JP2006134849A - プロトンゲル伝導体の製造方法および燃料電池用イオン交換ゲル膜 - Google Patents

プロトンゲル伝導体の製造方法および燃料電池用イオン交換ゲル膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 プロトン伝導度が室温−中温度域で高く、薄肉化及び大型化しやすく、保水性が高く、燃料電池等の製品にとって優れた柔軟性と機械強度を有し、低コストなどの実用的効果を奏することのできるプロトン伝導体及びイオン交換ゲル膜、これらの製造方法を提供する。
【解決手段】 無機酸であるオルトリン酸、硫酸、無水硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールなどのプロトン組成物質とFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22,モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのナノカーボン材料を介在させるプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜、およびこれらの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プロトン伝導体及び燃料電池用イオン交換膜、これらの製造方法に関する。本発明に係るプロトン伝導体およびイオン交換膜は、水素を燃料とする燃料電池、水素センサ等に用いて好適である。特に、燃料電池は、電気自動車、ハイブリッドカー、据置型電源、コジェネシステム等への応用が期待されている。
電圧を印加することによりイオンが移動するイオン伝導体が知られている。このイオン伝導体は、電池や電気化学センサ等の電気化学デバイスの構成物として利用できるものであるため、極めて多くの研究がなされている。イオン伝導体の一種であるプロトン伝導体は、水素イオンを伝導イオン種とするものであり、水素を燃料とする燃料電池や水素センサ等の構成物として特に大きな期待が寄せられている。例えば、燃料電池用の電解質として採用され得るプロトン伝導体および水素イオン交換膜は、取り扱いの容易さや耐熱性等の要求から、室温−中間温度付近で高いイオン伝導度を示すことが望まれている。
従来、プロトン伝導体および水素イオン交換膜として、ウラニルリン酸水和物やモリブドリン酸水和物等の無機結晶系プロトン伝導体や、フッ化ビニル系高分子にパースルホン酸基を含む側鎖を有する高分子イオン交換膜等の有機系プロトン伝導体が知られている。さらに最近では、ケイ酸塩を主成分とし、リン酸が少量添加され、ゾル−ゲル法によって製造されるゾル−ゲル多孔質ガラスも、室温−中温度域で比較的良好なイオン伝導度を示すものとして知られている(特許文献1参照)。現存するNafion膜(「NAFION」(登録商標))に代表される高分子イオン交換膜に比べて、材料コストの低減が可能であり燃料電池用のイオン交換膜として実用化が期待されている。
特開2003−217339号公報
しかし、上記従来のリン酸ゲルプロトン伝導体は、燃料電池用のイオン交換膜としてはプロトン伝導性能が低く、また保湿性においても現存する高分子イオン交換膜に比べて劣っている。また薄肉化及び大型化され難い。このため、この無機結晶系プロトン伝導体を例えば燃料電池用の電解質として採用したとしても、その燃料電池は、電解質が厚くて小さいものとなることから・大きな出力を発揮し難い。また、その燃料電池は、内部抵抗が大きく、発電効率も十分でない。このため、電気自動車用あるいは据置型電源用の燃料電池にはこのリン酸ゲルプロトン伝導体は不向きである。
しかしながら、現存する高分子イオン交換膜やゾルーゲル多孔質ガラスを例えば燃料電池用の電解質とするのであれば、そのプロトン伝導性を高めるために、燃料電池に加湿器等が必須となってシステムが大型化し、実用化の大きな障害になる。また、この燃料電池は、周囲の湿度によってイオン伝導度が大きく変化するため、そのような加湿器等を安定して制御する必要があり、この点でも実用化の大きな障害となる。さらに、ゾルーゲル多孔質ガラスは、非常に脆く、小さな衝壁も破壊されてしまうため、衝撃に弱い燃料電池等となってしまう。
本発明は、上記従来の実情にみてなされたものであり、プロトン伝導度が室温−中温度域で高く、薄肉化及び大型化しやすく、保水性が高く、燃料電池等の製品にとって優れた柔軟性と機械強度を有し、低コストなどの実用的効果を奏することのできるプロトン伝導体及びイオン交換ゲル膜、これらの製造方法を提供することを目的としている。
発明者は、リン酸ゲルおよびプロトンゲル伝導体についてさらに鋭意研究を行った結果、無機酸であるオルトリン酸、硫酸、無水硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールなどのプロトン組成物質を添加することにより、このリン酸ゲル化を顕著に促進すること、またリン酸ゲルの薄肉化及び大型化しやすくなること、またプロトン伝導性が向上することを見出した。さらに、FSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料に、無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールを介在させると、プロトン伝導性能が飛躍的に向上し、また室温−中温域での保水性能が改善されることを発見して、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の発明は、リン酸塩分子鎖がらなる分散相と水からなる分散媒と多孔質材料とを有することを特徴とするプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜を提供する。
請求項2記載の発明は、リン酸塩分子鎖は、Ca、Mg、Znなどの2価金属イオンを含有することを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜を提供する。
請求項3記載の発明は、多孔質材料は、無機酸を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜を提供する。
請求項4記載の発明は、無機酸は、リン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸などプロトン伝導物質であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜を提供する。
請求項5記載の発明は、多孔質材料として、FSM−16、MCM−22、MCM−41、HMM−1などのメソ孔シリカあるいはシリカ基と有機官能基を含むメソ細孔材料や、ZSM−5、NaY、NaXなどのゼオライト、モルデナイト、LTAなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのナノカーボン材料であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれがに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜を提供する。
請求項6記載の発明は、無機酸は、酸分子換算で10〜70mol%範囲内のプロトン供与基を含有していることを特徴とする請求項1がら請求項5のいずれがに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜を提供する。
請求項7記載の発明は、リン酸塩ガラスを得るガラス化工程と、該リン酸塩ガラスを粉砕したリン酸塩ガラス粉末と多孔質材料の混合物質に水とを反応させてプロトン伝導ゲルを得るゲル化工程とからなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜の製造方法を提供する。
請求項8記載の発明は、ゲル化工程において、プロトン伝導ゲルに他の無機酸や有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾール、Nafionモノマーなどのプロトン伝導物質を介在させることを特徴とする請求項7に記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜の製造方法を提供する。
請求項9記載の発明は、成形工程において、成形体にプロトン伝導組成物としてメソ多孔質材料にリン酸、硫酸、カルボン酸、イミダゾール、有機リン酸、有機スルホン酸を介在することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜の製造方法を提供する。
本発明のプロトン伝導ゲルは、リン酸塩分子鎖からなる分散相と、水からなる分散媒とを有することを特徴とする。この無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、あるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22,モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在するプロトン伝導ゲルは、適当な形状に成形すればプロトン伝導体になる。例えば、プロトン伝導ゲルを平面上で薄く延ばしたり、厚みの薄い容器に充填したりして成形すれば、容易に薄肉化及び大型化されたプロトン伝導体およびイオン交換膜が得られる。
また、発明者の研究によれば、FSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在するこのプロトン伝導体は、大気等の周囲に存在する水を自ら取り入れて安定するため、周囲の湿度によってイオン伝導度が大きく変化しない。
さらに、無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、あるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22,モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在するゲル状物質のプロトン伝導ゲルを成形したプロトン伝導体は、柔軟性を有し、衝撃に対して強いものである。したがって、本発明のプロトンゲル伝導体は、イオン伝導度が室温−中温域で高く薄肉化及び大型化しやすい。
このため、本発明のプロトン伝導ゲルによって得られたプロトン伝導体を、例えば燃料電池の電解質として採用すれば、その燃料電池は、大きな出力を発揮するとともに、発電効率も十分となる。また、この燃料電池は、プロトン伝導ゲルがプロトン伝導経路を自律的に常に確保することから、イオン伝導度を高めるために加湿器等を設ける必要がなくなり、システムの小型化を実現する。特に、プロトン伝導ゲルは周囲の湿度によってイオン伝導度が大きく変化しないため、燃料電池において湿度調整のための複雑な制御がほとんど不要となる。こうして、この無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、及びあるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在するプロトン伝導ゲル又はプロトン伝導体は、燃料電池にとって優れた性状の水素イオン交換膜となる。
また、本発明の無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、及びあるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、モルデナイト、LTAなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在するプロトン伝導ゲル又はプロトン伝導体は、リン酸等比較的安価な無機化合物を原拠しており、かつその製造方法も比較的簡単であるため、製造コストの低廉化が可能である。
本発明のプロトン伝導ゲルの製造方法では、まず、ガラス化工程として、リン酸塩ガラスを得る。例えば、正リン酸を加熱溶融し、これを急冷することによりリン酸ガラスを得る。また、リン酸塩ガラスがCa2+、Mg2+及びZn2+の少なくとも1つ等の2価金属イオンを含有する場合は、例えば、正リン酸と炭酸カルシウムのような金属炭酸塩等とを混合し、加熱溶融し、これを急冷することによりリン酸塩ガラスを得る。
そして、ゲル化工程として、リン酸塩ガラスを粉砕したリン酸塩ガラス粉末と水、無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、及びあるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、NaY、NaX、モルデナイト、LTAなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在させてプロトンゲル伝導体を得る。
本発明のプロトン伝導ゲルは、リン酸塩ガラス中におけるリン以外の金属の酸化物、リン酸塩分子鎖の構造、無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、及びあるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、NaY、NaX、LTA、モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料の介在によって影響を受けつつ、リン酸塩分子鎖からなる分散相と、水、添加物質からなる分散媒との割合を自ら決定する。発明者の研究によれば、プロトン伝導ゲルはリン酸をP換算で40〜70mol%、より具体的には40〜80%の水と1−150%の添加物質、ミクロ、メソ細孔材料、カーボンナノ材料を含み化学的に安定して、高いプロトン伝導性をしめす。
また、本発明のプロトン伝導ゲルの製造方法において、ゲル化工程では、プロトン伝導ゲルに無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールと、及びあるいはFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料を介在させることができる。
ゾル−ゲル多孔質ガラスは非常に機械的に脆いという問題点があるが、本発明のFSM−16、MCM−41などのメソ細孔材料やZSM−5、MCM−22、NaY、NaX、LTA、モルデナイトなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブやカーボンナノホーンなどのカーボンナノ材料をバインダーとして用いることができ、プロトン伝導性を向上させるだけでなく、脆さを克服したプロトン伝導体が構成され得る。また、無機酸であるオルトリン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾールとスルホン基含有の高分子イオン交換膜と本発明のプロトン伝導ゲルとを複合すれば、加湿によるプロトン伝導体の膨潤を防ぐことができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
炭酸カルシウムと正リン酸とを用意し、正リン酸がP205換算で50mol%となり、全体で30gとなるようにそれぞれを量り取る。こうして得られた乾燥混合粉末を白金ルツボに入れ、これを1350℃に保持された電気炉中に入れて30分間の加熱を行い、溶融する。その後電気炉から白金ルツボを取出し、溶融物を黒鉛板上に流し出し、その状態で室温まで冷却する。こうしてリン酸カルシウムガラスを得る。得られたリン酸カルシウムガラスをアルミナ乳鉢によって最大粒子径が10μm以下になるまで粉砕し、リン酸カルシウムガラス粉末を得る。
次に、このリン酸カルシウムガラス粉末2gをプラスチック容器に入れ、蒸留水を2mL加えてそれに種々の量(10wt%、20wt%、35wt%及び50wt%)のオルトリン酸を加えて攪拌した後、施蓋し、室温で放置して粘調なプロトン伝導ゲルを得る。
得られた粉末状のリン酸カルシウムガラスにオルトリン酸を吸蔵したFSM−16及びMCM−41を機械的に混合した粉末2gをプラスチック容器に入れ、蒸留水を2mL加えてそれにオルトリン酸を加えて攪拌した後、施蓋し、室温で放置して粘調なプロトン伝導体を得る。600℃で3時間の加熱を行う。その後、電気炉内で自然冷却する。
これについて、以下の交流インピーダンス法により室温域のイオン伝導度の測定を行った。オルトリン酸添加リン酸ゲル伝導体のプロトン伝導度と添加オルトリン酸の添加量との関係を図1に示した。いずれのリン酸の添加によりリン酸ゲル伝導体のプロトン伝導度が向上することが見出された。特にH3PO4を20wt%添加したカルシウムリン酸ゲル伝導体のプロトン伝導度は2.2X10−2S/cmを示して、Nafionイオン交換膜より良好な性能を有することがわかった。
粉末状のリン酸カルシウムカラスのオルトリン酸(50wt%)を吸蔵したFSM−16及びMCM−41を介在するプロトン伝導体につき、HPO/FSM−16添加量およびHPO/MCM−41の添加量を変えた試験品を製作した。これらの試験品について、以下の交流インピーダンス法によりイオン伝導度の測定を行った。10mmφの円形の穴が形成された厚さ1mmのガラス製の型枠を用意し、この穴に試験品のプロトン伝導ゲルを充填する。次に、穴に充填したプロトン伝導ゲルの両面を10mmφの金電極で挟み、これを測定用セルとし、交流インピーダンス測定装置によってイオン伝導度を測定した。なお、測定は、プロトン伝導体が乾燥しないように相対湿度を70%に保ちつつ温度を変化させて行なった。結果を図2に示す。
図2に示すように、リン酸を吸蔵したFSM−16及びMCM−41を添加したカルシュウムリン酸ゲル伝導体では室温に近い低温において、添加量の増大に伴い顕著なプロトン伝導度の増加が認められた。50wt%添加の試験品においては30−40mS/cmという非常に高いイオン伝導度を示した。Nafion膜試験品のプロトン伝導度は同様の測定条件で10mS/cmであった。また、無添加の比較試験品のプロトン伝導ゲルのイオン伝導度が1.7〜4.2mS/cmであった。これらの結果から、リン酸を吸蔵したFSM−16及びMCM−41を添加したカルシュウムリン酸ゲル伝導体は極めて良好なプロトン伝導性を示すことがわかった。
また、粉末状のリン酸カルシウムガラスに90%濃硫酸と無水硫酸を50wt%吸蔵したFSM−16及びMCM−41を機械的に混合した粉末2gをプラスチック容器に入れ、蒸留水を2mL加えてそれにオルトリン酸を加えて攪拌した後、施蓋し、室温で放置して粘調なプロトン伝導体を得、600℃で3時間の加熱を行う。その後、電気炉への通電を停止し、電気炉内で自然冷却して試験品のプロトン伝導体を作成した。温度を50℃とし、相対湿度20〜90%で変化させてイオン伝導度を測定した。得られたプロトン伝導度は90%濃硫酸吸蔵FSM−16添加リン酸伝導ゲル体について65mS/cm(相対湿度45%)および無水硫酸吸蔵MCM−41添加リン酸伝導ゲル体について68%mS/cm(相対湿度75%)の高いプロトン伝導度が得られた。
図3に示すように、比較品のリン酸ゲル体に比べて、FSM−16,MCM−42にオルトリン酸、硫酸、無水硫酸の吸蔵体を介在した場合は、相対湿度40−70%ではNafion高分子イオン交換膜より高いイオン電導度を示し、FSM−16,MCM−42にオルトリン酸、硫酸、無水硫酸の吸蔵体の添加量を増大するに従いプロトンゲル伝導体のイオン電導度に比べて2桁以上も高いプロトン伝導度であった。MCM−41の中に水を含有した試験品のプロトン伝導度の向上は明らかでない。また、試験品のリン酸伝導ゲルは周囲の湿度変化にも大きく影響されにくい。メソ細孔材料を添加した比較品のリン酸伝導ゲル体は周囲に存在する水を自ら取り入れてリン酸伝導ゲル内部の湿度を安定するためである。他方、比較品であるリン酸カルシウムプロトン単体ゲルのプロトン電導度は周囲の湿度変化に大きく影響されることがわかった。
上記、試験品について、水素−酸素燃料電池セルに組み込みPt/C触媒をカソード極及びアノード極に用いて、相村湿度70%、80℃における出力密度と電流密度を測定した。その結果を図4に示す。最大出力密度60mW/cm、電流密度130mA/cmであった。Nafion膜を用いた同様な測定条件での最大出力密度は170mW/cmであった。
試験品に係るプロトン伝導体をX線回折分析装置により分析した。図5から明らかなように、FSM−16,MCM−41などのメソ細孔材料はリン酸ゲルに極めて高分散されていることが確認された。
本願発明は、上記の説明に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本願発明の範囲内に包含されることはいうまでもない。
リン酸カルシウム伝導ゲルへのHPO添加に対するプロトン伝導度の影響を示すグラフである。 オルトリン酸吸蔵MCM−41の添加量に対するプロトン伝導度の影響を示すグラフである。 リン酸カルシウム伝導ゲルのプロトン伝導度に対する種々の添加物の効果比較を示すグラフである。 リン酸添加リン酸カルシウム伝導ゲル膜を用いた水素−酸素燃料電池の出力特性を示すグラフである。 リン酸を添加したリン酸カルシウムゲル伝導体のX線回折スペクトルを示すグラフである。

Claims (9)

  1. リン酸塩分子鎖からなる分散相と水からなる分散媒と多孔質材料とを有することを特徴とするプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜。
  2. リン酸塩分子鎖は、Ca、Mg、Znなどの2価金属イオンを含有することを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜。
  3. 多孔質材料は、無機酸を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜。
  4. 無機酸は、リン酸、硫酸、有機リン酸、有機スルホン酸などプロトン伝導物質であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜。
  5. 多孔質材料として、FSM−16、MCM−22、MCM−41、HMM−1などのメソ孔シリカあるいはシリカ基と有機官能基を含むメソ細孔材料や、ZSM−5、NaY、NaXなどのゼオライト、モルデナイト、LTAなどのミクロ細孔材料、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのナノカーボン材料であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜。
  6. 無機酸は、酸分子換算で10〜70mol%範囲内のプロトン供与基を含有していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜。
  7. リン酸塩ガラスを得るガラス化工程と、該リン酸塩ガラスを粉砕したリン酸塩ガラス粉末と多孔質材料の混合物質に水とを反応させてプロトン伝導ゲルを得るゲル化工程とからなることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜の製造方法。
  8. ゲル化工程において、プロトン伝導ゲルに他の無機酸や有機リン酸、有機スルホン酸、イミダゾール、Nafionモノマーなどのプロトン伝導物質を介在させることを特徴とする請求項7に記載のプロトン伝導ゲルおよびプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜の製造方法。
  9. 成形工程において、成形体にプロトン伝導組成物としてメソ多孔質材料にリン酸、硫酸、カルボン酸、イミダゾール、有機リン酸、有機スルホン酸を介在することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のプロトンゲル伝導体および燃料電池用イオン交換ゲル膜の製造方法。
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