JP2006147240A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 加湿水あるいは冷却水の流路においてエアや異物が詰まった際にそれを回復させることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】 コントローラ113は、燃料電池101の純水通路101cの入口圧力を燃料電池入口純水圧力センサ107で、出口圧力を燃料電池出口純水圧力センサ108で検出する。入口圧力と出口圧力との差圧(圧損)から実純水流量を推定し、実純水流量と目標純水流量との偏差に応じて、純水流量を回復するための異常時純水流量を算出して、純水ポンプに106に指令する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池内部に加湿用または冷却用の液体通路を有する燃料電池システムに関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化剤ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。すなわち、燃料電池車両は、高圧水素タンク、液体水素タンク、水素吸蔵合金タンクなどの水素貯蔵装置を車両に搭載し、そこから供給される水素と、酸素を含む空気とを燃料電池に送り込んで反応させ、燃料電池から取り出した電気エネルギで駆動輪につながるモータを駆動するものであり、排出物質は水だけであるという究極のクリーン車両である。
固体高分子型燃料電池の電解質膜は、湿潤状態で良好な水素イオン導電性を有するため、加湿を行う必要がある。加湿には多孔質膜を介して加湿水をガス流路へ透過させるものが知られている。特許文献1記載の技術では、燃料電池本体の外部に多孔質膜を有する加湿器を設けて、燃料となる水素ガス、酸化剤となる空気をそれぞれ加湿している。また、特許文献2記載の技術では、燃料電池内部のガス流路と冷却水流路とを隔離する多孔質膜を設け、この多孔質膜を介して加湿を行っている。
特開平08−138705号公報(第3頁、図1) 特開平06−068884号公報(第7頁、図1)
しかしながら、上記従来技術においては、加湿水および冷却水の流路に気泡や異物が詰まることにより流量が低下し、加湿不足による電解質膜のドライアウトや冷却不足による温度上昇を引き起こすという問題点があった。
また加湿水または冷却水の流量検出し、検出した流量を用いてフィードバック制御により目標流量を維持するシステムも広く一般的に知られているが、流路に気泡(エア)が噛むことによって不足した流量を補うためにポンプの消費電力が上がってしまうという問題点やエア噛みを放置することで、より大きなエア噛みが発生し、最終的に加湿水や冷却水の循環自体ができなくなる可能性があるといった問題点もあった。
上記問題点を解決するために、本発明は、燃料極に供給された燃料ガスと酸化剤極に供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、前記燃料電池の加湿または前記燃料電池の冷却のために前記燃料電池へ液体を供給する液体供給手段と、前記燃料電池の運転状態に応じて前記液体供給手段の供給量を制御する液体供給量制御手段と、前記液体の供給に異常が生じていることを判断する液体供給異常判断手段と、前記液体供給異常判断手段が異常と判断したときに、液体供給量を増加させる異常時液体供給量増加手段と、を備えたことを要旨とする燃料電池システムである。
本発明によれば、液体の流量に異常を検知した際に、通常時以上の回復流量を供給できるようにするので、不足してしまった流量を補い、かつ、流量の増加によって生じた圧力の上昇が液体の流路に噛んでしまった気泡、または、小さな異物などを押し流すことができる。結果、液体流量の異常を回復させることができる。
異常を検知した際に流す回復流量は多ければ多いほど気泡や小さな異物を押し流す効果が高い。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。尚、以下に説明する各実施例は、特に限定されないが燃料電池車両に好適な燃料電池システムである。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を示す概略構成図である。図1において、燃料電池システムは、カソード(酸化剤極)101aに供給された酸化剤ガスとアノード(燃料極)101bに供給された燃料ガスの電気化学反応により発電する燃料電池101と、カソード101aへ酸化剤ガスとしての空気を供給するコンプレッサ102と、空気の圧力を制御するスロットル103と、図外の水素タンクから供給される燃料ガスとしての水素の圧力・流量を制御する可変バルブ104と、純水を貯蔵する純水タンク105と、純水タンク105の純水を燃料電池101の純水通路101cへ供給する純水ポンプ106と、燃料電池の入口純水圧力を検出する燃料電池入口純水圧力センサ107と、燃料電池の出口純水圧力を検出する燃料電池出口純水圧力センサ108と、三方弁109と、バイパス通路110と、ラジエータ111と、ラジエータファン112と、コントローラ113とを備えている。
本実施例では、純水ポンプ106により燃料電池101に供給される純水は、加湿水及び冷却水の機能を併せ持っているが、加湿のみ、または冷却のみの機能を純水に行わせることも可能である。尚、純水により燃料電池101の加湿のみを行う場合には、図1の構成要素として、三方弁109、バイパス流路110、ラジエータ111、ラジエータファン112は不要であり、燃料電池101の純水通路101cの出口から直接純水タンク105へ戻る構成とすればよい。
コントローラ113は、図示しない目標発電電流、燃料電池入口純水圧力センサ107及び燃料電池出口純水圧力センサ108の検出信号を取り込み、内蔵された制御ソフトウエアに基づいて、コンプレッサ102、スロットル103、可変バルブ104、純水ポンプ106、三方弁109、ラジエータファン112を制御することにより、燃料電池101の発電量、加湿状態及び温度を適切に制御する。
コンプレッサ102では空気が圧縮されて燃料電池101のカソード101aへ送り込まれる。高圧水素は可変バルブ104で圧力・流量が制御され、燃料電池101のアノード101bへ送られる。
燃料電池101では供給された空気と水素とを反応させて発電を行う。尚、以下の説明では、空気と水素とを合わせてガスと呼ぶ場合もある。
燃料電池101で反応に使用した残りの空気はスロットル103で圧力制御が行われた後、排出される。また、燃料電池の触媒反応を活性化及びまたは電解質膜の水素イオン伝導度を向上させるための加湿用の純水は、純水タンク105から純水ポンプ106によって圧送されて燃料電池101の純水通路101cへ送り込まれる。
カソード101aとアノード101bに対して純水通路101cは透水性の多孔質膜によって区切られている。カソード101a及びアノード101bのガス圧力より高い圧力で圧送された純水は、純水通路101cから多孔質膜を介してカソード101aとアノード101bへ透過し、カソード101aとアノード101bの電極自体、またはこれらに供給される空気と水素ガスの加湿を行う。
図2は、コントローラ113内部の構成を説明する制御ブロック図である。通常時目標純水流量演算部201と通常時目標ガス圧力演算部202は、燃料電池101の目標発電電流に基づき、それぞれ通常運転時の目標純水流量と通常運転時の目標ガス圧力を演算する。純水実流量推定部203では、燃料電池入口純水圧力センサ107と燃料電池出口純水圧力センサ108との検出値に基づて、例えば予め記憶した燃料電池101の純水通路101cの圧損や流路抵抗を用いて純水実流量を推定する。
純水流量異常判断部204では最終目標純水流量設定部208から純水ポンプ106へ指令されている最終的な目標純水流量と純水実流量推定部203で演算した純水実流量とを比較し、この差が所定値を超えた場合に純水流量の異常と判断する。異常時目標純水流量演算部205では、純水流量異常の回復を行うための一時的に増加させる純水流量である異常時目標純水流量を最終的な目標純水流量と純水実流量に基づいて演算する。
異常時制限目標純水流量演算部206では、システムが許容する上限純水圧力やガス圧力と純水圧力との差圧の上限値を満足するように、最終目標ガス圧力設定部210から水素圧力を制御する可変バルブ104や空気圧力を制御するスロットル103へ指令されている最終的な目標ガス圧力に基づいて、入力される異常時目標純水流量を制限し、異常時制限目標純水流量を演算する。
ただし、純水流量異常頻度判断部207が純水流量を異常と判断しない時間に基づき、純水流量異常の頻度を判断している純水流量異常頻度判断部207が純水流量の異常が頻発していると判断したならば、一時的ならば守らなくても良い流量制限(ガスと純水の差圧など)は実施しない。
最終目標純水流量設定部208では、純水流量異常判断部204によって純水流量が異常であると判断した場合には異常時制限目標純水流量、異常でない場合には通常時目標純水流量を選択して最終的な目標純水流量に設定し、これを純水ポンプ106へ指令する。
異常時目標ガス圧力演算部209は、異常時目標純水流量に基づき、守らねばならないガス圧と純水の差圧によって異常時目標純水流量が制限されないような異常時目標ガス圧力を演算する。最終目標ガス圧力設定部208では、純水流量異常判断部204によって純水流量が異常であると判断した場合には異常時目標ガス圧力、異常でない場合には通常時目標ガス圧力を選択して最終的な目標ガス圧力に設定し、この目標ガス圧力となるように可変バルブ104やスロットル103へ指令する。
図3にコントローラ113内部で行われる制御のメインフローチャートを示す。この処理は、例えば10[msec]毎に実行される。
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す)301で、図4に示すようなあらかじめ実験や机上検討から決定した目標発電電流と目標純水流量の特性から、コントローラ113に入力される目標発電電流Atを用いて通常時目標純水流量Qtnを演算する。同様に図5に示すようなあらかじめ実験や机上検討から決定した目標発電電流と目標ガス圧力の特性からコントローラ113に入力される目標発電電流Atを用いて通常時目標ガス圧力Ptnを決定する。
S302で燃料電池入口純水圧力センサ107から燃料電池入口純水圧力Pwin、燃料電池出口純水圧力センサ108から燃料電池出口純水圧力Pwoutを読み込む。
S303では、PwinからPwoutを引いた値である純水通路101cにおける入口出口の差圧から、図6に示すようなあらかじめ実験や机上検討から決定した純水の燃料電池圧損に対する純水流量の特性を参照して、実純水流量Qrを求める。これにより、流量センサを設けることなく、設置の容易な圧力センサの検出値から実流量を推定することができる。
S304では、前回のS312実行時に演算された目標純水流量Qtから実純水流量Qrを引いた値である純水流量偏差Qeを求める。
S305では、図7に示すようなマップを参照して、純水流量偏差Qeから異常時目標純水流量Qteを演算する。図7のマップは、あらかじめ実験や机上検討から決定した純水流量偏差と異常時目標純水流量との関係である。これは、純水流量偏差に対して、この純水流量偏差を生じている気泡や異物を押し流して解消することができるだけの一時的に増加させた純水流量である異常時目標純水流量を求めたものである。
このように本実施例によれば、純水流量の異常を検出した場合、この純水流量の異常を解消できるだけの異常時目標純水流量を設定するので、気泡や異物を押し流し、純水流量の異常を回復することができるという効果がある。また、流量の異常を解消するために必要となる回復流量を適切に設定することができるので、余分なエネルギを消費することがない。
また、S305では、図8に示す純水流量に対するガス圧力の特性から異常時目標純水流量Qteを用いて異常時目標ガス圧力Pteを求める。なお、図8の特性は純水流量から想定される燃料電池101のガス−純水差圧の制限が守られるような値をあらかじめ実験や机上検討から決定する。これにより、ガス−純水差圧が制限範囲内となり、燃料電池の劣化を防止しながら純水流量を回復することができる。
S306では、S310、S311にてセット・クリアされる純水流量異常判断フラグFwと、Fwの前回値Fwzに基づき純水流量異常が解消された瞬間(Fwがクリア、Fwzがセットされている状態)に純水流量頻度確認用タイマTwを0にクリアする。それ以外の状態であれば純水流量頻度確認用タイマTwに10[msec]を加算する。
S307で目標純水流量Qtnから実純水流量Qrを引いた値が所定値Qthを上回った場合は、純水流量異常が生じたと判断してS308へ進み、そうでない場合はS310へ進む。なお、所定値Qthは純水の流路に気泡や異物の詰まりが発生したことによって流量低下が発生したと判別できるような値をあらかじめ実験や机上検討から決定する。
S308では純水流量異常判断フラグFwと、Fwの前回値Fwzに基づき、純水流量異常が発生した瞬間(Fwがセット、Fwzがクリアされている状態)であるときに、純水流量頻度確認用タイマTwが所定値Tth以下であるならばS309へ、それ以外の状態であるならばS311へ進む。なお、所定値Tthは純水流量異常が頻繁に発生していると判断できる値をあらかじめ実験や机上検討から決定する。
S309では、図8に示す純水流量に対するガス圧力の特性から前回のS312の実行時に演算された目標ガス圧力Ptを用いて異常時制限目標純水流量Qlを求めて、異常時目標純水流量Qteの方が異常時制限目標純水流量Qlよりも大きい場合は、異常時目標純水流量Qteに異常時制限目標純水流量Qlを代入する。
S310では純水供給異常判断フラグFwの前回値FwzにFwを代入し、純水供給異常判断フラグFwはクリアする。
S311ではでは純水供給異常判断フラグFwの前回値FwzにFwを代入し、純水供給異常判断フラグFwはセットする。
S312では純水ポンプ106へ指令する最終的な目標純水流量Qtへ純水供給異常判断フラグFwがセットされている場合は異常時目標純水流量Qteを、純水供給異常判断フラグFwがクリアされている場合は通常時目標純水流量Qtnを代入する。同様に、スロットル103と可変バルブ104へ指令する最終的な目標ガス圧力Qtへ純水供給異常判断フラグFwがセットされている場合は異常時目標ガス圧力Pteを、純水供給異常判断フラグFwがクリアされている場合は通常時目標ガス圧力Ptnを代入する。
本実施例は加湿用純水を取り上げているが、燃料電池101を冷却するための冷却水の制御に関しても同様に使用することができる。
本実施例では燃料電池入口圧力センサ107と燃料電池出口圧力センサ108の出力の差から純水実流量を演算したが、どちらか片方の圧力センサのみで純水実流量を演算してもよい。
また、消費電流センサや実回転数センサを備えた純水ポンプ106ならば、その出力を用いて純水実流量を演算しても良い。純水を供給するポンプの回転数や消費電流(電力)は目標の流量に対して本来あるべき値が机上や実験で容易に検討できる(ポンプの回転数や消費電流から実際に流れているであろう流量を演算する場合も同様である)。その値と実際の回転数や消費電流を比較することでフィードバックを構成しているシステムにおいてフィードバックの補正量を算出することができるので、フィードバックを構成している系でも流量の異常を検知することができるという効果がある。
本実施例では純水流量異常判断部204が異常と判断するのは目標純水流量Qtnを実純水流量Qrで引いた値が所定値Qthを上回った場合としている。逆に異常が解消されるのは所定値Qthを下回ることで判断しているが、異常の解消を異常になってから所定時間To経過することで判断してもよい。所定時間Toは実験や机上検討によって決定することができる。
本実施例では異常時目標純水流量Qteを10[msec]毎に逐次演算しているが、純水流量異常が発生した瞬間(Fwがセット、Fwzがクリアされている状態)のみに演算を行うようにして、純水流量異常が発生した瞬間に演算された異常時目標純水流量Qteを異常が解消されるまで継続して使用しても良い。また、異常時目標純水流量Qteを純水流量偏差Qeから演算しているが、所定流量Qecを与えても良い。所定流量Qecは実験や机上検討によって決定することができる。以上の項目は以下の実施例でも同様である。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例2を説明する。実施例2の概略構成図は実施例1の図1と同様である。
図9は、実施例2におけるコントローラ113内部のブロック構成であるが、実施例1の図2と比べると純水流量異常判断部204が純水流量異常判断部904へ、異常時目標純水流量演算部205が異常時目標純水流量演算部905に置き換わり、フラッディング指数演算部911が追加になっただけである。
フラッディング指数演算部911では可変バルブ104やスロットル103へ指令されている最終的な目標ガス圧力と燃料電池入口純水圧力センサ107の検出値との差(ガス−純水差圧)から、図11に示すような特性マップを参照して、フラッディング指数を演算する。このフラッディング指数は、純水がアノード101bまたはカソード101aへ過剰に透過する度合いである過加湿状態を示すものであり、フラッディング指数演算部911は、過加湿状態推定手段である。このフラッディング指数は、純水流量異常判断部904と、異常時目標純水流量演算部905へ入力されている。
純水流量異常判断部904では最終目標純水流量設定部207から純水ポンプ106へ指令されている最終的な目標純水流量と純水実流量推定部203で演算された純水実流量を比較し、純水流量の異常を判断する。ただし、フラッディング指数演算部911から出力されるフラッディング指数が所定値よりも大きい場合は、純水流量の異常判断を停止する。
異常時目標純水流量演算部905では、純水流量異常の回復を行うためにフラッディング指数に基づき異常時目標純水流量を演算する。
図10はコントローラ113内部で行われる制御のメインフローチャートであるが、実施例1の図3と比べてS305とS307とがそれぞれS502とS503へ変更され、S304とS503の間にS502が追加されただけであり、その他のステップは、図3と同様である。
S501では、可変バルブ104やスロットル103へ指令されている最終的な目標ガス圧力と燃料電池入口純水圧力センサ107の差(ガス−純水差圧)を算出し、このガス−純水差圧から、図11に示すような、ガス−純水差圧に対するフラッディング指数の特性テーブルを参照して、逐次フラッディング指数を算出する。
この逐次フラッディング指数は、その時点のガス−純水差圧が適正な範囲では値が0となり、ガス−純水差圧が小さすぎれば負の値(乾燥する方向)、大きすぎれば正の値(過加湿の方向)となるものであり、予め実験や机上検討から決定した図11のような特性テーブルを記憶しておく。
こうして算出した逐次フラッディング指数をフラッディング指数FRに加算することにより、燃料電池の運転開始からの電解質膜の加湿状態がフラッディング指数FRに反映される。なお、フラッディング指数FRの初期値は100とする。
S502で図12に示すようなあらかじめ実験や机上検討から決定したフラッディング指数FRと異常時目標純水流量の特性からフラッディング指数FRを用いて異常時目標純水流量Qteを求める。異常時ガス圧力Pteの演算はS305と同様である。
S503で目標純水流量Qtnから実純水流量Qwrを引いた値が所定値Qthを上回った場合はS308へ進み、そうでない場合はS310へ進む。ただし、フラッディング指数FRが所定値FRthを上回ってる場合はS310へ進む。なお、所定値FRthはフラッディングによって、これ以上燃料電池の発電が継続できなくなるようになる前に、通常時目標純水流量Qtnを採用するようにさせる値をあらかじめ実験や机上検討から決定する。
本実施例はフラッディング指数の演算にガス−純水差圧を用い、ガス−純水差圧の算出に燃料電池入口純水圧力センサ107の検出値を用いているが、純水ポンプ106へ指令される最終的な目標純水流量Qtからガス−純水差圧を算出してもよい。また、フラッディング指数の算出にガス−純水差圧ではなく、燃料電池の発電電圧を検出する電圧センサを備え、燃料電池の発電電圧が過加湿状態に応じて低下することを利用して、その電圧センサの出力に応じてフラッディング指数を演算してもよい。
以上説明した本実施例によれば、燃料電池の過加湿状態を推定し、過加湿状態になっていなければ、流量異常を回復する異常時純水流量を大きくし、過加湿状態であれば、その度合いに応じて少な目の異常時純水流量を与えることができ、純水流量回復が燃料電池の過加湿状態に与える影響を軽減することができる。
本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を示す概略構成図である。 実施例1におけるコントローラの構成を説明する制御ブロック図である。 実施例1のコントローラが実行する制御フローチャートである。 目標発電電流−目標純水流量特性図である。 目標発電電流−目標ガス圧力特性図である。 純水燃料電池圧損−純水流量特性図である。 純水流量偏差−異常時目標純水流量特性図である。 純水流量−ガス圧力特性図である。 実施例2におけるコントローラの構成を説明する制御ブロック図である。 実施例2のコントローラが実行する制御フローチャートである。 ガス−純水差圧とフラッディング指数との関係を示す図である。 フラッディング指数と異常時目標純水流量との関係を示す図である。
符号の説明
101:燃料電池
101a:カソード(酸化剤極)
101b:アノード(燃料極)
101c:純水通路
102:コンプレッサ
103:スロットル
104:可変バルブ
105:純水タンク
106:純水ポンプ
107:燃料電池入口純水圧力センサ
108:燃料電池出口純水圧力センサ
109:三方弁
110:バイパス流路
111:ラジエータ
112:ラジエータファン
113:コントローラ

Claims (14)

  1. 燃料極に供給された燃料ガスと酸化剤極に供給された酸化剤ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料供給手段と、
    前記酸化剤極へ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    前記燃料電池の加湿または前記燃料電池の冷却のために前記燃料電池へ液体を供給する液体供給手段と、
    前記燃料電池の運転状態に応じて前記液体供給手段による前記液体の供給量を制御する液体供給量制御手段と、
    前記液体の供給に異常が生じていることを判断する液体供給異常判断手段と、
    前記液体供給異常判断手段が異常と判断したときに、前記液体の供給量を増加させる異常時液体供給量増加手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記液体供給異常判断手段は、
    前記液体の流量に基づいて、前記液体の供給に異常が生じていることを判断することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記液体の燃料電池の入口圧力を検出する燃料電池入口液体圧力検出手段または前記液体の燃料電池の出口圧力を検出する燃料電池出口液体圧力検出手段の少なくとも一方をさらに備え、
    前記液体供給異常判断手段は、
    前記燃料電池入口液体圧力検出手段または前記燃料電池出口液体圧力検出手段の少なくとも一方の出力に基づいて、前記液体の流量を推定することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記液体供給異常判断手段は、
    前記液体供給手段の目標流量から推定される推定操作量と前記液体供手段の操作量との差、
    または前記操作量から前記液体供給手段が供給していると推定される推定流量と前記目標流量との差に基づいて、前記異常を判断することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  5. 前記液体供給手段の回転数を検出する回転数検出手段、または、前記液体供給手段の消費電流を検出する消費電流検出手段、の少なくとも一方をさらに有し、
    前記操作量として、前記消費電流検出手段または前記回転数検出手段の少なくとも一方の出力を用いることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記異常時液体供給量増加手段は、
    前記液体供給手段の目標流量から推定される推定操作量と前記液体供給手段の操作量との差、または、前記操作量から前記液体供給手段が供給していると推定される推定流量と前記目標流量との差に応じて、前記液体供給量を増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記液体の液体圧力を検出する液体圧力検出手段と、
    前記燃料ガスまたは前記酸化剤ガスのガス圧力と前記液体の圧力との差圧を検出するガス−液体差圧検出手段をさらに有し、
    前記異常時液体供給量増加手段は、
    前記差圧の許容範囲で前記液体供給量を増加することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃料電池内部で前記液体の流路から前記液体が前記燃料極および前記酸化剤極の少なくとも一方へ透過できる構造と、
    前記液体が前記燃料極または前記酸化剤極へ過剰に透過した状態である過加湿状態を推定する過加湿状態推定手段と、をさらに有し、
    前記異常時液体供給量増加手段は、
    前記過加湿状態推定手段の出力に応じて前記液体供給量を増加させること、
    または、前記過加湿状態推定手段の出力に応じて前記液体供給量の増加を停止させることの少なくとも一方を実施することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 前記燃料電池の発電電圧を検出する発電電圧検出手段を有し、
    前記過加湿状態推定手段は、
    前記発電電圧検出手段の出力に応じて前記過加湿状態を推定することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記過加湿状態推定手段は、
    前記差圧に応じて前記過加湿状態を推定することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  11. 前記燃料ガス供給手段及び前記酸化剤ガス供給手段の少なくとも一方は、前記液体供給異常判断手段が異常と判断したときに、ガス供給量を増加させるガス供給量増加部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  12. 前記液体供給異常判断手段が異常と判断しなくなってから再度異常と判断するまでの時間を計測する液体供給異常間隔演算手段をさらに有し、
    前記ガス供給量増加部は、
    前記液体供給異常間隔演算手段の出力が小さいほど、前記ガス供給量をより増加させることを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  13. 前記液体供給異常判断手段が異常と判断しなくなってから再度異常と判断するまでの時間を計測する液体供給異常間隔演算手段をさらに有し、
    前記異常時液体供給量増加手段は、
    前記液体供給異常間隔演算手段の出力が小さいほど、前記液体供給量をより増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  14. 前記液体供給異常判断手段は、
    前記液体供給異常判断手段が異常と判断してから所定時間経過後に異常が解消されたと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の燃料電池システム。
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