JP2006147857A - フレキシブルプリント回路用基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、芳香族ポリアミドからなるシート状基材と銅の薄膜層との間の密着性を向上することにある。
【解決手段】 芳香族ポリアミドからなるシート状基材に銅の薄膜層を設けてなるフレキシブルプリント回路用基板であって、該シート状基材と該銅の薄膜層との間に亜鉛を好ましくは1〜10重量%含有するインジウムからなる薄膜層を介在せしめてなることを特徴とするフレキシブルプリント回路用基板。
【選択図】なし

Description

本発明は、銅薄膜を有するフレキシブルプリント回路用基板に関するものであり、さらに詳しくは、基材として芳香族ポリアミドからなるシートを用いかつ銅薄膜を有するフレキシブルプリント回路用基板に関するものである。
フレキシブルプリント配線用基板としては、従来よりプラスチックフィルム基材に有機系接着剤層を介して導電性金属層としての銅箔を貼り合せた3層構造のものが知られている。このタイプのフレキシブルプリント配線用基板は、一般に用いられる有機系接着剤の耐熱性がプラスチックフィルム基材に比べて低いために、加工後の寸法精度が低下するという問題がある。また用いられる銅箔の厚さが通常10μm以上であるため、ピッチの狭い高密度配線用のパターニングを行うためのエッチングが難しいという欠点も指摘されている。
一方、プラスチックフィルム基材上に有機系接着剤を用いることなく、湿式めっき法や乾式めっき法(例えば、真空蒸着法、スパッタリング製膜法、イオンプレーティング法など)により、導電性金属層を形成させた2層構造タイプのフレキシブルプリント配線板用基板が提案されている。
例えば特許文献1には、シート状基材と銅の薄膜層との間にニッケル−クロム(ニクロム)合金からなる密着層を用いたことが記載されている。また特許文献2には、そのような密着層としてクロム系セラミックスを用いたことが記載されている。
しかしながらこのような2層構造タイプの場合、導電性金属層を10μmよりも薄くすることができるため、高密度配線が可能なものの、厳しい熱負荷試験を行ったり、スズ、ニッケル、はんだ、または金などの無電解めっき処理を行うと、プラスチックフィルム基材と導電性金属層との間の密着力が低下してしまうという問題がある。またニクロム合金を密着層に用いた場合、エッチングの際に、銅の薄膜層とのエッチング速度に大きな差があるため、エッチング条件やエッチング液をそれらの層ごとに変えたりする必要が生じるので、プリント回路の生産性が低下するという問題がある。
一方、特許文献3には、シート用基材として芳香族ポリアミドを用いることが提案されている。しかしながら、芳香族ポリアミドのシート基材は、一般に銅の薄膜層との密着性に難点がある。
特開平9−83134号公報 特公平8−8400号公報 特許第2626049号公報
本発明の目的は、芳香族ポリアミドからなるシート状基材と銅の薄膜層との間の密着性を向上するとともに、密着層のエッチング特性を改善することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討し、特にスパッタリング製膜法によって形成できる材料に焦点をしぼったところ、特定量の亜鉛を含むインジウムからなる薄膜層が、芳香族ポリアミドのシートおよび銅薄膜層との密着性に優れるだけでなく、銅とのエッチング速度差が小さくなることでプリント回路の生産性が向上させうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりのものである。
[1]芳香族ポリアミドからなるシート状基材に銅の薄膜層を設けてなるフレキシブルプリント回路用基板であって、該シート状基材と該銅の薄膜層との間にインジウムを主成分とする薄膜層を介在せしめてなることを特徴とするフレキシブルプリント回路用基板。
[2]インジウムを主成分とする薄膜層が、亜鉛をインジウムに対して重量比で1対99の割合ないしは15対85の割合で含有するインジウムの酸化物からなる、請求項1記載のフレキシブルプリント回路用基板。
[3]インジウムからなる薄膜層の厚さが3nm〜50nmの範囲である、請求項1または2記載のフレキシブルプリント回路用基板。
[4]銅の薄膜層及びインジウムからなる薄膜層が、いずれもスパッタリング製膜法によって形成される部分を含むものである、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路用基板。
[5]銅の薄膜層のインジウムからなる薄膜層とは反対側に、さらに電解めっき法により導電性金属層を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路用基板。
本発明によれば、芳香族ポリアミドのシート状基体と銅の薄膜層との間に主としてインジウムからなる薄膜層を設けることによって、該シート状基体と銅の薄膜層とが強固に密着し、高い信頼性が得られるとともに、銅薄膜層とのエッチング速度差が小さいために高精細な回路の作製が可能となるフレキシブルプリント回路用基板を提供することができる。特に、銅の薄膜層として亜鉛を1〜12重量%含有するインジウム合金の酸化物はエッチング特性を改善させる。
本発明のフレキシブルプリント回路用基板は、芳香族ポリアミドからなるシート状基体、インジウムから主としてなる薄膜層および銅からなる薄膜層が順に積層されてなる。
本発明に用いるシート状基体は芳香族ポリアミドからなる。かかる芳香族ポリアミドとしては、例えば、次の構成単位からなる群から選択された単位により構成される。
−NH−Ar1−NH− (1)
−CO−Ar2−CO− (2)
−NH−Ar3−CO− (3)
ここでAr1、Ar2、Ar3は少なくとも1個の芳香環を含み、同一でも異なっていてもよい。かかる芳香環としては、炭素数6〜12で、スルホニル結合やエーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基、例えばp−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、ビフェニレン基、4,4´−ジフェニレンエーテル、3,4´−ジフェニレンエーテル等を挙げることができる。これらの基の芳香環には、例えばハロゲン基、ニトロ基、アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。これらの代表例としては下記に示すものが挙げられる。すなわち、実質的に下記式(4)
−(−CO−Ar11−CONH−Ar21−NH−)− (4)
で表わされる繰り返し単位からなるパラ配向性の芳香族ポリアミド(ポリパラフェニレンテレフタルアミド、以下PPTAと言うことがある)が好適である。ここで、Ar11、Ar21はともにp−フェニレン基である。PPTAは、熱、湿度、外力に対して極めて寸法安定性の優れたシート状のもの(フィルム)が得られ、またこのフィルムは熱膨脹係数が極めて小さいため、寸法変化が小さく、全層薄膜を積層させたときに熱によってカーリング等の変形を生じにくいという優れた特性を有する。特に、25℃から250℃までの熱膨脹係数が(0〜15)ppm/℃であったり、250℃における熱収縮率が0.1%以下であったり、また25℃における吸湿膨脹係数が30ppm/%Rh以下であったり、25℃、50%RHにおける吸湿率が2.5重量%以下であるものは、フレキシブルプリント回路用基板のシート状基材として極めて有用である。これらの特性は複数有していてもよいことは言うまでもない。
本発明に用いられる芳香族ポリアミドには、積層体の物性を損ねたり、本発明の目的に反しない限り、易滑剤、染料や顔料などの着色剤、難燃剤、帯電防止剤、酸化防止剤、その他の添加剤などや改質剤、ならびに他のポリマーが含まれていてもよい。
本発明に用いられる芳香族ポリアミドの重合度は、あまり低いと機械的性質の良好なフィルムが得られなくなるため3.5以上、好ましくは4.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマー0.5gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度のものが選ばれる。
芳香族ポリアミドからなるシート状基材の製造方法としては、芳香族ポリアミドが有機溶剤可溶のものでは、直接溶剤中で重合するか、一旦ポリマーを単離した後再溶解するなどして溶液とし、ついで乾式法または湿式法にて製膜される。また、PPTA等の有機溶剤に難溶のものについては、濃硫酸などに溶解して溶液とし、ついで乾湿式法または湿式法にて製膜される。湿式法では、溶液はダイから直接凝固液中に押し出されるか、乾式と同様に金属ドラムまたはエンドレスベルト上にキャストされた後、凝固液中に導かれ、凝固される。ついでこれらのフィルムはフィルム中の溶剤や無機塩などを洗浄され、延伸、乾燥、熱処理などの処理を受ける。
具体的にPPTAからなるシート状基材の製法については、例えば特許第2664959号公報に記載された方法を用いることができる。
本発明における芳香族ポリアミドからなるシート状基材の厚さとしては、通常3〜25μm、好ましくは4〜12μmであり、PPTAのシート基材の場合は、特に薄いものを製造できるのでフレキシブルプリント回路用基板の用途には好適であり、4〜12μmのものが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント回路用基板は、上記芳香族ポリアミドからなるシート状基材の上に、インジウムからなる薄膜層を形成させるが、それに際して、一般には該シート状基材面を脱脂、ごみ等除去のための一次的前処理を施してもよい。また必要によっては更にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、化学的処理、除湿処理、熱処理などの二次的処理を行ってもよい。
本発明においては、銅薄膜層と芳香族ポリアミドからなるシート状基材の間に、驚くべきことにインジウムを主成分とする薄膜層を介在させることによって、層間の密着性が良好であるだけでなく、エッチング特性、すなわち銅とインジウム薄膜層とのエッチングレートの差が小さくなり、エッチングによるパターン加工生産性が改善される。ここで、主成分とは、インジウムと好ましくは亜鉛または錫の合計量が少なくとも全体の50重量%、好ましくは80重量%以上であることをいう。この主としてインジウムと亜鉛または錫からなる薄膜層を形成する材料としては、例えば合金単体、その酸化物等を挙げることができる。そして、その中でも、酸化インジウム中に酸化亜鉛を1〜12重量%含む合金(以下IZOということがある)が好ましい。IZOは、液晶表示素子用プラスチック製透明導電基板の電極材料としても用いられ、塩酸、塩化鉄によるエッチング特性に優れ、また約350℃まで非晶質を維持し続ける材料であって、加熱による結晶化によるエッチング特性の変化などが発生しない点で、銅との共エッチング性に優れる。IZO合金中の酸化亜鉛の好ましい含有量としては、1ないし12重量%である。また、従来より密着性として広く用いられているところのクロムを含有する合金においては塩化鉄ないしは塩酸を含む塩化鉄によるエッチング速度が高くなく、プリント回路形成のためにはさらなる時間のエッチング或いは他のエッチング液による除去を必要とするが、本発明に用いるインジウムを主成分とする薄膜では、銅層と同等の速度にて除去することが可能であり、プリント回路の生産性を大きく向上させる。
インジウムを主成分とする薄膜層の厚さとしては、通常3〜50nm、好ましくは10〜30nmである。
次に、代表例として、インジウム−亜鉛を主成分とする薄膜層を形成する方法について以下に述べる。
本発明におけるインジウムを主成分とする薄膜層は、例えば、蒸着法、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンプレーティング法やイオンビームスパッタ法といった手法やCVD法を用いることができるが、大面積に均一な透明導電膜を形成するという観点よりDCマグネトロンスパッタ法が好適である。
DCマグネトロンスパッタリング法には、目的とする薄膜層に実質的に応じた組成の焼結ターゲットを用いて製膜させる。例えば酸化亜鉛を1〜10重量%含む酸化インジウムを製膜するに際しては、酸化亜鉛が1〜10重量%添加された酸化物焼結ターゲットを用いることが好ましい。あるいは、金属インジウムに金属亜鉛を添加した合金ターゲットを用いて反応性スパッタリング法を行っても良い。
以下、酸化亜鉛を1〜10重量%含む酸化インジウムを製膜する場合の製膜方法について詳述する。
例えば焼結ターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法により上記薄膜層を形成する場合は、先ず真空槽中の圧力(背圧)を一旦1.3×10−4Pa以下とし、次いで不活性ガス及び酸素を導入する。真空槽中の圧力は一旦1.3×10−4Pa以下にすることが、真空槽中に残留し、且つ透明導電層の特性に影響を与えることが懸念される分子種の影響を低減できるので好ましい。より好ましくは、5×10−5Pa以下、さらに好ましくは2×10−5Pa以下である。
次いで導入される不活性ガスとしては、例えばHe、Ne、Ar、Kr、Xeを用いることができ、原子量の大きな不活性ガスほど形成される膜へのダメージが少なく表面平坦性が向上すると言われている。しかし、コスト面から考えてArが好ましい。この不活性ガスには膜中に取り込まれる酸素濃度を調整するために、分圧に換算して1.3×10−4〜7×10−2Pa台の酸素を添加しても構わない。さらに、酸素の他にO、N、NO、HO、NH等を目的に応じて用いることができる。
薄膜層の抵抗値を調整するために、水を意図的に1.3×10−4〜3×10−2Paの範囲で導入しても構わない。この調整は、一旦真空槽を排気した後に、バリアブルリークバルブやマスフローコントローラーを用いて水を導入することで行っても良い。また、真空槽の背圧を制御することによっても実施することができる。
水分圧を決定するときには、差動排気型のインプロセスモニターを用いても良い。またはダイナミックレンジが広く、0.1Pa台の圧力下においても計測が可能な四重極質量分析計を用いても良い。また、一般的に、1.3×10−5Pa程度の真空度においては、その圧力を形成しているのは水である。よって、真空計によって計測された値をそのまま水分圧と考えても構わない。
本発明においては、芳香族ポリアミドからなる基材フィルムを用いているため、フィルム温度を当該芳香族ポリアミドの分解温度より上昇させることはできない。よって、薄膜層を形成する時の温度は、室温以下程度から軟化点温度以下とする必要がある。本発明においては、基材の温度を450℃以下の温度に保ったまま薄膜層を形成することが好ましい。より好ましくは80℃以下の温度にて、さらに好ましくは60℃以下である。
本発明においては、前記IZOなどの薄膜層の上に銅の薄膜層が形成されてなる。この銅薄膜層の形成方法としては、緻密で均質な膜を安定して生産できるという特徴から、スパッタリング法を使って行うことが好適である。該法におけるスパッタ製膜法は、真空熱蒸着法とかイオンプレーティング法とは異なり、低圧ガス中で加速させた荷電粒子をターゲットに照射し、ターゲット表面の原子、分子を反跳せしめてシート状基体面に薄膜状に沈着せしめる方法であり、荷電粒子の発生法の違いになどよって2極〜3極DCスパッタ、2極RFスパッタ、イオンビームスパッタ、マグネトロンスパッタの各方法がある。ニクロム合金の場合にはいずれの方法でも用いることができるが、特に該合金に対しては、低温で高速のスパッタ蒸発が可能である直流マグネトロンスパッタリング法を用いることが望ましい。またターゲットにおける異常放電の影響を最小限に留める方法として数kHzないしは数十kHzの周波数で、かつスパッタ時のターゲットにおける電源電圧の数十%の電圧を交流電源で印加する方法を併用することも有用である。
例えば、直流マグネトロンスパッタリングは、一般に高純度のアルゴンガス雰囲気でその動作圧を5×10−4〜5×10−2Torrに調整し、直流電源によって電圧を印加することによって行う。現実に実用化されている装置としては、シリンドリカルタイプ、スパッタガンタイプ及びプレーナータイプがあるが、本発明における基材は芳香族ポリアミドのシートであり、これを平行に供給しつつ連続生産することが可能であることと、目的とする密着力確保のために十分な出力を保持しているがためにプレーナータイプが望ましい。
銅薄膜の厚さは、後工程(電解銅めっき等)に必要な導電性の点から検討して決めればよいが、大略50〜600nm、好ましくは100〜400nmである。500nmよりも薄いと電解メッキに必要なだけの導電性が得られない。また600nmより厚くすることは、製膜時の応力を基材フィルムに多大に与えるがためにその取扱易さを損ねることがあり、またそれだけの膜厚で銅薄膜をスパッタリング製膜することは生産性の点でも有利とはいえない。
以上に説明するインジウムを主成分とする薄膜層及び銅の膜形成は、シート状基体の両面にも同様に行うことができるので、この場合には両面フレキシブルプリント回路用基板として得られる。
最終的に得られた銅薄膜形成のシート状基板は、特にフレキシブルプリント回路基板として有効に使用されるが、そのためのプリント回路作成法は、一般の銅箔張りFPCの場合と特に差はない。例えば、印刷法、ドライフィルム法等によりエッチングレジスト膜を作製し、塩化第二鉄等で不必要な銅膜とニクロム合金膜をエッチングして除去すること、得られた銅回路を絶縁膜でマスキングする、端子を半田付けする、穴明け加工すること等は同様に行われる。但し、銅箔とは異なり、銅層が薄いのでエッチングが早い。従ってサイドエッチング等の好ましくない現象がないので、回路パターンの再現性に極めて優れ、より微細回路が作製できるという大きなメリットがある。この微細回路が作製できるのは、密着層としてのインジウム薄膜層の優れた密着力によると考えられる。
以下本発明の実施例を述べるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリマー基材として厚み9μmポリアミドフィルム「アラミカ」(帝人アドバンストフィルム社製:ポリパラフェニレンテレフタルアミド)を用い、該ポリアミドフィルムの表面をスパッタリング製膜法により、金属薄膜層として20nmの厚みのIZOを積層し、次いで200nmの厚みの銅薄膜を積層した。さらにこのフィルムを硫酸銅水溶液下で電解めっきし8μmの厚みの銅を積層した。
幅1100mm長さ1000m厚さ9μmのポリマー基材を真空装置内にて巻き出してロールのまま順次使用した。ポリマー基材への金属層の形成には、長さ1600mmのスパッタリングターゲットが装着可能な巻き取り式DCマグネトロンスパッタリング製膜装置を使用した。密着層薄膜形成のために出光興産(株)製IZO(酸化亜鉛含有率7.5重量%)をスパッタリングターゲットとして用いて薄膜の積層を行った。さらに銅薄膜の積層のために無酸素銅(純度99.95%以上)をスパッタターゲットとして用い、銅薄膜を積層した。真空槽を真空度2×10-4torr以下まで真空引きし、アルゴンガスを8×10-1torr、酸素ガスを4×10-3Pa導入し、IZOターゲットに直流電圧を印加してプラズマ放電させてフィルム基材上にIZO膜を20nm積層させた。次にアルゴンガスのみを8×10-1torr導入し、銅ターゲットに直流電圧を印加することによってプラズマ放電させ、IZO膜を積層した表面上へさらに銅薄膜を200nm積層した。電解めっきについては、めっき液として銅含有量70g/リットル、硫酸含有量200g/リットル、の硫酸銅水溶液に、添加剤として塩化物イオン含有量50mg/リットル相当、奥野製薬工業(株)製トップルチナSF−Mを標準規定量添加したものを用い、めっき装置として山本鍍金試験器(株)製4インチウェーハ用精密めっき装置を使用し、25℃の温度下で攪拌を行いながら、電流密度2A/dmにて電解めっきを行い、8μmの厚みになるまで銅の積層を行った。
[実施例2]
密着層薄膜形成のために三井金属(株)製ITO(酸化錫含有率5重量%)をスパッタリングターゲットとして用い、真空槽を真空度2×10-4Pa以下まで真空引きし、アルゴンガスを8×10-1Pa、酸素ガスを6×10-3Pa導入し、ITOターゲットに直流電圧を印加することによってプラズマ放電させてフィルム基材上にITO膜を20nm積層させた他は、実施例1と同様にしてプリント回路用基板を作製した。
[密着力の測定]
JIS C−5016(1994)に基づき、50mm/minの速度にて90度剥離の方法にて引きはがし強さの測定を行った。本規定に示す引きはがし強さを密着力とする。表1に実施例で作成した試料の評価結果を示す。
[エッチング特性]
実施例において作製したプリント用基板を、JIS C−5016付図1のテストパターンの形状にマスキングし、40重量%濃度の塩化鉄水溶液を40℃に保持した状態で攪拌しながら非マスキング部分のエッチングを行った。非マスキング部分の銅層が目視にて除去を確認した後にさらに30秒エッチングし、マスク除去、洗浄の後、2電極間に500Vの直流電圧を印加し、フラッシュオーバーが無きことを以てエッチング特性良好とした。
Figure 2006147857
本発明のフレキシブルプリント回路用基板は、耐久性に優れるので、高信頼性を有し、したがって、フレキシブルプリント回路基板用の材料として極めて有用である。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリアミドからなるシート状基材に銅の薄膜層を設けてなるフレキシブルプリント回路用基板であって、該シート状基材と該銅の薄膜層との間にインジウムを主成分とする薄膜層を介在せしめてなることを特徴とするフレキシブルプリント回路用基板。
  2. インジウムを主成分とする薄膜層が、亜鉛をインジウムに対して重量比で1対99の割合ないしは15対85の割合で含有するインジウムの酸化物からなる、請求項1記載のフレキシブルプリント回路用基板。
  3. インジウムを主成分とする薄膜層の厚さが3nm〜50nmの範囲である、請求項1または2記載のフレキシブルプリント回路用基板。
  4. 銅の薄膜層及びインジウムを主成分とする薄膜層が、いずれもスパッタ製膜法によって形成される部分を含むものである、請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路用基板。
  5. 銅の薄膜層のインジウムを主成分とする薄膜層とは反対側に、さらに電解めっき法により導電性金属層を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のフレキシブルプリント回路用基板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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