JP2006150160A - 粉体膜形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 粉体原料mに、機械的外力を付与して微粒子Cを生成する微粒子生成手段50と、微粒子Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板4を保持する基板保持手段4aと、微粒子生成手段50および基板保持手段4aを内部に設けた処理室70と、微粒子Cの基板4への搬送状態を制御する搬送制御手段40を備える。
【選択図】 図1
Description
真空蒸着法は、高度な真空環境を作り出す真空装置を必要とする。また、原料物質を蒸発させるには、抵抗加熱・電子ビーム・アーク放電加熱・レーザ加熱等、原料物質を高温に加熱できる加熱装置が必要となる。
イオンプレーティング法は、真空蒸着法と同様に、原料物質を高温に加熱して蒸発させる加熱装置や、プラズマ又はイオンを発生させる装置が必要である。
スパッタリング法は、スパッタリング現象を引き起こす際に安定したプラズマやイオン源を供給する装置が必要となる。
CVD法は、化学反応を起こさせるエネルギーを付与する際、高温条件にしたり、原料ガスをプラズマ状態にする必要がある。また、膜厚の均一性などを考慮して減圧条件下とする等の圧力制御が行われている。
そこで、本構成の装置では、生成した微粒子同士が接触等によって凝集することがないように、搬送制御手段により微粒子が基板に到達するまでの微粒子の搬送状態を制御できる。これにより、微粒子が分散している状態で各微粒子を基板に付着させることができる。
つまり、上記第一特徴構成によれば、粉体膜を形成するに際して特殊な制御を行うことや特殊な装置を必要とせず、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を迅速に形成できる粉体膜形成装置が提供される。
例えば、微粒子が浮遊する空間に乱流が生じない程度のガス流速を容易に設定できることから、微粒子同士の凝集を抑えつつ微粒子を基板に到達させることができ、均質な粉体膜を形成することができる。
また、超音波処理条件により粉体膜の微粒子密度を制御できる。例えば、超音波処理の時間・周波数・振幅(強度)等の条件を調整することで、緻密な、或いは、多孔質の粉体膜を得ることができる。
そこで、本構成の方法では、生成した微粒子同士が接触等によって凝集することがないように、微粒子が基板に到達するまでの微粒子の搬送状態を制御する。これにより、微粒子が分散している状態で各微粒子を基板に付着させることができる。
つまり、本特徴構成によれば、粉体膜を形成するに際して特殊な制御を行うことや特殊な装置を必要とせず、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を迅速に形成できる粉体膜形成方法が提供される。
本発明の粉体膜形成装置では、例えば、センサや燃料電池等の電極形成用の基板表面に、ナノサイズの微粒子を付着させてポーラス構造(多孔質構造)の粉体膜を形成することができる。
また、微粒子の核となる物質の周りに微粒子材料を付着あるいは結合させ、ある程度のサイズに成長させた微粒子を用いても良い。当該微粒子は、単一材料からなるものでも、複数の材料を合成して生成した微粒子であってもよい。
図1に示したように、本発明に係る粉体膜形成装置Xは、基台1に設置された略円筒形状のケーシング2と、このケーシング2の内部に配置され筒軸心を中心に回転自在な有底略円筒状の処理容器3と、処理容器3の内部に配置されケーシング2側に保持されたプレスヘッド5aとが設けてある。尚、後述するように、処理容器3の内周面である堆積面3aとプレスヘッド5a等により微粒子生成手段50が構成される。また、粉体膜形成装置Xは、微粒子(生成粉体)Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板4を保持する基板保持手段4aと、微粒子生成手段50および基板保持手段4aを内部に設けた処理室70等を備える。
さらに、本発明における粉体膜形成装置Xは、生成粉体Cの基板への搬送状態を制御する搬送制御手段40を備える。
以下、各部材について詳述する。
処理容器3は、ケーシング2に軸受けされた軸体15に固定され、その軸体15の軸心周りに回転自在に構成してある。処理容器3の内周面は、原料投入手段90から供給される粉体原料である混合粉体mが堆積する堆積面3aとなっている。当該堆積面3aには、遠心力により粉体の堆積層が形成・保持される。
また、処理容器3の底部側に間隔をおいて複数の開口部9が形成してあると共に、処理容器3の外側面の底部付近には攪拌羽根10が複数設けてある。処理容器3が回転するに伴いこれら攪拌羽根10が回転し、開口部9から排出されて処理容器3の外周付近に存在する混合粉体mを攪拌羽根10の回転により生じた風圧で舞い上げることができる。
原料投入手段90からケーシング2内に投入された混合粉体mは、直接処理容器3内に供給されるか、或いは、処理容器3の外側空間に供給され、攪拌羽根10によって舞い上げられた後、処理容器3の上方開口から処理容器3内に供給される、循環型とすることができる。
さらに、処理容器3とケーシング2との間には、ジャケット84を設けることが可能である。このジャケット84は、処理容器3内の温度を最適な温度に保つため、加熱或いは冷却自在に設定できる処理水等を流通させる。
生成粉体Cは、混合粉体mに圧縮力・剪断力・衝撃力等の機械的外力を付与することで固相反応を生じさせ、合成した粉体を生成するメカノケミカル法と呼ばれる方法により生成される。これは、当該混合粉体mに対して、粉砕・精密混合・粒子複合化・粒子間固相反応等の処理を行うのに必要な機械的エネルギーを与え、複数の粉体を複合化かつ活性化させるメカノケミカル効果を利用する手法である。
このように、プレスヘッド5aの処理面5bを堆積面3aに対して相対移動させることで、堆積面3aと処理面5bとの間隙7にある混合粉体mに対して、非常に強力な圧縮力と剪断力との機械的エネルギーを付与し、粉体を磨砕して微粉化し、或いは、複数の粉体を複合化した微粒子である生成粉体Cが生成される。この生成粉体Cの生成過程については後述する。
生成した生成粉体Cは、処理室70の内部空間を上部の基板4に向かって浮遊する。
基板保持手段4aは、生成粉体Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板4を保持する。
本発明の粉体膜形成装置Xでは、成膜に高温を必要としないため基板4の材質が限定されない。従って、基板4は、例えば電極を構成する銅等の金属基板、ガラス基板、プラスチック基板、樹脂基板、セラミックス基板、及び、弱熱性基板等、種々の材料を基板材料として適用できる。
基板4の表面には、生成粉体Cが、ファンデルワールス力・静電気力・融着・焼結および化学結合する等して付着している。そのため、所望の付着状態が得られるように基板材料を選択することが可能である。
また、生成粉体Cが生成された直後に基板4に生成粉体Cを付着させる場合には、基板4の設置位置を、プレスヘッド5aの真上に設けてもよい。
例えば、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を制御する衝突速度制御手段44を設け、この衝突速度制御手段44は、例えば、基板保持部材4aを回転させる回転機構44aと、基板4の角度を変更可能な角度変更機構44bとを備えるように構成する。
本発明の粉体膜形成装置Xは、生成粉体Cの基板への搬送状態を制御する搬送制御手段40を備える。
生成粉体Cの生成直後において当該生成粉体Cが処理室70に放出されたときには、生成粉体C同士はある程度離間した分散状態となっている。本構成では、この搬送制御手段40により、生成粉体Cの基板への搬送状態を制御する。これにより、生成粉体Cが分散している状態で当該生成粉体Cを基板4に付着させることができる。
生成粉体Cの生成方法や生成条件等により、生成粉体Cの粒度や活性状態が異なるため、基板4に到達させるべき生成粉体Cの搬送条件は異なるが、その都度最適な搬送条件を導き出して当該最適条件に制御することで、基板4に付着する際の粒子サイズを安定化し、均質な粉体膜Fを形成することができる。
ガスボンベ41aによるガスの供給は、例えばケーシング2の側方から複数箇所で行う。或いは、前記軸体15にガス通路を設け、処理容器3内にガスを供給することも可能である。
そして、供給されたガスは処理室70を経由した後、例えばケーシング2の上方の複数箇所のガス流出口46から真空ポンプ41bにより排気される。このとき、基板4に付着しなかった生成粉体Cは、ガスと共に排出される。ガス流出口46にフィルタ80を設けた場合、或いは、ガス流出口46と真空ポンプ41bの間に捕集器(図外)を設けた場合
は、このフィルタ80あるいは捕集器によりそれぞれ捕集される。
そのため、簡易な装置で構成できるガス流速制御装置を用いて、基板4までの生成粉体Cの搬送状態を容易かつ安価に設定できる。また、この粉体膜Fの形成の途中でガスの供給条件を変更することにより、微粒子密度の異なる複数層の膜を形成できる。
具体的には、図1に示したように、基板保持部材4aを、上下方向に伸縮自在に構成してある延出軸(例えば回転軸42a)と接続し、当該延出軸を距離調節機構42により上下方向に延出操作することで、基板4のプレスヘッド5aに対する距離を調節自在に構成することが可能である。
また、ケーシング2の上部に、上下方向に伸縮自在に延出する延出部2’を設け、この延出部2’に基板4が連設した構造とすることで、基板4のプレスヘッド5aに対する距離を調節自在に構成することが可能である。
この電場形成手段43は、例えば、処理室70の上部に設けてある電極43aと、電極43aに接続された導線51と、処理容器3の底部に設けてある電極43bと、電極43bに接続された導線52と、導線51〜52を接続して電極43aと電極43bとの間の空間である処理室70に電場を形成できる電源部43cとを設けて構成してある。
尚、上述した衝突速度制御手段44も、形態としては搬送制御手段40に含まれる。すなわち、本発明の搬送制御手段40は、単に生成粉体Cを基板4まで搬送することのみを意味するのではなく、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を制御することをも含むものである。
上述した原料投入手段90は、粉体原料を微粒子生成手段50に連続して供給可能に構成できる。
これにより、ある粉体の原料を供給して微粒子生成処理をした後、或いは、微粒子生成処理を継続しつつ同じ粉体原料を続けて処理容器3内に供給して、当該粉体原料から生成した微粒子の膜を基板4の表面に形成できるため、連続運転が可能となる。
尚、原料投入手段90は、例えば、処理容器3内に当該粉体原料を供給できるように、出退自在に構成できる。
この加熱手段60は、基板4に粉体膜Fを形成した後、基板4を熱処理するように構成してある。これにより、成膜後に基板4を高温に保ってアニール(焼きなまし)することで、生成粉体Cを基板4に衝突させた場合等に生じた基板4の残留応力を除くことができる。そのため、歪の殆ど無い基板4を製造できる。
詳述すると、放電手段20は、ケーシング2に対して絶縁状態とされたプレスヘッド5aに接続された導線22と、ケーシング2に対して接続された導線23との間に、電源部21により電圧を印加する。そして、プレスヘッド5aの処理面5bと、ケーシング2に対して導通状態である処理容器3の堆積面3aとの間隙7に、グロー放電等により放電プラズマを発生させるように構成してある。よって、堆積面3aと処理面5bとの間隙7で機械的エネルギーが付与されている混合粉体mに対して、放電手段20により放電を行える。
また、放電手段20は、処理面3aに対して放電を行う部分をプレスヘッド5aの処理面5bとしたが、当該処理面5bとは別の放電部から処理面3aに対して放電を行う構成とすることができる。
つまり、当該超音波発生手段45により、基板4に直接超音波処理を施して基板4を振動させることができるため、生成粉体Cが基板4に付着する際に粉体膜Fの微粒子密度を制御できる。
シャッター手段81を適切なタイミングで開閉作動させることにより、基板4に対する生成粉体Cの付着開始時期および暴露時間を調節できる。従って、例えば、微粒子生成処理開始時は、シャッター手段81を閉状態に維持し、微粒子生成処理を一定時間行った後、シャッター手段81を開状態に切り替えることにより、粉砕途中の粒径の大きな生成粉体Cが基板4に付着するのを防止でき、また、シャッター手段81の開時期の調節により膜厚の制御を容易に行えるため、所望の特性を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
さらに、粉体膜形成装置Xには、処理容器3内で処理されている混合粉体mの処理状態を判定する微粒子状態判定手段29と、微粒子状態判定手段29の判定結果に基づいて、回転駆動手段16の動力を制御する動力制御手段30とが設けてある。
混合粉体mを反応させて合成した粉体である生成粉体Cは、いわゆるメカノケミカル法と呼ばれる方法により生成される。生成粉体Cの具体例として、電磁気材料等として利用されるペロブスカイト型酸化物について詳述する。
この混合粉体mに対して、上述した微粒子生成手段50により圧縮力及び剪断力等の機械的エネルギーを付与することで、その混合粉体mにおいて上記希土類金属酸化物Aと他金属材料Bとの固相反応を生じさせる。
これにより、LaMnO3(ランタンマンガン酸化物)、又は、そのLaMnO3中のLaの一部をSr(ストロンチウム)で置換したLa1−xSrxMnO3(ランタンストロンチウムマンガン酸化物:LSM)等のペロブスカイト型酸化物である生成粉体Cが生成できる。
そして、微粒子生成手段50により機械的エネルギーが付与されている混合粉体m1に対して水蒸気Sを供給する。これにより、その混合粉体m1に含まれる希土類金属酸化物Aの粉体表面の少なくとも一部がその水蒸気と反応して、機械的強度が低い(即ち脆性の)上記希土類金属の水酸化物である希土類金属水酸化物A’(例えばLa(OH)3)が生成される。
そして、微粒子生成手段50により機械的エネルギーが付与されている混合粉体m2に対して水蒸気Sを供給する。これにより、その他金属炭酸塩B2も、上記他金属酸化物B1と同様に作用して、ペロブスカイト型酸化物である生成粉体C2(例えば、La0.8Sr0.2MnO3(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)が生成される。
上述した実施形態において、基板4は、保持部材6に直接、あるいは保持部材6に設けた支持部材(図示省略)に取り付ける構成としてもよい。
つまり、保持部材6を高速度で回転させるほど、基板4に衝突する生成粉体Cと基板4との相対速度を高めることができ、粉体膜Fの密度を大きくすることができる。このように、保持部材6を任意に回転させることで、基板4の表面に形成される粉体膜Fの微粒子密度および比表面積を種々変更して、様々な性質を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
保持部材6を回転させる駆動機構は、例えば軸体15を二重構造として、処理容器3と保持部材6とを別個に回転させる構造とする。
また、基板4の保持部材6への取り付け位置を変更することで、微粒子生成手段50から基板4までの距離を調整して生成粉体Cの搬送状態を制御することができる。
上述した実施形態において、メカノケミカル法を適用し、複数の粉体原料を混合・複合化させて、生成粉体Cとして合成した粉体を粉体膜Fに形成する微粒子として利用した場合を例示したが、当該微粒子はこれに限られるものではない。例えば、単一材料からなる粉体の微粒子を粉体膜Fの形成に用いてもよい。
また、その他の微粒子として、ガラス基板等に付着させるBaTiO3,SnO2,TiO2等が適用できる。
m 粉体原料
C 微粒子
F 粉体膜
4 基板
4a 基板保持手段
20 放電手段
40 搬送制御手段
41 ガス流速制御機構
42 距離調節機構
43 電場形成機構
44 衝突速度制御手段
45 超音波発生手段
50 微粒子生成手段
60 加熱手段
70 処理室
Claims (10)
- 粉体原料に、機械的外力を付与して微粒子を生成する微粒子生成手段と、前記微粒子を付着させて表面に粉体膜を形成する基板を保持する基板保持手段と、前記微粒子生成手段および前記基板保持手段を内部に設けた処理室と、前記微粒子の基板への搬送状態を制御する搬送制御手段とを設けてある粉体膜形成装置。
- 前記機械的外力が、圧縮力および剪断力を含んだ外力である請求項1に記載の粉体膜形成装置。
- 前記微粒子の生成に際し、粉体原料に放電する放電手段を備えた請求項1又は2に記載の粉体膜形成装置。
- 前記搬送制御手段が、前記微粒子を前記微粒子生成手段から前記基板に移送するガス流速を制御するガス流速制御機構である請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
- 前記搬送制御手段が、前記微粒子生成手段と前記基板との距離を調節する距離調節機構である請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
- 前記搬送制御手段が、前記処理室の電場を制御する電場形成機構である請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
- 前記基板に衝突する前記微粒子の速度を制御する衝突速度制御手段を備えた請求項1〜6の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
- 前記基板の表面に粉体膜を形成するに際し、前記基板に超音波処理を施す超音波発生手段を備えた請求項1〜7の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
- 前記基板を加熱する加熱手段を備えた請求項1〜8の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
- 粉体原料に、機械的外力を付与して微粒子を生成し、前記微粒子の基板への搬送状態を制御して、前記基板の表面に前記微粒子を付着させて粉体膜を形成する粉体膜形成方法。
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