JP2006150160A - 粉体膜形成装置 - Google Patents

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牧男 内藤
Hiroya Abe
浩也 阿部
Kazuyoshi Sato
和好 佐藤
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清 野城
Takehisa Fukui
武久 福井
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HOSOKAWA FUNTAI GIJUTSU KENKYU
Hosokawa Powder Technology Research Institute
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Abstract

【課題】 粉体膜を形成するに際して特殊な制御や装置を必要とせず、かつ、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を迅速に形成できる粉体膜形成装置を提供する。
【解決手段】 粉体原料mに、機械的外力を付与して微粒子Cを生成する微粒子生成手段50と、微粒子Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板4を保持する基板保持手段4aと、微粒子生成手段50および基板保持手段4aを内部に設けた処理室70と、微粒子Cの基板4への搬送状態を制御する搬送制御手段40を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、微粒子を付着させて基板の表面に粉体膜を形成する粉体膜形成装置に関する。
基板の表面に微粒子を付着させて粉体膜を形成する際には、例えば、ナノメートルからマイクロメートルの領域の大きさを持った微粒子が利用される。このような微粒子を用いてポーラス構造(多孔質構造)の粉体膜を形成すると、比表面積が非常に大きくなり、例えば活性の高い触媒材料を得ることができる。
従来、粉体膜を形成する技術としては、気相プロセスとして、真空蒸発法・イオンプレーティング法・スパッタリング法・化学気相成長(CVD)法などの手法が知られていた。
真空蒸着法は、約10−2Pa以下の高真空中において、粉体膜の原料となる物質を加熱して蒸発させ、このとき生成した微粒子を基板上に付着・堆積させて膜を形成する方法である。この方法は簡便であるため、応用範囲が広く、広範に適用される。
イオンプレーティング法は、真空蒸着法を発展させた手法であり、イオンを用いた活性化蒸着を行う方法である。つまり、低圧化での放電により発生させた低温プラズマやイオンビームを利用する。この方法では、基板上に、数十ナノメートル以下の薄膜から数十マイクロメートルの厚膜まで形成可能となる。
スパッタリング法は、真空容器内に導入した不活性ガスをイオン化し、そのイオンをターゲットとなる固体試料表面に衝突させてターゲットの原子をはじき出し、当該原子を基板上に付着させて膜を形成する方法である。この方法では、プラズマやイオンビームを用いてスパッタリング現象を引き起こす。この方法は、薄膜形成技術として広範に適用される。
CVD法は、薄膜にしたい材料の構成元素を含む化合物を気化して原料ガスとし、この原料ガスを基板上に供給し、基板表面での化学反応により薄膜を形成する手法である。原料ガスは、熱やプラズマ等の作用により化学反応を起こす。この方法では多種類の薄膜を形成できる。
上述した気相プロセスにより粉体膜を形成する技術として、以下の問題点があった。
真空蒸着法は、高度な真空環境を作り出す真空装置を必要とする。また、原料物質を蒸発させるには、抵抗加熱・電子ビーム・アーク放電加熱・レーザ加熱等、原料物質を高温に加熱できる加熱装置が必要となる。
イオンプレーティング法は、真空蒸着法と同様に、原料物質を高温に加熱して蒸発させる加熱装置や、プラズマ又はイオンを発生させる装置が必要である。
スパッタリング法は、スパッタリング現象を引き起こす際に安定したプラズマやイオン源を供給する装置が必要となる。
CVD法は、化学反応を起こさせるエネルギーを付与する際、高温条件にしたり、原料ガスをプラズマ状態にする必要がある。また、膜厚の均一性などを考慮して減圧条件下とする等の圧力制御が行われている。
このように、上述した気相プロセスによる粉体膜形成技術では、真空・温度・圧力等の条件を特殊な条件にする制御が必要となる。さらに、イオンまたはプラズマ照射等を行える装置、つまり、設備費の嵩む特殊な装置が必要不可欠である。また、これらの方法では、一般的に成膜速度は極めて遅い。
一方、基板上に形成された粉体膜の活性度を高めるためには、比表面積を大きくする必要がある。そのため、基板上に付着させる微粒子の粒子サイズをできるだけ小さくする。例えば、粒子サイズが1〜100nm程度の所謂ナノ粒子が好適である。
しかし、ナノ粒子等の超微粒子は、浮遊粒子状態において微粒子同士が衝突することで容易に凝集する。このため、微粒子を生成した後に空間を浮遊させて基板へ移送し、粉体膜を形成しようとしても、微粒子が基板に到達する前に微粒子同士が凝集すると見かけの粒子サイズが大きくなる。そのため、粉体膜を構成する粒子サイズが安定せず、均質な粉体膜が形成できなくなり、その結果、当該粉体膜の比表面積を十分に大きくできないという問題点があった。
従って、本発明の目的は、粉体膜を形成するに際して特殊な制御や装置を必要とせず、かつ、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を迅速に形成できる粉体膜形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る粉体膜形成装置の第一特徴構成は、粉体原料に、機械的外力を付与して微粒子を生成する微粒子生成手段と、前記微粒子を付着させて表面に粉体膜を形成する基板を保持する基板保持手段と、前記微粒子生成手段および前記基板保持手段を内部に設けた処理室と、前記微粒子の基板への搬送状態を制御する搬送制御手段とを設けた点にある。
微粒子の生成直後において当該微粒子が空間に放出されたときには、微粒子同士はある程度離間した分散状態となっている。ここで、微粒子が浮遊する空間に乱流が生じる等すると、微粒子同士が接触あるいは衝突して微粒子同士の凝集が起こり、微粒子が基板に到達する前に見かけの粒子サイズが大きくなる。
そこで、本構成の装置では、生成した微粒子同士が接触等によって凝集することがないように、搬送制御手段により微粒子が基板に到達するまでの微粒子の搬送状態を制御できる。これにより、微粒子が分散している状態で各微粒子を基板に付着させることができる。
さらに、微粒子の生成方法や生成条件等により、基板に到達させるべき微粒子の搬送条件は異なるが、その都度最適な条件を導き出して当該最適条件に制御することで、基板に付着する際の粒子サイズを安定化し、均質な粉体膜を迅速に形成することができる。
つまり、上記第一特徴構成によれば、粉体膜を形成するに際して特殊な制御を行うことや特殊な装置を必要とせず、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を迅速に形成できる粉体膜形成装置が提供される。
本発明に係る粉体膜形成装置の第二特徴構成は、前記機械的外力が、圧縮力および剪断力を含んだ外力である点にある。
本特徴構成によれば、機械的外力を発生し得る装置により、粉体原料に直接圧縮力および剪断力を含んだ機械的外力を作用させて微粒子を生成できる。そのため、粉体原料を効率よく微粒子化することができる。例えば、数種の粉体からなる混合粉体を粉体原料として粉砕処理すると共に、これら数種の粉体を合成して新たな生成粉体を得て、この生成粉体(合成粉体)の膜を基板上に形成する場合、本構成であれば、粉体原料に直接圧縮力および剪断力を含む機械的外力を付与できるため、粉体同士の合成を促進して効率よく粉体膜を形成できる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第三特徴構成は、前記微粒子の生成に際し、粉体原料に放電する放電手段を備えた点にある。
本特徴構成によれば、粉体原料に放電することで当該粉体原料を活性化できる。例えば、数種の粉体からなる混合粉体を粉体原料として粉砕処理すると共に、これら数種の粉体を合成して新たな生成粉体を得て、この生成粉体(合成粉体)の膜を基板上に形成する場合、放電により粉体原料を活性化させることができる。このため、数種の粉体同士の合成を促進させ、短時間で生成粉体の微粒子を生成して効率よく粉体膜を形成できる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第四特徴構成は、前記搬送制御手段が、前記微粒子を前記微粒子生成手段から前記基板に移送するガス流速を制御するガス流速制御機構である点にある。
本特徴構成の装置は、生成された微粒子が放出される空間に、ガスを供給して微粒子を基板に導くものである。このとき、ガス流速を種々変更することで、微粒子が基板に到達する時間を制御できると共に気流の流れ状態を調節して、微粒子の基板への搬送状態を制御できる。その結果、ガス流速の調整によって、微粒子同士の凝集を抑制しつつ、微粒子の基板への付着速度および付着強度を調整できる。
例えば、微粒子が浮遊する空間に乱流が生じない程度のガス流速を容易に設定できることから、微粒子同士の凝集を抑えつつ微粒子を基板に到達させることができ、均質な粉体膜を形成することができる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第五特徴構成は、前記搬送制御手段が、前記微粒子生成手段と前記基板との距離を調節する距離調節機構である点にある。
本特徴構成の装置は、生成された微粒子が基板に到達するまでの距離に応じて微粒子の搬送状態が変化する場合に、この基板までの距離を変更して微粒子の搬送状態を制御するものである。その結果、簡単な構成で微粒子の基板への搬送状態を制御でき、均質な粉体膜を形成できる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第六特徴構成は、前記搬送制御手段が、前記処理室の電場を制御する電場形成機構である点にある。
空間に浮遊する微粒子は、通常、種々の原因によって帯電している。そのため、本特徴構成のように、微粒子の帯電状態に応じて電場を付与すると、微粒子を基板に電気的に誘引できる。そして、当該電場を制御することで、微粒子の基板への搬送状態を制御できる。その結果、電場の調整によって、微粒子同士の凝集を抑制しつつ、微粒子同士の基板への付着速度および付着強度を調整できる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第七特徴構成は、前記基板に衝突する前記微粒子の速度を制御する衝突速度制御手段を備えた点にある。
本特徴構成のように、基板に衝突する微粒子の速度を制御することで、基板表面に形成される粉体膜の微粒子密度を種々変更し、比表面積を自在に変化させることができる。従って、種々の性質を有する粉体膜を容易に形成できる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第八特徴構成は、前記基板の表面に粉体膜を形成するに際し、前記基板に超音波処理を施す超音波発生手段を備えた点にある。
本特徴構成によれば、超音波発生手段により基板に直接超音波処理を施して基板を振動させることができるため、微粒子が基板に付着する際に微粒子密度の均一な粉体膜を形成できる。
また、超音波処理条件により粉体膜の微粒子密度を制御できる。例えば、超音波処理の時間・周波数・振幅(強度)等の条件を調整することで、緻密な、或いは、多孔質の粉体膜を得ることができる。
本発明に係る粉体膜形成装置の第九特徴構成は、前記基板を加熱する加熱手段を備えた点にある。
本特徴構成によれば、例えば、基板に粉体膜を形成した後、基板を熱処理することができる。このとき、成膜後に基板を高温に保ってアニール(焼きなまし)することで、微粒子を基板に衝突させた場合等に生じた基板の残留応力を除くことができる。そのため、歪の殆ど無い基板を製造できる。
本発明に係る粉体膜形成方法の特徴構成は、粉体原料に、機械的外力を付与して微粒子を生成し、前記微粒子の基板への搬送状態を制御して、前記基板の表面に前記微粒子を付着させて粉体膜を形成する点にある。
微粒子の生成直後において当該微粒子が空間に放出されたときには、微粒子同士はある程度離間した分散状態となっている。ここで、微粒子が浮遊する空間に乱流が生じる等すると、微粒子同士が接触あるいは衝突して微粒子同士の凝集が起こり、微粒子が基板に到達する前に見かけの粒子サイズが大きくなる。
そこで、本構成の方法では、生成した微粒子同士が接触等によって凝集することがないように、微粒子が基板に到達するまでの微粒子の搬送状態を制御する。これにより、微粒子が分散している状態で各微粒子を基板に付着させることができる。
さらに、微粒子の生成方法や生成条件等により、基板に到達させるべき微粒子の搬送条件は異なるが、その都度最適な条件を導き出して、当該最適条件に制御することで、基板に付着する際の粒子サイズを安定化し、均質な粉体膜を迅速に形成することができる。
つまり、本特徴構成によれば、粉体膜を形成するに際して特殊な制御を行うことや特殊な装置を必要とせず、極めて微小なサイズの粒子を用いて基板表面に均質な粉体膜を迅速に形成できる粉体膜形成方法が提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の粉体膜形成装置では、例えば、センサや燃料電池等の電極形成用の基板表面に、ナノサイズの微粒子を付着させてポーラス構造(多孔質構造)の粉体膜を形成することができる。
当該微粒子としては、各種の微粒子を用いることができる。例えば、微粒子の材料となる塊状の固体に、圧縮力・剪断力・衝撃力等の機械的外力を付与して形成した微粒子を用いることができる。
また、微粒子の核となる物質の周りに微粒子材料を付着あるいは結合させ、ある程度のサイズに成長させた微粒子を用いても良い。当該微粒子は、単一材料からなるものでも、複数の材料を合成して生成した微粒子であってもよい。
機械的外力を発生し得る装置としては、公知の装置が適用できるが、例えば、混合機・撹拌器・粉砕機・磨砕機等の装置の他、擂潰機や乳鉢等が例示される。
また、粉砕用媒体としてボールやビーズ等を用いる転動型・振動型・遊星型・媒体攪拌型等のボールミル装置、および、ロールミル装置も適用できる。さらに、粉砕・混合・複合化・乾燥等の処理により微粒子を生成できる装置や微粒子発生装置等と組み合わせることも可能である。
本実施形態では、微粒子生成手段の一例として、例えば燃料電池の電極材料を形成するための微粒子、即ち、希土類金属酸化物の粉体と、希土類金属ではない他金属の酸化物又は炭酸塩の粉体とを混合してなる混合粉体を粉体原料とし、この混合粉体を粉砕処理すると共に、互いに合成させて生成粉体を得る場合について説明する。
〔粉体膜形成装置〕
図1に示したように、本発明に係る粉体膜形成装置Xは、基台1に設置された略円筒形状のケーシング2と、このケーシング2の内部に配置され筒軸心を中心に回転自在な有底略円筒状の処理容器3と、処理容器3の内部に配置されケーシング2側に保持されたプレスヘッド5aとが設けてある。尚、後述するように、処理容器3の内周面である堆積面3aとプレスヘッド5a等により微粒子生成手段50が構成される。また、粉体膜形成装置Xは、微粒子(生成粉体)Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板4を保持する基板保持手段4aと、微粒子生成手段50および基板保持手段4aを内部に設けた処理室70等を備える。
さらに、本発明における粉体膜形成装置Xは、生成粉体Cの基板への搬送状態を制御する搬送制御手段40を備える。
以下、各部材について詳述する。
(処理容器)
処理容器3は、ケーシング2に軸受けされた軸体15に固定され、その軸体15の軸心周りに回転自在に構成してある。処理容器3の内周面は、原料投入手段90から供給される粉体原料である混合粉体mが堆積する堆積面3aとなっている。当該堆積面3aには、遠心力により粉体の堆積層が形成・保持される。
また、処理容器3の底部側に間隔をおいて複数の開口部9が形成してあると共に、処理容器3の外側面の底部付近には攪拌羽根10が複数設けてある。処理容器3が回転するに伴いこれら攪拌羽根10が回転し、開口部9から排出されて処理容器3の外周付近に存在する混合粉体mを攪拌羽根10の回転により生じた風圧で舞い上げることができる。
原料投入手段90からケーシング2内に投入された混合粉体mは、直接処理容器3内に供給されるか、或いは、処理容器3の外側空間に供給され、攪拌羽根10によって舞い上げられた後、処理容器3の上方開口から処理容器3内に供給される、循環型とすることができる。
尚、攪拌羽根10の回転によって、生成粉体Cが基板4へ向かう気流の流れを乱さないようにするため、処理容器3の外側空間の上部を覆うカバー83を処理容器3の外側空間の上方に設ける。但し、処理容器3の開口部9および攪拌羽根10を設けない非循環型の場合は、当該カバー83は設けない。
さらに、処理容器3とケーシング2との間には、ジャケット84を設けることが可能である。このジャケット84は、処理容器3内の温度を最適な温度に保つため、加熱或いは冷却自在に設定できる処理水等を流通させる。
(微粒子生成手段)
生成粉体Cは、混合粉体mに圧縮力・剪断力・衝撃力等の機械的外力を付与することで固相反応を生じさせ、合成した粉体を生成するメカノケミカル法と呼ばれる方法により生成される。これは、当該混合粉体mに対して、粉砕・精密混合・粒子複合化・粒子間固相反応等の処理を行うのに必要な機械的エネルギーを与え、複数の粉体を複合化かつ活性化させるメカノケミカル効果を利用する手法である。
本実施例の場合、微粒子生成手段50は、混合粉体mを粉砕して微粒子Cを生成するために、混合粉体mに対して、圧縮力・剪断力・衝撃力等の機械的エネルギーを直接付与できる部材を含んで構成してある。つまり、本実施例では、微粒子生成手段50は、処理容器3の内周面である堆積面3aと、当該堆積面3aに対して微小間隔を維持するように配置されたプレスヘッド5aとにより構成してある。当該プレスヘッド5aは、保持部材6およびブラケット31によりケーシング2に固定してある。また、プレスヘッド5aの先端部には、堆積面3aに対向して凸状に湾曲した処理面5bが形成してある。
ここで、粉体膜形成装置Xには、軸体15を回転駆動するモータ、プーリー、及び、ベルト等からなる回転駆動手段16が設けてある。回転駆動手段16は、軸体15を回転駆動することで、処理容器3をケーシング2に固定されたプレスヘッド5aに対して相対回転させる。そして、処理容器3の内周面である堆積面3aに対し、プレスヘッド5aの処理面5bを、堆積面3aに沿うように相対移動させる。
このように、プレスヘッド5aの処理面5bを堆積面3aに対して相対移動させることで、堆積面3aと処理面5bとの間隙7にある混合粉体mに対して、非常に強力な圧縮力と剪断力との機械的エネルギーを付与し、粉体を磨砕して微粉化し、或いは、複数の粉体を複合化した微粒子である生成粉体Cが生成される。この生成粉体Cの生成過程については後述する。
生成した生成粉体Cは、処理室70の内部空間を上部の基板4に向かって浮遊する。
(基板保持手段)
基板保持手段4aは、生成粉体Cを付着させて表面に粉体膜Fを形成する基板4を保持する。
本発明の粉体膜形成装置Xでは、成膜に高温を必要としないため基板4の材質が限定されない。従って、基板4は、例えば電極を構成する銅等の金属基板、ガラス基板、プラスチック基板、樹脂基板、セラミックス基板、及び、弱熱性基板等、種々の材料を基板材料として適用できる。
基板4の表面には、生成粉体Cが、ファンデルワールス力・静電気力・融着・焼結および化学結合する等して付着している。そのため、所望の付着状態が得られるように基板材料を選択することが可能である。
このような基板4は、基板保持手段である基板保持部材4aに保持され、処理室70の内部における上部空間に配設してある。
本実施例では、基板保持部材4aに四つの基板4を配設した態様を例示(図1〜2)してある。しかし、これに限られるものではなく、基板保持部材4aに一つの基板4を配設してもよい。基板保持部材4aは、棒状部材により、或いは、網状又は多孔状の板部材により、基板4を保持することが可能である。このように構成することで、基板保持部材4aの後方にスムーズに気流を流す事ができるため、処理容器3から基板4への気流も安定する。
また、生成粉体Cが生成された直後に基板4に生成粉体Cを付着させる場合には、基板4の設置位置を、プレスヘッド5aの真上に設けてもよい。
尚、基板4は、単に基板保持部材4aに固定して保持する構成としてもよいが、これに限らず、以下のようにすることが可能である。
例えば、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を制御する衝突速度制御手段44を設け、この衝突速度制御手段44は、例えば、基板保持部材4aを回転させる回転機構44aと、基板4の角度を変更可能な角度変更機構44bとを備えるように構成する。
回転機構44aは、基板4を保持した基板保持部材4aに接続された回転軸42a、および回転軸42aを回転させるモータMO等からなる装置である。生成粉体Cが基板4に衝突する速度は、例えば図1において生成粉体Cが基板4に垂直方向上方に接近する速度と、基板4の周速度との合成速度となる。よって、モータMOの回転速度を増減することで、生成粉体Cが基板4に衝突する速度を調節することができる。
また、角度変更機構44bは、基板4の設置角度を変更する装置である。基板4の設置角度を変更することにより、生成粉体Cが基板4に衝突する際の基板4に対する垂直速度成分が変わる。例えば、基板4を傾斜させるとともに、基板4を保持した基板保持部材4aの回転方向を、生成粉体Cの付着面が回転方向の後方に位置するように基板4を回転させる。このとき、基板4の傾斜角度を垂直方向に近付けるほど、および、モータMOの回転速度を高めるほど、基板4の表面に対して垂直な方向における生成粉体Cの衝突速度を小さくできる。通常、当該衝突速度を高めると、形成される粉体膜Fの密度は大きくなり、比表面積は小さくなる。逆に、当該衝突速度を低めると、形成される粉体膜Fの密度は小さくなり、比表面積は大きくなる。
このように、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を制御できるため、基板4の表面に形成される粉体膜Fの微粒子密度および比表面積を種々変更して、種々の性質を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
(搬送制御手段)
本発明の粉体膜形成装置Xは、生成粉体Cの基板への搬送状態を制御する搬送制御手段40を備える。
生成粉体Cの生成直後において当該生成粉体Cが処理室70に放出されたときには、生成粉体C同士はある程度離間した分散状態となっている。本構成では、この搬送制御手段40により、生成粉体Cの基板への搬送状態を制御する。これにより、生成粉体Cが分散している状態で当該生成粉体Cを基板4に付着させることができる。
生成粉体Cの生成方法や生成条件等により、生成粉体Cの粒度や活性状態が異なるため、基板4に到達させるべき生成粉体Cの搬送条件は異なるが、その都度最適な搬送条件を導き出して当該最適条件に制御することで、基板4に付着する際の粒子サイズを安定化し、均質な粉体膜Fを形成することができる。
搬送制御手段40は、例えば、生成粉体Cを処理容器3から基板4に移送するガス流速を制御するガス流速制御機構41により構成する。
このガス流速制御機構41は、例えば、種々の気体(例えば、窒素ガスなどの不活性気体)を封入してこの気体を処理室70に供給可能なガスボンベ41aと、処理室70の内部空間の気体を吸引する真空ポンプ41b等を組み合わせて構成する。
ガスボンベ41aによるガスの供給は、例えばケーシング2の側方から複数箇所で行う。或いは、前記軸体15にガス通路を設け、処理容器3内にガスを供給することも可能である。
そして、供給されたガスは処理室70を経由した後、例えばケーシング2の上方の複数箇所のガス流出口46から真空ポンプ41bにより排気される。このとき、基板4に付着しなかった生成粉体Cは、ガスと共に排出される。ガス流出口46にフィルタ80を設けた場合、或いは、ガス流出口46と真空ポンプ41bの間に捕集器(図外)を設けた場合
は、このフィルタ80あるいは捕集器によりそれぞれ捕集される。
また、ガス流出口46と基板保持部材4aとの間には、層流を形成するため、多孔板やフィルタ等の整流手段82を設けることが可能である。これにより、基板保持部材4a付近のガスの流れを整えることができる。さらに、ガス流出口46と整流手段82との間には、空間を横方向に仕切る複数の仕切板(図外)を、ガス流の流れ方向に沿った状態で設けることが可能である。これにより、整流手段82からガス流出口46に向かうガスの流れを整流して、基板保持部材4a付近のガスの流れをより一層確実に整えることができる。
ガス流速は、ガスボンベ41aからのガス圧を種々変更することで制御する。これにより、生成粉体Cが基板4に到達する時間を制御できると共に気流の流れ状態を調節して、生成粉体Cの基板4への搬送状態を制御できる。その結果、ガス流速の調整によって、生成粉体C同士の凝集を抑制しつつ、生成粉体Cの基板4への付着速度および付着強度を調整できる。
そのため、簡易な装置で構成できるガス流速制御装置を用いて、基板4までの生成粉体Cの搬送状態を容易かつ安価に設定できる。また、この粉体膜Fの形成の途中でガスの供給条件を変更することにより、微粒子密度の異なる複数層の膜を形成できる。
また、搬送制御手段40を、処理容器3と基板4との距離を調節する距離調節機構42とすることが可能である。
具体的には、図1に示したように、基板保持部材4aを、上下方向に伸縮自在に構成してある延出軸(例えば回転軸42a)と接続し、当該延出軸を距離調節機構42により上下方向に延出操作することで、基板4のプレスヘッド5aに対する距離を調節自在に構成することが可能である。
また、ケーシング2の上部に、上下方向に伸縮自在に延出する延出部2’を設け、この延出部2’に基板4が連設した構造とすることで、基板4のプレスヘッド5aに対する距離を調節自在に構成することが可能である。
この距離調節機構42によると、生成された生成粉体Cが基板4に到達するまでの距離を変更するだけの簡単な構成で、生成粉体Cが基板4に到達する時間を変更して、生成粉体Cの基板4への搬送状態を制御することができ、均質な粉体膜Fを形成できる。
さらに、搬送制御手段40を、処理室70の電場を制御する電場形成機構43とすることが可能である。
この電場形成手段43は、例えば、処理室70の上部に設けてある電極43aと、電極43aに接続された導線51と、処理容器3の底部に設けてある電極43bと、電極43bに接続された導線52と、導線51〜52を接続して電極43aと電極43bとの間の空間である処理室70に電場を形成できる電源部43cとを設けて構成してある。
処理室70に浮遊する生成粉体Cは、通常、種々の原因によって帯電している。そのため、生成粉体Cの帯電状態に応じて電場を付与すると、生成粉体Cを基板4に電気的に誘引できる。そして、当該電場を制御することで、生成粉体Cの基板4への搬送状態を制御できる。その結果、電場の調整によって、生成粉体C同士の凝集を抑制しつつ、生成粉体C同士の基板4への付着速度および付着強度を調整できる。
本発明の粉体膜形成装置Xでは、上述したようにガス流速制御機構41、距離調節機構42、電場形成機構43で例示される搬送制御手段40を、少なくとも何れか一つ備えるように構成する。
尚、上述した衝突速度制御手段44も、形態としては搬送制御手段40に含まれる。すなわち、本発明の搬送制御手段40は、単に生成粉体Cを基板4まで搬送することのみを意味するのではなく、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を制御することをも含むものである。
(その他の構成)
上述した原料投入手段90は、粉体原料を微粒子生成手段50に連続して供給可能に構成できる。
これにより、ある粉体の原料を供給して微粒子生成処理をした後、或いは、微粒子生成処理を継続しつつ同じ粉体原料を続けて処理容器3内に供給して、当該粉体原料から生成した微粒子の膜を基板4の表面に形成できるため、連続運転が可能となる。
また、ある粉体原料を供給して微粒子生成処理を行い、基板4の表面に膜形成した後に、別の異なる物質あるいは粒径の異なる粉体原料を供給して微粒子生成処理を行い、基板4の表面に膜形成すると、基板4の表面に複数層の異なる材料からなる粉体膜Fを形成できる。例えば、基板4に生成粉体Cを付着し易くするためのプライマー膜を形成する粉体原料を、原料投入手段90から投入して微粒子化処理する。そして、基板4にプライマー膜を形成した後、粉体原料を当該原料投入手段90から投入し、微粒子化処理して生成した生成粉体Cを基板4に付着させることで、プライマー膜に生成粉体Cが積層した粉体膜Fが形成できる。このように、様々な材料による組み合わせが可能となり、様々な種類の粉体膜Fを形成できる。
尚、原料投入手段90は、例えば、処理容器3内に当該粉体原料を供給できるように、出退自在に構成できる。
また、粉体膜形成装置Xには、基板4を加熱する加熱手段60を備えることができる。
この加熱手段60は、基板4に粉体膜Fを形成した後、基板4を熱処理するように構成してある。これにより、成膜後に基板4を高温に保ってアニール(焼きなまし)することで、生成粉体Cを基板4に衝突させた場合等に生じた基板4の残留応力を除くことができる。そのため、歪の殆ど無い基板4を製造できる。
さらに、粉体膜形成装置Xには、混合粉体mに放電する放電手段20が設けてある。当該放電手段20は、例えば、堆積面3aに対向配置された放電部としての処理面5bから堆積面3aに堆積している混合粉体mに放電可能に構成してある。
詳述すると、放電手段20は、ケーシング2に対して絶縁状態とされたプレスヘッド5aに接続された導線22と、ケーシング2に対して接続された導線23との間に、電源部21により電圧を印加する。そして、プレスヘッド5aの処理面5bと、ケーシング2に対して導通状態である処理容器3の堆積面3aとの間隙7に、グロー放電等により放電プラズマを発生させるように構成してある。よって、堆積面3aと処理面5bとの間隙7で機械的エネルギーが付与されている混合粉体mに対して、放電手段20により放電を行える。
これにより、堆積面3aと処理面5bとの間隙7で混合粉体mに対して機械的エネルギーを付与しながら、放電手段20により混合粉体mに対して放電を行い、粉体粒子の表面を活性化できる。例えば、粉体原料が希土類金属の場合、或いは、希土類金属を含む粉体原料の場合、希土類金属の粉体を一層高活性化することができる。このとき、希土類金属の粉体と他金属の粉体とを短時間で固相反応させて、生成粉体Cを効率よく生成することができる。
尚、この放電手段20により放電を行う場合には、堆積面3a及び処理面5bを、混合粉体mと同じ材料等でコーティングすることで、堆積面3a及び処理面5bのエッチングによる汚染を抑制することができる。
また、放電手段20は、処理面3aに対して放電を行う部分をプレスヘッド5aの処理面5bとしたが、当該処理面5bとは別の放電部から処理面3aに対して放電を行う構成とすることができる。
粉体膜形成装置Xには、基板4の表面に粉体膜Fを形成するに際し、基板4に超音波処理を施す超音波発生手段45を備えることができる。
つまり、当該超音波発生手段45により、基板4に直接超音波処理を施して基板4を振動させることができるため、生成粉体Cが基板4に付着する際に粉体膜Fの微粒子密度を制御できる。
また、生成した生成粉体Cが基板4に到達するまでの領域に、基板4が生成粉体Cに曝されるタイミングおよび時間を制御するシャッター手段81を設けることが可能である。
シャッター手段81を適切なタイミングで開閉作動させることにより、基板4に対する生成粉体Cの付着開始時期および暴露時間を調節できる。従って、例えば、微粒子生成処理開始時は、シャッター手段81を閉状態に維持し、微粒子生成処理を一定時間行った後、シャッター手段81を開状態に切り替えることにより、粉砕途中の粒径の大きな生成粉体Cが基板4に付着するのを防止でき、また、シャッター手段81の開時期の調節により膜厚の制御を容易に行えるため、所望の特性を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
また、処理容器3の内部に水蒸気Sを供給可能な水蒸気供給手段24を設けることができる。具体的には、バブリング装置等の水蒸気発生装置25と、その水蒸気発生装置25で発生した水蒸気Sを処理容器3の内部に供給する供給管26とを設けることが可能である。さらに、処理容器3内の水蒸気分圧を検出すると共に、その検出される水蒸気分圧が所望の目標水蒸気分圧になるように、水蒸気発生装置25の水蒸気発生量を制御する水蒸気分圧制御装置27を設ける。これらの装置により、処理容器3内の水蒸気分圧を、飽和水蒸気圧以下の範囲内において好適な水蒸気分圧に維持することができる。後述するように、生成粉体Cを生成する際に、堆積面3aに堆積している混合粉体mに対して、プレスヘッド5aにより機械的エネルギーを付与しながら、水蒸気供給手段24により水蒸気Sを供給して、生成粉体Cを生成できる。この生成粉体Cの生成過程については後述する。
さらに、粉体膜形成装置Xには、処理容器3内で処理されている混合粉体mの処理状態を判定する微粒子状態判定手段29と、微粒子状態判定手段29の判定結果に基づいて、回転駆動手段16の動力を制御する動力制御手段30とが設けてある。
微粒子状態判定手段29は、処理容器3の内部で機械的作用が加えられる混合粉体mの処理状態が進行するほど、混合粉体mの比表面積が大きくなり、処理面5bと堆積面3aとの相対移動における抵抗が大きくなることを利用する。そして、軸体15の回転数や軸体15にかかるトルクが所定値以上に大きくなった場合に、混合粉体mの処理状態が所望の微粒子状態に達したと判定するように構成してある。
動力制御手段30は、微粒子状態判定手段29が混合粉体mの処理状態が所望の微粒子状態に達したと判定したときに、回転駆動手段16の動力を低減させることで、処理面5bと堆積面3aとの相対移動速度を低下させるように構成してある。
尚、微粒子状態判定手段29は、混合粉体mの処理状態が進行するほど、混合粉体mの比表面積が大きくなって、摩擦熱の発生量が大きくなることを利用して、混合粉体mの温度が所定値以上に高くなった場合に、混合粉体mの処理状態が所望の微粒子状態に達したと判定するように構成することが可能である。
〔生成粉体〕
混合粉体mを反応させて合成した粉体である生成粉体Cは、いわゆるメカノケミカル法と呼ばれる方法により生成される。生成粉体Cの具体例として、電磁気材料等として利用されるペロブスカイト型酸化物について詳述する。
図3に示すように、生成粉体Cは、例えば、La(ランタン)等から選択される一種以上の希土類金属酸化物Aの粉体と他金属材料Bの粉体とを混合してなる混合粉体mを原料として生成される。ここで、他金属材料Bは、Mn(マンガン)等の他金属の酸化物、または、Sr(ストロンチウム)等の他金属の炭酸塩を例示する。
この混合粉体mに対して、上述した微粒子生成手段50により圧縮力及び剪断力等の機械的エネルギーを付与することで、その混合粉体mにおいて上記希土類金属酸化物Aと他金属材料Bとの固相反応を生じさせる。
これにより、LaMnO(ランタンマンガン酸化物)、又は、そのLaMnO中のLaの一部をSr(ストロンチウム)で置換したLa1−xSrMnO(ランタンストロンチウムマンガン酸化物:LSM)等のペロブスカイト型酸化物である生成粉体Cが生成できる。
微粒子生成手段50において、混合粉体mが堆積する堆積面3aに対し、堆積面3aに対向配置され凸状に湾曲する処理面5bを堆積面3aに沿うように相対移動させる。これにより、堆積面3aと処理面5bとの間隙で、混合粉体mに対して機械的エネルギーとしての圧縮力と剪断力とを付与できる。
また、上述した機械的エネルギーが付与されている混合粉体mに対して水蒸気Sを供給すると、希土類金属酸化物Aと他金属材料Bとを良好に固相反応させ、短時間で比表面積が非常に大きい生成粉体Cを生成することができる。以下に、混合粉体mに水蒸気を供給した場合における生成粉体Cの生成過程を説明する。
図4に示すように、混合粉体m1は、希土類金属酸化物A(例えばLa(酸化ランタン))の粉体と、他金属材料Bとして、他金属(例えば、Mn(マンガン))の酸化物である他金属酸化物B1(例えば、Mn(酸化マンガン))の粉体とを混合してなる。
そして、微粒子生成手段50により機械的エネルギーが付与されている混合粉体m1に対して水蒸気Sを供給する。これにより、その混合粉体m1に含まれる希土類金属酸化物Aの粉体表面の少なくとも一部がその水蒸気と反応して、機械的強度が低い(即ち脆性の)上記希土類金属の水酸化物である希土類金属水酸化物A’(例えばLa(OH))が生成される。
そして、希土類金属酸化物Aの粉体表面に生成された希土類金属水酸化物A’が、他金属酸化物B1又は他の希土類金属酸化物Aの粉体との間で圧縮力及び剪断力の機械的エネルギーが付与されることにより粉砕される。このような希土類金属水酸化物A’の生成及び粉砕、更には脱水が繰り返されることで、希土類金属水酸化物A’は高活性化且つ微細化して他金属酸化物B1と良好に固相反応する。そして、ペロブスカイト型酸化物である生成粉体C1(例えば、LaMnO(ランタンマンガン酸化物))が生成される。
さらに、図5に示すように、混合粉体m2は、上述した混合粉体m1に、別の他金属材料Bとして別の他金属(例えば、Sr(ストロンチウム))の炭酸塩である他金属炭酸塩B2(例えば、SrCO(炭酸ストロンチウム))の粉体を更に加えてある。
そして、微粒子生成手段50により機械的エネルギーが付与されている混合粉体m2に対して水蒸気Sを供給する。これにより、その他金属炭酸塩B2も、上記他金属酸化物B1と同様に作用して、ペロブスカイト型酸化物である生成粉体C2(例えば、La0.8Sr0.2MnO(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)が生成される。
また、上記希土類金属酸化物Aとなる希土類金属としては、La以外に、Ce(セリウム)・Pr(プラセオジム)・Nd(ネオジム)・Sm(サマリウム)・Eu(ユウロピウム)・Gd(ガドリニウム)・Yb(イッテルビウム)・Lu(ルテチウム)・Y(イットリウム)・Sc(スカンジウム)を利用した場合であっても、類似のペロブスカイト型酸化物を生成できる。
〔別実施の形態1〕
上述した実施形態において、基板4は、保持部材6に直接、あるいは保持部材6に設けた支持部材(図示省略)に取り付ける構成としてもよい。
また、保持部材6とケーシング2とを接続するブラケット31を取り除き、保持部材6を別の駆動機構(図示省略)に接続して、保持部材6を処理容器3と同方向または逆方向に任意の回転数を以って回転させる構成としてもよい。この構成により、微粒子生成手段50により生成された生成粉体Cが保持部材6に取付けた基板4の表面に衝突して付着する際に、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を制御することができる。
つまり、保持部材6を高速度で回転させるほど、基板4に衝突する生成粉体Cと基板4との相対速度を高めることができ、粉体膜Fの密度を大きくすることができる。このように、保持部材6を任意に回転させることで、基板4の表面に形成される粉体膜Fの微粒子密度および比表面積を種々変更して、様々な性質を有する粉体膜Fを容易に形成できる。
保持部材6を回転させる駆動機構は、例えば軸体15を二重構造として、処理容器3と保持部材6とを別個に回転させる構造とする。
さらに、基板4の保持部材6への取り付け角度を変更することで、基板4に衝突する生成粉体Cの速度を変更することもできる。
また、基板4の保持部材6への取り付け位置を変更することで、微粒子生成手段50から基板4までの距離を調整して生成粉体Cの搬送状態を制御することができる。
〔別実施の形態2〕
上述した実施形態において、メカノケミカル法を適用し、複数の粉体原料を混合・複合化させて、生成粉体Cとして合成した粉体を粉体膜Fに形成する微粒子として利用した場合を例示したが、当該微粒子はこれに限られるものではない。例えば、単一材料からなる粉体の微粒子を粉体膜Fの形成に用いてもよい。
また、その他の微粒子として、ガラス基板等に付着させるBaTiO,SnO,TiO等が適用できる。
本発明の粉体膜形成装置は、粉体原料に、機械的外力を付与して生成した微粒子を、電極等の基板に付着させて粉体膜を形成する成膜装置として適用できる。
本発明における粉体膜形成装置の全体構成図 本発明における粉体膜形成装置の基板付近の要部概略図 本発明の装置を用いた微粒子生成の過程を示す図 本発明の装置により生成される微粒子を説明する図 本発明の装置により生成される別の微粒子を説明する図
符号の説明
X 粉体膜形成装置
m 粉体原料
C 微粒子
F 粉体膜
4 基板
4a 基板保持手段
20 放電手段
40 搬送制御手段
41 ガス流速制御機構
42 距離調節機構
43 電場形成機構
44 衝突速度制御手段
45 超音波発生手段
50 微粒子生成手段
60 加熱手段
70 処理室

Claims (10)

  1. 粉体原料に、機械的外力を付与して微粒子を生成する微粒子生成手段と、前記微粒子を付着させて表面に粉体膜を形成する基板を保持する基板保持手段と、前記微粒子生成手段および前記基板保持手段を内部に設けた処理室と、前記微粒子の基板への搬送状態を制御する搬送制御手段とを設けてある粉体膜形成装置。
  2. 前記機械的外力が、圧縮力および剪断力を含んだ外力である請求項1に記載の粉体膜形成装置。
  3. 前記微粒子の生成に際し、粉体原料に放電する放電手段を備えた請求項1又は2に記載の粉体膜形成装置。
  4. 前記搬送制御手段が、前記微粒子を前記微粒子生成手段から前記基板に移送するガス流速を制御するガス流速制御機構である請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
  5. 前記搬送制御手段が、前記微粒子生成手段と前記基板との距離を調節する距離調節機構である請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
  6. 前記搬送制御手段が、前記処理室の電場を制御する電場形成機構である請求項1〜3の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
  7. 前記基板に衝突する前記微粒子の速度を制御する衝突速度制御手段を備えた請求項1〜6の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
  8. 前記基板の表面に粉体膜を形成するに際し、前記基板に超音波処理を施す超音波発生手段を備えた請求項1〜7の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
  9. 前記基板を加熱する加熱手段を備えた請求項1〜8の何れか一項に記載の粉体膜形成装置。
  10. 粉体原料に、機械的外力を付与して微粒子を生成し、前記微粒子の基板への搬送状態を制御して、前記基板の表面に前記微粒子を付着させて粉体膜を形成する粉体膜形成方法。
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