JP2006146191A - 粒子移動型表示装置用粒子及びその製造方法、表示装置 - Google Patents

粒子移動型表示装置用粒子及びその製造方法、表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】分散性に優れ、かつ帯電の安定した粒子移動型表示装置用の粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】顔料粒子または着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子の表面に、精密イオン重合法によって高分子化合物を形成して固定化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、粒子移動型表示装置用粒子及びその製造方法ならびに表示装置に関するものである。
近年、情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示素子のニーズが増しており、これらのニーズに合わせた表示素子の研究開発が盛んに行われている。そのような表示素子の1つとして、Paul F.Evans等によって発明された電気泳動表示素子が知られている(特許文献1参照)。この電気泳動表示素子は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板を備えており、各基板には電極がそれぞれ形成されている。また基板間隙には、正に帯電されると共に着色された多数の電気泳動粒子、及び電気泳動粒子とは別の色で着色された分散媒が充填されている。更に、隔壁が該間隙を基板の面方向に沿って多数の画素に分割するように配置され、電気泳動粒子の偏在を防止すると共に基板間隙を規定するように構成されている。
電気泳動表示素子において、観察者側の電極に正極性の電圧を印加すると共に反対側の電極に負極性の電圧を印加すると、正に帯電されている電気泳動粒子は反対側の電極を覆うように集まる。これを、観察者から表示素子を眺めると、分散媒と同じ色の表示が行われる。一方、観察者側の電極に負極性の電圧を印加すると共に反対側の電極に正極性の電圧を印加すると、電気泳動粒子は観察者側の電極を覆うように集まる。これを、観察者から表示素子を眺めると、電気泳動粒子と同じ色の表示が行われる。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像や文字が表示される。
電気泳動表示素子に代表される粒子移動型表示素子に用いられる粒子移動型表示装置用粒子は、着色され、粒径が揃っていて、且つ分散することが必要であり、様々なものが提案されている。
分散性の良い粒子移動型表示装置用粒子を得るために、着色された母粒子表面に高分子重合体からなるポリマーシェル層を形成することが知られている。母粒子となる顔料粒子表面に高分子鎖をグラフト化した電気泳動粒子として、以下の特許文献2及び特許文献3を挙げることができる。顔料粒子の表面に導入したラジカル重合開始基からのフリーラジカル重合によって、高分子鎖を伸長グラフト化した顔料粒子から構成される、電気泳動粒子及びその製造方法が開示されている(特許文献2参照)。予め作製された高分子安定剤の顔料粒子表面への固定化によって、高分子鎖を植込みグラフト化した顔料粒子から構成される、電気泳動粒子及びその製造方法が開示されている(特許文献3参照)。また、粒径の揃った球状ポリマー微粒子を製造する方法、ならびにリビングラジカル重合によって、鎖長の揃った高分子鎖を母粒子表面に形成した機能性球状複合微粒子を製造する方法が開示されている(特許文献4参照)。
米国特許第3612758号明細書 米国特許第5932633号明細書 米国特許第5914806号明細書 特開2004−18556号公報
粒子移動型表示装置に用いられる粒子は帯電安定性に優れ、かつ、分散性が良好なことが求められる。これら特性の違いによって粒子の駆動特性も異なり、表示品位に大きな影響を与えることから、特に粒子間でこれら特性のばらつきが少ないものが求められている。また、絶縁性液体中に分散された状態で用いられる粒子移動型表示装置においては、特に液体中においてこれら特性が長期にわたって安定であることが求められている。
本発明は、構造の制御された高分子被覆層を有する粒子移動型表示装置用粒子、及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このような粒子移動型表示装置用粒子を用いることによって表示の優れた粒子移動型表示素子を提供することを目的とする。
本発明者は、このような課題を解決する為に種々検討した結果、従来の粒子移動型表示装置用粒子よりも、高分子被覆層の構造が制御された粒子移動型表示装置用粒子を見出し、本発明を為すに至ったものである。
本発明に係る粒子移動型表示装置用粒子の製造方法は、
コア粒子として、顔料粒子、及び着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子、の少なくとも一方を用意する工程と、
精密イオン重合法により、前記コア粒子の表面に高分子化合物を形成して固定化する工程とを有すること
を特徴とする。
また、本発明に係る粒子移動型表示装置用粒子は、
コア粒子である顔料粒子または着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子の表面に、精密イオン重合法により作製された高分子化合物が共有結合によって固定化されていることを特徴とする。
前記コア粒子表面上に固定化された高分子化合物の分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が1.8以下であるのがよい。顔料粒子自体に高分子化合物を固定化する場合は、より好ましくは、上記分子量分布指数を、好ましくは1.5以下にするのがよい。
また、本発明に係る粒子移動型表示装置は、
上記した粒子移動型表示装置用粒子と、
該粒子移動型表示装置用粒子を分散させるための分散媒を含有する分散液を貯留する容器と、
該容器の少なくとも一部に設けられた表示部と、
該表示部への前記粒子移動型表示装置用粒子の移動を表示情報に応じて生じさせるための電圧印加手段と、
を有することを特徴とする。
本発明の粒子移動型表示装置用粒子は、分散性に優れ、かつ帯電の安定した粒子移動型表示装置用粒子、及びその製造方法を提供することができる。
本発明は、複合粒子の表面に精密イオン重合法により高分子化合物を固定化することを特徴とする第1の本発明と、顔料粒子自体の表面に同法により高分子化合物を固定化することを特徴とする第2の本発明とを含む。
まず、第1の本発明について説明する。第1の本発明における粒子移動型表示装置用粒子では、複数の着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子(以下、コア粒子ともいう)の表面に、精密イオン重合によって作製された高分子化合物が共有結合によって固定化されている。
コア粒子は、着色剤と高分子重合体からなる複合粒子であって、着色剤が高分子重合体に完全に内包されていてもよいし、また着色剤の一部が高分子重合体粒子表面にあってもよい。着色剤は、顔料及び染料の少なくとも1種を主成分とするものであって、顔料の場合はコア粒子中に1個または複数個含まれてコア粒子を着色するものであり、染料の場合はポリマーに染料が混合分散されて着色するものである。
また、本発明を実施するためには、コア粒子の表面に、共有結合の前駆体となる官能基Xが導入されていることが必要である。上記のようなコア粒子は、従来公知の製造方法で作製することが可能であり、所望の官能基Xを表面に有するコア粒子を得ることができる。
本発明における高分子被覆層は、精密イオン重合法で作製された高分子化合物から構成されている。本発明で使用される精密イオン重合法とは、精密カチオン重合法あるいは精密アニオン重合法である。該精密イオン重合法には以下のような特徴がある。
A.重合開始剤1分子からポリマー鎖1分子が生成する。
B.分子量分布の狭い(鎖長の揃った)直鎖状ポリマーを精密且つ効率よく作製することが可能である。
C.明確に構造の制御されたコポリマーを精密且つ効率よく作製することが可能である。
D.末端官能性ポリマーを精密且つ効率よく作製することが可能である。
特徴Cについては、少なくとも2種類以上のモノマーを用いて重合することで可能となる。例えば、2種類以上のモノマーを段階的に重合した場合、各セグメントの配列順序やセグメント鎖長が明確に規定されたブロックコポリマーが得られる。一方、共存させて重合した場合には、鎖長に沿った各モノマーの存在比率が明確に規定されたランダムコポリマーが得られる。特徴Dについては、重合開始剤として、コア粒子との結合用の官能基Yを有する開始剤(以下、官能性開始剤という)を使用することで作製可能となる。あるいは、重合の停止剤として、コア粒子との結合用の官能基Zを有する停止剤(以下、官能性停止剤という)を使用することで作製可能となる。さらに、官能性開始剤と官能性停止剤を併用することによって、両末端官能性ポリマーを作製することも可能である。官能基Y及びZは、重合反応中はその前駆体基であってもよく、重合完了後に適切な処理を施して所望の官能基に変換すればよい。また、官能基Y及びZが重合過程中に生成するものであっても構わない。
上記の精密イオン重合法の特性により、精密イオン重合法で作製された高分子化合物からなる本発明における高分子被覆層は、構造的に精密制御されたものとなる。即ち、該高分子被覆層は所望の厚さに設計可能で、且つ均一な層厚みにすることができる。さらに上記特徴Cのように、高分子被覆層を構成するポリマーの精密且つ自由度の高い分子構造設計が可能であるため、作製された高分子被覆層は分散性や帯電性などの所望の機能を粒子に付与できる。本発明におけるコア粒子と高分子被覆層の共有結合による固定化は、以下の2つの方法で作製され、2つのうちどちらか一方のみの方法であっても、両方法を組み合わせても構わない。
i.コア粒子表面から、精密イオン重合法により高分子鎖を伸長グラフトする。
ii.予め精密イオン重合法により作製された高分子鎖を、コア粒子表面に植込みグラフトする。
伸長グラフト法(i)の場合、始めにコア粒子表面上に精密イオン重合の開始基を導入する。具体的には、コア粒子表面上の官能基Xと官能性開始剤の官能基Yを共有結合させればよい。また、官能性開始剤の重合開始基部分はその前駆体であってもよく、コア粒子表面上に導入された後に重合開始基に変換すればよい。次に、該表面重合開始基から精密イオン重合法により高分子鎖を作製する。また、伸長グラフト法(i)の別の方法として、コア粒子表面上の官能基Xが始めから精密イオン重合開始基であってもよく、この場合は該重合開始基から精密イオン重合法により高分子鎖を作製すればよい。
一方、植込みグラフト法(ii)の場合、予め精密イオン重合法によって末端官能性ポリマーを作製する。具体的には、上記特徴Dのように官能性開始剤や官能性停止剤を重合で用いればよい。続いて該ポリマー末端の官能基YまたはZを、コア粒子表面上の官能基Xと反応させてポリマーを固定化する。また、植込みグラフト法(ii)の別の方法として、コア粒子表面上の官能基Xが重合停止基であってもよく、該表面停止基コア粒子を重合の停止剤として用いれば高分子鎖がコア粒子表面に共有結合で固定化される。
上記i及び/またはiiの方法により、高分子被覆層はコア粒子表面に共有結合によって固定化されるので、本発明により作製される粒子移動型表示装置用粒子は構造的安定性が高く、表示素子中での駆動特性を安定化する。
本発明における粒子移動型表示装置用粒子の製造方法は、高分子被覆層を構成する高分子化合物を作製する重合方法が、以下のように選ばれる。即ち、下記のI群に挙げる重合方法から少なくとも1つ選ばれ、コア粒子表面への高分子被覆層の固定化方法が、下記のII群に挙げるグラフト方法から少なくとも1つ選ばれることになる。
I群.精密カチオン重合法、精密アニオン重合法
II群.伸長グラフト法、植込みグラフト法
従って、本発明により、上記の製造方法のうち最適な製造方法を選択すれば、所望の構造及び機能を有する粒子移動型表示装置用粒子を精密且つ効率よく作製することが可能となる。
以下では、本発明における粒子移動型表示装置用粒子の各構成要素、及びその作製方法について詳述する。
(コア粒子)
表面に官能基Xを有するコア粒子は、従来公知の製造方法によって作製することができる。一般的には、着色剤、官能基Xあるいはその前駆体基を有する官能化重合性モノマー、およびコア用重合性モノマーを、公知の高分子微粒子合成法を用いることによって得られる。作製された粒子の形状はほぼ球状となる。なお、公知の高分子微粒子合成法とは、乳化重合、懸濁重合、沈殿重合、分散重合、ソープフリー乳化重合、ミニエマルション重合等である。
着色剤としては、顔料や染料を使用することができる。顔料、染料を単独で使用しても良いし、両者を混合して使用しても良い。顔料と染料の混合比は、使用する系に合わせて適宜決めることができる。
着色剤に用いる顔料としては、有機顔料や無機顔料等を使用することができる。有機顔料としては、例えば、以下のものが適用できる。アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などである。具体的には、赤色顔料としては、キナクリドンレッド、レーキレッド、ブリリアントカーミン、ペリレンレッド、パーマネントレッド、トルイジンレッド、マダーレーキ等である。また、緑色顔料としては、ダイアモンドグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ピグメントグリーンB等が利用できる。青色顔料としては、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー等が利用できる。ハンザイエロー、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、イソインドリノンイエロー、キノフタロンイエロー等の黄色顔料、アニリンブラック、ダイアモンドブラック等の黒色顔料等もりようできる。
無機顔料としては、以下のものを適用できる。白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化スズ、硫化亜鉛等である。黒色顔料としては、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、チタンブラック等である。緑色顔料としては、カドミウムレッド、赤色酸化鉄、モリブデンレッド等の赤色顔料、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、ビクトリアグリーン等である。ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー等の青色顔料、カドミウムイエロー、チタンイエロー、黄色酸化鉄、黄鉛、クロムイエロー、アンチモンイエロー等の黄色顔料を用いることができる。
顔料の平均粒径は、10から500nmが好ましく、更に20から200nmが好ましい。顔料の平均粒径が10nm未満では、ハンドリングが極端に低下する場合がある。また、顔料の平均粒径が500nmを超えると、顔料の着色度が低下したり、粒子移動型表示装置用粒子の小粒径化に不適となる場合がある。顔料の添加量は、コア用重合性モノマーに対して0.1から30重量%が好ましく、更に、1から15重量%が好ましい。
顔料は一般的に分散性が悪いので、顔料をコア用重合性モノマーに分散させる場合、顔料の表面改質を行って、コア用重合性モノマーに分散させるのが好ましい。顔料の表面改質は従来公知の方法を使用することができる。
着色剤として顔料を用いる場合、上記の分散には、ホモジナイザー、ホモミキサー、バイオミキサー等のせん断型分散装置、ボールミル、アトライター、サンドミル等のメディア型分散装置、超音波分散装置等を使用することができる。
着色剤として染料を用いる場合の染料としては、コア用重合性モノマーに可溶で、しかも水や分散媒に不溶であれば特に限定されるものではない。例えば、アクアリジン系、アジン系、アゾ系、アゾメチン系、アントラキノン系、インジゴ系、キサンテン系、ジオキサジン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、チオインジゴ系、トリフェニルメタン系、ポリメチン系等の染料が使用できる。これらの染料を単独、又は2種以上を併用してもよい。染料の添加量は、コア用重合性モノマーに対して0.1から30重量%が好ましく、更に、1から20重量%が好ましい。
コア粒子表面の官能基Xとしては、官能性開始剤または末端官能性ポリマーと反応して共有結合を形成するものであれば特に限定されない。例外として、官能基Xが精密イオン重合開始基あるいは精密イオン重合停止基である場合には、必ずしもその必要はない。
官能基Xとして、具体的には、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸クロライド基、カルボン酸ナトリウム基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、ビニル基、ビニロキシ基などが挙げられる。それら所望の官能基Xあるいはその前駆体基を有する官能化重合性モノマーを、着色剤とコア用重合性モノマーと共に用いて重合することで、粒子表面上に官能基Xを有するコア粒子を作製することが可能である。
官能基Xを有する重合性モノマーと、このような官能基を持たないコア用重合性モノマーとの配合割合は、グラフト化する高分子鎖の量に応じて選択することができる。例えば、1:1000〜1:4(重量比)の範囲から選択することができる。更に、重合開始剤を用いる場合の量は所望とする重合反応を得るために必要な量であればよく、例えば上記の2種の重合性モノマーの合計量に対して0.01〜5重量%の範囲から選択できる。
(精密イオン重合法)
本発明で使用される精密イオン重合法とは、精密カチオン重合法あるいは精密アニオン重合法であって、作製されるポリマーの分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が1.8以下であるイオン重合法である。好ましくは分子量分布指数が1.2以下のポリマーを作製することが可能な、リビングカチオン重合法あるいはリビングアニオン重合法である。グラフト化されるポリマーの分子量分布指数が1.8を超える場合、鎖長が揃っているとは言い難く、粒子移動型表示装置用粒子の分散性や帯電性にばらつきが生じ易くなる場合がある。
(精密カチオン重合法)
以下では、精密カチオン重合法について説明する。精密カチオン重合法とは、重合活性種がカチオン種である重合方法であって、生成ポリマーの分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が1に近く、且つ数平均分子量が精密に制御できる重合法である。該重合法は従来公知の精密重合法の一つであり、代表的にはリビングカチオン重合法である。
本発明における精密カチオン重合法では、以下に示す重合開始剤、カチオン重合性モノマー、ルイス酸重合触媒、添加物、及び重合停止剤を適宜組み合わせることにより重合を行う。本発明で用いられるカチオン重合性モノマーは、従来公知の精密カチオン重合が可能なカチオン重合性モノマーであればよく、好ましくはビニルモノマーである。具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテルである。そのほかにも、2−アセトキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、がある。また、その他にもp−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、イソブテン、シクロペンタジエン、インダン、β−ピネン、N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
特に、得られた高分子が分散媒と親和性の高い高分子となるようにモノマーを選択することは、粒子の分散性を改善する上で望ましい。高分子鎖が分散媒と親和性が高いと、高分子鎖が分散媒中で広がりをもつことによって粒子間の凝集を防止する立体障害基として効果的に作用することが可能となる。なお、ここでいう親和性が高いとは高分子鎖と分散媒が相分離することなく相溶性に優れていることを示す。
また、重合性モノマーとして酸性ユニットや塩基性ユニット、電気陰性度の大きく異なるユニットを有するモノマーを選択することが粒子の帯電性を改善する上で望ましい。これら酸性あるいは塩基性の高分子と塩基性あるいは酸性の添加剤を組み合わせることで、高分子と添加剤との間で酸−塩基相互作用が生じ、粒子に効果的に帯電を付与することが可能となる。重合開始剤としては、従来公知の精密カチオン重合開始剤を使用することができるが、好ましくは上記カチオン重合性モノマーのプロトン酸付加体である。具体的なプロトン酸としては、塩化水素、酢酸、トリフルオロ酢酸等を用いればよい。また、重合開始基とは異なる別の官能基Yあるいはその前駆体基Y’を有する官能性開始剤も使用することができる。
ルイス酸重合触媒としては、従来公知の精密カチオン重合触媒を使用でき、具体的には、ヨウ素、四臭化スズ、四塩化スズ、四塩化チタン、二塩化エチルアルミニウム、二塩化亜鉛、二ヨウ化亜鉛等が挙げられる。
添加物としては、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、酢酸エチル等のルイス塩基、N−テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド等の添加塩、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン等のプロトントラップが挙げられる。また、重合開始剤系によっては、添加物を使用しなくてもよい場合がある。
重合停止剤としては、アルコール類、水、ナトリウムジエチルマロネート、ナトリウムアルコキシド類、シリルエノールエーテル類、グリニャール試薬等が挙げられる。該停止剤には、官能基Zあるいはその前駆体基Z’を有する官能性停止剤も含まれる。また、該官能基Z及びZ’が重合停止反応によって生成してもよい。
(精密アニオン重合)
以下では、精密アニオン重合について説明する。精密アニオン重合法とは、重合活性種がアニオン種である重合方法のことである。それによる、生成ポリマーの分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が1に近く(例えば1から1.8の間)、且つ数平均分子量が精密に制御できる重合法である。該重合法は従来公知の精密重合法の一つであり、代表的にはリビングアニオン重合である。本発明における精密アニオン重合では、以下に示す重合開始剤、アニオン重合性モノマー、及び重合停止剤を適宜組み合わせることにより重合を行う。
本発明で用いられるアニオン重合性モノマーは、従来公知の精密アニオン重合が可能なアニオン重合性モノマーであればよく、好ましくはビニルモノマーである。具体的には、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル類、スチレン類、ブタジエン、イソプレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
粒子の分散性および帯電性の改善に関わるモノマーや添加剤の選択については、前述の精密カチオン重合の場合と同様である。
重合開始剤としては、従来公知の精密アニオン重合開始剤を使用することができるが、好ましくはアルカリ金属、アルキルアルカリ、グリニャール試薬、アルコラートである。具体的には、n−ブチルリチウム、ナトリウム−ナフタレン等が挙げられる。重合停止剤としては、水、アルコール類、二酸化炭素、エチレンオキサイド、エステル類、1級アルキルハライド等が挙げられる。該停止剤には、官能基Zあるいはその前駆体基Z’を有する官能性停止剤も含まれる。また、該官能基Z及びZ’が重合停止反応によって生成してもよい。
(伸長グラフト法)
以下では伸長グラフト法について説明する。伸長グラフト法は、精密イオン重合開始基をコア粒子表面に導入した後、前記精密イオン重合法によって重合を進行させることで、高分子グラフト化が行われるグラフト重合法である。重合開始基のコア粒子表面への導入方法は、コア粒子表面の官能基Xと官能性開始剤の官能基Yを反応させて、互いに結合させればよい。官能基Xと官能基Yの組み合わせは、互いに結合反応するものであれば特に限定されるものではない。組み合わせは、下記の官能基群に挙げる官能基のうちから2つの官能基を適宜選択し、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等の共有結合を形成すればよい。
官能基群:水酸基、カルボキシル基、カルボン酸クロリド基、カルボン酸ナトリウム基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、イソシアネート基、エポキシド基、エステル基、アルカリアルキル基、ビニル基、トリクロロシリル基、トリエトキシシリル基。
官能基Yを有する官能性開始剤の重合開始基部分は、コア粒子との結合生成時はその前駆体基Y’であってもよく、結合生成後に重合開始基に変換すればよい。また、官能基Xがすでに重合開始基である場合は、官能基Yとの反応は必要ない。
次に、コア粒子表面に導入された精密イオン重合開始基に合わせて、前記の精密カチオン重合あるいは精密アニオン重合を進行させると、所望の高分子鎖を伸長グラフト化することができる。
(植込みグラフト法)
以下では植込みグラフト法について説明する。植込みグラフト法は、予め精密イオン重合で末端官能性ポリマーを作製し、次に該ポリマーをコア粒子表面上に共有結合で固定化させることで、高分子グラフト化が行われるグラフト方法である。コア粒子表面への末端官能性ポリマーの固定化方法は、コア粒子表面の官能基Xと末端官能性ポリマー中の末端官能基YZを反応させて、互いに共有結合させればよい。末端官能基YZは官能性開始剤の官能基Y、あるいは官能性停止剤の官能基Zに由来するものである。官能基Xと官能基YZの組み合わせは、互いに結合反応するものであれば特に限定されるものではない。その組み合わせとしては、下記の官能基群に示す官能基のうちから2つの官能基を適宜選択し、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等の共有結合を形成すればよい。
官能基群:水酸基、カルボキシル基、カルボン酸クロリド基、カルボン酸ナトリウム基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基、イソシアネート基などである。また、エポキシド基、エステル基、アルデヒド基、アルカリアルキル基、ビニル基、シリルエノールエーテル基、トリクロロシリル基、トリエトキシシリル基でもよい。
官能基Xが始めから重合停止基である場合は、重合の停止反応に該コア粒子を用いれば高分子鎖を植込みグラフト化することが可能なので、官能基YZとの反応は必要ない。また官能基Xは、コア粒子表面からスペーサーを介して導入されていても良い。ここでいうスペーサーとは、反応点の空間的隠蔽性を低下させるために、反応点に運動性を付与し、反応圏を拡大させることが可能な原子団として定義される。具体的には、長鎖アルキル原子団、あるいは高分子鎖等である。該スペーサーが介されていると、植込みグラフト化の反応性が向上し、表面グラフト密度を上げることができる。
(コポリマー・複数種鎖)
グラフト化する高分子化合物として、前述の精密イオン重合の特徴Cで記載したような共重合体を用いてもよい。具体的な共重合体の作製方法は前述の通りである。また、2種類以上のホモポリマーをコア粒子表面にグラフト化することも可能である。ここでいうホモポリマーとは、1種類のモノマーの重合体である高分子化合物のことである。このような複数種の高分子鎖のグラフト化は、例えば、官能基Xを有するコア粒子と、末端官能基YZを有するモノマー1のホモポリマー、及び末端官能基YZを有するモノマー2のホモポリマーの3つを用いた植込みグラフト法によって可能となる。ここで、官能基Xと官能基YZは互いに結合反応する官能基の組み合わせである。またモノマー1はモノマー2とは分子構造が異なるモノマーである。
(粒子移動型表示装置)
本発明の粒子移動型表示装置用粒子が適用可能な粒子移動型表示装置として、電気泳動表示素子、トナーディスプレイ、磁気表示装置等が挙げられる。以下では、代表的な表示素子である電気泳動表示素子の一実施態様について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図1から5における粒子とは、上述の複合粒子に高分子化合物が固定化されたもの(第1の本発明)、あるいは顔料粒子自体に高分子化合物が固定化されたもの(第2の本発明)を指す。
図1は本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いた、電気泳動表示素子の一実施態様を示す断面図である。図1(a)の電気泳動表示素子において、第1電極1cを設けた第1基板1a、及び第2電極1dを設けた第2基板1bが、隔壁1gを介して所定の間隔で対向するように配置されている。第1基板1a、第2基板1b、及び隔壁1gにより仕切られたセル(空間)に、少なくとも電気泳動粒子1eと電気泳動粒子分散媒1fからなる電気泳動粒子分散液が封入されている。また、各電極上には絶縁層1hが形成されている。この電気泳動表示素子は、第2基板1bのある側が表示面である。すなわち、第1基板1a、第2基板1b、及び隔壁1gから粒子分散液を貯留する容器が形成されている。
図1(b)は、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示素子を示す。前記電気泳動粒子分散液を内包したマイクロカプセル1iが第1基板1a上に配置され、第2基板1bで覆われている。マイクロカプセル1iを用いる場合、絶縁層1hはなくてもよい。
図1において、第1電極1cは個々のセル(又はマイクロカプセル)内の電気泳動粒子分散液に対して、各々独立して所望の電界を印加できる画素電極である。第2電極1dは全面同一電位で印加する共通電極である。これらの電極によって電圧印加手段が構成されている。尚、この画素電極にはスイッチ素子が設けられている。不図示のマトリクス駆動回路から行ごとに選択信号が印加され、更に各列に制御信号と駆動トランジスタからの出力が印加されて、個々のセル(又はマイクロカプセル)内の電気泳動粒子分散液に対して所望の電界を印加することができる。個々のセル(又はマイクロカプセル)内の電気泳動粒子1eは、第1電極1cにより印加される電界によって制御され、各画素は電気泳動粒子の色(例えば白色)と分散媒1fの色(例えば青色)を表示する。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像や文字を表示することができる。
(電気泳動表示素子の構成)
第1基板1aは、電気泳動表示素子を支持する任意の絶縁部材であり、ガラスやプラスチックなどを用いることができる。第1電極1cには、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化スズ、酸化インジウム、金、クロムなどの金属蒸着膜等を使用することができる。第1電極1cのパターン形成にはフォトリソグラフィー法を用いことができる。第2基板1bは、透明なガラス基板やプラスチック基板等の絶縁部材を用いることができる。
第2電極1dには、ITOや有機導電性膜などの透明電極を使用することができる。絶縁層1hとしては、無色透明な絶縁性樹脂を使用することができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアルケン樹脂等を使用することができる。隔壁1gの材料には、ポリマー樹脂を使用できる。隔壁形成にはどのような方法を用いても構わないが、例えば、感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィー法によって隔壁を形成する方法、又は予め作製した隔壁を基板に接着する方法、モールドによって隔壁を形成する方法等を用いることができる。
前記電気泳動粒子分散液をセル内に充填する方法は特に限定されないが、インクジェット方式のノズルを使用することができる。
(マイクロカプセル型電気泳動表示素子への適用)
前記電気泳動粒子分散液を内包するマイクロカプセル1iは、界面重合法、in situ重合法、コアセルベーション法等の既知の方法で得ることができる。マイクロカプセル1iを形成する材料には光を十分に透過させる材料が好ましい。具体的には、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、又はこれらの共重合体等である。
また、マイクロカプセル1iを第1基板1a上に配置する方法は特に制限されないが、インクジェット方式のノズルを使用することができる。尚、基板上に配置されたマイクロカプセル1iの位置ずれを防止する目的で、マイクロカプセル1iの隙間に光透過性の樹脂バインダーを含浸させて基板上に固定しても良い。光透過性の樹脂バインダーとして、水溶性のポリマーを挙げることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
第1基板1aと第2基板1bを封止する場合、マイクロカプセル1iの形状が、第1基板1aに対して水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長い形状をとるように、押圧下で基板間を封止することが好ましい(図1(b)参照)。
(電気泳動粒子分散媒)
電気泳動粒子分散媒1fとしては、高絶縁性でしかも無色透明な液体を挙げることができる。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ケロシン、ノルマルパラフィン、イソパラフィンなどの脂肪族炭化水素等を使用でき、これらを単独、又は2種以上を混合して用いてもよい。電気泳動粒子分散媒1fを着色するにはR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)等の色を有する油溶染料を用いることができる。これらの油溶染料としては以下のものが好ましい。アゾ染料、アントラキノン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペノリン染料、フタロシアニン染料、金属錯塩染料、ナフール染料、ベンゾキノン染料、シアニン染料、インジゴ染料、キノイミン染料等の油溶染料である。これらを組み合わせて使用しても良い。
例えば、以下の油溶染料を挙げることができる。
バリファーストイエロー(1101、1105、3108、4120)、オイルイエロー(105、107、129、3G、GGS)。
バリファーストレッド(1306、1355、2303、3304、3306、3320)。
オイルピンク312。
オイルスカーレット308。
オイルバイオレット730。
バリファーストブルー(1501、1603、1605、1607、2606、2610、3405、)。
オイルブルー(2N、BOS、613)。
マクロレックスブルーRR。
スミプラストグリーンG。
オイルグリーン(502、BG)。
油溶染料の濃度は、電気泳動粒子分散媒に対して、0.1〜3.5重量%が好ましい。
(電気泳動粒子分散液)
電気泳動粒子分散液は、少なくとも電気泳動粒子1eと電気泳動粒子分散媒1fを含有する。電気泳動粒子1eを帯電させる為に、前記した酸性添加剤、又は塩基性添加剤を添加するのが好ましい。
(表示例1)
本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子1eとして用いた、別の電気泳動表示素子の表示例を図2に示す。図2は、白色の電気泳動粒子1e、青色染料で着色した電気泳動粒子分散媒1fからなる電気泳動粒子分散液をセルに充填した場合の表示例である。電気泳動粒子1eは、負に帯電しているものとする。
第2電極1dを0Vとし、第1電極1cに負極性の電圧を印加すると、電気泳動粒子1eが第2電極1dに集まり、セルを上から観察すると、白色の電気泳動粒子1eの分布により白色に見える(図2(a))。
一方、第2電極1dを0Vとし、第1電極1cに正極性の電圧を印加すると、電気泳動粒子1eが第1電極1c上に集まり、セルを上から観察すると、青色に見える(図2(b))。
(別の表示例2)
本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いた、別の電気泳動表示素子の表示例を図3に示す。図3は、正に帯電した白色の電気泳動粒子1ew、負に帯電した黒色の電気泳動粒子1eb、及び無色透明の電気泳動粒子分散媒1fからなる電気泳動粒子分散液をセルに充填した場合の表示例である。
第2電極1dを0Vとし、第1電極1cに負極性の電圧を印加すると、黒色の電気泳動粒子が第2電極1dに集まり、白色の電気泳動粒子は第1電極1cに集まる。セルを上から観察すると、黒色の電気泳動粒子の分布により黒色に見える(図3(a))。
一方、第2電極1dを0Vとし、第1電極1cに正極性の電圧を印加すると、白色の電気泳動粒子1ewが第2電極1dに集まり、黒色の電気泳動粒子1ebは第1電極1cに集まる。従って、セルを上から観察すると、白色の電気泳動粒子1ewの分布により白色に見える(図3(b))。
印加電圧は、電気泳動粒子の帯電量、電極間距離などによって異なるが、通常は、数Vから数十V程度が必要であり、階調表示は印加電圧や時間によって制御することができる。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像や文字を表示することができる。
(水平移動型電気泳動表示素子)
本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いた電気泳動表示素子の、他の実施態様について図面を参照しながら説明する。図4は本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いた、水平移動型電気泳動表示素子の実施態様を示す断面図である。
図4(a)の電気泳動表示素子において、第1基板4a上に第1電極4c及び第2電極4dが設けられ、電極間及び第2電極4d上には絶縁層4h、4iがそれぞれ形成されている。絶縁層4hは、着色されていても無色透明であってもよいが、絶縁層4iは無色透明である。第1基板4aと第2基板4bが、隔壁4gを介して所定の間隔で対向するように配置されている。第1基板4a、第2基板4b、及び隔壁4gからなるセル(空間)に、少なくとも電気泳動粒子4eと電気泳動粒子分散媒4fからなる電気泳動粒子分散液が封入されている。この電気泳動表示素子は、第2基板4bのある側が表示面である。
図4(b)は、マイクロカプセルを用いた電気泳動表示素子を示す。前記電気泳動粒子分散液を内包したマイクロカプセル4jが第1基板4a上に配置され、第2基板4bで覆われている。尚、マイクロカプセル4jを用いる場合、絶縁層4iはなくてもよい。
図4において、第2電極4dは個々のセル(又はマイクロカプセル)内の電気泳動粒子分散液に対して、各々独立して所望の電界を印加できる画素電極であり、第1電極4cは全面同一電位で印加する共通電極である。尚、この画素電極にはスイッチ素子が設けられている。不図示のマトリクス駆動回路から行ごとに選択信号が印加され、更に各列に制御信号と駆動トランジスタからの出力が印加されて、個々のセル(又はマイクロカプセル)内の電気泳動粒子分散液に対して所望の電界を印加することができる。個々のセル(又はマイクロカプセル)内の電気泳動粒子4eは、第2電極4dにより印加される電界によって制御され、各画素は電気泳動粒子の色(例えば黒色)と絶縁層4hの色(例えば白色)を表示する。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像や文字を表示することができる。
(電気泳動表示素子の構成)
第1基板4aは、電気泳動表示素子を支持する任意の絶縁部材であり、ガラスやプラスチックなどを用いる事ができる。第2基板4bには、透明なガラス基板やプラスチック基板等の絶縁部材を使用することができる。
第1電極4cの材料には、Alなどの光反射性の金属電極を使用する。第1電極4c上に形成する絶縁層4hには、光を散乱させるための微粒子、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン等を無色透明の絶縁性樹脂に混ぜ合わせたものを使用できる。無色透明の絶縁性樹脂には、前述した絶縁性樹脂を挙げることができる。あるいは、微粒子を用いずに金属電極表面の凹凸を利用して光を散乱させる方法を用いてもよい。
第2電極4dには表示素子の観察者側からみて暗黒色に見える導電性材料、例えば、炭化チタンや黒色化処理したCr、黒色層を表面に形成したAl、Ti等を使用できる。また、第2電極4dのパターン形成には、フォトリソグラフィー法を用いることができる。
続いて第2電極4d上に絶縁層4iを形成する。絶縁層4iには、前記した無色透明な絶縁性樹脂を使用することができる。
本実施態様の表示コントラストは、第2電極4dと画素の面積比に大きく依存する為、コントラストを高めるためには第2電極4dの露出面積を画素のそれに対して小さくする必要があり、通常は1:2〜1:5程度が好ましい。
隔壁4gは、前述と同様の隔壁形成方法と材料を用いることができる。前記電気泳動粒子分散液をセル内に充填する方法は特に限定されないが、前述したインクジェット方式のノズルを使用することができる。
(マイクロカプセル型電気泳動表示素子への適用)
前記電気泳動粒子分散液を内包するマイクロカプセル4jは、前述したように、界面重合法、in situ重合法、コアセルベーション法等の既知の方法で得ることができる。マイクロカプセル3jの形成材料には、前記した同様のポリマー材料を使用することができる。
また、マイクロカプセル4jを第1基板4a上に配置する方法は特に制限されないが、前述したインクジェット方式のノズルを使用することができる。
尚、基板上に配置されたマイクロカプセル4jの位置ずれを防止する目的で、前述したようにマイクロカプセル4jの隙間に光透過性の樹脂バインダーを含浸させて基板上に固定しても良い。光透過性の樹脂バインダーとして、前述した樹脂を用いることができる。
第1基板4aと第2基板4bを封止する場合、マイクロカプセル4jの形状が、第1基板4aに対して水平方向の長さが垂直方向の長さよりも長い形状をとるように、押圧下で基板間を封止することが好ましい(図4(b)参照)。
(電気泳動粒子分散媒)
電気泳動粒子分散媒4fに関しては、前述した同様の液体を使用することができる。
(電気泳動粒子)
電気泳動粒子4eには、前述と同様の方法によって得た黒色粒子を使用することができる。本実施態様における電気泳動粒子4eの濃度は、その粒径によって異なるが、電気泳動粒子分散媒4fに対して0.5から10重量%が好ましく、更には1から5重量%が好ましい。電気泳動粒子4eの濃度が0.5重量%未満の場合、第1電極4c上を完全に隠蔽できなくなり、表示コントラストが淡くなる場合がある。また、電気泳動粒子4eの濃度が10重量%を越えると着色した第2電極4d上から溢れ出し、表示コントラストが悪くなる場合がある。
(表示例)
本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いた、水平移動型電気泳動表示素子の表示例を図5に示す。図5は、黒色の電気泳動粒子4e、無色透明な電気泳動粒子分散媒4fからなる電気泳動粒子分散液をセルに充填した場合の表示例である。電気泳動粒子4eは、負に帯電しているものとする。また、絶縁層4h上が白色であり、第2電極4d上が黒色であるものとする。
第1電極4cを0Vとし、第2電極4dに正極性の電圧を印加すると、電気泳動粒子4eが第2電極4d上に集まり、セルを上から観察すると、白色に見える(図5(a))。
一方、第1電極4cを0Vとし、第2電極4dに負極性の電圧を印加すると、電気泳動粒子4eが第1電極4c上に集まり、セルを上から観察すると、黒色に見える(図5(b))。
印加電圧は、電気泳動粒子の帯電量、電極間距離などによって異なるが、通常は、数Vから数十V程度が必要であり、階調表示は印加電圧や時間によって制御することができる。このような駆動を画素単位で行うことにより、多数の画素によって任意の画像や文字を表示することができる。
以下、発明の作用効果について詳細に説明する。
先に課題に示したように、粒子移動型表示装置に用いられる粒子は帯電安定性に優れ、かつ、分散性が良好なことが求められる。帯電のメカニズムについては未だ詳細には解明されていない部分はあるが、以下のように設計できる。高分子被覆層(高分子化合物)に酸性あるいは塩基性の構造を導入し、塩基性あるいは酸性の添加剤と組み合わせることで高分子被覆層との間に酸−塩基相互作用を生じせしめ、粒子にマイナスあるいはプラスの帯電を付与する。また、粒子とそれを取り巻く様々な材料との間での接触や剥離、摩擦により、粒子とそれら材料間で電荷の授受が行われ、粒子へ帯電が付与される場合がある。この場合の電荷授受の方向やその程度は、粒子においては高分子被覆層の構造に強く影響を受ける。いずれの場合においても、高分子被覆層における帯電に寄与する構造単位(例えば酸性ユニットや塩基性ユニット、電気陰性度の異なるユニット等)の数が、粒子の帯電量に対し大きな影響を与えているものと考えられる。従って高分子被覆層の構造を精密に制御することで、粒子帯電量のばらつきを抑えることができると推察される。また、微粒子同士が接触すると粒子間にファンデルワールス引力が作用し、粒子凝集が生じる。これを防止するためには、例えば、粒子表面に立体障害基を設け、粒子間の距離を調節することが有効な手段として考えられている。この場合、粒子間の距離は高分子被覆層の厚みによって規定されるため、高分子被覆層の厚みにばらつきが生じると粒子分散性のばらつきとなって現れる。従って、本発明に示す精密に構造の制御された高分子からなる被覆層を粒子に付与することにより、分散性の改善された粒子を得ることができると考えられる。
以下に、第2の本発明について説明する。第2の本発明における粒子移動型表示装置用粒子では、顔料粒子の表面に、精密イオン重合によって作製された高分子化合物が共有結合によって固定化されている。すなわち、顔料粒子自体がコア粒子となる。
本発明の粒子移動型表示装置用粒子は以下の2つの方法によって得ることができる。
(伸長グラフト法)(1)顔料粒子の表面に精密イオン重合開始基を導入する工程、ついで、該精密イオン重合開始基より高分子化合物をグラフト化させる工程によって作製する。
(植込みグラフト法)(2)顔料粒子の表面に反応性官能基Xを導入する工程、反応性官能基Yを有する高分子化合物を精密イオン重合によって作製する工程、反応性官能基XとYを反応させることにより共有結合を形成する工程によって作製する。
(伸長グラフト法)
伸長グラフト法では予め精密イオン重合開始基を顔料粒子表面に導入し、そこから精密イオン重合法によって高分子化合物をグラフト化させる。重合開始基を顔料粒子表面に導入するには、顔料粒子表面上の反応性官能基Xと、反応性官能基Xに対して反応活性を有する官能基Zを有する重合開始剤を反応させることで導入が可能である。
反応性官能基Xは特に限定するものではない。例えば黒色顔料として好ましく用いられるカーボンブラック上には水酸基やカルボキシル基が、白色顔料として好ましく用いられる酸化チタン上には水酸基が存在することが知られている。これらの官能基を利用することが可能である。
また、官能基Zも特に限定するものではない。例えば水酸基に対し反応活性を有する基とは、直接反応してエステル結合を生じるカルボン酸クロライドやウレタン結合を生じるイソシアネート基である。また脱水縮合剤の存在下エステル結合を生じるカルボキシル基等も上記官能基Zに含まれる。例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCCと略す)や1−エチル―3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(以下WSCと略す)及びその塩酸塩である。また、カルボキシル基に対し反応活性を有する基とは、直接反応してアミド結合を生じるイソシアネート基やDCC、WSCのような脱水縮合剤の存在下でアミド結合を生じるアミノ基やエステル結合を生じる水酸基等を示す。
なお、ここで直接反応するとしたものに対しても、反応速度を上げるために触媒を添加することは当然可能である。
また、顔料粒子表面上の反応性官能基Xを予め異なる反応性官能基X1に変換した後、X1に対して反応活性を有する官能基Z1を有する重合開始剤と反応させることで導入することも可能である。
また、顔料粒子表面の反応性官能基Xが重合開始剤として作用する場合は、そこから直接精密イオン重合法によって高分子化合物をグラフト化することが可能である。
(植込みグラフト法)
同法は、予め顔料粒子表面上の反応性官能基Xに対し反応活性を有する官能基Yを有する高分子化合物を精密イオン重合法によって作製しておく。これを顔料粒子と反応させることにより共有結合によって高分子化合物を顔料粒子表面に固定化するものである。
官能基Yを有する高分子化合物は、官能基Yもしくはその前駆体を有する精密イオン重合開始基を用いて精密イオン重合を行い、所望の分子量の高分子化合物を作成すればよい。また、特に反応性官能基を有さない通常の精密イオン重合開始基を用いて精密イオン重合を行い、停止剤として官能基Y若しくはその前駆体を有する化合物を用いることで作製することも可能である。さらには官能基Yもしくはその前駆体を有する重合性モノマーを用いることで高分子化合物内に複数の官能基Yを導入することも可能である。しかし、顔料粒子表面への高分子化合物の結合状態を厳密に制御しえるという意味においては、好ましくは精密イオン重合開始剤もしくは停止剤に官能基Yもしくはその前駆体を有する化合物を用いることが好ましい。
また、顔料粒子表面上の反応性官能基Xはスペーサーを介して顔料粒子に結合していても良い。植込みグラフト法においては最初に顔料粒子表面に結合した高分子化合物が顔料粒子表面の未反応の反応性官能基Xを遮蔽してしまうことで、グラフト率が抑制されてしまうことがある。反応性官能基Xがスペーサーを介して顔料粒子表面に結合している場合は官能基Xが高分子化合物による遮蔽から逃れるような形で反応系中に露出しグラフト率の低下を抑制することが可能となる。なお、ここでいうスペーサーとは反応性官能基Xと顔料粒子表面との間に距離を設けるために用いられる化合物を示し、その構造は特に限定されるものではないが、例えば長鎖アルキレン等を用いることができる。
(精密カチオン重合)
以下では、精密カチオン重合法について説明する。本願発明に示す精密カチオン重合法とは、重合活性種がカチオン種である重合方法である。そして、生成ポリマーの分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.8以下、好ましくは1.5以下であり、且つ数平均分子量が精密に制御できる重合法のことを示す。該重合法は従来公知の精密重合法の一つであり、代表的にはリビングカチオン重合法を挙げることができる。
本発明における精密カチオン重合法では、以下に示す重合開始剤、カチオン重合性モノマー、ルイス酸重合触媒、添加物、及び重合停止剤を適宜組み合わせることにより重合を行う。
本発明で用いられるカチオン重合性モノマーとしてはメチルビニルエーテルなど、上述の第1の本発明で示したものを適用できる。特に、得られた高分子が分散媒と親和性の高い高分子となるようにモノマーを選択することは粒子の分散性を改善する上で望ましい。高分子鎖が分散媒と親和性が高いと、高分子鎖が分散媒中で広がりをもつことによって粒子間の凝集を防止する立体障害基として効果的に作用することが可能となる。なお、ここでいう親和性が高いとは高分子鎖と分散媒が相分離することなく相溶性に優れていることを示す。
また、重合性モノマーとして酸性ユニットや塩基性ユニット、分散媒や添加剤と比して電気陰性度の大きく異なるユニットを有するモノマーを選択することが粒子の帯電性を改善する上で望ましい。これら酸性あるいは塩基性の高分子と塩基性あるいは酸性の添加剤を組み合わせることで、これらの間で酸−塩基相互作用が生じ粒子に効果的に帯電を付与することが可能となる。
重合開始剤、ルイス酸重合触媒、添加物としては、上述の第1の本発明で示したものを適用できる。
重合停止剤としては、アルコール類、水、ナトリウムジエチルマロネート、ナトリウムアルコキシド類、シリルエノールエーテル類、グリニャール試薬などである。該停止剤には、官能基Zあるいはその前駆体基Z’を有する官能性停止剤も含まれる。また、該官能基Z及びZ’が重合停止反応によって生成してもよい。
(精密アニオン重合)
以下では、精密アニオン重合について説明する。本願発明に示す精密アニオン重合法とは、重合活性種がアニオン種である重合方法である。生成ポリマーの分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.8以下、好ましくは1.5以下であり、且つ数平均分子量が精密に制御できる重合法のことを示す。該重合法は従来公知の精密重合法の一つであり、代表的にはリビングアニオン重合を挙げることができる。
本発明における精密アニオン重合では、以下に示す重合開始剤、アニオン重合性モノマー、及び重合停止剤を適宜組み合わせることにより重合を行う。
本発明で用いられるアニオン重合性モノマーは、既述ものを用いることできる。特に、得られた高分子が分散媒と親和性の高い高分子となるようにモノマーを選択することは粒子の分散性を改善する上で望ましい。高分子鎖が分散媒と親和性が高いと、高分子鎖が分散媒中で広がりをもつことによって粒子間の凝集を防止する立体障害基として効果的に作用することが可能となる。なお、ここでいう親和性が高いとは高分子鎖と分散媒が相分離することなく相溶性に優れていることを示す。
また、重合性モノマーとして酸性ユニットや塩基性ユニット、分散媒や添加剤と比して電気陰性度の大きく異なるユニットを有するモノマーを選択することが粒子の帯電性を改善する上で望ましい。これら酸性あるいは塩基性の高分子と塩基性あるいは酸性の添加剤を組み合わせることで、これらの間で酸−塩基相互作用が生じ粒子に効果的に帯電を付与することが可能となる。
重合開始剤、重合停止剤としては、既述ものを用いることができる。
(グラフト鎖)
高分子鎖の数平均分子量は、分散機能型か帯電機能型によって適宜決めることができる。例えば高分子鎖が分散機能型の場合、500から1000000の範囲が好ましく、更に1000から500000が好ましい。高分子鎖の数平均分子量が500未満であると、分散機能を発現することが難しくなる場合があり、高分子鎖の数平均分子量が1000000を超えると、分散媒に対する溶解性が低下する場合がある。
(顔料)
粒子移動型表示装置用粒子のコア粒子となる顔料粒子としては、前述の第1の本発明で示したものを用いることができる。
顔料粒子の平均粒径は、10nmから2μmが好ましく、更に20nmから1μmが好ましい。顔料粒子の平均粒径が10nm未満では、ハンドリングが極端に低下する場合がある。また、顔料粒子の平均粒径が2μmを超えると、顔料粒子の着色度(鮮明度)が低下する場合がある。
第2の本発明に係る粒子移動型表示装置用粒子も、上述の第1の本発明にいう粒子移動型表示装置用粒子と同様に、粒子移動型表示装置に適用できることは勿論である。
コア粒子として、顔料粒子、及び着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子、の両方を使用して、本発明に係る粒子移動型表示装置用粒子の製造方法を行うことで、第1の本発明に係る粒子移動型表示装置用粒子と、第2の本発明に係る粒子移動型表示装置用粒子との混合粒子を製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。実施例1から12までが、第1の本発明に係る実施例であり、実施例13以降が第2の本発明に係る実施例である。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
表面に水酸基を有するコア粒子(着色剤:酸化チタン)と2−クロロエチルビニルエーテルを、水酸化ナトリウム存在下のジメチルスルホキシド中で反応させる。洗浄、乾燥工程の後に塩化水素をビニロキシ基部位に付加させると、下記化学式(1)に示すような、表面にリビングカチオン重合開始基の導入された重合開始基担持型コア粒子1が得られる。
Figure 2006146191
上記の重合開始基担持型コア粒子1にイソブチルビニルエーテル、四塩化スズ、及びN−テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドを加え、リビングカチオン重合をジクロロメタン溶媒中、−78℃で所定時間行う。また、粒子にグラフト化される高分子鎖の分子量及び分子量分布の指標となるように、コア粒子に固定化されていない重合開始種として下記化学式(2)に示すイソブチルビニルエーテルの塩化水素付加体(IBVE−HCl)を反応系に予め加えておく。
Figure 2006146191
重合終了後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約2.7μmである。粒子移動型表示装置用粒子はテトラヒドロフラン中で良好に分散することから、コア粒子表面にポリ(イソブチルビニルエーテル)が伸長グラフトされていることを確認できる。また、コア粒子に固定化されていない重合開始種として加えておいた、IBVE−HClから生成した高分子の分子量と分子量分布を測定した。結果は、数平均分子量が約2万で、分子量分布指数が1.08であることから、コア粒子に伸長グラフト化された高分子鎖は鎖長の揃った高分子鎖であることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いると、以下のようになる。電気泳動粒子(白色粒子)5重量%、オイルブルーN(アルドリッチ)0.1重量%、ロジン酸(酸性添加剤)2.5重量%、電気泳動粒子分散媒としてアイソパーH92.4重量%を用い、電気泳動粒子分散液とした。グラフト化されたポリ(イソブチルビニルエーテル)は、ロジン酸との酸−塩基相互作用によって電気泳動粒子にプラス帯電を付与する。また、グラフト化されたポリ(イソブチルビニルエーテル)は電気泳動粒子分散媒中で広がりを持つことによって分散機能も発現する。
前記した電気泳動粒子分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図1(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子は分散性、帯電性、及び鮮明度に優れ、鮮やかな青白表示を行うことができる。
[実施例2]
実施例1と同様にして得た電気泳動粒子分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル1iをin situ重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質は尿素−ホルムアルデヒド樹脂である。マイクロカプセル1iをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板1a上に配置し、電圧印加回路を接続して図1(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な青白表示を行うことができる。
[実施例3]
下記化学式(3)に示す2−アセトキシエチルビニルエーテルの酢酸付加体(AcOVE−HOAc)を官能性開始剤として用いる。それに、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル(イソブチルビニルエーテルに対して2当量)、二塩化エチルアルミニウム、及び酢酸エチルを添加する。そして、ヘキサン溶媒中、0℃でリビングカチオン重合を所定時間行うと、数平均分子量が約2万で、分子量分布指数が1.10である、末端にアセトキシ基を有するイソブチルビニルエーテルとドデシルビニルエーテルのランダム共重合体が得られる。
Figure 2006146191
続くアルカリ条件下での処理によって、末端のアセトキシ基が水酸基に脱保護され、末端水酸基を有するイソブチルビニルエーテルとドデシルビニルエーテルのランダム共重合体を得る。次にこれを、表面にイソシアネート基を有するコア粒子(着色剤:カーボンブラック)とヘキサン中で反応させた後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約2.8μmである。
粒子移動型表示装置用粒子はヘキサン中で良好に分散することから、コア粒子表面に鎖長の揃ったイソブチルビニルエーテルとドデシルビニルエーテルのランダム共重合体が植込みグラフトされていることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子4eとして用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子4e(黒色粒子)1重量%、ロジン酸(酸性添加剤)0.5重量%、電気泳動粒子分散媒4fとしてアイソパーH98.5重量%を用い、電気泳動粒子分散液とする。
前記した電気泳動粒子分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行う。こうして、電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例4]
実施例3と同様にして得た電気泳動粒子分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4jを界面重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はポリアミド樹脂である。マイクロカプセル4jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置し、電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行う。電気泳動粒子4eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例5]
表面にジフェニルエチレン基が導入されたコア粒子(着色剤:オイルブラックHBB)を、n−ブチルリチウムで表面処理すると、下記化学式(4)に示される、粒子表面にアニオン重合開始基が導入された重合開始基担持型コア粒子2が得られる。次に、該重合開始基担持型コア粒子2をヘプタン中に分散させた後、イソプレンを加えてリビングアニオン重合を45℃で所定の時間行い、メタノールで重合を停止させる。
Figure 2006146191
重合終了後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約1.9μmである。
作製された粒子移動型表示装置用粒子はテトラヒドロフラン中で良好に分散することから、コア粒子表面にポリイソプレンがグラフトされていることを確認できる。また、アニオン重合開始基が導入されたコア粒子作製工程で残存しているn−ブチルリチウムから生成した高分子の分子量と分子量分布を測定した。数平均分子量が約1万で、分子量分布指数が1.05であることから、コア粒子にグラフト化された高分子鎖は鎖長の揃ったポリマーであることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子4eとして用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子4e(黒色粒子)1重量%、ポリイソブチレンコハク酸イミド(塩基性添加剤)0.5重量%、電気泳動粒子分散媒4fとしてアイソパーH98.5重量%を用い、電気泳動粒子分散液とする。
前記した電気泳動粒子分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行うことで、電気泳動粒子4eは分散性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例6]
実施例5と同様にして得た電気泳動粒子分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4jを界面重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はポリアミド樹脂である。マイクロカプセル4jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置し、電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子4eは分散性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例7]
n−ブチルリチウムを開始剤として、ベンゼン溶媒中でブタジエンのリビングアニオン重合を50℃で行い、ブタジエンの重合完了時にスチレンを後添加して重合を継続させる。この重合溶液を、表面に水酸基を有するコア粒子(着色剤:カーボンブラック)を分散させたベンゼン溶液に加えて、コア粒子表面で重合を停止させる。その後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約2.2μmである。
作製された粒子移動型表示装置用粒子はベンゼン中で良好に分散することから、コア粒子表面にポリブタジエンとポリスチレンのブロック共重合体がグラフトされていることを確認できる。また、表面と未反応のブロック共重合体の数平均分子量が約3万で、分子量分布指数が1.15であることから、コア粒子にグラフト化された高分子鎖は鎖長の揃ったブロック共重合体であることを確認できる。作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子4eとして用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子4e(黒色粒子)1重量%、ロジン酸(酸性添加剤)0.5重量%、電気泳動粒子分散媒4fとしてアイソパーH98.5重量%を用い、電気泳動粒子分散液とした。
前記した電気泳動粒子分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子4eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例8]
実施例7と同様にして得た電気泳動粒子分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4jをin situ重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。マイクロカプセル4jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置し、電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子4eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例9]
オクタデシルビニルエーテル、下記化学式(5)に示すフタルイミド基を持つ官能性開始剤(ImVE−HCl)及び二塩化亜鉛を用いる。それらを用いて、ジクロロメタン中、−40℃でリビングカチオン重合を所定時間行うと、末端にフタルイミド基を有するポリ(オクタデシルビニルエーテル)が得られる。
Figure 2006146191
続いて加水分解処理によって、末端のフタルイミド基がアミノ基に脱保護され、数平均分子量が約2万で、分子量分布指数が1.12である、末端アミノ基を有するポリ(オクタデシルビニルエーテル)を得る。また前記ポリマーとは別に、同様の工程により、数平均分子量が約2万で、分子量分布指数が1.07である末端アミノ基を有するポリ(2−クロロエチルビニルエーテル)を得る。次に前記2種類の末端アミノ基ポリマーを、下記化学式(6)に示すような、表面にカルボン酸基がスペーサーを介して導入されているスペーサー導入型コア粒子3(着色剤:カーボンブラック)とヘキサン中で反応させる。
その後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約2.5μmである。
Figure 2006146191
作製された粒子移動型表示装置用粒子はクロロホルム中で良好に分散することから、共に鎖長の揃ったポリ(オクタデシルビニルエーテル)とポリ(2−クロロエチルビニルエーテル)がコア粒子表面に植込みグラフトされていることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子4eとして用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子4e(黒色粒子)1重量%、ロジン酸(酸性添加剤)0.5重量%、電気泳動粒子分散媒4fとしてアイソパーH98.5重量%を用い、電気泳動粒子分散液とした。
前記した電気泳動粒子分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例10]
実施例9と同様にして得た電気泳動粒子分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4jを界面重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はポリアミド樹脂である。マイクロカプセル4jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置し、電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子4eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例11]
以下のような構成材料により、電気泳動粒子分散液を準備した。
実施例1と同様にして得た電気泳動粒子(白色粒子) 5重量%
ロジン酸(酸性添加剤) 2.5重量%
実施例5と同様にして得た電気泳動粒子(黒色粒子) 3重量%
ポリイソブチレンコハク酸イミド(塩基性添加剤) 1.5重量%
電気泳動粒子分散媒としてアイソパーH 88重量%
前記した電気泳動粒子分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図1(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示(図3)を長時間行ったところ、白黒の2種類の電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例12]
実施例11と同様にして得た電気泳動粒子分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル1iをin situ重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。マイクロカプセル1iをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板1a上に配置し、電圧印加回路を接続して図1(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示(図3)を長時間行ったところ、白黒の2種類の電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例13]
カーボンブラック(Color Black FW200 degussa社製)を脱水DMFに分散させた後、モリブデンヘキサカルボニル触媒の存在下トリレンジイソシアネートと反応させることで表面にイソシアネート基を有するカーボンブラックを作製する。次にこれを脱水DMFに再度分散させた後4−ヒドロキシブチルビニルエーテルと反応させ、洗浄、乾燥の後に塩化水素をビニロキシ基部位に付加させる事で表面にリビングカチオン重合基の導入された重合開始基担持型顔料粒子が得られる。
これにドデシルビニルエーテル、四塩化スズ、及びN−テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリドを加え、リビングカチオン重合をジクロロメタン溶媒中、−78℃で所定時間行う。また、カーボンブラックにグラフト化される高分子鎖の分子量及び分子量分布の指標となるように、顔料粒子に固定化されていない重合開始種としてドデシルビニルエーテルの塩化水素付加体を反応系に予め加えておく。
重合終了後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約0.15μmである。粒子移動型表示装置用粒子はテトラヒドロフラン中で良好に分散することから、顔料粒子表面にポリ(ドデシルビニルエーテル)が伸長グラフトされていることを確認できる。また、顔料粒子に固定化されていない重合開始種として加えておいた、ドデシルビニルエーテルの塩化水素付加体から生成した高分子の分子量と分子量分布を測定した。結果は、数平均分子量が約1万5000で、分子量分布指数が1.21であることから、顔料粒子に伸長グラフト化された高分子鎖は鎖長の揃った高分子鎖であることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いると、以下のようになる。電気泳動粒子(黒色顔料粒子)5重量%、ロジン酸エステル2.5重量%、電気泳動分散媒としてアイソパーH92.5重量%を用い電気泳動分散液とする。ポリ(ドデシルビニルエーテル)がグラフト化された電気泳動粒子はプラス帯電を示す。また、グラフト化されたポリ(ドデシルビニルエーテル)は電気泳動分散媒中で広がりを持つことによって分散機能も発現する。
前記した電気泳動分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±15Vで表示を行ったところ、電気泳動粒子は分散性、帯電性、及び鮮明度に優れ、鮮やかな白黒表示を行うことができる。
[実施例14]
実施例13と同様にして得た電気泳動分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4iをin situ重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質は尿素−ホルムアルデヒド樹脂である。マイクロカプセル4iをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置し、電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。
駆動電圧±15Vで表示を行ったところ、電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例15]
2−アセトキシエトキシビニルエーテルの酢酸付加体を開始剤として、n−ブチルビニルエーテル、二塩化エチルアルミニウム、及び酢酸エチルを添加し、ヘキサン溶媒中、0℃でリビングカチオン重合を所定時間行う。ついでn−ブチルビニルエーテルの重合完了時にオクタデシルビニルエーテル(n−ブチルビニルエーテルと当量)を後添加して重合を継続させる。こうして、末端にアセトキシ基を有するn−ブチルビニルエーテルとオクタデシルビニルエーテルのブロック共重合体が得られる。このブロック共重合体をアルカリ条件下で処理することで、末端のアセトキシ基が水酸基に脱保護され、末端水酸基を有するn−ブチルビニルエーテルとオクタデシルビニルエーテルのブロック共重合体を得る。
次にこれを、実施例1と同様にトリレンジイソシアネートで処理することで得られる表面にイソシアネート基を有するカーボンブラック(Color Black FW200 degussa社製)とヘキサン中で反応させる。その後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約0.13μmである。
また、カーボンブラック表面と未反応のブロック共重合体の数平均分子量を測定する。結果は、約2万5000で、分子量分布指数が1.25であることから、カーボンブラックにグラフト化された高分子鎖は鎖長の揃ったブロック共重合体であることを確認できる。粒子移動型表示装置用粒子はヘキサン中で良好に分散することから、顔料粒子表面に鎖長の揃ったn−ブチルビニルエーテルとオクタデシルビニルエーテルのブロック共重合体が植込みグラフトされていることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子として用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子4e(黒色顔料粒子)5重量%、ロジン酸エステル3重量%、電気泳動分散媒4fとしてアイソパーH92重量%を用い電気泳動分散液とする。n−ブチルビニルエーテルとオクタデシルビニルエーテルのブロック共重合体がグラフト化された電気泳動粒子はプラス帯電を示す。
前記した電気泳動分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例16]
実施例15と同様にして得た電気泳動分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4jを界面重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はポリアミド樹脂である。
マイクロカプセル4jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置し、電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。
駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子4eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例17]
n−ブチルリチウムを開始剤として、ベンゼン溶媒中でブタジエンのリビングアニオン重合を25℃で行う。この重合溶液を、表面に水酸基を有する酸化チタン顔料粒子を分散させたベンゼン溶液に加えて、顔料粒子表面で重合を停止させる。その後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約0.3μmである。
作製された粒子移動型表示装置用粒子はクロロホルム中で良好に分散することから、顔料粒子表面にポリブタジエンがグラフトされていることを確認できる。また、顔料表面と未反応の重合体の数平均分子量が約3万で、分子量分布指数が1.13であることから、顔料粒子にグラフト化された高分子鎖は鎖長の揃った重合体であることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子1eとして用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子1e(白色顔料粒子)8重量%、オイルブルーN(アルドリッチ)0.1重量%、ロジン酸エステル2重量%、電気泳動分散媒1fとしてアイソパーH89.9重量%を用い電気泳動分散液とする。ポリブタジエンがグラフト化された電気泳動粒子はプラス帯電を示す。
前記した電気泳動分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図1(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子1eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な青白表示を行うことができる。
[実施例18]
実施例17と同様にして得た電気泳動分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル1jをin situ重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。マイクロカプセル1jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板1a上に配置し、電圧印加回路を接続して図1(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。
駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子1eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例19]
オクチルビニルエーテル、下記化学式(1)に示すフタルイミド基を持つ開始剤及び二塩化亜鉛を用いて、ジクロロメタン中、−40℃でリビングカチオン重合を所定時間行う。末端にフタルイミド基を有するポリ(オクチルビニルエーテル)が得られる。
Figure 2006146191
続いて加水分解処理によって、末端のフタルイミド基がアミノ基に脱保護される。そして、数平均分子量が約1万5000で、分子量分布指数が1.14である、末端アミノ基を有するポリ(オクチルビニルエーテル)を得る。
また前記ポリマーとは別に、同様の工程により、数平均分子量が約2万で、分子量分布指数が1.09である末端アミノ基を有するポリ(2−クロロエチルビニルエーテル)を得る。
次に前記の末端アミノ基を有するポリ(オクチルビニルエーテル)とポリ(2−クロロエチルビニルエーテル)を当量混合する。そして、実施例13と同様にトリレンジイソシアネートで処理することで得られる表面にイソシアネート基を有するカーボンブラック(Color Black FW200 degussa社製)とヘキサン中で反応させる。その後、洗浄、乾燥工程を経て、目的とする粒子移動型表示装置用粒子を得る。その平均粒径は、約0.14μmである。
作製された粒子移動型表示装置用粒子はクロロホルム中で良好に分散する。従って、共に鎖長の揃ったポリ(オクチルビニルエーテル)とポリ(2−クロロエチルビニルエーテル)が顔料粒子表面に植込みグラフトされていることを確認できる。
作製した粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子4eとして用いると、以下のようになる。
電気泳動粒子4e(黒色顔料粒子)3重量%、ロジン酸エステル1.5重量%、電気泳動分散媒4fとしてアイソパーH95.5重量%を用い電気泳動分散液とする。ポリ(オクチルビニルエーテル)とポリ(2−クロロエチルビニルエーテル)がグラフト化された電気泳動粒子はプラス帯電を示す。
前記した電気泳動分散液をインクジェット方式のノズルを用いてセルに注入し、電圧印加回路を接続して図4(a)に示した電気泳動表示素子を作製する。駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子は分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
[実施例20]
実施例19と同様にして得た電気泳動分散液を用いて、該分散液を内包するマイクロカプセル4jを界面重合法によって作製する。マイクロカプセルの膜材質はポリアミド樹脂である。マイクロカプセル4jをインクジェット方式のノズルを用いて第1基板4a上に配置する。電圧印加回路を接続して図4(b)に示した電気泳動表示素子を作製する。
駆動電圧±10Vでコントラスト表示を長時間行ったところ、電気泳動粒子4eは分散性と帯電性に優れ、鮮明な白黒表示を行うことができる。
本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子としてを用いた、電気泳動表示素子の一実施態様例を示す断面図である。 本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子としてを用いた、電気泳動表示素子の表示例を示す概略図である。 本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子としてを用いた、電気泳動表示素子の表示例を示す概略図である。 本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子としてを用いた、電気泳動表示素子の他の実施態様例を示す断面図である。 本発明の粒子移動型表示装置用粒子を電気泳動粒子としてを用いた、電気泳動表示素子の表示例を示す概略図である。
符号の説明
1a 第1基板
1b 第2基板
1c 第1電極
1d 第2電極
1e 電気泳動粒子
1f 電気泳動粒子分散媒
1g 隔壁
1h 絶縁層
1i マイクロカプセル
4a 第1基板
4b 第2基板
4c 第1電極
4d 第2電極
4e 電気泳動粒子
4f 電気泳動粒子分散媒
4g 隔壁
4h 絶縁層
4i 絶縁層
4j マイクロカプセル

Claims (6)

  1. 粒子移動型表示装置用粒子の製造方法であって、
    コア粒子として、顔料粒子、及び着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子、の少なくとも一方を用意する工程と、
    精密イオン重合法により、前記コア粒子の表面に高分子化合物を形成して固定化する工程とを有することを特徴とする粒子移動型表示装置用粒子の製造方法。
  2. 前記高分子化合物の形成及び固定化を、前記コア粒子表面上の精密イオン重合開始基から、精密イオン重合により該高分子化合物を伸長グラフト化させることにより行う請求項1記載の粒子移動型表示装置用粒子の製造方法。
  3. 前記高分子化合物の形成及び固定化を、前記コア粒子表面上の官能基(A)と、予め精密イオン重合法によって作製された高分子化合物上の官能基(B)を反応させる植込みグラフト化によって行う請求項1記載の粒子移動型表示装置用粒子の製造方法。
  4. 粒子移動型表示装置用粒子であって、
    コア粒子である顔料粒子または着色剤と高分子重合体を含み構成される複合粒子の表面に、精密イオン重合法により作製された高分子化合物が共有結合によって固定化されていることを特徴とする粒子移動型表示装置用粒子。
  5. 前記コア粒子表面上に固定化された高分子化合物の分子量分布指数(重量平均分子量/数平均分子量)が1.8以下である請求項4記載の粒子移動型表示装置用粒子。
  6. 請求項4または5に記載の粒子移動型表示装置用粒子と、
    該粒子移動型表示装置用粒子を分散させるための分散媒を含有する分散液を貯留する容器と、
    該容器の少なくとも一部に設けられた表示部と、
    該表示部への前記粒子移動型表示装置用粒子の移動を表示情報に応じて生じさせるための電圧印加手段と、
    を有することを特徴とする粒子移動型表示装置。
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