JP2006142323A - ロールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電磁誘導加熱コイル10を備えた耐火性加熱型19の下部に冷却型20が一体的に配置された組み合わせモールド11の内部に、芯材12を同心垂直に挿入し、芯材12の周囲の環状空隙部23に溶湯13を注入して芯材12を降下させ、芯材12の外周に、溶湯13を溶着させながら凝固させて鋳掛け肉盛層14を形成するロールの製造方法において、芯材12の外周に、融点が予熱された芯材12の表面温度より高く、しかも溶湯13にする金属の液相線温度より低い酸化防止コーティング材15を予め被覆する。
【選択図】 図1
Description
このロールの製造方法としては、電磁誘導加熱コイルを備えた耐火性加熱型の下部に、冷却型を一体的に配置した組み合わせモールドを用い、この組み合わせモールドの内部に鋼製の芯材を挿入し、芯材の周囲の環状隙間部に別途準備した溶湯を注入した後、芯材を降下させ芯材表面に溶湯を溶着させながら鋳掛け肉盛層(以下、単に肉盛層ともいう)を形成する方法が開示されている。このロールの製造方法は、CPC(Continuous Pouring process for Cladding:連続注入クラッド)法とも呼ばれている(例えば、特許文献1参照)。
これにより、芯材の外周に肉盛層を一層で形成できるので、芯材に対する熱の集中度を極めて小さくでき、従来の溶接肉盛法では不可能であった材質、例えば、過共晶材の肉盛層を形成することができる。
芯材は、溶湯を溶着させる寸前に加熱コイルを使用して加熱されているので、芯材の表層部のみが目的の温度まで加熱され、芯材の内部が十分に加熱されていない。このため、芯材の中心部と表層部との温度差が大きくなり、加熱コイルによる加熱が終了した表層部には、急激な温度低下が生じるので、溶湯を溶着させるための芯材表層部の温度が不十分な場合があり、溶湯の組成によっては、溶湯を芯材に溶着させることができない恐れがあった。
そこで、芯材の表層部と中心部との温度差を小さくできるように、芯材を長時間高温度で予熱することも考えられるが、芯材の外周に形成する従来使用していたガラスコーティング材では、長時間の高温度には耐えられず、ガラスコーティング材が芯材外周から剥がれ落ち、芯材外周が酸化され、芯材に溶湯を安定して溶着させることができない。
前記芯材の外周に、融点が予熱された該芯材の表面温度より高く、しかも前記溶湯にする金属の液相線温度より低い酸化防止コーティング材を予め被覆する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るロールの製造方法の説明図である。
ここで、ニッケル基自溶合金としては、Niを主成分とし、Cr:0又は0を超え25質量%以下、B:0.5質量%以上5.5質量%以下、及びSi:1.0質量%以上10質量%以下を含み、更に必要に応じて、例えば、C及びFeを含むものである。また、コバルト基自溶合金としては、Coを主成分とし、Cr:10質量%以上30質量%以下、B:0.5質量%以上5.5質量%以下、及びSi:1.0質量%以上10質量%以下を含み、更に必要に応じて、例えば、C及びFeを含むものである。
このニッケル基自溶合金とコバルト基自溶合金の一例を表1に示す。
なお、使用するニッケル基自溶合金及びコバルト基自溶合金は、それぞれを構成する化学成分量が、前記した範囲内であれば、表1に示すものに限定されるものではない。
このように、酸化防止コーティング材15が被覆された芯材12を予熱炉内に装入し、芯材12の大きさ、形状、及び材質に応じて、例えば6時間放置して、芯材12の表面温度が例えば800℃になるまで予熱を行う。なお、芯材12の予熱は、芯材12の中心部と表層部との温度差が、100℃以内になるまで加熱すればよいが、芯材12全体が略均一な温度になるまで行うことが好ましい。
このように予熱された芯材12の外周に鋳掛け肉盛層14を形成して、ロールを製造する。
ロール製造装置としては、図1に示すように、電磁誘導加熱コイル10が内部に配置された中空環状の耐火枠18を備えた耐火性加熱型19と、耐火性加熱型19の下部に配置され、これと同軸の内孔を有する冷却型20とを、一体的に配置した組み合わせモールド11を使用する。なお、組み合わせモールド11の下部には、油圧シリンダーなどの昇降手段(図示しない)によって上下させることができ、上部に配置された芯材12を徐々に降下させる昇降装置21を備えている。
なお、芯材12の外周には、酸化防止コーティング材15で構成される合金皮膜(合金被膜)が形成されているので、この合金皮膜を介して、芯材12の表面に溶湯13が溶着する。ここで、図1中の24は溶融部、25は溶融フラックスを示す。
芯材12は、組み合わせモールド11の上に配置された加熱コイル26によって、その表層部が、例えば1000℃程度まで加熱された後、更に溶湯13に接触することで、酸化防止コーティング材15の一部又は全部が軟化状態、更には溶融状態になる。
なお、従来芯材の外周の酸化を防止するために使用していたガラスコーティング材は、芯材と鋳掛け肉盛層との間にSiO2 として介在することが欠陥になっていた。しかし、酸化防止コーティング材15は、芯材12と肉盛層14との結合材として機能するため、ロールの品質を高めることができる。
まず、芯材の予熱前に、芯材の外周にニッケル基自溶合金を溶射した。このニッケル基自溶合金は、芯材とニッケル基自溶合金との境界部における芯材へのB及びCの拡散による割れを懸念して、B量及びC量を低減したものであり、その化学組成は、Niを主成分とし、B:0.92質量%、Si:2.1質量%、及びC:0.04質量%を含み、更にFe及びCuを含んでいる。なお、Crは含まれていない(0質量%)。
その結果、ガラスコーティングを施した芯材には、ガラス層の垂れ流れが発生しており、、しかも芯材からのガラス層の剥離も確認された。このため、芯材の表面に酸化した部分が発生し、溶湯の芯材への溶着性が悪くなり、ロールの品質低下を招くことを確認できた。
このため、溶湯の芯材への溶着性が良好であり、ロールの品質を従来よりも向上できることを確認できた。
また、前記実施の形態においては、芯材及び酸化防止コーティング材について、特定の材質について説明したが、本発明はこれらの材質に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の材質も含むものである。
Claims (6)
- 電磁誘導加熱コイルを備えた耐火性加熱型の下部に冷却型が一体的に配置された組み合わせモールドの内部に、芯材を同心垂直に挿入し、該芯材の周囲の環状空隙部に溶湯を注入して前記芯材を降下させ、該芯材の外周に、前記溶湯を溶着させながら凝固させて鋳掛け肉盛層を形成するロールの製造方法において、
前記芯材の外周に、融点が予熱された該芯材の表面温度より高く、しかも前記溶湯にする金属の液相線温度より低い酸化防止コーティング材を予め被覆することを特徴とするロールの製造方法。 - 請求項1記載のロールの製造方法において、前記酸化防止コーティング材は自溶合金であることを特徴とするロールの製造方法。
- 請求項2記載のロールの製造方法において、前記自溶合金は、前記芯材と前記鋳掛け肉盛層との結合材であることを特徴とするロールの製造方法。
- 請求項2及び3のいずれか1項に記載のロールの製造方法において、前記自溶合金はニッケル基自溶合金であり、Cr:0又は0を超え25質量%以下、B:0.5質量%以上5.5質量%以下、及びSi:1.0質量%以上10質量%以下を含むことを特徴とするロールの製造方法。
- 請求項2及び3のいずれか1項に記載のロールの製造方法において、前記自溶合金はコバルト基自溶合金であり、Cr:10質量%以上30質量%以下、B:0.5質量%以上5.5質量%以下、及びSi:1.0質量%以上10質量%以下を含むことを特徴とするロールの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のロールの製造方法において、前記酸化防止コーティング材は、前記芯材の外周に、吹き付け、塗布、浸漬、及び溶射のいずれか1又は2以上により被覆されることを特徴とするロールの製造方法。
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