JP2006147244A - イオン注入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 基板に入射する際のイオンビームの平行度測定が可能で平行度の調整が容易なイオン注入装置を提供する。
【解決手段】 イオン注入装置において、走査器により走査されたイオンビームの空間分布を測定するイオンビーム分布測定装置30と、このイオンビーム分布測定装置30の上流側前面に配置され、イオンビーム分布測定装置30の前面から取り外し可能で、かつ、複数の開口22を有する遮蔽板20と、この遮蔽板20の複数の開口22を透過したイオンビームの空間分布を測定することにより、当該複数の領域でのイオンビームの平行度を検出する電気回路等の平行度検出機能とを有し、基板に入射するイオンビームの平行度を測定する平行度測定装置10を備えた構成とした。
また、平行化電磁石の一方の縦ヨークに、平行化電磁石の主励磁コイルとは独立に励磁電流の調整が可能な補助コイルを取り付けると、平行度の調整が容易になる。
【選択図】 図1
【解決手段】 イオン注入装置において、走査器により走査されたイオンビームの空間分布を測定するイオンビーム分布測定装置30と、このイオンビーム分布測定装置30の上流側前面に配置され、イオンビーム分布測定装置30の前面から取り外し可能で、かつ、複数の開口22を有する遮蔽板20と、この遮蔽板20の複数の開口22を透過したイオンビームの空間分布を測定することにより、当該複数の領域でのイオンビームの平行度を検出する電気回路等の平行度検出機能とを有し、基板に入射するイオンビームの平行度を測定する平行度測定装置10を備えた構成とした。
また、平行化電磁石の一方の縦ヨークに、平行化電磁石の主励磁コイルとは独立に励磁電流の調整が可能な補助コイルを取り付けると、平行度の調整が容易になる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、イオン注入装置に係り、特に、基板に入射する際のイオンビームの平行度が測定できるイオン注入装置、及び、イオンビームの平行度調整が容易なイオン注入装置に関する。
イオン源からのイオンを所望のエネルギーに加速又は減速し、半導体等の固体表面に注入する種々のタイプのイオン注入装置が実用に供されている(特許文献1参照)。
以下、従来のイオン注入装置の具体例として、非特許文献1記載のものについて、図5を用いて説明する。
図5は、従来のイオン注入装置の概略構成を示す平面図である。
以下、従来のイオン注入装置の具体例として、非特許文献1記載のものについて、図5を用いて説明する。
図5は、従来のイオン注入装置の概略構成を示す平面図である。
イオン注入装置100の主要構成は、図5に示すように、イオン源110、質量分離器120、質量分離スリット130、加減速管140、四重極レンズ150、走査器160、平行化装置170、イオンビーム分布測定装置190である。
なお、同図中、180は、図示しないエンドステーションに配置されたイオンを注入するターゲットとなる基板である。
また、BMは、中心軸(以下、「光軸」ともいう)を中心に進行するイオンであるが、以下、「イオンビーム」又は「ビーム」という場合がある。
なお、同図中、180は、図示しないエンドステーションに配置されたイオンを注入するターゲットとなる基板である。
また、BMは、中心軸(以下、「光軸」ともいう)を中心に進行するイオンであるが、以下、「イオンビーム」又は「ビーム」という場合がある。
以下、イオン注入装置100の上記各主要構成について、順次、補足説明する。
先ず、イオン源110は、原子や分子から電子を剥ぎ取ってイオンを生成する装置であり、図示しない引き出し口に高電圧を印加して、イオン源110内のイオンを引き出す。
先ず、イオン源110は、原子や分子から電子を剥ぎ取ってイオンを生成する装置であり、図示しない引き出し口に高電圧を印加して、イオン源110内のイオンを引き出す。
質量分離器120は、イオンや電子等の荷電粒子が磁場又は電場中で偏向される性質を利用して、磁場、或いは、電場、又は、その双方を発生して、基板180に注入したいイオン種を特定するための装置である。
図5では、磁場の作用によりイオンBMを選定するタイプの質量分離器120で図示されている。
図5では、磁場の作用によりイオンBMを選定するタイプの質量分離器120で図示されている。
加減速管140は、質量分離スリット130を通過した所望のイオン種を加速又は減速する装置であるが、図5に示すように、通常は軸対象で、複数の電極を等間隔に並べ、それらの電極に等しい高電圧を印加して、静電界の作用により、イオンビームBMを所望の注入エネルギーに加速又は減速する。
四重極レンズ150は、イオンビームBMの基板180上でのビームスポット形状を調整するために、図5に示すように、加減速管140と走査器160との間に設置される場合が多い。
四重極レンズ150は、光学上の凸レンズが光を収束するのと同様に、イオンビームBMがその進行方向に対して垂直な平面において収束させる機能を有する。
四重極レンズ150は、光学上の凸レンズが光を収束するのと同様に、イオンビームBMがその進行方向に対して垂直な平面において収束させる機能を有する。
走査器160は、イオンビームBMの進行方向と直交する方向に一様な外部電界を発生させ、この電界の極性や強度を変化させることにより、イオンの偏向角度を制御し、図5に示すように、基板180の注入面の所望の位置にイオンBMを走査し、均一に注入する。
図5に示すものでは、1kHz程度の高速で走査されている。
図5に示すものでは、1kHz程度の高速で走査されている。
以下、所望のイオン種を注入したい基板170の注入面を含む平面を「走査面」といい、また、イオンビームBの「走査方向」とは、走査器160によりイオンビームが偏向される方向をいうものとする。
平行化装置170は、荷電粒子であるイオンBMが磁場中で偏向される性質を利用して、イオンビームBMを構成する各イオンの経路の違いによって、ビームの広がりを抑えて、ビームBMを基板180に平行に入射させる電磁石である。
従って、以下、「平行化装置」を「平行化電磁石」という場合がある。
従って、以下、「平行化装置」を「平行化電磁石」という場合がある。
次に、この平行化装置170の基本動作を説明する。
一般に、図5に示す平行化電磁石170のような扇形電磁石は、イオンビームBMを収束させる収束レンズ作用を持つ。
そこで、扇形電磁石である平行化装置170の焦点位置が、走査器160の偏向中心に一致するように配置することにより、平行化装置170を通過したイオンビームは走査器160での走査角度に依存せずに一定の角度になる。
従って、走査器160の下流側に平行化装置170を、上記した位置関係となるように配置することにより、イオンビームBMをスキャンさせても、平行に基板180に注入することができる。
一般に、図5に示す平行化電磁石170のような扇形電磁石は、イオンビームBMを収束させる収束レンズ作用を持つ。
そこで、扇形電磁石である平行化装置170の焦点位置が、走査器160の偏向中心に一致するように配置することにより、平行化装置170を通過したイオンビームは走査器160での走査角度に依存せずに一定の角度になる。
従って、走査器160の下流側に平行化装置170を、上記した位置関係となるように配置することにより、イオンビームBMをスキャンさせても、平行に基板180に注入することができる。
図5に示すように、基板180の下流側にはイオンビームBMの走査面における空間分布を測定するためのイオンビーム分布測定装置190を設置する場合がある。
従来のイオンビーム分布測定装置190は非特許文献2に記載されているが、図5に示すように、複数の小さなファラデーカップ192が所定幅の間隙を隔てて、ビームの走査方向に多数並んだ構造となっている。
従来のイオンビーム分布測定装置190は非特許文献2に記載されているが、図5に示すように、複数の小さなファラデーカップ192が所定幅の間隙を隔てて、ビームの走査方向に多数並んだ構造となっている。
従来のイオンビーム分布測定装置190によりイオンビームBMの空間分布を測定する場合は、基板180を、機械的にイオンビームBMの照射面から外し、走査器160により走査されたイオンビームBMを、イオンビーム分布測定装置190の全面に照射し、この状態でイオンビームBMの空間分布を測定する。
通常は、基板180にイオン注入を行う前に、イオンビームBMの空間分布を予め測定し、この分布ができるだけ一様になるように走査器160での走査波形を調整する。
通常は、基板180にイオン注入を行う前に、イオンビームBMの空間分布を予め測定し、この分布ができるだけ一様になるように走査器160での走査波形を調整する。
ここで言う走査波形の調整とは、例えば、イオンビームBMのドーズ量の分布が、ある領域で平均より5%多いとすると、その領域に対応する走査角度での走査速度が5%速くなるように、走査器160に印加する外部電界の波形を制御することである。
以上の構成において、次に、従来のイオン注入装置100の基本動作を図5を用いて説明する。
従来のイオン注入装置100では、基板180のイオンビームBMの注入面全面に渡って一様な密度で所定のイオン種を所定のエネルギーでイオン注入を行うために、イオン源110から30keV程度のエネルギーで引き出されたイオンビームBMは、質量分離器120で偏向され、質量分離スリット130で所定のイオン種のみが選別される。
従来のイオン注入装置100では、基板180のイオンビームBMの注入面全面に渡って一様な密度で所定のイオン種を所定のエネルギーでイオン注入を行うために、イオン源110から30keV程度のエネルギーで引き出されたイオンビームBMは、質量分離器120で偏向され、質量分離スリット130で所定のイオン種のみが選別される。
選別されたイオンビームBMは加減速管140で、10乃至500keVの所定のエネルギーに加速又は減速され、上述したように、外部電界を走査器160に印加し、この電界の極性や強度を変化させることにより、イオンBMの光軸に直交する一つの面内(通常は水平面内)で、±数°程度の角度で、イオンBMを走査し、更に、平行化装置170により平行化された後に、基板180の機械的な走査と組み合わせ、基板180の注入面上に走査される。
なお、上記では、外部電界によりイオンビームBMをスキャンする静電タイプの走査器160を取り上げたが、走査器160には静電タイプの代わりに磁気タイプのものが用いられる場合がある。
なお、上記では、外部電界によりイオンビームBMをスキャンする静電タイプの走査器160を取り上げたが、走査器160には静電タイプの代わりに磁気タイプのものが用いられる場合がある。
イオンBMが固体中に入り込む深さは、イオンBMのエネルギーで正確に制御できるので、例えば、イオン注入装置100の立ち上げ時等で、イオンビームのドーズ量分布をモニタリングすることにより、基板180の注入面にイオンビームBMを走査することにより所望のイオン種の均一なイオン注入処理が容易に行える。
ところで、半導体デバイスの微細化に伴い、イオン注入装置においても、基板に注入されるイオンビームの平行度に対する要求がますます厳しくなっている。
具体的には、基板全面に渡って±0.1°程度の平行度を維持することが望ましい。
具体的には、基板全面に渡って±0.1°程度の平行度を維持することが望ましい。
一方、平行化電磁石のような電磁石の磁場分布の形状は、電磁石を構成する磁極の形状とは若干異なるが、このことを図5を用いて補足説明する。
平行化電磁石170のような電磁石のイオンビームBMの軸方向の磁場分布は、イオンビームBMの入射側磁極端面170aで急に設計磁場強度に立ち上がり、出射側磁極端面170bで、急に0に立ち下がるのではなく、磁極端面170a、170b近傍内側からなだらかに設計値から0に収束するテール状の漏洩磁場を持つ形状である。
平行化電磁石170のような電磁石のイオンビームBMの軸方向の磁場分布は、イオンビームBMの入射側磁極端面170aで急に設計磁場強度に立ち上がり、出射側磁極端面170bで、急に0に立ち下がるのではなく、磁極端面170a、170b近傍内側からなだらかに設計値から0に収束するテール状の漏洩磁場を持つ形状である。
また、一般に、電磁石の磁極やヨークを構成する純鉄などの磁性材料の透磁率が、特に、磁気飽和を起こす近傍で非線形特性を持つために、磁場の強さによっても上記した磁場分布の形状が若干異なる場合もある。
以下、平行化電磁石の磁場分布形状が、磁極の形状とは若干異なることや、磁場の強さによって若干異なることによる問題点を、図6を用いて具体的に説明する。
図6は、従来のイオン注入装置100において、平行化装置170を通過したイオンビームBMが平行でなくなってしまう問題を説明するための、平行化電磁石170近傍の平面図である。
図6は、従来のイオン注入装置100において、平行化装置170を通過したイオンビームBMが平行でなくなってしまう問題を説明するための、平行化電磁石170近傍の平面図である。
一般に、イオンビームBMの注入エネルギーと、電磁石における旋回半径と、そのときの電磁石の磁束密度Bの関係は、次式(1)で与えられる。
ここで、Rは、電磁石でのイオンビームBMの旋回半径、eはイオンの電荷、φはイオンの持つ静電ポテンシャル、mはイオンの質量である。
なお、イオンの注入エネルギーはeφで与えられる。
なお、イオンの注入エネルギーはeφで与えられる。
従って、イオン種や注入エネルギーの異なるイオンビームBMを設計されたビームライン上を進行させるためには、平行化電磁石170中のイオンビームBMの旋回半径Rを一定に保持しなければならない。
このためには、イオンの種類や注入エネルギーに対応して、平行化電磁石170の磁場の強度を変化させる必要がある。
このためには、イオンの種類や注入エネルギーに対応して、平行化電磁石170の磁場の強度を変化させる必要がある。
このような理由により、イオン種や注入エネルギーによって平行化電磁石170の実効的な磁場端面が設計値と若干異なり、走査器160の偏向中心と平行化装置170の焦点が設計値と若干ずれる可能性がある。
この結果、従来のイオン注入装置100では、平行化電磁石170を通過した後のイオンビームBMの角度が走査角度によって若干異なり、基板180上の位置によって注入角度が変化してしまうという問題があった。
この結果、従来のイオン注入装置100では、平行化電磁石170を通過した後のイオンビームBMの角度が走査角度によって若干異なり、基板180上の位置によって注入角度が変化してしまうという問題があった。
ここで、上記した「有効端面」について補足説明をする。
上述したように、電磁石は磁極端面で漏洩磁場を持つが、ビームラインの設計段階では、この漏洩磁場の形状を考慮して補正した実効的な磁場の端面を算出して、電磁石の磁場は、入射側有効端面から設計磁場強度に立ち上がり、出射側有効端面で0に立ち下がり、有効端面間では一様磁場であるという矩形の等価の磁場形状に近似する。
こうすると、一様磁場中では、荷電粒子は円軌道又は円弧軌道を描くことは良く知られているので、イオンビームBMの電磁石入出射前後の軌道は、電磁石中の一様磁場に入射するまでは直線になり、電磁石中では、上述したように旋回半径Rの円弧となり、イオンビームBMの軌道解析が非常に簡単になる。
上述したように、電磁石は磁極端面で漏洩磁場を持つが、ビームラインの設計段階では、この漏洩磁場の形状を考慮して補正した実効的な磁場の端面を算出して、電磁石の磁場は、入射側有効端面から設計磁場強度に立ち上がり、出射側有効端面で0に立ち下がり、有効端面間では一様磁場であるという矩形の等価の磁場形状に近似する。
こうすると、一様磁場中では、荷電粒子は円軌道又は円弧軌道を描くことは良く知られているので、イオンビームBMの電磁石入出射前後の軌道は、電磁石中の一様磁場に入射するまでは直線になり、電磁石中では、上述したように旋回半径Rの円弧となり、イオンビームBMの軌道解析が非常に簡単になる。
ところで、上記したように、従来のイオン注入装置100では、平行化装置170を通過した後のイオンビームBMの角度が走査角度によってよって若干異なり、基板180上の位置によって注入角度が変化してしまうという問題がある。
この平行化装置170の有効端面が設計値と異なってしまうことによって、平行化装置170を通過したイオンビームが平行でなくなってしまう従来装置100の問題を図6を用いて説明する。
この平行化装置170の有効端面が設計値と異なってしまうことによって、平行化装置170を通過したイオンビームが平行でなくなってしまう従来装置100の問題を図6を用いて説明する。
図6に示すように、平行化装置170において、イオンビームBMの入射側の有効端面の設計値をA1、出射側の有効端面の設計値をB1とする。
一方、入射側の実際の有効端面をA2、出射側の実際の有効端面をB2とし、走査器160における偏向中心をCとする。
一方、入射側の実際の有効端面をA2、出射側の実際の有効端面をB2とし、走査器160における偏向中心をCとする。
なお、以下、平行化電磁石170の作る磁場は、上記した通り、設計値では、入射側の有効端面A1から設計磁場強度に立ち上がり、出射側の有効端面B1から0に立ち下がり、入射側の有効端面A1から出射側の有効端面B1の間は設計された一様磁場であるという近似を行う。
また、実際上の有効端面A2、B2における磁場についても同様の近似を行う。
また、実際上の有効端面A2、B2における磁場についても同様の近似を行う。
このようにすると、入射側の有効端面A1から出射側の有効端面B1までは、イオンビームBMは円弧軌道を描くと見なすことができるので、平行化電磁石170が作るイオンビームBMの軌道は、設計上では、基板180の中央に到達させるイオンビームBMの軌道は実線K3のようになり、走査器160で外側に偏向されたイオンビームBMの軌道は実線K4のようになるはずである。
しかし、有効端面が、上述した理由などにより、有効端面A2、B2のように変化した場合、基板180の中央に到達させるイオンビームBMの軌道は破線K5のようになり、走査器160で外側に偏向されたイオンビームBMの軌道は破線K6のようになる。
即ち、従来のイオン注入装置100では、平行化電磁石170を通過した後のイオンビームBMの平行度が、走査器160による走査角度に依存して変化してしまうことが示される。
即ち、従来のイオン注入装置100では、平行化電磁石170を通過した後のイオンビームBMの平行度が、走査器160による走査角度に依存して変化してしまうことが示される。
ところで、平行化電磁石170の入射部及び出射部の端面170a、170bは、基板180の中央に到達させるイオンビームBMに対して斜めの角度を持たせたり曲線としたりする(図5では斜め入出射)。
しかし、ここでは、以下、具体的には数値を検討するに当たり、簡単のために平行化電磁石170の入射部及び出射部の端面170a、170bは、基板180の中央に到達させるイオンビームBMに対して垂直であるとし、かつ、線形光学理論で考える。
しかし、ここでは、以下、具体的には数値を検討するに当たり、簡単のために平行化電磁石170の入射部及び出射部の端面170a、170bは、基板180の中央に到達させるイオンビームBMに対して垂直であるとし、かつ、線形光学理論で考える。
平行化電磁石170における基板180の中央に到達させるイオンビームの偏向角をθ、イオンビームの旋回半径をR、走査器160の偏向中心Cと平行化電磁石170の有効端面A1までの距離をLとし、走査器160を通過後のイオンビームが基板180中央に到達させるイオンビームBMとなす角をδ1とすると、平行化電磁石170を通過後のイオンビームBMが基板180の中央に到達させるイオンビームとなす角δ2は、次式(2)で与えられる。
従って、例えば、平行化電磁石170の偏向角θを60°、旋回半径Rを0.8mとすると、走査器160の偏向中心Cと有効端面A1との距離Lが、0.461mであるとすれば、平行化電磁石170を通過後の角度δ2は、走査器160を通過後の角度δ2に依存せずに常に0°である。
しかし、有効端面A2、B2が入射側および出射側でそれぞれΔL=20mm広がったとする。
この場合、平行化電磁石170での基板180の中央に到達させるイオンビームBMの偏向角θが設計値と一致するためには、平行化電磁石170での旋回半径R´は、
R´=R+2ΔL/θ ・・・ (3)
とする必要があるため、R´=0.838mとなる。
この場合、平行化電磁石170での基板180の中央に到達させるイオンビームBMの偏向角θが設計値と一致するためには、平行化電磁石170での旋回半径R´は、
R´=R+2ΔL/θ ・・・ (3)
とする必要があるため、R´=0.838mとなる。
また、偏向中心と有効端面との距離は、
L´=L−ΔL
となるため、L´=0.441mとなる。
この結果、走査器160を通過後の角度が5°のイオンビームは、平行化電磁石170を通過後の角度が0.2°となってしまい、上記した平行度に対する要求の上限を超えてしまう。
L´=L−ΔL
となるため、L´=0.441mとなる。
この結果、走査器160を通過後の角度が5°のイオンビームは、平行化電磁石170を通過後の角度が0.2°となってしまい、上記した平行度に対する要求の上限を超えてしまう。
このように、従来のイオン注入装置100では、平行化電磁石170の実際の有効端面A2、B2が、設計値の有効端面A1、B1と異なるなどの理由で、基板180に入射するイオンビームの角度が基板180上の位置によって変化してしまうという問題があった。
また、従来のイオン注入装置100では、イオンビームBMが、基板180に入射する角度が基板180上の異なった位置において微妙にずれてしまうことを測定する手段がなかった。
本発明は、上記従来の課題を解決し、基板に入射する際のイオンビームの平行度が測定できるイオン注入装置、及び、基板に入射する際のイオンビームの平行度調整が容易なイオン注入装置を提供することを目的とする。
本発明のイオン注入装置は、請求項1に記載のものでは、イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、加減速管によりこのイオン種を所望のエネルギーに加速又は減速し、前記イオンを走査器により走査し、平行化電磁石により前記イオンを平行化して半導体ウェーハ等の基板の注入面に注入するイオン注入装置において、前記走査器により走査されたイオンビームの空間分布を測定するイオンビーム分布測定装置と、このイオンビーム分布測定装置の上流側前面に配置され、前記イオンビーム分布測定装置前面から取り外し可能で、かつ、複数の開口を有する遮蔽板と、この遮蔽板の複数の開口を透過したイオンビームの空間分布を測定することにより、当該複数の領域でのイオンビームの平行度を検出する電気回路等の平行度検出機能とを有し、前記基板に入射するイオンビームの平行度を測定する平行度測定装置を備えた構成とした。
請求項2に記載のイオン注入装置は、イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、加減速管によりこのイオン種を所望のエネルギーに加速又は減速し、前記イオンを走査器により走査し、平行化電磁石により前記イオンを平行化して半導体ウェーハ等の基板の注入面に注入するイオン注入装置において、前記平行化電磁石の内側磁極内の磁束密度及び/又は外側磁極内の磁束密度を調整可能とする磁極内磁束密度制御機構を有し、前記平行化電磁石の磁極間磁場強度分布が調整可能である構成とした。
請求項3に記載のイオン注入装置は、前記平行化電磁石の内側磁極内の磁束密度及び/又は外側磁極内の磁束密度を調整可能とする磁極内磁束密度制御機構は、前記平行化電磁石の一方又は双方の縦ヨークに設けられると共に、前記平行化電磁石の主励磁コイルとは独立に励磁電流の調整が可能である補助コイルである構成とした。
請求項4に記載のイオン注入装置は、請求項1に記載の平行度測定装置及び請求項3記載の補助コイルとを具備したイオン注入装置において、前記平行度測定装置により測定されたイオンビームの平行度を測定し、この測定値により平行度のずれを算出し、このずれを補正する電流を前記補助コイルに流す補助コイル用電流制御機能を備え、イオンビームの平行度が所望の設定値以内に制御できるように構成した。
請求項5に記載のイオン注入装置は、請求項1に記載の平行度測定装置及び請求項3記載の補助コイルとを具備したイオン注入装置において、前記平行度測定装置により測定されたイオンビームの平行度を測定し、この測定値より平行度のずれを算出し、このずれが漸次縮小するように前記補助コイルに流す電流量を調整する補助コイル用負帰還電流制御機能を備え、イオンビームの平行度が所望の設定値以内に制御できるように構成した。
本発明のイオン注入装置は、上述のように構成したために、以下のような優れた効果を有する。
(1)請求項1に記載したように構成すると、従来のイオン注入装置では、イオンビームが、基板に入射する角度が基板上の異なった位置において微妙にずれてしまうことを測定する手段がなかったが、平行度を測定することによりそのずれを検出でき、そのずれを補正する迅速な対応が可能となる。
(1)請求項1に記載したように構成すると、従来のイオン注入装置では、イオンビームが、基板に入射する角度が基板上の異なった位置において微妙にずれてしまうことを測定する手段がなかったが、平行度を測定することによりそのずれを検出でき、そのずれを補正する迅速な対応が可能となる。
(2)請求項2に記載したように構成すると、平行化電磁石において磁場の有効端面が種々の要件で変化した場合でも、イオンビームが基板に入射する際の平行度のずれを補正することができる。
(3)請求項3に記載したように構成すると、簡単な構成の磁極内磁束密度制御機構により、平行化電磁石において磁場の有効端面が種々の要件で変化した場合でも、イオンビームが基板に入射する際の平行度のずれを補正することができる。
(4)請求項4に記載したように構成すると、平行化電磁石において磁場の有効端面が種々の要件で変化した場合でも、イオンビームが基板に入射する際の平行度を常時所望の設定値以内に制御できる。
(5)請求項5に記載したように構成すると、平行化電磁石において磁場の有効端面が種々の要件で変化した場合でも、イオンビームが基板に入射する際の平行度を常時所望の設定値以内に制御できる。
本発明のイオン注入装置の第1乃び第2の各実施の形態について、図1乃至図4を用いて、順次説明する。
第1の実施の形態:
先ず、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態について、図1及び図2を用い、図5を参照して説明する。
第1の実施の形態:
先ず、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態について、図1及び図2を用い、図5を参照して説明する。
図1は、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態に用いるイオンビームの平行度測定装置の主要構成を示す斜視図である。
図2は、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態に用いるイオンビームの平行度測定装置の基本動作を説明するための平面図である。
図2は、本発明のイオン注入装置の第1の実施の形態に用いるイオンビームの平行度測定装置の基本動作を説明するための平面図である。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置の基本構成について説明する。
本実施の形態のイオン注入装置のの特徴は、図5に示す従来のイオン注入装置100において、イオンビームBMの平行度測定装置10を平行化電磁石170のビームラインの下流側に配置した点にある。
従って、以下、本実施の形態のイオン注入装置に用いる平行度測定装置10を中心に説明し、それ以外の各構成については、図5に示す従来のイオン注入装置100と同一の構成であり、その説明については割愛するものとする。
本実施の形態のイオン注入装置のの特徴は、図5に示す従来のイオン注入装置100において、イオンビームBMの平行度測定装置10を平行化電磁石170のビームラインの下流側に配置した点にある。
従って、以下、本実施の形態のイオン注入装置に用いる平行度測定装置10を中心に説明し、それ以外の各構成については、図5に示す従来のイオン注入装置100と同一の構成であり、その説明については割愛するものとする。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置に用いる平行度測定装置10の基本構成について説明する。
本実施の形態の平行度測定装置10は、図1に示すように、イオンビーム分布測定装置30とこのイオンビーム分布測定装置30の上流側前面に配置される遮蔽板20である。
本実施の形態の平行度測定装置10は、図1に示すように、イオンビーム分布測定装置30とこのイオンビーム分布測定装置30の上流側前面に配置される遮蔽板20である。
イオンビーム分布測定装置30は、図5に示すもの同様に、小さいファラデーカップ32を多数配置して構成される。
また、遮蔽板20は、図1の矢印に示すように、イオンビーム分布測定装置30の前面から取り外し可能で、複数(図示のものは3)の開口22を有している。
また、遮蔽板20は、図1の矢印に示すように、イオンビーム分布測定装置30の前面から取り外し可能で、複数(図示のものは3)の開口22を有している。
図示は省略するが、本実施の形態のイオンビームBMの平行度測定装置10は、遮蔽板20の複数の開口22を透過したイオンビームBMの空間分布を測定することにより、複数の領域でのイオンビームBMの平行度を検出する電気回路を有している。
次に、本実施の形態のイオン注入装置の平行度測定装置10の基本動作について、図1及び図2を用いて説明する。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置の平行度測定装置10において、平行度を測定する原理について説明する。
図1に示すように、先ず、多数のファラデーカップ32からなるイオンビーム分布測定装置30の前面に機械的にイオンビームの照射面に挿入できると共に、複数の開口22を持つ遮蔽板20を配置する。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置の平行度測定装置10において、平行度を測定する原理について説明する。
図1に示すように、先ず、多数のファラデーカップ32からなるイオンビーム分布測定装置30の前面に機械的にイオンビームの照射面に挿入できると共に、複数の開口22を持つ遮蔽板20を配置する。
基板180がイオンビームBMの照射面から外れている状態では、イオンビームBMはイオンビーム分布測定装置30の全面に走査されている。
この状態で、上記したように遮蔽板20を平行化電磁石170(図5参照)とイオンビーム分布測定装置30の間で、イオンビーム分布測定装置30の前面に配置すると、図2に示すような遮蔽板20の開口22を透過したイオンビームBMの強度分布Sが得られる。
ここで、イオンビームBMの強度分布SのピークPを平行度測定装置10の電気回路により電気的に検出し、それぞれの遮蔽板20の開口22と得られた分布SのピークP位置との幾何学的な関係から、それぞれの開口22を通過したイオンビームBMが、基準軸Jとなす角度δθ(即ち、平行度)が測定できる。
この状態で、上記したように遮蔽板20を平行化電磁石170(図5参照)とイオンビーム分布測定装置30の間で、イオンビーム分布測定装置30の前面に配置すると、図2に示すような遮蔽板20の開口22を透過したイオンビームBMの強度分布Sが得られる。
ここで、イオンビームBMの強度分布SのピークPを平行度測定装置10の電気回路により電気的に検出し、それぞれの遮蔽板20の開口22と得られた分布SのピークP位置との幾何学的な関係から、それぞれの開口22を通過したイオンビームBMが、基準軸Jとなす角度δθ(即ち、平行度)が測定できる。
上述したように、従来のイオン注入装置100では、イオンビームBMが、基板180に入射する角度が基板180上の異なった位置において微妙にずれてしまうことを測定する手段がなかったが、本実施の形態のイオン注入装置のイオンビームBMの平行度測定装置10によれば、平行度δθを測定することによりそのずれを検出でき、後述するように、そのずれを補正する迅速な対応が可能となる。
第2の実施の形態:
次に、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態について、図3及び図4を用い、図5を参照して説明する。
図3は、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態に用いる平行化電磁石の主要構成を示す断面図である。
図4は、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態に用いる平行化電磁石の基本動作を説明するための平面図である。
次に、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態について、図3及び図4を用い、図5を参照して説明する。
図3は、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態に用いる平行化電磁石の主要構成を示す断面図である。
図4は、本発明のイオン注入装置の第2の実施の形態に用いる平行化電磁石の基本動作を説明するための平面図である。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置の基本構成について説明する。
本実施の形態のイオン注入装置の特徴は、第1の実施の形態のイオン注入装置において、平行化電磁石170を改良した点にある。
従って、以下、本実施の形態のイオン注入装置に用いる平行化電磁石40を中心に説明し、それ以外の各構成については、第1の実施の形態の同一の構成であり、その説明については割愛するものとする。
本実施の形態のイオン注入装置の特徴は、第1の実施の形態のイオン注入装置において、平行化電磁石170を改良した点にある。
従って、以下、本実施の形態のイオン注入装置に用いる平行化電磁石40を中心に説明し、それ以外の各構成については、第1の実施の形態の同一の構成であり、その説明については割愛するものとする。
先ず、本実施の形態のイオン注入装置に用いる平行化電磁石40の基本構成について図3を用いて説明する。
この平行化電磁石40の基本構成は、従来の平行化電磁石170同様に、主励磁コイル42、磁極66及び68、ヨーク40a及び40bを備えているが、平行化電磁石40の外側磁極44B内の磁束密度を調整可能とする磁極内磁束密度制御機構として、平行化電磁石40外側磁極66側の縦ヨーク40aに補助コイル50が設けられている。
また、図3から分かるように、平行化電磁石40は、磁極間間隙の形状がH字型のH型電磁石である。
同図において、60は、真空チャンバーであり、イオンビームBMはこの高真空に維持された真空チャンバー60の中を通過する。
この平行化電磁石40の基本構成は、従来の平行化電磁石170同様に、主励磁コイル42、磁極66及び68、ヨーク40a及び40bを備えているが、平行化電磁石40の外側磁極44B内の磁束密度を調整可能とする磁極内磁束密度制御機構として、平行化電磁石40外側磁極66側の縦ヨーク40aに補助コイル50が設けられている。
また、図3から分かるように、平行化電磁石40は、磁極間間隙の形状がH字型のH型電磁石である。
同図において、60は、真空チャンバーであり、イオンビームBMはこの高真空に維持された真空チャンバー60の中を通過する。
図示は省略するが、この補助コイル50は、平行化電磁石40の主励磁コイル42とは独立に励磁電流を供給する電源が接続されている。
また、第1の実施の形態で示した平行度測定装置10により測定されたイオンビームBMの平行度を測定し、この測定値により平行度のずれを算出し、このずれを補正する電流を補助コイルに流す補助コイル用電流制御機能を備えている。
この補助コイル用電流制御機能には予め平行度のずれとそのずれを補正して、イオンビームBMの平行度を所望の設定値以内に制御するために必要な補助コイル50に流す電流量の関係が記憶されている。
また、第1の実施の形態で示した平行度測定装置10により測定されたイオンビームBMの平行度を測定し、この測定値により平行度のずれを算出し、このずれを補正する電流を補助コイルに流す補助コイル用電流制御機能を備えている。
この補助コイル用電流制御機能には予め平行度のずれとそのずれを補正して、イオンビームBMの平行度を所望の設定値以内に制御するために必要な補助コイル50に流す電流量の関係が記憶されている。
また、図3は、平行化電磁石40を上流側から眺めた断面図であり、左側が走査器160で平行化電磁石40の外側に偏向されたイオンビームBMが通過する領域、即ち、外側磁極66を表し、右側が内側磁極68を表すものとする。
なお、図3に示すようなH型電磁石40では、外側磁極66と内側磁極68との明確な境界はないが、中心より左側を外側磁極66、中心より右側を内側磁極68とするものとする。
なお、図3に示すようなH型電磁石40では、外側磁極66と内側磁極68との明確な境界はないが、中心より左側を外側磁極66、中心より右側を内側磁極68とするものとする。
次に、本実施の形態のイオン注入装置の基本動作について、図3及び図4を用いて説明する。
先ず、本実施の形態の平行化電磁石40において、平行度を調整する原理について説明する。
図3に平行化電磁石40のイオンビームBMの光軸に直交する面で、ビームラインの上流から眺めた断面図を示す。
図3において、上述したように、左側が走査器160で平行化電磁石40の外側に偏向されたイオンビームBMが通過する領域を表している。
先ず、本実施の形態の平行化電磁石40において、平行度を調整する原理について説明する。
図3に平行化電磁石40のイオンビームBMの光軸に直交する面で、ビームラインの上流から眺めた断面図を示す。
図3において、上述したように、左側が走査器160で平行化電磁石40の外側に偏向されたイオンビームBMが通過する領域を表している。
イオンビームBMは図面手前側から図面奥側、即ち紙面に垂直に進むとすると、主励磁コイル42による磁場f1は、真空チャンバー60の中で上向きである。
説明のため、補助コイル50は偏向の外側の縦ヨーク40aに取り付けた場合で述べるが、内側の縦ヨーク40bに取り付けても良い。
説明のため、補助コイル50は偏向の外側の縦ヨーク40aに取り付けた場合で述べるが、内側の縦ヨーク40bに取り付けても良い。
先ず、平行化電磁石40において、実際の有効端面A2、B2が設計上の有効端面A1、B1(図6参照)より外側にずれた場合を考える。
図4に示したように、走査器160で平行化電磁石40の外側に走査されたイオンビームBMは外側に、平行化電磁石40の内側に走査されたイオンビームBMは内側に角度を持って出射する。
この場合は、補助コイル50に真空チャンバー60の内部で上向きの磁場が発生するような向きに、補助コイル用電流制御機能によって算出された量の電流を流す。
補助コイル50によって発生された磁束f2は、補助コイル50に近い方に寄って発生するため、外側寄りの磁場は内側寄りの磁場よりも強くなる。
図4に示したように、走査器160で平行化電磁石40の外側に走査されたイオンビームBMは外側に、平行化電磁石40の内側に走査されたイオンビームBMは内側に角度を持って出射する。
この場合は、補助コイル50に真空チャンバー60の内部で上向きの磁場が発生するような向きに、補助コイル用電流制御機能によって算出された量の電流を流す。
補助コイル50によって発生された磁束f2は、補助コイル50に近い方に寄って発生するため、外側寄りの磁場は内側寄りの磁場よりも強くなる。
この状態で基板180の中央に到達させるイオンビームBMの旋回半径が設計値に等しくなるように主励磁コイル42に流す電流を若干弱くすると、平行化電磁石40の外側を通過するイオンビームBMの旋回半径は若干小さくなり、内側を通過するイオンビームBMの旋回半径は若干大きくなる。
この結果、平行化電磁石40の外側を通過するイオンビームBMと内側を通過するイオンビームBMが同じ角度となり、基板180の位置に関わらず一定の角度でのイオン注入ができるようになる。
この結果、平行化電磁石40の外側を通過するイオンビームBMと内側を通過するイオンビームBMが同じ角度となり、基板180の位置に関わらず一定の角度でのイオン注入ができるようになる。
次に、当該原理を図4を用いて検証する。
図4に、走査器160で、平行化電磁石40の外側に偏向されたイオンビームBMの調整前の軌道を実線K1で、調整後の軌道を破線K2で示す。
外側に偏向されたイオンビームBMの平行化電磁石40における旋回半径R″が調整前の旋回半径R´より若干小さくなり外側に開いていたイオンビームBMの軌道が設計通りに基板180の中央に到達させるイオンビームBMと平行になるように修正されていることが分かる。
図4に、走査器160で、平行化電磁石40の外側に偏向されたイオンビームBMの調整前の軌道を実線K1で、調整後の軌道を破線K2で示す。
外側に偏向されたイオンビームBMの平行化電磁石40における旋回半径R″が調整前の旋回半径R´より若干小さくなり外側に開いていたイオンビームBMの軌道が設計通りに基板180の中央に到達させるイオンビームBMと平行になるように修正されていることが分かる。
一方、平行化電磁石40の有効端部A2、B2が設計値より内側にずれた場合は、補助コイル50に逆向きに電流を流せばよい。
また、イオンビーム分布測定装置30でのピークPの位置の基準位置からのずれと補助コイル50の電流量との比例関係を上記した補助コイル用電流制御機能に予め設定しないでも、イオンビーム分布測定装置30でのピークPの位置の基準位置からのずれが小さくなるように、補助コイル50に流す電流を負帰還制御しても良い。
また、イオンビーム分布測定装置30でのピークPの位置の基準位置からのずれと補助コイル50の電流量との比例関係を上記した補助コイル用電流制御機能に予め設定しないでも、イオンビーム分布測定装置30でのピークPの位置の基準位置からのずれが小さくなるように、補助コイル50に流す電流を負帰還制御しても良い。
上述したように、本実施の形態のイオン注入装置の平行度測定装置10は、従来のものとは相違して、イオンビームBMの平行度を容易に調整することができる。
本発明のイオン注入装置は、上記各実施の形態には限定されず、種々の変更が可能である。
先ず、上記第2の実施の形態としては、補助コイルを平行化電磁石の縦ヨークに取り付けたもので説明したが、本発明の特徴は、平行化電磁石の内側磁極内の磁束密度及び/又は外側磁極内の磁束密度を調整し、平行化電磁石の径方向の磁極間磁場強度分布が調整可能としていることである。
従って、補助コイルの取付位置を変更したものや、他の手段によって磁束密度の強度分布を調整するものは、本発明に含まれるのは勿論のことである。
先ず、上記第2の実施の形態としては、補助コイルを平行化電磁石の縦ヨークに取り付けたもので説明したが、本発明の特徴は、平行化電磁石の内側磁極内の磁束密度及び/又は外側磁極内の磁束密度を調整し、平行化電磁石の径方向の磁極間磁場強度分布が調整可能としていることである。
従って、補助コイルの取付位置を変更したものや、他の手段によって磁束密度の強度分布を調整するものは、本発明に含まれるのは勿論のことである。
また、図5に示した構成のイオン注入装置の例で説明したが、必ずしもこの従来例にのみ適用できるのではなく、走査器及び平行度測定装置を備えたイオン注入装置全般に本発明が適用できるのは言うまでもないことである。
10:平行度測定装置
20:遮蔽板
22:開口
30:イオンビーム分布測定装置(ファラデーカップ)
40:平行化電磁石
42:主励磁コイル
40a、40b:平行化電磁石の縦ヨーク
50:補助コイル
66:外側磁極
68:内側磁極
100:イオン注入装置
120:質量分離器
140:加減速管
160:走査器
180:基板
BM:イオンビーム
20:遮蔽板
22:開口
30:イオンビーム分布測定装置(ファラデーカップ)
40:平行化電磁石
42:主励磁コイル
40a、40b:平行化電磁石の縦ヨーク
50:補助コイル
66:外側磁極
68:内側磁極
100:イオン注入装置
120:質量分離器
140:加減速管
160:走査器
180:基板
BM:イオンビーム
Claims (5)
- イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、加減速管によりこのイオン種を所望のエネルギーに加速又は減速し、前記イオンを走査器により走査し、平行化電磁石により前記イオンを平行化して半導体ウェーハ等の基板の注入面に注入するイオン注入装置において、
前記走査器により走査されたイオンビームの空間分布を測定するイオンビーム分布測定装置と、このイオンビーム分布測定装置の上流側前面に配置され、前記イオンビーム分布測定装置前面から取り外し可能で、かつ、複数の開口を有する遮蔽板と、この遮蔽板の複数の開口を透過したイオンビームの空間分布を測定することにより、当該複数の領域でのイオンビームの平行度を検出する電気回路等の平行度検出機能とを有し、前記基板に入射するイオンビームの平行度を測定する平行度測定装置を備えたことを特徴とするイオン注入装置。 - イオンを生成するイオン源からイオンを引き出し、質量分離器により所望のイオン種を選定し、加減速管によりこのイオン種を所望のエネルギーに加速又は減速し、前記イオンを走査器により走査し、平行化電磁石により前記イオンを平行化して半導体ウェーハ等の基板の注入面に注入するイオン注入装置において、
前記平行化電磁石の内側磁極内の磁束密度及び/又は外側磁極内の磁束密度を調整可能とする磁極内磁束密度制御機構を有し、前記平行化電磁石の磁極間磁場強度分布が調整可能であることを特徴とするイオン注入装置。 - 前記平行化電磁石の内側磁極内の磁束密度及び/又は外側磁極内の磁束密度を調整可能とする磁極内磁束密度制御機構は、
前記平行化電磁石の一方又は双方の縦ヨークに設けられると共に、前記平行化電磁石の主励磁コイルとは独立に励磁電流の調整が可能である補助コイルであることを特徴とする請求項2に記載のイオン注入装置。 - 請求項1に記載の平行度測定装置及び請求項3記載の補助コイルとを具備したイオン注入装置において、
前記平行度測定装置により測定されたイオンビームの平行度を測定し、この測定値により平行度のずれを算出し、このずれを補正する電流を前記補助コイルに流す補助コイル用電流制御機能を備え、イオンビームの平行度が所望の設定値以内に制御できるようにしたことを特徴とするイオン注入装置。 - 請求項1に記載の平行度測定装置及び請求項3記載の補助コイルとを具備したイオン注入装置において、
前記平行度測定装置により測定されたイオンビームの平行度を測定し、この測定値より平行度のずれを算出し、このずれが漸次縮小するように前記補助コイルに流す電流量を調整する補助コイル用負帰還電流制御機能を備え、イオンビームの平行度が所望の設定値以内に制御できるようにしたことを特徴とするイオン注入装置。
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