以下、本発明の実施形態について図面を用いながら説明する。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(インクジェット塗布装置の構成)
図1は、インクジェット塗布装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態のインクジェット塗布方法を実施するためのインクジェット塗布装置1は、ノズルからインクの液滴を噴射するインクジェットヘッド42を用いて基板30にインクを塗布するインク塗布ボックス3と、このインク塗布ボックス3にインクを補給するインク補給ボックス4とを備えている。インクジェットヘッド42の各々の基板と対向する表面には、インク液滴を噴射するためのノズルが所定間隔離間して複数配列されている。
インク塗布ボックス3においては、架台2の上面にY軸方向ガイド板20が固定されており、このY軸方向ガイド板20の上面には、Y軸方向に複数のガイド溝21が延設されている。このガイド溝21にはY軸方向移動テーブル22の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合され、これによりY軸方向移動テーブル22は、ガイド溝21にガイドされてY軸方向に移動自在に支持されている。このY軸方向移動テーブル22は、Y方向移動モータ(図示せず)を用いた駆動機構によりガイド溝21に沿ってY軸方向に移動される。
また、Y軸方向移動テーブル22の上面には、X軸方向に複数のガイド溝(図示せず)が延設されている。このガイド溝には、X軸方向移動テーブル23の下面に設けられたガイド用の突起部(図示せず)が係合され、これによりX軸方向移動テーブル23は、このガイド溝にガイドされてX軸方向に移動自在に支持されている。このX軸方向移動テーブル23は、X方向移動モータ(図示せず)を用いた駆動機構によりガイド溝に沿ってX軸方向に移動される。
X軸方向移動テーブル23の上面には、基板保持テーブル26が固定されており、この基板保持テーブル26の上面には把持機構27が設けられており、インクの塗布対象である基板30を把持して固定し得るようになされている。なお、基板30の固定手段として、把持機構27による把持に代えて、例えば、吸着機構を設けるようにしてもよい。
基板保持テーブル26のX方向への移動量は、X方向エンコーダ(図示せず)のパルス状の出力信号に基づいて検出することができ、基板保持テーブル26のY方向への移動量は、Y方向エンコーダ(図示せず)のパルス状の出力信号に基づいて検出することができる。
また、インク塗布ボックス3において、架台2の上面には、インクジェットヘッドユニット40がX軸方向、Y軸方向及び上下方向であるZ軸方向に移動自在に支持されている。即ち、インク塗布ボックス3において、架台2の上面には、Y軸方向スライド板20を挟む位置に1組のコラム33a、33bが立設されており、このコラム33a、33bの上部にはX方向ガイド板35が横架されている。
X方向ガイド板35の前面には、X方向にガイド溝36が延設されており、このガイド溝36には、複数のインクジェットヘッドユニット40を垂設するベース板41の突起部が係合されている。これによりベース板41は、このガイド溝36にガイドされてX軸方向に移動自在に支持されている。このベース板41は、ヘッドユニット移動用モータ(図示せず)を用いた駆動機構によりガイド溝36に沿ってX軸方向に移動される。
インク塗布ボックス3においては、インクジェット塗布装置1の動作を制御する制御部10により、これらY方向移動テーブル22のY方向への移動、X方向移動テーブル23のX方向への移動及びベース板41のX方向への移動をそれぞれ制御し、これにより基板保持テーブル26に保持された基板30とベース板41に垂設されたインクジェットヘッドユニット40との相対位置を種々に変化させることができる。
またベース板41には、複数(例えば3つ)のインクジェットヘッドユニット40が垂設されており、このインクジェットヘッドユニット40において、その下端部に設けられたインクジェットヘッド42により下方にインクを噴射するようになされている。これら複数のインクジェットヘッドユニット40は、それぞれ同一の構成を有する。
図2は、インクジェットヘッドユニットを示す斜視図である。図2に示すように、インクジェットヘッドユニット40においては、ベース板41に支持され、移動部44aをZ方向(上下方向)に移動自在に支持するZ方向移動機構44と、このZ方向移動機構44の移動部44aに支持され、移動部45aをY方向に移動自在に支持するY方向移動機構45と、このY方向移動機構45の移動部45aに支持され、回転部46aをZ方向周りの回転方向であるθ方向に回転自在に支持するθ方向回転機構46と、このθ方向回転機構46の回転部46aに垂下されるインクジェットヘッド42とを有し、Z方向移動機構44によりインクジェットヘッド42の位置を基板30に対してZ方向に調整し得ると共に、Y方向移動機構45によりインクジェットヘッド42の位置を基板30に対してY方向に調整し得る。また、θ方向回転機構46によりインクジェットヘッド42の向きを基板30に対してθ方向に回転し得るようになされている。なお、Y方向移動機構45及びZ方向移動機構44には、それぞれヘッド調整用モータ(図示せず)が設けられ、これらによりインクジェットヘッド42をモータ駆動によってY方向、Z方向へ移動させることができる。また、θ方向回転機構46には、θ方向回転モータ(図示せず)が設けられており、これによりインクジェットヘッド42をモータ駆動によってθ方向に回転させることができる。またインクジェットヘッド42のθ方向への回転量は、θ方向エンコーダ(図示せず)のパルス状の出力信号に基づいて検出することができる。
このようにインクジェットヘッドユニット40においては、基板保持テーブル26に対するインクジェットヘッド42の位置を種々に調整し得るようになされている。
図3は、インクジェットヘッド42を示す斜視図である。図3に示すように、このインクジェットヘッドユニット40の下端部に設けられたインクジェットヘッド42において、その下方に向けられたノズル面48には複数のノズルがそれぞれノズル噴射口50を下方に向けるようにして一定の間隔を隔てて直列に穿設されている。
インクジェットヘッド42の内部には、各ノズルに連通してなるインクタンクが設けられており、このインクタンクの上面にはダイアフラム及び圧電素子が設けられている。制御部10からの噴射制御信号によってこの圧電素子を駆動させることにより、インクタンク内の圧力を変化させて該インクタンク内のインクをノズルより噴射させるようになされている。インクジェットヘッドユニット40では、このようにしてノズル噴射口から下方にインク液滴を噴射させることにより、インクジェットヘッド42の下方において基板保持テーブル26に保持された基板30の上面にインクを塗布する。
なお、本実施形態では、一例として、ベース板41は固定されており、Y方向移動テーブル23、X方向移動テーブル22が移動可能な場合の説明を行う。但し、ベース板41がY方向及びX方向に移動して、Y方向移動テーブル23、X方向移動テーブル22が固定している場合や、ベース板41がY方向及びX方向に移動して、Y方向移動テーブル23、X方向移動テーブル22が移動している場合に対しても、本発明の適用は可能である。
そして、Y方向移動テーブル23又はX方向移動テーブル22がベース板41に対して移動することにより、インクジェットヘッド42が基板30に対して相対的に移動することになる。以下、このような移動を、インクジェットヘッド42が基板30に対して相対的に移動するという。この際、インクジェットヘッド42は、そのノズル面48と基板30との間のZ方向上の距離が所定距離離間するようにしながら、基板30に対して相対的に移動する。
また、本実施形態では、インクジェットヘッド42が、Y方向に沿った複数のドット位置がX方向に複数配置された所定領域(後述の図5参照)に対して、相対的に移動することが行われる。この移動の詳細な説明は後述する。
次に、インク液滴の塗布処理を制御する制御部10について説明する。図4は、制御部10のブロック構成を示す図である。図4に示すように、制御部10においては、基板保持テーブル26及びインクジェットヘッド42を移動制御するとともにインクジェットヘッド42におけるインクの噴射を制御するインク噴射制御回路100が設けられている。このインク噴射制御回路100には、X方向移動モータ、Y方向移動モータ及びθ方向回転モータを駆動させるためのモータ駆動回路101が接続されている。
また、インク噴射制御回路100には、メモリ102が接続されている。このメモリ102には、インクジェットヘッド42の全ノズルの各々と、Y方向に沿った複数のドット位置の各々との組合せに対応づけられたインク液滴の噴射に関する情報(以下、噴射情報という)が記録されている噴射パターン情報が、スキャン移動の回数ごとに記憶されている。ここで、Y方向に沿った複数のドット位置とは、スキャン移動の幅に含まれる複数の位置のことである。
スキャン移動とは、インクジェットヘッド42の全ノズルの各々が、特定領域内のY方向に沿った複数のドット位置を対向可能なように、インクジェットヘッド42が上記特定領域に対して相対的に移動することをいう。そして、本実施形態のインクジェット塗布方法では、特定領域を異ならせて上述のスキャン移動を複数回行いながら、基板30にインク液滴を塗布させることが行われる。
噴射情報は、例えば、ノズルからインク液滴の噴射を行うか否かを示す噴射オン/オフ情報、塗布位置の補正量を示す位置補正情報、ノズルの圧電素子に印加する電圧波形の情報を示す電圧波形情報から構成されている。ノズルの圧電素子に印加される電圧波形を変化させることにより、インクジェットヘッド42のノズルから噴射されるインクの液滴量を制御可能であることから、各ドット位置に応じて最適な電圧波形情報がメモリ102に記憶される。なお、噴射情報としては、インク液滴の噴射条件に関する他の複数の情報が含まれていてもよい。
以下に、図5、図6、図7を用いながら、噴射パターン情報の詳細な説明の一例を行う。図5に示すように、基板30の領域(図5中の斜線が施された領域)を含む所定領域(図5中の最も外側の実線で囲まれた領域)内には、後述する特定領域K1(図5中の点線で囲まれた領域)、特定領域K2(図5中の斜線が施された領域)、特定領域K3(図5中の一点鎖線が施された領域)が含まれている。そして、所定領域内には、例えば、Y方向に沿った100個のドット位置がX方向に100個配置されている。ここで、各ドット位置は、所定領域内の最も左頂部に存在するドット位置を、原点とした場合に、Y方向において上記各ドット位置までに存在するドット位置の数(原点のドット位置を除く)を示すY座標と、X方向において上記各ドット位置までに存在するドット位置の数(原点のドット位置を除く)を示すX座標とにより特定される。例えば、(0,1)により特定されるドット位置とは、X方向における1番上の100個のドット位置のうち、最も左側のドット位置の隣のドット位置(図5参照)である。ここで、例えば、インクジェットヘッド42のノズルが、ノズルn1、ノズルn2、....ノズルn49、ノズルn50であるとする。そして、特定領域K1は、例えば、X座標が0から49の各々と、Y座標が0から99の各々との組合せ(例えば、(0,0)、...(49,99))の座標により特定されるドット位置が配置されている領域のことである。
また、特定領域K2は、例えば、X座標が25から74の各々と、Y座標が0から99の各々との組合せ(例えば、(25,0)、...(74,99))の座標により特定されるドット位置が配置されている領域のことである。この特定領域K1は、基板30の領域に相当する。
また、特定領域K3は、例えば、X座標が50から99の各々と、Y座標が0から99の各々との組合せ(例えば、(50,0)、...、(99,99)など)の座標により特定されるドット位置が配置されている領域のことである。
そして、図6(a)に示すように、1回目のスキャン移動として、インクジェットヘッド42が特定領域K1に対してスキャン移動を行う場合には、ノズルn26からノズルn50の各々が、基板30上のY方向の100個のドット位置を対向しながら通過するように、インクジェットヘッド42が基板30に対して相対的に移動する。また、図6(b)に示すように、2回目のスキャン移動として、インクジェットヘッド42が特定領域K2に対してスキャン移動を行う場合には、ノズルn1からノズルn50の各々が、基板30上のY方向の100個のドット位置を対向しながら通過するように、インクジェットヘッド42が基板30に対して相対的に移動する。また、図6(c)に示すように、3回目のスキャン移動として、インクジェットヘッド42が特定領域K3に対してスキャン移動を行う場合には、ノズルn1からノズル25の各々が、基板30上のY方向の100個のドット位置を対向しながら通過するように、インクジェットヘッド42が基板30に対して相対的に移動する。
そして、図7(a)に示すように、1回目のスキャン移動に対応する噴射パターン情報P1には、ノズルn1と、座標(0,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報1−0(噴射オン/オフ情報はオフ)、...、ノズルn1と、座標(0,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報1−99(噴射オン/オフ情報はオフ)、、、、、ノズルn25と、座標(24,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報25−0(噴射オン/オフ情報はオフ)、....、ノズルn25と、座標(24,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報25−99(噴射オン/オフ情報はオフ)、ノズルn26と、座標(25,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報26−0(噴射オン/オフ情報はオン)、...、ノズルn26と、座標(25,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報26−99(噴射オン/オフ情報はオン)、、、、、ノズルn50と、座標(49,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報50−0(噴射オン/オフ情報はオン)、....、ノズルn50と、座標(49,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報50−99(噴射オン/オフ情報はオン)が含まれている。
また、図7(b)に示すように、2回目のスキャン移動に対応する噴射パターン情報P2には、ノズルn1と、座標(25,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報1−0(噴射オン/オフ情報はオン)、...、ノズルn1と、座標(25,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報1−99(噴射オン/オフ情報はオン)、、、、、、、ノズルn50と、座標(74,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報50−0(噴射オン/オフ情報はオン)、....、ノズルn50と、座標(74,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報50−99(噴射オン/オフ情報はオン)が含まれている。
また、図7(c)に示すように、3回目のスキャン移動に対応する噴射パターン情報P3には、ノズルn1と、座標(50,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報1−0(噴射オン/オフ情報はオン)、...、ノズルn1と、座標(50,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報1−99(噴射オン/オフ情報はオン)、、、、、ノズルn25と、座標(74,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報25−0(噴射オン/オフ情報はオン)、....、ノズルn25と、座標(74,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報25−99(噴射オン/オフ情報はオン)、ノズルn26と、座標(75,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報26−0(噴射オン/オフ情報はオフ)、...、ノズルn26と、座標(75,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報26−99(噴射オン/オフ情報はオフ)、、、、、ノズルn50と、座標(99,0)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報50−0(噴射オン/オフ情報はオフ)、....、ノズルn50と、座標(99,99)で特定されるドット位置とに対応する噴射情報50−99(噴射オン/オフ情報はオフ)が含まれている。
この結果、1回目のスキャン移動、3回目のスキャン移動では、特定領域のうち、基板30の領域以外の領域に含まれるドット位置に対応する噴射オン/オフ情報はオフであり、基板30の領域に含まれるドット位置に対応する噴射オン/オフ情報はオンであるので、基板30の領域以外の領域内の各ドット位置に、インク液滴が塗布されず、基板30の領域内の各ドット位置には、インク液滴が塗布される。
また、2回目のスキャン移動では、特定領域は、基板30の領域に相当し、その領域に含まれるドット位置に対応する噴射オン/オフ情報はオンであるので、基板30の領域内の各ドット位置には、インク液滴が塗布される。
また、制御部10において、インク噴射制御回路100には、Y方向移動モータの駆動により移動する基板保持テーブル26の移動量を検出するためのY方向エンコーダからのパルス信号の数をカウントする、スタートカウンタ103、ドットカウンタ104、ノズルカウンタ105と、X方向移動モータの駆動により移動する基板保持テーブル26の移動量を検出するためのX方向カウンタ(図示せず)と、θ方向エンコーダからのパルス信号をカウントするθ方向カウンタ(図示せず)とが接続されている。これらのカウンタは、インク噴射制御回路100からのスタート信号によってカウント動作が開始される。ここで、Y方向エンコーダ、X方向エンコーダは、例えば、基板保持テーブル26が1μm移動するごとにパルス信号を出力する。また、θ方向エンコーダは、インクジェットヘッド42がθ方向に1°回転するごとにパルス信号を出力する。
これにより、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101に、各モータに対して駆動信号を送出させた際に、各モータの駆動結果によって所定領域に対して相対的に移動するインクジェットヘッド42の移動結果を各エンコーダからのパルス出力によって検出することができる。
スタートカウンタ103には、インクジェットヘッド42がスキャン移動を開始する前の待機中において、ノズルn1から、スキャン移動が開始してからノズルn1が最初に到達するドット位置までの距離に対応するカウント値が設定されている。例えば、1、2,3回目のスキャン移動の場合、図8に示すように、インクジェットヘッド42の待機位置は、ノズル1が、座標(0,0)、座標(25,0)、座標(50,0)で特定されるドット位置からY方向に距離Aだけ離れた位置に設定されており、スタートカウンタ103においては、この距離Aに対応するカウント値が設定されている。スタートカウンタ103は、インク噴射制御回路100を通して入力されるスタート信号によりカウント動作を開始し、Y方向エンコーダから出力されるパルスをカウントする。そして設定されているカウント値に達すると、ノズルn1が最初に到達するドット位置に到達したことを表す信号をインク噴射制御回路100に出力する。
ドットカウンタ104は、各ノズルごとに対応して設けられている。ドットカウンタ104には、Y方向におけるドット位置間の距離に対応するカウント値(例えば、図8に示す距離dに対応するカウント値)が設定される。ドットカウンタ104は、インク噴射制御回路100を通して入力されるスタート信号によりカウント動作を開始し、所定領域に対してインクジェットヘッド42が相対的に移動することに伴ってY方向エンコーダから出力されるパルスをカウントし、このカウント結果が予め設定されているカウント値に達したとき、所定領域に対してインクジェットヘッド42の位置がドット位置間隔の距離d1だけY方向に進んだことを表す信号をインク噴射制御回路100に出力する。また、ドットカウンタ104は、カウント結果が予め設定されているカウント値に達するごとに、カウント結果をクリアしてカウント動作を繰り返す。これにより図8に示すように、所定領域に対して、インクジェットヘッド42がY方向へ相対的に移動することに伴って、Y方向に隣接する各ドット位置を順次検出することができる。
ノズルカウンタ105においては、スキャン移動が開始してからあるノズルが最初に到達するドット位置に到達してから、そのノズルに隣接するノズルが、スキャン移動が開始してからあるノズルが最初に到達するドット位置に到達するまで、インクジェットヘッド42が所定領域に対して相対的に移動する移動距離Bに対応するカウント値が設定されている。また、ノズルカウンタ105も、インク噴射制御回路100を通して入力されるスタート信号によりカウント動作を開始する。図8に示すように、インクジェットヘッド42をθ方向に回転させて、各ノズルのX方向のピッチj1をドット位置のX方向のピッチj2と一致させた場合、直線状に配列されたノズルn1、n2、n3……は、X方向に対してある角度αだけ傾斜した状態となる。即ち、各ノズルn1、n2、n3……のY方向の位置は、傾斜した分だけずれた状態となる。従って、この状態で、インクジェットヘッド42をY方向に所定領域に対して相対的に移動させながら、各ノズルn1、n2、n3……が、それぞれ対応するドット位置(スキャン移動が開始してから各ノズルが最初に到達するドット位置)に対向する位置に到達するためには、インクジェットヘッド42の傾斜に応じた各ノズルn1、n2、n3……のY方向のずれ量に対応するカウント値を設定しておき、Y方向エンコーダから出力されるパルスをカウントし、カウントした値が、設定されたカウント値に到達するごとに、カウント結果をクリアしてカウント動作を繰り返す。これにより、各ノズルn1、n2、n3……ごとの、上述した最初に到達するドット位置を検出するようになされている。
また、X方向カウンタには、ある回数目のスキャン移動の開始の前にインクジェットヘッド42が待機するX方向における位置と、次の回数目のスキャン移動の開始の前にインクジェットヘッド42が待機するX方向における位置との差に相当するカウント値が設定されている。X方向カウンタは、所定領域に対してインクジェットヘッド42がX方向に相対的に移動することに伴ってX方向エンコーダから出力されるパルスをカウントし、このカウント結果が予め設定されているカウント値に達したとき、所定領域に対してインクジェットヘッド42の位置が、設定されたカウント値に対応する距離DだけX方向に進んだことを表す信号をインク噴射制御回路100に出力する。またX方向カウンタは、カウント結果が予め設定されているカウント値に達するごとに、カウント結果をクリアしてカウント動作を繰り返すようになされている。
またθ方向カウンタは、インクジェットヘッド42がX方向に対して傾斜する傾斜角度αに対応するカウント値が設定されている。θ方向カウンタは、インクジェットヘッド42の回転に伴ってθ方向エンコーダから出力されるパルスをカウントし、このカウント結果が予め設定されているカウント値に達したとき、傾斜角度αだけインクジェットヘッド42が回転したことを表す信号をインク噴射制御回路100に出力する。
また、インク噴射制御回路100には、ノズル指定カウンタ(図示せず)と、スキャン回数カウンタ(図示せず)と、各ノズルにそれぞれ対応する移動回数カウンタ(図示せず)とが含まれている。ノズル指定カウンタとは、後述するステップ90におけるノズル制御の対象となるノズルの数をカウントするものである。スキャン回数カウンタとは、スキャン移動の回数をカウントするものであり、初期値は1とする。各ノズルにそれぞれ対応する移動回数カウンタとは、所定領域に対して、各ノズルがY方向へ相対的に移動する場合に、各ノズルが通過したドット位置の数をカウントするものである。
インク噴射制御回路100には、インクジェットヘッド42の各ノズルの圧電素子に電圧を印加するためのノズル駆動回路106が接続されている。インク噴射制御回路100は、所定領域に対するインクジェットヘッド42の所定のノズルの相対位置が、インク液滴を塗布する対象のドット位置に到達した際に、そのドット位置に対応した電圧波形データを読み出してノズル駆動回路106に出力する。ノズル駆動回路106は、電圧波形データに基づいて電圧を発生させて上記所定のノズルの圧電素子に印加する。これにより基板30のインク塗布位置に移動されたインクジェットヘッド42のノズルからインクを噴射させることができる。
また、インク噴射制御回路100は、インクジェットヘッド42が所定の回数目のスキャン移動を開始する場合、複数の噴射パターン情報のうち、所定の回数に対応する噴射パターン情報を選択し、選択した噴射パターン情報に記録されている噴射情報に従って、インクジェットヘッド42の全ノズル(例えば、ノズルn1からノズルn50)の各々に、Y方向に沿った複数のドット位置(例えば、図5に示すY方向に沿った100個のドット位置)の各々に対して、インク液滴を噴射させて塗布させるか又は噴射させない機能を有する。
インク噴射制御回路100が、インク液滴の噴射のためにノズル駆動回路に対して行う処理の具体的な説明の一例は以下の通りである。インクジェットヘッド42が塗布領域K1に対して、1回目のスキャン移動を開始する場合、インク噴射制御回路100は、メモリ102から、複数の噴射パターン情報のうち、スキャン移動回数1に対応する噴射パターン情報P1を選択して、読み出す。インク噴射制御回路100は、1回目のスキャン移動により、インクジェットヘッド42のノズルn1の位置が、座標(0,0)により特定されるドット位置に到達した際に、読み出した噴射パターン情報に含まれる噴射情報1−0に従ってノズルn1がインク液滴の噴射動作を行わないための情報をノズル駆動回路106に出力する。また、インク噴射制御回路100は、1回目のスキャン移動により、インクジェットヘッド42のノズルn50の位置が、座標(49,0)により特定されるドット位置に到達した際に、読み出した噴射パターン情報に含まれる噴射情報50−0に従ってノズルn50がインク液滴の噴射動作を行うための電圧波形情報をノズル駆動回路106に出力する。
また、インク噴射制御回路100は、空打ち処理を実行するように指示する信号が送られると、モータ駆動回路101を介して、X方向移動モータ、Y方向移動モータの駆動により、基板保持テーブル26を、インクジェットヘッド42と対向しない位置に退避させる。空打ち処理とは、インクジェットヘッド42のノズルの各々からインク液滴を噴射させて塗布対象である基板30に対する塗布処理が行われていない期間において、塗布対象とは別の領域(本実施形態では空打ち用のケース)に向かって、各ノズルからインク液滴を噴射させ続ける処理のことである。
そして、空打ち用のケース(図示せず)を、インクジェットヘッド42と対向する位置に移動させる。そして、インク噴射制御回路100は、ノズル駆動回路106を介して、インクジェットヘッド42の全ノズルに、インク液滴を空打ち用ケースに噴射させる(空打ち処理)。その後、インク噴射制御回路100は、空打ち用ケースを、空打ち処理が行われる前の位置に退避させる。なお、空打ち用のケースの存在が塗布対象に対する塗布処理に影響を与えない場合には、空打ち用のケースを進退させる機構は不要である。
(インクジェット塗布方法)
次に、上述のインクジェット塗布装置を用いたインクジェット塗布方法について説明する。ここでは、一例として、図5に示すようなドット位置が配置された所定領域に対して、インクジェットヘッド42が相対的に移動する場合を考える。また、インクジェットヘッド42のノズルは、上述したようなノズルn1、ノズルn2、....ノズルn50であるとする。そして、インクジェットヘッド42が、塗布領域K1に対して、1回目のスキャン移動を行い、塗布領域K2に対して、2回目のスキャン移動を行い、塗布領域K3に対して、3回目のスキャン移動を行う場合を考える。
また、Y方向におけるドット位置間隔d、インクジェットヘッド42をX方向に対して傾ける角度α、X方向におけるドット位置間隔は、インクジェットヘッド42の相互に隣接するノズルからのインク液滴の噴射タイミングが異なるように、決められる。例えば、図9に示すように、所定領域に対してインクジェットヘッド42が相対的に移動していく。この場合には、インクジェットヘッド42における隣接する2つのノズル(例えば、図9に示すノズルnxとノズルnx+1)の噴射タイミングは異なるものとなる。
また、ここでは、1つのインクジェットヘッド42(例えば、R(赤)用のインク液滴を噴射するインクジェットヘッド42)の塗布方法の説明を例にして、行うが、他の2つのインクジェットヘッド42(例えば、G(青)用のインク液滴を噴射するインクジェットヘッド42、B(青)用のインク液滴を噴射するインクジェットヘッド42)を用いたインク液滴の塗布方法も、同様にして行われる。
先ず、作業者が、各スキャン移動の回数に対応する噴射パターン情報に必要な情報を図示しない情報入力部を用いて入力すると、インク噴射制御回路100に送られ、インク噴射制御回路100は、各スキャン移動の回数ごとの噴射パターン情報を生成し、メモリ102に記憶させる。
次に、基板30にインク液滴を塗布する方法について、図10,図11に示すフローチャート図を用いて説明する。
ステップ10では、インク噴射制御回路100は、空打ち処理を行う。具体的には、作業者が、空打ち処理の実行のための所定の操作ボタン(インクジェット塗布装置に設けられている操作ボタン、図示せず)を操作することにより、操作信号がインク噴射制御回路100に送られる。インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、基板保持テーブル26を、インクジェットヘッド42と対向しない位置に退避させるとともに、空打ち用のケース(図示せず)を、インクジェットヘッド42と対向する位置に移動させる。そして、インク噴射制御回路100は、ノズル駆動回路106を介して、インクジェットヘッド42の全ノズルに、インク液滴を空打ち用ケースに噴射させる(空打ち制御処理)。その後、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、空打ち用ケースを、空打ち処理が行われる前の位置に退避させる。
ステップ20では、インク噴射制御回路100は、所定領域に対するインクジェットヘッド42の相対位置を初期位置に設定する。具体的には、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、X方向移動モータの駆動、Y方向移動モータの駆動、θ方向移動モータの駆動により、図8に示すように、インクジェットヘッド42をX方向に対して角度αだけ傾斜させるとともに、インクジェットヘッド42のノズルn1と、座標(0,0)により特定されるドット位置との間の距離が距離A離間するような位置に、インクジェットヘッド42を配置させる。これにより、インクジェットヘッド42が所定領域に対して、X方向に相対的に移動すると、塗布領域K1に対して、1回目のスキャン移動を行うことになる。
ステップ25では、インク噴射制御回路100は、メモリ102にアクセスして、複数の噴射パターン情報P1,P2,P3のうち、スキャン回数カウンタの値1(1回目のスキャン移動)に対応する噴射パターン情報P1を選択して読み出し、設定する。
ステップ30では、インク噴射制御回路100は、スタートカウンタ103によるカウント動作を開始させるとともに、モータ駆動回路101を介して、Y方向移動モータの駆動によりインクジェットヘッド42を所定領域に対してY方向に相対的に移動させることを開始する。なお、この移動は、後述のステップ120まで継続して行われる。スタートカウンタ103は、上述したように、距離Aに対応するカウント値が設定されており、インク噴射制御回路100を介して入力されるスタート信号により、カウント動作を開始し、Y方向エンコーダから出力されるパルス数をカウントする。
ステップ40では、インク噴射制御回路100は、スタートカウンタ103のカウント動作によるカウント値が、距離Aに対応するカウント値に達したか否かを判定し、距離Aに対応するカウント値に達した場合には、ステップ50の処理が行われ、距離Aに対応するカウント値に達していない場合には、ステップ30の処理が繰り返される。
ステップ50では、インク噴射制御回路100は、ノズル指定カウンタのカウント値が全ノズル数(ここでは、50)に対応するカウント値に達したか否かを判定し、全ノズル数に対応するカウント値に達した場合には、ステップ100の処理が行われ、全ノズル数に対応するカウント値に達してない場合には、ステップ55の処理が行われる。
ステップ55では、インク噴射制御回路100は、スキャン回数カウンタのカウント値が2以上であるか否かを判定し、2以上である場合には、ステップ57の処理を行い、1である場合には、ステップ60の処理を行う。
ステップ57では、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、Y方向移動モータの駆動によりインクジェットヘッド42を所定領域に対してY方向に相対的に移動させることを開始する。なお、この移動は、後述のステップ120まで継続して行われる。
ステップ60では、インク噴射制御回路100は、ノズル指定カウンタのカウント値に1を加算する。その後、ステップ70の処理を行うとともに、ステップ90の処理も並行して行う。
ステップ70では、インク噴射制御回路100は、ノズルカウンタ105によるカウント動作を開始させる。ノズルカウンタ105には、上述したように、移動距離Bに対応するカウント値が設定されている。ノズルカウンタ105は、インク噴射制御回路100を介して入力されるスタート信号により、カウント動作を開始し、Y方向エンコーダから出力されるパルスをカウントする。
ステップ80では、インク噴射制御回路100は、ノズルカウンタ105のカウント動作によるカウント値が、移動距離Bに対応するカウント値に達したか否かを判定し、移動距離Bに対応するカウント値に達した場合には、ステップ85で、ノズルカウンタのカウント値がリセットされた後、ステップ50の処理に戻り、移動距離Bに対応するカウント値に達していない場合には、ステップ70の処理が繰り返される。
ステップ90では、インク噴射制御回路100は、ノズル指定カウンタのカウント値がノズル番号であるようなノズルの制御処理(以下、ノズル制御処理)を行う。このノズル制御処理は、ステップ60で、ノズル指定カウンタのカウント値が新たな値となるごとに、行われる。即ち、インクジェットヘッド42の全ノズルに対して、ノズル制御処理が行われる。このノズル制御処理の詳細な説明を図11に示すフローチャート図を用いて説明する。
ステップ90−1では、インク噴射制御回路100は、ステップ60で設定されたノズル指定カウンタのカウント値(即ち、ノズル番号)に対応するドットカウンタ104によるカウント動作を開始させる。各ドットカウンタ104には、Y方向におけるドット位置間の距離dに対応するカウント値が設定されている。各ドットカウンタ104は、インク噴射制御回路100を介して入力されるスタート信号により、カウント動作を開始し、Y方向エンコーダから出力されるパルス数をカウントする。
ステップ90−2では、インク噴射制御回路100は、ドットカウンタ104のカウント動作によるカウント値が、距離dに対応するカウント値に達したか否かを判定し、距離dに対応するカウント値に達した場合には、ステップ90−3の処理が行われ、距離dに対応するカウント値に達していない場合には、ステップ90−2の処理が繰り返される。
ステップ90−3では、インク噴射制御回路100は、移動回数カウンタのカウント値に1を加算する。
ステップ90−4では、インク噴射制御回路100は、現在設定されている噴射パターン情報を参照して、移動回数カウンタのカウント値から1を引いた値をY座標とし、ノズル指定カウンタのカウント値から1を引いた値をX座標とした場合における(X座標、Y座標)により特定されるドット位置と、ノズル制御の対象であるノズルとに対応する噴射情報を取得する。そして、インク噴射制御回路100は、取得した噴射情報に従って、ノズル制御の対象であるノズルが、上記ドット位置に対して、インク液滴を噴射して塗布するための情報、又は、インク液滴を噴射しないための情報を、ノズル駆動回路106に出力する。これにより、これにより、ノズル駆動回路106からの信号により、上記ノズルに対応する圧電素子が駆動され、上記ノズルからインク液滴が上記ドット位置に噴射され塗布されるか、又は、ノズル駆動回路106からの信号により、上記ノズルに対応する圧電素子が駆動されず、上記ノズルからインク液滴が上記ドット位置に噴射されないことになる。
ステップ90−5では、インク噴射制御回路100は、移動回数カウンタのカウント値が、所定領域内のY方向における総ドット位置の数(ここでは、100)に達したか否かを判定し、上記Y方向における総ドット位置の数に達した場合には、ステップ90−6で、移動回数カウンタのカウント値がリセット(0にリセット)された後、本ノズル制御処理が終了し、達していない場合には、再度、ステップ90−1の処理以降の処理が行われる。
ステップ100では、インク噴射制御回路100は、全ノズルに対応するノズル制御処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、ノズル制御処理が終了していないノズルについてステップ90の処理を行い、終了した場合には、ステップ110の処理が行われる。
ステップ110では、インク噴射制御回路100は、ノズル指定カウンタのカウント値を0にリセットする。
ステップ120では、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、Y方向移動モータの駆動によるインクジェットヘッド42のY方向への相対的な移動を停止させる。
ステップ130では、インクジェット噴射制御回路は、スキャン回数カウンタのカウント値に1を加算する。
ステップ140では、インク噴射制御回路100は、スキャン回数カウンタの値が、総スキャン移動回数(ここでは、3)に達したか否かを判定し、総スキャン移動回数に達した場合には、ステップ150の処理が行われ、総スキャン回数に達しない場合には、ステップ160の処理が行われる。
ステップ150では、インク噴射制御回路100は、スキャン回数カウンタのカウント値を1にリセットし、インクジェット塗布処理を終了する。
ステップ160では、インクジェット噴射制御回路は、メモリ102にアクセスして、複数の噴射パターン情報P1,P2,P3のうち、スキャン回数カウンタの値(2回目のスキャン移動又は3回目のスキャン移動)に対応する噴射パターン情報を選択して読み出し、既に設定している噴射パターン情報に代えて、新たに読み出した噴射パターン情報を設定する。
ステップ170では、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、Y方向移動モータの駆動により、所定領域に対するインクジェットヘッド42の相対位置を、今回のスキャン移動を開始する前に、インクジェットヘッド42が待機していた位置(例えば、1回目のスキャン移動が終了した場合には、ステップ20における初期位置)に、戻す。
具体的には、インク噴射制御回路100は、X方向移動モータの駆動により、1回目のスキャン移動終了の場合には座標(0,0)により特定されるドット位置とインクジェットヘッド42のノズルn1との間の距離が距離A離間するような位置に、2回目のスキャン移動終了の場合には座標(25,0)により特定されるドット位置とインクジェットヘッド42のノズルn1との間の距離が距離A離間するような位置に、インクジェットヘッド42を所定領域に対して相対的に配置させる。
そして、ステップ180では、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、X方向移動モータの駆動により、所定領域に対するインクジェットヘッド42の相対位置を、X方向に距離Dだけ進ませる。具体的には、インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、X方向移動モータの駆動を開始させる。そして、X方向カウンタは、所定領域に対してインクジェットヘッド42がX方向に相対的に移動することに伴ってX方向エンコーダから出力されるパルスをカウントし、設定値に達したとき、所定領域に対してインクジェットヘッド42の位置が、設定されたカウント値に対応する距離DだけX方向に進んだことを表す信号をインク噴射制御回路100に出力する。インク噴射制御回路100は、モータ駆動回路101を介して、X方向移動モータの駆動を停止させる。
そして、ステップ30以降の処理が行われることにより、以下のような処理が行われることになる。インクジェットヘッド42が塗布領域K2に対して、2回目のスキャン移動を行うことになり、ノズルn1からノズルn50が、基板30上の各ドット位置を対向しながら通過して、基板30上の各ドット位置に対して、インク液滴を噴射して塗布することになる。また、インクジェットヘッド42が塗布領域K3に対して、3回目のスキャン移動を行うことになり、ノズルn1からノズルn25が、基板30上の各ドット位置を対向しながら通過して、基板30上の各ドット位置に対して、インク液滴を噴射して塗布することになる。
なお、上述した特定領域(特定領域K1,K2,K3)、スキャン移動の回数(3)、各噴射情報の設定は、上述の場合に限られず、種々に設定することができる。また、本実施形態のインクジェットヘッド42は、3つのヘッドに限定されず、複数のヘッドであればよい。また、上述したスキャン移動の方法は、一例であり、他の方法で行われてもよい。例えば、1回目のスキャン移動が終了した時点で、そのまま、インクジェットヘッド42はX方向に相対的に移動し、その後、インクジェットヘッド42がX方向(1回目のスキャン移動の方向とは逆方向)への2回目のスキャン移動を開始するようにしてもよい。また、本実施形態のインクジェット塗布方法により、基板30上における塗布対象の各ドット位置に、異なる2つのノズルで、それぞれインク液滴を2回塗布させるようにしたが、これに限定されず、基板30上における塗布対象の各ドット位置に、異なる複数(2以上)のノズルで、それぞれインク液滴を複数回(2回以上)塗布させることができる。
(作用効果)
以上説明した本実施形態のインクジェット塗布方法によれば、従来技術のように、塗布対象領域(基板30上の領域)上の塗布対象位置(インク塗布対象のドット位置)だけに対応する噴射情報が記録された噴射パターン情報を記憶するのではなく、インクジェットヘッド42の全ノズルの各々と、基板30の領域を含む所定領域のY方向における複数のドット位置の各々と、の組合せに対応づけられた噴射情報が記録されている噴射パターン情報を、スキャン移動の回数ごとに、記憶することができる。
そして、インクジェットヘッド42が各回数目のスキャン移動を開始する場合、複数の噴射パターン情報のうち、各回数に対応する噴射パターン情報を選択し、選択した噴射パターン情報に記録されている噴射情報に従って、インクジェットヘッド42の全ノズルの各々に、上記Y方向における複数のドット位置の各々に対して、インク液滴を噴射させて塗布させるか又は噴射させないようにしている。
このため、スキャン移動の回数ごとに、特定領域を塗布対象領域に限らず所定領域内で様々に設定することができ、上記組合せに対して、噴射情報を様々に設定することができる。これにより、基板30に対するインク液滴を塗布する方式として、例えば、基板30上における同じ塗布対象位置に、異なる複数のノズルで、それぞれインク液滴を複数回塗布させるような複雑な塗布方式を行わせたい場合、各スキャン移動に対応する特定領域の設定と、上記組合せに対応する噴射情報の設定とを適切に行う(例えば、本実施形態のように設定する)ことにより、実現が可能となる。
従って、本実施形態によれば、塗布対象である基板30にインク液滴を塗布する方式の自由度が高くなるインクジェット塗布方法を提供することができる。
また、本実施形態によれば、基板30上における各ドット位置に、異なる複数のノズルで、複数回インク液滴を塗布させることが可能となるので、基板30上でインクのにじみが生じないような場合でも、基板30上で、インクが広がっているように視認されるので、各ノズルによるインク塗布位置の誤差があっても、誤差がないように視認されることが可能となる。これにより、ノズルの製造のばらつきによるインク塗布位置の誤差のために、表示装置の画像表示性能が低下してしまうことが回避される。
(実施形態2)
次に、実施形態2のインクジェット塗布装置について説明する。なお、本実施形態においては、実施形態1のインクジェット塗布装置の構成、機能と同一のものは同一符号を付してその説明を省略する。
インク噴射制御回路100は、空打ち処理においては、ノズルを、1つのノズル又は相互に少なくとも1ノズル以上離間した複数のノズル毎のグループに分類し、グループに属する各々のノズルから同一タイミングでインク液滴を噴射させるとともに、インク液滴の噴射のタイミングをグループ(以下、ノズルグループという)に応じて異ならせることにより、ノズルからインク液滴を噴射させる噴射処理(後述する噴射タイミング制御処理)と、インク液滴が噴射しない程度にノズルを振動させる振動処理(後述する振動制御処理)とを交互に少なくとも1回繰り返す。インク噴射制御回路100の処理の具体的な説明の一例を以下に示す。
インク噴射制御回路100は、各ノズルn1〜n50が、ノズルグループに分類された分類情報を記憶する。この処理の具体的な説明の一例は以下の通りである。例えば、作業者は、図12に示すように、ノズルn1、n6、n11、n16...は、ノズルグループ1に分類され、ノズルn2、n7、n12、n17...は、ノズルグループ2に分類され、ノズルn3、n8、n13、n18...は、ノズルグループ3に分類され、ノズルn4、n9、n14、n19...は、ノズルグループ4に分類され、ノズルn5、n10、n15、n20...は、ノズルグループ5に分類されることを示す情報を情報入力部(図示せず)を用いて入力すると、インク噴射制御回路100に送られる。インク噴射制御回路100は、入力された情報(以下、分類情報)を内蔵されているレジスタなどに書き込むことにより記憶する。
なお、各ノズルの分類において、ノズルグループに含まれるノズルの数は、1以上であればよく、ノズルグループの数は、特に限定されない。但し、ノズルグループに含まれるノズルが複数の場合、相互に少なくとも1ノズル以上離間した複数のノズルであることが条件である。例えば、ノズルグループにおいては、ノズルn1、ノズルn3、ノズルn5...など、上記ノズルグループに含まれるノズルが相互に1ノズル離間しており、ノズルn1、ノズルn2のような相互に隣接するノズルは含まれない。
インク噴射制御回路100は、空打ち処理内の空打ち制御処理において、同じノズルグループに属するノズルから同一タイミングでインク液滴を噴射させるとともに、噴射のタイミングをノズルグループ単位で互いに異ならせることにより、各ノズルからインク液滴を噴射させる噴射タイミング制御処理を行う。この噴射タイミング制御処理の具体的な説明は以下の通りである。上述したように各ノズルがノズルグループ1〜5に分類された場合について説明する。
インク噴射制御回路100は、分類情報を参照して、同じノズルグループに含まれる各ノズルの圧電素子に対して、同一タイミングで第1の所定電圧(例えば、周波数1kHz、電圧値60V)を印加するように指示する信号を、ノズル駆動回路106に出力する。ノズル駆動回路106は、例えば、図13に示すように、ノズルグループ1に含まれる各ノズルn1、n6...の圧電素子に対して、同一の第1のタイミングで、第1の所定電圧を印加し、ノズルグループ2に含まれる各ノズルn2、n7...の圧電素子に対して、同一の第2のタイミングで、第1の所定電圧を印加し、ノズルグループ3に含まれる各ノズルn3、n8...の圧電素子に対して、同一の第3のタイミングで、第1の所定電圧を印加し、ノズルグループ4に含まれる各ノズルn4、n9...の圧電素子に対して、同一の第4のタイミングで、第1の所定電圧を印加し、ノズルグループ5に含まれる各ノズルn5、n10...の圧電素子に対して、同一の第5のタイミングで、第1の所定電圧を印加する。ここで、第1のタイミングから第5のタイミングにおいては、インク液滴を噴射させ続ける時間(図13に示す連続噴射期間、即ち、第1の所定電圧を印加させるためのパルスの時間)、インク液滴を噴射させる周期はそれぞれ同一であるが、インク液滴を噴射させるタイミングが重ならないように位相(図13に示す連続噴射期間におけるパルスの位相)がずれており、第1のタイミングから第5のタイミングは、相互に異なるタイミングに設定されている。なお、図13においては、ある連続噴射期間と、その次の連続噴射期間との間の期間は、インク液滴を噴射させないことを続ける連続非噴射期間となっている。
この結果、ノズルグループ1に含まれる各ノズルからインク液滴が噴射される噴射タイミング、ノズルグループ2に含まれる各ノズルからインク液滴が噴射される噴射タイミング、...、ノズルグループ5に含まれる各ノズルからインク液滴が噴射される噴射タイミングは、相互に異なるものとなるので、隣接するノズルの圧電素子に同一タイミングで、第1の所定電圧が印加されてしまうことがなくなる。
インク噴射制御回路100は、空打ち制御処理において、噴射タイミング制御処理と、インク液滴が噴射しない程度に全ノズルの各々を振動させる振動制御処理とを交互に少なくとも1回繰り返す処理を行う(サスペンド処理)。この空打ち制御処理の具体的な説明は以下の通りである。
インク噴射制御回路100は、噴射タイミング制御処理と、振動制御処理とを交互に所定回数(例えば、4回など)繰り返す処理を行う。インク噴射制御回路100は、振動制御処理においては、全ノズルの各々の圧電素子に対して、同一タイミングで第2の所定電圧(例えば、周波数1kHz、電圧値20V)を印加するように指示する信号を、ノズル駆動回路106に出力する。この第2の所定電圧が、各圧電素子に印加されると、各圧電素子に対応するノズルは振動するが、ノズルからインク液滴は噴射されない。この第2の所定電圧が印加されることにより、例えば、ノズル内部に付着している硬化物などが除去され、インク詰まりを解消することができる。
そして、インク噴射制御回路100は、空打ち制御処理において、例えば、60秒間の振動制御処理と、5秒間の噴射タイミング制御処理とを交互に所定回数繰り返すことを行う。図14は、空打ち制御処理において、60秒間の振動制御処理が行われるタイミングと、5秒間の噴射タイミング制御処理が行われるタイミングとを示す図である。図14に示すように、振動制御処理が行われている期間には、噴射タイミング制御処理が行われず、噴射タイミング制御処理が行われている期間には、振動制御処理が行われない。60秒間の振動制御処理において、第2の所定電圧の印加が複数回繰り返される(即ち、第2の所定電圧の印加のためのパルスのオンが複数回繰り返される)。5秒間の噴射タイミング制御処理において、各ノズルグループに含まれるノズルの圧電素子に対して、第1の所定電圧を印加することが複数回繰り返される。即ち、図13に示すように、各ノズルグループごとに、第1の所定電圧の印加のためのパルス(連続噴射期間におけるパルス)のオンが複数回繰り返されるとともに、各ノズルグループにおけるパルスのオンのタイミングは、相互に異なっている。
なお、インク噴射制御回路100、ノズル駆動回路106は、空打ち処理において、噴射タイミング制御処理で、インク液滴の噴射が行われるように、インク液滴の噴射の状態を制御する制御部といえる。
また、空打ち制御処理(サスペンド処理)における設定は、上述の例に限定されず、インク液の材質や、ノズルの穴径などの条件によって、振動制御処理や噴射タイミング制御処理の時間、振動制御処理や噴射タイミング制御処理内の電圧印加の回数(パルス数)などは様々に設定される。
(インクジェット塗布方法)
次に、実施形態2のインクジェット塗布方法について説明する。なお、本実施形態においては、図10,図11に示すインクジェット塗布方法の処理と同一の処理は同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、図9に示すステップ10の空打ち処理内の空打ち制御処理は、以下のように行われ、この処理以外の処理は、実施形態1のインクジェット塗布方法における処理と同じである。図15は、本実施形態における空打ち制御処理の説明のためのフローチャート図である。
図13に示すように、ステップ10−1では、インク噴射制御回路100は、振動制御処理を行う。具体的には、インク噴射制御回路100は、例えば、60秒間、全ノズルの各々の圧電素子に対して、同一タイミングで第2の所定電圧(例えば、周波数1kHz、電圧値20V)を印加することを所定回数繰り返すように指示する信号を、ノズル駆動回路106に出力する。これにより、ノズル駆動回路106から各圧電素子に所定回数、第2の所定電圧が印加され、各圧電素子に対応するノズルは、インク液滴が噴射しない程度に振動する。
ステップ10−2では、インク噴射制御回路100は、噴射タイミング制御処理を行う。具体的には、インク噴射制御回路100は、分類情報を参照して、例えば5秒間、ノズルグループに含まれるノズルの圧電素子に対して、同一タイミングで第1の所定電圧(例えば、周波数1kHz、電圧値60V)を印加するように指示する信号を、ノズル駆動回路106に出力する。この際、各ノズルグループに対応する電圧の印加タイミングは、相互に異なるようにされる。これにより、ノズル駆動回路106から、各ノズルグループに含まれるノズルの圧電素子に上記第1の所定電圧が印加されるタイミングは、ノズルグループ単位で互いに異なり、各ノズルグループに含まれるノズルからインク液滴が噴射される噴射タイミングは、ノズルグループ単位で互いに異なるものとなる。
ステップ10−3では、インク噴射制御回路100は、本空打ち制御処理の開始から所定時間(空打ち制御処理を行う時間)が経過したか否かを判定し、経過した場合には、本空打ち制御処理を終了し、経過していない場合には、ステップ10−1の処理に戻る。
(作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、インクジェットヘッド42の各ノズルが、1つのノズル又は相互に少なくとも1ノズル以上離間した複数のノズル毎のノズルグループに分類され、ノズルグループに属するノズルから同一タイミングでインク液滴を噴射させるとともに、噴射のタイミングをノズルグループに応じて異ならせることにより、各ノズルからインク液滴を噴射させているので、相互に隣接するノズルの圧電素子に対して、同一タイミングでインク液滴を噴射させるための第1の所定電圧が印加されることがない。これにより、隣接する圧電素子からの圧力がインクタンク内のインクに加えられることがなく、圧電素子からの圧力により、インクタンク内のインクが押し出されて、上記圧電素子に対応するノズル以外のノズルにインクが押し出されてしまうという事態が回避され、上記圧電素子に対応するノズルに、インクが押し出されるようになる。この結果、ノズルにインクが押し出されにくい状況が発生していても、インクが押し出されるので、インクジェットヘッドの各ノズルにインク液滴の噴射を行わせることにより、いずれかのノズルが詰まってしまうことが回避される。
本実施形態では、特に、空打ち処理において、各ノズルからインク液滴を一度に噴射させる場合に、いずれかのノズルが詰まってしまう事態を回避することができる。また、インク液滴を基板30に塗布する場合には、従来と同じ手法(即ち、インクジェットヘッド42の相互に隣接するノズルからのインク液滴の噴射タイミングが異なるように、インクジェットヘッドを基板30に対して傾けた状態で相対的に移動させながら、各ノズルからインク液滴を噴射させて基板30に塗布する)で行われるので、既存のインクジェット装置に対する、本発明に基づく変更を、空打ち処理に対するものだけで済ませるだけで、いずれかのノズルが詰まってしまうことを回避することができる。
また、本実施形態の空打ち処理では、噴射タイミング制御処理と、インク液滴が噴射しない程度に全ノズルの各々を振動させる振動制御処理とを交互に少なくとも1回繰り返すようにしている。ここで、振動制御処理には、上述したように、インク詰まりを防止する効果があるので、塗布に利用されないインクの噴射量を最小限に抑えながら、インク詰まりを防止することができる。
(実施形態2の変更例1)
上述の実施形態2では、噴射タイミング制御処理は、空打ち処理内で行われていたが、以下のような場合に行われてもよい。
表示機器の表示部(例えば、基板30)に対して、インク液滴を塗布する場合には、実施形態1のようにして行われる。即ち、インクジェットヘッド42の相互に隣接するノズルからのインク液滴の噴射タイミングが異なるように、インクジェットヘッド42を基板30に対して傾けた状態で相対的に移動させながら、各ノズルからインク液滴を噴射させて基板30に塗布することが行われる。
そして、表示機器の遮光部に対して、インク液滴を塗布する場合において、上述の噴射タイミング制御処理が行われる。例えば、カラーフィルタなどの表示部の周囲には、バックライトからの光を遮光するための遮光部が設けられている。このような遮光部においては、例えば、黒色のインクを一様に塗布することにより、表示部の周囲にはバックライトからの不要な光が遮光される。このため、遮光部には、例えば、インク液滴を一様に塗布する必要があり、インクジェットヘッド42の各ノズルから一度にインク液滴を遮光部に噴射して塗布する必要があるが、全ノズルから同一タイミングでインク液滴を噴射してしまうと、実施形態2と同じく、ノズル詰まりの問題が生じてしまう。このため、表示機器の遮光部に対して、インク液滴を塗布する場合、上述の噴射タイミング制御処理が行われる。
この場合、上述した実施形態2と同様にして、インク噴射制御回路100は、上述した分類情報を記憶する。そして、インク噴射制御回路100は、遮光部にインク液滴を塗布する処理において、上述した噴射タイミング制御処理を行う。噴射タイミング制御処理の詳細な説明は実施形態2で説明した通りである。
(インクジェット塗布方法)
次に、本変更例における、遮光部に対するインク液滴の塗布方法について図16を用いて説明する。なお、図16においては、図10,図11に示すインクジェット塗布方法の処理と同一の処理はその説明や、実施形態2で説明した処理と同じ処理の説明は省略又は簡略化する。本変更例では、塗布対象は、遮光部である。また、噴射パターン情報は、遮光部にインク液滴が略隙間なく一様に塗布できるように設定される。また、本変更例では、インクジェットヘッド42は、X方向に対して、傾かない状態で遮光部に対して相対的に移動する場合の説明を行う。また、噴射パターン情報においては、各ノズル(n1〜n50)と、移動回数カウンタのカウント値(0〜Y方向における総ドット位置数)との各々の組合せに対応した噴射情報が記録されている。また、ドット位置間隔の距離dは、遮光部においてインク液滴が略隙間なく塗布されるように設定される。
図16に示すフローチャート図において、ステップ210からステップ240までの処理が行われる。これらの処理は、それぞれ、ステップ10からステップ40までの処理に対応するものである。ここで、ステップ220では、インクジェットヘッド42は、X方向に対して傾斜しない。
ステップ250では、インク噴射制御回路100は、噴射パターン情報及び分類情報に基づいたインク噴射制御処理を行う。具体的には、インク噴射制御回路100は、設定した噴射パターン情報を参照して、移動回数カウンタのカウント値(例えば、0)と、全てのノズル(例えば、ノズルn1〜n50)とに対応する噴射情報を取得する。そして、インク噴射制御回路100は、取得した噴射情報と分類情報とに従って、ノズルグループに含まれるノズルの圧電素子に対して同一タイミングで電圧を印加するように指示する信号をノズル駆動回路106に出力する。さらに詳細に説明すると、インク噴射制御回路100は、ノズルグループに含まれるノズルのうち、噴射情報の噴射オン/オフ情報がオンになっているノズルの圧電素子に対して、同一タイミングで電圧を印加するように指示する信号をノズル駆動回路106に出力する。この際、各ノズルグループに対応する電圧の印加タイミングは、ノズルグループ単位で互いに異なるようにされる。
そして、ステップ260からステップ280までの処理が行われる。これらの処理は、それぞれ、ステップ90−1からステップ90−3までの処理に対応するものである。
そして、ステップ290では、インク噴射制御回路100は、噴射パターン情報及び分類情報に基づいたインク噴射制御処理を行う。この処理は、ステップ250の処理と同じものである。
そして、ステップ300では、移動回数カウンタのカウント値がY方向における総ドット位置数か否かが判定され、YESの場合には、移動回数カウンタの値がリセットされた後、ステップ310の処理が行われ、NOの場合には、ステップ260以降の処理が繰り返される。
そして、ステップ310からステップ370までの処理が行われる。これらの処理は、それぞれ、ステップ120からステップ180に対応するものである。ここで、ステップ360においては、インクジェットヘッド42が、遮光部に対してY方向に移動して、スキャン移動する前の位置に戻り、ステップ370では、遮光部に対して、インクジェットヘッドが相対的に距離Fだけ相対的に移動される。この距離Fは、遮光部においてインク液滴が略隙間なく塗布されるように設定される。そして、ステップ370の処理の後、ステップ230の処理が行われる。
(作用効果)
本変更例によれば、表示機器の遮光部に対して、各ノズルからインク液滴を一度に噴射させて塗布する場合に、いずれかのノズルが詰まってしまう事態を回避することができる。また、インク液滴を基板30に塗布する場合には、従来と同じ手法で行われるので、本発明に基づく既存の設備に対する変更を遮光部へのインク液滴の塗布処理に対するものだけに済ませるだけで、いずれかのノズルが詰まってしまうことを回避することができる。
(実施形態2のその他の変更例)
また、上述した変更例1は、表示機器の表示部(基板30)に対して適用されてもよい。但し、この場合には、噴射パターン情報は、基板30にインク液滴が例えば略格子状に一様に塗布できるように設定される。この変更例では、インク液滴を噴射させて表示機器の表示部に塗布する場合、上記噴射においては、ノズルを、ノズルグループに分類し、ノズルグループに属する各々のノズルから同一タイミングでインク液滴を噴射させるとともに、噴射のタイミングをノズルグループに応じて異ならせることにより、ノズルからインク液滴を噴射させるといえる。また、インク噴射制御回路100、ノズル駆動回路106は、インク液滴を基板30に塗布する場合、噴射タイミング制御処理で、インク液滴の噴射が行われるように、インク液滴の噴射の状態を制御する制御部といえる。
また、上述した振動制御処理は、空打ち処理が終了した後、インク液滴の噴射が行われない間(例えば、あるスキャン移動が終了して次のスキャン移動が開始するまでの間など)に、行われるようにしてもよい。
1…インクジェット塗布装置、2…架台、3…インク塗布ボックス、4…インク補給ボックス、1…インクジェット塗布装置、10…制御部、30…基板、40…インクジェットヘッドユニット、42…インクジェットヘッド42、48…ノズル面、49…フレームカバー、50…ノズル、100…インク噴射制御回路、101…モータ駆動回路、102…メモリ、103…スタートカウンタ、104…ドットカウンタ、105…ノズルカウンタ、106…ノズル駆動回路。