JP2006136221A - 胞子形成遺伝子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バチルス属細菌において、胞子形成関連遺伝子を解明し、胞子関連遺伝子の削除、不活性化あるいは強化することで、工業的生産に有利な宿主菌を提供する。
【解決手段】 以下の(a)または(b)のいずれかのポリヌクレオチドからなる遺伝子を提供する。 (a)SigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価であるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。 (b)上記該ポリヌクレオチドと80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、且つそれぞれ該ポリヌクレオチドと機能的に等価であるポリヌクレオチド。
【選択図】 なし

Description

本発明は胞子形成関連遺伝子およびこれを改変させた微生物を用いたタンパク質等の生産方法に関する。
微生物による有用物質の工業的生産は、アルコール飲料や味噌、醤油等の食品類をはじめとし、アミノ酸、有機酸、核酸関連物質、抗生物質、糖質、脂質、タンパク質等、その種類は多岐に渡っており、またその用途についても食品、医薬や、洗剤、化粧品等の日用品、或いは各種化成品原料に至るまで幅広い分野に広がっている。
こうした微生物による有用物質の工業生産においては、その生産性の向上が重要な課題の一つであり、その手法として、突然変異等の遺伝学的手法による生産菌の育種が挙げられる(特許文献1)。最近では、遺伝子組換え技術を用いたより効率的な生産が行われるようになっており、さらに高生産させるための宿主微生物の開発が進められている。また、一部の微生物においては染色体の全塩基配列の決定がなされ、その情報をもとに菌株の改良が成されている。
バチルス属細菌は有用物質の工業生産用の宿主として好適に用いられている。しかし、バチルス属細菌は胞子を形成するために、バチルス属細菌を遺伝子組換えの宿主菌とした有用物質の生産では、培養終了後に高濃度の殺菌剤、高温条件、高アルカリ性条件下などの組み合わせによる滅菌処理を要し、また、宿主菌の系外への漏洩阻止の為に多段階の防止設備が必要とされる。そのため、胞子形成関連遺伝子を解明し、胞子形成能をもたないバチルス属細菌の取得が重要な課題となっており、これまでに、一部のバチルス属細菌においては、胞子を形成することができない宿主菌株を用いるタンパク質の生産(特許文献2)、胞子形成にかかわるsigG遺伝子の一部を欠損させた枯草菌による非胞子生産(特許文献3)などが報告されている。また、バチルス属細菌は胞子形成することが知られており、胞子は通常の細胞に比べて安定であることから、この胞子形成と通常用いられている保存条件との組み合わせで、より確実な菌株保存が期待される。しかし、胞子形成能が低い菌株においては、組み合わせ効果は期待できず、より確実に保存できる微生物が求められている。
しかしながら、その他の多くのバチルス属細菌は、そのゲノム配列が解明されておらず、上記のような胞子形成関連遺伝子に対応する遺伝子の存在は確認されていなかった。さらにまた、既知の当該胞子形成関連遺伝子間の保存性に幅があることから、その他の菌において対応する遺伝子配列を予測することも困難であった。
特表平11−509096号公報 国際公開第03/040352号パンフレット 特許第3490435号公報
本発明は、ゲノム配列が解明されていないバチルス属細菌において、未知の胞子形成関連遺伝子を見出し、そして、その遺伝子を削除、不活性化あるいは強化等した組換え微生物を作製し、工業的生産または保存に有利な宿主菌を提供することを目的とする。
本発明者らは、各種胞子形成関連タンパク質の配列情報をもとにプライマーをデザインし、ゲノム配列が未知のバチルス属細菌より胞子形成関連タンパク質であるSigEおよびSigGをコードする新規遺伝子をクローニングすることに成功した。そして、当該遺伝子の機能を欠損させた微生物が胞子形成能に欠損を有するため容易に滅菌でき、タンパク質生産のための宿主として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(a)または(b)のいずれかのポリヌクレオチドからなる遺伝子を提供するものである。
(a)配列番号1または2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)配列番号1または2で示される塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、且つそれぞれSigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価であるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
また、本発明は、以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチドを提供するものである。
(a)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つそれぞれSigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価であるポリペプチド。
(c)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つそれぞれSigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価であるポリペプチド。
さらにまた、本発明は、上記ポリヌクレオチドを含む遺伝子が改変された微生物を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記遺伝子の機能が欠損した微生物を提供するものである。
さらにまた、本発明は、上記の微生物を用いることを特徴とするタンパク質またはポリペプチドの生産方法を提供するものである。
本発明の遺伝子を削除した組換え微生物を用いれば、胞子が形成されないことから、目的のタンパク質を生産した後に、容易に滅菌できる宿主菌が提供される。また、本発明の遺伝子を強化した組み換え微生物を用いることにより、保存安定性に優れた宿主菌が提供できる。
本発明の配列番号1または2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、実施例1〜3に示すように、各種胞子形成関連タンパク質の配列情報をもとに縮重プライマーをデザインし、配列が未知のバチルス属細菌よりクローニングされたものである。当該ポリヌクレオチドは、配列が公知のバチルス属細菌との相同性比較から、配列番号1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドはsigE遺伝子であり、配列番号2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドはsigG遺伝子であり、それぞれ、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるSigEポリペプチド、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるSigGポリペプチドをコードするものである。
sigE遺伝子およびsigG遺伝子は、RNAポリメラーゼのサブユニットの一員であるシグマ因子をコードする遺伝子であることが知られている。RNAポリメラーゼはシグマ因子が置き換わることで、その認識する配列を変化させることが知られている。
本発明の遺伝子は、上記のa)配列番号1または2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであるのが好ましいが、(b)配列番号1または2で示される塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、且つそれぞれSigEまたはSigGタンパク質と機能的に等価であるタンパク質をコードするポリヌクレオチドもまた、a)と実質的に同一のポリヌクレオチドと考えられ、本発明の遺伝子に包含される(以下、これらを「sigE遺伝子」、「sigG遺伝子」という)。
ここで、80%以上の同一性うち、90%以上の同一性が好ましく、95%以上の同一性がより好ましく、98%以上の同一性がさらに好ましい。
塩基配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to complete(ktup)を2として解析を行うことにより計算される。
上記および本明細書の以下において「SigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価である」とは、SigEタンパク質またはSigGタンパク質と実質的に類似する活性を示すことをいう。SigEタンパク質またはSigGタンパク質が有する活性としては、例えば、RNAポリメラーゼのサブユニットの一つとしての機能が挙げられ、また、適当な方法を用いれば、配列番号1で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドからなる遺伝子が削除されたバチルス属細菌の胞子形成能における欠損を、抑圧することができる機能などが挙げられる。ここで、適当な方法としては、当該ポリペプチドを適当な発現ベクターを用いて、当該細菌内に適量発現させる方法が挙げられる。上記の実質的に類似とは、SigEタンパク質またはSigGタンパク質が有する機能の大部分を保持していることを意味し、必ずしも全ての機能を保持することを意味しない。
なお、このポリペプチドをコードする遺伝子には、その両端に遺伝子調節配列などが付加されることが可能である。ここで、遺伝子調節配列としては、例えば、プロモーター配列、ターミネーター配列、アクチベーター配列、リプレッサー配列等が挙げられる。
上述のような本発明の遺伝子は、それぞれ化学合成によって、または標準的なクローニングおよびスクリーニングにより得ることができ、例えば、クローニングされたDNAライブラリーを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてDNAライブラリーに対してハイブリダイズさせることによって、取得することもできる。ここで、PCR法に用いるプライマーの設計としては、例えば、枯草菌、バチルス ハロデュランス、クロストリジウムパーフリンゲンス、クロストリジウム アセトブチリカム等のsigEまたはsigGの相同性領域からミックスプライマーを構築することにより行うことができる。DNAライブラリー等が由来する生物は、限定されるものではないが、バチルス属細菌であることが好ましく、バチルス属細菌としては、バチルス エスピー KSM-KP43(FERM BP-6532)、バチルス エスピー KSM-KP1086(FERM P-15864)、バチルス エスピーKSM-KP1790(FERM BP-6533)、バチルス エスピー KSM-KP9860 (FERM BP-6534) 、 バチルス エスピー KSM-9865 (FERM P-18566)株が最も好ましい。
配列番号1または2に示される塩基配列からなるDNAは、例えば、バチルス エスピー KSM−9865(FERM P-18566)から抽出したDNAを鋳型として、配列番号22および24または25および26に示される塩基配列からなるセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを用いたPCRによって目的のDNA断片を増幅することにより、各々取得することができる。また、配列番号13および12に示される塩基配列からなるセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーを用いたPCRによって目的のDNA断片を増幅することにより、配列番号1及び2に記載のDNAを一度に取得することもできる。
本発明のポリペプチドは、a)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであるのが好ましいが、b)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つそれぞれ配列番号3または4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと機能的に等価なポリペプチドもまた本発明のポリペプチドに包含される。
ここで、配列番号3または4に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列とは、配列番号3または4のアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、1若しくは数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、依然として配列番号3または4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと機能的に等価である配列をいい、付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。
なお、当該等価のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、自然界から取得すること以外にも部位特異的突然変異誘発法等の公知の手法を利用して調製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット[Mutan-super Express Km キット(タカラ)]等を用いて変異を導入し調製することができる。
また、本発明においては、c)配列番号3または4に示すアミノ酸配列において、相当する配列を適切にアライメントした時、95%以上の同一性を有するポリペプチドであって、且つそれぞれ配列番号3または4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと機能的に等価であるポリペプチドを包含するものである。ここで、当該同一性は、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上であることが望ましい。
ここにおいて、アミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法(Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to complete(ktup)を2として解析を行うことにより計算される。
本発明のポリペプチドは、その機能を失わない限り、「成熟」タンパク質の形であっても、融合タンパク質のような、より大きいタンパク質の一部であってもよい。また、その機能を失わない限り、当該ポリペプチドには追加のアミノ酸配列の付加が可能であり、このようなアミノ酸配列としては、分泌すなわちリーダー配列、プロ配列、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、または組換え生産の際の安定性を確保する付加的配列などがある。
本発明のポリペプチドは任意の適当な方法で製造することができ、たとえば、天然に存在するポリペプチドを単離する方法、組換え的な生産方法、合成的な製造方法、またはこれらの方法の組合せた方法により製造することができる。
本発明の(a)または(b)で示されるポリヌクレオチドを含む遺伝子が改変された微生物を作製することにより、胞子形成能が改変された微生物を提供することができる。ここで、(a)または(b)で示されるポリヌクレオチドを含む遺伝子とは、(a)または(b)で示されるポリヌクレオチド、および遺伝子調節機能を発揮しうるポリヌクレオチドからなる遺伝子をいい、具体的には、sigE遺伝子領域及びsigE遺伝子のプロモーター領域からなる遺伝子や、sigG遺伝子領域、sigG遺伝子のプロモーター領域及びsigG遺伝子のターミネーター領域からなる遺伝子が挙げられる。sigE遺伝子のプロモーター領域としては、例えば、その上流の遺伝子であるspoIIGAのプロモーターを用いることができる。また、遺伝子が改変された微生物とは、遺伝子の一部または全部を利用し加工することで、本来のものとは異なることとなった微生物をいう。ここで、本来のものと異なることとは、適当な対照と比較して、好ましくは加工前の微生物と比較して異なることをいい、異なることとしては、例えば、有しているDNAの配列が異なること、胞子形成能に欠損があること、胞子の保存安定性が優れていることなどが挙げられるが、滅菌容易化の観点からは、胞子形成能に欠損があることが好ましい。
ここで、遺伝子を利用し加工することは、例えば、(1)遺伝子に計画的にまたはランダムに変異を導入すること、または(2)遺伝子由来の断片を導入することにより行うことができる。
(1)遺伝子への変異の導入としては、例えば、1または複数個の塩基を削除、置換、若しくは挿入すること、遺伝子領域の全部を削除すること、遺伝子の一部領域を削除することが挙げられる。ここで、1または複数個の塩基を削除、置換、若しくは挿入としては、例えば、1または数個の塩基の置換および/または削除によりコドンの読み枠をずらすこと、遺伝子の一部領域への任意の配列の導入によりコドンの読み枠をずらすことが挙げられる。また上記の削除する一部領域としては、遺伝子の機能が欠損した微生物を作製する観点からは、ORF領域の全部または一部、プロモーター領域の全部または一部が好ましく、ORF領域の全部がさらに好ましい。なお、ランダムに変異を導入した場合、遺伝子の機能の適当な方法による確認を合わせて行うことが好ましい。
(2)上記の遺伝子由来の断片とは、当該遺伝子をもとに作製されうる断片をいい、例えば、遺伝子全長を含む断片、遺伝子の一部を含む断片、および遺伝子に変異を導入した断片が挙げられる。ここで、断片には、プロモーター等の配列を含めることが可能であり、プロモーターとしては、sigE遺伝子またはsigG遺伝子のプロモーター、またはその他の公知のプロモーターが挙げられる。また上記の変異としては、天然に存在するアレル変異、天然に存在しない変異、または、改変(欠失、置換、付加および挿入)のなされた変異が挙げられ、具体的には、実質的に遺伝子の機能を抑制する変異、および遺伝子の機能を強化する変異が挙げられるが、遺伝子の機能を欠損させ、滅菌が容易な微生物を提供する観点からは、抑制する変異が好ましい。
また、上記の当該遺伝子をもとに作製されうる断片とは、当該遺伝子の塩基配列を参酌することにより公知の方法により作製することが可能な断片をいうが、計画的に作製された断片に限定されず、意図せずに取得された断片であってもよい。ここでの断片としては、例えば、sigG遺伝子を含む断片、またはsigG遺伝子のプロモーターを含む断片が挙げられる。sigG遺伝子のプロモーターは、胞子形成期に機能しうるプロモーターであるため、例えば、生産目的のタンパク質をコードする他の遺伝子の本来のプロモーターと置換して用いることにより、当該タンパク質の生産時期を調節することができる。
また、遺伝子断片の導入としては、例えば、相同組換えにより宿主の染色体上の本来の位置とは異なる位置への導入すること、またはプラスミドへの導入したのち、当該プラスミドを公知の形質転換法により宿主に保持させることが挙げられる。
上記変異の導入または断片の導入は、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の塩基配列、またはそれらに隣接する領域の塩基配列を参酌することにより、例えば、PCR法、制限酵素を用いた方法、変異原を用いる方法、相同組換えを利用した方法等の公知の遺伝子工学的手法を用いて行うことができる。
たとえば、sigEまたはsigG遺伝子を削除または不活性化した微生物の作製は、相同組換えによる方法を用いて行うことができる。すなわち、当該遺伝子の一部を含むDNA断片を適当なプラスミドベクターにクローニングして得られる環状の組換えプラスミドを親微生物細胞内に取り込ませ、標的遺伝子の一部領域に於ける相同組換えによって親微生物ゲノム上の標的遺伝子を分断して不活性化することにより行うことができる。或いは、塩基置換や塩基挿入等による不活性化変異を導入した当該遺伝子、または当該遺伝子の外側領域を含むが当該遺伝子は含まない直鎖状のDNA断片等をPCR等の方法によって構築し、これを親微生物細胞内に取り込ませて親微生物ゲノムの当該遺伝子外側の2ヶ所の領域で2回交差の相同組換えを起こさせることにより、ゲノム上の標的遺伝子を削除或いは不活性化した遺伝子断片と置換することにより行うことができる。
また、機能を獲得したsigEまたはsigG遺伝子を有する微生物の作製は、相同組換えによる方法を用いて行うことができる。すなわち、公知の強力なプロモーターの両端にsigG遺伝子のプロモーターの一部を付加して作製したDNA断片を宿主微生物にとりこませると、sigG遺伝子プロモーターにおける相同組換えがおこる。これにより、宿主微生物のsigGプロモーターを強力なプロモーターに置換させることができる。そして、これによりsigG遺伝子の発現量が多い微生物を得ることができる。
またsigG遺伝子のコピー数の多い微生物の作製は、相同組換えによって、標的遺伝子の一部領域と、sigG遺伝子とを置換することにより作製することができる。すなわち、sigG遺伝子の全長の両端に標的遺伝子としてのその他の遺伝子における配列の一部を付加した断片を含むプラスミドを作製し、これを宿主微生物内に取り込ませ、宿主内の標的遺伝子の一部領域において相同組換えを起こさせることによって、標的遺伝子の一部とsigG遺伝子が置換された宿主を作製することができる。
また、sigG遺伝子の機能が強化された微生物の作製は、相同組換えを用いた方法により行うことができる。すなわち、宿主にとって有利な機能を新たに獲得したsigG遺伝子を含むDNA断片を宿主に導入し、相同組換えにより標的遺伝子と置換させることにより、sigG遺伝子の機能が強化された微生物を作製することができる。宿主にとって有利な機能を新たに獲得したsigG遺伝子を含むDNA断片の取得は、公知の方法によりランダムに変異を導入したsigG遺伝子を多種類含む集団の中から、機能を獲得したものを得る適当なスクリーニングをすることにより行うことができる。
上記方法により遺伝子が改変された微生物としては、例えば、(A)sigE遺伝子またはsigG遺伝子の機能が欠損した微生物、(B)sigE遺伝子またはsigG遺伝子の機能が強化された微生物が挙げられるが、滅菌容易性の観点からは、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の機能が欠損した微生物が好ましく、sigG遺伝子の機能が欠損した微生物がより好ましく、保存安定性の観点からは、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の機能が強化された微生物が好ましく、sigG遺伝子の機能が強化された微生物がより好ましい。
(A)ここで、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の機能が欠損した微生物には、例えば、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の発現産物の発現量が低下している微生物、sigE遺伝子またはsigG遺伝子が発現しない微生物、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の発現産物の発現が検出されない微生物、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の発現産物であるmRNAの安定性が低下している微生物、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の発現産物であるタンパク質が野生型タンパク質を有する活性の全部または一部を欠損している微生物、トランケート型のSigEタンパク質またはSigGタンパク質のみを発現する微生物などが挙げられるが、滅菌容易性の観点からは、sigE遺伝子またはsigG遺伝子が発現しない微生物、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の発現産物の発現が検出されない微生物、またはsigG遺伝子が全長にわたって削除された微生物が好ましく、sigG遺伝子のORFの全長が削除された微生物がより好ましい。また、sigG遺伝子のORFの全長が削除された微生物の由来の株としては、バチルス エスピー KSM-9865株が好ましい。
なお、遺伝子の機能が欠損した微生物の作製は、前述のように公知の工学的な手法を用いて、遺伝子を改変することにより行うことができるのみならず、自然界にある微生物から公知の方法により単離することにより行うこともできる。ここで単離は、例えば、自然界に存在する微生物から、適当なスクリーニング方法により胞子形成能に欠損を有する微生物を獲得し、その微生物における当該遺伝子配列などを調べる、または公知の遺伝学的手法を用いて検討する等の方法により、胞子形成能の欠損がsigEまたはsigG遺伝子の欠損に起因することを確かめることによって行うことができる。
(B)遺伝子の機能が強化された微生物としては、例えば、当該遺伝子の発現量が増大している微生物、当該遺伝子の発現産物であるタンパク質が野生型タンパク質の有しない活性を有する微生物が挙げられるが、微生物の保存安定性の観点からであれば、対照となる微生物に比較して、sigE遺伝子またはsigG遺伝子の発現産物であるタンパク質またはmRNAの発現量が増加している微生物が好ましく、sigE遺伝子を2つ有する微生物、またはsigG遺伝子を2つ有する微生物がより好ましい。
また、上記方法により遺伝子が改変された微生物としては、例えば、対照となる微生物に比較して、胞子形成能に欠損がある微生物、胞子の安定性が優れた微生物が挙げられるが、滅菌容易性の観点からは、対照となる微生物に比較して、胞子形成能に欠損がある微生物が好ましい。胞子形成能における欠損がある微生物としては、胞子形成効率における異常がある微生物、胞子生存率における異常がある微生物が挙げられるが、滅菌容易性の観点からは、胞子形成効率における低下がある微生物が好ましく、胞子を全く形成しない微生物がより好ましい。
また、上記方法により遺伝子が改変された微生物としては、復帰変異等が起こらないため、sigG遺伝子の全長が除去された微生物が好ましく、sigG遺伝子の全長が除去された微生物の由来の株としては、バチルス エスピー KSM-9865株が好ましい。
本発明の微生物としては、あらゆる微生物由来のものを含むが、バチルス属細菌由来のものが好ましい。ここで、バチルス属細菌としては、バチルス エスピー KSM-KP43(FERM BP-6532)、バチルス エスピー KSM-KP1086(FERM P-15864)、バチルス エスピー KSM-KP1790(FERM BP-6533)、バチルス エスピー KSM-KP9860 (FERM BP-6534) 、またはバチルス エスピー KSM-9865 (FERM P-18566)株が好ましい。
sigEまたはsigG遺伝子の機能に欠損を有し胞子形成能に欠損がある微生物は、胞子の失活のために必要であった高濃度の殺菌剤、恒温条件、高アルカリ性条件などの厳しい滅菌処理条件を緩和した条件下で、滅菌処理を行うことができる。また、sigG遺伝子のORFの全長が削除された微生物は、復帰変異等が起こらないためさらに有利である。
したがって、当該微生物を用いることによりタンパク質、またはポリペプチドを効率よく生産することができる。当該タンパク質等の生産は、本発明の微生物を公知の方法により培養し、培養物から公知の方法によりタンパク質等を抽出することにより行うことができる。ここで、当該微生物には、目的物を発現させるためのDNA、好ましくは目的物を発現させるためのプラスミドDNAを有していることが好ましい。また、生産する目的物としては、バチルス属細菌由来のものに限定されず、あらゆる生物由来のものでかまわないが、プロテアーゼであることが好ましい。プロテアーゼとしては、例えば、特開2004−154006号公報記載のプロテアーゼが挙げられる。特開2004−154006号公報記載のプロテアーゼとしては、例えば、配列番号33〜36で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドからなる遺伝子によってコードされるアルカリプロテアーゼタンパク質や、これらと等価なタンパク質が挙げられるが、配列番号33で示される塩基配列からなるポリヌクレオチドからなる遺伝子によってコードされるバチルス エスピー KP−43(FERM BP−6532)由来のアルカリプロテアーゼが好ましい。ここで、等価なタンパク質としては、例えば、配列番号33〜36、好ましくは配列番号33で示される塩基配列と90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有し、かつアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列や、配列番号33〜36、好ましくは配列番号33で示される塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加され、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドからなる遺伝子によってコードされるタンパク質が挙げられる。
実施例1 胞子形成関連タンパク質中の高度保存領域の探索
インターネット(www.genome.ad.jp/kegg/)上で公開されているBacillus haloduransB. subtilisClostridium perfringensC. acetobutylicum由来のSigEおよびSigGアミノ酸配列を、GENETYX−WIN(ソフトウエア開発、ver5)を用いて相同性検索を行った。見出された相同性領域を基にプライマー1(配列番号5)、プライマー2(配列番号6)、プライマー3(配列番号7)、プライマー4(配列番号8)をデザインした。
実施例2 バチルス属における胞子形成関連遺伝子の探索および塩基配列の決定
バチルス エスピー KSM−9865(FERM P-18566)からGenトルくん(タカラバイオ)を用いて抽出したDNAを鋳型とし、プライマー3とプライマー4を用いて、ゲノム上のsigG遺伝子内部の約0.6kb断片をPCRにより増幅させた。PCRはTaKaRa LA Taq(タカラバイオ)を用いて行い、反応は、94℃で1分間鋳型DNAを変性させた後、94℃1分間、55℃30秒間、72℃1分間を1サイクルとして30サイクル行い、更に72℃2分間保温した。増幅したDNA断片のシーケンスをプライマー3とプライマー4を用いて行い、本菌株のsigG遺伝子部分配列情報を取得した。得られた配列を基にプライマーを構築し、インバースPCRによりsigG遺伝子を含む配列777bpを決定した。次に上記と同様にバチルス エスピー KSM−9865株の染色体DNAを鋳型とし、プライマー1とプライマー2を用いて、ゲノム上のsigE遺伝子内部の約0.4kb断片をPCRにより増幅させた。増幅したDNA断片のシーケンスをプライマー1とプライマー2を用いて行い、本菌株のsigE遺伝子部分配列情報を取得した。得られた配列を基にプライマーを構築し、インバースPCRによりsigE遺伝子を含む配列717bpを決定した。さらにバチルス エスピー KSM−9865株の染色体DNAを鋳型とし、インバースPCRを行い、sigG遺伝子およびsigE遺伝子近傍の遺伝子情報を取得した。その結果、sigG遺伝子およびsigE両遺伝子を含む配列約6kbを決定した。
実施例3 胞子形成関連遺伝子削除株作製に用いるDNA断片の単離
実施例1で決定した塩基配列を基に、sigG遺伝子約1.1kb上流配列、約1.1kb下流配列からプライマー5(配列番号9)およびプライマー8(配列番号12)を、sigG遺伝子上流と下流を直接繋げるようにプライマー6(配列番号10)およびプライマー7(配列番号11)をデザインした。KSM−9865株から抽出したDNAを鋳型とし、プライマー5とプライマー6およびプライマー7とプライマー8の組み合わせにより、sigG遺伝子上流および下流領域各々約1.1kb断片を増幅させた。増幅した上流および下流のDNA断片の精製を行い、両断片を用いたSOE−PCRを行い、更に引き続きプライマー5とプライマー8を添加したPCRを行い、ゲノム上のsigG遺伝子上下流を結合させた約2.2kb断片を取得した。また、sigE遺伝子約1.1kb上流配列、約1.1kb下流配列からプライマー9(配列番号13)およびプライマー12(配列番号16)を、sigE遺伝子上流と下流を直接繋げるようにプライマー10(配列番号14)およびプライマー11(配列番号15)をデザインし、sigE遺伝子上流および下流領域各々約1.1kb断片を増幅させた。増幅した上流および下流のDNA断片の精製を行い、両断片を用いたSOE−PCRを行い、更に引き続きプライマー9とプライマー12を添加したPCRを行い、ゲノ上のsigG遺伝子上下流を結合させた約2.2kb断片を取得した。
さらにsigE遺伝子上流とsigG遺伝子下流を直接繋げるようにプライマー13(配列番号17)およびプライマー14(配列番号18)をデザインし、sigE遺伝子上流およびsigG遺伝子下流領域各々約1.1kb断片を増幅させた。増幅した上流および下流のDNA断片の精製を行い、両断片を用いたSOE−PCRを行い、更に引き続きプライマー8とプライマー9を添加したPCRを行い、ゲノ上のsigE遺伝子上流とsigG遺伝子下流を結合させた約2.2kb断片を取得した。
実施例4 胞子形成関連遺伝子削除株作製にもちいるプラスミドの作製
プラスミドpE194(J. Bacteriol. 150, 804-814, 1982)を鋳型にプライマー15(配列番号19)とプライマー16(配列番号20)を用いてPCRを行い、pE194を増幅させた。PCRは実施例1と同様に行ったが、72℃伸長反応を1分間から3分間に変更した。増幅させたpE194および実施例2で取得した2.2kbPCR断片を各々制限酵素SpeIおよびXhoI処理後、結合反応を行った。得られた反応溶液をエタノール沈殿し、5μLの滅菌脱イオン水に溶解し、形質転換用のDNAとした。形質転換法はエレクトロポレーション法により行い、SSH−10(島津製作所)およびジーンパルサーキュベット(バイオラッド)を用いて行った。
溶解した反応液を用いて、バチルス エスピー KSM-9865株を形質転換し、エリスロマイシン耐性菌からsigG遺伝子上流および下流2.2kbを導入したプラスミドpE194−ΔG、sigE遺伝子上流および下流2.2kbを導入したプラスミドpE194−ΔE、およびsigE遺伝子上流およびsigG遺伝子下流2.2kbを導入したプラスミドpE194−ΔEGを取得した(図1)。
実施例5 胞子形成関連遺伝子削除株の取得
エレクトロポレーション法を用いて、プラスミドpE194−ΔGをバチルス エスピー KSM-9865株に導入した。形質転換体をエリスロマイシン含有(5μg/mL)LB液体培地に植菌し、42℃で数回植えついた後に、エリスロマイシン含有(10μg/mL)LB寒天培地に塗沫した。生育してきた菌から染色体にpE194−ΔGが組み込まれた株を選抜し、LB液体培地に植菌し、42℃で数回植えついた後にLB寒天培地に塗沫した。染色体からプラスミドと同時にsigG遺伝子が削除された株を選抜した。同様にプラスミドpE194−ΔEおよびプラスミドpE194−ΔEGをバチルス エスピーKSM-9865株変異育種株に導入sigE遺伝子およびsigEG遺伝子が削除された株を選抜した。ここにおいて、sigEG遺伝子が削除された株とは、sigE遺伝子およびsigG遺伝子が同時に削除された株をいう(以下も同じ)。
実施例6 胞子形成関連遺伝子強化株の取得
sigG遺伝子またはsigE遺伝子近傍の遺伝子情報を用いて、sigG遺伝子またはsigE遺伝子導入用プラスミドを作製した。即ち、sigG遺伝子導入用プラスミドの構築は、先ずプライマー21(配列番号25)、プライマー22(配列番号26)を用い、プロモーター領域を含むsigG遺伝子1.0kbを、プライマー23(配列番号27)、プライマー27(配列番号31)およびプライマー28(配列番号32)、プライマー26(配列番号30)を用い、導入標的遺伝子箇所(この場合は、バチルス エスピー KSM−9865株の生産する高分子アルカリプロテアーゼ遺伝子を利用)の上流1.1kbおよび下流1.1kbとを増幅後、SOE−PCRにより導入標的遺伝子上下流領域間にsigG遺伝子を結合した断片3.2kbを取得した。一方、sigE遺伝子導入用プラスミドの構築は、先ずプライマー17(配列番号21)、プライマー19(配列番号23)を用いプロモーター領域を、プライマー18(配列番号22)、プライマー20(配列番号24)を用いsigE領域を増幅後、SOE−PCRにより1.0bpの増幅断片を取得した。プライマー23(配列番号27)、プライマー24(配列番号28)およびプライマー25(配列番号29)、プライマー26(配列番号30)を用い、増幅させた導入標的遺伝子箇所の上流1.1kbおよび下流1.1kbと、プロモーター領域を含むsigE遺伝子1.0kb増幅断片とを用いて、SOE−PCRを行い、導入標的遺伝子上下流領域間にsigE遺伝子を結合した断片3.2kbを取得した。
プラスミドpE194を鋳型にPCRを行い増幅した約3kbのDNA断片と、SOE−PCRにより増幅した3.2kbDNA断片を、実施例3同様に制限酵素SpeIおよびXhoI処理、結合反応および形質転換を行い、sigG遺伝子遺伝子またはsigE遺伝子強化用プラスミドを構築した。次いでエリスロマイシンで液体培養を行い、エリスロマイシンを含む寒天培地上に生育するコロニーを分離し、プラスミドが染色体上の標的遺伝子上流または下流に挿入された株を、ゲノムを鋳型としたPCR法によって選抜した。挿入が認められた株を液体培養し、寒天培地上に塗沫、エリスロマイシン感受性株からプラスミドが除去され、標的遺伝子にsigG遺伝子またはsigE遺伝子が導入された株を選抜し、当該遺伝子強化株を取得することができた。
実施例7 胞子形成能確認試験
本発明にて得られたsigG遺伝子削除株、および対照としてその元株をSchaeffer培地に画線し、30℃、2週間保温後、グラム染色し、検鏡にて胞子形成の有無を確認した。元株では胞子形成が確認されたが、sigG遺伝子削除株では胞子形成が確認されなかった(表1)。
実施例8 耐熱性試験
また、得られた培養液を集菌し、生菌数を1×1010CFU/mLになるように調製した。この菌液を60℃にて保温し、30分間保温後の菌液を適宜希釈後LB寒天培地に塗沫した。sigG遺伝子削除株での生菌は確認されなかったが、元株では30分処理後においても生菌が確認された(表2)。
実施例9 プロテアーゼ産生
バチルス エスピー KSM-9865株のsigG遺伝子削除株、sigE遺伝子削除株、sigEG遺伝子削除株、および対照としてKSM-9865株に、プラスミドpASP64(特許第3492935)高発現領域下流SD配列と一致させるように配列番号33記載のバチルス エスピー KSM-KP43株由来のプロテアーゼ遺伝子を結合したプラスミド(図2)をエレクトロポレーション法にて導入した。得られた形質転換体を、試験管中の5mL種母培地[ポリペプトンS(日本製薬)6.0%(w/v)、酵母エキス0.1%、マルトース1.0%、硫酸マグネシウム7水和物0.02%、りん酸2水素カリウム0.1%、無水炭酸ナトリウム0.3%テトラサイクリン30ppm]に植菌し、30℃、320rpmで一晩前培養した。この種母培養液を500mL容坂口フラスコ中の20mL主培地[ポリペプトンS8.0%(w/v)、酵母エキス0.3%、マルトース10%、硫酸マグネシウム7水和物0.04%、りん酸2水素カリウム0.2%、無水炭酸ナトリウム1.5%テトラサイクリン30ppm]に1%植菌(v/v)し、30℃、121rpmで3日間振盪培養した。得られた培養液を遠心分離し、培養上清中のプロテアーゼ活性を測定した。プロテアーゼ活性はカゼインを基質とした活性測定法により、タンパク質量はプロテインアッセイキット(和光純薬)を用いて測定した。
プロテアーゼ遺伝子を含むプラスミド導入したsigG遺伝子削除株、sigE遺伝子削除株、sigEG遺伝子削除株を宿主とした培養と元株を宿主とした培養上清のプロテアーゼ生産性を比較した(表3)。培養上清中のプロテアーゼ生産性には活性、タンパク質量ともに差は認められなかったことから、sigG遺伝子削除株、sigE遺伝子削除株、sigEG遺伝子削除株においてもプロテアーゼが良好に生産されることが確認された。
sigG遺伝子および/またはsigE遺伝子除去用プラスミドを模式的に示したものである。
プロテアーゼ生産用プラスミドを模式的に示したものである。

Claims (10)

  1. 以下の(a)または(b)のいずれかのポリヌクレオチドからなる遺伝子。
    (a)配列番号1または2で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (b)配列番号1または2で示される塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、且つそれぞれSigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価であるタンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  2. 以下の(a)〜(c)のいずれかのポリペプチド。
    (a)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
    (b)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つそれぞれSigEまたはSigGタンパク質と機能的に等価であるポリペプチド。
    (c)配列番号3または4で示されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つそれぞれSigEタンパク質またはSigGタンパク質と機能的に等価であるポリペプチド。
  3. 請求項1記載のポリヌクレオチドを含む遺伝子が改変された微生物。
  4. 請求項1記載の遺伝子の機能が欠損した微生物。
  5. 請求項1記載の遺伝子の発現産物であるRNAの発現量または請求項2記載のポリペプチドの発現量が低下している、または請求項1記載の遺伝子の発現産物であるRNAまたは請求項2記載のポリペプチドが発現しない請求項3または4記載の微生物。
  6. 胞子形成能に欠損がある請求項3〜5のいずれか1項記載の微生物。
  7. 微生物がバチルス属細菌である請求項3〜6のいずれか1項記載の微生物。
  8. バチルス属細菌がバチルス エスピー KSM-KP43(FERM BP-6532)、バチルス エスピー KSM-KP1086(FERM P-15864)、バチルス エスピーKSM-KP1790(FERM BP-6533)、バチルス エスピー KSM-KP9860 (FERM BP-6534)またはバチルス エスピー KSM-9865 (FERM P-18566)である請求項7項記載のバチルス属細菌。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項記載の微生物を用いることを特徴とするタンパク質またはポリペプチドの生産方法。
  10. 生産するタンパク質が、以下の(1)から(3)いずれかのポリヌクレオチドからなる遺伝子によってコードされるアルカリプロテアーゼである請求項9記載の生産方法。
    (1)配列番号33で示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (2)配列番号33で示される塩基配列と90%以上の同一性を有し、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (3)配列番号33で示される塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加され、且つアルカリプロテアーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008048732A (ja) * 2006-07-28 2008-03-06 Kao Corp ジピコリン酸又はその塩の製造方法

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