JP2006143754A - 脱硫方法、燃料電池システムおよび水素製造システム - Google Patents

脱硫方法、燃料電池システムおよび水素製造システム Download PDF

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Abstract

【課題】 原料ガスに供給段階で付臭剤として添加されている硫黄化合物を、ガス中から効果的かつ確実に除去できる脱硫方法、燃料電池システムおよび水素製造システムを提供する。
【解決方法】 一般式(1)
(1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
で表される、結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持した脱硫剤を用いて、0.2〜4MPaの加圧下にて、硫黄化合物を含有するガスから硫黄化合物を吸着除去することを特徴とする脱硫方法、並びに、改質器または水素製造装置の前段に、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられているとともに、該圧縮機の後段であって改質器または水素製造装置の前段にて、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫器が備えられていることを特徴とする燃料電池システムまたは水素製造システム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、原料ガス中の硫黄化合物を除去するための脱硫方法、それを用いた燃料電池システムおよび水素製造システムの運転方法、並びに、燃料電池システムおよび水素製造システムに関するものである。さらに詳細には、天然ガス、LPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)などの原料ガスを水素燃料に改質して用いる固体高分子型燃料電池 (Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)のシステムに好適に用いられる脱硫方法およびそのシステムに関する。
近年、地球温暖化防止が強く叫ばれている中で、エネルギー問題と環境問題を考慮しながら解決するために数々の試みが行われている。中でも、天然ガス(主成分メタン)やLPGなどの一次エネルギーを電気や動力と、温水や蒸気などの複数の二次エネルギーに変換させ、効率よくエネルギーを利用するシステムであるコージェネレーションシステムが注目を浴びている。このコージェネレーションシステムの中でも注目されているシステムが、分散電源として機能する燃料電池発電システムである。燃料電池発電システムは、排気が非常にきれいで環境問題が生じず、かつ小容量でも発電効率が高く、さらには排熱の有効利用により総合的なエネルギー効率の向上がはかれるシステムである。
天然ガスやLPGなどの原料ガスを水素燃料とする燃料電池発電システムは、電極反応によって燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、エネルギー変換に伴って発生する損失が少なく、高い発電効率が得ることができる。
天然ガスやLPGには、付臭剤といわれる硫黄化合物が微量に含まれており、この付臭剤は、ガスが漏れたときに人が気づくように安全のために添加されている。一般に、付臭剤としては、悪臭を有するターシャリーブチルメルカプタンや、ジメチルサルファイド、あるいはテトラヒドロチオフェンのような微量でも特有な臭いが感じられる硫黄化合物が使用されている。
しかしながら、これらの付臭剤は、燃料電池発電システム内で使用されている各種触媒にダメージを与える被毒物質として機能してしまうという問題があった。また、原料ガスをユーザーに供給する段階で付臭剤を取り除くことは、安全の面から困難である。ここで各種触媒には、原料ガスから水素を生成する改質触媒や、水素と酸素とから電力を得る燃料電池本体に用いられる触媒が含まれる。燃料電池発電システム中の各種触媒が被毒することなく機能するのには、付臭剤の硫黄化合物をppbオーダーになるまで除去する必要がある。
一方、燃料電池発電システムに原料ガスを脱硫する脱硫装置を設けることについては、これまでも幾つかの報告がなされている(例えば特許文献1参照)。しかし、上記付臭剤として硫黄化合物を確実かつ効率的に除去する方法に関しては、未だ十分な研究がなされていない。特に、脱硫剤として有用な結晶性シリケートを含む化合物を用いる場合、どのような条件において確実な脱硫を行うことが可能となるのか、検討されてこなかった。
他方、従来、燃料電池発電システムにて、原料ガスを水素燃料に改質する際には、原料ガスを常圧で脱硫後、脱硫したガスを加圧してから改質器(リフォーマー)に供給していた。改質器では、例えば0.8〜1.0MPa程度の加圧下にて原料ガスの改質が行われるため、その直前で加圧する必要があるからである。しかし、脱硫工程に関しては、改質工程とは異なり、脱硫の際の最適な条件に関して特に検討されてこなかった。
特開平11−139803号公報
以上のように、燃料電池発電システムでは、天然ガス、LPGガスなどの燃料ガスに供給段階で付臭剤として添加されている硫黄化合物を燃料ガスの中からppbオーダーになるまで脱硫する必要がある。特に、硫化ジメチル、ターシャルブチルメルカプタンおよびテトラヒドロチオフェンなどの硫黄化合物、含酸素硫黄化合物(COS)については、改質器に導入する前段で確実に除去しておく必要がある。また、原料ガスから、付臭剤として使用された硫黄化合物を長時間、安定して除去できる脱硫法およびシステムが必要とされている。
本発明者らは、上記問題点に鑑み、燃料電池発電システムにおいて、天然ガス、LPGガスなどの原料ガスに供給段階で付臭剤として添加されている硫黄化合物を、ガス中から効果的かつ確実に除去できる脱硫方法およびシステムを開発すべく、鋭意検討した。
その結果、特定構造の結晶性シリケートに触媒活性金属を担持した脱硫剤を用いて、加圧下にて、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去すること、あるいは、システムとして脱硫工程の条件を考慮して圧縮機を配置すること等によって、上記問題点が解決されることを見出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
すなわち、本発明の第1は、一般式(1)
(1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
[式(1)中、Rはアルカリ金属およびHからなるグループから選択される少なくとも1種の元素であり、Mは8族元素、希土類元素、Ti、V、Cr、Nb、SbおよびGaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、LはMg、Ca、SrおよびBaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、モル比a、b、cおよびyは0≦a、0≦b≦20、a+b=1および11≦y≦3000である。]
で表され、CuKα線を用いる粉末X線回折で格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Åおよび11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークが現れる、結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持した脱硫剤を用いて、0.2〜4MPaの加圧下にて、硫黄化合物を含有するガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫方法を提供するものである。ここで、ガスには上記した原料ガスの他、既に原料の改質を行った後の燃料ガス(水素含有ガス)も含まれる。
本発明において、前記触媒活性金属は、4〜12族の元素から選択される少なくとも1種であるが好ましい。なお、4〜12族の元素とは、例えば、4族としてTi、Zr、Hfの元素と、5族としてV、Nb、Taの元素と、6族としてCr、Mo、Wの元素と、7族としてMn、Tc、Reの元素と、8族としてFe、Ru、Osの元素と、9族としてCo、Rh、Irの元素と、10族としてNi、Pd、Ptの元素と、11族としてCu、Ag、Auの元素、12族の元素としてZn、Cd、Hgの元素を含む。前記触媒活性金属として、4〜12族の元素から選択される2種以上の触媒活性金属を用いることも可能であり、具体的には、亜鉛(Zn)と鉄(Fe)を同時に用いる態様が挙げられる。
また、前記触媒活性金属として異なる2種以上の触媒活性金属を用いる場合、前記結晶性シリケートに(1)均一に担持させて用いること、(2)分割担持させて用いること、あるいは、(3)傾斜担持させて用いること、ができる。
ここで、(1)均一に担持させるとは、触媒活性金属は担体である結晶性シリケートの全体に亘り、略均一に担持されている場合をいう。(2)分割担持とは、担体である結晶性シリケートを複数の部分に分割して、異なる複数の部分にはそれぞれ異なる種類の触媒活性金属を担持させている場合をいう。このように結晶性シリケートへ触媒活性金属を分割担持させた場合には、脱硫の際に、異なる複数の部分を原料ガスがそれぞれ通過するように配置することが必要である。(3)傾斜担持とは、上記分割担持において、その分割する部分の境界線をガスの流れ方向に対して斜めに傾斜させて配置する場合をいう。これによって、ガスの流れ方向に対しては、異なる触媒活性金属が一部で重なって存在する領域があることとなる。
本発明の第2は、原料ガスの供給導管が接続されており、燃料ガス(水素含有ガス)を生成する改質器と、該改質器に接続する高温シフト装置および低温シフト装置の少なくとも1つと、該シフト装置に接続するPROx装置と、該PROx装置に接続し、高分子電解質膜の一方の側に該燃料ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して電極反応を行う固体高分子型燃料電池(PEFC)装置と、を備え、原料ガスを燃料ガスに改質して流通させる燃料電池システムの運転方法であって、前記いずれかの脱硫方法を用いて前記原料ガスの脱硫を行う工程と、この脱硫した原料ガスを常圧まで減圧して前記改質器に導入する工程と含むことを特徴とする燃料電池システムの運転方法を提供するものである。
本発明の第3は、原料ガスの供給導管が接続されており、水素含有ガスを生成する水素製造装置を備えた水素製造システムの運転方法であって、前記いずれかの脱硫方法を用いて前記原料ガスの脱硫を行う工程を含むことを特徴とする水素製造システムの運転方法を提供するものである。なお、上記水素製造装置としては、水素分離膜を備えたものが好ましい。
本発明の第4は、脱硫された原料ガスと水を反応させることにより、燃料ガスを生成する改質器と、該改質器の後段にて、高分子電解質膜の一方の側に該燃料ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して、電極反応を行う固体高分子型燃料電池と、を含む燃料電池システムであって、前記改質器の前段に、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられているとともに、該圧縮機の後段であって前記改質器の前段にて、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫剤が備えられている燃料電池システムを提供するものである。前記圧縮機では、通常、原料ガスを0.2〜4MPaに加圧する。また、脱硫剤としては、前記一般式(1)で表される結晶性シリケートに触媒活性金属を担持した脱硫剤が好ましい。
酸素含有ガスとしては、酸素を含むガスであれば広く用いることが可能であり、一般的には、空気、あるいは、100%のボンベ酸素などが用いられる。また、燃料ガスは、改質器による原料ガスの改質により得られる水素含有ガスであり、一般的に燃料ガスのdry水素濃度は、20〜80%程度である。
本発明の第5は、脱硫された原料ガスと水を反応させることにより、水素含有ガスを生成する水素製造装置を含む水素製造システムであって、前記水素製造装置の前段に、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられているとともに、該圧縮機の後段であって前記水素製造装置の前段にて、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫剤が備えられている水素製造システムを提供するものである。前記圧縮機では、通常、原料ガスを0.2〜4MPaに加圧する。また、脱硫剤としては、前記一般式(1)で表される結晶性シリケートに触媒活性金属を担持した脱硫剤が好ましい。
本発明では、前記原料ガスが、C1(炭素を1個含む化合物、例えばCH4)〜C12(炭素を12個含む化合物、例えばC1226)によって構成される炭化水素系ガスより選択される一種以上の化合物を含む。例えば、前記原料ガスが、CH4と、C26と、C38と、C410と、C512と、C614と、C716と、C818と、C920と、C1022、C1124、C1226で構成される炭化水素系ガスより選択される一種以上の化合物を含む。本発明における原料ガスは、一般的な天然ガス、LPG(液化石油ガス)、LNG(液化天然ガス)、メタンガス、灯油や、ガソリンなどのいわゆる化石燃料をも広く含む。天然ガスは、導管で供給可能な気体燃料であり、メタンを主成分として他の炭化水素系ガスを含むガスである。また、原料ガスには、天然ガス以外に、原油、ナフサあるいは石炭などを変性あるいは混合して製造されたガスを広く用いることができる。LPG(液化石油ガス)は、プロパン、ブタンなどの炭化水素の混合物である。LNG(液化天然ガス)は、メタンを主成分とする天然ガスを加圧、冷却したものをいう。
本発明では、原料ガス中の硫黄化合物を除去する際に、脱硫剤を好ましくは−20℃〜300℃、より好ましくは−20℃〜50℃で用いる。前記硫黄化合物としては、硫化ジメチル、ターシャルブチルメルカプタンおよびテトラヒドロチオフェンからなる群より選択される1種以上の化合物が含まれる。
以上のように、本発明に係る脱硫方法によれば、付臭剤の硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物をppbオーダーまで、確実に吸着除去することができる。これにより、燃料電池システムに用いた場合、原料ガスから水素を生成する改質触媒や、水素と酸素により電極反応を行う燃料電池本体に用いられる触媒、等の各種触媒が被毒することなく、各装置を長期間安定して機能させることができる。
また、本発明に係る燃料電池システムおよび水素製造システムによれば、原料ガスに含まれる付臭剤の硫黄化合物を除去でき、長期間安定して、原料ガスを改質して水素を生成することができるので、該水素を用いて効率的に発電することができる。
以下、本発明の脱硫方法、燃料電池システムおよび水素製造システムに関して、実施の形態により詳細に説明する。
実施の形態(その1)
本発明の第1である脱硫方法では、一般式(1)
(1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
で表され、CuKα線を用いる粉末X線回折で格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Åおよび11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークが現れる、結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持した脱硫剤を用いて、0.2〜4MPaの加圧下にて、硫黄化合物を含有するガスから硫黄化合物を吸着除去する。
ここでは先ず、0.2〜4MPaの加圧下にて、硫黄化合物を含有するガスから硫黄化合物を脱硫剤に吸着除去する工程について、説明する。
脱硫剤に流通させるガスとして原料ガスを用いる場合、ガス中に含有する付臭剤の硫黄化合物をppbオーダーになるまで除去する。原料ガスは、脱硫剤を流通させる前段にて、圧縮機(コンプレッサー)によって0.2〜4MPa、好ましくは0.5〜4MPa、特に好ましくは0.8〜4MPaに加圧される。0.2MPa未満では、十分な脱硫効果が得られず、脱硫剤の後流に硫黄化合物(S含有化合物)が流下し易い。よって、例えば燃料電池システムに用いた場合、長時間の使用によって後段の各種触媒が硫黄化合物によって被毒されてしまい、性能低下を生じる。一方、0.5MPa以上であれば、より一層確実に多くの活性金属を用いた脱硫剤で優れた効果が得られるので好ましく、特に0.8MPa以上であれば、活性金属の種類によらず含酸素硫黄化合物(COS)などの脱硫しにくい化合物も略完全な脱硫が可能である。逆に、4MPaを超えて加圧することによっても脱硫効果は変わらず、4MPaを超える加圧は不要な工程となるので好ましくない。
次に、本実施の形態で用いられる脱硫剤について、説明する。
脱硫剤は、上記一般式(1)で表される結晶性シリケートに、4〜12族の元素から選択される少なくとも1種である触媒活性金属が担持される。触媒活性金属としては、例えば、4族としてTi、Zr、Hfの元素、5族としてV、Nb、Taの元素、6族としてCr、Mo、Wの元素、7族としてMn、Tc、Reの元素、8族としてFe、Ru、Osの元素、9族としてCo、Rh、Irの元素、10族としてNi、Pd、Ptの元素、11族としてCu、Ag、Auの元素、12族としてZn、Cd、Hgの元素が挙げられる。
また、前記触媒活性金属として異なる2種以上の触媒活性金属を用いる場合、前記結晶性シリケートに(1)均一に担持させて用いること、(2)分割担持させて用いること、あるいは、(3)傾斜担持させて用いること、ができる。
(1)均一に担持させる場合には、触媒活性金属は担体である結晶性シリケートの全体に亘り、異なる2種以上の触媒活性金属をそれぞれ略均一に担持させる。
(2)分割担持させる場合には、先ず、担体である結晶性シリケートを複数の部分に分割して、異なる複数の部分にはそれぞれ異なる種類の触媒活性金属を担持させる。例えば結晶性シリケートを2つの部分、A部分とB部分に分割する。そして、A部分とB部分には、それぞれ異なる触媒活性金属を担持させる。但し、分割させる際の各部分の体積の割合は特に限定されるものではなく、ガス流通の際に前段となるA部分の体積比1〜9に対して、後段となるB部分の体積比9〜1の範囲で適宜、変化させることができる。
このような結晶性シリケートへ触媒活性金属を分割担持させた脱硫剤で脱硫する際には、異なる複数の部分を原料ガスがそれぞれ通過するように配置する。具体的には、A部分およびB部分の2つに分割担持されている場合、ガスの流れ方向に対して前段にはそのガス流路の全面に亘ってA部分となるように配置し、A部分の後段には該ガス流路の全面に亘ってB部分となるように配置する。これによって、原料ガスはA部分に導入されて脱硫された後、確実にB部分を通過して脱硫される。
(3)傾斜担持させる場合には、上記(2)分割担持において、複数の部分に分割する結晶性シリケートの境界線を斜めに傾斜させる。そして、ガスの流れ方向に対して境界線を斜めに傾斜させて配置する。ここで上記の例を用いれば、境界線はA部分とB部分との境界線であり、A部分とB部分がガスの流れ方向に対しては、一部で重なって存在する領域がある。
次いで、本発明で用いる脱硫剤の調製法について、説明する。該脱硫剤は、通常、結晶性シリケートを調製する工程と、結晶性シリケートに触媒活性金属を担持する工程と、担持後乾燥および焼成し加圧成型する工程とを経て調製される。
1)結晶性シリケートの調製工程
ゼオライト系担体である結晶性シリケートの調製工程の一例を説明する。
水ガラス1号(SiO2含有)560重量部を水530〜550重量部に溶解し、この溶液を溶液Aとする。一方、水400重量部に硫酸アルミニウム70〜75重量部、塩化第二鉄10〜12重量部、酢酸カルシウム4〜6重量部、塩化ナトリウム24〜28重量部、濃塩酸190〜210重量部を溶解し、この溶液を溶液Bとする。溶液Aと溶液Bを一定の割合で供給し、沈殿を生成させ、充分攪拌してPH8のスラリーを得る。このスラリーをオートクレーブに仕込み、さらにテトラプロピルアンモニウムブロマイド48〜52重量部を添加し、100℃〜200℃で1時間〜100時間水熱合成し、合成後、水洗し、乾燥した後、さらに、300℃〜600℃で1時間〜12時間、焼成することにより、脱水された状態において結晶性シリケートを得る。
この結晶性シリケートの化学式は、一般式(1)
(1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
で表される。式(1)中、Rはアルカリ金属およびHからなるグループから選択される少なくとも1種の元素であり、Mは8族元素、希土類元素、Ti、V、Cr、Nb、SbおよびGaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、LはMg、Ca、SrおよびBaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、モル比a、b、cおよびyが0≦a、0≦b≦20、a+b=1および11≦y≦3000である。また、該結晶性シリケートは、CuKα線を用いる粉末X線回折で格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Åおよび11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークが現れるものである。
この結晶性シリケートを30〜50℃で、2〜6NのNH4Cl水溶液に浸漬し、2〜4時間攪拌してNH4イオン交換をする。イオン交換後、洗浄して80℃〜120℃、22〜26時間乾燥させた後、380〜420℃、2〜4時間焼成することにより、H型の結晶性シリケートを得る。H型とは結晶性シリケート中のイオン交換サイトの活性種がH+(プロトン)であるという意味です。結晶性シリケートの形状は、円柱状、球状、リング状、ハニカム状(ソリッド型、コート型)がよい。しかしながら、本発明で用いられる結晶性シリケートは、これらの形状に限定されるものではない。
2)触媒活性金属の担持工程
上記工程で得られた結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持する。得られたH型の結晶性シリケート上に担持する触媒活性金属は、上記した4族から12族の金属が好ましい。
触媒活性金属が存在する金属塩の溶液の例として、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸マンガン、硝酸クロムなどの硝酸塩類を用いることができる。また、硝酸塩の他、硫酸塩、塩化物等も用いることができる。
本実施の形態では、触媒活性金属が存在する金属塩の溶液を用いて、含浸法にて触媒活性金属を結晶性シリケートに担持する。なお、活性金属を結晶性シリケートに担持する方法は、含浸法の他、あらかじめ球状、円柱状に成型した結晶性シリケートを活性金属溶液に浸漬させ、吸水含浸させる方法などがある。
3)成型工程
上記工程による担持後の結晶性シリケートを、乾燥および焼成する。得られた触媒粉末を加圧成型して、固形型の脱硫剤を得る。固形型には、円柱状、球状、リング状、ハニカム状(ソリッド型、コート型)があるが、これらに限定されるものではない。
上記1)〜3)の工程により得られた脱硫剤は、上述した加圧下で用いることにより、極めて優れた脱硫効果を発揮する。
実施の形態(その2)
本実施の形態では、燃料電池システムに上記本発明の第1である脱硫方法を用いる場合の具体的な運転方法について、説明する。
各種触媒を用いた装置が備えられている燃料電池システムの一例を挙げれば、概略以下のような構成からなる。すなわち、燃料電池システムは、原料ガスの供給導管が接続されており、燃料ガスを生成する改質器と、該改質器に接続する高温シフト装置(HTS:high temperature shift)および/または低温シフト装置(LTS:low temperature shift)と、該シフト装置に接続するPROx装置と、該PROx装置に接続し、高分子電解質膜の一方の側に該燃料ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して電極反応を行う固体高分子型燃料電池装置とからなる。
原料ガスは供給導管から改質器に供給される。ここで、原料ガスから硫黄化合物を除去するために上記脱硫方法を用いることができる。
その場合、改質器の前段に脱硫器を設けて、該脱硫器中に上記脱硫剤を設置する。そして、供給する原料ガスを0.2〜4MPaに加圧してから流通させることによって、原料ガス中の付臭剤であるターシャリーブチルメルカプタンや、ジメチルサルファイド、テトラヒドロチオフェン、COSなどの硫黄化合物は吸着除去される。脱硫した原料ガスは、上記のように加圧されているので、常圧まで減圧した後、改質器に導入する。
次に、脱硫された原料ガスは、改質器内のガス改質触媒によって、水素を含む燃料ガスに改質される。例えば、改質器では、燃料ガス中のメタンから、水蒸気改質反応によって水素を得る。原料ガス中の他のエタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素も、メタンと同様に、反応によって水素供給原料として作用する。この改質温度は700℃〜800℃で好適であるため、改質器はこの温度範囲になるよう加熱される。ただし、この改質器の反応では、同時に一酸化炭素COを生じてしまい、COはPEFC装置の発電するための触媒の働きを阻害してしまう。よって、生成したCOが後流側の燃料電池に悪影響を及ぼすことから、改質器とPEFC装置との間には、HTS装置および/またはLTS装置と、PROx装置における反応によってCOを除去できるようにしている。
そこで、改質器により得られた燃料ガス(水素含有ガス)は、HTS装置および/またはLTS装置に送られ、これらの装置によってCOを除去する。ここで、HTS装置の反応温度は500℃程度、LTS装置の温度は200℃程度である。HTS装置および/またはLTS装置では、COを0.3〜0.4%まで除去している。
シフト装置からの燃料ガスは、空気を加え、PROx装置に送られる。PROx装置は、一酸化炭素選択酸化触媒によって、COを選択除去するための装置である。このPROx装置では、さらに10ppm以下までCOを除去する。
PROx装置からの水素を含むガスは、PEFC装置に送られる。PEFC装置では、高分子電解質膜の一方の側に水素含有ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して、電極反応を行う。水素含有ガスを供給する側のアノード電極には、アノード電極触媒が塗布されている。酸素含有ガスを供給する側のカソード電極には、カソード電極触媒が塗布されている。それぞれの電極では、以下の反応を起こさせる。
アノード電極(H2供給側) : H2 → 2H+ + 2e-
カソード電極(O2供給側) : O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O
電池全体 : 2H2 + O2 → 2H2O
これらの電極反応により、電池が構成され、PEFC装置では起電力を得ることができる。
実施の形態(その3)
本実施の形態では、水素製造システムに上記本発明の第1である脱硫方法を用いる場合の具体的な運転方法について、説明する。
水素製造システムの一例を挙げれば、概略以下のような構成からなる。すなわち、水素製造システムは、原料ガスの供給導管が接続され、水素分離膜が内蔵されている、水素含有ガスを生成する水素製造装置とからなる。
原料ガスは供給導管から水素製造装置に供給される。ここで、原料ガスから硫黄化合物を除去するために上記脱硫方法を用いることができる。
その場合、水素製造装置の前段に脱硫器を設けて、該脱硫器中に上記脱硫剤を設置する。そして、供給する原料ガスを0.2〜4MPaに加圧してから流通させることによって、原料ガス中の付臭剤であるターシャリーブチルメルカプタンや、ジメチルサルファイド、テトラヒドロチオフェン、COSなどの硫黄化合物は吸着除去される。
次に、脱硫された原料ガスは、水素製造装置内の改質触媒によって、水素含有ガスに改質される。例えば、水素製造装置では、原料ガス中の炭化水素が、水蒸気改質反応によって主に水素、COおよびCO2に分解される。この内、水素だけが装置に内蔵された水素分離膜を通して選択的に分離される。この時の水素製造装置内の圧力は0.2〜4MPが好適で、0.8〜1MPaがより好適であるため、脱硫器を通過した原料ガスをそのまま水素製造装置に導入することができる。なお、温度は700℃〜800℃で好適であるため、水素製造装置はこの温度範囲になるよう加熱される。
実施の形態(その4)
本実施の形態では、本発明の第4である脱硫器を備えた燃料電池システムの具体的な態様について、説明する。
本実施の形態の燃料電池システムは、脱硫された原料ガスと水を反応させることにより、水素含有ガスを生成する改質器と、該改質器の後段にて、高分子電解質膜の一方の側に該水素含有ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して、電極反応を行う固体高分子型燃料電池(PEFC装置)と、を備える。これに加えて、上記実施の形態(その2)と同様に、改質器に接続するHTS装置および/またはLTS装置と、該シフト装置に接続するPROx装置と、を備えている。
そして、前記改質器の前段には、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられている。この圧縮機では、原料ガスを0.2〜4MPaに加圧する。圧縮機の後段であって前記改質器の前段には、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫器が備えられている。脱硫器には、脱硫剤が設置されており、好ましくは上記実施の形態(その1)と同じ、一般式(1)で表される結晶性シリケートに触媒活性金属を担持した脱硫剤が設置される。かかる構成により、脱硫剤直前の圧縮機で十分な範囲まで加圧された原料ガスを、加圧下に脱硫剤に作用させて硫黄化合物を効率的に吸着除去することができる。また、脱硫器の後段であって改質器の前段には、加圧された原料ガスを常圧まで減圧する減圧弁などの減圧手段が備えられている。
実施の形態(その5)
本実施の形態では、本発明の第5である脱硫器を備えた水素製造システムの具体的な態様について、説明する。
本実施の形態の水素製造システムは、脱硫された原料ガスと水を反応させることにより、水素含有ガスを生成する水素製造装置を備える。この水素製造装置は、その内部に、例えば、パラジウム合金などからなる水素分離膜を備えている。
そして、前記水素製造装置の前段には、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられている。この圧縮機では、原料ガスを0.2〜4MPaに加圧する。圧縮機の後段であって前記水素製造装置の前段には、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫器が備えられている。脱硫器には、脱硫剤が設置されており、好ましくは上記実施の形態(その1)と同じ、一般式(1)で表される結晶性シリケートに触媒活性金属を担持した脱硫剤が設置される。かかる構成により、脱硫剤直前の圧縮機で十分な範囲まで加圧された原料ガスを、加圧下に脱硫剤に作用させて硫黄化合物を効率的に吸着除去することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものでない。
実験例1
水ガラス1号(SiO2:30wt%含有)5616gを水5429gに溶解し、この溶液を溶液Aとした。一方、水4175gに硫酸アルミニウム718.9g、塩化第二鉄110g、酢酸カルシウム47.2g、塩化ナトリウム262g、濃塩酸2020gを溶解し、この溶液を溶液Bとした。溶液Aと溶液Bを一定割合で供給し、沈殿を生成させ、充分攪拌してpHが8のスラリーを得た。このスラリーを20リットルのオートクレーブに仕込み、さらにテトラプロピルアンモニウムブロマイドを500g添加し、160℃で72時間水熱合成し、合成後水洗し乾燥した後、さらに500℃で3時間焼成することにより、脱水された状態においてH2O[0.25Fe2O3・0.8Al2O3・0.2CaO]27SiO2の組成を有する結晶性シリケート1を得た。
得られた結晶性シリケート1について、CuKα線を用いる粉末X線回折測定を行い、最強線から第15位までのピークの格子面間隔(d値)及び相対強度を、下記表1に示す。
Figure 2006143754
表1から明らかなように、結晶性シリケート1は、CuKα線を用いる粉末X線回折測定において格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Å及び11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークを示し、格子面間隔3.0±0.1Å、3.3±0.1Å、4.25±0.1Å、5.6±0.2Å、6.0±0.2Å及び6.4±0.2Åに第6位から第11位までのピークを示し、かつ3.05±0.1Å、4.6±0.1Å、5.7±0.2Å及び6.7±0.2Åに第12位から第15位までのピークを示した。
前記結晶性シリケート1を40℃で、4NのNH4Cl水溶液に浸漬し、3時間攪拌してNH4イオン交換を実施した。イオン交換後、洗浄して100℃、24時間乾燥させた後、400℃、3時間焼成することによりH型の結晶性シリケート1を得た。前記H型結晶性シリケート1に硝酸鉄(II)水溶液を用いた含浸法にて酸化鉄を3%担持後、乾燥及び焼成して得られた
触媒粉末を加圧成型して固形型脱硫剤1を得た。
実験例2
実施例1の含浸法にて、硝酸鉄水溶液の代わりに硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸マンガン及び硝酸クロムを用いる事以外は、前述に記載した実施例1と同様にして固形型脱硫剤2〜7を得た。
実験例3
実施例1の含浸法にて、硝酸鉄水溶液と同時に硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸マンガン又は硝酸クロムを添加した事以外は、前述に記載した実施例1と同様にして固形型脱硫剤8〜13を得た。
実験例4
実施例1で得られた結晶性シリケートを用いて、75℃でFeが10mmol存在する塩化鉄水溶液に浸漬し、12時間攪拌してFeイオン交換を実施した。イオン交換後、ろ過、水洗、110℃で一晩乾燥させた後、触媒粉末を加圧成型して固形型脱硫剤14を得た。
実験例5
実施例4のイオン交換する活性金属の原料として塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化マンガンまたは塩化クロムを用いること以外は前述した実施例1と同様にして固形型脱硫剤15〜20を得た。
比較実験例1
実施例1のH型結晶性シリケート1の代わりに、Al2O3を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較脱硫剤1を得た。
実験例6
固形型触媒1〜20について、LPG中に含まれる硫黄分の除去試験を実施した。試験条件を表2に記載する。表2に示すように、脱硫剤の量(触媒量)を10cc、圧力を常圧(1気圧程度:1013.25hPa(ヘクトパスカル)程度)、反応管入口温度を常温(15℃〜35℃)、GHSV(Gas Hourly Space Velocity:1時間当たりで触媒単位体積当たりの処理ガス容積(m3/m3・h))を3500h-1、使用ガスをLPGとした。このときのLPGの組成は、C38が約98%、硫化ジメチルが約1ppm、ターシャルブチルメルカプタンが約0.5ppm、COSが約3ppmであった。
Figure 2006143754
試験中、反応管出口から排出されたガスのS濃度を定期的にサンプリング後、FPD方式のガスクロマトグラフによってS濃度を測定し、その値を触媒の脱硫性能とし、反応管出入り口のS濃度が近似となるまで連続的にガスを流通させた。
その脱硫性能評価結果を触媒調製リストと併せて、表3に示す。脱硫性能は、触媒(脱硫剤)出口でのS濃度が0.01ppm以上となるまでの時間で評価した。表3中の脱硫性能にあるとおり、結晶性シリケートを用いた脱硫剤1〜20はいずれも、担体としてAl23を用いた比較脱硫剤1よりもLPG中のS分をppbオーダーまで長時間除去可能であり、なおかつ加圧下にて脱硫性能は大幅に向上することが分かった。
Figure 2006143754
本発明の脱硫方法を燃料電池システムに用いれば、燃料電池の長時間の運転においても安定して改質反応や電極反応を継続することが可能であり、システムの耐久性が著しく向上する。また、硫黄化合物による触媒被毒を回避することができるので、原料ガスの種類によらず、燃料電池システムの安定した運転が可能となるので、産業上の意義は極めて大きい。

Claims (14)

  1. 一般式(1)
    (1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
    [式(1)中、Rはアルカリ金属およびHからなるグループから選択される少なくとも1種の元素であり、Mは8族元素、希土類元素、Ti、V、Cr、Nb、SbおよびGaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、LはMg、Ca、SrおよびBaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、モル比a、b、cおよびyは0≦a、0≦b≦20、a+b=1および11≦y≦3000である。]
    で表され、CuKα線を用いる粉末X線回折で格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Åおよび11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークが現れる、結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持した脱硫剤を用いて、
    0.2〜4MPaの加圧下にて、硫黄化合物を含有するガスから硫黄化合物を吸着除去することを特徴とする脱硫方法。
  2. 前記触媒活性金属が、4〜12族の元素から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の脱硫方法。
  3. 前記触媒活性金属として異なる2種以上の触媒活性金属を、前記結晶性シリケートに均一に担持させて用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱硫方法。
  4. 前記触媒活性金属として異なる2種以上の触媒活性金属を、前記結晶性シリケートに分割担持させて用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱硫方法。
  5. 前記触媒活性金属として異なる2種以上の触媒活性金属を、前記結晶性シリケートに傾斜担持させて用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の脱硫方法。
  6. 前記硫黄化合物が、硫化ジメチル、ターシャルブチルメルカプタンおよびテトラヒドロチオフェンからなる群より選択される1種以上の化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱硫方法。
  7. 原料ガスの供給導管が接続されており、燃料ガスを生成する改質器と、該改質器に接続する高温シフト装置および/または低温シフト装置の少なくとも1つと、該シフト装置に接続するPROx装置と、該PROx装置に接続し、高分子電解質膜の一方の側に該燃料ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して電極反応を行う固体高分子型燃料電池装置と、を備え、原料ガスを燃料ガスに改質して流通させる燃料電池システムの運転方法であって、
    前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱硫方法を用いて前記原料ガスの脱硫を行う工程と、この脱硫した原料ガスを常圧まで減圧して前記改質器に導入する工程とを含むことを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  8. 原料ガスの供給導管が接続されており、水素含有ガスを生成する水素製造装置を備えた水素製造システムの運転方法であって、
    前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱硫方法を用いて、原料ガスの脱硫を行う工程を含むことを特徴とする水素製造システムの運転方法。
  9. 脱硫された原料ガスと水を反応させることにより、燃料ガスを生成する改質器と、該改質器の後段にて、高分子電解質膜の一方の側に該燃料ガス、他方の側に酸素含有ガスをそれぞれ導入して、電極反応を行う固体高分子型燃料電池と、を含む燃料電池システムであって、
    前記改質器の前段に、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられているとともに、
    該圧縮機の後段であって前記改質器の前段にて、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫器が備えられていることを特徴とする燃料電池システム。
  10. 前記圧縮機が、原料ガスを0.2〜4MPaに加圧することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記脱硫器には、一般式(1)
    (1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
    [式(1)中、Rはアルカリ金属およびHからなるグループから選択される少なくとも1種の元素であり、Mは8族元素、希土類元素、Ti、V、Cr、Nb、SbおよびGaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、LはMg、Ca、SrおよびBaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、モル比a、b、cおよびyは0≦a、0≦b≦20、a+b=1および11≦y≦3000である。]
    で表され、CuKα線を用いる粉末X線回折で格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Åおよび11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークが現れる、結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持した脱硫剤が設置されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の燃料電池システム。
  12. 脱硫された原料ガスと水を反応させることにより、水素含有ガスを生成する水素製造装置を含む水素製造システムであって、
    前記水素製造装置の前段に、脱硫する原料ガスを加圧する圧縮機が備えられているとともに、
    該圧縮機の後段であって前記水素製造装置の前段にて、硫黄化合物を含有する原料ガスから硫黄化合物を吸着除去する脱硫器が備えられていることを特徴とする水素製造システム。
  13. 前記圧縮機が、原料ガスを0.2〜4MPaに加圧することを特徴とする請求項12に記載の水素製造システム。
  14. 前記脱硫器には、一般式(1)
    (1±0.8)R2O・[aM23・bLO・cAl23]・ySiO2 ・・・(1)
    [式(1)中、Rはアルカリ金属およびHからなるグループから選択される少なくとも1種の元素であり、Mは8族元素、希土類元素、Ti、V、Cr、Nb、SbおよびGaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、LはMg、Ca、SrおよびBaからなるグループから選択される少なくとも一種の元素であり、モル比a、b、cおよびyは0≦a、0≦b≦20、a+b=1および11≦y≦3000である。]
    で表され、CuKα線を用いる粉末X線回折で格子面間隔3.65±0.1Å、3.75±0.1Å、3.85±0.1Å、10.0±0.3Åおよび11.2±0.3Åに最強ピークから第5位までのピークが現れる、結晶性シリケートに、触媒活性金属を担持した脱硫剤が設置されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の水素製造システム。
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