JP2006143499A - 積層セラミックス基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温で焼成しても良好な誘電特性を示す積層セラミックス基板及びその製造方法を得る。
【解決手段】 誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成し、仮焼成粉を含むシートを複数積層した積層体を焼成して得られる積層セラミックス基板であり、誘電体セラミックス材料として少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である、各種類毎の仮焼成粉を混合した仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入したことを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】 誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成し、仮焼成粉を含むシートを複数積層した積層体を焼成して得られる積層セラミックス基板であり、誘電体セラミックス材料として少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である、各種類毎の仮焼成粉を混合した仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入したことを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成し、仮焼成粉を含むシートを複数積層した積層体を焼成して得られる積層セラミックス基板及びその製造方法に関するものである。
近年普及している携帯電話などの移動体通信機器及び携帯通信端末においては、その小型化への要求から、これらに使用される高周波回路部品の小型化及び高性能化が求められている。
高周波回路基板においては、従来のプリント基板にコンデンサやインダクタを表面実装したモジュールに代えて、誘電体セラミック基板にコンデンサやインダクタのパターンの配線を形成して積層し、小型化したものが用いられるようになってきている。
積層セラミック基板は、一般にスクリーン印刷法等で所定の配線パターンを形成したガラスセラミック等のグリーンシートを積層し、これを800℃〜900℃程度の温度で焼成して作製されている。配線パターンの材料としては、導電率が高く、かつ大気中で焼成することができる銀(Ag)が多く用いられている。
配線パターンの材料として銀を用いるため、一般には、上記のように800℃〜900℃程度の低温で焼成することが必要であり、積層セラミック基板に用いる誘電体セラミック材料としては、アルミナ等のセラミックフィラーとガラスを混合した低温焼成可能なガラスセラミック材料が用いられている(特許文献1及び2参照)。
しかしながら、ガラスを多量に配合すると、機械的強度が低下するとともに、誘電特性も低下するという問題があった。
特許第3441924号公報
特開平10−120436号公報
本発明の目的は、低温で焼成しても良好な誘電特性を示す積層セラミックス基板及びその製造方法を提供することにある。
本発明の積層セラミックス基板は、誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成し、仮焼成粉を含むシートを複数積層した積層体を焼成して得られる積層セラミックス基板であり、誘電体セラミックス材料として少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である、各種類毎の仮焼成粉を混合した仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入したことを特徴としている。
本発明によれば、少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、該誘電体セラミックス材料の仮焼成混合粉を、加熱後急冷することにより、該仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入している。結晶欠陥を導入することにより、結晶が不安定な状態となり、本焼成の際の焼結をより低温で行うことができるようになる。具体的には800℃〜900℃の低温で焼成しても、良好な誘電率及びQf値を得ることができ、良好な誘電特性を得ることができる。また、良好な焼結状態とすることができるため、高い抗折強度を得ることができる。
本発明においては、シートの上にAu、Ag、Cu、Pt、及びPdからなる群より選ばれる少なくとも1つを主成分とする導体層のパターンを形成し、積層後の内部導体のパターンとすることができる。従来は、比較的高い温度で焼成しなければならず、銀(Ag)を用いた場合、銀導体層の劣化や剥離が生じ易いという問題があったが、本発明によれば、より低い温度で焼成することが可能になるため、銀導体層の劣化及び剥離を抑制することができる。また、従来より低温で焼成することが可能なため、銀ペーストの種類の選択の幅を広げることができる。
また、本発明においては、少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料のうち、少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である。このペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料を用いることにより、良好な誘電特性を得ることができる。また、本発明において用いる全ての誘電体セラミックス材料を、ペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料としてもよい。
本発明においては、少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料の原料粉を各誘電体セラミックス材料の種類毎に仮焼成し、仮焼成粉を混合して得られる仮焼成混合粉を、加熱・急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入している。原料粉としては誘電体セラミックス材料の構成元素の酸化物や炭酸化物などを用いることができる。仮焼成の温度は、特に限定されるものではないが、一般には1000℃〜1200℃である。仮焼成の時間は、一般に1時間〜5時間である。本発明において、誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入するため加熱する温度としては、特に限定されるものではないが、1000℃〜1200℃程度が好ましい。この際の昇温速度は特に限定されないが、欠陥を導入するための処理であるので、急激に加熱してもよい。急冷する際の降温速度は、例えば20℃〜200℃/秒程度であることが好ましい。急冷する方法としては、例えば、室温〜−196℃の温度の空気、窒素などの冷却ガスを、加熱された仮焼成粉に噴射して吹き付ける方法が挙げられる。
本発明の仮焼成粉においては少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料が含まれているので、仮焼成混合粉を加熱・急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入することができる。このような結晶欠陥は、少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料の熱膨張率等が異なることなどによって導入されるものである。
上記一般式におけるRは、希土類元素を示すものであるが、例えば、Sm、Ndが挙げられる。従って、例えば、2種類の誘電体セラミックス材料を用いる場合、一方の誘電体セラミックス材料として、RがNdであるものを用い、他方の誘電体セラミックス材料として、RがSmであるものを用いることができる。
上記のようにして結晶欠陥が導入された仮焼成混合粉を用いて、グリーンシートなどのシートを作製し、これを複数枚積層した積層体を焼成することにより、本発明の積層セラミックス基板が得られる。シートは、一般に仮焼成混合粉とバインダーとを含むスラリーを塗布することにより作製することができるが、仮焼成混合粉にガラス粉末を添加して作製してもよい。ガラス粉末を添加することにより、より低温での焼成が可能となる。
ガラス粉末に用いるガラスとしては、ZnO−B2O3−SiO2系ガラス、Li2O−B2O3−SiO2系ガラス、Bi2O3−B2O3−ZnO系ガラスなどが挙げられる。
ガラス粉末を添加する量としては、仮焼成混合粉とガラス粉末の合計に対し、0.5〜10重量%の配合量が挙げられる。
本発明においては、上記のようにして作製したシートの表面に内部導体のパターンを形成した後、これを複数枚積層して積層体を作製する。この積層体を本焼成することにより本発明の積層セラミックス基板とすることができる。本焼成の温度としては、上述のように、800℃〜900℃の温度が挙げられる。本発明においては、上述のように、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入しているので、より低い温度で焼結することができ、より低い温度で焼成が可能となる。焼成時間は特に限定されるものではないが、0.5時間〜10時間が好ましく、さらに好ましくは2時間〜5時間である。
本発明の製造方法は、上記本発明の積層セラミックス基板を製造することができる方法である。すなわち、本発明の製造方法は、誘電体セラミックス材料から積層セラミックス基板を製造する方法であり、少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である、誘電体セラミックス材料の原料粉を各誘電体セラミックス材料の種類毎に仮焼成して仮焼成粉を調製する工程と、得られた仮焼成粉を混合して仮焼成混合粉を調製する工程と、得られた仮焼成混合粉を加熱・急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入する工程と、該結晶欠陥を導入した仮焼成混合粉を含むシートを作製する工程と、該シートを複数積層した積層体を焼成して積層セラミックス基板を作製する工程とを備えることを特徴としている。
本発明の製造方法に従えば、例えば800℃〜900℃の低温で焼成しても、良好な誘電特性を及び機械的強度を示す積層セラミックス基板とすることができる。
本発明の誘電体セラミックス材料の仮焼成混合粉末は、上記本発明の積層セラミックス基板を製造する際に用いる仮焼成混合粉末である。すなわち、誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成した仮焼成粉末であって、誘電体セラミックス材料として少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料であり、該誘電体セラミックス材料の原料粉を各誘電体セラミックス材料の種類毎に仮焼成した後、各種類毎の仮焼成粉を混合して仮焼成混合粉とし、該仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入したことを特徴とする仮焼成粉末である。
本発明の仮焼成粉末(仮焼成混合粉末)を用いることにより、低温で焼成しても良好な誘電特性を及び機械的強度を有する積層セラミックス基板を製造することができる。
本発明によれば、低温で焼成しても良好な誘電特性及び機械的強度を有する積層セラミックス基板とすることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
〔原料混合粉の調製〕
誘電体セラミックス材料として、(Li,Nd)TiO3−(Ca,Sr)TiO3で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料Aと、(Li,Sm)TiO3−(Ca,Sr)TiO3で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料Bを用いた。誘電体セラミックス材料Aの原料粉として、Li2O、CaCO3、SrCO3、Nd2O3、及びTiO2をモル比15:1:9:12:63となるように混合した原料混合粉1を用い、誘電体セラミックス材料Bの原料粉として、Li2O、CaCO3、SrCO3、Sm2O3、及びTiO2をモル比15:1:9:12:63となるように混合した原料混合粉2を用いた。これらの原料混合粉1及び2は、上記酸化物及び炭酸化物の各原料をボールミルで混合して得られたものである。
〔原料混合粉の調製〕
誘電体セラミックス材料として、(Li,Nd)TiO3−(Ca,Sr)TiO3で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料Aと、(Li,Sm)TiO3−(Ca,Sr)TiO3で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料Bを用いた。誘電体セラミックス材料Aの原料粉として、Li2O、CaCO3、SrCO3、Nd2O3、及びTiO2をモル比15:1:9:12:63となるように混合した原料混合粉1を用い、誘電体セラミックス材料Bの原料粉として、Li2O、CaCO3、SrCO3、Sm2O3、及びTiO2をモル比15:1:9:12:63となるように混合した原料混合粉2を用いた。これらの原料混合粉1及び2は、上記酸化物及び炭酸化物の各原料をボールミルで混合して得られたものである。
〔仮焼成混合粉の調製〕
115.3gの原料混合粉1を1200℃で2時間加熱して仮焼成した。1200℃に加熱した際の昇温速度は200℃/時間であり、降温速度は300℃/時間である。仮焼成した粉末をボールミルで24時間粉砕し仮焼成粉1を得た。同様に、115.8gの原料混合粉2を1200℃で2時間加熱して仮焼成した。1200℃に加熱した際の昇温速度は200℃/時間であり、降温速度は300℃/時間である。仮焼成した粉末をボールミルで24時間粉砕し仮焼成粉2を得た。仮焼成粉1と仮焼成粉2を混合し仮焼成混合粉を得た。仮焼成粉1と仮焼成粉2の混合割合は、モル比で1:1である。
115.3gの原料混合粉1を1200℃で2時間加熱して仮焼成した。1200℃に加熱した際の昇温速度は200℃/時間であり、降温速度は300℃/時間である。仮焼成した粉末をボールミルで24時間粉砕し仮焼成粉1を得た。同様に、115.8gの原料混合粉2を1200℃で2時間加熱して仮焼成した。1200℃に加熱した際の昇温速度は200℃/時間であり、降温速度は300℃/時間である。仮焼成した粉末をボールミルで24時間粉砕し仮焼成粉2を得た。仮焼成粉1と仮焼成粉2を混合し仮焼成混合粉を得た。仮焼成粉1と仮焼成粉2の混合割合は、モル比で1:1である。
〔仮焼成混合粉への結晶欠陥の導入〕
次に、得られた仮焼成混合粉を、図1に示す加熱装置を用いて、加熱した後急冷し、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入した。図1に示すように、加熱容器1内には、るつぼ2が設けられており、るつぼ2内に仮焼成混合粉3が収納されている。加熱容器1内には、ヒーター5及び6が設けられており、このヒーター5及び6により、るつぼ2内の仮焼成混合粉3を加熱する。仮焼成混合粉3を所定の温度に加熱した後、冷却ガスノズル4から冷却ガスを噴射し、仮焼成混合粉3を急冷する。
次に、得られた仮焼成混合粉を、図1に示す加熱装置を用いて、加熱した後急冷し、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入した。図1に示すように、加熱容器1内には、るつぼ2が設けられており、るつぼ2内に仮焼成混合粉3が収納されている。加熱容器1内には、ヒーター5及び6が設けられており、このヒーター5及び6により、るつぼ2内の仮焼成混合粉3を加熱する。仮焼成混合粉3を所定の温度に加熱した後、冷却ガスノズル4から冷却ガスを噴射し、仮焼成混合粉3を急冷する。
上記の加熱装置を用いて、仮焼成混合粉を1200℃に加熱した後、5分間この温度を保持し、次に冷却ガスノズルから−150℃の窒素の冷却ガスを噴射し、1200℃から300℃までの降温速度が100℃/秒となるように急冷した。急冷した後の仮焼成混合粉をボールミルで24時間粉砕した。
〔グリーンシートの作製〕
結晶欠陥導入処理で得られた仮焼成混合粉50gと、ZnO−B2O3−SiO2系粉末ガラス1.5gと、Bi2O3−B2O3−ZnO系粉末ガラス0.5gとをミル中で混合し、これにバインダーを混合してスラリーを作製した。
結晶欠陥導入処理で得られた仮焼成混合粉50gと、ZnO−B2O3−SiO2系粉末ガラス1.5gと、Bi2O3−B2O3−ZnO系粉末ガラス0.5gとをミル中で混合し、これにバインダーを混合してスラリーを作製した。
得られたスラリーを用いてドクターブレード法により、厚み150μmのグリーンシートを作製した。グリーンシートの上にAgペーストで所定の導体層パターンを形成した後、乾燥した。このようなグリーンシートを8枚作製した。
次に、各グリーンシートを100mm×100mmの大きさに切断し、切断したグリーンシート8枚を積層し、静水圧プレスで圧着成形した。その後、ダイシングにより1mm×2mmの大きさに切断し、積層体とした。
〔積層セラミックス基板の作製〕
上記のようにして作製した積層体を、860℃で2時間焼成することにより、積層セラミックス基板を作製した。
上記のようにして作製した積層体を、860℃で2時間焼成することにより、積層セラミックス基板を作製した。
なお、上記誘電体セラミックスA及び誘電体セラミックスBを単独で用い、かつ導体層パターンを形成せずに、900℃で2時間焼成することにより、積層セラミック基板を作製したときの比誘電率を表1に示す。
(比較例1)
〔原料混合粉の調製〕
実施例1と同様にして原料混合粉1及び2を作製した。
〔原料混合粉の調製〕
実施例1と同様にして原料混合粉1及び2を作製した。
〔仮焼成粉の調製〕
実施例1と同様にして原料混合粉1及び2を用いて、仮焼成粉を調製した。
実施例1と同様にして原料混合粉1及び2を用いて、仮焼成粉を調製した。
〔グリーンシートの作製〕
上記のようにして得られた仮焼成粉をそのまま用い、結晶欠陥導入処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にしてグリーンシートを作製し、このグリーンシートを用いて積層体を作製した。
上記のようにして得られた仮焼成粉をそのまま用い、結晶欠陥導入処理を行わないこと以外は、実施例1と同様にしてグリーンシートを作製し、このグリーンシートを用いて積層体を作製した。
〔積層セラミックス基板の作製〕
上記のようにして作製した積層体を、860℃で2時間焼成することにより、積層セラミックス基板を作製した。
上記のようにして作製した積層体を、860℃で2時間焼成することにより、積層セラミックス基板を作製した。
(比較例2)
原料混合粉として、原料混合粉1のみを用い、焼成温度を860℃から900℃に変更する以外は、上記比較例1と同様にして積層セラミックス基板を作製した。
原料混合粉として、原料混合粉1のみを用い、焼成温度を860℃から900℃に変更する以外は、上記比較例1と同様にして積層セラミックス基板を作製した。
<仮焼成粉のX線回折測定>
実施例1における、結晶欠陥導入処理前及び結晶欠陥導入処理後の仮焼成混合粉のX線回折測定を行った。X線回折測定における測定条件は、以下の通りである。
実施例1における、結晶欠陥導入処理前及び結晶欠陥導入処理後の仮焼成混合粉のX線回折測定を行った。X線回折測定における測定条件は、以下の通りである。
X線管球:Cu(1.54060Å)、管電圧:40.0kV、管電流:40.0mA
ステップ幅:0.0500度、計数時間:1.00秒
スリット条件:発散スリット1.00度、散乱スリット1.00度、受光スリット0.30mm
結晶欠陥導入処理前においては、最強ピーク(2θ=33.1度)の半値幅は、0.301度であった。通常、半値幅は、0.2〜0.4度である。これに対して、結晶欠陥導入処理後には、最強ピークの半値幅が0.529度となった。半値幅は結晶の乱れに依存するものであるので、結晶欠陥導入処理後に半値幅が増加していることから、結晶欠陥導入処理により、結晶に欠陥が導入されたことが確認された。
ステップ幅:0.0500度、計数時間:1.00秒
スリット条件:発散スリット1.00度、散乱スリット1.00度、受光スリット0.30mm
結晶欠陥導入処理前においては、最強ピーク(2θ=33.1度)の半値幅は、0.301度であった。通常、半値幅は、0.2〜0.4度である。これに対して、結晶欠陥導入処理後には、最強ピークの半値幅が0.529度となった。半値幅は結晶の乱れに依存するものであるので、結晶欠陥導入処理後に半値幅が増加していることから、結晶欠陥導入処理により、結晶に欠陥が導入されたことが確認された。
<積層セラミックス基板の評価>
実施例1及び比較例1〜2で得られた積層セラミックス基板について、基板表面に形成した銀層の剥離状態、及び基板の比誘電率を評価し、評価結果を表2に示した。
実施例1及び比較例1〜2で得られた積層セラミックス基板について、基板表面に形成した銀層の剥離状態、及び基板の比誘電率を評価し、評価結果を表2に示した。
表2に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例1においては、基板表面における銀層の剥離は認められず、また77.9という高い比誘電率が得られた。これに対し、結晶欠陥導入処理を行わなかった比較例1においては、基板表面における銀層の剥離は見られなかったが、比誘電率は52.0と、実施例1に比べ低い値であった。
また、比較例2においては、焼成温度が、実施例1及び比較例1よりも高い900℃であったため、基板表面における銀層の剥離が認められた。また、比誘電率は、比誘電率が高い誘電体セラミックスAのみを用いたにもかかわらず、実施例1よりも低い61.4であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして仮焼成混合粉を調製し、得られた仮焼成混合粉に、図2に示す加熱装置を用いて結晶欠陥を導入する以外は、実施例1と同様にして積層セラミックス基板を作製した。
実施例1と同様にして仮焼成混合粉を調製し、得られた仮焼成混合粉に、図2に示す加熱装置を用いて結晶欠陥を導入する以外は、実施例1と同様にして積層セラミックス基板を作製した。
図2(a)は、仮焼成混合粉3を加熱する状態を示している。図2(a)に示すように、加熱容器1内には、るつぼ2が設けられており、るつぼ2内に仮焼成混合粉3が収納されている。図2(a)に示す加熱状態においては、断熱キャップ7が上方に位置しており、ヒーター5及び6からの熱により、るつぼ2内の仮焼成混合粉3を加熱できる状態となっている。
図2(a)に示す状態で、仮焼成混合粉3を所定の温度に加熱した後、図2(b)に示すように、断熱キャップ7を下方に移動させ、ヒーター5及び6からの熱によりるつぼ2内の仮焼成混合粉3が加熱されない状態にする。次に、断熱キャップ7の上方に設けられた冷却ガスノズル8から、冷却ガスを噴射し、仮焼成混合粉3を急冷する。
上記の加熱装置を用いて、仮焼成混合粉を1200℃に加熱した後、5分間この温度を保持し、次に冷却ガスノズルから−150℃の窒素の冷却ガスを噴射し、1200℃から300℃までの降温速度が150℃/秒となるように急冷した。急冷した後の仮焼成混合粉をボールミルで24時間粉砕した。
上記のようにして結晶欠陥を導入した仮焼成混合粉を用いて、実施例1と同様にして積層セラミックス基板を作製した。
<仮焼成粉のX線回折測定>
上記と同様にして、実施例2の仮焼成混合粉の結晶欠陥導入処理前と、結晶欠陥導入処理後のX線回折測定を行った。結晶欠陥導入処理前においては、最強ピーク(2θ=33.1度)の半値幅は0.301度であった。これに対して、結晶欠陥導入処理後には、最強ピークの半値幅が0.562度となった。
上記と同様にして、実施例2の仮焼成混合粉の結晶欠陥導入処理前と、結晶欠陥導入処理後のX線回折測定を行った。結晶欠陥導入処理前においては、最強ピーク(2θ=33.1度)の半値幅は0.301度であった。これに対して、結晶欠陥導入処理後には、最強ピークの半値幅が0.562度となった。
<積層セラミックス基板の評価>
上記と同様にして、実施例2の積層セラミックス基板について評価し、評価結果を表3に示した。なお、表3には比較例1及び比較例2の結果も併せて示した。
上記と同様にして、実施例2の積層セラミックス基板について評価し、評価結果を表3に示した。なお、表3には比較例1及び比較例2の結果も併せて示した。
表3に示す結果から明らかなように、本発明に従う実施例2においては、基板表面における銀層の剥離は認められず、また81.6という高い比誘電率が得られた。
1…加熱容器
2…るつぼ
3…仮焼成混合粉
4…冷却ガスノズル
5,6…ヒーター
7…断熱キャップ
8…冷却ガスノズル
2…るつぼ
3…仮焼成混合粉
4…冷却ガスノズル
5,6…ヒーター
7…断熱キャップ
8…冷却ガスノズル
Claims (6)
- 誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成し、仮焼成粉を含むシートを複数積層した積層体を焼成して得られる積層セラミックス基板であって、
前記誘電体セラミックス材料として少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である、各種類毎の仮焼成粉を混合した仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより、仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入したことを特徴とする積層セラミックス基板。 - 前記一般式におけるRが、SmまたはNdであることを特徴とする請求項1に記載の積層セラミックス基板。
- 前記シートが、前記結晶欠陥を導入した仮焼成混合粉とガラス粉末とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層セラミックス基板。
- 前記ガラス粉末が、ZnO−B2O3−SiO2系ガラス、Li2O−B2O3−SiO2系ガラス、及びBi2O3−B2O3−ZnO系ガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の積層セラミックス基板。
- 誘電体セラミックス材料から積層セラミックス基板を製造する方法であって、
少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型結晶相を有する誘電体セラミックス材料である、前記誘電体セラミックス材料の原料粉を各誘電体セラミックス材料の種類毎に仮焼成して仮焼成粉を調製する工程と、
前記各種類毎の仮焼成粉を混合して仮焼成混合粉を調製する工程と、
前記仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより、該仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入する工程と、
前記結晶欠陥を導入した仮焼成混合粉を含むシートを作製する工程と、
前記シートを複数積層した積層体を焼成して前記積層セラミックス基板を作製する工程とを備えることを特徴とする積層セラミックス基板の製造方法。 - 誘電体セラミックス材料の原料粉を仮焼成した仮焼成粉末であって、
前記誘電体セラミックス材料として少なくとも2種類の誘電体セラミックス材料を用い、そのうちの少なくとも1種類が一般式(Li,R)TiO3−(Ca,Sr)TiO3(R:希土類元素)で表されるペロブスカイト型誘電体セラミックス材料の結晶相を有する誘電体セラミックス材料であり、該誘電体セラミックス材料の原料粉を各誘電体セラミックス材料の種類毎に仮焼成した後、各種類毎の仮焼成粉を混合して仮焼成混合粉とし、該仮焼成混合粉を加熱後急冷することにより仮焼成混合粉の誘電体セラミックス材料に結晶欠陥を導入したことを特徴とする誘電体セラミックス材料の仮焼成粉末。
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