以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明のコーヒー飲料製造装置1の正面図、図2のコーヒー飲料製造装置1の側面図、図3及び図4はコーヒー飲料製造装置1の構成図、図5はドリップコーヒー抽出時における給湯量を示す説明図をそれぞれ示している。
実施例のコーヒー飲料製造装置1は、例えばファーストフード店等の厨房やカウンターに設置されるものであり、向かって右側のドリップコーヒー抽出部1Aと、向かって左側のエスプレッソコーヒー抽出部1Bとが一体化されて本体6が構成されている。ドリップコーヒー抽出部1Aでは、コーヒー原料粉末に湯を散布することで抽出されたコーヒー液である散湯式コーヒー、即ち、ドリップコーヒーが製造されると共に、エスプレッソコーヒー抽出部1Bでは、コーヒー原料粉末に湯を加圧供給することで抽出されたコーヒー液である加圧抽出式コーヒー、即ち、エスプレッソコーヒーが製造される。
このエスプレッソコーヒー抽出部1Bの前面中程には、エスプレッソのコーヒー液を排出するコーヒー液ノズル2と、ミルクフォームを排出するミルクフォームノズル3とを一体に備えたノズル部材4が設けられている。そして、このノズル部材4の下方には、抽出されたコーヒー液を受容するカップを載置するカップ支持台7が設けられている。尚、ノズル部材4は、上下に高さ調節可能に構成されている。また、エスプレッソコーヒー抽出部1Bの前面上部には排出する飲料の種類を選択等を行う複数の操作ボタン5・・・が設けられると共に、ノズル部材4の向かって右側にはコーヒー液の抽出に使用された残滓を受容し、前方に引出自在に設けられた残滓受容部8が設けられている。また、9はコーヒー豆を収容する豆貯蔵容器である。
一方、ドリップコーヒー抽出部1Aの前面上部には散水器41が設けられており、この散水器41の下側にはドリップコーヒー用の粉チャンバー42が着脱自在に取り付けられる。更に、この粉チャンバー42の下側には保温ポット43が設けられると共に、この保温ポット43の下方にはデカンタ支持台44が構成され、このデカンタ支持台44上には、保温ポット43の下側に対応して保温デカンタ46が載置される。
この保温ポット43及び保温デカンタ46は、例えばステンレス製の真空二重構造とされており、極めて高い保温性能を有している。また、保温ポット43の取出口43Aには手動式の開閉弁47が設けられている。
次に、図3及び図4を参照してコーヒー飲料製造装置1の内部構成について説明する。尚、図3及び図4はコーヒー飲料製造装置1の本体6の内部構成を示しており、各部を分かり易く拡大して示すために*1及び*2の箇所にて二分割して図示したものである。先ず、エスプレッソコーヒー抽出部1Bには、二個の給水弁48、49を介して給水管51から給水される給水用湯タンク10と、この給水用湯タンク10と連通されたエスプレッソ用湯タンク11と、エスプレッソ用湯タンク11の底部に取り付けられたエスプレッソ用ポンプ(ギヤポンプ)12と、エスプレッソ抽出メカ13と、ミルクフォーマー61等が設けられている。
給水用湯タンク10は、数リットルの飲料水を貯水可能なタンクであり、内部には当該給水用湯タンク10に貯溜された水を例えば+68℃〜+70℃に加熱保温する電気ヒータ(給水用電気ヒータ)52と水位スイッチ53が設けられると共に、当該給水用湯タンク10の温度を検出する給水用サーミスタ54及び空焚き防止用バイメタルサーモスタット55も取り付けられている。尚、給水用サーミスタ54は、後述するドリップ用湯タンク27に接続される連通管(給湯経路)31の当該給水用湯タンク10内の湯中に開口された端部の付近温度又は、給水用タンク10内の全体の温度を検出するものとする。そして、本体6に設けられた制御手段としての制御装置20はサーミスタ54の検出温度に基づき、貯溜水の温度が+68℃まで低下した場合に電気ヒータ52に通電し、+70℃まで上昇した場合に通電を断つ。
また、水位スイッチ53には、満水位及び、当該満水位から所定の水位が下がった位置、本実施例では、エスプレッソコーヒー一杯分の水量、例えば150mlが減少した位置に低水位が設けられており、制御装置20は、当該水位スイッチ53が低水位を検出した場合に給水弁48、49を開き、満水位を検出した場合に閉じる制御を行う。また、本実施例において制御装置20は、給水弁48、49を閉じてから所定期間、例えば15秒間は、給水弁48、49の開放を禁止するものとする。
更に、給水管51の開口下方には水面上で開口し、給水用湯タンク10内下部に降下して開口する降下管50が取り付けられている。尚、56は給水用湯タンク10からの蒸気やオーバーフローした湯が前記残滓受容部8に流出する蒸気管であり、この蒸気管56には沸騰防止用バイメタルサーモスタット59が取り付けられている。そして、万一制御に支障が生じて給水用湯タンク10内の湯が沸騰してしまった場合には、この蒸気管56から出てくる蒸気や湯の温度でバイメタルサーモスタット59を切り、給水用電気ヒータ52の通電を遮断する構成とされている。
そして、この給水用湯タンク10とエスプレッソ用湯タンク11とは連通管57にて連通されている。この場合、連通管57の一端は給水用湯タンク10内上部の湯中にて開口しており、他端はエスプレッソ用湯タンク11の底面に接続されて内部に開口している。尚、58は連通管57の途中に設けられた排水栓である。
このエスプレッソ用湯タンク11も、数リットルの飲料水を貯水可能とされたタンクであり、内部には当該エスプレッソ用湯タンク11に貯溜された水を例えば+94℃〜+97℃に加熱保温(+85℃以上で適温とされ、制御装置20は図示しない適温ランプを点灯する。)する電気ヒータ(加圧抽出用電気ヒータ)70が設けられると共に、空焚き防止用バイメタルサーモスタット71及び当該エスプレッソ用湯タンク11の温度を検出するサーミスタ72も取り付けられている。制御装置20はサーミスタ72の検出温度に基づき、貯溜水の温度が+94℃まで低下すると加圧抽出用電気ヒータ70に通電し、+97℃まで上昇すると通電を断つ。
尚、73はエスプレッソ用湯タンク11からの蒸気やオーバーフローした湯が前記残滓受容部8に流出する蒸気管であり、この蒸気管73も沸騰防止用バイメタルサーモスタット74が取り付けられている。そして、万一制御に支障が生じてエスプレッソ用湯タンク11内の湯が沸騰してしまった場合には、この蒸気管73から出てくる蒸気や湯の温度でバイメタルサーモスタット74を切り、加圧抽出用電気ヒータ70の通電を遮断する構成とされている。
また、エスプレッソ用湯タンク11の底部に設けられたエスプレッソ用ポンプ12は、エスプレッソ用湯タンク11内の湯を加圧して排出するポンプであり、このエスプレッソ用ポンプ12の吸込口はエスプレッソ用湯タンク11内上部の湯中にて開口し、排出口には湯流量計14と、コーヒー抽出電磁弁15とが順次介設された給湯側配管16が接続され、この給湯側配管16の他端にエスプレッソ抽出メカ13が接続されている。
そして、この給湯側配管16には、湯流量計14とコーヒー抽出電磁弁15との間に位置して循環経路を構成する湯循環電磁弁17を備えた循環用配管18が接続されており、この循環用配管18の他端は、エスプレッソ用湯タンク11内に接続されている。19はエスプレッソ用湯タンク11内上部の湯中に一端が開口した給湯管であり、給湯電磁弁21を備えている。この給湯管19の他端に取り付けられたノズル19Aはエスプレッソコーヒー抽出部1Bの前面右側に設けられ、操作スイッチ5の操作により湯のみを吐出する。
他方、エスプレッソ抽出メカ13の上方には、前記豆貯蔵容器9が設置される。この豆貯蔵容器9の下方には、豆貯蔵容器9に貯蔵されたコーヒー豆を高速回転する図示しない粉砕刃によって所定の粒度にまで粉砕するコーヒーミル22が設けられており、更に、このコーヒーミル22の下方には、当該コーヒーミルにおいて粉砕されたコーヒー粉を計量する粉計量器23及び当該計量されたコーヒー粉をエスプレッソ抽出メカ13内に収容するためのシュート24が設けられている。そして、このエスプレッソ抽出メカ13の下部には、コーヒー液の抽出経路を構成する抽出側配管25が接続され、この抽出側配管25には、抽出されたコーヒー液の排出を制御するコーヒー抽出電磁弁26が介設されている。このコーヒー抽出電磁弁26の下流側の抽出側配管25には、前記コーヒー液ノズル2が接続されている。これにより、カップ支持台7に配置された図示しないカップにコーヒー液を注入可能としている。
尚、カップには、コーヒー液の注入と共に顧客の要望により砂糖やクリームが注入されるが、これらの供給系統については図示及び説明を省略する。
このエスプレッソ抽出メカ13は、シュート24に供給される挽き豆を収容するシリンダーと、このシリンダーに挿脱自在とされるピストンと、このピストンを駆動するピストン駆動モータ等を備えており、これらシリンダー、ピストン、ピストン駆動モータ等からシリンダーユニットを構成し、更に、このシリンダーユニット全体を所定の角度に傾斜させるためのユニットや、シリンダーユニットが傾斜した際にシリンダーの上面開口を閉塞する蓋部材等を備えて構成されている。また、コーヒー抽出電磁弁15は、当該電磁弁15内に浸入したコーヒー液を所定圧力以上となるように調整する調整機構を備えている。
次に、前記ミルクフォーマー61は、前記給水用湯タンク10から湯を取り出す湯供給配管62と、ミルクフォーム用電磁ポンプ63と、ミルクフォーム用ヒーターブロック(ミルクフォーム用電気ヒータ)64と、図示しないミルカー等を備えている。湯供給配管62は、一端が給水用湯タンク10内上部の湯中に開口すると共に、ミルクフォーム用電磁ポンプ63及びミルクフォーム用ヒーターブロック64が順次介設されている。湯供給配管62の他端には、図示しないミルカーが接続される。また、ミルクフォーム用電磁ポンプ63とミルクフォーム用ヒーターブロック64との間に位置する湯供給配管62には、分岐配管67が設けられ、当該分岐配管67には、所定圧力にて外部に開放する排水電磁弁68が設けられている。
ミルクフォーム用ヒーターブロック64は電気ヒータを内蔵しており、給水用湯タンク10から湯供給配管62及びミルクフォーム用電磁ポンプ63を介して供給された湯を例えば約+170℃に加熱して蒸気を生成し、この蒸気をミルカーへ供給するものである。また、ミルクフォーム用ヒーターブロック64には図示しない温度センサが設けられており、この温度センサの検出に基づいて設定した蒸気温度となるように制御装置20により温度制御が行われる。
ミルクフォーマー61は、ミルクフォーム用ヒーターブロック64で生成した蒸気をミルカーに吐出することで旋回流起こし、図示しないミルクノズルからミルクを吸引し、これに空気を混合して泡立てる。そして、前記ミルクフォームノズル3から吐出し、当該ノズル3の下方に載置されたカップなどに供給するものである。
次に、ドリップコーヒー抽出部1Aについて説明する。このドリップコーヒー抽出部1Aには、ドリップ用湯タンク(散湯用湯タンク)27と、前記散水器41が設けられている。ドリップ用湯タンク27と前記給水用湯タンク10とは連通管(給湯経路)31にて連通されている。この場合、連通管31の一端は給水用湯タンク10内上部の湯中にて開口しており、他端はドリップ用湯タンク27内の上面に接続されている。ドリップ用湯タンク27には下方に降下してその底部にて開口する接続管33が取り付けられており、前記連通管31はこの接続管33の上端に連通されている。また、連通管31の途中には搬送手段としてのポンプ32及びドリップ用流量計28が設けられている。当該ドリップ用流量計28は、内部に回転子を備え、流入する湯により当該回転子を回転させ、当該回転子の回転速度に応じた周波数パルスを検出することで、給湯量を検出するものである。尚、ポンプ32及びドリップ用流量計28は、前記制御装置20に接続されており、詳細は後述する如くドリップ用流量計28にて検出された給湯量に基づきポンプ32が運転制御される。
このドリップ用湯タンク27も、数リットルの飲料水を貯水可能とされたタンクであり、内部には当該ドリップ用湯タンク27に貯溜された水を例えば+93℃〜+95℃に加熱保温(+85℃以上で適温とされ、制御装置20は図示しない適温ランプを点灯する。)する加熱用の電気ヒータ34(散湯用電気ヒータ)及び保温用の電気ヒータ35(空焚き防止用バイメタルサーモスタット36を備える。)が設けられると共に、当該ドリップ用湯タンク27の温度を検出するドリップ用サーミスタ37も取り付けられている。このドリップ用サーミスタ37は、後述するサイホン29の一端付近、即ち、ドリップ用湯タンク27の上部の温度を検出するものとする。
制御装置20はドリップ用サーミスタ37の検出温度に基づき、貯溜水の温度が+85℃まで低下すると加熱用の電気ヒータ34に通電し、+93℃まで上昇したら電気ヒータ34の通電を断つ。また、制御装置20は同じくドリップ用サーミスタ37の検出温度に基づき、貯溜水の温度が+93℃まで低下すると保温用の電気ヒータ35に通電し、+95℃まで上昇したら電気ヒータ35の通電を断つ。
尚、38はドリップ用湯タンク27からの蒸気やオーバーフローした湯が流出する蒸気管であり、この蒸気管38も沸騰防止用バイメタルサーモスタットが取り付けられている。そして、万一制御に支障が生じてドリップ用湯タンク27内の湯が沸騰してしまった場合には、この蒸気管38から出てくる蒸気や湯の温度でバイメタルサーモスタット39を切り、電気ヒータ34、35の通電を遮断する構成とされている。
また、ドリップ用湯タンク27の上部にはサイホン29の一端が接続され、他端は前記散水器41に接続されている。また、ドリップ用湯タンク27の底面には排水手動弁40Aを備えた配水管40が接続されている。
前記制御装置20は、プログラムやデータを記憶するメモリ、クロック信号を生成するタイマ、前記クロック信号及び前記プログラムに基づいて動作するCPUを備えている。更に、この制御装置20の入力側には、流量計14、28やサーミスタ37、54、72、水位スイッチ53等が接続されると共に、出力側には前記エスプレッソ用ポンプ12、コーヒー抽出電磁弁15、湯循環電磁弁17、給湯電磁弁21、コーヒー抽出電磁弁26、排水電磁弁68、エスプレッソ抽出メカ13、ポンプ32、電気ヒータ52、70、34、35、ミルクフォーム用ヒーターブロック64(実際にはその内部の電気ヒータ)、ミルクフォーム用電磁ポンプ63、給水弁48、49等が接続され、当該制御装置20の出力に基づき制御される。
以上の構成により、本実施例のコーヒー飲料製造装置1の動作について説明する。尚、操作ボタン5の操作が行われる前は、何れの電磁弁も非通電とされ、閉鎖若しくは、一定圧力以上にて湯の流通を許容する状態とされているものとする。
(1)給水
電源投入後、制御装置20は給水弁48、49に通電して開放し、給水用湯タンク10に給水を行う。このとき、エスプレッソ用湯タンク11は連通管57にて給水用湯タンク10と連通されているので、パスカルの原理でエスプレッソ用湯タンク11にも連通管57を経て給水され、給水用湯タンク10と同水位とされる。また、制御装置20はポンプ32を所定時間運転し、給水用湯タンク10内の水を連通管31からドリップ用湯タンク27内に流入させ、満水位とする。
このようにしてドリップ用湯タンク27が満水位となり、更に水位スイッチ53が給水用湯タンク10(エスプレッソ用湯タンク11)の満水位を検出すると、制御装置20は給水弁48、49を閉じる。
(2)湯の生成
次に、制御装置20は各湯タンク10、11、27内にて湯を生成する。この場合、制御装置20は電気ヒータ52、59、加熱ヒータ34及びミルクフォーム用ヒーターブロック64のうちの何れか2つを同時に通電しないように制御すると共に、何れか一つと前述したドリップコーヒーやエスプレッソコーヒーの抽出のために必要な機器(ポンプ32、エスプレッソ用ポンプ12、コーヒー抽出電磁弁15、25、エスプレッソ抽出メカ13等。保温用電気ヒータ35も含む。)への通電を可能とする。
また、制御装置20は実施例ではエスプレッソ用湯タンク10の電気ヒータ70とドリップ用湯タンク27の散湯用電気ヒータ34を優先して通電すると共に、操作スイッチ5への入力操作により、エスプレッソ用湯タンク10の電気ヒータ70とドリップ用湯タンク27の散湯用電気ヒータ34の何れを最優先とするかを設定可能とされている。
実施例の店舗ではドリップコーヒーが多く販売されることから散湯用電気ヒータ34が優先設定されたものとすると、制御装置20は電気ヒータ52、70、散湯用電気ヒータ34及びミルクフォーム用ヒーターブロック64のうちの散湯用電気ヒータ34への通電を最初に開始する。そして、ドリップ用湯タンク27内の湯の温度が前述した+93℃まで上昇したら散湯用電気ヒータ34の通電を断ち、以後は保温用電気ヒータ35を前述の如く通電制御してドリップ用湯タンク27内の湯の温度を+93℃〜+95℃に保持する。
次に、制御装置20は散湯用電気ヒータ34への通電を断った時点から今度はエスプレッソ用湯タンク11の電気ヒータ70への通電を開始する。そして、エスプレッソ用湯タンク11内の湯の温度が前述した+97℃まで上昇したら電気ヒータ70の通電を断つ。次に、制御装置20は電気ヒータ70への通電を断った時点から今度は給水用湯タンク10の電気ヒータ52への通電を開始する。そして、給水用湯タンク10内の湯の温度が前述した+70℃まで上昇したら電気ヒータ52の通電を断つ。そして、この電気ヒータ52への通電を断った時点からミルクフォーム用ヒーターブロック64への通電を開始し、前述した温度まで昇温させることになる。
尚、後述するようなドリップコーヒーの抽出によってドリップ用湯タンク27内の湯の温度が+93℃まで低下した場合には再び散湯用電気ヒータ34への通電を開始するが、その際に優先度の低い他の電気ヒータ52、70、ミルクフォーム用ヒーターブロック64に通電されている場合には、それら電気ヒータ52、70、ミルクフォーム用ヒーターブロック64への通電を中断する。同様にエスプレッソコーヒーの抽出によってエスプレッソ用湯タンク11内の湯の温度が+94℃まで低下した場合には再び電気ヒータ70への通電を開始するが、その際に優先度の低い他の電気ヒータ52、ミルクフォーム用ヒーターブロック64に通電されている場合には、それら電気ヒータ52、ミルクフォーム用ヒーターブロック64への通電を中断する。同様に給水用湯タンク10内の湯の温度が+68℃まで低下した場合には再び電気ヒータ52への通電を開始するが、その際に優先度の低いミルクフォーム用ヒーターブロック64に通電されている場合には、当該ミルクフォーム用ヒーターブロック64への通電を中断する。
このようにして、ドリップ用湯タンク27、エスプレッソ用湯タンク11、給水用湯タンク11内に所定量の湯を生成すると共に、ミルクフォーム用ヒーターブロック64を待機温度まで加熱する。
(3)エスプレッソコーヒーの抽出
そして、本体6に設けられた操作ボタン5でエスプレッソコーヒーを選択すると、制御装置20にエスプレッソコーヒーの抽出開始入力が行われる。これにより、制御装置20は湯循環電磁弁17を開放し、所定時間、実施例では4秒間、エスプレッソ用ポンプ12の低速運転を行う配管昇温工程を実行する。これにより、エスプレッソ用湯タンク11内の湯がエスプレッソ用ポンプ12により給湯側配管16を介して循環経路を構成する湯循環電磁弁17及び循環用配管18に送出される。
そして、エスプレッソ用ポンプ12とコーヒー抽出電磁弁15との間に位置する給湯側配管16内に滞留する湯は湯循環電磁弁17を介して循環用配管18に圧送され、エスプレッソ用湯タンク11に戻される。これにより、エスプレッソ用湯タンク11から供給される約+94℃乃至+97℃の高温の湯でエスプレッソ用ポンプ12とコーヒー抽出電磁弁15との間に位置する給湯側配管16の昇温を行うことができる。
上記配管昇温工程が開始してから上記所定時間経過後に、制御装置20は、エスプレッソ用ポンプ12の運転を停止し、次いで湯循環電磁弁17を閉鎖し、配管昇温工程を終了する。一方、エスプレッソ抽出メカ13は、前回のコーヒー液の供給工程の終了後に次回の抽出準備工程が行われている。即ち、抽出準備工程では、先ず、制御装置20はエスプレッソ抽出メカ13の前記シリンダーを直立した状態とし、予め豆貯蔵容器9内のコーヒー豆をコーヒーミル22において粉砕し、挽き豆(コーヒー原料粉末)とした状態で、粉計量器23にて計量された所定量のコーヒー粉をシュート24を介して前記シリンダー内に供給する。
その後、挽き豆の供給が終了した時点で、制御装置20はピストン駆動モータに通電して作動させ、シリンダーユニットの全体を下端を中心として下方に回動させ、シリンダーを所定の角度に傾斜させる。その後、制御装置20は蓋部材でシリンダーの上端開口を密封する。このとき、制御装置20はシリンダーユニットの傾斜に同期して蓋部材を下降させ、シリンダー内に挿入し、ピストン駆動モータの駆動を停止する。更に、制御装置20は、ピストン駆動モータを作動させてピストンを押し上げ、シリンダー内の挽き豆を圧縮する。
そして、この状態で制御装置20は、コーヒー液抽出工程に移行し、コーヒー抽出電磁弁15を開放すると共にエスプレッソ用ポンプ12を駆動する。これにより、0.3MPaの圧力で約+94℃乃至+97℃に加熱されたエスプレッソ用湯タンク11内上部の高温の湯がエスプレッソ抽出メカ13のシリンダーに供給される。
その後、制御装置20は蓋部材で密封されたシリンダーに高温且つ加圧された湯を給湯側配管16を介して供給し、圧縮された挽き豆からコーヒー液を抽出する。このとき、シリンダー内には、高温高圧の湯が供給されるため、抽出初期からコーヒー成分を十分に溶出した濃いコーヒー液、即ち、エスプレッソコーヒーが抽出される。
そして、エスプレッソ抽出メカ13のシリンダーにて抽出されたコーヒー液は、抽出側配管25及びコーヒー抽出電磁弁26を介してコーヒー液ノズル2に排出される。ここで、コーヒー抽出電磁弁26は、制御装置20により、一定圧力、例えば0.3MPa以上にてコーヒー液の流通を許容する状態とすることにより、抽出されるコーヒー液に一定圧力(本実施例では、エスプレッソ用ポンプ12にて0.3MPaの圧力が加えられており、シリンダーにおいて膨潤した挽き豆により更に圧力が加えられることから、実際には0.4MPa以上の圧力)を加えることができるようになる。これにより、コーヒー液の液面上にきめ細かい良質な泡を生成することができると共に、濃い芳醇な味と香りのコーヒー液を得ることができ、コーヒー液の品質の向上を図ることができるようになる。
そして、カップ等にコーヒー液の抽出を行っている際に、制御装置20によりミルクフォーム用電磁ポンプ63に通電されると、ミルクフォーマー61が上述した如く作動され、抽出されたコーヒー液の上面に泡立てられたミルクが注がれることになる。
ここで、このようなエスプレッソコーヒーの製造・抽出(一杯分約150ml)によってエスプレッソ用湯タンク11の水位が低下すると、連通管57で連通された給水用湯タンク10の水位は前記低水位にまで低下する。制御装置20は水位スイッチ53で当該低水位を検出すると、給水弁48、49を開いて給水用湯タンク10に飲料水を補充する。補充された水は降下管50を経て給水用湯タンク10内下部に流入する。そして、制御装置20は所定の満水位を検出することで給水弁48、49を閉じるが、この水位上昇分の湯が連通管57を経てエスプレッソ用湯タンク11内下部に流入することになる。尚、上述した如く給水弁48、49は、制御装置20により閉じられてから所定時間、即ち15秒間は、開放が禁止されている。
この場合に給水用湯タンク10からエスプレッソ用湯タンク11に分配供給される湯は、給水用湯タンク10内上部の温度の高い湯であるので(補充される水は降下管50で給水用湯タンク10内下部に流入するため、エスプレッソコーヒー用湯タンク11には+70℃程の湯が流入する)、給水用湯タンク10からの湯の補充に起因するエスプレッソ用湯タンク11内の湯の温度低下は最小限に抑えられる。
尚、制御装置20は前述の如くエスプレッソ用湯タンク11内の湯の温度が+94℃まで低下すると電気ヒータ70に通電して昇温させるが、+97℃まで上昇させる時間も短時間で済む。これにより、適温とされる+85℃より低くなる期間をできるだけ無くし、販売ロスの発生を防止する。
(4)ドリップコーヒーの抽出
次に、ドリップコーヒーを抽出する場合には、先ず粉チャンバー42内にドリップ用の挽き豆(コーヒー原料粉末)を所定量(本実施例では8杯分)投入して散水器41下側にセットする。そして、本体6に設けられた操作ボタン5でドリップコーヒーを選択すると、制御装置20にドリップコーヒーの抽出開始入力が行われる。これにより、制御装置20はドリップ用流量計28の出力に基づきポンプ32を運転して給水用湯タンク10からドリップ用湯タンク27に8杯分の湯、本実施例では、1回のドリップ抽出に要する湯量を例えば1700mlとしているため、当該1700mlを補充する。尚、制御装置20は、給湯時における給水用湯タンク10の温度を給水用サーミスタ54にて検出し(係る場合は初期状態であるため、給水用湯タンク10の湯の温度は+70℃程である。)、給水した1700mlと共に、記憶しておくものとする。
ここで、ドリップ用湯タンク27は初期状態であるため、ドリップ用湯タンク27内の水位がサイホン29の下端すり切れとされており、図5の上段に示すように、給水用湯タンク10から補充された分の湯、ここでは1700mlがドリップ用湯タンク27内上部からサイホン29により散水器41に送出される。そして、この散水器41から粉チャンバー42に湯が散布される。
ここで、給水用湯タンク10からの湯は接続管33下端からドリップ用湯タンク27内下部に流入するので、サイホン29にはドリップ用湯タンク27内上部の+95℃程の温度の高い湯が押し出されることなる。従って、粉チャンバー42内では挽き豆が十分に蒸されて円滑なコーヒー液の抽出が行われることになる。
その後、粉チャンバー42内で抽出されたコーヒー液は下端から保温ポット43内に流下して貯溜される。この保温ポット43は1乃至数リットルの容量を有しており、また、真空二重構造とされて高い保温能力を備えているので、保温用のヒーター無しで抽出されたドリップコーヒーを所定期間適温に保温することができる。そして、ドリップコーヒーを提供する際には保温ポット43のコーヒー抽出手動弁47を開放し、保温ポット43内のドリップコーヒーをその下方に配置された保温デカンタ46内に排出して、保温デカンタ46にてカップに注ぐことになる。
前回のドリップコーヒーの抽出終了後、更に、本体6に設けられた操作ボタン5でドリップコーヒーを選択すると、制御装置20にドリップコーヒーの抽出開始入力が再び行われる。これにより、制御装置20はドリップ用流量計28の出力に基づきポンプ32を運転して給水用湯タンク10からドリップ用湯タンク27に所定量の湯を補充する。尚、この場合においても、制御装置20は、給水時における給水用湯タンク10の温度及び給湯量を記憶しておくものとする。本実施例では、かかるドリップコーヒーの抽出が、前回の抽出終了直後などに行われたため、給水用湯タンク10の湯が急激に減少したことから、外部から補充される飲料水により冷却されており、今回、給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給される湯の温度は+20℃程であるものとする。
ここで、前回、給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ給湯された湯は、上記において制御装置20に記憶しておいたように、+70℃程の1700mlの湯であった。そのため、当該+70℃の湯は、ドリップ用湯タンク27において、更に+95℃程にまで加熱されることにより、水の比容積が増加し、この場合の+70℃の1700mlの湯は、+95℃に加熱されることで約1728mlにまで増加する。尚、この増加分は、給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給された際の給水用サーミスタ54にて検出された温度における水の比容積と、散湯用湯タンク27内における湯の設定温度(本実施例では+96℃程)における水の比容積とから散湯用湯タンク27内における湯の増加量を算出するものとする。そして、この場合、増加した分の約28mlによって、ドリップ用湯タンク27の水位はサイホン29の下端よりも少許高くなっている。
そのため、制御装置20は、前回の供給した湯の更なる加熱による増加分の28mlを差し引いた量、即ち1700mlから28mlを差し引いた1672mlを給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ供給する。このとき、ドリップ用湯タンク27は、前回供給した湯が温度上昇することで、水位がサイホン29の下端よりも前記増加分だけ上昇しているため、図5の中段に示すように、前記増加分の28mlと今回の給湯量1672mlとの合計量である1700mlが、散湯用湯タンク27から散水器41へ送出される。これにより、散水器41には、所定量の1700mlが供給され、粉チャンバー42に湯が散布される。
また、この場合においても、給水用湯タンク10からの湯は接続管33下端からドリップ用湯タンク27内下部に流入するので、サイホン29にはドリップ用湯タンク27内上部の+95℃程の温度の高い湯が押し出されることなる。従って、粉チャンバー42内では挽き豆が十分に蒸されて円滑なコーヒー液の抽出が行われることになる。
更にまた、前回のドリップコーヒーの抽出終了後、本体6に設けられた操作ボタン5でドリップコーヒーを選択すると、制御装置20にドリップコーヒーの抽出開始入力が再び行われる。これにより、制御装置20はドリップ用流量計28の出力に基づきポンプ32を運転して給水用湯タンク10からドリップ用湯タンク27に所定量の湯を補充する。尚、この場合における給水用湯タンク10の湯の温度は、+60℃程であるものとする。
ここで、前回、給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ給湯された湯は、上記において制御装置20に記憶しておいたように、+20℃程の1672mlの湯であった。そのため、当該+20℃の湯は、ドリップ用湯タンク27において、更に+95℃程にまで加熱されることにより、水の比容積が増加し、この場合の+20℃の1672mlの湯は、+95℃に加熱されることで約1735mlにまで増加する。そのため、増加した分の約63mlによって、ドリップ用湯タンク27の水位はサイホン29の下端よりも高くなっている。
これにより、制御装置20は、前回の供給した湯の更なる加熱による増加分の63mlを差し引いた量、即ち1700mlから63mlを差し引いた1637mlを給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ供給する。このとき、ドリップ用湯タンク27は、前回供給した湯が温度上昇することで、水位がサイホン29の下端よりも前記増加分だけ上昇しているため、図5の下段に示すように、前記増加分の63mlと今回の給湯量1637mlとの合計量である1700mlが、散湯用湯タンク27から散水器41へ送出される。これにより、散水器41には、所定量の1700mlが供給され、粉チャンバー42に湯が散布される。
また、この場合においても、給水用湯タンク10からの湯は接続管33下端からドリップ用湯タンク27内下部に流入するので、サイホン29にはドリップ用湯タンク27内上部の+95℃程の温度の高い湯が押し出されることなる。従って、粉チャンバー42内では挽き豆が十分に蒸されて円滑なコーヒー液の抽出が行われることになる。
尚、このとき給水用湯タンク10からドリップ用湯タンク27に供給された1637mlの湯の温度は+60℃であるため、当該湯が+95℃程にまで加熱された場合には、1672mlにまで増加する。そのため、当該増加した分の約35mlによって、ドリップ用湯タンク27の水位はサイホン29の下端よりも高くなっているので、次回、ドリップコーヒーの抽出開始入力された場合には、当該増加分の35mlを差し引いた量を給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ供給することとなる。
これにより、上述したように給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給される湯量は、前回給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給された湯の温度、即ち、給湯時における給水用サーミスタ54にて検出された温度に基づき、次回の散湯用湯タンク27への給湯量を補正することで、散湯用湯タンク27から散水器41に送出される湯量を一定とすることができる。尚、本実施例では、給水用湯タンク10から供給される湯の温度は、+70℃程、又は+20℃程、+60℃程としているが、これ以外の温度であっても同様に当該温度に対する水の比容積に基づき、上述と同様に補正を行うことができる。
これにより、前回の給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給される湯の温度に影響されることなく、次回抽出されるコーヒー液の濃度を一定に維持することができ、毎回、高品質のコーヒー液を提供することができる。
特に、次回給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給される湯の量の補正は、上述したように、前回給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27に供給された湯の温度、即ち、給湯時における給水用サーミスタ54にて検出された温度に対する水の比容積と、散湯用湯タンク27内における湯の設定温度、即ち、本実施例では+95℃における水の比容積とから散湯用湯タンク27内における湯の増加量を算出し、当該増量分を差し引いて行うため、増加する湯量を的確に算出した上で、次回の給湯用湯タンク10から散湯用湯タンク27への給湯量を決定することができるようになる。
これにより、確実に、散湯用湯タンク27から散水器41に供給される湯量を所定量に精度良く制御することができるようになり、抽出されるコーヒー液の濃度を一定とすることができるようになる。そのため、抽出毎に生じる質のバラツキを是正することが可能となり、均一な質のコーヒー飲料を毎回提供することができるようになる。
また、本実施例では、給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ供給される湯量は、制御装置20は、ドリップ用流量計28の出力に基づき、制御されるため、従来の如く給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27へ送出するポンプ32の運転時間から給湯量を制御していた場合に比して、直接、連通管31に設けられたドリップ用流量計28により、給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27への給湯量を検出し、当該検出された給湯量に基づき上述した如き給湯量を制御することで、より精密に給水用湯タンク10から散湯用湯タンク27への給湯量を制御することが可能となる。これにより、散湯用湯タンク27から散水器41への給湯量も精密に制御されることとなり、より一層、確実に抽出されるコーヒー液の濃度を一定とすることができるようになる。
尚、本実施例によれば、上記各ドリップコーヒーの製造・抽出によって給水用湯タンク10からは上述したようにその分の湯が補充される。このとき、制御装置20は前述の如くドリップ用湯タンク27内の湯の温度が+85℃まで低下した時点で散湯用電気ヒータ34に通電して昇温させることになる。この場合に給水用湯タンク10からドリップ用湯タンク27に供給される湯は、当該給水用湯タンク10内に、ある程度の湯が貯溜され、+70℃程に加熱保温されている場合には、給水用湯タンク10内上部の温度の高い湯であるので(前述した如く補充される水は降下管50で給水用湯タンク10内下部に流入するため、ドリップコーヒー用湯タンク27には+70℃程の湯が流入する)、+93℃まで上昇させる時間も短時間で済み、迅速に適温に回復させることができる。これにより、適温とされる+85℃より低くなる期間をできるだけ無くし、販売ロスの発生を防止する。
また、このとき、給水用湯タンク10の湯が散湯用湯タンク27に供給されることで、給水用湯タンク10の水位が低下することとなるため、制御装置20は、水位スイッチ53が所定の低水位を検出することから、給水弁48、49を開き、満水位となるまで給水を行う。ここで、制御装置20は上述したように、満水位となってから所定時間、本実施例では15秒間経過するまで、再び給水弁48、49が開放されることを禁止する。
そのため、本実施例の如く、低水位が満水位からエスプレッソコーヒー一杯分、例えば150mlだけ下がった位置に設定されている場合であっても、上述した如きドリップコーヒーの一回に必要とされる抽出量だけ給水用タンク10から排水が行われた際に、水位スイッチ53が頻繁に切り替わり、これに基づき給水弁48、49が頻繁に作動することを回避することができるようになる。これにより、水位スイッチ53及び給水弁48、49の保護を行うことができ、これらスイッチ及び弁の長寿命化を図ることができるようになる。
尚、実施例ではドリップコーヒーとエスプレッソコーヒーを例にあげて説明したが、散湯式コーヒーや加圧抽出式コーヒーはこれらに限定されるものでは無く、各抽出方式の如何なる名称のコーヒーも含むものとする。