しかしながら、一般に電子写真エンジンはインクジェットプリンタなどの機構が簡単な画像形成装置よりも、各色の版の位置あわせが難しく、版ずれが大きいという課題があった。
このような版ずれの大きな画像形成装置で、上記のような濃トナーおよび淡トナーを用いた画像再生を行うと、鮮鋭性の要求が低い写真などの絵柄画像部では問題とならないが、鮮鋭性が要求される文字画像や線画画像部で像が二重に見えてしまい、鮮鋭性の劣った画像となってしまう。特にブラック版とライトブラック版のずれが大きい場合には画質劣化は顕著である。
元来、黒文字などの鮮鋭性が要求される画像部で黒色を再現するときに、シアン、マゼンタ、イエローによるプロセスブラック再生では版ズレ時の画質劣化が大きく問題であった。そこで、ブラックトナーのみによるスケルトンブラック再生を行うことにより画質を向上させていた。それにもかかわらず、ライトブラックを用いて版ずれの影響が出てしまうのでは本末転倒となってしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鮮鋭性が要求される文字等の領域および粒状性が要求される絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することのできる画像処理装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の色を示す色情報を特定する色情報特定手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記色情報特定手段によって特定された前記色情報と、前記特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択する色材色選択手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報に対して、前記色材色選択手段によって選択された前記色材色への色変換を行う色変換手段とを備えたことを特徴とする。
すなわち、本発明は、多色版による再生の際の版ずれによる画質劣化を、鮮鋭性が重視される文字や線画部で発生させないために画像領域毎に色数を選択するものである。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報から所定の部分画像を抽出する部分画像抽出手段をさらに備え、前記色情報特定手段は、前記部分画像抽出手段によって得られた前記部分画像ごとに前記色情報を特定し、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像抽出手段によって得られた前記部分画像ごとに前記特徴量を抽出し、前記色材色選択手段は、前記部分画像ごとに、唯一の前記色材色を選択することを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、前記部分画像抽出手段は、画像情報に含まれるオブジェクトを単位とする部分画像を抽出することを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明は、請求項2または3に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像の特徴量として、前記部分画像が文字を含む旨を示す文字属性を抽出し、前記色材色選択手段は、前記特徴量抽出手段が前記特徴量として前記文字属性を抽出した場合に、前記部分画像の色情報および前記文字属性に基づいて、前記複数の色材色の中から唯一の色材色を選択することを特徴とする。
文字領域における版ずれによる画像劣化を解消するために、文字や線画画像の領域においては、濃淡のうちどちらか一方の色材色(トナー)を選択する。さらに、低濃度文字では淡トナーのみを用いて再生する。これにより、品質の高い低濃度文字を再現し、淡トナーでは再現できない高濃度文字では濃トナーのみを用いて再生するように制御することができる。さらに、絵柄画像部では濃淡の両トナーを選択する。これにより、粒状性に優れた画像再現を実現させるものである。
また、請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像の特徴量として、前記部分画像が黒文字を含む旨を示す黒文字属性を抽出し、前記色材色選択手段は、前記特徴量抽出手段が前記特徴量として前記黒文字属性を抽出した場合に、前記部分画像の色情報および前記文字属性に基づいて、前記複数の色材色の中から唯一の色材色を選択することを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明は、請求項4または5に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像の特徴量として、前記部分画像が画像を含む旨を示す画像属性を抽出し、前記色材色選択手段は、前記特徴量抽出手段が前記特徴量として前記画像属性を抽出した場合に、前記部分画像の色情報および前記画像属性に基づいて、前記複数の色材色の中から2以上の色材色を選択することを特徴とする。
また、請求項7にかかる発明は、請求項2から6のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像の特徴量として当該部分画像に含まれる線幅が予め定められた基準線幅以下の線幅であることを示す線幅属性を抽出し、前記色材色選択手段は、前記特徴量抽出手段が前記特徴量として、前記基準線幅以下の線幅であることを示す前記線幅属性を抽出した場合に、前記部分画像の色情報および前記細線属性に基づいて、前記複数の色材色の中から唯一の色材色を選択することを特徴とする。
版ずれによる鮮鋭性低下が最も目立つのは、細い文字や細線などである。逆に線幅の非常に太い文字や線などは、版ずれによる鮮鋭性の低下は気にならず、むしろ文字や線内部の塗りつぶし部の粒状感が重要視される。本発明はこれを鑑みて、文字の太さ、線の太さ情報に基づいて色材色を選択することとした。
また、請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像の特徴量として当該部分画像に含まれる線幅が予め定めた基準線幅よりも広いことを示す線幅属性を抽出し、前記色材色選択手段は、前記特徴量抽出手段が特徴量として、前記基準線幅よりも広いことを示す前記線幅属性を抽出した場合に、前記画像部分画像の色情報および線幅属性に基づいて前記複数の色材色の中から2以上の色材色を選択することを特徴とする。
また、請求項9にかかる発明は、請求項7または8に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像の特徴量として当該部分画像に含まれる文字のフォントサイズを示す情報を含む線幅属性を抽出することを特徴とする。
また、請求項10にかかる発明は、請求項7または8に記載の画像処理装置であって、前記特徴量抽出手段は、前記部分画像がグラフィックオブジェクトである場合に、前記部分画像の特徴量として当該部分画像に対するペンの太さを示す情報を含む線幅属性を抽出することを特徴とする。
また、請求項11にかかる発明は、請求項7から10のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、前記部分画像抽出手段によって抽出された前記部分画像をビットマップ画像に展開するビットマップ画像展開手段をさらに備え、前記特徴量抽出手段は、前記ビットマップ画像展開手段によって展開された前記ビットマップ画像から前記線幅属性を抽出することを特徴とする。
また、請求項12にかかる発明は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の色を示す色情報を特定する色情報特定手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記色情報特定手段によって特定された前記色情報と、前記特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択する色材色選択手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報と、前記色材色選択手段が選択した前記唯一の色材色を示す情報とを外部に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項13にかかる発明は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の色を示す色情報を特定する色情報特定手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記色情報特定手段によって特定された前記色情報と、前記特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択する色材色選択手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報に対して、前記色材色選択手段によって選択された前記色材色への色変換を行う色変換手段と、前記色変換手段によって色変換された前記画像情報を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
また、請求項14にかかる発明は、色変換処理を行う画像処理装置と、前記画像処理置から取得した画像情報を出力する画像形成装置とを備えた画像処理システムであって、前記画像処理装置は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の色を示す色情報を特定する色情報特定手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記色情報特定手段によって特定された前記色情報と、前記特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択する色材色選択手段と、前記画像情報取得手段が取得した前記画像情報に対して、前記色材色選択手段によって選択された前記色材色への色変換を行う色変換手段と、前記色変換手段によって色変換が行われた前記画像情報を前記画像形成装置に送信する送信手段とを有し、前記画像形成装置は、前記画像処理装置から前記色変換後の前記画像情報を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段が取得した前記画像情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする。
また、請求項15にかかる発明は、画像情報を取得する画像情報取得ステップと、前記画像情報取得ステップにおいて取得した前記画像情報の色を示す色情報を特定する色情報特定ステップと、前記画像情報取得ステップにおいて取得した前記画像情報の特徴量を抽出する特徴量抽出ステップと、前記色情報特定ステップにおいて特定された前記色情報と、前記特徴量抽出ステップにおいて抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択する色材色選択ステップと、前記画像情報取得ステップにおいて取得した前記画像情報に対して、前記色材色選択ステップにおいて選択された前記色材色への色変換を行う色変換ステップとを有することを特徴とする。
また、請求項16にかかる発明は、請求項15に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項1にかかる発明によれば、画像情報取得手段は、画像情報を取得し、色情報特定手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の色を示す色情報を特定し、特徴量抽出手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の特徴量を抽出し、色材色選択手段は、色情報特定手段によって特定された色情報と、特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択し、色変換手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報に対して、色材色選択手段によって選択された色材色への色変換を行うので、鮮鋭性が要求される文字や線画を含む画像情報に対しては、単色トナーを選択し、粒状性が要求される絵柄を含む画像情報に対しては、濃淡の両トナーを選択するなど画像に適した色材色を選択することにより、文字等の領域と絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項2にかかる発明によれば、部分画像抽出手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報から所定の部分画像を抽出し、色情報特定手段は、部分画像抽出手段によって得られた部分画像ごとに色情報を特定し、特徴量抽出手段は、部分画像抽出手段によって得られた部分画像ごとに特徴量を抽出し、色材色選択手段は、部分画像ごとに、唯一の色材色を選択するので、画像情報に含まれる部分画像ごとに色材色を選択することができるという効果を奏する。すなわち、部分画像ごとに、鮮鋭性が要求される文字や線画を含む画像情報に対しては、単色トナーを選択し、粒状性が要求される絵柄を含む画像情報に対しては、濃淡の両トナーを選択するなど画像に適した色材色を選択することにより、文字等の領域と絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項3にかかる発明によれば、部分画像抽出手段は、画像情報に含まれるオブジェクトを抽出するので、色材色選択手段は、画像情報に含まれるオブジェクトごとに色材色を選択することができるという効果を奏する。
また、請求項4にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像の特徴量として、部分画像が文字を含む旨を示す文字属性を抽出し、色材色選択手段は、特徴量抽出手段が特徴量として文字属性を抽出した場合に、部分画像の色情報および文字属性に基づいて、複数の色材色の中から唯一の色材色を選択するので、文字を含む画像情報に対し、鮮鋭性に優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項5にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像の特徴量として、部分画像が黒文字を含む旨を示す黒文字属性を抽出し、色材色選択手段は、特徴量抽出手段が特徴量として黒文字属性を抽出した場合に、部分画像の色情報および文字属性に基づいて、複数の色材色の中から唯一の色材色を選択するので、黒文字を含む画像情報に対し、鮮鋭性に優れた画像を再生することができるという効果を奏する。版ずれによる画質劣化は黒文字において顕著である。そこで、このように、黒文字のみについて唯一の色材色を選択するのが有効である。
また、請求項6にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像の特徴量として、部分画像が画像を含む旨を示す画像属性を抽出し、色材色選択手段は、特徴量抽出手段が特徴量として画像属性を抽出した場合に、部分画像の色情報および画像属性に基づいて、複数の色材色の中から2以上の色材色を選択するので、画像を含む領域に対して、粒状性に優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項7にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像の特徴量として当該部分画像に含まれる線幅が予め定められた基準線幅以下の線幅であることを示す線幅属性を抽出し、色材色選択手段は、特徴量抽出手段が特徴量として、基準線幅以下の線幅であることを示す線幅属性を抽出した場合に、部分画像の色情報および細線属性に基づいて、複数の色材色の中から唯一の色材色を選択することので、細線に対して、鮮鋭性に優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項8にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像の特徴量として当該部分画像に含まれる線幅が予め定めた基準線幅よりも広いことを示す線幅属性を抽出し、色材色選択手段は、特徴量抽出手段が特徴量として、基準線幅よりも広いことを示す線幅属性を抽出した場合に、画像部分画像の色情報および線幅属性に基づいて複数の色材色の中から2以上の色材色を選択するので、太文字に対して、粒状性に優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項9にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像の特徴量として当該部分画像に含まれる文字のフォントサイズを示す情報を含む線幅属性を抽出するので、フォントサイズに基づいて線幅に応じた色材色の選択を行うことができるという効果を奏する。
また、請求項10にかかる発明によれば、特徴量抽出手段は、部分画像がグラフィックオブジェクトである場合に、部分画像の特徴量として当該部分画像に対するペンの太さを示す情報を含む線幅属性を抽出するので、ペンの太さに基づいて、線幅に応じた色材色の選択を行うことができるという効果を奏する。
また、請求項11にかかる発明によれば、ビットマップ画像展開手段は、部分画像抽出手段によって抽出された部分画像をビットマップ画像に展開し、特徴量抽出手段は、ビットマップ画像展開手段によって展開されたビットマップ画像から線幅属性を抽出するので、線幅に応じた色材色の選択を行うことができるという効果を奏する。
また、請求項12にかかる発明によれば、画像情報取得手段は、画像情報を取得し、色情報特定手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の色を示す色情報を特定し、特徴量抽出手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の特徴量を抽出し、色材色選択手段は、色情報特定手段によって特定された色情報と、特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択し、送信手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報と、色材色選択手段が選択した唯一の色材色を示す情報とを外部に送信するので、画像情報を蓄積配信するシステムにも対応して、適した色材色による画像再生を行うことができるという効果を奏する。
また、請求項13にかかる発明によれば、画像情報取得手段は、画像情報を取得し、色情報特定手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の色を示す色情報を特定し、特徴量抽出手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の特徴量を抽出し、色材色選択手段は、色情報特定手段によって特定された色情報と、特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択し、色変換手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報に対して、色材色選択手段によって選択された色材色への色変換を行い、出力手段は、色変換手段によって色変換された画像情報を出力するので、鮮鋭性が要求される文字や線画を含む画像情報に対しては、単色トナーを選択し、粒状性が要求される絵柄を含む画像情報に対しては、濃淡の両トナーを選択するなど画像に適した色材色を選択することにより、文字等の領域と絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項14にかかる発明によれば、画像処理装置の画像情報取得手段は、画像情報を取得し、色情報特定手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の色を示す色情報を特定し、特徴量抽出手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報の特徴量を抽出し、色材色選択手段は、色情報特定手段によって特定された色情報と、特徴量抽出手段によって抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択し、色変換手段は、画像情報取得手段が取得した画像情報に対して、色材色選択手段によって選択された色材色への色変換を行い、送信手段は、色変換手段によって色変換が行われた画像情報を画像形成装置に送信し、画像形成装置の画像取得手段は、画像処理装置から色変換後の画像情報を取得し、出力手段は、画像取得手段が取得した画像情報を出力するので、鮮鋭性が要求される文字や線画を含む画像情報に対しては、単色トナーを選択し、粒状性が要求される絵柄を含む画像情報に対しては、濃淡の両トナーを選択するなど画像に適した色材色を選択することにより、文字等の領域と絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項15にかかる発明によれば、画像情報取得ステップにおいて、画像情報を取得し、色情報特定ステップにおいて、画像情報取得ステップにおいて取得した画像情報の色を示す色情報を特定し、特徴量抽出ステップにおいて、画像情報取得ステップにおいて取得した画像情報の特徴量を抽出し、色材色選択ステップにおいて、色情報特定ステップにおいて特定された色情報と、特徴量抽出ステップにおいて抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択し、色変換ステップにおいて、画像情報取得ステップにおいて取得した画像情報に対して、色材色選択ステップにおいて選択された色材色への色変換を行うので、鮮鋭性が要求される文字や線画を含む画像情報に対しては、単色トナーを選択し、粒状性が要求される絵柄を含む画像情報に対しては、濃淡の両トナーを選択するなど画像に適した色材色を選択することにより、文字等の領域と絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
また、請求項16にかかる発明によれば、画像情報取得ステップにおいて、画像情報を取得し、色情報特定ステップにおいて、画像情報取得ステップにおいて取得した画像情報の色を示す色情報を特定し、特徴量抽出ステップにおいて、画像情報取得ステップにおいて取得した画像情報の特徴量を抽出し、色材色選択ステップにおいて、色情報特定ステップにおいて特定された色情報と、特徴量抽出ステップにおいて抽出された特徴量とに基づいて、色相が同一であってかつ濃度が異なる複数の色材色の中から唯一の色材色を選択し、色変換ステップにおいて、画像情報取得ステップにおいて取得した画像情報に対して、色材色選択ステップにおいて選択された色材色への色変換を行うので、鮮鋭性が要求される文字や線画を含む画像情報に対しては、単色トナーを選択し、粒状性が要求される絵柄を含む画像情報に対しては、濃淡の両トナーを選択するなど画像に適した色材色を選択することにより、文字等の領域と絵柄等の領域の双方において優れた画像を再生することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法および画像処理プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる画像処理装置10を含む画像処理システム1の全体構成を示すブロック図である。画像処理システム1は、画像処理装置10と、ホストコンピュータ(PC)20と、マルチカラー画像形成装置30とを備えている。
ホストPC20は、プリンタドライバ22を有している。そして、プリンタドライバ22を介して画像情報およびプリンタコマンドが画像処理装置10に向けて出力される。なお、プリンタコマンドは、PDL(Printer Descript Language)表記されている。
画像処理装置10は、ホストPC20から入力されたプリンタコマンドを解釈し、画像情報を処理し、処理後の画像情報をマルチカラー画像形成装置30に出力する。なお、画像処理装置10は、画像情報をマルチカラー画像形成装置30に送信する送信手段(図示せず)を有している。
マルチカラー画像形成装置30は、画像処理装置10から入力された画像情報をマルチカラー再生する。なお、マルチカラー画像形成装置30は、画像処理装置10から画像情報を受信する受信手段と、受信した画像情報を出力する出力手段(図示せず)とを有している。
マルチカラー画像形成装置30は、同一の色相であって、かつ濃度が異なる複数の色材を有している。例えば、色相がブラックで同一であって、かつ明度、すなわち濃度が異なる複数の色材を有している。したがって、所定の濃度の1種類の色材により所定の色を再生することができ、かつ複数の色材を合わせることにより所定の色を再生させることもできる。なお、本実施の形態においては、説明の便宜上、濃度の異なる2種類のトナーを有する場合について説明する。
画像処理装置10は、コマンド解釈部110と、展開処理部120と、トナー色選択部130と、色補正BG/UCR部140と、中間調処理部150と、ページメモリ160とを備えている。
コマンド解釈部110は、ホストPC20のプリンタドライバ22からPDL(Printer Descript Language)表記されたプリントコマンドを取得し、コマンド解釈を行う。コマンド解釈はオブジェクトごとに行う。そして、オブジェクトに対する色情報および特徴量を示す各種属性情報を取得する。ここで色情報とは、画像情報の色を示す情報である。また、各種属性情報としては、画像を示す画像属性、文字を示す文字属性、線幅を示す線幅属性がある。
ここで、プリンタドライバ22で生成される描画コマンドは一般に、文字用、グラフィック用、イメージ用の3種類に大別される。
文字描画コマンドは、主にフォント種類(書体)、フォントサイズ、フォントスタイル(ボールド、イタリックなど)などの指定を行うコマンドである。この情報に基づいて後述の展開処理部120では、文字コード情報に対応したビットマップ画像(ラスター画像)を生成する。
グラフィック描画コマンドは、主に矩形描画、線描画、曲線(ベジェ)描画、などのライン描画と塗りつぶしの指定を行うコマンドであり、さらに線の種類(実線、破線など)、線の太さ、線の色、塗りつぶしの色、塗りつぶしのパターンなどのコマンドを含み、同様に後述の展開処理部120では指定されたコマンドに基づきビットマップ画像を生成する。
イメージ描画コマンドは、既にビットマップ状態に展開された画像データを主に拡大縮小して配置するためのコマンドである。文字描画コマンドやグラフィック描画コマンドは、コマンドを解釈してフォントをビットマップに展開したり、線や矩形をビットマップデータに展開したりするものである。
なお、実施の形態にかかるコマンド解釈部110は、特許請求の範囲に記載の色情報特定手段と、特徴量抽出手段と、部分画像抽出手段とに対応する。
展開処理部120は、コマンド解釈部110においてオブジェクトごとに解釈されたコマンドに基づいて描画メモリ上にオブジェクト単位で画像を展開する。
トナー色選択部130は、各オブジェクトに対する属性情報およびオブジェクトに含まれる色を示す色情報をコマンド解釈部110から取得する。トナー色選択部130は、取得した属性情報および色情報に基づいて、処理対象のオブジェクトを再生するときに利用する色材を選択する。具体的には、トナー色選択部130は、マルチカラー画像形成装置30において、色相が同一であって、かつ濃度が異なる複数のトナーのうちいずれのトナーを用いて当該オブジェクトを再生させるかを決定する。
図2−1から図2−3、図3および図4を参照しつつトナー色選択部130の処理について説明する。図2−1から図2−3、図3および図4は、それぞれ画像における濃度とトナー使用量の関係を示している。以降、色相が同一であって濃度の異なるトナーのうち、より濃度の高いトナーを濃トナー、より濃度の低いトナーを淡トナーと称する。
濃淡2種類のトナーを用いた再生の方法としては、図2−1から図2−3に示すように、2種類のトナー両方を利用する方法がある。また、図3に示すように、濃トナーのみによって再生する方法がある。また、図4に示すように、淡トナーのみによって再生する方法がある。
図2−1から図2−3に示すように、2種類のトナーを利用する方法は、絵画絵柄などに適している。ハイライト領域で淡トナーを用い、中濃度領域以降から濃トナーを用いることにより、粒状性に優れた画像を再生することができる。
特に、図2−1に示す例においては、高濃度領域においては、濃度が高くなるにつれて濃トナーの使用量を増加させるとともに淡トナーを減少させる。そして、最高濃度を表現する際には濃トナーのみを使用する。この例においては、同じ画像を再生する際に最も総トナー量を少なくできるというメリットがある。ただしその反面、中濃度以降は淡トナーを減らすような使い方をするので環境変動などによりプロセス条件が変わったときに階調の不連続・逆転が起きやすいというデメリットもある。
一方、図2−2に示す例においては、濃トナーを用いる濃度領域においても淡トナーの使用量を減少させない。淡トナーの使用率(面積率)を100%としたまま濃トナーを重ねていく。この例においては、濃度の増加に伴って淡トナーを減らすような制御をしていないので階調の不連続・逆転が起きにくいというメリットがある。その反面、使用する総トナー消費量が最も多くなるというデメリットがある。
また、図2−3に示す例は、図2−1に示す例と図2−2に示す例の折衷案である。濃トナーが増加する領域でも淡トナーを積極的に減らすような制御は行わない。また、淡トナーの使用率が100%になる前に濃トナーを使い始める。これにより、総トナー量をある程度抑えつつ、階調の不連続・逆転を防止することができる。
しかしながら、図2−1から図2−3のいずれの例においても、このような濃トナーと淡トナーの両方を使った再生を行っているので、文字画像の部分など鮮鋭性が要求される画像領域で濃トナー版と淡トナー版の版ずれが大きい場合には文字がぼけてしまう問題があった。
版ずれは主に画像形成装置の各版を再生する際の位置合わせ精度が低いときに発生する。したがって、文字などの鮮鋭性が要求される画像領域においては、図3に示すような濃トナーのみの使用、図4に示すような淡トナーの使用のように、単版による再生が好ましい。
特に、例えばコントラストの低い文字領域のように、鮮鋭性が必要でかつ最高濃度が薄い画像領域では図4に示すような淡トナーのみによる再生が好ましい。また、淡トナーでは表現できないような濃度を有する文字画像領域では、図3のような濃トナーのみによる再生が好ましい。
このように、鮮鋭性を要求される画像と、そうでない画像とでは好ましい再生方法が異なる。そこで、トナー色選択部130は、コマンド解釈部110から取得した属性情報に基づいてオブジェクト属性を判定し、オブジェクト属性情報と色情報(濃度情報)を用いて使用するトナーを選択する。
図5は、トナー色選択部130がトナーを選択するためのアルゴリズムを説明するための図である。図5に示すように、対象となるオブジェクトが鮮鋭性を要求される文字オブジェクトの場合は、濃トナーのみ、或いは淡トナーのみといった単色トナーによる再生を行う。色情報が所定の濃度未満の時は淡トナーのみで再生し、所定の濃度以上の時は濃トナーのみで再生する。対象となるオブジェクトが線画などグラフィックである場合も鮮鋭性を要求されるオブジェクトであるので、文字と同様に単色トナーによる再生を行う。イメージオブジェクトに対しては、色情報によらず濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生を行うよう両トナーを選択する。
トナー色選択部130は、属性情報および色情報に基づいて濃トナーおよび淡トナーを判定するが、この処理は、図6に示すトナー色選択部130の構成により実現される。トナー色選択部130は、RGB/CMYK変換部132と、トナー色判定部134とを有している。
RGB/CMYK変換部132は、コマンド解釈部110から色情報を取得し、RGBからCMYKに色変換する。そして、トナー色判定部134は、RGB/CMYK変換部132による色変換により得られたCMYK信号のうち、K信号のみを取得する。トナー色判定部134は、さらに属性情報をコマンド解釈部110から取得する。
そして、両者に応じて使用するトナーの組み合わせ情報をトナー色選択結果として出力する。その組み合わせの判定の方法は図5を参照しつつ説明したアルゴリズムに基づく。すなわち、K信号が所定の値より大きく、かつ属性情報(オブジェクト属性)が文字またはグラフィックの場合は濃トナーのみを選択結果として出力する。K信号が所定の値より小さく、かつ属性が文字またはグラフィックの場合は淡トナーのみを選択結果として出力する。また、属性情報がイメージの場合はK信号の値によらず、濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生をすべく、両トナーを選択結果として出力する。
コマンドから色情報を抽出する方法は、単一色の文字やグラフィックであれば、通常RGB値がコマンド内に記述されているのでこの値をそのまま用いればよい。グラデーションなどの単一色ではないオブジェクトであれば、通常、始点と終点のRGB値がコマンド内に記述されているので、濃度の高い方のRGB値を色情報として抽出すればよい。これは、文字及びグラフィックオブジェクトの淡トナーと濃トナーの使用方法を決定する際に、そのオブジェクトの最高濃度に基づいて決定することが望ましいためである。
色補正BG/UCR部140は、展開処理部120によって展開されたオブジェクト画像を取得する。そして、RGB/CMYK色変換を行う。より具体的には、色補正BG/UCR部140はさらに、トナー色選択部130によって選択された色材色を示す情報を取得する。色補正BG/UCR部140は、展開された画像データに対して指定されたトナー色を用いて色補正を行い、マルチカラー画像形成装置30の色材色への変換を行う。
図7は、色補正BG/UCR部140の詳細な機能構成を示すブロック図である。色補正BG/UCR部140は、RGB/CMYK変換部142と、濃淡分版部144とを有している。
RGB/CMYK変換部142は、展開処理部120において展開されたRGB画像データをCMYK信号へと色変換する。濃淡分版部144は、トナー色選択部130からのトナー色選択結果に応じてK信号をK'信号とLk信号に分版する。例えば、黒やグレーの文字及びグラフィックオブジェクトの場合には、RGBからCMYKに変換した時点で100%UCR処理が行われ、CMYを用いないKのみのデータに変換される。一方、イメージオブジェクトの場合はCMYKすべてのデータを用いた変換が行われる。
分版された画像信号は中間調処理部150へ入力され、マルチカラー画像形成装置30に対応した画像信号に変換され出力される。さらに中間調処理後の画像信号はページメモリ160上に記憶される。以上の処理を複数のオブジェクトに対して繰り返し行い、1ページ分のプリント画像生成が行われる。1ページ分の画像が出来上がったらマルチカラー画像形成装置30へ送出され、記録紙上に可視化された画像としてアウトプットが完成する。
以上により、文字やグラフィックといった鮮鋭性を重視される画像に対しては単色トナーによる再生を行うことができる。さらに、なめらかな階調画像再現が重視されるイメージ画像に対しては濃淡両トナーを用いることで文字も絵柄も品質の高い画像再生が行える。また、低濃度の文字や低濃度の線画に対しては淡トナーのみによる再生を行うことで、濃トナーのみによる再生よりも均一感の高い文字再現を行うことができる。
図8は、画像処理装置10の処理を示すフローチャートである。まずホストPC20からプリンタドライバ22を経由してPDLコマンドを入力する。そして、一旦バッファに蓄積する(ステップS100)。次に、コマンド解釈部110は、PDLコマンドを解釈し、展開処理部120は、解釈されたコマンドに従って順にオブジェクトを展開処理し画像を生成していく。
最初に記述されたオブジェクトに対する描画コマンドを解釈し、属性情報と色情報を抽出し、記憶領域に記憶しておく(ステップS102)。ここで、属性情報は、コマンドの種類(命令文)によってそれが文字を描画するコマンドであるのか、グラフィックを描画するコマンドであるのか、或いはイメージを描画するコマンドであるのかを判定することができる。また、文字およびグラフィックのコマンドに対しては、描画色に関する命令文が含まれているので、これを解釈することによって色情報を抽出することができる。
次に、トナー色選択部130は、属性情報と色情報に基づいて使用するトナー色を選択する(ステップS104)。
ここで、図9を参照しつつ、ステップS104における処理を詳述する。図9は、ステップS104における処理を示すフローチャートである。
ステップS102において抽出、記憶した色情報(RGB値)は、マルチカラー画像形成装置30の色材系のCMYK信号に変換され、K信号が記憶領域に記憶される(ステップS200)。次に、ステップS102において抽出された属性情報を読み込み、属性が文字またはグラフィックであるかを判定する(ステップS202)。判定結果が文字またはグラフィックでない、つまりイメージオブジェクトである場合には(ステップS202,No)、使用するトナー色として濃トナーと淡トナーの両トナーを選択する(ステップS210)。
判定結果が文字またはグラフィックの場合には(ステップS202,Yes)、さらに次のステップに進み、記憶領域に記憶したK信号の値が所定値以上かどうかを判定する(ステップS204)。つまり、再生すべき黒濃度が所定の濃度より濃いか、薄いかを判定する。このとき、所定の濃度とは淡トナーのみによって再現できる濃度よりも低い値に設定しておき、所定値よりも低い場合には(ステップS204,No)、ステップS212へ進み、使用するトナー色として淡トナーのみを選択する。
逆に、K信号値が所定値以上の場合には(ステップS204,Yes)、淡トナーのみでは再現できない高濃度であると判定して、ステップS214へ進み、使用するトナー色として濃トナーのみを選択する。以上で、ステップS104におけるルーチン処理が完了し、図8に示すステップS106へ進む。
次に、図8に示すステップS106において、描画コマンドを解釈して、ラスターデータ(ビットマップデータ)に画像を展開する(ステップS106)。このとき、展開される画像はRGB信号で表現されたカラー信号である。
次に、展開した画像データに色補正・BG/UCR処理を施し、プリンタの色材であるCMYK系の信号に変換し、さらにK信号については淡トナーのみ、濃トナーのみ、淡トナーと濃トナーの両トナーへの変換、というように先にステップS104において選択したトナー色を用いて変換する。さらに、中間調処理を施し(ステップS110)、ページメモリ上に画像を貼り付ける、いわゆるROP処理を行う(ステップS112)。以上の一連の流れで一つのオブジェクトに対する処理が完了する。
次に、ステップS114において、全てのオブジェクトに対して展開からROP処理が行われたかどうかのチェックを行い、まだ処理すべきオブジェクトが残っている場合には(ステップS114,No)、再びステップS102へと戻って処理を繰り返す。全てのオブジェクトに対する処理が終わった場合には(ステップS114,Yes)、(ステップS116に進み、マルチカラー画像形成装置30に対してページメモリ上に展開した画像データを出力し、プリント動作を完了する。
このように処理することによって、文字及びグラフィックオブジェクトに対しては版ずれが発生しても見づらくならないように、淡トナーあるいは濃トナーのみによる再生が行え、イメージオブジェクトに対しては濃トナーと淡トナーの両トナーを用いて再生することで粒状性に優れた画像再現が実現できる。
図10は、実施の形態1に係る画像処理装置10のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置10は、ハードウェア構成として、画像処理装置10における画像処理を実行する画像処理ログラムなどが格納されているROM52と、ROM52内のプログラムに従って画像処理装置10の各部を制御するCPU51と、画像処理装置10の制御に必要な種々のデータを記憶するRAM53と、ネットワークに接続して通信を行う通信I/F57と、各部を接続するバス62とを備えている。
先に述べた画像処理装置10における画像処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
この場合には、画像処理プログラムは、画像処理装置10において上記記録媒体から読み出して実行することにより主記憶装置上にロードされ、上記ソフトウェア構成で説明した各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
また、本実施の形態の画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができる。
そうした第1の変更例としては、本実施の形態においては、黒のみについて濃トナーと淡トナーを有するマルチカラー画像形成装置30に対して出力する場合について説明したが、さらに、他の色についても濃トナーと淡トナーとを有するマルチカラー画像形成装置30に対して出力する場合にも、各色に対して、同様に濃トナーと淡トナーとを適宜選択してもよい。
図11は、この場合の、色補正BG/UCR部140の機能構成を示すブロック図である。このように、色補正BG/UCR部140は、CMYそれぞれに対する濃淡分版部144a〜144dを有している。各濃淡分版部144a〜144dは、それぞれCMY各色をC,Lc(ライトシアン)、M,Lm(ライトマゼンタ),Y,Ly(ライトイエロー)というように濃淡両トナーに分版する。
さらにこの場合、黒のみに対して濃トナーおよび淡トナー単独で再生してもよい。文字オブジェクトやグラフィックオブジェクトに関しては鮮鋭性を確保するため、淡トナーのみ、または濃トナーのみというように単色再生するのが望ましい。さらに黒文字に関しては特に単色再生するのが望ましい。
これはKおよびLkトナーが他のトナーに比べて明度が低いため、版ずれが発生したときに違和感が大きいためである。したがって、前述のオブジェクト属性に応じた濃トナーのみ、または淡トナーのみ、または両トナーによる再生を選択的に行う制御は、KおよびLkのみについて行うこととする。これにより、違和感のない画像を再生することができる。なお、これ以外の色(CMY)に対しては、常に両トナーによる再生を行うこととする。
また第2の変更例としては、本実施の形態においては、画像処理装置10とマルチカラー画像形成装置30とは別個に設けられていたが、これにかえて画像処理装置10とマルチカラー画像形成装置30とは一体に設けられていてもよい。
(実施の形態2)
図12は、実施の形態2にかかる画像処理システム1の全体構成を示している。実施の形態2にかかる画像処理システム1は、色情報および属性情報に加えて、線幅属性に基づいてトナーを選択する。この点で、実施の形態2にかかる画像処理システム1は、実施の形態1にかかる画像処理システム1と異なっている。
図13は、実施の形態2にかかるトナー色選択部130がトナー色を決定するためのアルゴリズムを説明するための図である。トナー色選択部130は、図13に示すように、オブジェクト属性と色情報と線幅情報とに基づいて使用するトナーの組合せを決定する。
版ずれの影響によって視認性が著しく悪くなるのは、比較的線幅の細い文字画像や、比較的線幅の細い線画画像である。よって、線画画像であっても例えば線幅が3〜5mm以上あるような太い線に関しては、淡トナーと濃トナーの両トナーを用いた再生を行うほうが、文字内部の塗りつぶし部の粒状性が良く、見た目の印象がよい。
同様に、文字画像であっても線幅の太い文字であれば、両トナーを用いた再生を行うのが望ましい。そこで、図13に示すようにフォントサイズが所定のサイズ以上である場合には、両トナーを用いることとしている。一方で、フォントサイズが所定のサイズ未満である場合には、いずれか一方のトナーのみを用いることとしている。
また、文字オブジェクトについては、線幅をフォントサイズで判定するのが望ましい。フォントサイズが所定サイズ以上であれば、十分に線幅が太いと判断し、濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生を行う。所定サイズ未満であれば単色トナーによる再生を行う。さらに色情報に応じて濃トナーのみ、または淡トナーのみを選択するように構成する。
また、他の例としては、フォント種類(明朝体、ゴシック体、太ゴシック体)やフォントスタイル(ボールド、イタリック)とフォントサイズに基づいて、線幅を判断し、使用するトナーを選択するように構成しても良い。
例えば、指定されたフォントが明朝体で、そのフォントサイズが16ポイント以下であれば、比較的細い線で描かれる文字と判定し、淡トナーあるいは濃トナーのみによる再生が行われるように制御する。また、16ポイントよりも大きなポイントで指定されている場合は、濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生を行うようにする。
また、ボールドやゴシック体などの場合は、前述のポイント数に対する判定基準を変更し、10ポイント以下なら淡トナーあるいは濃トナーのみによる再生、10ポイントを超える場合は濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生などとしてもよい。
また、明朝体であれば淡トナーあるいは濃トナーのみによる再生など、フォント種類(書体)に選択するトナー色を決定しても良い。
グラフィック属性を有するオブジェクトについては、色補正BG/UCR部140は、描画されるラインの太さ指定情報そのものをコマンド解釈部110から取得する。ラインや曲線や図形などの形状を描画するためのグラフィックコマンドとともに、描画するために使用するブラシ(ペンのようなもの)の色や太さを指定するコマンドが準備されているのが一般的である。
太さを指定するコマンドに示される太さ指定情報は、線の太さと考えることができる。そこで、太さ指定情報に示される太さの値が所定値以上であれば、十分に線幅が太いと判断し、濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生を行う。また、所定値未満であれば、細いと判断し単色トナーによる再生を行う。さらに色情報に応じて濃トナーのみ、または淡トナーのみを選択するように構成するようにすればよい。
図14は、実施の形態3にかかる画像処理システム1の処理を示すフローチャートである。なお、図14は、実施の形態1において図8を参照しつつ説明したトナー色選択処理(ステップS104)における処理である。
図8に示す属性情報および色情報抽出処理(ステップS102)において抽出、記憶した色情報(RGB値)をプリンタの色材系のCMYK信号に変換し、K信号を記憶領域に記憶しておく(ステップS300)。そして、ステップS102において抽出した属性情報を読み込み、属性が文字であるかを判定する(ステップS302)、判定結果が文字でない、つまりグラフィックまたはイメージオブジェクトである場合には(ステップS102,No)、ステップS310へ進む。
さらに、属性がグラフィックであるかを判定する(ステップS310)。属性がグラフィックでもない場合は(ステップS310,No)、イメージオブジェクトと言えるので、ステップS320へ進み、使用するトナー色として濃トナーと淡トナーの両トナーを選択する(ステップS320)。
ステップS310における判定結果がグラフィックであった場合には(ステップS310,Yes)、グラフィックコマンドが直線、曲線などの線画を描画するオブジェクトであるかどうかを判定する(ステップS312)。
線画を描画するコマンドでない場合、つまり塗りつぶし矩形などを描画するコマンドの場合には(ステップS312,No)、イメージオブジェクトと同様に、濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生が好ましいと判定し、ステップS320へ進む。
逆に線画を描画するコマンドである場合には(ステップS312,Yes)、その線の太さを判定するステップ(ステップS330)へと進む。
ステップS330では、文字とグラフィックがの線幅が所定の線幅よりも細いものであるのか、太いものであるのかを判定するも。文字オブジェクトに対しては、指定された文字サイズが所定のサイズ以下であるかどうかを判定する。
所定のサイズよりも大きい場合は(ステップS330,No)、十分に太い文字であると判定し、ステップS320へと進む。所定サイズ以下の場合には(ステップS330,Yes)、細い文字であると判定し、つまり版ずれがあったとき見た目の印象が非常に悪くなる画像であると判定し、単色のみの再生を行うべく、ステップS332へと進む。
グラフィックオブジェクトに対しても、ステップS330において、指定された太さ指定値が所定の値以下であるかどうかを判定し、太ければ(ステップS330,No)、ステップS320へ進む。細ければ(ステップS330,Yes)、ステップS332へ進む。
ステップS332では、記憶領域に記憶したK信号の値が所定値以上かどうかを判定する。以降は、図9で説明したのと同様に、濃度によって使用するトナー色を濃トナーのみ(ステップS334)、または淡トナーのみ(ステップS336)を選択する。
以上のように、オブジェクト種類(属性)と、色情報(濃度情報)と、太さ情報(文字サイズ、或いは太さ指定値)によって、処理を細分化し、版ずれの画質劣化への影響が大きい画像、つまり細い文字や細い線画に対しては、濃トナーあるいは淡トナーのみによる再生を行い、また、版ずれの影響が小さく、逆に粒状性が重視されるイメージ画像(写真など)や塗りつぶし領域の大きなグラフィック画像や太い文字に対しては濃淡の両トナーで再生することで、両者に対して高画質な画像を実現できる。
なお、実施の形態2にかかる画像処理システム1のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる画像処理システム1の構成および処理と同様である。
また、他の例としては、本実施の形態においては、線幅情報を入力されたプリントコマンドに基づいてコマンド解釈部110で求めることとしたが、これにかえて、展開処理部120によって得られた展開されたビットマップ状態の画像から線幅情報を生成してもよい。
図15はこの場合の画像処理装置10の機能構成を示している。画像処理装置10は、線幅検出部180をさらに有している。線幅検出部180は、展開処理部120によって得られた展開されたビットマップ状態の画像から線幅情報を生成する。展開処理部120の処理の詳細は、特開平8−467992公報に掲載されている。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる画像処理システム1について説明する。実施の形態3にかかる画像処理システム1は、使用すべきトナーの組み合わせを検査判定する。この点で、他の実施の形態にかかる画像処理システム1と異なっている。
図16は、実施の形態3にかかる画像処理装置10の機能構成を示すブロック図である。コマンド解釈部110は、PDLコマンドの種類に基づいて、そのコマンドが文字、イメージ、グラフィックのいずれに属するのかを判定して属性信号としてトナー色選択部130に送出する。トナー色選択部130は、展開処理部120によって展開された画像データを検査しながら色情報を求める。
またコマンド情報は展開処理部120においてラスターイメージに展開され、イメージ情報はさらに色補正BG/UCR部140へと転送される。
図17は、実施の形態3にかかるトナー色選択部130および色補正BG/UCR部140の詳細な機能構成を示すブロック図である。トナー色選択部130は、最大濃度検出部136と、最大濃度バッファ137と、トナー色判定部138とを有している。また、色補正BG/UCR部140は、RGB/CMYK変換部142と、濃淡分版部144とを有している。
図17に示すように、色補正BG/UCR部140においては、展開されたRGB信号を画素単位で入力する。そして、RGB/CMYK変換部142により、RGB信号からCMYK信号に変換される。変換されたCMYK信号のうちK信号はトナー色選択部130へと出力される。
トナー色選択部130では、最大濃度検出部136は処理対象オブジェクトの最大濃度画素を検出する。最大濃度検出部136は、検出した最大濃度を最大濃度バッファ137に蓄積する。最大濃度検出部136は順次、処理対象画素のK信号が連続して入力されてくる。最大濃度検出部136は、K信号が入力される毎に最大濃度バッファ137に蓄積された過去の最大値との比較が行われ、濃度の大きい値を再び最大濃度バッファ137に蓄積することで最大値の更新を行っている。
全ての画素に対して最大値の検出が完了したら、最大濃度バッファ137に蓄積されたK信号値をトナー色判定部138に送信する。トナー色判定部138では最大K信号の値と、コマンド解釈部110からの属性情報に基づいて、実施の形態1において図5を参照しつつ説明したアルゴリズムに従ってトナー色選択結果を色補正BG/UCR部140の濃淡分版部144に出力する。以上のように構成することで、色情報を展開した画像から抽出するような実現形態でも実現することができる。
コマンド解釈部110はオブジェクト属性を判定する際に、プリンタドライバ22から生成されたプリントコマンドが、文字描画コマンド、グラフィック描画コマンド、イメージ描画コマンドのいずれに属するかを判別し、オブジェクト属性情報をトナー色選択部130に出力する例を示したが、グラフィック描画コマンドをさらに細かく解析して、直線やベジェ曲線などの線画を描画するコマンドであるのか、塗りつぶし矩形や塗りつぶし円形などの塗りつぶし図形を描画するコマンドであるのかを、そのコマンド名から判断して、トナー色選択部130への属性情報を決定出力してもよい。
なお、この場合、コマンド名から描画される図形等を特定できることが前提となる。具体的には、例えば、コマンド解釈部110は、コマンド名と図形とを対応づけるテーブルを有していてもよい。
グラフィックコマンドであっても、特に線画を描画するコマンドの場合は文字に対して処理を行うのと同様に色情報(濃度情報)に応じて単色トナーによる再生を行い、塗りつぶし図形を描画するコマンドの場合はイメージに対して処理を行うのと同様に両トナーによる再生を行うようにすれば良い。
なお、実施の形態3にかかる画像処理システム1のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる画像処理システム1の構成および処理と同様である。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4にかかる画像処理システム2について説明する。実施の形態4にかかる画像処理システム1は、プリンタで生成された画像信号、スキャナで読み取られた画像信号、およびコピーを取ったときの画像信号をクライアントPCに送る。これにより、電子化した文書を再利用することができる。画像信号は、クライアントPCにおいて取り扱いが容易な、RGB信号であることが望ましい。
図18は、実施の形態4にかかる画像処理システム2の全体構成を示している。画像処理装置10は、コマンド解釈部110と、展開処理部120と、トナー色選択部130と、色補正BG/UCR部140と、中間調処理部150と、ページメモリ160に加えて、さらに、ページメモリ200と、HDD(Hard Disk Drive)202と、処理制御情報生成部204とを備えている。
図18に示すように展開した画像データをRGB信号の状態でページメモリ200上に貼り込んでいく。そして、できあがった出来上がったRGB信号をHDD202のような蓄積手段に蓄積する。そして、HDD202に蓄積されたRGB信号を外部機器に送信する。
HDD202に蓄積した画像信号を再び読み出し、プリントアウトのために色補正BG/UCR部140へ送信するが、この時、どの画像をどのトナー色を用いて再生するのかという情報が必要となる。そこで、トナー色選択部130は、コマンド解釈部110から出力された属性情報、色情報および線幅情報を用いて、トナー色を選択し、処理制御情報生成部204へと出力する。
処理制御情報生成部204は展開処理部120によって展開された画像に対応して画素単位で処理内容を制御するための情報マップを生成する。この情報マップ(処理制御情報)は対象画素がどのようなトナー色を用いて処理すべき画素なのかという情報である。これをHDD202に蓄積しておく。そして、再び画像信号と共に読み出し、色補正BG/UCR部140へと出力する。
以上のように構成することによって、RGB形式で蓄積配信するシステムにも対応したマルチカラー画像処理システムを実現することができる。
なお、実施の形態4にかかる画像処理システム2のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる画像処理システム1の構成および処理と同様である。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5かかる画像処理システム1について説明する。実施の形態5にかかる画像処理システム1の画像処理装置10はコピー系の処理を行う。
図19は、本実施の形態にかかる画像処理システム1の全体構成を示す図である。実施の形態5にかかる画像処理システム1は、画像処理装置10と、マルチカラー画像形成装置30とを備えている。また、画像処理装置10は、トナー色選択部130と、色補正BG/UCR部140と、中間調処理部150と、ページメモリ160に加えて、さらに画像取得部300と、像域分離部302と、スキャナγ補正部304と、フィルタ処理部306とを備えている。
画像取得部300は、スキャナなどの画像入力手段から入力された画像信号を取得する。そして、スキャナγ補正部304は、画像信号の画像属性の判定を行う。具体的には、黒文字領域、色文字領域、それ以外の絵柄領域などに判別する。さらに文字領域については太さ検出回路によって、太文字、細文字と言った細分化された属性を検出する。なお、スキャナγ補正部304の処理については、詳しくは、特開平8−46799に記載されている像域分離方法を利用することができる。フィルタ処理部306は、このようにして求められた属性情報に応じて、適応的なフィルタ処理を行う。
トナー色選択部130は、再生する際のトナー色の決定を行う。トナー色選択部130は、図20に示すように、分離属性情報と線幅と色情報に応じて、濃トナーのみ、淡トナーのみ、または濃トナーと淡トナーの両トナーによる再生を選択する。
色補正BG/UCR部140では選択されたトナー色を用いて色補正を行い、さらに中間調処理部150をへてページメモリ160に画像が蓄積される。その後、マルチカラー画像形成装置30に画像信号を転送し出力する。
以上のように像域分離部302により属性情報を生成するような構成をとることによって、プリンタを例に挙げて説明してきた、鮮鋭性が必要な画像部に単色トナーを用いたマルチカラー処理を実現することができる。また、像域分離部302にかえてOCR処理の前処理に用いられるような文字切り出しを用いてもよい。
なお、実施の形態5にかかる画像処理システム1のこれ以外の構成および処理は、実施の形態1にかかる画像処理システム1の構成および処理と同様である。