサスペンション装置に適用することができる。たとえば建設機械において、ウインチを使用したり、軍需用車両において射撃を行う際に、サスペンションロックさせるように構成すれば、車体が安定して作業性が大幅に向上する。
図1(a)、(b)は機械バネを説明するために用いた図である。 図2(a)、(b)、(c)、(d)はエアバネを説明するために用いた図である。 図3は実施例のサスペンション装置の構成例を示す図である。 図4(a)、(b)、(c)、(d)は図3の実施例の複合バネのバネ特性を説明する図である。 図5は図3に対応させて第1の調整用バネと第2の調整用バネの力の釣り合いを説明する図である。 図6は、複合バネに付加されたバネ定数一定機能、バンプストッパ機能、リバウンドストッパ機能を説明する図である。 図7は、複合バネに付加されたサスペンションロック機能を説明する図である。 図8は支持用バネにエアバネを使用したサスペンション装置の構成例を示す図である。 図9は支持用バネにコイルバネを使用したサスペンション装置の構成例を示す図である。 図10は支持用バネにトーションバーを使用したサスペンション装置の構成例を示す図である。 図11は、1本の調整用バネを使用したサスペンション装置の構成例(実施例1)を示す図である。 図12(a)、(b)はそれぞれ、第1の調整用バネ、第2の調整用バネを含むサスペンション装置の互いに等価な構成例を示す図である。 図13はエアバネの構成例を示す斜視図である。 図14は、第1の調整用バネ、第2の調整用バネを含むサスペンション装置の構成例を示す図である。 図15は従来技術1として機械バネを使用したサスペンション装置の構成例を示す図である。 図16(a)、(b)は図15に対応させて、ストロークとバネ力との関係、ストロークとバネ定数の関係をそれぞれ示す図である。 図17は従来技術2としてエアバネを使用したサスペンション装置の構成例を示す図である。 図18(a)、(b)は図17に対応させて、ストロークとバネ力との関係、ストロークとバネ定数の関係をそれぞれ示す図である。 図19(a)、(b)は図11に対応させて、ストロークとバネ力との関係、ストロークとバネ定数の関係をそれぞれ示す図である。 図20は、実施例2として、第1の調整用バネ、第2の調整用バネを含むサスペンション装置の構成例を示す図である。 図21(a)、(b)は図20に対応させて、ストロークとバネ力との関係、ストロークとバネ定数の関係をそれぞれ示す図である。 図22(a)、(b)、(c)、(d)は実施例1、実施例2において、バネ定数一定機能が付加されていることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図23(a)、(b)はガス圧を調整することでバネ定数が調整されることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図24(a)、(b)、(c)、(d)は実施例1、実施例2において、バンプストッパ機能が付加されていることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図25(a)、(b)は、ガス圧を調整することでバンプストッパの特性が調整されることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図26(a)、(b)は、ガス体積、ガス圧を調整することでバンプ位置が変更されることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図27(a)、(b)、(c)、(d)は実施例1、実施例2において、リバウンドストッパ機能が付加されていることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図28(a)、(b)、(c)、(d)は、実施例2において、サスペンションロック機能が付加されていることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図29(a)、(b)、(c)、(d)は実施例2において、バンプストッパ機能、リバウンドストッパ機能が付加されていることをバネ特性図を用いて説明する図である。 図30(a)、(b)は気体バネ(エアバネ)と油気圧バネの構造を比較して示す図である。
符号の説明
11 支持用バネ、21、23 第1の調整用バネ、22、24 第2の調整用バネ、70 エアバネ、80 機械バネ、31、32、33、34、35 サスペンション部材

Claims (6)

  1. 車体(1)を支持する態様で車体(1)とサスペンション部材(32、33)とに連結される支持用バネ(11)と、
    前記車体(1)と前記サスペンション部材(32、33)との間に連結される調整用気体バネ(21、22)と、
    前記調整用気体バネ(21、22)の容量を変化させる容量変化手段(44、45、46、47、48、49、52、53)と
    を備えること
    を特徴とする車両のサスペンション装置。
  2. 前記調整用気体バネ(21、22)の気体室を大気に開放・遮断する大気開放・遮断手段が設けられること
    を特徴とする請求項1記載の車両のサスペンション装置。
  3. 前記調整用気体バネ(21、22)は、
    前記サスペンション部材(32、33)が前記支持用バネ(11)の縮み側に移動するときに縮む態様で前記車体(1)と前記サスペンション部材(32、33)とに連結される第1の調整用気体バネ(21)と、
    前記サスペンション部材(32、33)が前記支持用バネ(11)の伸び側に移動するときに縮む態様で前記車体(1)と前記サスペンション部材(32、33)とに連結される第2の調整用気体バネ(22)とからなり、
    前記第1の調整用気体バネ(21)の内部の気体室と前記第2の調整用気体バネ(22)の内部の気体室とを連通・遮断する連通・遮断手段(50)が設けられること
    を特徴とする請求項1記載の車両のサスペンション装置。
  4. 前記第1の調整用気体バネ(21)の気体室の圧力と前記第2の調整用気体バネ(22)の気体室の圧力の圧力供給源(52、53)が更に設けられた請求項3記載の車両のサスペンション装置。
  5. サスペンションロックするように、前記調整用気体バネ(21、22)の容量が変化されること
    を特徴とする請求項1記載の車両のサスペンション装置。
  6. リバウンドストップするように、前記調整用気体バネ(21、22)の容量が変化されること
    を特徴とする請求項1記載の車両のサスペンション装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008157542A (ja) * 2006-12-25 2008-07-10 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 装輪戦闘車両の車高制御機構
JP2012076633A (ja) * 2010-10-04 2012-04-19 Mitsubishi Motors Corp 前照灯光軸調整装置
JP2016107976A (ja) * 2014-12-02 2016-06-20 ヒュンダイ モービス シーオー.,エルティーディー.HYUNDAI MOBIS Co.,Ltd. 自動車のエアサスペンション装置および自動車のエアサスペンション装置の制御方法

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