以下、本発明の実施の形態に係るデジタルコンテンツの不正使用防止方法について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態に係るデジタルコンテンツの不正使用防止方法を実現するためのデジタルコンテンツの不正使用防止システムの構成図、図2は同システムの端末装置の制御部により処理される再生プログラムのフローチャート、図3は同システムで使用するデジタルコンテンツの構成図あって、( a) がデジタルコンテンツのデータ本体の構成を示す図、( b)がデータ本体の加工工程を示す図、図4は同管理センタの制御部により処理される認証、課金用割込プログラムのフローチャート、図5は同システムの管理センタの制御部により処理されるユーザ登録用割込プログラムのフローチャート、図6は同システムの管理センタの制御部により処理されるキャッシュバック割込プログラムのフローチャートである。
図1に示すデジタルコンテンツの不正使用防止システム100は、デジタルコンテンツ10の不正使用防止方法を実現するためのシステムであって、ユーザにレンタルを目的として配布されたデジタルコンテンツ10が不正使用されるのを防止するシステムである。
同システム100は、デジタルコンテンツ10の利用を管理する管理センタ110( 管理手段) と、この管理センタ110と通信回線αを介して相互に通信可能であり且つ暗号化されたデジタルコンテンツ10を復号化ビット長毎に復号化して再生する複数の端末装置120とを具備しており、端末装置120が通信回線αを介してデジタルコンテンツ10を相互に送受信可能となっている基本構成となっている。以下、詳しく説明する。
通信回線αについては、ピアツーピア型のネットワークを実現することが可能な光通信回線等のデジタル回線や電話回線等のアナログ回線等の有線又は無線のインターネット回線、デジタル放送又は衛星放送等の電波信号の送受信を行う回線である。
デジタルコンテンツ10は、音楽、動画、静止画、テキスト、ゲーム又はソフトウエア等のデータであるデータ本体11と、このデータ本体11のヘッダ部12とを有した構成となっている。ヘッダ部12には、データ本体11を再生するための再生情報、デジタルコンテンツ10のコンテンツ名等のコンテンツ情報、データ本体11に割り当てられたコンテンツID及び管理センタ110のIPアドレスの情報等が含まれている。また、このヘッダ部12には、デジタルコンテンツ10の前の占有者を特定するための占有者特定情報が記録されている( 即ち、付加されている) 。占有者特定情報としては、管理センタ110の事業者を示すサーバID又は端末装置120のユーザを示すユニークIDを用いる。再生情報とはデータ本体11の最初に読み込むべきアドレス値等のことである。ヘッダ部12のうち再生情報だけが暗号化されている。データ本体11は、最初の部分に当該データ本体11の開始位置を示す開始位置情報が記録されている。このデータ本体11は、MPEG等の周知の圧縮方式で圧縮され、周知の暗号化され、当該データ本体11の一部が欠落され、当該欠落部分を詰めて連続させ、その後端に欠落データ11aと同じビット長のダミーデータが付加されている( 図3参照) 。このように加工されたデジタルコンテンツ10は、管理センタ110に転送され、管理センタ110のコンテンツDB118記録される。また、欠落データ11aは、当該欠落データ11aがデータ本体11のどの部分であるかを示す位置情報と共に、管理センタ110に転送され、管理センタ110の欠落データDB111記録される。位置情報とは開始位置情報から欠落部分までのデータ長や時間のことである。
欠落データ11aのビット長は、端末装置120の復号化処理の復号化ビット長と異なるビット長であり、且つ当該復号化ビット長の約数と異なるビット長とする。データ本体11を複数箇所欠落させる場合には、欠落データ11aのビット長×欠落箇所数が復号化ビット長の約数と異なるビット長とする。例えば、復号化ビット長を10バイト( 即ち、80ビット) としたとき、欠落データ11aのビット長を10バイト及びその約数以外のバイト数のビット長である7バイト( 即ち、56ビット) 、13バイト( 即ち、104ビット) 等とする。欠落データ11aのビット長を7バイトとした場合、データ本体11を10、20箇所欠落させないようにする。なぜなら、復号化ビット長が10バイトであるときに、欠落データ11aのビット長を20バイトとすると、データ本体11の欠落部分以降の復号化ビット長のデータのデータ列が欠落データ11aを欠落させる前と欠落させた後とで同じになり、その結果、データ本体11の欠落部分以降の部分が再生可能となるからである。また、ビット長が7バイトである欠落データ11aを10箇所欠落させると、データ本体11の10箇所目の欠落部分以降の復号化ビット長のデータ列が欠落データ11aを欠落させる前と欠落させた後とで同じになり、その結果、データ本体11の10箇所目の欠落部分以降の部分が再生される可能性が生じるからである。
管理センタ110は、データ本体11に含められた著作物の著作権者等との間の契約の下、デジタルコンテンツ10のデータ本体11をユーザにレンタルさせるという事業を行う者が運営するサーバである。図中111は欠落データ11a、この欠落データ11aがデータ本体11のどの部分であるかを示す位置情報、デジタルコンテンツ10のヘッダ部12に含まれる再生情報を復号化するための復号鍵c1及びデジタルコンテンツ10のデータ本体11を復号化するための復号化c2が予め記録された欠落データDB、112はユーザIDやパスワード等のユーザに関するユーザ情報が記録されるユーザ情報DB、113はコンピュータ等の制御部、114は通信を行うための通信部、115はハードディスク等のメモリ部、116はデジタルコンテンツ10の流通の促進を図るために事業者情報が記録されるデータ集積DB、117は再生プログラム20が記録されたプレーヤDB、118はデータ本体11が上述したように加工されたデジタルコンテンツ10が予め記録されたコンテンツDBである。
欠落データDB111上の欠落データ11aには、欠落データ11aに対応するデジタルコンテンツ10のコンテンツIDが付加されている。このコンテンツIDを用いて欠落データDB111上の欠落データ11aとデジタルコンテンツ10との対応関係を一致させている。ユーザ情報DB112のユーザ情報にはユニークIDやキャッシュバックデータも記録される。コンテンツDB118上のデジタルコンテンツ10のヘッダ部12には、デジタルコンテンツ10の前の占有者がいないので、現在の占有者である管理センタ110の事業者を示すサーバIDが記録されている。
メモリ部115にはサーバとしてのオペレーションシステム等の基本プログラム以外に、図4に示す認証、課金用割込プログラム、図5に示すユーザ登録割込プログラム、図6に示すキャッシュバック割込プログラム、図示しないコンテンツダウンロード用割込プログラム及び図示しない再生プログラムダウンロード用割込プログラム等が記録されている。これらのプログラムの内容については後述するが、前記認証、課金用割込プログラムが制御部113で処理されることより、同サーバが端末装置120の欠落データ11aの要求に応じて認証、課金の上、欠落データ11a等を端末装置120に向けて送信する管理センタ110としての機能を発揮するようになっている。なお、メモリ部115には、後述する課金センタ130のIPアドレス等も記録されている。
管理センタ110は、端末装置120だけでなく、課金センタ130と通信回線αを介して相互に通信可能に接続されている。この課金センタ130は管理センタ110を運営する者に代わってデジタルコンテンツ10のデータ本体11のレンタル使用料をユーザから回収するという事業を行う者が運営する周知のサーバである。よって、詳しい説明は省略する。
端末装置120はユーザが使用する汎用のコンピュータである。図中121はCPU等の制御部、122はモニタやスピーカ等の出力部、123はキーボードやマウス等の操作部、124は記録媒体等に対してデータのリード/ライトを行う再生複写部、125はハードディスク等の補助記憶部( メモリ部) 、126はDRAM等の主記憶部、127は通信を行うための通信部である。
補助記憶部125に記録されたデジタルコンテンツ10のヘッダ部12には、当該デジタルコンテンツ10の前の占有者である管理センタ110の事業者を示すサーバID又は他の端末装置120のユーザを示すユニークIDが占有者特定情報として記録されている。サーバIDは端末装置120の補助記憶部125に記録されることにより占有者特定情報となる。
補助記憶部125には、コンピュータとしてのオペレーションシステム等の基本プログラム以外に、管理センタ110から送信される図2に示す再生プログラム20、デジタルコンテンツ10、欠落データ11a等が記録される他、レンタル期間、レンタル料金などを示すレンタル情報が記録される。再生プログラム20はユーザ登録を条件として管理センタ110から通信回線αを通じてダウンロードされた有償又は無償のソフトウエアであって、デジタルコンテンツ10を再生するのに必要なアプリケーションソフトである。
この再生プログラム20の内容については後述するが、同プログラムが制御部121で処理されることより、同コンピュータがデジタルコンテンツ10のデータ本体11を復号化ビット長毎に復号化して再生する再生装置としての機能及び欠落データ11aの要求を管理センタ110に向けて送信し、管理センタ110から当該要求に応じて送信された欠落データ11a等を補助記憶部125に記録すると共にユニークIDを補助記憶部125上のデジタルコンテンツ10のヘッダ部12にサーバID又は他の端末装置120のユニークIDに上書きして記録する機能を発揮するようになっている。
以下、このデジタルコンテンツの不正使用防止システム100を用いたデジタルコンテンツの不正使用防止方法を説明すると共に、管理センタ110及び端末装置120の動作及び各制御部により処理される各プログラムの内容について説明する。なお、説明の便宜上、データ本体11は一箇所のみ欠落しているものとして説明する。
まず、ユーザが自己の端末装置120( 図2に示す再生プログラム20がダウンロードされていない状態)の操作部123を操作して通信回線αを介して管理センタ110にアクセスし、ユーザ登録の要求を行う( 即ち、通信回線α( インターネット) を介して検索し、アクセスする) これにより、管理センタ110と端末装置120とのコネクションが確立する。管理センタ110は、この要求に応じて図5に示すユーザ登録用割込プログラムを処理し、ユーザ登録に必要なデータを端末装置120に向けて送信する( s31) 。端末装置120は、前記データを受信すると、当該データに含まれるユーザ登録用画面のデータを出力部122に出力表示する。その後、ユーザが端末装置120の操作部123を通じてユーザ登録用画面が示すところに従って氏名、住所及び支払条件「自己の銀行口座番号又はクレジットカード番号等」等の登録データを入力し、この登録データを通信回線αを介して管理センタ110に送信する。管理センタ110は、前記登録データを受信すると、ユーザID及びパスワードを作成し、当該ユーザID及びパスワードを前記登録データと共にユーザ情報DB112に登録する( s32) 一方、メモリ部115上の課金センタ130のIPアドレスを参照してユーザID、パスワード及び前記登録データを課金センタ130に送信する( s33) 。課金センタ130は、当該ユーザID、パスワード及び前記登録データを受信してデータベースに記録する。そして、登録が完了した旨のデータを管理センタ110に送信する。管理センタ110は、前記データを受信すると、ユーザ登録が完了したとして、ユーザID、パスワードを通信回線αを介して端末装置120に送信する( s34) 。そして、ユーザ登録用割込プログラムの処理を終了する。これにより管理センタ110と端末装置120とのコネクションが切れる。端末装置120は、当該ユーザID及びパスワードを受信すると、登録完了の旨を出力部122に出力してディスプレイに表示する。なお、ユーザIDやパスワードはユーザ登録の際にユーザ自身に入力させるようにしても良い。
その後、ユーザが端末装置120を操作して上記と同様に管理センタ110にアクセスし、再生プログラム20のダウンロードの要求を入力する。すると、端末装置120は、その要求を通信回線αを通じて管理センタ110に送信する。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが確立する。管理センタ110は、この要求に応じてメモリ部115上の図示しない再生プログラムダウンロード用割込プログラムを処理し、プレーヤDB117上の再生プログラム20を読み出して通信回線αを介してユーザのコンピュータに送信する。すると、再生プログラム20が端末装置120の補助記憶部125にダウンロードされ、インストールされる。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが切れ、同端末装置120がデジタルコンテンツ10の再生装置となるのである。
デジタルコンテンツ10を管理センタ110から取得する場合には、端末装置120は、ユーザの操作部123を通じた操作に応じて上記と同様に通信回線αを介して検索し、管理センタ110のコンテンツダウンロード用のWEBアドレスにアクセスする。すると、管理センタ110は図示しないコンテンツダウンロード用割込プログラムを処理し、デジタルコンテンツ10のリストデータを端末装置120に送信する。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが確立する。端末装置120は、このリストデータを出力部122に表示出力する。その後、ユーザが操作部123を通じてリストデータからダウンロードするデジタルコンテンツ10を選択操作すると、リストデータに含まれる選択したデジタルコンテンツ10のコンテンツIDをダウンロードの申込としてを配信管理センタ110に送信する。管理センタ110は、このコンテンツIDを受信すると、コンテンツIDを参照して当該コンテンツIDに対応するデジタルコンテンツ10をコンテンツDB118から読み出し、端末装置120に送信する。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが切れる。端末装置120は、当該デジタルコンテンツ10を受信すると、補助記憶部125に記録する。と同時に、補助記憶部125上の再生プログラム20に含まれるデジタルコンテンツ管理割込プログラムを処理し、デジタルコンテンツ10ヘッダ部12のコンテンツ情報を再生プログラム20に含まれるプレイリストに記録する。
デジタルコンテンツ10を他の端末装置120から取得する場合には、周知のファイル交換プログラムやメール送受信プログラムを利用してデジタルコンテンツ10を他の端末装置120から送信させる。端末装置120は、デジタルコンテンツ10を受信すると、補助記憶部125に記録する。と同時に、補助記憶部125上の再生プログラム20に含まれるデジタルコンテンツ管理プログラムを処理し、デジタルコンテンツ10のヘッダ部12のコンテンツ情報を再生プログラム20に含まれるプレイリストに記録する。
そして、ユーザにより端末装置120の補助記憶部125上の再生プログラム20の実行操作が行われると、当該再生プログラム20を処理し、当該再生プログラム20に含まれる再生プレーヤ及びレンタル中のコンテンツを示すプレイリストのデータを出力部122に表示出力する。すると、当該再生プレーヤの画面上にプレイリストが表示される(s1)。このプレイリストには、管理センタ110又は他の端末装置120から送信されたデジタルコンテンツ10のコンテンツ情報が記載されており且つ当該デジタルコンテンツ10がレンタル中であるか否かが示されている。即ち、所定のフラグが立っているデジタルコンテンツ10をレンタル中であるとしてプレイリストに表示する。そして、このプレイリストに基づき操作部123を通じてレンタル中のデジタルコンテンツ10の再生操作がなされたか否かを判定する( s2) 。
再生操作がなされていないと判定すると、ユーザによりプレイリスト上のレンタル中でないデジタルコンテンツ10のレンタルの申し込み操作( 即ち、再生の申し込み操作) がなされたか否かを判定する( s3) 。レンタルの申し込み操作がなされたと判定すると、欠落データ11aの要求を行う。このとき、端末装置120は、再生プログラム20に含まれる入力データ画面のデータを出力部122に出力表示し、ユーザに操作部123を通じてユーザID、パスワード及びレンタル期間、レンタル料金等のレンタル情報を入力させる。一方、レンタルの申し込み操作がなされたデジタルコンテンツ10のヘッダ部12に含まれるコンテンツID、管理センタ130のIPアドレス及び占有者特定情報( サーバID又は他の端末装置120ユニークID) を読み出す。そして、当該IPアドレスを参照して、入力させたユーザID、パスワード及びレンタル情報と、読み出したコンテンツID及び占有者特定情報( サーバID又は他の端末装置120ユニークID) を前記要求に付加して管理センタ130に向けて送信する( s4) 。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが確立する。
管理センタ110は、当該要求を受信すると、図4に示す認証、課金割込プログラムを処理する。そして、当該要求に係るユーザの認証を確認する( s21) 。即ち、受信したユーザのユーザIDを参照してユーザ情報DB112から当該ユーザのユーザ情報を読み出し、ユーザID及びパスワードが一致するか否か( 即ち、当該ユーザが真正のユーザであるか否か) を確認する。このとき、管理センタ110は、ユーザ情報DB112にレンタル料金の不払い等が所定以上ある不適当者リストが予め用意されており、当該認証と共に不適当者リストに該当する者でないか否かを確認する( この不適当者リストの確認は任意である) 。
管理センタ110は、申し込みに係るユーザが不正なユーザである又は真正のユーザであるものの不適当者リストに該当する者であると確認した場合、ユーザの申し込みを拒否する旨のデータを通信回線αを介して端末装置120に送信する( s22) 。そして、認証、課金用割込プログラムを処理を終了する。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが切れる。
一方、申し込みに係るユーザが真正のユーザであり且つ不適当者リストに該当しない者であることを確認した場合、ユーザのユーザIDを参照して当該ユーザのユーザ情報DB112上のユーザ情報からキャッシュバックデータを読み出し、当該キャッシュバックデータが示す金額とレンタル情報に含まれるレンタル料金との精算を行い、この精算結果のデータをユーザ情報DB112上の前記ユーザ情報に記録する( s23) 。と共に、前記精算結果のデータをユーザID及びパスワードと共に課金センタ130に転送する( s24) 。一方、コンテンツID、占有者特定情報( サーバID又は他の端末装置120ユニークID) 及びレンタル情報をデータ集積DB116に記録し( s25) 、端末装置120のユーザを示すユニークIDを作成し( s26) 、当該ユニークIDをユーザIDを参照して当該ユーザに係るユーザ情報DB141上のユーザ情報に記録する( s27) 。即ち、ユニークIDは、端末装置120により欠落データ11aの要求がある毎に当該端末装置120のユーザに対して付される。
課金センタ130は、前記精算結果のデータを受信すると、当該データをデータベースに記録する。そして、課金が完了した旨のデータを管理センタ110に送信する。管理センタ110は、前記を受信すると、コンテンツIDを参照して欠落データDB131から欠落データ11a、位置情報及び復号鍵c1、c2を読み出し、当該欠落データ11a、位置情報及び復号鍵c1、c2と、作成したユニークIDとをユーザの申し込みを了承する旨としてレンタル情報と共に端末装置120に送信する( s28) 。これにより端末装置120と管理センタ110とのコネクションが切れる。なお、キャッシュバックデータが示す金額がレンタル料金よりも多い場合には、精算結果を課金センタ130に転送せず、欠落データ11a等を端末装置120に送信する。
課金については、課金センタ130が、データベースに記録した課金データを逐次又は所定期間毎に集計し、銀行・カード会社に請求するか若しくは、ユーザに直接請求してユーザに振込やコンビニエンスストア等で支払いをさせるようにする。また、課金センタ130が銀行・カード会社と通信回線αを介して接続されている場合には、即時決済とすることももちろん可能である。
端末装置120は、管理センタ110から通信回線αを介して申し込みを拒否する旨のデータを受信すると(s5)、このデータに含まれるエラーメッセージのデータを出力部122に表示出力する(s6)。一方、通信回線αを介して欠落データ11a、位置情報、復号鍵c1、c2、レンタル情報及びユニークIDを受信すると(s5)、所定のフラグをセットし、欠落データ11a、位置情報、復号鍵c1、c2及びレンタル情報を補助記憶部125の所定のレジストリに記録する(s7)一方、ユニークIDをデジタルコンテンツ10のヘッダ部12のサーバID又は他の端末装置120のユニークIDに上書きして記録する(s8)。このようにして占有者特定情報がサーバID又は他の端末装置120のユニークIDから端末装置120のユニークIDに書き換えられる。と同時に、端末装置120のコンピュータとして時計機能を用いて欠落データ11aの受信日時を補助記憶部125に記録する。そして、プレイリストを主記憶部126上に読み出して更新し、出力部122に表示出力する( s1) 。これにより、欠落データ11aを得たデジタルコンテンツ10のコンテンツ情報がプレイリスト上にレンタル中であると表示される。
ステップ2において、操作部123を通じてプレイリストに基づきレンタル中のデジタルコンテンツ10の再生操作がなされると、補助記憶部125上の当該デジタルコンテンツ10のヘッダ部12に含まれる再生情報を主記憶部126上に読み出す一方、補助記憶部125から復号鍵c1を読み出し、当該復号鍵c1を用いて当該再生情報を復号化する。そして、当該再生情報を用いて補助記憶部125上のデジタルコンテンツ10のデータ本体11を復号化ビット長毎に主記憶部126に順次読み出すと共に、補助記憶部125から復号鍵c2を主記憶部126に読み出し、主記憶部126上の当該データを復号化ビット長毎に復号鍵c2を用いて順次復号化し、当該データをMPEG等のフィルタに通して圧縮状態から元の状態に順次復元し、これによりデータ本体11を再生する( s9) 。
このステップ9の処理と共に、補助記憶部125からデータ本体11の開始位置情報を主記憶部126上に読み出す一方、補助記憶部125から位置情報を主記憶部126上に読み出し、当該開始位置情報から当該位置情報までのデータ長や時間のカウントを開始する( s10) 。その後、前記カウントが終了したか否かを判定する( s11) 。これにより、データ本体11の欠落部分の認識を行う。この判定の結果、カウントが終了したと判定してデータ本体11の欠落部分を認識すると、欠落データ11aのビット長が復号化ビット長よりも小さい場合には、補助記憶部125からデータ本体11と欠落データ11aとを主記憶部126上に読み出して( 即ち、データ本体11と欠落データとを復号化ビット長のデータとして転送して) 結合する( s12) 。そして、当該主記憶部126上の復号化ビット長のデータを復号鍵c2を用いて復号化し( s13) 、当該データをMPEG等のフィルタに通して圧縮状態から元の状態に復元し( s14) 、これによりデータ本体11を再生する( s15) 。
欠落データ11aのビット長が復号化ビット長よりも大きい場合には、補助記憶部125からデータ本体11と欠落データ11aの一部とを主記憶部126上に読み出して( 即ち、記録媒体110上のデータ本体11と補助記憶部125上の欠落データ11aの一部とを復号化ビット長のデータとして転送して) 結合し、続いて、補助記憶部125から残りの欠落データ11a( 復号化ビット長分のデータ) を主記憶部126上に読み出す( s12) 。そして、主記憶部126上のデータを復号化ビット長毎に復号鍵c2を用いて復号化し( s13) 、当該データをMPEG等のフィルタに通して圧縮状態から元の状態に復元し( s14) 、これによりデータ本体11を再生する( s15) 。
又は、補助記憶部125から欠落データ11aの一部( 復号化ビット長分のデータ) を主記憶部126上に読み出し、続いて、補助記憶部125からデータ本体11と、残りの欠落データ11aとを主記憶部126上に読み出して結合する( s12) 。そして、主記憶部126上のデータを復号化ビット長毎に復号鍵c2を用いて復号化し( s13) 、当該データをMPEG等のフィルタに通して圧縮状態から元の状態に復元し( s14) 、これによりデータ本体11を再生する( s15) 。このようにデータ本体11の欠落部分前後を再生した後、再び補助記憶部125上のデータ本体11を主記憶部126に読み出し、復号化ビット長毎に復号鍵c2を用いて順次復号化し、当該データをMPEG等のフィルタに通して圧縮状態から元の状態に順次復元し、これにより続きのデータ本体11を再生する (s16) 。なお、欠落データのビット長が復号化ビットの2倍以上である場合、ステップ12の処理を連続して行う。この再生プログラム20はユーザにより終了の処理が行われることにより終了する。
また、再生プログラム20には、欠落データ削除プログラムが付加されている。端末装置120は、欠落データ11aが補助記憶部125に記録されると、再生プログラム20を処理し、これにより欠落データ11aを受信した日時と現在の日時との差を欠落データ11aが送信された時点からの経過期間として求め、これがレンタル情報に含まれるレンタル期間に達しているときはレンタル期間外であるとして補助記憶部125上の欠落データ11a及び位置情報削除する一方、所定のフラグを倒すようになっている。
管理センタ110は、所定期間毎にメモリ部115上の図6に示すキャッシュバック割込プログラムを読み出して処理する。すると、データ集積DB116上の占有者特定情報( ユニークID) を参照してユーザ情報DB112上のユーザ情報に含まれる同じ占有者特定情報を検索する( 41) 。そして、当該占有者特定情報に係る端末装置120のユーザのユーザ情報にキャッシュバックデータを記録する( 42) 。即ち、キャッシュバック割込プログラムに予め設定された金額の電子マネーデータをキャッシュバックデータとして記録する。その後、キャッシュバックデータ割込プログラムの処理を終了する。なお、サーバIDに対するキャッシュバックは行わない。
このようなデジタルコンテンツの不正使用防止システム100により実現されるデジタルコンテンツの不正使用防止方法による場合、デジタルコンテンツ10が、圧縮され、暗号化され、復号化ビット長と異なるビット長の一部を欠落させ、その欠落部分の間を詰めて連続するように加工されている。このようにデジタルコンテンツ10を加工しておくと、デジタルコンテンツ10のデータ本体11の欠落部分以降のデータのデータ列を、暗号化したときのデータ列( 即ち、欠落させる前のデータ列) と異なるデータ列とすることができるので、欠落データ11aを取得せずに復号化ビット長毎に順次復号化( 所定の計算を行う) して再生しようとすると、欠落部分以降のデータが暗号化前のデータ列に戻らず、不明な数列又は英数列に変換される。この不明な数列又は英数列をMPEG等のフィルタに通すと、データ本体11の再生が止まる。このため、管理センタ110から欠落データ11aをえない限り、欠落部分の以降のデータを再生することができない。よって、デジタルコンテンツ10をピアツーピア型のネットワークで流通させたとしても、当該デジタルコンテンツ10の不正使用を防止することができる。しかも、管理手段110は、所定期間毎にデータ集積DB116に記録された占有者特定情報を参照して、当該占有者特定情報を含むユーザ情報DB112のユーザ情報にキャッシュバックデータを記録するようにしている。即ち、デジタルコンテンツ10を流通させたユーザに対してキャッシュバックを行うようになっていることから、端末装置120間のデジタルコンテンツ10の流通の促進を図ることができる。
なお、デジタルコンテンツの不正使用防止方法については、デジタルコンテンツの利用を管理する管理手段と、この管理手段と通信回線を介して相互通信可能であり且つ暗号化されたデジタルコンテンツを復号化ビット長毎に復号化して再生する複数の端末装置とを備えており、前記端末装置がデジタルコンテンツを通信回線を介して相互に送受信可能であるシステムにおいて、デジタルコンテンツは、暗号化され、復号化ビット長と異なるビット長の一部を欠落させ、その欠落部分の間を詰めて連続しており且つ当該デジタルコンテンツの所定位置にデジタルコンテンツの前の占有者を特定するための占有者特定情報が付加されており、前記管理手段は、デジタルコンテンツの欠落データ及びこの欠落データがデジタルコンテンツのどの部分であるかを示す位置情報が予め記録された欠落データ用データベースと、デジタルコンテンツの流通を図るために占有者特定情報を記録するデータ集積データベースと、前記端末装置のユーザのユーザ情報が予め記録されたユーザ情報データベースとを有しており、端末装置は、他の端末装置から送信されたデジタルコンテンツをメモリ部に記録し、その後、当該デジタルコンテンツのユーザの再生の申し込み操作に応じて前記管理手段に欠落データの要求を行うと共にデジタルコンテンツに付加された当該デジタルコンテンツの前の占有者である他の端末装置の占有者特定情報を前記管理手段に送信し、前記管理手段は当該要求に応じて欠落データ及び位置情報を前記端末装置に向けて送信する一方、当該他の端末装置の占有者特定情報をデータ集積データベースに記録し、ユーザ情報データベースから前記端末装置のユーザ情報に含まれる当該端末装置のユーザを特定することができるデータを読み出し、このデータを占有者特定情報として前記欠落データ及び位置情報と共に前記端末装置に送信し、前記端末装置は、当該欠落データ及び位置情報をメモリ部に記録すると共に、当該占有者特定情報をデジタルコンテンツに付加された前記他の端末装置の占有者特定情報に上書きしてメモリ部に記録し、デジタルコンテンツを再生するに当たり、前記メモリ部上の位置情報を参照してデジタルコンテンツの欠落部分を認識し、当該欠落部分に前記メモリ部から読み出した欠落データを結合し、当該データを復号化ビット長毎に復号化して再生するようにしている限りどのような設計変更を行ってもかまわない。
デジタルコンテンツ10は、データ本体11が暗号化前に圧縮されているとしたが、圧縮するか否かは任意である。データ本体11を圧縮しない場合には、当該データ本体11が不正に再生されると、データ本体11の欠落部分以降の不明な数列又は英数列の羅列として再生される。また、データ本体11だけでなく、その他のデータを欠落させることも可能である。例えば、デジタルコンテンツ10のヘッダ部12の再生情報等である。
デジタルコンテンツ10は、管理センタ110のコンテンツDB118に予め記録されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、デジタルコンテンツ10を記録媒体に記録して配布し、ユーザにより端末装置120の補助記憶部125にコピーするようにしても良い。この場合、管理センタ110はコンテンツDB118が不要になる。占有者特定情報は、デジタルコンテンツ10のヘッダ部12以外の部分にデジタルコンテンツ10を付加することが可能であり、デジタルコンテンツ10と一体的なっている必要はない。なお、サーバIDを付すか否かは任意である。
位置情報については、開始位置情報から欠落部分までのデータ長や時間であるとしたが、欠落部分を示すアドレス値等であっても良い。この場合、例えば、次に読み出すべきデータ本体11のアドレス値と位置情報とが一致するか否かを逐次判定し、この判定の結果、一致しないと判定したときには前記アドレス値の示すデータ本体11を読み出し、一致すると判定したときには補助記憶部125上の欠落データ11aを読み出すようにする。
また、欠落する箇所を予め決めておき、その位置情報を再生プログラム20に含めておくことも可能である。この場合、管理センタ110の欠落データDB111には位置情報を欠落データ11aと共に記録させて置かなくても良い。
再生プログラム20は、一例であり、同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いても良い。また、再生プログラム20にプレーヤID等を付加し、当該プレーヤIDを管理センタ130の認証に用いるようにしても良い。なお、再生プログラム20は記録媒体に記録して配布することも可能である。
管理センタ110は、データ集積DB116に記録された占有者特定情報を参照してユーザ情報DB112上の同じ占有者特定情報が記録された端末装置120のユーザ情報にデータ集計割込プログラムに含まれるキャッシュバックデータを記録するとしたが、このプログラムの処理を行うか否かは任意である。この場合、データ集積DB116に記録された占有者特定情報等の情報を集計して出力するようにしても良いし、単純に出力のみを行うようにしても良い。このような集計データは、マーケティング等に用いることができる。また、キャッシュバックデータは電子マネーデータであるとしたが、ユーザに特典を与えるためのポイントデータ等であって良い。この場合、レンタルの課金との精算だけではなく、ノベルティ商品等との交換に用いることができる。更に、管理センタ110は、ユニークIDを作成して占有者特定情報として送信するとしたが、ユーザ情報DB112のユーザ情報からユーザを特定することができるユーザID等の情報を読み出し、この情報を占有者特定情報として送信することが可能である。
管理センタ110は、認証、課金を行うとしたが、課金センタ130が認証を行い、その認証結果に応じて管理センタ110に欠落データ11aの送信の許可を与えるようにしても良い。同様に、管理センタ110がユーザ登録を行うとしたが、課金センタ130がユーザ登録を行い、このユーザ情報を管理センタ110に転送するようにすることも当然可能である。また、課金センタ130及び管理センタ110を組み合わせ、一つのサーバにて運営することが可能である。また、管理センタ110は、欠落データDB111、ユーザ情報DB112、データ集積DB116及びプレーヤDB117を有するとしたが、これらの管理センタ110の外部に設置又は設置されたDBを利用するようにすることもできる。この場合管理センタ110の外部のDBとは通信回線αを介して相互に通信する。
管理センタ110のデータ集積DB116には、少なくとも占有者特定情報を記録するようになっていれば良い。勿論、コンテンツID、レンタル情報以外のデータも記録することが可能である。
端末装置120はついては、コンピュータであるとしたが、同様の機能を実現できるものであればどのようなものを用いても良い。端末装置120は、占有者特定情報を上書きして書き換えるとしたが、占有者特定情報を時系列に並べて記録するようにしても良い。この場合、管理センタ110に占有者特定情報を送信するときには、全ての占有者特定情報を送信するようにしても良いし、新らしく記録した1又は複数の占有者特定情報を送信するようにしても良い。この場合、デジタルコンテンツ10の流通経路を特定することが可能になる。よって、デジタルコンテンツ10を不正使用した者を容易に特定することができ、且つマーケティング等を詳細に行うことも可能になる。また、デジタルコンテンツ10を占有した全ての占有者特定情報をデジタルコンテンツ10のヘッダ部12に記録する必要はなく、例えば、最新の占有者特定情報から5つ前の占有者特定情報を記録するようにし、最古の占有者特定情報上に最新の占有者特定情報を上書きするようにすることも勿論可能である。
端末装置120、管理センタ110及び課金センタ130が互いにアクセスする際に使用されるIPアドレスは、URLやそれに準じるものに代えることが可能であることは言う迄もない。
上記実施例では、デジタルコンテンツ10をレンタルする方法として説明したが、有償又は無償で配信されたデジタルコンテンツ10の不正使用を防止するシステムに設計変更することも可能であり、この場合であっても上記と同様のメリットを奏する。この場合には、再生プログラム20に付加された欠落データ削除プログラムを削除すれば良い。