JP2006147937A - 圧電素子及び液体制御用圧電装置 - Google Patents

圧電素子及び液体制御用圧電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 圧電層の変位を液体に伝達する場合に、液体の流れのばらつきや液体のリークを抑えることができる圧電素子及び液体制御用圧電装置を提供する。
【解決手段】 液体制御用圧電装置1は、圧電素子2と、この圧電素子2の下面2aに接合された液体流通部3とを備えている。圧電素子2は、複数の圧電層4と、各圧電層4を挟むように形成され、各圧電層4を変位させる複数の電極層5A及び複数の電極層5Bと、積層構造の各圧電層4に対して最下側の電極層5Bを挟んで積層されるように形成され、液体流通体3の内部を流通する液体に圧電層4の変位を伝える変位伝達層6とを有している。圧電素子2の下面(変位伝達層6の外側の面)2aの十点平均粗さRzは、5μm以下となっている。液体流通部3は、圧電層4の変位が伝達される液体を収容するための複数の液室23を有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電圧の印加により変位を生じる圧電素子及び液体制御用圧電装置に関するものである。
従来の圧電素子としては、例えば特許文献1に記載されている圧電アクチュエータが知られている。この文献に記載の圧電アクチュエータは、圧電基板と、この圧電基板の内部に設けられた内部電極と、圧電基板の一面に設けられた表面電極とを有し、圧電基板と表面電極との間に電圧を印加することで、圧電基板と表面電極とに挟持された圧電振動層を変位させるものである。
特開2004−179265号公報
上記従来技術の圧電アクチュエータにおいて、圧電振動層の変位が伝達される対象物が液体である場合には、圧電基板における表面電極が設けられた面とは反対側の面(動作面)に、液体を収容するための液室を有する部材を接合し、圧電基板の動作面に液体が触れるようにする。しかし、上記従来技術では、圧電基板の動作面の表面状態については全く考慮がなされていない。圧電基板の動作面の表面粗さが大きいと、素子毎または液室毎に液体の流れのばらつきが生じたり、液体のリーク(液漏れ)が生じることがある。
本発明の目的は、圧電層の変位を液体に伝達する場合に、液体の流れのばらつきや液体のリークを抑えることができる圧電素子及び液体制御用圧電装置を提供することである。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、圧電素子の変位が伝達される対象物が液体の場合、圧電素子における液体と触れる側の面(動作面)に突発的に存在する凹凸が特に液体の流れのばらつきやリークに影響を与えやすいことを見出した。具体的には、液体を収容するための液室を形成する壁部が圧電素子の動作面に接合された状態において、圧電素子の動作面における液体に触れる部分に突発的な凹凸があると、素子毎または液室毎に液体の流れのばらつきが生じやすくなり、圧電素子の動作面における壁部と接合する部分に突発的な凹凸があると、そこから液体がリークしやすくなることが分かった。本発明は、そのような知見に基づいて為されたものである。
即ち、本発明の圧電素子は、圧電層と、圧電層を挟むように形成され、圧電層を変位させる複数の電極層と、圧電層に対して電極層を挟んで積層されるように形成され、圧電層の変位を伝える変位伝達層とを備え、変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzが5μm以下であることを特徴とするものである。
このように変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzを十分に小さくすることにより、変位伝達層の外側の面は、突発的な凹凸が極めて少ない平坦度の高い表面状態となる。比較として、変位伝達層の外側の面の表面粗さを、単に平均値からの標準偏差として表される算術平均粗さRaで規定した場合には、突発的な凹凸が反映されにくいため、算術平均粗さRaの値そのものが小さくても、突発的な凹凸が多く存在していることがある。これに対して十点平均粗さRzは、高い方の5つの値と低い方の5つの値との平均として表されるので、突発的な凹凸が値に反映されやすい。従って、変位伝達層の外側の面の表面粗さを上記のように十点平均粗さRzで規定した値とすることにより、変位伝達層の外側の面の表面粗さは、算術平均粗さRaで規定した場合に比べて確実に小さくなる。これにより、液体を収容するための液室を形成する壁部が変位伝達層の外側の面に接合されたときに、例えば素子毎の液体の流れ(液室からの液体の流出速度等)のばらつきが抑えられると共に、変位伝達層と壁部との接合部分からの液体のリークが抑えられる。
好ましくは、圧電層及び変位伝達層は、焼成によって形成されたものであり、変位伝達層の外側の面は、焼成後に機械的表面加工が施されていない状態の焼成面である。圧電層及び変位伝達層の焼成後に、変位伝達層の外側の面に対して研磨加工等の機械的表面加工を施すと、変位伝達層にかかる応力によって、変位伝達層の外側の面にマイクロクラックが発生したり、変位伝達層の粒子が脱落したりして、変位伝達層に微細欠陥が生じてしまう。この場合には、液体を収容するための液室を形成する壁部が変位伝達層の外側の面に接合された状態で、圧電素子を長時間動作させていると、変位伝達層に形成された微細欠陥を基点として圧電素子内に液体が浸透し、その結果として圧電素子の動作不良を引き起こすことがある。しかし、変位伝達層の外側の面の表面粗さは、上述したように十分に小さくなっている。このため、圧電層及び変位伝達層の焼成後に、変位伝達層の外側の面に対して研磨加工等を施す必要がなく、変位伝達層の外側の面を焼成面のままにしても特に支障は無い。従って、機械的表面加工によって変位伝達層に生じた微細欠陥に起因する圧電素子の動作不良を防止することができる。また、変位伝達層は、圧電層と同材質で一体的に形成されることが好ましい。これにより、圧電層及び変位伝達層の焼成時における両者の収縮率が同じになるので、焼成による圧電層及び変位伝達層の形成が容易に行える。
また、好ましくは、変位伝達層の反りが6μm/mm以下である。この場合には、液室を形成する壁部を変位伝達層の外側の面に接合しやすくなる。また、液室を形成する壁部と変位伝達層の外側の面との接合状態がほぼ均等になるため、変位伝達層と壁部との接合部分からの液体のリークをより抑えることができる。
さらに、好ましくは、圧電層は、電極層を挟んで複数積層されている。これにより、電極層に印加する電圧値を必要以上に大きくしなくても、圧電層の変位量を増大させることができる。
また、本発明の液体制御用圧電装置は、圧電層と、圧電層を挟むように形成され、圧電層を変位させる複数の電極層と、圧電層に対して電極層を挟んで積層されるように形成され、圧電層の変位を伝える変位伝達層と、変位伝達層の外側の面に接合され、圧電層の変位が伝達される液体を収容するための液室を有する液体流通部とを備え、変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzが5μm以下であることを特徴とするものである。
このように変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzを十分に小さくすることにより、変位伝達層の外側の面は、上述したように突発的な凹凸が極めて少ない平坦度の高い表面状態となる。これにより、例えば素子毎の液体の流れ(液室からの液体の流出速度等)のばらつきが抑えられると共に、変位伝達層と液体流通部との接合部分からの液体のリークが抑えられる。
好ましくは、各電極層はコモン電極または複数の個別電極を有し、コモン電極と複数の個別電極とで圧電層を挟むように形成され、液室は、各個別電極に対応する位置に複数設けられている。これにより、液体作動部を複数有する、いわゆる多チャンネル型の液体制御用圧電装置を容易に実現することができる。このとき、上記のように変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzが十分に小さいので、液室毎に生じる液体の流れのばらつきを抑えることができる。
本発明によれば、圧電層の変位を液体に伝達する場合に、液体の流れのばらつきや液体のリークを抑えることができる。これにより、液体制御用圧電装置の液体制御を高精度に行うことが可能となる。
以下、本発明に係わる圧電素子及び液体制御用圧電装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる圧電素子を備えた液体制御用圧電装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2は、その液体制御用圧電装置の一部の側断面図である。各図において、液体制御用圧電装置1は、直方体状の圧電素子2と、この圧電素子2の一面(下面)2aに接合された液体流通部3とを備えている。なお、圧電素子2の構造を分かりやすく示す便宜上、圧電素子2の高さ寸法が図1と図2とで異なっている。
圧電素子2は、複数の圧電層4と、各圧電層4を挟むように形成され、各圧電層4を変位させる複数の電極層5A及び複数の電極層5Bとを有している。複数の圧電層4を積層するのは、圧電層4の変位量を増やすためである。また、圧電素子2は、積層構造の各圧電層4に対して最下側の電極層5Bを挟んで積層されるように形成され、液体流通体3の内部を流通する液体に圧電層4の変位を伝える変位伝達層6を有している。
具体的には、圧電素子2は、図3に示すように、上面に電極パターンが形成された複数枚(ここでは10枚)のセラミックシート7を積層して形成されている。セラミックシート7は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)を主成分とした圧電セラミック材料で形成されている。
セラミックシート7は、5種類(セラミックシート8〜12とする)だけ有している。セラミックシート8の上面には、図4に示すように、複数の個別電極パターン13Aとコモン電極中継パターン13Bとが形成されている。個別電極パターン13Aは、セラミックシート8の上面に2列で形成されている。コモン電極中継パターン13Bは、セラミックシート8の上面の一端部に形成されている。また、セラミックシート8には、各個別電極パターン13Aと電気的に接続された複数のスルーホール14Aと、コモン電極中継パターン13Bと電気的に接続されたスルーホール14Bとが形成されている。なお、図4では、全ての個別電極パターン13Aを示していないので、図3に示す個別電極パターン13Aの数とは異なっている。
セラミックシート9の上面には、図5に示すように、複数の個別電極パターン15Aとコモン電極中継パターン15Bとが形成されている。個別電極パターン15Aは、セラミックシート8上の個別電極パターン13Aと対応するように2列で形成されている。コモン電極中継パターン15Bは、セラミックシート8上のコモン電極中継パターン13Bと対応する位置に形成されている。また、セラミックシート9には、コモン電極中継パターン15Bと電気的に接続されたスルーホール16が形成されている。なお、図5では、全ての個別電極パターン15Aを示していないので、図3に示す個別電極パターン15Aの数とは異なっている。
セラミックシート10の上面には、図6に示すように、複数の個別電極中継パターン17Aとコモン電極パターン17Bとが形成されている。個別電極中継パターン17Aは、セラミックシート8上の個別電極パターン13Aに対応する位置でコモン電極パターン17Bを挟むように形成されている。また、セラミックシート10には、各個別電極中継パターン17Aと電気的に接続された複数のスルーホール18Aと、コモン電極パターン17Bと電気的に接続されたスルーホール18Bとが形成されている。なお、図6では、全ての個別電極中継パターン17Aを示していないので、図3に示す個別電極中継パターン17Aの数とは異なっている。
セラミックシート11の上面には、図7に示すように、コモン電極パターン19がほぼ全体にわたって形成されている。セラミックシート12の上面には、図8に示すように、複数の個別端子電極パターン20Aとコモン端子電極パターン20Bとが形成されている。個別端子電極パターン20Aは、セラミックシート8上の個別電極パターン13Aに対応する位置に形成されている。コモン端子電極パターン20Bは、セラミックシート8上のコモン電極中継パターン13Bに対応する位置に形成されている。また、セラミックシート12には、各個別端子電極パターン20Aと電気的に接続された複数のスルーホール21Aと、コモン端子電極パターン20Bと電気的に接続されたスルーホール21Bとが形成されている。なお、図7では、全ての個別端子電極パターン20Aを示していないので、図3に示す個別端子電極パターン20Aの数とは異なっている。
端子電極パターン20A,20Bを除く各電極パターンは、例えばAg/Pdで形成され、端子電極パターン20A,20Bは、例えばAg、Au、Cu等で形成されている。なお、セラミックシート8〜10,12に形成された各スルーホール内には、例えばAg/Pdからなる導電材料が充填されていても良い。
圧電素子2は、上からシート12、シート10、シート8、シート10、シート8、シート10、シート8、シート10、シート9及びシート11を重ねた構造をなしている。このような圧電素子2では、最上層のセラミックシート12上に設けられた個別端子電極パターン20Aは、スルーホール21A、個別電極中継パターン17A、スルーホール18A、個別電極パターン13A及びスルーホール14Aを介して、下から2層目のセラミックシート9上に設けられた個別電極パターン15Aと電気的に接続されている。最上層のセラミックシート12上に設けられたコモン端子電極パターン20Bは、スルーホール21B、コモン電極パターン17B、スルーホール18B、コモン電極中継パターン13B、スルーホール14B、コモン電極中継パターン15B及びスルーホール16を介して、最下層のセラミックシート11上に設けられたコモン電極パターン19と電気的に接続されている。
また、圧電素子2において、セラミックシート8〜10,12は、上記の圧電層4を構成し、最下層のセラミックシート11は、上記の変位伝達層6を構成している。各個別端子電極パターン20Aは、表面電極(外部電極)としての電極層5Aを構成し、各個別電極パターン13A,15Aは、内部電極としての電極層5Aを構成している。コモン電極パターン17B,19は、内部電極としての電極層5Bを構成している。圧電層4及び変位伝達層6の厚みは、例えば20〜30μmである。このとき、変位伝達層6を圧電層4よりも薄くすると、圧電層4の変位が伝わりやすくなり効果的である。また、圧電層4及び変位伝達層6を同じセラミック材料で形成することにより、圧電素子2の製作が容易に行える。
各個別端子電極パターン20A及びコモン端子電極パターン20Bには、電圧印加用のリード線22が接続されている。このリード線22は、例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)で構成されている。
このような圧電素子2は、セラミックシート8〜11の上面に電極パターンを形成し、セラミックシート8〜12の積層・プレス・切断を行った後に、セラミックシート積層体の脱脂・焼成を行い、その後でセラミックシート12の上面に端子電極20A,20Bを形成し、端子電極20A,20Bにリード線22を取り付け、分極処理を実施することにより形成される。なお、圧電素子2の製造工程については、後で詳述する。
圧電素子2の表面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、5μm以下であり、好ましくは3μm以下であり、より好ましくは2μm以下である。また、変位伝達層6を含む圧電素子2の反りは、6μm/mm以下であるのが好ましく、4μm/mm以下であるのがより好ましく、3μm/mm以下であるのが特に好ましい。さらに、変位伝達層6の外側の面つまり圧電素子2の下面(動作面)2aは、セラミックシート積層体の焼成後に、研磨加工等の機械的表面加工が施されていない状態の焼成面(自然面)となっている。
圧電素子2の下面2aに接合される液体流通部3は、圧電層4の変位が伝達される液体を収容するための複数の液室23を形成する壁部24を有している。各液室23は、電極層5Aを構成する各個別電極パターンに対応する位置に設けられている。液体流通部3の一端側には、各液室23に液体を導入するための液体流入口25が形成されている。また、液体流通部3の底部には、圧電層4の変位が液体に伝わったときに液室23から液体を流出させる複数の液体流出口26が設けられている。なお、壁部24は、ニッケル合金鋼等の金属系材料、樹脂やセラミック等で形成されている。また、液室23に貯めておく液体としては、例えば純水を主成分とし、グリセリンとノンイオン系の界面活性剤とを混合したものを使用する。
次に、上述した液体制御用圧電装置1を製造する手順について説明する。まず、圧電素子2を以下のように作製する。
即ち、最初に圧電層4及び変位伝達層6を形成するセラミックグリーンシートを成形する。具体的には、例えばPZTを主成分とした圧電セラミックを用意し、これに有機バインダ・有機溶剤等を混合したペーストを作製し、PETフィルムをキャリアフィルムとしてシート成形し、グリーンシートを得る。このとき、ペーストの条件及びシート成形の条件を制御することで、均一なグリーンシートを作成することができる。これにより、最終的に圧電素子2の動作面2aの面精度を向上させることが可能となる。
続いて、例えばYAGの3次高調波レーザを用いて、セラミックグリーンシートの所定位置に対し、レーザ光を照射して穴開けを行い、スルーホールを形成する。このとき、スルーホールの穴径が素子の焼成後に例えば40〜50μmとなるように加工する。そして、例えばAg:Pd=7:3の比率で構成された導電材料と有機バインダ・有機溶剤等とを混合したペーストを作製し、例えばスクリーン印刷法によりスルーホール内に導電ペーストを充填する。
続いて、セラミックグリーンシートの上面に内部電極パターンを形成する。具体的には、スルーホールの充填材と同じく、例えばAg:Pd=7:3の比率で構成された金属材料と有機バインダ・有機溶剤等とを混合したペーストを作製し、例えばスクリーン印刷法により内部電極パターンを形成する。
続いて、内部電極パターンが印刷された後のセラミックグリーンシートを所定の枚数だけ所定の順序で積層する。そして、そのグリーンシート積層体に対し、例えば60℃程度の熱を加えながら100MPa程度の圧力でプレス加工を行い、各層のグリーンシートを圧着させる。その後、グリーンシート積層体を所定の寸法に切断する。このとき、グリーンシートの成形工程からグリーンシート積層体のプレス・切断工程までの間に、異物やグリーンカスをグリーンシート積層体に巻き込まないようにすることで、グリーンシート積層体の表面に局所的な凹みが発生することを防止できる。
続いて、グリーンシート積層体をセッター(支持体)に載せ、グリーンシート積層体の脱脂(脱バインダ)を例えば400℃前後の温度で10時間程度行う。その後、グリーンシート積層体が載置されたセッターを密閉炉内に入れ、グリーンシート積層体の焼成を例えば1100℃程度の温度で2時間程度行い、焼結体を得る。
この時に使用するセッターとしては、ジルコニアをイットリア等の添加剤で安定化させてなる安定化ジルコニアで形成された緻密質なジルコニアセッターが好ましい。このとき、セッターを形成する粒子の平均粒径が0.3〜2.5μmであり、セッターの磁器密度が6kg/dm以上であるのが好ましい。これにより、鉛を含むセラミックグリーンシートとの反応性が極めて低くなるので、素子に局所的な凹みが生じにくくなると共に、素子の反りが発生しにくくなる。また、セッターの表面は、算術平均粗さ(中心線平均粗さ)Raが1〜20μmとなるように適度に粗らされているのが好ましい。これにより、セッターとセラミックグリーンシートとの接触面積が小さくなるため、グリーンシートがセッターから直接受ける熱を低減することができる。従って、熱に起因した素子の局所的な凹みや反りを抑えることも可能となる。
なお、グリーンシート積層体を焼成する際には、上記のセッターでグリーンシート積層体を上下から挟み込んだ状態で実施する。このとき、セッターがグリーンシート積層体の上面に接触しない範囲内で、セッターとグリーンシート積層体との隙間をできるだけ狭くするのが望ましい。
続いて、焼成後のセラミックシート積層体の上面に、例えばAgからなる端子電極パターンを形成する。端子電極パターンの形成手法としては、焼付け、スパッタリング、無電解メッキ法などが用いられる。
続いて、はんだ等により各端子電極パターンにリード線を接続する。そして、例えば温度120℃の環境下で、圧電層の厚みに対する電界強度が3kV/mmとなるように所定の電圧を例えば3分間印加することにより、分極処理を行う。これにより、圧電素子2が完成する。
その後、別に作製した液体流通部3の壁部24を圧電素子2の動作面2aに接着して貼り付けることにより、液体制御用圧電装置1が得られる。
このようにして製造された液体制御用圧電装置1において、液体流通部3の各液室23には予め液体が入っており、液体が圧電素子2の動作面2aに接触している。その状態で、何れかの個別端子電極20Aとコモン端子電極20Bとの間にリード線22を介して所定の電圧を印加すると、各圧電層4において当該個別端子電極20Aに対応する電極層5A,5B間の部分が圧電層4の積層方向に変位する。すると、その圧電層4の変位が変位伝達層6を介して対応する液室23内に入っている液体に伝えられ、その液体が液体流出口26から出るようになる。
以上のような液体制御用圧電装置1では、上述したように圧電素子2の動作面2aの十点平均粗さRzが5μm以下であるため、圧電素子2の動作面2aは、突発的に存在する凹凸が極めて少ない良好な表面状態となっている。その理由を以下に述べる。
即ち、「十点平均粗さRz」とは、図9及び下記式に示すように、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、その中で5つの高い山頂と5つの低い谷底とを抽出し、抜き取り部分の平均線に対する各山頂の標高Ypの絶対値の平均値と、抜き取り部分の平均線に対する各谷底の標高Yvの絶対値の平均値とを加算した値である。
Figure 2006147937
このように十点平均粗さRzは、高い方の5つの値と低い方の5つの値とを考慮した算出法であるため、表面に突発的な凹凸があると、それが十点平均粗さRzの値に反映されることになる。
参考までに、「算術平均粗さRa」とは、図10及び下記式に示すように、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値である。
Figure 2006147937
このように算術平均粗さRaは、単に平均値からの標準偏差を表すものに過ぎないので、表面に突発的な凹凸があっても、それが算術平均粗さRaの値に反映されることは少ない。このため、算術平均粗さRaが小さい場合であっても、突発的な凹凸が見過ごされた値となっている可能性がある。このような事から、圧電素子2の動作面2aの表面粗さを算術平均粗さRaで規定するだけでは不十分であり、突発的な凹凸を考えた場合には、圧電素子2の動作面2aの表面粗さを十点平均粗さRzで規定するのが最も効果的である。
そこで本実施形態では、圧電素子2の動作面2aの十点平均粗さRzを5μm以下とすることにより、動作面2aの表面粗さが確実に小さくなるため、動作面2aの平坦度が十分に高くなる。このため、液体流通部3の液体流出口26からの液体の流出速度が各液室23毎にばらつくことが防止され、各液室23において液体の流れがほぼ均等になる。これにより、各液室23における液体制御を精度良く行うことができる。
また、圧電素子2の動作面2aの表面粗さを上記のように規定することで、圧電素子2の動作面2aと液体流通部3の壁部24との間に隙間が生じにくくなる。さらに、上述したように圧電素子2の反りを6μm/mm以下と小さくすることにより、液体流通部3を圧電素子2に対してほぼ均等に貼り合わせることが可能となる。以上により、液体流通部3の液室23内からの液体のリーク(液漏れ)を抑制することができる。
また、圧電素子2の動作面2aは、焼成後に機械的表面加工がなされていない焼成面であるので、機械的表面加工に起因した微細欠陥が動作面2aに存在することは無い。このため、液室23内の液体が圧電素子2の内部に浸透して圧電素子2の動作不良を引き起こすことは無い。従って、圧電素子2内への液体の浸透を防ぐために圧電素子2と液室24との間に別体の隔壁を設けなくて済むため、液体に対する圧電層4の変位の伝達が別体の隔壁によって阻害されることは無い。これにより、別体の隔壁による伝達変位量の減少分を補うべく圧電層4の層数を増やさなくて済むため、圧電素子2及び液体制御用圧電装置1の小型化が図られると共に、これらの製造コストを削減することができる。また、素子の焼成後の機械的表面加工が不要となるため、この点でもコスト削減につながる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、圧電素子2の変位伝達層6を圧電層4と同じセラミック材料で形成したが、変位伝達層6を圧電層4と異なるセラミック材料または樹脂等で形成しても良い。
また、上記実施形態では、複数の圧電層4を積層した構造としたが、特に大きな変位量を必要としないのであれば、圧電層4は単層構造であっても良い。
また、上記実施形態では、1つの圧電層5Aを複数の個別電極からなる構成としたが、1つの圧電層5Aを1つの個別電極からなる構成としても良い。この場合には、液体流通部3の液室23は1つだけあれば良い。
さらに、上記実施形態では、各層の電極層5A同士及び各層の電極層5B同士が各々スルーホールを介して電気的に接続される構成としたが、そのようなスルーホールの代わりに、例えば電極層5A同士を接続する外部電極と電極層5B同士を接続する外部電極とを圧電層4の側面に設けても良い。
また、上記実施形態は、圧電素子2を液体制御用圧電装置1に備えたものであるが、本発明の圧電素子は、圧電層の変位を伝達させる対象物が液体ではなく流動性を有する固体や気体のものにも適用可能である。
圧電素子として、動作面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが6〜9μm、3〜5μm、2〜3μm、2μm以下といった4種類のものを各々50個用意し、液体制御用圧電装置を形成した。表面粗さの測定は、非接触式の表面粗さ計を用いて行った。また、各圧電素子の反りは、3〜5μm/mmとなっている。圧電素子の反りについては、非接触式の3次元形状測定装置により評価した。各圧電素子の動作面は、未研磨の焼成面である。
なお、各圧電素子の圧電層及び変位伝達層を形成するセラミックシートの層数は、図2及び図3に示すような10層であり、各圧電素子の個別電極は、1層につき4列に75個ずつ計300個形成されている。また、各圧電素子の寸法は、10mm×30mm×30μmである。
このような液体制御用圧電装置において、純水を主成分とし、グリセリンとノンイオン系の界面活性剤を混合した液体を流通させ、液室からの液体の流出速度のばらつきを調べた。このとき、圧電素子における個別電極の形成部位に対応する300ヶ所の部分のうち任意の60ヶ所(1列当たり15ヶ所)の部分を、液体流出速度のばらつきの評価対象とした。
その結果、動作面の表面粗さRzが6〜9μmの圧電素子では、液体流出速度のばらつきが32%であったのに対し、動作面の表面粗さRzが3〜5μm、2〜3μm、2μm以下の圧電素子では、液体流出速度のばらつきが各々10%、7%、5%と小さかった。このような結果から、圧電素子の動作面の十点平均粗さRzを5μm以下とすることで、各液室からの液体の流出速度のばらつきが低減されることが明らかとなった。
圧電素子として、反りが4〜6μm/mm、3〜4μm/mm、3μm/mm以下といった3種類のものを各々100個用意した。各圧電素子の動作面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzは、2〜4μmとなっている。また、各圧電素子の動作面は、未研磨の焼成面である。なお、セラミックシートの層数、個別電極の個数、寸法については、実施例1と同様である。
このような圧電素子に液体流通部を貼り合わせ、液体制御用圧電装置を形成した。そして、実施例1と同様の液体を流通させたときに、液体のリーク不良があるかどうかを確認した。
その結果、反りが4〜6μm/mmの圧電素子では、液体のリーク不良が発生した素子数は3個であり、反りが3〜4μm/mmの圧電素子では、液体のリーク不良が発生した素子数は1個であり、反りが3μm/mm以下の圧電素子では、液体のリーク不良が発生した素子数は0個であった。つまり、液室からの液体のリークが十分に低減されるという結果が得られた。
圧電素子として、動作面が未研磨の焼成面であり、反りが3μm/mm以下、動作面の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが2μm以下のものを30個用意し、液体制御用圧電装置を形成した。なお、セラミックシートの層数、個別電極の個数、寸法については、実施例1と同様である。
このような液体制御用圧電装置において、実施例1と同様の液体を各液室に封止し、その状態で圧電層の厚みあたり1kV/mmの直流電圧を印加し、500時間で耐久試験を行った。その試験後に、圧電素子の絶縁抵抗値を計測したところ、絶縁抵抗値が試験前とほぼ同じ値であり、液体制御用圧電装置の高耐久性が認められた。
本発明に係わる圧電素子を備えた液体制御用圧電装置の一実施形態を示す斜視図である。 図1に示した液体制御用圧電装置の一部の側断面図である。 図2に示した圧電素子の分解斜視図である。 図3に示した電極パターンを含むセラミックシートの一つを示す平面図である。 図3に示した電極パターンを含むセラミックシートの他の一つを示す平面図である。 図3に示した電極パターンを含むセラミックシートの更に他の一つを示す平面図である。 図3に示した電極パターンを含むセラミックシートの更に他の一つを示す平面図である。 図3に示した電極パターンを含むセラミックシートの更に他の一つを示す平面図である。 十点平均粗さRzの概念を示す図である。 算術平均粗さRaの概念を示す図である。
符号の説明
1…液体制御用圧電装置、2…圧電素子、2a…動作面、3…液体流通部、4…圧電層、5A,5B…電極層、6…変位伝達層、13A,15A…個別電極パターン、17B,19…コモン電極パターン、20A…個別端子電極パターン、20B…コモン端子電極パターン、23…液室。

Claims (6)

  1. 圧電層と、
    前記圧電層を挟むように形成され、前記圧電層を変位させる複数の電極層と、
    前記圧電層に対して前記電極層を挟んで積層されるように形成され、前記圧電層の変位を伝える変位伝達層とを備え、
    前記変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzが5μm以下であることを特徴とする圧電素子。
  2. 前記圧電層及び前記変位伝達層は、焼成によって形成されたものであり、
    前記変位伝達層の外側の面は、焼成後に機械的表面加工が施されていない状態の焼成面であることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
  3. 前記変位伝達層の反りが6μm/mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の圧電素子。
  4. 前記圧電層は、前記電極層を挟んで複数積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の圧電素子。
  5. 圧電層と、
    前記圧電層を挟むように形成され、前記圧電層を変位させる複数の電極層と、
    前記圧電層に対して前記電極層を挟んで積層されるように形成され、前記圧電層の変位を伝える変位伝達層と、
    前記変位伝達層の外側の面に接合され、前記圧電層の変位が伝達される液体を収容するための液室を有する液体流通部とを備え、
    前記変位伝達層の外側の面の十点平均粗さRzが5μm以下であることを特徴とする液体制御用圧電装置。
  6. 前記各電極層はコモン電極または複数の個別電極を有し、前記コモン電極と前記複数の個別電極とで前記圧電層を挟むように形成され、
    前記液室は、前記各個別電極に対応する位置に複数設けられていることを特徴とする請求項5記載の液体制御用圧電装置。



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