JP2006133645A - 液晶表示素子の製造方法及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子の製造方法及び液晶表示素子 Download PDF

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潤 山田
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Abstract

【課題】 従来技術では液晶シートを有した液晶表示素子を塗布法により、かつ多面取りにて製造する方法が開示されていなかった。従って、製造の効率は多面取りに比べて低く、液晶表示素子の製造コストも高いものなっていた。また、塗布法により液晶表示素子を個々に製造する場合、液晶シートの膜厚を均一にし、素子毎のばらつきを小さくするのが困難であった。
【解決手段】 液晶表示素子を多面取りする基板に対し、液晶シートを液晶表示素子の複数個相当部分に渡って一旦塗布形成した後、不要な部分の液晶シートを除去する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶表示素子の製造方法及び該製造方法で製造された液晶表示素子に関する。特に液晶がバインダ中に分散されてなる液晶層を有する液晶表示素子の製造方法及び該製造方法で製造された液晶表示素子に関する。
近年、液晶をゼラチン等のバインダ中に分散させた液晶層(以下、液晶シートと呼ぶ)を有する液晶表示素子の研究がなされている(例えば特許文献1、2)。この液晶シートはゼラチン等のバインダ中に液晶の液滴が分散された構成となっているため、柔軟で、屈曲や押圧されたときにも表示した像が変化しにくいという特徴を有している。また、基板を介さないで複数の液晶シートを直接積層することが可能なため、多色化にも適している。また、液晶シートの製造については、塗布による形成が可能であるから、均一な厚みの液晶シートを有する液晶表示素子を低コストで提供することが可能である。
米国特許第6585849号明細書 米国特許第6690447号明細書
しかし、従来技術では、液晶シートを有する液晶表示素子の多面取りについて考慮されておらず、例えば、上記特許文献においては、予め1つの液晶表示素子に相当する大きさに切断された基板に液晶シートを塗布しているだけである。従って、製造の効率は多面取りに比べて低く、液晶表示素子の製造コストも高いものなっていた。また、塗布法により液晶表示素子を個々に製造する場合、液晶シートの膜厚を均一にし、素子毎のばらつきを小さくするのが困難であった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液晶シートを有した液晶表示素子を、液晶シートの膜厚が均一で素子毎のばらつきも小さい液晶表示素子を、低コストで効率良く製造する方法を提供することを目的としている。
上記の目的は下記構成によって達成される。
(請求項1)
基板の上部に、第1の電極と、バインダおよび前記バインダに分散した液晶を含む液晶層と、第2の電極とをこの順に積層した液晶表示素子の製造方法において、
複数の液晶表示素子相当部分を含む領域全体を対象にして液晶層を形成する工程と、
前記液晶層を形成する工程後に前記液晶層の一部が除去された状態にする工程と、
一部が除去された液晶層を有する前記基板を複数に分断する工程とを含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
(請求項2)
前記第1の電極と液晶層の間に第1の絶縁性防水膜を形成する工程と、
前記液晶層と第2の電極の間に第2の絶縁性防水膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項3)
前記基板を複数に分断する工程の前に、前記第2の電極を形成する工程および第2の電極を覆う保護層を形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項4)
前記基板を複数に分断する工程の前に、前記第2の絶縁性防水膜を形成する工程、第2の電極を形成する工程および第2の電極を覆う保護層を形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項5)
前記第1の電極および第2の電極のうち少なくとも一方は、外部回路との接続端子を有し、
前記液晶層の一部を除去する工程において前記液晶層を除去する領域は、前記基板を複数に分断する領域、前記接続端子の領域、第2の電極を形成する領域、絶縁性防水膜を形成する領域および保護層を形成する領域のうち少なくとも一つの領域であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項6)
前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、ブレードを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項7)
前記ブレードは、構成材料にゴムおよびテフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも1種類の組成物を含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項8)
前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、エアナイフを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項9)
前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、レーザーを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項10)
一部に開口部を有したマスクを前記基板に密着させた後、複数の液晶表示素子相当部分を含む領域全体を対象にして前記液晶層を形成する工程を有し、
前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、前記液晶層が形成された基板から前記マスクを剥離する工程であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
(請求項11)
前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、下記(a)乃至(e)のうち、少なくとも2つを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
(a)ブレード
(b)構成材料にゴムおよびテフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも1種類の組成物を含むブレード
(c)エアナイフ
(d)レーザー
(e)液晶層を形成するときに基板に密着させたマスク。
(請求項12)
請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法で製造されたことを特徴とする液晶表示素子。
請求項1に係る発明によれば、基板上に複数の液晶表示素子に相当する液晶シートを連続して形成することができる。従って、液晶シートの膜厚が均一で、素子毎のばらつきも小さい液晶表示素子を低コストで製造することが可能である。
請求項2に係る発明によれば、第1および第2の電極と液晶シートの間に絶縁性防水膜を形成するので、液晶シートに含水材料を含む材料を用いた場合でも電極が液晶シート中の水分によって劣化することがない液晶表示素子を製造することが可能である。
請求項3に係る発明によれば、基板を分断する前に第2の電極および保護層から選ばれる少なくとも1つを形成するので、複数個の液晶表示素子に対してその構成要素を同時形成ができ、効率良く低コストで液晶表示素子を製造することが可能である。
請求項4に係る発明によれば、基板を分断する前に第2の絶縁性防水膜、第2の電極および保護層から選ばれる少なくとも1つを形成するので、複数個の液晶表示素子に対してその構成要素を同時形成ができ、効率良く低コストで液晶表示素子を製造することが可能である。
請求項5に係る発明によれば、第2の電極の形成される部分、前記基板を複数に分断する部分または前記接続端子の部分または第2の電極を形成する部分または絶縁性防水膜を形成する部分または保護層を形成する部分の少なくとも一つの部分の液晶シートを除去するので、液晶シートが後工程の障害になることがない。
請求項6に係る発明によれば、不要な液晶シートの除去にブレードを使用するため、液晶シートが不要な領域のみの液晶シートの除去を低コストで効率良く行うことが可能である。
請求項7に係る発明によれば、ブレードはゴムまたはテフロン(登録商標)を含んでいるので、液晶シートを除去する工程において、基板や電極を傷付けることがない。
請求項8に係る発明によれば、不要な液晶シートの除去にエアナイフを使用するため、液晶シートが不要な領域のみの液晶シートの除去を効率良く、基板や電極を傷付けることなく行うことができる。
請求項9に係る発明によれば、不要な液晶シートの除去にレーザーを使用するため、液晶シートが不要な領域のみの液晶シートの除去を精度良く、基板や電極を傷付けることなく行うことができる。
請求項10に係る発明によれば、マスクを用いて液晶シートのパターンニングを行うため、液晶シートの不要な部分に液晶シートが形成されることがなく、きわめて精度良く、かつ容易に液晶シートの除去を行うことが可能となる。
請求項11に係る発明によれば、複数の方法を用いて不要な液晶シートの除去を行うので、上述の請求項6乃至10に係る発明の不利な点を他の請求項に係る発明の奏する作用効果で補完することができ、より好ましく液晶シートの除去を行うことが可能である。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
(基板)
本発明に係る液晶表示素子の基板としては、ガラスの他、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレートなどのフレキシブルな透明樹脂フィルム基板が使用できる。
(液晶層)
本発明に係る液晶層(液晶シート)は、高分子材料からなるバインダおよび前記バインダに分散した液晶からなる。
(バインダ)
本発明において好適なバインダは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、カゼイン、デンプン、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、フェノキシ樹脂、セルロースエステル類、がある。
これらバインダは2種以上を併用して用いてもよく、バインダの塗布量は1m2あたり100g以下が好ましく、特に20g以下にするのが適当である。
本発明に係るバインダは、液晶及びバインダを含む液晶層の膜強度を確保し上下電極間の短絡を確実に防止する為に重要である。バインダと共に膜厚を一定化するため、樹脂柱構造物やスペーサー粒子を用いることも可能であるが、工程の簡略化からそれらは特に使用しないことが好ましい。また、ゼラチンは加熱溶解、塗布、冷却セット、乾燥の各工程で、均一な膜厚を有する層が得られる好ましいバインダであるが、バインダの他の例としては、例えば、ポリビニルアルコール類においてもカラギナンやゲランガム等の増粘多糖類を併用して用いることにより、前記ゼラチン同様の工程をとることか可能であり、この場合も均一な膜厚を有する層が得られる。
本発明の液晶シートにおいては、バインダの少なくとも1種は、硬膜処理されたゼラチンまたはゼラチン誘導体であってもよい。
本発明で用いることのできるゼラチンとしては、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を持ち、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えばT.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。
本発明においてバインダとしてゼラチンを用いる場合、好ましい硬膜剤の例としては、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(例えば、N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(例えば、ジメチロール尿素等)、ほう酸、メタほう酸あるいは高分子硬膜剤(例えば、特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。これらの硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独又は併用して使用する事が好ましい。これらの硬膜剤は、バインダ1質量部あたり0.001〜1質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部が用いられる。
本発明においてさらに好ましく用いられる硬膜剤は、下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)
L−(SO2−X)m
上記一般式(1)において、Lはm価の連結基を表し、Xは−CH=CH2又は−CH2CH2Yを表し、Yは塩基によってHYの形で脱離しうる基を表す。mは2〜10の整数を表すが、mが2以上の場合−SO2−Xは、同じでも互いに異なっていてもよい。
m価の連結基Lは、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン、アルキリデン、アルキリジン等、或いはこれらが結合して形成される基)、芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン等、或いはこれらが結合して形成される基)、−O−、−NR’−(R’は水素原子又は好ましくは1から15個の炭素原子を有するアルキル基を表す)、−S−、−N<、−CO−、−SO−、−SO2−又は−SO3−で示される結合を1つ或いは複数組み合わせることにより形成されるm価の基であり、−NR’−を2つ以上含む場合、それらのR’同志が結合して環を形成してもよい。連結基Lは更に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキル基又はアリール基等の置換基を有するものも含む。Xの具体例としては、−CH=CH2又は−CH2CH2Cl等が好ましい。
本発明の実施形態に用いられるビニルスルホン系硬膜剤は、例えば、独国特許第1,100,942号及び米国特許第3,490,911号等に記載されている如き芳香族系化合物、特公昭44−29622号、同47−25373号、同47−24259号に記載されている如きヘテロ原子で結合されたアルキル化合物、特公昭47−8736号等に記載されている如きスルホンアミド、エステル系化合物、特開昭49−24435号等に記載されている如き1,3,5−トリス〔β−(ビニルスルホニル)−プロピオニル〕−ヘキサヒドロ−s−トリアジン或いは特公昭50−35807号、特開昭51−44164号等に記載されている如きアルキル系化合物及び特開昭59−18944号に記載されている化合物等を包含する。
これらビニルスルホン系硬膜剤は、水又は有機溶剤に溶解し、該硬膜剤と反応可能なバインダに対して質量比で0.001〜0.200、特に好ましくは0.001〜0.050用いられる。
本発明に用いられるビニルスルホン系硬膜剤の中で、その分子内に水酸基を有するビニルスルホン系硬膜剤の使用が好ましい。また、本発明においては、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)の硬膜剤をビニルスルホン系硬膜剤と併用して用いることができる。
本発明に係る液晶シートにおいては、バインダの少なくとも1種が、硬膜処理されたポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体であってもよい。
本発明に係る実施形態に好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体等も含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得ることができる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールにおけるカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは重合度や変性の種類などが違う2種類以上を併用することもできる。
本発明の実施形態の液晶シートに含まれるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体の硬膜処理を行う硬膜剤としては、ホウ酸及びその塩が用いることができ、また水溶性バインダと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。硬膜剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液はそれぞれは比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。上記硬膜剤の添加量は上記水溶性バインダ1000質量部当たり1〜200質量部が好ましく、更に好ましくは2〜100質量部である。
本発明に用いられるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体は、光硬化で硬膜処理を行うことが好ましい。光硬化可能なポリビニルアルコール類の化合物例としては、特公昭56−5761号、特公昭56−5762号、特開昭56−11906号、特開昭59−17550号、特開平2−118575号、特公平2−276806号及び特開平6−43645号の各公報などに開示されている四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコール系感光性樹脂が知られている。また、特開昭63−198045号公報には、ポリビニルアルコール(PVA)に、四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体とアジド化合物とをペンダントさせたポリビニル系感光性樹脂が開示されている。また、特開平8−320553号、同9−114092号、同9−160240号に記載の光架橋型ポリビニルアルコール類を用いることができる。
(液晶)
本発明に係る液晶(以下、液晶組成物ともいう)としては、各種の液晶組成物を用いることができるが、表示を維持するために電力が不要で、明るい反射型表示を実現するという観点からは、コレステリック相を示す液晶組成物を含むことが好ましい。
カイラルネマチック液晶はコレステリック相を示す液晶の代表的なもので、ネマチック液晶に所定量のカイラル材を添加することによって得られる。このカイラルネマチック液晶は、一般的に、棒状の液晶分子がねじれた配列をなし、コレステリック相を示している。この液晶に光が入射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離である。一方、ヘリカル軸に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は実質的に選択反射されることなく透過する(フォーカルコニック状態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われる。
メモリ性を有する反射型液晶表示体の動作モードとしては、テクニカルペーパーSID国際シンポジューム要約(SID International Symposium Digest of Technical Paper)第29巻、897頁に開示されている。この動作モードは、カイラルネマチック液晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及びフォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに切り換えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるため、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表示素子として有用である。
コレステリック相を示す液晶組成物の具体的化合物としては、米国特許5,695,682号に記載の化合物を挙げることができる。
その他の本発明に用いられる液晶組成物として、4−置換安息香酸4′−置換フェニルエステル、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換フェニルエステル、4−置換ビフェニル4′−置換シクロヘキサン、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4″−置換ターフェニル、4−置換4′−置換ビフェニル、4−置換フェニル−4′−置換シクロヘキサン等、さらに特開2001−51260号公報、特開平8−43846号公報、特開平7−4950号公報、特開2000−147476号公報、特開平8−160470号公報、特開平10−54996号公報、特開2002−221709号公報、特開2001−92383号公報、特開2003−131234号公報、特開2004−77754号公報、特開2004−2771号公報等に記載の液晶組成物や、一般にポリマーネットワーク液晶(PNLC)、ポリマー分散液晶(PDLC)と称される液晶材料で用いられる液晶等を挙げることができる。
本発明に用いられる液晶組成物は、マイクロカプセルに内包させた状態で用いることができる。
本発明に用いることができるマイクロカプセルの製法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ法等の公知の方法を用いることができる。これらの中でコアセルベーション法による製法は油相である液晶組成物への化学的影響が少なく好ましく用いることができる。
バインダとしてゼラチンを用いる場合、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、寒天、ポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸共重合体、その他界面活性剤との疎水性相互作用によってコアセルベートでき、コアセルベート後は、ホルムアルデヒドや、前記のゼラチン硬膜剤を用いてゼラチン硬化反応を行わせることにより、コアセルベートしたゼラチン複合膜を硬化でき、マイクロカプセル壁の強度を向上させることができる。
また界面重合法は、ポリアミン、多価フェノール等と多塩基酸ハライド、ポリイソシアネート等を水相と油相界面で重合してマイクロカプセル壁を形成することができる。
また、in−situ重合方法としては、尿素−メラミン等に用いられるアミド樹脂、フェノール樹脂の単独またはその共重合体をホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで架
橋してマイクロカプセルを形成させることができる。
マイクロカプセル壁には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン等を共存させることにより、マイクロカプセル壁強度を向上させることができる。
本発明に係るマイクロカプセルは、溶液系で調製した後、乾燥して分級することができる。分級の方法としては、スプレードライヤ、ロータリー乾燥機、バンド乾燥機等が挙げられる。
(絶縁性防水膜)
本発明に係る液晶表示素子は、一対の電極と液晶シートとの間にそれぞれ絶縁性防水膜を設けることが好ましく、その少なくとも一方が透光性である。
本発明でいう絶縁性防水膜とは、絶縁性を有し、かつ、一方の面から他方の面への水の透過が実質的に防止される性質を持つ膜である。より詳しくは、次のような測定で抵抗値が1010Ωより大きい値を示す膜である。体積抵抗率が109Ω・cmより大な材料が用いられ、かつ、絶縁性の支持体上に間隔をあけて配置された2つの電極を有する試験片であって純水に浸けた場合の2つの電極間の抵抗値が107Ωを示す試験片上に、測定対象となる膜を2つの電極が完全に覆われるように形成しこれを純水に浸けて24時間経ったときの電極間の抵抗値を測定する。
絶縁性防水膜の試験方法を図13を用いて説明する。図13で121は純水122を満たした容器である。試験片123はガラスの基板124の表面に1対の電極125、126および試験される絶縁性防水膜127が形成されている。128はオーム計であり、結線129、130により一対の電極125、125に接続されており、電極125、126間の抵抗値を表示する。電極125、126は厚さ0.2μmのITOで形成されており、シート抵抗は約10Ω/□、大きさは幅100μm、スペース10μm、形成されている領域の大きさは1cm×1cmである。本図に示すように、膜127が形成された試験片123を容器121内の純水122に浸け、24時間経ったときのオーム計128に表示される抵抗値を読み測定値とする。
絶縁性防水膜の材料としては、高い安定性を得るため水と化学反応を起こさないものが望ましい。
一般的に液晶シートと電極の間に誘電体の膜を挿入すると、この膜にも電圧が印加されるため、液晶の駆動電圧が高くなってしまう。また、絶縁性防水膜には高い防水性と、屈曲や押圧に対してもクラックの入らない柔軟性という二つの性質を有することが好ましく、例えば、以下に示す絶縁性防水膜が好ましく用いられる。
(1)有機材料で形成された膜(有機膜)
(2)無機材料で形成された膜(無機膜)
(3)無機材料および有機材料で形成された膜(複合膜)
また、本発明に係る透光性の絶縁性防水膜は、液晶シートを視認できるだけの光透過率を有していれば特に制限はないが、液晶表示素子の明るさに影響を与えるため光透過率が少なくとも80%以上あることが望ましい。
(有機膜)
本発明に係る絶縁性防水膜に用いられる有機材料としては、例えばアクリル系、ウレタン系、メタクリル系、ビニルエステル系、エポキシ系、イミド系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系などの高分子材料が好ましく用いられ、必要に応じてこれらの高分子材料を2種以上併用して用いてもよい。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤、可塑剤等の公知の添加剤を添加してもよい。上記有機材料で形成された膜の厚さは、防水性、柔軟性及び液晶表示装置の適正な駆動電圧の観点から0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
(無機膜)
本発明に係る絶縁性防水膜に用いられる無機材料としては、例えばシリコン、ハフニウム、アルミニウム、タンタル、ストロンチウム、チタン、ジルコニウムまたはバリウムの酸化膜あるいは窒化膜が好ましく用いられ、必要に応じてこれらの無機材料を2種以上併用して用いてもよい。上記無機材料で形成された膜の厚さは、有機膜と同様の観点から0.01μm以上2μm以下であることが好ましい。
(複合膜)
本発明に係る複合膜は、上述の有機材料及び無機材料を含む。複合膜の構成としては、上述の有機膜と無機膜とを積層した積層膜、有機材料に無機材料を分散した分散膜及び分散膜と有機膜、無機膜又は積層膜とを積層した積層膜等が挙げられる。
(電極)
本発明に係る液晶表示素子においては、少なくとも一方が透光性である一対の電極が用いられる。
一対の電極のうち、少なくとも一方が金属電極であってもよい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
また、本発明に係る透光性の電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィ法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、300Ω/□以下が好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
電極パターンの形成は、リソグラフィ法、レーザーエッチング法、静電誘導方式のインクジェット法、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いて形成することができる。
本発明に係る実施の形態の例を図に基づいて説明する。なお、理解容易のため具体的なサイズや材料等を挙げて説明しているがこれらはあくまでも一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。
図1(a)に本発明に係る液晶表示素子の製造方法を用いて製造した液晶表示素子1の平面図を、図1(b)に図1(a)のA−A’で切断した断面図を示す。
9は透明なPES(ポリエーテルスルホン)の基板であり、その上部にITO(酸化インジウムスズ)により透光性の第1の電極10が形成されている。基板9としてはPES以外に、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート等の柔軟な透明樹脂フィルムまたはガラス等が使用可能である。基板9の外周の4辺は分断線17および18となっており、基板上に複数個同時に製造された液晶表示素子1はこの線に沿って個々の素子に分断される。分断線17は図中横方向の分断線、分断線18は図中縦方向の分断線である。
第1の電極10はストライプ状の透光性の電極で、その端部は外部接続部19となっている。外部接続部19は駆動回路などの外部回路との電気的接続を行う部分である。第1の電極10はITO以外に、上述したようにIZO、FTO、酸化インジウム、酸化亜鉛、BSO等でもよい。第1の電極10のシート抵抗は300Ω以下のものが望ましい。
11は透光性の第1の絶縁性防水膜である。第1の絶縁性防水膜11にはアクリル系材料である厚さ2μmのPC403(JSR社製)が用いられている。この材料は水分による化学変化がほとんど無く安定であり、透明性も高く本実施形態の絶縁性防水膜の材料としては好適である。
12は液晶シートであり、図1(b)には図示していないが液晶シート12は主反射波長が赤、緑、青と、各々異なるコレステリック液晶を含んだ3層の液晶層からなっており、含水材料であるゼラチンのバインダの中に、液晶液滴が分散されている。含水材料とは、水を1質量%以上含む固体状の材料のことである。液晶シートの厚さは赤、緑、青の各層5μm、合計15μmである。用いられる液晶組成物は、下層からそれぞれ670nm(赤)、550nm(緑)、470nm(青)に選択反射波長を有するコレステリック液晶であり、メルク社製ネマチック液晶BL006に、メルク社製カイラル材CB15およびR1011をそれぞれ適量添加して調製した。
13は透光性の第2の絶縁性防水膜で、膜厚および材料は第1の絶縁性防水膜11と同じである。
14は第2の電極で、本実施形態ではカーボンブラックを混入した銀ペーストを用いている。第2の電極としては本実施形態では光吸収性の黒色の銀ペーストを用いたが、光透過性のITO、酸化スズなどを用いることもできる。第2の電極14のシート抵抗も第1の電極10と同じく300Ω以下が望ましい。第2の電極14は端部で、第1の電極と同時に形成した外部電極16に接続されている。外部電極16は駆動回路などの外部回路ととの電気的接続を行う部分である。
15は保護層で、第2の電極17や第2の絶縁性防水膜16を水分や機械的な衝撃から保護するためのものであり、本実施形態では黒色のシリコーン系樹脂KE1802(信越化学社製)を用いたが、それ以外にもKE1281(信越化学社製)などが使用可能である。保護層15として光吸収性の黒色シリコーン系樹脂を用いたのは、ストライプ状になっている第2の電極14間の隙間を通過した光を吸収させるためである。第2の電極として光透過性の材料を用いた場合は、保護層として光吸収性の材料を使用するのは特に効果的である。保護層15は本実施形態では黒色のシリコーン系樹脂を用いたが、他の材料を用いてもよいし、絶縁性防水膜に用いる材料等を用いて形成してもよい。ただし、保護層15として光透過性の材料を用いた場合は、保護層の上部に、光吸収性の部材を形成することが望ましい。なお、光吸収性の電極や保護層は液晶表示装置の黒品位に影響を与えるので、反射率は少なくとも15%以下であることが望ましい。
なお、上述した外部接続部19および外部電極16は本発明で言う「外部回路との接続端子」にあたり、分断線17、18の周辺は本発明で言う「基板を複数に分断する領域」にあたる。
次に、この液晶表示素子1の表示動作を説明する。本実施形態の液晶表示素子はコレステリック相を示す液晶の捩れを解くための第1の閾値電圧をVth1とすると、電圧Vth1を十分な時間印加した後に、電圧を第1の閾値電圧Vth1よりも小さい第2の閾値電圧Vth2以下に急に下げるとプレーナ状態になる。また、Vth2以上でVth1以下の電圧を十分な時間印加するとフォーカルコニック状態になる。この二つの状態は電圧印加を停止した後でも安定に維持される(メモリ性を有する)。また、Vth1〜Vth2間の電圧を印加することにより、プレーナ状態とフォーカルコニック状態とをミクロな状態で混在させることができ、中間調の表示、即ち、階調表示が可能である。
具体的には、液晶表示素子1の第1の電極11および第2の電極14間にパルス幅5ms、電圧180Vのパルス電圧を印加すると液晶相はプレーナ相を示し3層の液晶層はそれぞれ670nm、550nm、470nmの光を反射する。したがって、液晶表示素子1を基板9の側から観察すると、白色を示す。次に、第1および第2の電極間にパルス幅5ms、電圧95Vのパルス電圧を印加すると、液晶相はフォーカルコニック相を示し、基板1側から入射した光は液晶シート12を透過し、第2の電極14および保護層15で吸収される。したがって、基板1側から観察すると液晶表示素子1は黒色を示す。
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態にかかる液晶表示素子の製造方法を図を用いて説明する。
図2は本実施形態にかかる液晶表示素子の製造方法のプロセス説明した図である。本製造プロセスは、PESの基板フィルム21をフィルムロール20から引き出しながら、次々と加工を加えてゆくロールツーロール法と呼ばれる製造方法に近い連続的な製造方法を採用している。基板フィルム21はその上部にITO膜が形成されているものを用い、その上に複数個の液晶表示素子を同時に形成し、最後の工程で個々の液晶表示素子1に分断する。22は電極パターンニング工程、23は第1の絶縁性防水膜形成工程、24は液晶シート形成工程、25は第1の液晶シート除去工程、26は乾燥工程、27は第2の液晶シート除去工程、28は第2の絶縁性防水膜形成工程、29は第2の電極形成工程、30は保護層形成工程、31は分断工程である。各工程の間には基板フィルムに余裕を持たせたバッファ領域32を入れ、スピードの異なる各工程がうまく同期して動く様にしてある。
以下、図2および液晶表示素子1の工程毎の断面図(図3)を参照しながら、本実施形態の液晶表示素子の製造工程を説明する。なお、本実施形態に係る製造工程では1枚の連続した基板フィルム21上に複数の液晶表示素子を同時に形成して行くが、図が複雑になるのを避けるため、図3にはその内の一つの素子のみを描いてある。
電極パターンニング工程22では、基板フィルム21上部に形成されているITOフィルムをフォトリソグラフィ法によってストライプ状のパターンに加工し、第1の電極10および外部電極16を形成する工程である。図3(a)は電極パターンニング工程22に入る前の基板フィルム21の図である。図3(a)で35は基板フィルム21上に形成されているITO膜である。図3(b)は電極パターンニング工程22を通過した基板フィルム21の図である。基板フィルム21上にストライプ状の第1の電極10および外部電極16が形成されている。
第1の絶縁性防水膜形成工程23では、前工程で形成した第1の電極の上部に上述した材料、PC403(JSR社製)による厚さ2μmの第1の絶縁性防水膜をフレキソ印刷法により形成する。図3(c)は第1の絶縁性防水膜形成工程23を通過した基板フィルム21の図である。
液晶シート形成工程24では重層塗布法を用いて、上述した液晶シートを基板フィルム21の上部に以下で説明するようにして形成する。
まず、3種類(3色分)の液晶層塗布液を準備する。写真用ゼラチンをイオン交換水に対して添加後の全質量の8質量%となるように添加し、室温で攪拌した後、30分放置してゼラチンを十分に膨潤させ、次いで、温度を42℃に上げて、ゼラチンを溶解させた。この溶液に、界面活性剤としてアルキルナフタレンスルホン酸を10質量%含むイソプロピルアルコールを水100質量部に対して12質量部となるように添加した後、上述したコレステリック液晶組成3種類をそれぞれ水100質量部に対して12質量部となるように添加する。この混合溶液を42℃に保ったまま櫛歯式分散機にて攪拌し、平均分散粒径が5μmの液晶層塗布液1を3種類得る。
この3種類の液晶層塗布液1を例えば特開2003−170097号公報に記載の重層塗布装置に供給し、下層から赤、緑、青の順に積層されるように塗布する。塗布厚さは、乾燥後の赤、緑、青の各層が5μmになるように調整する。図3(d)は液晶シート形成工程24を通過した基板フィルム21の図である。液晶シート36が基板フィルム21の全面に渡って形成されている。
液晶シート除去工程25では、基板フィルム21上全面に形成された液晶シートのうち、第1の電極と第2の電極が重なる部分およびその周辺以外の部分が除去される。つまり外部電極16、外部接続部19および分断線17、18上及びその周辺の液晶シートが除去される。
本実施形態では液晶シートの除去方法としてブレードを用いた方法をとっている。この方法について図4、図5、図6を用いて説明する。
図4の各図は本実施形態に用いられる各種ブレードの形状例を、図5の各図は各種ブレードが使用される状況例を示す図である。図5の各図では、基板フィルム21上に形成されている第1の電極10、外部電極16および第1の絶縁性防水膜12は省略した。その他の要素は図1と同じ番号を付した。
図4(a)は先端が尖ったブレード40で、図5(c)に示すように、傾斜部を押し当て頂部が移動方向の先頭となるように基板に対して相対移動させることにより、液晶シートの位置精度の高い除去を行うことができる。図5(c)において48は除去された液晶シートである。図5(c)ではブレード40を左右から中央へ向けて移動させているが、もちろんブレード40は片側だけを使用してもよい。
図4(b)は先端が平面のブレード41であるが、図5(a)に示すように基板フィルム21に角度を持って当てて、ブレードの先端が移動方向の最後尾となるように矢印49の方向に移動させることで、ブレード40と同様に位置精度の高い除去を行うことができる。
図4(c)に示すブレード42はブレード41の角に丸みを持たせた物で、ブレード41と同様に用いられるが、ブレード41よりも基板フィルム21並びに第1の電極10、外部電極16等、基板フィルム21上の他の要素に与えるダメージが少ない。
図4(d)は先端部が丸いブレード43で、図5(b)の様に基板フィルム21に略垂直に当接させて用いることで、基板フィルム21並びに基板フィルム21上の他の要素へ与えるダメージの少ない除去が可能である。
図4(e)のブレード44は除去した液晶シートを貯める窪み45を有しており、図5(d)に示すように、傾斜部を押し当て頂部が移動方向の先頭となるように基板に対して相対移動させることにより、除去された液晶シート48を窪み45に貯めることが可能である。
図4(f)のブレード46は窪み45および排出口47を有しており、窪み45に貯まった除去された液晶シートを、排出口47を通して排出することができる。ブレード46は図5(e)に示す様に図5(d)と同様に使用し、窪み45に貯まった除去された液晶シート48を、排出パイプ50から吸引して排出する。
図6はブレードを用いて隣り合う液晶表示素子相当部分の間の液晶シートを除去する工程を説明した図である。21は基板フィルムであり、その上面には第1の電極10、外部電極16、第1の絶縁性防水膜11および液晶シート36が形成されているが、図6では第1の絶縁性防水膜11および液晶シート36は省略してある。図6には分断線17、18も示したが、これは実在する線ではなく仮想の線である。矢印60は基板フィルム21の進行方向を示している。61、62、63、64は外部電極周辺除去用のブレードで、外部電極16および縦方向の分断線18を含む領域の液晶シート36を除去する。ブレード61、62、63、64はそれぞれ、矢印65、66、67、68の方向に移動しながら液晶シートの除去を行う。69、70、71は外部接続部周辺除去用のブレードで、外部接続部19(図6には不図示)および分断線17を含む領域の液晶シートを除去する。ブレード69、70、71はそれぞれ矢印72、73、74の方向に移動しながら液晶シートの除去を行う。図6で斜線の部分は、液晶シートが除去された領域を示している。なお、ブレード44、46のような除去された液晶シートの回収手段を有していないブレードを用いる場合は、分断線18付近に来るタイミングで一旦ブレードを基板から離し、図6の縦方向に移動するブレードによって残った液晶シートを除去するようにしてもよい。また、本実施形態ではブレードの材料はテフロン(登録商標)を用いた。しかし、これに限るものではなく、テフロン(登録商標)以外の材料としてはゴム等が使用可能である。
図2へ戻って製造工程の説明を続ける。上述の液晶シート除去工程25を通過した基板フィルム21の形状を図3(e)に示す。液晶シート12が外部電極15、外部接続部19(図3(e)には不図示)、分断線17周辺および18(図3(e)には不図示)周辺領域を除く部分に形成されている。
乾燥工程26では、この基板シートを100℃、30分の条件で乾燥を行う。
第2の液晶シート除去工程27では、上述の第1の液晶シート除去工程25と同様の除去工程を行う。これにより不要な液晶シートは、より確実に除去される。
第2の絶縁性防水膜形成工程28では、第1の絶縁性防水膜形成工程23と同様の工程で厚さ2μmの第2の絶縁性防水膜13を形成する。図3(f)は第2の絶縁性防水膜形成工程28を通過して、絶縁性防水膜(2)が形成された基板フィルム21の図である。
第2の電極形成工程29では、カーボンブラックを混入した銀ペーストをスクリーン印刷法を用いて基板上に印刷し、その後130℃、30分の条件で乾燥を行うことにより第2の電極14の形成を行う。図3(g)は第2の電極形成工程29を通過して基板フィルム21の図である。第2の電極14は液晶シートの上部に形成され、その一部が外部電極16に接続されている。
保護層形成工程30では、上述した黒色のシリコーン系樹脂KE1802(信越化学社製)をスクリーン印刷法で用いて印刷し、その後100℃、30分で乾燥し保護層15を形成する。図3(h)は保護層形成工程30を通過した基板フィルム21の図である。保護層15が、外部電極16の一部、外部接続部19(図3(h)には不図示)、分断線17周辺および18(図3(h)には不図示)周辺領域を除く部分に形成されている。
分断工程31では、保護層形成工程30を通過して必要な要素が全て形成された基板フィルムを、カッターを用いて分断線17、18に沿って分断し、液晶表示素子1が完成する。
なお、完成した液晶表示素子1は、必要で有れば適当な洗浄液および洗浄具を用いた洗浄が行われて出荷され、異方性導電シートなどを用いて外部の電気回路に接続実装されて使用される。
上述したように、本実施形態に係る液晶表示素子の製造方法によれば、液晶シート36を基板フィルム21上に連続的に形成することができる。重層塗布装置は塗布のし始めでは塗布膜に膜厚のばらつきが発生するが、しばらく塗布動作を続けると膜厚の非常に安定した塗布膜の形成が可能である。従って液晶シート36の厚さを各液晶表示素子内においても、また液晶表示素子間においても均一に形成することができるため、駆動電圧および表示特性の均一な液晶表示素子の製造が可能である。また、本実施例によるとロールツーロールで液晶表示素子を製造できるため、簡単な工程で大量の液晶表示素子が製造でき、非常にコストの低い素子を供給することが可能になる。
また、液晶シート除去のためのブレードの材料としてはテフロン(登録商標)を用いたので、液晶シート除去の工程で、基板フィルム21並びに第1の電極10、外部電極16等、基板フィルム21上の他の要素に大きなダメージを与えることがない。ブレードの材料としてはテフロン(登録商標)以外に、ゴムまたはテフロン(登録商標)含有ゴム等を用いてもよい。
なお、液晶シートを除去する領域に外部電極16および外部接続部19を含んでいるので、液晶表示素子1の実装工程前のこの部分の洗浄が容易になる。また、液晶シートを除去する領域に分断線を含む領域を含んでいるので、分断工程で分断位置を示す位置合わせマーク(不図示)が見やすいので、分断工程が容易になる。また、カッターの刃を汚すこともない。
(第2の実施形態)
本発明に係る液晶表示素子の製造方法の第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1の液晶シート除去工程でブレードによる除去ではなく、エアナイフによる除去を行うことにあり、その他の工程は第1の実施形態と同じである。エアナイフとは狭いスリットから噴出させた高圧の空気のことであり、対象物に付着した液体状のものを吹き飛ばして除去する目的に用いられている。ただし、エアナイフが本発明に用いられる場合は、除去される液晶シートの粘度が高いので、これを基板フィルム表面から吹き飛ばしてしまうことはなく、除去された液晶シートは空気の流れの下流方向に押しやられて貯まることになる。従って、後の第2の液晶シート除去工程は、この貯まった液晶シートを除去する工程を含んでいる。
第7図にエアナイフを用いた第1の液晶シート除去工程を示す。21は基板フィルムであり、その上面には第1の電極10、外部電極16、絶縁性防水膜11および液晶シート36が形成されているが、図7では絶縁性防水膜11および液晶シート36は省略してある。図7には分断線17、18も示したが、これは実在する線ではなく仮想の線である。矢印80は基板フィルム21の進行方向を示している。81は外部電極周辺除去用のエアナイフで、外部電極16および縦方向の分断線18を含む領域の液晶シート36を除去する。エアナイフ81は、矢印82の方向に移動しながら液晶シートの除去を行う。83、84、85は外部接続部周辺除去用のエアナイフで、外部接続部19(図7には不図示)および分断線17を含む領域の液晶シートを除去する。エアナイフ83、84、85はそれぞれ矢印86、87、88の方向に移動しながら液晶シートの除去を行う。図7で斜線の部分は、液晶シートが除去された領域を示している。
上述したように、本実施形態ではエアナイフを用いて第1の液晶シート除去工程を行うが、エアナイフはその特徴として、対象物に触れることなく異物の除去を行うことができる。従って、本実施形態の第1の液晶シート除去工程においても、基板フィルム21に触れることなく不要な液晶シートの除去を行うことができるので、この工程において基板フィルム21並びに第1の電極10、外部電極16等、基板フィルム21上の他の要素に与えるダメージが少ないという特徴がある。また、エアナイフを用いた液晶シート除去工程ははその工程の特性上、液晶フィルムを完全に吹き飛ばしてしまうことはなく、一方に押しやることになる。この押しやられた液晶シートは、後の第2の液晶シート除去工程で除去されることになっているが、若干の残留物が残る可能性もある。従って液晶シート除去工程におけるエアナイフの移動は、第2の電極形成領域、第2の絶縁性防水層形成領域および保護層形成領域など、その部分に液晶シートが残留していては第2の液晶シート除去工程より後の液晶表示素子の製造工程の障害になってしまう場所から、外部電極領域、外部接続部領域および基板フィルム以外の液晶表示素子の構成要素の無い領域など、液晶シートの残留物が残っていても第2の液晶シート除去工程より後の液晶表示素子の製造工程に障害とならない場所へ向けて行うことが好ましい。
(第3の実施形態)
本発明に係る液晶表示素子の製造方法の第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第2の液晶シート除去工程でブレードによる除去ではなく、レーザー照射による除去を行うことにあり、その他の工程は第1の実施形態と同じである。使用するレーザーはYAGレーザーの第三高調波(波長355nm)を使用し、スポット径を1mmに絞った物である。このレーザービームをスキャンしながら除去すべき液晶シートに照射し、そのレーザーアブレーション(非熱発生的)加工現象により、液晶シートを気化させて除去する。なお、第2の液晶シート除去工程は気化した液晶シートを排気するための排気装置を備えている。
第8図にレーザーを用いた第2の液晶シート除去工程を示す。21は基板フィルムであり、その上面には第1の電極10、外部電極16、絶縁性防水膜11および液晶シート36が形成されているが、図8では絶縁性防水膜11および液晶シート36は省略してある。図8には分断線17、18も示したが、これは実在する線ではなく仮想の線である。矢印90は基板フィルム21の進行方向を示している。91は外部電極周辺除去用のレーザービームで、外部電極16および縦方向の分断線18を含む領域の液晶シート36を除去する。レーザービーム91は、矢印92の方向に移動しながら液晶シートの除去を行う。93、94、95は外部接続部周辺除去用のレーザービームで、外部接続部19(図8には不図示)および分断線17を含む領域の液晶シートを除去する。レーザービーム93、94、95はそれぞれ矢印96、97、98の方向に移動しながら液晶シートの除去を行う。図8で斜線の部分は、液晶シートが除去された領域を示している。
上述したように、本実施形態ではレーザーを用いて第2の液晶シート除去工程を行うが、レーザーはその特徴として、対象物に触れることなく異物の除去を行うことができる。また、レーザー出力を適当に調節することにより、基板フィルム21にダメージを与えることなく、液晶シートの除去を行うことが可能である。従って、本実施形態の第2の液晶シート除去工程においても、基板フィルム21に触れることなく不要な液晶シートの除去を行うことができるので、この工程において基板フィルム21ならびに第1の電極10、外部電極16等、基板フィルム21上の他の要素に与えるダメージが少ないという特徴がある。
また、本実施形態ではレーザーを用いて液晶シートの除去を行うため、液晶シートの有る部分と無い部分との境目の位置精度が高くなる、従って液晶表示素子の他の要素との位置あわせの余裕を小さくできるので、液晶表示装置を小型にすることが可能である。素子間の距離を小さくできるので除去する液晶シートの量を少なくすることもできる。
本実施形態では、4つのレーザービーム91、92、93および94を用いて液晶シートの除去工程を行ったが、この工程はレーザービーム91のみを用いて行うようにすることも可能である。すなわち、レーザービーム91のスキャン幅と位置を可変とすることで、レーザービーム93、94および95のスキャン幅と位置に対応したスキャンさせることが可能となる。
(第4の実施形態)
本発明に係る液晶表示素子の製造方法の第4の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、一旦形成した液晶シートの不要な部分をブレードによって除去するのではなく、基板フィルム21に、液晶シートを形成する部分のみ穴を開けたマスクを重ねてから液晶シートを形成した後、マスクを剥がして不要な部分の液晶シートを取り去ることにある。従って本実施形態では、第1の実施形態の第1の液晶シート除去工程および第2の液晶シート除去工程が不要になる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置の製造方法の工程は図9に示すようになる。図9で第1の実施例と同じ工程は同じ番号を付した。21は基板フィルム、20は基板フィルムを供給するフィルムロール、22は電極パターンニング工程、23は第1の絶縁性防水膜形成工程、100は液晶シート形成工程、26は乾燥工程、28は第2の絶縁性防水膜形成工程、29は第2の電極形成工程、30は保護層形成工程、31は分断工程である。各工程の間にある32は、スピードの異なる各工程がうまく同期して動く様に基板フィルムに余裕を持たせたバッファ領域である。
本実施の形態では、第1の絶縁性防水膜形成工程23までの製造工程は、第1の実施形態と同じであり、第1の防水性絶縁膜11が形成された基板フィルム21が液晶シート形成工程100に投入される。
液晶シート形成工程100では、以下に図10を用いて説明するように液晶シートを形成する。図10で、21は基板フィルムで、矢印108の方向に移動する。101は液晶シートを形成する部分のみ穴を開けた、粘着性のあるPETフィルムによるマスクであり、マスク供給ロール102から供給され、基板フィルム21に粘着して、基板フィルム21と同じスピードで矢印109の方向に移動して、マスク巻き取りロール103に巻き取られる。104は重層塗布装置のヘッドであり、スリット状の隙間(不図示)から薄い層状になった3層分(3色分)の液晶層塗布液1(105は赤、106は緑、107は青)が供給されて、3層の液晶シートが同時に、マスクをされた基板フィルム21上に重層塗布される。液晶層塗布液1の重層塗布後は、マスク101がマスク巻き取りロール103巻き取られて、必要な部分のみ液晶シート13が形成された基板フィルム21が完成する。なお、巻き取られたマスク101は、廃棄してもよいし、洗浄して再度用いることもできる。
前記の液晶シート13が形成された基板フィルム21は、次の乾燥工程26へ送られ液晶シート13の乾燥を行った後、第2の絶縁性防水膜形成工程28へ送られる。これ以降の製造工程は第1の実施形態と同じである。
上述するように、本実施形態によるとマスクにより液晶シートの形状を決定するため、液晶シートの有る部分と無い部分との境目のエッジがはっきりする。従って液晶表示素子の他の要素との位置あわせの余裕を小さくできるので、液晶表示装置を小型にすることが可能である。
上述のように本発明によれば、液晶表示素子を多面取りする基板に対し、技術的に確立している重層塗布法、または単層の液晶シートの場合にはダイコーター法等の厚膜コーティング法を用いて、液晶シートを液晶表示素子の複数個に渡って一旦塗布した後、不要な部分の液晶シートを除去するため、膜厚の均一な液晶シートを効率良く形成することができる。従って、駆動電圧および表示特性の均一な液晶表示素子を低コストで提供することができる。また、上述した実施形態のごとく重層塗布法によれば複数層の液晶シートを一度の工程で形成することが可能なため、特に生産効率を高くすることができる。
また、上述した実施形態ではロールツーロール法に近い連続的な製造方法のみについて述べたが、本発明はこれに限定されたものではなく、多面取りを行う枚葉式の生産方法にも応用することができる。
なお、上述した実施形態では液晶シートの除去方法として、ブレードを用いた方法と他の方法との組み合わせについてだけ説明した。しかし、この組み合わせは上述したものに限定されるものではなく、他の組み合わせも可能である。たとえば、第1の液晶シート除去工程ではエアナイフを用い、第2の液晶シート除去工程ではレーザーを用いることも可能である。このようにすれば、液晶シートの有る部分と無い部分の境目の位置精度の低いエアナイフで除去した後、レーザーを用いて位置精度を高く加工することができる。レーザーはこの他、マスクを用いて形成した液晶シートの位置ずれを修正するのにも利用できる。また、第2の液晶シート除去工程では上述した以外に、洗浄液を用いた洗浄を行って残留している不要な液晶シートの除去を行ってもよい。
第4実施形態では、粘着性の樹脂フィルムによるマスクを用いたが、生産方法をロールツーロールに近い連続的な製造方法ではなく枚葉式にした場合は、粘着性のないフィルムをマスクとして用い、位置ずれを起こさないように、機械的にマスクと基板フィルムを固定する方法をとることもできる。
なお、第1の実施形態乃至第4の実施形態においては、製造する液晶表示素子としては図1に示す液晶表示素子1としていた。しかし、本発明を用いて製造する液晶表示素子はこの形態に限定するものではなく、図11および図12に示すもの等でもかまわない。
図11は液晶表示素子2の断面図である。同図で液晶表示素子1と同様の機能を持つ要素には同じ番号を付した。液晶表示素子2が液晶表示素子1と異なるのは、液晶表示素子1では第2の電極を外部の回路に接続するのに、第1の電極10と同時に形成した外部電極16を用いていたのに対し、液晶表示素子2では第2の電極を保護層15の外側まで延長して、外部接続部111とした点である。
図12は液晶表示素子3の断面図である。同図で液晶表示素子1と同様の機能を持つ要素には同じ番号を付した。液晶表示素子3が液晶表示素子1と異なるのは、絶縁性防水層1および絶縁性防水層2を持たない点である。絶縁性防水層の目的は液晶シートに含まれる水分から電極を守ることであるから、水分を含まない液晶シートを使用する場合または液晶シート自身が高絶縁性を有し電圧を印加しても電流が流れない場合には、液晶表示素子3のように絶縁性防水層を省略することが可能である。これにより、液晶製造工程が簡単になって、製造コストを低く抑えることができ、製造歩留まりも上がる。また、駆動電圧の低い液晶表示素子を供給することが可能になる。
第1実施形態及び第2実施形態において、除去工程後に液晶シートのエッジ部分の厚みが不均一になるのを防止するために、ブレードやエアナイフによる液晶シートの除去前に、除去対象部分と残す部分との間に切れ目を入れるようにしてもよい。例えば、ブレードの形状を工夫し、刃先が進行方向に向いたナイフ部を両端に設けたブレードとしてもよい。
また、各実施形態において、液晶シートは、液晶表示領域において均一な厚みが確保されておれば表示動作には特に問題がないので、液晶シートのエッジ部の厚みが除去工程で多少増減することを見込んで素子の位置や除去対象領域を設定するようにしてもよい。
また、各実施形態において、除去によって液晶シートのエッジ部の厚みが増減しにくくなるように、除去工程前に液晶シートが基板から離れるのを妨げない程度に軽く乾燥してもよい。
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子の図である。 本発明の第1の実施形態に係る製造工程を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程および液晶表示素子を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程に用いるブレード示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程に用いるブレード示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る液晶表示素子の製造工程を示す図である。 本発明に係る液晶表示素子の他の実施形態を示す図である。 本発明に係る液晶表示素子の他の実施形態を示す図である。 本発明に係る絶縁性防水膜の試験方法を示す図である。
符号の説明
1、2、3 液晶表示素子
9 基板
10 第1の電極
11 第1の絶縁性防水膜
12 液晶シート
13 第2の絶縁性防水膜
14 第2の電極
15 保護層
16 外部電極
17、18 分断線
19 外部接続部
21 基板フィルム

Claims (12)

  1. 基板の上部に、第1の電極と、バインダおよび前記バインダに分散した液晶を含む液晶層と、第2の電極とをこの順に積層した液晶表示素子の製造方法において、
    複数の液晶表示素子相当部分を含む領域全体を対象にして液晶層を形成する工程と、
    前記液晶層を形成する工程後に前記液晶層の一部が除去された状態にする工程と、
    一部が除去された液晶層を有する前記基板を複数に分断する工程とを含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  2. 前記第1の電極と液晶層の間に第1の絶縁性防水膜を形成する工程と、
    前記液晶層と第2の電極の間に第2の絶縁性防水膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
  3. 前記基板を複数に分断する工程の前に、前記第2の電極を形成する工程および第2の電極を覆う保護層を形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示素子の製造方法。
  4. 前記基板を複数に分断する工程の前に、前記第2の絶縁性防水膜を形成する工程、第2の電極を形成する工程および第2の電極を覆う保護層を形成する工程から選ばれる少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示素子の製造方法。
  5. 前記第1の電極および第2の電極のうち少なくとも一方は、外部回路との接続端子を有し、
    前記液晶層の一部を除去する工程において前記液晶層を除去する領域は、前記基板を複数に分断する領域、前記接続端子の領域、第2の電極を形成する領域、絶縁性防水膜を形成する領域および保護層を形成する領域のうち少なくとも一つの領域であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
  6. 前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、ブレードを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
  7. 前記ブレードは、構成材料にゴムおよびテフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも1種類の組成物を含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示素子の製造方法。
  8. 前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、エアナイフを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
  9. 前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、レーザーを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
  10. 一部に開口部を有したマスクを前記基板に密着させた後、複数の液晶表示素子相当部分を含む領域全体を対象にして前記液晶層を形成する工程を有し、
    前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、前記液晶層が形成された基板から前記マスクを剥離する工程であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
  11. 前記液晶層の一部が除去された状態にする工程は、下記(a)乃至(e)のうち、少なくとも2つを用いて前記液晶層の一部を除去することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
    (a)ブレード
    (b)構成材料にゴムおよびテフロン(登録商標)から選ばれる少なくとも1種類の組成物を含むブレード
    (c)エアナイフ
    (d)レーザー
    (e)液晶層を形成するときに基板に密着させたマスク。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法で製造されたことを特徴とする液晶表示素子。
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