JP2006150525A - 位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法 - Google Patents

位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ワーク搬送器からワークを降ろすことなくワークの位相決めが可能で、かつ汎用性に富む位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 位相決め装置は、回転軸J2〜J4と回転軸J2〜J4に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸P1〜P6とを持つワークWの回転軸J4を回転可能に支持するワーク搬送器2と、ワーク搬送器2に搭載されたワークWの偏心軸P1を相対的に案内することにより、ワークWを回転させ、ワークWの位相決めを行う位相決め溝30を持つ位相決め治具3と、を備える。
【選択図】 図11

Description

本発明は、クランクシャフトやカムシャフトなどのワークの位相決めを行う位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法に関する。
ワーク(加工対象物)の加工工程によっては、ワークの位相(回転軸に対する偏心軸の周方向位置、例えばクランクシャフトの場合ジャーナルに対するクランクピンの周方向位置)決めが必要な場合がある。
例えば、特許文献1、2には、研削工程においてワーク研削前に実行される位相決め方法が紹介されている。これらの文献記載の位相決め方法によると、ワークは、研削加工機のチャック(加工対象物保持装置)により把持される。チャックは、例えばモータなどのアクチュエータにより回転駆動される。ワークを把持したチャックを、所定角度だけ回転させることで、ワークの位相決めが行われる。
しかしながら、特許文献1、2の位相決め方法の場合、位相決めが必要な各工程毎に、ワークを回転させるためのアクチュエータが不可欠である。このため、仮に、当該位相決め方法を、ワークの回転を伴わない工程で実行する場合、本来の工程用とは別に、位相決め専用のアクチュエータを配置する必要がある。したがって、ワークの位相決めは、各工程毎に実行うするのではなく、工程間において実行する方が便利である。
この点、特許文献3、4には、工程間において行われる位相決めに用いられる位相決め装置が紹介されている。一例として、特許文献4に記載の位相決め装置について説明する。図27に、特許文献4に記載の位相決め装置の原理図を示す。図に示すように、位相決め装置100は、位相決め板101を備えている。位相決め板101は、上縁に傾斜部101aおよび平坦部101bを持つ板状を呈している。位相決め板101は、上下方向に往復動可能である。ワークwは、ジャーナルjとクランクピンp1〜p3とを備えている。ジャーナルjの軸方向両端は、枢持装置(図略)により、回転可能に支持されている。クランクピンp1は、前記位相決め板101と、上下方向に対向している。
図27(a)に示すように、位相決め板101は、下方からワークwに近づく。そして、位相決め板101の傾斜部101aがクランクピンp1に当接する。同図(b)、(c)に示すように、クランクピンp1は、傾斜部101aにより押圧される。このため、クランクピンp1は、ジャーナルjの軸芯を中心に、紙面時計回り方向に回転する。言い換えると、傾斜部101aを転がり落ちる。同図(d)に示すように、クランクピンp1が平坦部101bに到達すると、クランクピンp1の回転が規制される。このように、同文献記載の位相決め装置の場合、傾斜部101aおよび平坦部101bにより、ワークwの位相決めが行われている。
特開平3−270852号公報 特開平2−292147号公報 実開昭61−159140号公報 特開平9−11170号公報 特開平5−337781号公報
しかしながら、特許文献3、4の位相決め装置の場合、搬送途中のワークを、位相決めのために、一旦ワーク搬送器から降ろす必要がある。このため、ワークの加工時間延いてはリードタイムが長くなるおそれがある。
これに対し、特許文献5には、ワーク搬送途中にワークの位相決めが可能な、ワーク搬送器が紹介されている。図28に、特許文献5に記載の位相決め装置の原理図を示す。なお、図27と対応する部位については、同じ符号で示す。図に示すように、ワーク搬送器110は、旋回ロッド111と開閉アーム112a、112bとを備えている。旋回ロッド111は根本端(図略)を中心に、水平方向に揺動可能である。開閉アーム112a、112bは、旋回ロッド111の先端に配置されている。開閉アーム112a、112bは、図中点線で示すように、下方に向かって開閉可能である。
同文献記載のワーク搬送器110の場合、まず開閉アーム112a、112bがワークwを保持し、次いで旋回ロッド111が旋回することにより、ワークwの搬送が行われる。ここで、搬送の際、開閉アーム112a、112bが保持するのは、ワークwのクランクピンpの下部である。すなわち、アーム閉時において、開閉アーム112a、112bは、V字状の凹部113を形成する。当該凹部113の両側面により、クランクピンpの下部が、回転可能に保持される。ところで、ワークwには、回転アンバランス除去のため、カウンターウェイトcが配置されている。カウンターウェイトcは、ジャーナルjを挟んで、クランクピンpと180°対向して配置されている。このため、開閉アーム112a、112bによりクランクピンpが保持されると、カウンターウェイトcはクランクピンpの直下に移動する。このように、同文献記載のワーク搬送器110によると、ワークwの重量バランスを利用して、ワークwの位相決めが行われる。
ところが、同文献記載のワーク搬送器110の場合、開閉アーム112a、112bが保持しているのは、ワークwのジャーナルjではなく、クランクピンpである。このため、ワークwの搬送には、同位相の二つのクランクピンが必要となる。加えて、ワークw搬送時の安定性を確保するためには、これら二つのクランクピンが、ワークwの軸方向に比較的離間している必要がある。このため、同文献記載のワーク搬送器110により位相決めが可能なクランクシャフトは、実際には、例えばワークの軸方向両端のクランクピンが同位相の直列四シリンダ用クランクシャフト、直列六シリンダ用クランクシャフトなどに限定されてしまう。このように、同文献記載のワーク搬送器110は、クランクシャフトの種類に対する汎用性に乏しい。
また、同文献記載のワーク搬送器110の場合、位相決め時のワークwの回転力を、開閉アーム112a、112bでワークwを持ち上げる際の重力から得ている。このため、ワーク搬送器110により選択できる位相は、クランクピンpとジャーナルjとが上下方向に直列する位相に限定される。したがって、ワークw搬送後の工程によっては、再度の位相決めが必要な場合もある。このように、同文献記載のワーク搬送器110は、工程の種類に対する汎用性に乏しい。
本発明の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、ワーク搬送器からワークを降ろすことなくワークの位相決めが可能で、かつ汎用性に富む位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法を提供することを目的とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の位相決め装置は、回転軸と該回転軸に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸とを持つワークの該回転軸を回転可能に支持するワーク搬送器と、該ワーク搬送器に搭載された該ワークの該偏心軸を相対的に案内することにより、該ワークを回転させ、該ワークの位相決めを行う位相決め溝を持つ位相決め治具と、を備えてなることを特徴とする。
ここで、「相対的に」とは、偏心軸と位相決め溝とが相対的に動くことをいう。すなわち、固定された位相決め溝に対して偏心軸が動く場合、固定された偏心軸に対して位相決め溝が動く場合、位相決め溝および偏心軸が共に動く場合を含むものである。
本発明の位相決め装置は、ワーク搬送器と位相決め治具とを備えている。ワーク搬送器は、ワークを支持している。位相決め治具は、位相決め溝を備えている。ワーク搬送器がワークを支持した状態のまま、位相決め溝は偏心軸を相対的に案内する。このため、本発明の位相決め装置によると、ワーク搬送器からワークを降ろすことなくワークの位相決めが可能である。したがって、ワークの加工時間延いてはリードタイムを短縮することができる。
また、本発明の位相決め装置のワーク搬送器は、偏心軸ではなく回転軸を支持している。このため、ワークの種類に対する汎用性に富んでいる。また、本発明の位相決め装置は、偏心軸と位相決め溝との相対的な移動により、ワークを回転させている。このため、位相決め溝の形状、延在方向、位相決め溝に対するワークの軌道などを適宜調整することにより、あらゆる位相にワークを揃えることができる。すなわち、本発明の位相決め装置は、位相選択の自由度が高い。このため、所望の位相が異なるあらゆる工程に対応することができる。このように、本発明の位相決め装置は、工程の種類に対する汎用性に富んでいる。
(2)好ましくは、前記位相決め溝は、前記偏心軸の案内方向に沿って該偏心軸と前記回転軸とが並ぶ仮位相に、前記ワークを配置可能な仮位相決め部を有する構成とする方がよい。
偏心軸を位相決め溝に案内する前段階におけるワークの位相(以下、適宜「初期位相」と称す)は、複数のワーク間において、必ずしも一致していない。このため、ワークを回転させる際の慣性モーメント(回転の加減速のさせにくさ)も、複数のワーク間において一致しない場合が多い。したがって、仮に、偏心軸を位相決め溝に案内する前段階から、ワンモーションでワークの位相決めを実行しようとすると、複数のワーク間において、位相決めのばらつきが大きくなることも考えられる。
この点、本構成は、仮位相決め部を有している。本構成によると、まずワークを仮位相に揃えてから、続いて工程所望の位相(以下適宜「本位相」と称す)に揃え直すことができる。すなわち、仮位相から本位相に切り替える際、複数のワーク間において、慣性モーメントを統一することができる。このため、本構成によると、複数のワーク間において位相決めのばらつきが小さくなる。つまり、位相決め精度が高くなる。
(3)好ましくは、上記(2)の構成において、前記位相決め溝は、さらに、前記仮位相決め部の奥端に連なり、前記仮位相からさらに前記ワークを回転させた本位相に、該ワークの位相を切り替え可能な本位相決め部を有する構成とする方がよい。
本構成によると、ワークの仮位相から本位相への切り替えを本位相決め部により実行することができる。このため、仮位相決め部でワークの位相を仮位相から本位相に切り替える場合と比較して、より位相決め精度が高くなる。
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記本位相決め部は、前記仮位相決め部の前記奥端から、互いに略180°対向して延在する第一分岐部と第二分岐部とを有し、前記ワークは、前記回転軸を挟んで略180°対向する第一偏心軸と第二偏心軸とを有し、該第一偏心軸により位相決めを行う場合は該第一偏心軸を該第一分岐部に案内し、該第二偏心軸により位相決めを行う場合は該第二偏心軸を該第二分岐部に案内する構成とする方がよい。
本構成の位相決め治具は、仮位相決め部と第一分岐部と第二分岐部とを備えている。仮位相決め部は、第一偏心軸および第二偏心軸共用である。第一分岐部は第一偏心軸専用である。第二分岐部は第二偏心軸専用である。
本構成によると、第一偏心軸および第一分岐部を用いて位相決めを行う場合と、第二偏心軸および第二分岐部を用いて位相決めを行う場合とで、最終的なワークの位相を一致させることができる。このため、例えば、第一偏心軸および第二偏心軸のうち、位相決め溝に相対的に導入しやすい方の偏心軸を選んで、ワークの位相決めを行うことができる。このように、本構成によると、ワークの初期位相の影響を受けることなく、簡単にワークの位相決めを行うことができる。
(5)好ましくは、上記(2)の構成において、前記仮位相決め部は、外部から前記偏心軸を導入すると共に導入方向に沿って溝幅を狭める傾斜面を持つ傾斜導入部を有し、該傾斜導入部は、該傾斜面の延在方向と、前記回転軸の軸芯と該偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交しないように、該偏心軸を導入する構成とする方がよい。
本構成によると、ワークの初期位相の影響を受けることなく、外部から傾斜導入部に偏心軸を導入することができる。ただし、傾斜面の延在方向と、回転軸の軸芯と偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交する場合は、偏心軸導入の際に偏心軸が傾斜面に当接しても、傾斜面の延在方向に応力が作用しない。このため、傾斜面上を偏心軸が摺動しにくい。したがって、偏心軸を仮位相決め部に導入しにくい。
この点に鑑み、本構成の傾斜導入部は、傾斜面の延在方向と、回転軸の軸芯と偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交しないように、偏心軸を傾斜導入部に導入している。このため、本構成によると、偏心軸を仮位相決め部に導入しやすい。
(6)好ましくは、さらに、前記位相決め溝に前記偏心軸を案内する前における前記ワークの位相を検出する位相センサを持つ構成とする方がよい。本構成によると、位相決めの前段階において、ワークの初期位相を確認することができる。このため、初期位相に応じて、偏心軸を位相決め溝に導入することができる。
さらに好ましくは、本構成と上記(4)の構成とを組み合わせてもよい。こうすると、位相センサで検出したワークの初期位相を基に、第一偏心軸および第二偏心軸のうち位相決め溝に相対的に導入しやすい方の偏心軸を選択することができる。
また、さらに好ましくは、本構成と上記(5)の構成とを組み合わせてもよい。こうすると、位相センサで検出したワークの初期位相を基に、傾斜面の延在方向と、回転軸の軸芯と偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交する場合を回避することができる。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記ワークは、カウンターウェイトを有し、前記位相センサは、自身と該カウンターウェイトとの間隔を検出することにより、該ワークの位相を検出する少なくとも一つの近接センサである構成とする方がよい。
例えば、クランクシャフトなどのワークには、回転アンバランス除去のため、カウンターウェイトが配置されている。本構成は、当該カウンターウェイトと近接センサとの間隔を基に、ワークの初期位相を検出するものである。本構成によると、ワークに接触することなく、ワークの初期位相を検出することができる。このため、ワークに損傷を与えるおそれが小さい。また、近接センサは、磁界あるいは電界の変化を利用して、自身とワークとの間隔を検出する。このため、工場内の塵埃、水、油などの影響を受けにくい。したがって、動作信頼性が高い。
(8)好ましくは、前記位相決め治具は固定されている構成とする方がよい。つまり、本構成は、動かない位相決め治具に対して、動くワーク搬送器を近づけることにより、偏心軸を位相決め溝に導入するものである。そして、ワークの位相決めを行うものである。
本構成によると、位相決めの際のワークの回転力は、ワーク搬送器の搬送用のアクチュエータにより確保されることになる。このため、別途、ワークの位相決め専用のアクチュエータを配置する必要がない。
(9)また、上記課題を解決するため、本発明の位相決め治具は、回転軸と該回転軸に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸とを持つワークの該偏心軸を相対的に案内することにより、該ワークを回転させ、該ワークの位相決めを行う位相決め溝を持つことを特徴とする。
ここで、「相対的に」とは、偏心軸と位相決め溝とが相対的に動くことをいう。すなわち、固定された位相決め溝に対して偏心軸が動く場合、固定された偏心軸に対して位相決め溝が動く場合、位相決め溝および偏心軸が共に動く場合を含むものである。
本発明の位相決め治具は、位相決め溝を備えている。位相決め溝が偏心軸を相対的に案内すると、ワークは回転軸の軸芯を中心に回転する。この回転により、ワークの位相決めが行われる。
本発明の位相決め治具によると、例えば、搬送中のワークを降ろすことなくワークの位相決めが可能である。したがって、ワークの加工時間延いてはリードタイムを短縮することができる。
また、本発明の位相決め治具は、偏心軸と位相決め溝との相対的な移動により、ワークを回転させている。このため、位相決め溝の形状、延在方向、位相決め溝に対するワークの軌道などを適宜調整することにより、あらゆる位相にワークを揃えることができる。すなわち、本発明の位相決め治具は、位相選択の自由度が高い。したがって、本発明の位相決め治具は、所望の位相が異なるあらゆる工程に対応することができる。このように、本発明の位相決め治具は、工程の種類に対する汎用性に富んでいる。
(10)また、上記課題を解決するため、本発明の位相決め方法は、回転軸と該回転軸に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸とを持ち、該回転軸が回転可能に支持された状態で搬送されるワークの位相決め方法であって、搬送途中の前記ワークの前記偏心軸を、位相決め治具の位相決め溝に相対的に案内することにより、該ワークを回転させ、該ワークの位相決めを行うことを特徴とする。
ここで、「相対的に」とは、偏心軸と位相決め溝とが相対的に動くことをいう。すなわち、固定された位相決め溝に対して偏心軸が動く場合、固定された偏心軸に対して位相決め溝が動く場合、位相決め溝および偏心軸が共に動く場合を含むものである。
本発明の位相決め方法は、ワークの搬送途中において実行される。このため、ワークの加工時間延いてはリードタイムを短縮することができる。また、本発明の位相決め方法において、ワークは、偏心軸ではなく回転軸を支持されている。このため、ワークの種類に対する汎用性に富んでいる。また、本発明の位相決め方法は、偏心軸と位相決め溝との相対的な移動により、ワークを回転させている。このため、位相決め溝の形状、延在方向、位相決め溝に対するワークの軌道などを適宜調整することにより、あらゆる位相にワークを揃えることができる。すなわち、本発明の位相決め方法は、位相選択の自由度が高い。したがって、本発明の位相決め方法は、所望の位相が異なるあらゆる工程に対応することができる。このように、本発明の位相決め方法は、工程の種類に対する汎用性に富んでいる。
(11)好ましくは、上記(10)の構成において、前記偏心軸の案内方向に沿って該偏心軸と前記回転軸とが並ぶ仮位相に、前記ワークを配置する仮位相決めステップと、該仮位相からさらに該ワークを回転させる本位相に、該ワークの位相を切り替える本位相決めステップと、を有する構成とする方がよい。
前述したように、ワークの初期位相は、複数のワーク間において、必ずしも一致していない。このため、ワークを回転させる際の慣性モーメントも、複数のワーク間において一致しない場合が多い。したがって、仮に、偏心軸を位相決め溝に案内する前段階から、ワンモーションでワークの位相決めを実行しようとすると、位相決め精度が低下することも考えられる。
この点、本構成は、仮位相決めステップと本位相決めステップとを有している。本構成によると、まず仮位相決めステップによりワークを仮位相に一旦揃えてから、続いて本位相決めステップによりワークの位相を本位相に揃え直すことができる。すなわち、仮位相から本位相に切り替える際、複数のワーク間において、慣性モーメントを統一することができる。このため、本構成によると、ワークの位相決め精度が高くなる。
(12)好ましくは、上記(11)の構成において、前記位相決め溝の奥方には、互いに略180°対向して延在する第一分岐部と第二分岐部とが配置され、前記ワークは、前記回転軸を挟んで略180°対向する第一偏心軸と第二偏心軸とを有し、前記本位相決めステップは、該第一偏心軸を該第一分岐部に案内することにより該ワークの位相を切り替える第一本位相決めステップ、または該第二偏心軸を該第二分岐部に案内することにより該ワークの位相を切り替える第二本位相決めステップである構成とする方がよい。
本構成の位相決め方法においては、本位相決めステップとして、第一本位相決めステップと第二本位相決めステップとが選択的に実行される。いずれのステップを経た場合であっても、最終的なワークの位相を一致させることができる。このため、例えば、第一偏心軸および第二偏心軸のうち、位相決め溝に相対的に導入しやすい方の偏心軸を選んで、ワークの位相決めを行うことができる。このように、本構成によると、ワークの初期位相の影響を受けることなく、簡単にワークの位相決めを行うことができる。
(13)好ましくは、上記(11)の構成において、前記位相決め溝の手前方には、外部から前記偏心軸を導入すると共に導入方向に沿って溝幅を狭める傾斜面を持つ傾斜導入部が配置され、前記仮位相決めステップは、該傾斜面の延在方向と、前記回転軸の軸芯と該偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交しないように、該傾斜導入部に該偏心軸を導入する導入ステップを有する構成とする方がよい。
本構成によると、ワークの初期位相の影響を受けることなく、外部から傾斜導入部に偏心軸を導入することができる。ただし、傾斜面の延在方向と、回転軸の軸芯と偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交する場合は、偏心軸導入の際に偏心軸が傾斜面に当接しても、傾斜面の延在方向に応力が作用しない。このため、傾斜面上を偏心軸が摺動しにくい。したがって、偏心軸を位相決め溝の奥方に案内しにくい。
この点に鑑み、本構成の傾斜導入部は、傾斜面の延在方向と、回転軸の軸芯と偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交しないように、偏心軸を傾斜導入部に導入している。このため、本構成によると、偏心軸を位相決め溝の奥方に案内しやすい。
(14)好ましくは、上記(10)の構成において、さらに、前記位相決め溝に前記偏心軸を案内する前における前記ワークの位相を検出する位相検出ステップを有する構成とする方がよい。本構成によると、位相決めの前段階において、ワークの初期位相を確認することができる。このため、初期位相に応じて、偏心軸を位相決め溝に導入することができる。
さらに好ましくは、本構成と上記(12)の構成とを組み合わせてもよい。つまり、位相検出ステップ→仮位相決めステップ→第一本位相決めステップまたは第二本位相決めステップの順番で、各ステップを実行してもよい。こうすると、位相検出ステップで検出したワークの初期位相を基に、仮位相決めステップにおいて第一偏心軸および第二偏心軸のうち位相決め溝に相対的に導入しやすい方の偏心軸を選択することができる。また、導入した偏心軸の種類(第一偏心軸あるいは第二偏心軸)に応じて、本位相決めステップとして、第一本位相決めステップまたは第二本位相決めステップを、択一的に実行することができる。
また、さらに好ましくは、本構成と上記(13)の構成とを組み合わせてもよい。つまり、位相検出ステップ→導入ステップ→仮位相決めステップ→本位相決めステップの順番で、各ステップを実行してもよい。こうすると、位相検出ステップで検出したワークの初期位相を基に、導入ステップにおいて、傾斜面の延在方向と、回転軸の軸芯と偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交する場合を回避することができる。
(15)好ましくは、上記(10)の構成において、前記位相決め治具は固定されている構成とする方がよい。つまり、本構成は、動かない位相決め治具に対して、動くワークを近づけることにより、偏心軸を位相決め溝に導入するものである。そして、ワークの位相決めを行うものである。
本構成によると、位相決めの際のワークの回転力は、例えばワーク搬送用のアクチュエータにより確保されることになる。このため、別途、ワークの位相決め専用のアクチュエータを配置する必要がない。
本発明によると、ワーク搬送器からワークを降ろすことなくワークの位相決めが可能で、かつ汎用性に富む位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法を提供することができる。
以下、本発明の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法の実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
まず、本実施形態の位相決め装置の構成について説明する。図1に、本実施形態の位相決め装置の工場における配置図を示す。図2に、同位相決め装置のワーク搬送器およびワークの斜視図を示す。図3に、同ワーク搬送器およびワークの上面図を示す。図4に、同位相決め装置の位相決め治具の側面図を示す。なお、図1においては、ワーク搬送器の動きを説明する便宜上、ワーク搬送器およびワークを複数示す。
これらの図に示すように、本実施形態の位相決め装置1は、ワーク搬送器2と位相決め治具3と三つの近接センサ4a〜4cとを備えている。ワーク搬送器2は、鋼製であって、上方から見てC字状を呈している。ワーク搬送器2は、一対のアーム20a、20bを備えている。アーム20a先端部の上面には、ローラ200a(図3において点線ハッチングで示す)が枢設されている。ローラ200aは、アーム20a長手方向に沿って、二つ並設されている。同様に、アーム20b先端部の上面には、ローラ200b(図3において点線ハッチングで示す)が枢設されている。ローラ200bは、アーム20b長手方向に沿って、二つ並設されている。図1に示すように、ワーク搬送器2は、前工程ワーク取り出し位置S1から後工程ワークセット位置S6までの間において、図中白抜き矢印で示すように、ワークWを搬送している。
ワークWは、いわゆる60°V型六シリンダ用のクランクシャフトである。ワークWは、ジャーナルJ1〜J4とクランクピンP1〜P6とカウンターウェイトC1〜C9とフライホイルFとを備えている。ジャーナルJ1〜J4は、本発明の回転軸に含まれる。クランクピンP1〜P6は、本発明の偏心軸に含まれる。また、クランクピンP1は、本発明の第一偏心軸に含まれる。並びに、クランクピンP6は、本発明の第二偏心軸に含まれる。
ジャーナルJ1〜J4は、鋼製であって円柱状を呈している。ジャーナルJ1〜J4は、同じ軸芯上に、直列に配置されている。ジャーナルJ1は、図2中点線で示すように、一対のローラ200aにより、回転可能に支持されている。ジャーナルJ4は、図2中点線で示すように、一対のローラ200bにより、回転可能に支持されている。
クランクピンP1〜P6は、鋼製であって円柱状を呈している。クランクピンP1〜P6は、ジャーナルJ1〜J4に対して、各々偏心して配置されている。クランクピンP1〜P6は、ジャーナルJ1〜J4の軸芯を中心に、60°ずつ離間して配置されている。つまり、クランクピンP1〜P6は、フライホイルF側から見て時計回りに、P1→P2→P5→P6→P3→P4の順に配置されている(図2参照)。
カウンターウェイトC1〜C9は、鋼製であって平板状を呈している。カウンターウェイトC1〜C9は、ワークWの回転アンバランスを除去している。フライホイルFは、鋼製であって円板状を呈している。フライホイルFは、ワークWの回転力を、その慣性により平均化している。
これらジャーナルJ1〜J4、クランクピンP1〜P6、カウンターウェイトC1〜C9、フライホイルFは、ジャーナルJ1〜J4の軸方向に沿って、ジャーナルJ1→カウンターウェイトC1→クランクピンP1→カウンターウェイトC2→クランクピンP2→カウンターウェイトC3→ジャーナルJ2→カウンターウェイトC4→クランクピンP3→カウンターウェイトC5→クランクピンP4→カウンターウェイトC6→ジャーナルJ3→カウンターウェイトC7→クランクピンP5→カウンターウェイトC8→クランクピンP6→カウンターウェイトC9→ジャーナルJ4→フライホイルFの順に、連なっている。
位相決め治具3は、鋼製であって矩形板状を呈している。位相決め治具3の一縁からは、位相決め溝30が凹設されている。位相決め溝30は、仮位相決め部31(図4に実線ハッチングで示す)と本位相決め部32(図4に点線ハッチングで示す)とを備えている。
仮位相決め部31は平行部310と傾斜導入部311とを備えている。傾斜導入部311は、位相決め治具3内方に向かって溝幅を狭める上下一対の傾斜面312を備えている。平行部310は、傾斜導入部311の先細り端に連なっている。平行部310の溝幅は、略平行である。
本位相決め部32は、上方分岐部32aと下方分岐部32bとを備えている。上方分岐部32aは、本発明の第一分岐部に含まれる。下方分岐部32bは、本発明の第二分岐部に含まれる。これら上方分岐部32a、下方分岐部32bは、仮位相決め部31の奥端に、各々連なっている。また、これら上方分岐部32aと下方分岐部32bとは、仮位相決め部31を挟んで、上下方向に180°対向して延在している。上方分岐部32aは、上方に向かって溝幅が狭まるV字状を呈している。下方分岐部32bは、下方に向かって溝幅が狭まるV字状を呈している。
近接センサ4a〜4cは、各近接センサ4a〜4c近傍の磁界の変化から、ワークWの位相を検出する。すなわち、磁界にワークWの所定部位が侵入すると磁力線が乱れる。この磁力線の乱れは、近接センサ4a〜4cの発振回路(図略)に伝わる。当該磁力線の乱れにより、近接センサ4a〜4cにワークWの所定部位が近づいたことを、近接センサ4a〜4cは検出する。近接センサ4a〜4cによるワークWの位相検出方法については、後で詳しく説明する。
次に、本実施形態の位相決め方法について説明する。本実施形態の位相決め方法は、位相検出ステップと仮位相決めステップと本位相決めステップ(第一本位相決めステップまたは第二本位相決めステップ)とを有している。
図5に、ワーク搬送器の動きをフローチャートで示す。前出図1および図5に示すように、前工程終了時においては、ワークWを搭載したワーク搬送器2は、前工程ワーク取り出し位置S1に配置されている。つまり、工場9のフロア90に載置されている。
位相検出ステップにおいては、ワークWの位相の検出が行われる。まず、前工程ワーク取り出し位置S1から近接センサ検出位置S2まで、ワーク搬送器2を上昇させる。図6に、近接センサ検出位置におけるワーク搬送器およびワークの上面図を示す。図に示すように、ワークWのカウンターウェイトC1は、近接センサ4aと、水平方向に対向して配置されている。カウンターウェイトC5は、近接センサ4bと、水平方向に対向して配置されている。カウンターウェイトC9は、近接センサ4cと、水平方向に対向して配置されている。
近接センサ4aにカウンターウェイトC1が近づくと磁力線が乱れる。この磁力線の乱れにより、近接センサ4aは、カウンターウェイトC1が、所定間隔内に位置していることを検出する。同様に、近接センサ4bも、磁力線の乱れから、カウンターウェイトC5が、所定間隔内に位置していることを検出する。同様に、近接センサ4cも、磁力線の乱れから、カウンターウェイトC9が、所定間隔内に位置していることを検出する。ワークWの位相検出は、これら近接センサ4a〜4cの検出可否の組み合わせにより行うことができる。以下、近接センサ4a〜4cによる位相検出の具体的方法について説明する。
まず、クランクピンP6の、ジャーナルの軸芯を中心とする円弧における周方向中央位置が、ジャーナルの軸芯から上方に延びる垂線を0°として350°以上10°未満の領域にある場合(以下、「クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にある場合」のように略称する。カウンターウェイトについても同様に略称する。)の位相検出方法について説明する。図7に、クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にある場合の位相検出方法を模式図で示す。図に示すように、クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC9は、170°以上190°未満の領域に位置している。これに対して、近接センサ4cは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4cとカウンターウェイトC9とは離間している。したがって、近接センサ4cにより、カウンターウェイトC9を検出することはできない。
また、クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC5は、80°以上100°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4bは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4bとカウンターウェイトC5とは離間している。したがって、近接センサ4bにより、カウンターウェイトC5を検出することはできない。
また、クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC1は、350°以上10°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4aは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4aとカウンターウェイトC1とは離間している。したがって、近接センサ4aにより、カウンターウェイトC1を検出することはできない。
このように、クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にある場合は、いずれの近接センサ4a〜4cもカウンターウェイトを検出しない。したがって、いずれの近接センサ4a〜4cも検出信号を発信しない場合は、クランクピンP6が350°以上10°未満の領域にあることを判別できる。この場合は、後述する仮位相決めステップにおいて、クランクピンP6が、位相決め治具3の傾斜導入部311に導入される。
次に、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にある場合の位相検出方法について説明する。図8に、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にある場合の位相検出方法を模式図で示す。図に示すように、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC9は、190°以上350°未満の領域に位置している。これに対して、近接センサ4cは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4cとカウンターウェイトC9とが近接する。したがって、近接センサ4cにより、カウンターウェイトC9を検出することができる。
また、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC5は、100°以上260°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4bは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4bとカウンターウェイトC5とは離間している。したがって、近接センサ4bにより、カウンターウェイトC5を検出することはできない。
また、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC1は、10°以上170°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4aは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4aとカウンターウェイトC1とは離間している。したがって、近接センサ4aにより、カウンターウェイトC1を検出することはできない。
このように、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にある場合は、近接センサ4cがカウンターウェイトC9を検出する。したがって、近接センサ4cが検出信号を発信し、かつ近接センサ4a、4bが検出信号を発信しない場合は、クランクピンP6が10°以上170°未満の領域にあることを判別できる。この場合は、後述する仮位相決めステップにおいて、クランクピンP6が、位相決め治具3の傾斜導入部311に導入される。
次に、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にある場合の位相検出方法について説明する。図9に、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にある場合の位相検出方法を模式図で示す。図に示すように、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC9は、350°以上10°未満の領域に位置している。これに対して、近接センサ4cは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4cとカウンターウェイトC9とは離間している。したがって、近接センサ4cにより、カウンターウェイトC9を検出することはできない。
また、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC5は、260°以上280°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4bは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4bとカウンターウェイトC5とが近接する。したがって、近接センサ4bにより、カウンターウェイトC5を検出することができる。
また、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC1は、170°以上190°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4aは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4aとカウンターウェイトC1とは離間している。したがって、近接センサ4aにより、カウンターウェイトC1を検出することはできない。
このように、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にある場合は、近接センサ4bがカウンターウェイトC5を検出する。したがって、近接センサ4bが検出信号を発信し、かつ近接センサ4a、4cが検出信号を発信しない場合は、クランクピンP6が170°以上190°未満の領域にあることを判別できる。この場合は、後述する仮位相決めステップにおいて、クランクピンP1が、位相決め治具3の傾斜導入部311に導入される。
次に、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にある場合の位相検出方法について説明する。図10に、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にある場合の位相検出方法を模式図で示す。図に示すように、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC9は、10°以上170°未満の領域に位置している。これに対して、近接センサ4cは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4cとカウンターウェイトC9とは離間している。したがって、近接センサ4cにより、カウンターウェイトC9を検出することはできない。
また、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC5は、280°以上80°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4bは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4bとカウンターウェイトC5とは離間している。したがって、近接センサ4bにより、カウンターウェイトC5を検出することはできない。
また、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にある場合は、カウンターウェイトC1は、190°以上350°未満の領域に位置している(前出図2参照)。これに対して、近接センサ4aは、270°位置に固定されている。このため、近接センサ4aとカウンターウェイトC1とが近接する。したがって、近接センサ4aにより、カウンターウェイトC1を検出することができる。
このように、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にある場合は、近接センサ4aがカウンターウェイトC1を検出する。したがって、近接センサ4aが検出信号を発信し、かつ近接センサ4b、4cが検出信号を発信しない場合は、クランクピンP6が190°以上350°未満の領域にあることを判別できる。この場合は、後述する仮位相決めステップにおいて、クランクピンP1が、位相決め治具3の傾斜導入部311に導入される。
仮位相決めステップにおいては、ワークWの仮位相決めが行われる。まず、仮位相決めステップにおける位相決め治具手前S3−1、S3−2の選択方法について説明する。なお、前出図5に示すように、位相決め治具手前S3−1においては、クランクピンP1と位相決め治具3とが対向するように、ワークWが配置される。一方、位相決め治具手前S3−2においては、クランクピンP6と位相決め治具3とが対向するように、ワークWが配置される。
前記位相検出ステップにおいて、クランクピンP6が350°以上170°未満の領域にあると判断される場合は、ワークWを位相決め治具手前S3−2に配置する。つまり、この場合はクランクピンP6を傾斜導入部311に導入する。一方、クランクピンP6が170°以上350°未満の領域にあると判断される場合は、ワークWを位相決め治具手前S3−1に配置する。つまり、この場合はクランクピンP1を傾斜導入部311に導入する。このように、ワークWの初期位相を基に、位相決め治具手前S3−1、S3−2の選択が行われる。言い換えると、ワークWの初期位相を基に、仮位相決めステップに用いるクランクピンP1、P6の選択が行われる。
次に、仮位相決めステップにおけるワークWの動きについて説明する。ここで、クランクピンP1、P6の仮位相決めステップにおける挙動は、同様である。したがって、以下、仮位相決めにクランクピンP1を用いる場合についてのみ説明する。なお、当該説明は、仮位相決めにクランクピンP6を用いる場合についての説明を兼ねる。
仮位相決めステップは、導入ステップと平行移動ステップとを有している。導入ステップにおいては、クランクピンP1が、位相決め治具3の傾斜導入部311に、導入される。図11に、ワークが図1、図5における位相決め治具手前S3−1に配置された状態の斜視図を示す。図12に、同状態の上面図を示す。これらの図に示すように、位相決め治具3は、クランクピンP1と、水平方向に対向している。
図13に、本実施形態の位相決め方法における導入ステップ初期のワークと位相決め治具との配置図を示す。図14に、同導入ステップ中期のワークと位相決め治具との配置図を示す。図15に、同導入ステップ終期のワークと位相決め治具との配置図を示す。
図13に示すように、ワークWのクランクピンP1は、ジャーナルJ1〜J4を挟んで、位相決め治具3の反対側に配置されている。図中白抜き矢印で示すように、ワークWは、傾斜導入部311に近接する。この際、ジャーナルJ1〜J4の軸芯Oの軌跡と、傾斜導入部311および平行部310の溝幅中央線Lとは、同一の水平方向平面上に位置している。
図14に示すように、ジャーナルJ1〜J4の軸芯OとクランクピンP1の軸芯O1とを結ぶ直線L1と溝幅中央線Lとは、挟角θを有している。挟角θが略0°の場合を除いて、クランクピンP1は、傾斜導入部311の傾斜面312に当接する。
図15に示すように、ジャーナルJ1〜J4は、徐々に位相決め治具3の内方に進入する。このため、クランクピンP1も、傾斜面312を下方に向かって摺動する。したがって、挟角θは徐々に小さくなる。このように、クランクピンP1が傾斜面312に規制されることにより、ワークWは、ジャーナルJ1〜J4の軸芯Oを中心に、紙面時計回り方向に所定角度だけ回転する。最終的には、ジャーナルJ1〜J4の軸芯OとクランクピンP1の軸芯O1とを結ぶ直線L1と溝幅中央線Lとの挟角θは、略0°になる。
平行移動ステップにおいては、挟角θが略0°の状態のまま、クランクピンP1が平行部310に進入する。図16に、本実施形態の位相決め方法における平行移動ステップ初期のワークと位相決め治具との配置図を示す。図17に、同平行移動ステップ終期のワークと位相決め治具との配置図を示す。
図16に示すように、ジャーナルJ1〜J4の軸芯OとクランクピンP1の軸芯O1とを結ぶ直線L1は、溝幅中央線Lと、略一致している。この状態のまま、クランクピンP1は、平行部310を進行する。
図17に示すように、クランクピンP1は、平行部310の奥端に当接して、進行を停止する。このようにして、仮位相決めが行われる。なお、仮位相においては、溝幅中央線Lの延在方向つまりクランクピンP1の案内方向に沿って、クランクピンP1とジャーナルJ1〜J4とが並んでいる。
本位相決めステップにおいては、位相決め溝30に案内されたクランクピンP1、P6の種類に応じて、第一本位相決めステップまたは第二本位相決めステップが、択一的に実行される。具体的には、クランクピンP1が位相決め溝30に案内された場合は、第一本位相決めステップが実行される。また、クランクピンP6が位相決め溝30に案内された場合は、第二本位相決めステップが実行される。
ここで、クランクピンP1の第一本位相決めステップにおける挙動と、クランクピンP6の第二本位相決めステップにおける挙動とは、クランクピンの進行方向が上下異なる以外は、同様である。したがって、以下、第一本位相決めステップについてのみ説明する。なお、当該説明は、第二本位相決めステップについての説明を兼ねる。
図18に、本実施形態の位相決め方法における第一本位相決めステップ初期のワークと位相決め治具との配置図を示す。図19に、同第一本位相決めステップ中期のワークと位相決め治具との配置図を示す。図20に、同第一本位相決めステップ終期のワークと位相決め治具との配置図を示す。
前出図17および図18に白抜き矢印で示すように、ワークWは上昇する。このため、クランクピンP1は、上方分岐部32a内を、上方分岐部32aの溝幅中央線L2と平行に上昇する。なお、上方分岐部32aの溝幅中央線L2と、傾斜導入部311および平行部310の溝幅中央線Lとは、直交している。
図19に示すように、クランクピンP1の上昇は、上方分岐部32aの傾斜面320aにより、規制される。この規制に応じて、ワークWは、図中白抜き矢印で示すように、紙面時計回り方向に回転する。また、クランクピンP1は、傾斜面320aを上方に摺動する。
図20に示すように、クランクピンP1は、傾斜面320aの頂部に到達して、進行を停止する。このようにして、本位相決めが行われる。なお、本位相においては、ジャーナルJ1〜J4が、クランクピンP1の直上に廻り込んでいる。並びに、カウンターウェイトC1が、ジャーナルJ1〜J4の直上に廻り込んでいる。また、前記仮位相と比較して、ワークWは、略90°回転している。
本位相決めステップ終了後は、前出図1および図5に示すように、位相決め治具内S4−1から再び位相決め治具手前S5−1に、ワークWが復帰する。あるいは、位相決め治具内S4−2から再び位相決め治具手前S5−2に、ワークWが復帰する。その後、ワークWは、さらに上昇し、後工程ワークセット位置S6に到達する。
次に、本実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法の作用効果について説明する。本実施形態の位相決め装置1によると、ワーク搬送器2がワークWを支持した状態のまま、クランクピンP1またはクランクピンP6が位相決め溝30に案内される。このため、ワーク搬送器2からワークWを降ろすことなくワークWの位相決めが可能である。したがって、ワークWの加工時間延いてはリードタイムを短縮することができる。
また、ワーク搬送器2は、クランクピンP1〜P6ではなく、ジャーナルJ1、J4を支持している。このため、クランクピンP1〜P6の配置数、クランクピンP1〜P6のジャーナルJ1〜J4に対する位相の如何にかかわらず、ワークWを搬送することができる。並びに、ワークWの位相決めを行うことができる。すなわち、本実施形態の位相決め装置1は、ワークWの種類に対する汎用性に富んでいる。
また、本実施形態の位相決め装置1は、クランクピンP1〜P6と位相決め溝30との相対的な移動により、ワークWを回転させている。このため、位相決め治具3の取り付け角度、位相決め溝30の形状、延在方向、位相決め溝30に対するワークWの軌道などを適宜調整することにより、あらゆる位相にワークWを揃えることができる。すなわち、本実施形態の位相決め装置1は、位相選択の自由度が高い。このため、本実施形態の位相決め装置1は、所望の位相が異なるあらゆる工程に対応することができる。このように、本実施形態の位相決め装置1は、工程の種類に対する汎用性に富んでいる。
また、本実施形態の位相決め装置1の位相決め治具3は、仮位相決め部31を有している。このため、まずワークWを仮位相に揃えてから、続いて工程所望の本位相に揃え直すことができる。すなわち、仮位相から本位相に切り替える際、複数のワークW間において、慣性モーメントを統一することができる。このため、本実施形態の位相決め装置1によると、複数のワークW間において位相決めのばらつきが小さくなる。つまり、位相決め精度が高くなる。
また、本実施形態の位相決め装置1の位相決め治具3は、本位相決め部32を有している。このため、仮位相決め部31でワークWの位相を仮位相から本位相に切り替える場合と比較して、より位相決め精度が高くなる。
また、本実施形態の位相決め装置1の位相決め治具3は、上方分岐部32aと下方分岐部32bとを備えている。上方分岐部32aはクランクピンP1専用である。下方分岐部32bはクランクピンP6専用である。クランクピンP1を用いて位相決めを行う場合、前出図20に示すように、ジャーナルJ1〜J4の直下にクランクピンP1が配置され、位相決めが終了する。一方、クランクピンP6を用いて位相決めを行う場合、ジャーナルJ1〜J4の直上にクランクピンP6が配置され、位相決めが終了する。ここで、前出図3に示すように、クランクピンP1とクランクピンP6とは、ジャーナルJ1〜J4を挟んで、180°対向している。したがって、クランクピンP1を用いて位相決めを行う場合と、クランクピンP6を用いて位相決めを行う場合とで、最終的なワークWの位相は一致する。
このため、クランクピンP1、P6のうち、位相決め溝30に導入しやすい方のクランクピンP1、P6を選んで、ワークWの位相決めを行うことができる。具体的には、前出図7〜図10に示すように、クランクピンP6が350°以上170°未満の領域にあると判断される場合は、クランクピンP6によりワークWの位相決めを行う。一方、クランクピンP6が170°以上350°未満の領域にあると判断される場合は、クランクピンP1によりワークWの位相決めを行う。本実施形態の位相決め装置1によると、ワークWの初期位相の影響を受けることなく、簡単にワークWの位相決めを行うことができる。
また、本実施形態の位相決め装置1の位相決め治具3は、傾斜導入部311を有している。このため、ワークWの初期位相の影響を受けることなく、外部から傾斜導入部311に、クランクピンP1またはクランクピンP6を導入することができる。
ただし、傾斜面312の延在方向と、ジャーナルJ1〜J4の軸芯OとクランクピンP1(またはクランクピンP6)の軸芯O1とを結ぶ直線L1の延在方向と、が直交する場合は(前出図13参照)、クランクピンP1(またはクランクピンP6)導入の際にクランクピンP1(またはクランクピンP6)が傾斜面312に当接しても、傾斜面312の延在方向に応力が作用しない。このため、傾斜面312上をクランクピンP1(またはクランクピンP6)が摺動しにくい。したがって、クランクピンP1(またはクランクピンP6)を仮位相決め部31に導入しにくい。
この点に鑑み、本実施形態の傾斜導入部311は、傾斜面312の延在方向と直線L1の延在方向とが直交しないように、クランクピンP1(またはクランクピンP6)を傾斜導入部311に導入している。具体的には、上述したように、クランクピンP6が350°以上170°未満の領域にあると判断される場合は、クランクピンP6を傾斜導入部311に導入する。一方、クランクピンP6が170°以上350°未満の領域にあると判断される場合は、クランクピンP1を傾斜導入部311に導入する。このため、本実施形態の位相決め装置1によると、クランクピンP1またはクランクピンP6を仮位相決め部31に導入しやすい。
また、本実施形態の位相決め装置1は、合計三つの近接センサ4a〜4cを有している。このため、位相決めの前段階において、ワークWの初期位相を確認することができる。また、近接センサ4a〜4cを用いると、ワークWに接触することなく、ワークWの初期位相を検出することができる。このため、ワークWに損傷を与えるおそれが小さい。また、近接センサ4a〜4cは、磁界の変化を利用して、自身とワークWとの間隔を検出する。このため、工場9内の塵埃、水、油などの影響を受けにくい。したがって、動作信頼性が高い。
また、本実施形態の位相決め装置1の位相決め治具3は、ワーク搬送器2の搬送軌道上に固定されている(前出図1参照)。このため、位相決めの際のワークWの回転力は、ワーク搬送器2のアクチュエータ(図略)により確保される。したがって、別途、ワークWの位相決め専用のアクチュエータを配置する必要がない。
また、本実施形態の位相決め装置1の位相決め治具3の上方分岐部32aおよび下方分岐部32bは、共にV字状を呈している(前出図19、図20参照)。このため、ワークW回転時におけるクランクピンP1と上方分岐部32aとの接触面積が小さい。同様に、ワークW回転時におけるクランクピンP6と下方分岐部32bとの接触面積が小さい。したがって、比較的小さい応力で、ワークWを回転させることができる。つまり、比較的小さい応力で、ワークWを、仮位相から本位相に切り替えることができる。
また、上方分岐部32aがV字状を呈しているため、クランクピンP1が上方分岐部32a先端に到達した際のクランクピンP1のがたつきを抑制することができる。同様に、下方分岐部32bがV字状を呈しているため、クランクピンP6が下方分岐部32b先端に到達した際のクランクピンP6のがたつきを抑制することができる。
また、仮位相決め部31の延在方向と本位相決め部32の延在方向とは、直交している。このため、ワークWの位相決め溝30内における軌道が単純である。したがって、ワーク搬送器2に対して、位相決め時のワークW搬送軌道を教示しやすい。
<第二実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、位相決め治具の位相決め溝の形状だけである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図21に、本実施形態の位相決め装置の位相決め治具の側面図を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。
図に示すように、上方分岐部32aおよび下方分岐部32b各々の先端は、半円状を呈している。本実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法は、第一実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法と、同様の作用効果を有する。また、本実施形態によると、上方分岐部32aおよび下方分岐部32b各々の先端が半円状を呈しているため、ワークWを仮位相から本位相に切り替える際、滑らかにワークWを回転させることができる。
<第三実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、位相決め治具の位相決め溝の形状だけである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図22に、本実施形態の位相決め装置の位相決め治具の側面図を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。
図に示すように、本実施形態の本位相決め部32は、平行部310の奥端から下方に延在している。本位相決め部32は、前出図2に示すクランクピンP6専用である。言い換えると、本実施形態の位相決め装置は、複数のワーク間において、常に同じ番号のクランクピンを用いて、位相決めを実行する。
初期位相において、傾斜面312の延在方向と、ジャーナルの軸芯とクランクピンの軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交する場合は、まず作業者が手動でワークを回転させる。それから、ワーク搬送器によりクランクピンを傾斜導入部311に導入する。
本実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法は、第一実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法と、同様の作用効果を有する。また、本実施形態によると、前出図5に示すような、ワークの初期位相に対するクランクピンの選択が不要である。このため、ワーク搬送器に対する制御負荷を軽減することができる。
<第四実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、位相決め治具の位相決め溝の形状だけである。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図23に、本実施形態の位相決め装置の位相決め治具の側面図を示す。なお、図4と対応する部位については同じ符号で示す。
図に示すように、本実施形態の位相決め溝30は、仮位相決め部31のみを有している。本実施形態の位相決め溝30は、本位相決め部を有していない。仮位相決め部31により、本位相決めステップが実行される。図24に、本実施形態の位相決め方法における本位相決めステップ初期のワークと位相決め治具との配置図を示す。図25に、同本位相決めステップ終期のワークと位相決め治具との配置図を示す。なお、これらの図において、図14と対応する部位については、同じ符号で示す。
これらの図に示すように、仮位相から本位相への切り替えは、平行部310の半円状の奥端において行われる。具体的には、クランクピンP1の軸芯O1を中心として、ワークWを、紙面時計回り方向に90°だけ回転させることにより、ワークWを本位相に揃える。
本実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法は、第一実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法と、同様の作用効果を有する。また、本実施形態によると、位相決め溝30の構造が単純である。このため、位相決め治具3の製造コストを削減できる。また、ワーク搬送器に対して、位相決め時のワークW搬送軌道を教示しやすい。また、位相決め溝30の溝全長は、本位相決め部がない分だけ短い。このため、ワークWの溝内移動距離、移動時間を短くすることができる。
<第五実施形態>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、位相決め治具の取り付け角度が90°異なる点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。図26に、本実施形態の位相決め装置の位相決め治具手前におけるワーク搬送器およびワークと位相決め治具との位置関係を斜視図で示す。なお、図11と対応する部位については、同じ符号で示す。
図に示すように、位相決め治具3とクランクピンP6とは、上下方向に対向している。本実施形態においては、クランクピンP6により、ワークWの位相決めが実行される。位相決め治具3の位相決め溝30は、上方に向かって開口している。本位相決め部32は、奥方分岐部32cと手前方分岐部32dとを有している。奥方分岐部32cは、本発明の第一分岐部に含まれる。手前方分岐部32dは、本発明の第二分岐部に含まれる。
位相決めの際、クランクピンP6は、手前方分岐部32dに導入される。一方、クランクピンP1により位相決めを行う場合は、クランクピンP1は、奥方分岐部32cに導入される。
本実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法は、第一実施形態の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法と、同様の作用効果を有する。また、本実施形態によると、第一実施形態のワークWの位相決め角度と比較して、90°回転した角度に、ワークWを位相決めすることができる。
<その他>
以上、本発明の位相決め装置および位相決め治具および位相決め方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、上記実施形態においては、ワークWを動かし位相決め治具3を固定した。しかしながら、ワークWを固定し位相決め治具3を動かしてもよい。また、ワークWおよび位相決め治具3を共に動かしてもよい。
また、上記実施形態においては、ワークWとしてクランクシャフトを用いたが、例えばカムシャフト、ロータリーエンジン用のエキセントリックシャフトなどをワークWとして用いてもよい。
また、傾斜面312の摺動性を向上させるため、傾斜面312にフッ素樹脂膜やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜などを配置してもよい。また、傾斜面312の形状は平面状に限定しない。曲面状あるいは曲面と平面とを組み合わせた面状であってもよい。
また、上記実施形態においては、ワークWとして60°V型六シリンダ用のクランクシャフトを用いたが、90°V型八シリンダ用、直列四シリンダ用、水平対向四シリンダ用など、あらゆるタイプのクランクシャフトをワークWとして用いてもよい。
また、上記実施形態においては、単一の位相決め治具3を配置したが、複数の位相決め治具3を配置してもよい。この場合、同位相のクランクピン(例えば直列四シリンダ用クランクシャフトの一番ピンと四番ピン)に、同形状の位相決め溝30を持つ位相決め治具3を用いてもよい。
また、上記実施形態においては、本発明の位相センサとして近接センサ4a〜4cを配置したが、例えばCCDカメラのような撮像センサなどを配置してもよい。また、勿論、接触式の感圧センサなどを配置してもよい。
また、上記実施形態においては、溝幅方向に対向する一対の面を共に傾斜面312としたが、一方の面だけを傾斜面312とし、他方の面を平行部310と平行に配置してもよい。すなわち、ワークWの導入方向に沿って溝幅が狭まりさえすればよい。
第一実施形態の位相決め装置の工場における配置図である。 同位相決め装置のワーク搬送器およびワークの斜視図である。 同ワーク搬送器およびワークの上面図である。 同位相決め装置の位相決め治具の側面図である。 同ワーク搬送器の工場における動きを示すフローチャートである。 近接センサ検出位置における同ワーク搬送器およびワークの上面図である。 フライホイルに最も近いクランクピンが350°以上10°未満の領域にある場合の位相検出方法を示す模式図である。 同クランクピンが10°以上170°未満の領域にある場合の位相検出方法を示す模式図である。 同クランクピンが170°以上190°未満の領域にある場合の位相検出方法を示す模式図である。 同クランクピンが190°以上350°未満の領域にある場合の位相検出方法を示す模式図である。 同ワークが位相決め治具手前S3−1に配置された状態を示す斜視図である。 同状態を示す上面図である。 同実施形態の位相決め方法における導入ステップ初期のワークと位相決め治具との配置図である。 同導入ステップ中期のワークと位相決め治具との配置図である。 同導入ステップ終期のワークと位相決め治具との配置図である。 同実施形態の位相決め方法における平行移動ステップ初期のワークと位相決め治具との配置図である。 同平行移動ステップ終期のワークと位相決め治具との配置図である。 同実施形態の位相決め方法における第一本位相決めステップ初期のワークと位相決め治具との配置図である。 同第一本位相決めステップ中期のワークと位相決め治具との配置図である。 同第一本位相決めステップ終期のワークと位相決め治具との配置図である。 第二実施形態の位相決め装置の位相決め治具の側面図である。 第三実施形態の位相決め装置の位相決め治具の側面図である。 第四実施形態の位相決め装置の位相決め治具の側面図である。 同実施形態の位相決め方法における本位相決めステップ初期のワークと位相決め治具との配置図である。 同実施形態の位相決め方法における本位相決めステップ終期のワークと位相決め治具との配置図である。 第五実施形態の位相決め装置の位相決め治具手前におけるワーク搬送器およびワークと位相決め治具との位置関係を示す斜視図である。 従来の位相決め装置の原理図である。 従来の位相決め装置の原理図である。
符号の説明
1:位相決め装置、2:ワーク搬送器、20a:アーム、200a:ローラ、20b:アーム、200b:ローラ、3:位相決め治具、30:位相決め溝、31:仮位相決め部、310:平行部、311:傾斜導入部、312:傾斜面、32:本位相決め部、32a:上方分岐部(第一分岐部)、320a:傾斜面、32b:下方分岐部(第二分岐部)、32c:奥方分岐部(第一分岐部)、手前方分岐部32d(第二分岐部)、4a〜4c:近接センサ、9:工場、90:フロア。
C1〜C9:カウンターウェイト、F:フライホイル、J1〜J4:ジャーナル(回転軸)、L:溝幅中央線、L1:直線、L2:溝幅中央線、O:軸芯、O1:軸芯、P1〜P6:クランクピン(偏心軸)、S1:前工程ワーク取り出し位置、S2:近接センサ検出位置、S3−1:位相決め治具手前、S3−2:位相決め治具手前、S4−1:位相決め治具内、S4−2:位相決め治具内、S5−1:位相決め治具手前、S5−2:位相決め治具手前、S6:後工程ワークセット位置、W:ワーク、θ:挟角。

Claims (15)

  1. 回転軸と該回転軸に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸とを持つワークの該回転軸を回転可能に支持するワーク搬送器と、
    該ワーク搬送器に搭載された該ワークの該偏心軸を相対的に案内することにより、該ワークを回転させ、該ワークの位相決めを行う位相決め溝を持つ位相決め治具と、
    を備えてなる位相決め装置。
  2. 前記位相決め溝は、前記偏心軸の案内方向に沿って該偏心軸と前記回転軸とが並ぶ仮位相に、前記ワークを配置可能な仮位相決め部を有する請求項1に記載の位相決め装置。
  3. 前記位相決め溝は、さらに、前記仮位相決め部の奥端に連なり、前記仮位相からさらに前記ワークを回転させた本位相に、該ワークの位相を切り替え可能な本位相決め部を有する請求項2に記載の位相決め装置。
  4. 前記本位相決め部は、前記仮位相決め部の前記奥端から、互いに略180°対向して延在する第一分岐部と第二分岐部とを有し、
    前記ワークは、前記回転軸を挟んで略180°対向する第一偏心軸と第二偏心軸とを有し、
    該第一偏心軸により位相決めを行う場合は該第一偏心軸を該第一分岐部に案内し、該第二偏心軸により位相決めを行う場合は該第二偏心軸を該第二分岐部に案内する請求項3に記載の位相決め装置。
  5. 前記仮位相決め部は、外部から前記偏心軸を導入すると共に導入方向に沿って溝幅を狭める傾斜面を持つ傾斜導入部を有し、
    該傾斜導入部は、該傾斜面の延在方向と、前記回転軸の軸芯と該偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交しないように、該偏心軸を導入する請求項2に記載の位相決め装置。
  6. さらに、前記位相決め溝に前記偏心軸を案内する前における前記ワークの位相を検出する位相センサを持つ請求項1に記載の位相決め装置。
  7. 前記ワークは、カウンターウェイトを有し、
    前記位相センサは、自身と該カウンターウェイトとの間隔を検出することにより、該ワークの位相を検出する少なくとも一つの近接センサである請求項6に記載の位相決め装置。
  8. 前記位相決め治具は固定されている請求項1に記載の位相決め装置。
  9. 回転軸と該回転軸に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸とを持つワークの該偏心軸を相対的に案内することにより、該ワークを回転させ、該ワークの位相決めを行う位相決め溝を持つ位相決め治具。
  10. 回転軸と該回転軸に対して偏心して配置される少なくとも一つの偏心軸とを持ち、該回転軸が回転可能に支持された状態で搬送されるワークの位相決め方法であって、
    搬送途中の前記ワークの前記偏心軸を、位相決め治具の位相決め溝に相対的に案内することにより、該ワークを回転させ、該ワークの位相決めを行うことを特徴とする位相決め方法。
  11. 前記偏心軸の案内方向に沿って該偏心軸と前記回転軸とが並ぶ仮位相に、前記ワークを配置する仮位相決めステップと、
    該仮位相からさらに該ワークを回転させる本位相に、該ワークの位相を切り替える本位相決めステップと、
    を有する請求項10に記載の位相決め方法。
  12. 前記位相決め溝の奥方には、互いに略180°対向して延在する第一分岐部と第二分岐部とが配置され、
    前記ワークは、前記回転軸を挟んで略180°対向する第一偏心軸と第二偏心軸とを有し、
    前記本位相決めステップは、該第一偏心軸を該第一分岐部に案内することにより該ワークの位相を切り替える第一本位相決めステップ、または該第二偏心軸を該第二分岐部に案内することにより該ワークの位相を切り替える第二本位相決めステップである請求項11に記載の位相決め方法。
  13. 前記位相決め溝の手前方には、外部から前記偏心軸を導入すると共に導入方向に沿って溝幅を狭める傾斜面を持つ傾斜導入部が配置され、
    前記仮位相決めステップは、該傾斜面の延在方向と、前記回転軸の軸芯と該偏心軸の軸芯とを結ぶ直線の延在方向と、が直交しないように、該傾斜導入部に該偏心軸を導入する導入ステップを有する請求項11に記載の位相決め方法。
  14. さらに、前記位相決め溝に前記偏心軸を案内する前における前記ワークの位相を検出する位相検出ステップを有する請求項10に記載の位相決め方法。
  15. 前記位相決め治具は固定されている請求項10に記載の位相決め方法。
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