JP2006132751A - 自動調心ころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐水素疲労特性に優れた鋼材からなる自動調心ころ軸受を提供する。
【解決手段】 内輪4および外輪3の一方の軌道面を球面状にした自動調心ころ軸受10の内輪4、外輪3およびころ2の少なくとも1つの部材が、合金元素として少なくともVを含有し、かつ転動接触を受ける表面および表層におけるC、Si、Mn、Cr、Vの含有量が、それぞれC:0.5質量%以上1.2質量%以下、Si:0.1質量%以上1質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.5質量%以下、Cr:0.1質量%以上2質量%以下、V:0.1質量%以上の範囲内にある組成の鋼材よりなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄鋼設備や抄紙機などに用いられる自動調心ころ軸受に関し、その特異な構造および使用条件に起因し、水素によって誘発される早期剥離を抑制するものである。
鉄鋼設備や抄紙機などに用いられる自動調心ころ軸受は、一方の軌道輪(通常は外輪)の転走面が球面状に形成され、その球面の中心が軸受中心と一致している。このため、軸受の回転部分の中心軸と静止部分(ハウジングなど)の中心軸とにミスアラインメントがあっても順応することができ、ハウジングの加工や高荷重による軸のたわみなどに起因して外輪と内輪とに傾きのある場合に効果的に使用することができる。
自動調心ころ軸受は、上記球面状の起動面に基づくその調心性のために外輪と内輪とに傾きのある場合に効果的に使用でき、ラジアル荷重、両方向のアキシャル荷重およびこれらの合成荷重を負荷する能力が大きい。このため、圧延機などの鉄鋼設備、抄紙機、建設機械など、振動、衝撃などの高荷重を受ける用途に用いられる。自動調心ころ軸受は、上記の構造上の理由および上記高荷重用途での高荷重によって発生するたわみなどにより、ころと軌道輪との転がり接触表面に大きな差動すべりが作用する。また、上記高荷重が作用する製鉄用圧延機等で用いられる場合、外部からスケールなどの異物を噛み込むことがある。それにより転走面に圧痕が形成されるが、その周辺には高い接触圧力が作用し、かつ潤滑油膜が薄くなる。これらの影響により、転がり接触表面で潤滑油が分解し、水素が発生する。また、設備を冷却したり洗浄したりするための水が軸受内部に浸入することがある。水が軸受内部に浸入すると、その水が転がり接触によって分解し、水素が発生する。
上記の原因で発生した水素が軸受部材を構成する鋼の中に侵入すると、早期にはく離が生じることがある。水素は鋼の疲労強度をいちじるしく低下させるため、実用条件下で容易に転がり接触表面またはその直下の表層内部からき裂が発生して早期はく離にいたる。この早期はく離の多くは、大きなすべりが発生したときに転がり接触表面に作用する周方向の引張応力が原因で生じると考えられる。上記周方向の引張応力は荷重とともに大きくなり、上記高荷重用途では早期はく離の抑制が大きな課題として提示されている。今後、上記用途の自動調心ころ軸受の使用条件(応力(小型化)、回転速度、差動すべりなど)はさらに厳しくなる傾向にあり、したがって、耐早期はく離特性に優れる自動調心ころ軸受が必要とされる。
鋼材の耐水素疲労特性を向上させるために、鋼材にCr(クロム)を多く含有させることで鋼表面に不動態膜を形成し、鋼中への水素の侵入を抑制する技術が提案されている(特許文献1)。しかし、Crの含有量が高いため炭化物が粗大化して、それが応力集中源となって早期はく離を生じることがある。また、不動態膜は水素の拡散を遅くする効果はあるが、発生した水素が鋼表面に吸着するのを促進する効果も併せ持つ。このため、起動と停止とが頻繁に行われる場合、停止時に水素が散逸するので、鋼中への水素の侵入を遅らせるという点で早期はく離の抑制には一応有効であろう。しかしながら、連続して使用される場合には、不動態膜が多くの水素を吸着する分、鋼中に侵入する水素量が増すため、早期はく離を抑制することは難しい。
特開2000−282178号公報
本発明は、上記のような問題を解決するものであって、自動調心作用をもたらす構造およびそれが用いられる高荷重使用条件下において耐早期はく離特性に優れた鋼材からなる自動調心ころ軸受を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、種々の組成のずぶ焼入れ鋼、浸炭鋼、および高周波焼入れ鋼(中炭素鋼)に対して、後述する疲労強度に及ぼす水素の影響を評価した結果、少なくともV(バナジウム)を含有し、かつC(炭素)、Si(シリコン)、Mn(マンガン)、Cr、Vの含有量が、それぞれC:0.5質量%以上1.2質量%以下、Si:0.1質量%以上1質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.5質量%以下、Cr:0.1質量%以上2質量%以下、V:0.1質量%以上の範囲内にある組成の鋼材であれば、耐水素疲労特性(耐早期はく離特性)が大幅に向上することを見出した。
このため本発明の自動調心ころ軸受は、内輪および外輪の一方の転走面を球面状にした軸受であって、内輪、外輪および転動体であるころの少なくとも1つの部材が、合金元素として少なくともVを含有し、かつ転動接触を受ける表面および表層におけるC、Si、Mn、Cr、Vの含有量が、それぞれC:0.5質量%以上1.2質量%以下、Si:0.1質量%以上1質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.5質量%以下、Cr:0.1質量%以上2質量%以下、V:0.1質量%以上の範囲内にある組成の鋼材よりなることを特徴とするものである。上記球面状の転走面を有する内輪または外輪に接するころは、その球面上を転動する外形を有する必要があり、また上記球面の転走面とともにころを挟む他方の軌道輪の転走面は、上記ころの外形に適合した転走面の形状を有する必要がある。
V炭化物は疲労強度の低下を招く拡散性水素を強力にトラップし、はく離の起点になる非金属介在物などの応力集中源への拡散性水素の集積を抑制する効果がある。通常、転動部品の転動接触部には高硬度が要求されるため、焼入れした後に低温焼戻しして用いられる。Vは少量の添加であっても焼入れ加熱時もしくは浸炭時にV炭化物として安定に存在するため、焼入れした後に低温焼戻してもV炭化物が残存する。Mo(モリブデン)炭化物やTi(チタン)炭化物もV炭化物ほどではないものの同様の効果がある。しかしながら、Moは大量に添加しないと焼入れ加熱時もしくは浸炭時ではMo炭化物としては存在せず母地に溶けてしまうため、焼入れした後に低温焼戻しした状態ではMo炭化物は残存しない。Tiは窒素との親和性が強く、非金属介在物の1つであるTi窒化物を形成するため、剥離の起点となる応力集中源が増えることになる。なお、Vは素材硬さを高める欠点があるので、中炭素鋼のように焼鈍せずに用いる鋼材の場合は、Vを多く添加しすぎると加工性が損なわれる。そのため、必要とされる他の合金元素の添加量との兼ね合いで、それぞれの添加量を適当に調整する必要がある。また、窒素を含むV炭化物はV炭窒化物と呼ばれる場合があるが、本説明では窒素を含む場合もV炭化物という。
C量の下限を0.5質量%としたのは、高周波焼入れ鋼は通常中炭素鋼であるが、C量が0.5質量%未満では高周波焼入れ後に転動接触部に必要とされる硬度が得られなくなるためである。一方、C量の上限を1.2質量%としたのは、ずぶ焼入れ鋼の場合、焼入れ焼戻し後に残存する未溶解炭化物が粗大化し、靭性が低下するためである。なお、ここで言うC量とは、転動接触を受ける表面および表層におけるC量のことであり、浸炭鋼の場合には浸炭後の表層のC量を指す。
Si量の下限を0.1質量%としたのは、もともとSiは鋼中に含まれるもので、それ未満に減らすこと自体が困難であり、そうすることの意味もないからである。Siは焼戻しによる軟化を抑える効果があり、高温用途で用いる安価な鋼材には欠かせない。しかし、1質量%を超えると冷間加工性、熱間加工性が低下するので、それを上限とした。
Mn量の下限を0.1質量%としたのは、Mnは鋼中に不可避に含まれるSと化合してMnSを析出するため、Sの粒界偏析を抑制するためである。また、Siと同様にMnももともと鋼中に含まれるものなので、それ未満に減らすこと自体が困難であり、そうすることの意味もないからである。Mnは鋼材の焼入れ性を向上させる有効な元素である。しかし、Mnはセメンタイト中にFe(鉄)原子と置換して複合炭化物を形成し、素材硬度を上昇させるので、添加しすぎると加工性や被削性が低下する。そのため、Mn量の上限は1.5質量%とした。
Cr量の下限を0.1質量%としたのは、それ未満程度の量は不純物として含まれ、それを取除くことで各種機械的特性が向上することはないためである。一方、多量に添加することで炭化物が粗大化するため、それが応力集中源となって早期剥離が生じることがある。また、鋼表面に生成するCrを含む不動態膜(Cr酸化物膜)は水素の拡散を遅くする効果はあるが、発生した水素が鋼表面に吸着するのを促進する効果も併せ持ち、連続使用の場合、必ずしも有効ではないためである。したがって、Cr量の上限は2質量%とした。
C、Si、Mn、Crの個々の上下限を設定した根拠は上記のとおりだが、それらの組合せについて注意すべきことが2つある。1つは、Siは高温でもフェライトを安定にするため、C量が亜共析の範囲で、かつSi量が多い場合にはA3点が上昇するため、MnとCrの量によっては焼入れ加熱温度が低すぎると焼入れ不足になることである。もう1つは、MnやCrは低温でもオーステナイトを安定にするため、C量が下限もしくは上限で、かつMnやCrの量が多い場合には、焼入れ加熱温度もしくは浸炭温度が高すぎるとV炭化物が安定に存在しなくなることである。なお、これらの確認には多元系合金の平衡状態図を用いればよい。現在では、多元系合金の平衡状態図を計算により精度よく容易に求めることができる。
また、本発明の自動調心ころ軸受では、ドリルによる穴あけ加工性を有することが望ましい。このため、本発明の自動調心ころ軸受においては、上記特性を有する内輪、外輪および転動体の少なくとも1つの部材が、Si、Mn、V、Moの含有量(質量%)から(1)式で求まるHが(2)式を満たす鋼材であることが好ましい。
H=5.8[Si]+11.5[Mn]+56.2[V]+15.2[Mo]………………(1)
H≦70…(2)
なお、鉄鋼設備や抄紙機などに用いられる自動調心ころ軸受は、外部からスケールなどの異物を噛み込むことがある。異物圧痕周辺に作用する応力集中によって促進される早期はく離については、浸炭窒化処理を施して残留オーステナイト量を増やすことでそれに対する改善を得ることができる。すなわち、本発明の自動調心ころ軸受においては、上記少なくとも1つの部材を浸炭窒化処理することが好ましい。
自動調心ころ軸受の内輪、外輪およびころの少なくとも1つに、上記のV炭化物を含む鋼材を用いることにより、自動調心ころ軸受に特有の用途において水素侵入に起因する早期はく離を防止することができる。さらに上記部材に浸炭窒化処理を施して残留オーステナイト量を増大させることにより、圧痕形成によって促進される早期はく離を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における自動調心ころ軸受を示す部分断面図である。図1を参照して、自動調心ころ軸受10は、転動体である複数のたる形のころ2と、そのころ2と接触する内輪4および外輪3とを備えている。ころ2は内輪4と外輪3との間で保持器5によって保持され、また案内輪6によってその端面が案内されている。案内輪6は、温度上昇を低く抑えるため、回転中のころの傾きを小さく安定にすること(姿勢制御)を目的に使用される。姿勢制御を安定にできれば、案内輪は用いなくてもよい。すなわち、ころを案内するためのつばが内輪と一体になった構造、軌道輪と別体のころ案内輪が内輪側および/または外輪側に付いた構造、案内輪をとくに配置しない構造などであってもよい。
外輪3の転走面3aは球面状であり、その球面の中心が軸受中心に一致するため調心性が生じる。上記複列のころ2は、上記外輪の球面状の転走面に適合するために、上述のように、たる形である。したがって、内輪4の転走面は、上記たる形状のころ2と適合するため、たる形状のころと転がり接触する形状を有する。上記たる形状のころと転走面とに、高荷重による大きなたわみが生じ、このたわみ発生の際、また上記たわみによる心違いを自動調心する際などに大きな差動すべりが発生し、潤滑油および/または水から水素が生じ、その水素が鋼材中に侵入して早期はく離の原因となる。
本発明の実施の形態における自動調心ころ軸受では、ころ2、外輪3および内輪4のうちの少なくとも1つの部材が、合金元素として少なくともVを含有し、かつ転動接触を受ける表面層(表面および表層)におけるC、Si、Mn、Cr、Vの含有量が、それぞれC:05質量%以上1.2質量%以下、Si:0.1質量%以上1質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.5質量%以下、Cr:0.1質量%以上2質量%以下、V:0.1質量%以上の範囲内にある組成である鋼材よりなっている。
本実施の形態によれば、ころ2、外輪3および内輪4のうちの少なくとも1つの部材が上記の要件を備えた鋼材よりなることにより、耐水素疲労特性に優れた自動調心ころ軸受を得ることができる。
また、ドリル加工などの加工性を確保するため、ころ2、外輪3および内輪4のうちの少なくとも1つの部材が上記の要件を備えた鋼材よりなるとともに、Si、Mn、V、Moの含有量から(1)式で求まるHが(2)式を満たす鋼材であることが好ましい。
H=5.8[Si]+11.5[Mn]+56.2[V]+15.2[Mo]………………(1)
H≦70…(2)
また、本発明の自動調心ころ軸受においては、上記少なくとも1つの部材を浸炭窒化処理することができる。この結果、残留オーステナイトが増加して、上述のように、スケール噛み込みの圧痕周辺に形成される応力集中によって促進される早期はく離を防止することができる。
なお上記の実施の形態においては、自動調心ころ軸受として、外輪の転走面が球面状の軸受について説明したが、本発明の自動調心ころ軸受はこれに限られず、内輪の転走面が球面状であってもよい。また、ころは2列のものについて説明したが、単列または3列以上であってもよい。また、案内輪については、回転中のころの傾きを小さく安定にできれば、上述のようになくてもよい。また、ころは、径最大のたる中央から両端に向かって対称に径が小さくなる対称形状についてのみ説明したが、径最大部分は端面に偏っていてもよいし、非対称形であってもよい。本発明のハブ軸受の上記Vを含む少なくとも1つの部材は、上記化学組成範囲を満たしていればよく、ミクロ組織はどのようなものであってもよく、例えば表層部のみ高周波焼入れされ、内部は鍛造後放冷されフェライト+パーライト組織でもよい。また、表層部が浸炭窒化処理や浸炭処理がなされたあと表層部も含めて全体が焼入れされた組織であってもよい。焼入れ後に焼戻されていてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
1.軸荷重疲労試験
表1に示すA−1〜A−10の発明鋼とA−11〜A−20の比較鋼とから、試験部直径が4mmの疲労試験片を製作し、表1中に示した焼入れ加熱温度からずぶ焼入れした後、180℃で焼戻しを施した。表1に熱処理後の硬さを示したように、いずれもHV700以上の硬度を有していた。表1中のHの値はSi、Mn、V、Moを上記(1)式に代入して求まる値である。表1中のV炭化物の欄には、焼入れ加熱温度においてV炭化物が安定に存在するならば「〇」、Vの添加量が少ないため母地に溶けてしまう、もしくはVを含まなければ「×」を示した。なお、比較鋼A−11はJIS−SUJ2であり、比較鋼A−12はJIS−SUJ3である。
Figure 2006132751
表2に示すB−1〜B−4の発明鋼とB−5〜B−10の比較鋼とから、試験部直径が4mmの疲労試験片を製作し、試験部のC濃度が内部まで均一に0.8質量%となるように、表2中に示した浸炭温度で浸炭し、適切な焼入れ加熱温度に下げてから焼入れし、180℃で焼戻しを施した。表2に示す炭素濃度は、浸炭処理前の値であり、浸炭処理後の炭素濃度は、発明鋼、比較鋼ともに0.8質量%レベルになっている。表2に熱処理後の硬さを示したように、いずれもHV700以上であった。表2中のHの値はSi、Mn、V、Moを上記(1)式に代入して求まる値である。表2中のV炭化物の欄には、浸炭温度においてV炭化物が安定に存在するならば「〇」、Vの添加量が少ないため母地に溶けてしまう、もしくはVを含まなければ「×」を示した。なお、比較鋼B−5はJIS−SCM420である。
Figure 2006132751
表3に示すC−1〜C−5の発明鋼とC−6〜C−12の比較鋼とから、試験部直径が4mmの疲労試験片を製作し、試験部が内部まで均一に硬化するように、表3中に示した焼入れ加熱温度を狙って高周波加熱してから焼入れし、150℃で焼戻しを施した。表3に熱処理後の硬さを示したように、いずれもHV700以上であった。表3中のHの値は、Si、Mn、V、Moを上記(1)式に代入して求まる値である。表3中のV炭化物の欄には、浸炭温度においてV炭化物が安定に存在するならば「〇」、Vの添加量が少ないため母地に溶けてしまう、もしくはVを含まなければ「×」を示した。なお、比較鋼C−6はJIS−S53Cである。
Figure 2006132751
疲労試験に先立ち、試験片に陰極電解法により水素チャージを施した。水素チャージには、1.4g/リットルのチオ尿素を添加した0.05mol/リットルの希硫酸水溶液を用いた。鋼種によって水素の拡散速度が異なり、また鋼種が異なると同じ電流密度でも表面の水素濃度が異なる。それらを予め求めておいた上で、電流密度とチャージ時間とを調整し、試験部の内部まで拡散性水素量が均一に3質量−ppmとなるようにした。なお、ここで言う拡散性水素量とは、180℃/hで昇温したときに常温から350℃までに放出される水素質量のサンプル質量に対する分率のことである。
試験片に水素チャージした後、直ちに常温大気中で疲労試験を行なった。試験における応力比はR=−1であり、負荷周波数20kHzである。負荷回数が108回に達しても未破断であった場合は試験を打切った。なお、試験片に導入された拡散性水素は、常温でも鋼中を拡散し、時間がたてば散逸してしまう。しかし、今回行なった試験は高速負荷であり、極短時間で負荷回数が108回に達するので、拡散性水素が散逸する余地がない。したがって、疲労強度に及ぼす拡散性水素の影響を合理的に評価することができる。
表4に、ずぶ焼入れ鋼のSN線図の回帰曲線から求めた107回強度を示す。V炭化物が焼入れ加熱温度において安定に存在する発明鋼は、そうでない比較鋼に対して107回強度が高かった。表5および表6に、それぞれ浸炭焼入れ鋼、高周波焼入れ鋼のSN線図の回帰曲線から求めた107回強度を示す。これらの場合もずぶ焼入れ鋼の場合と同様に、V炭化物が焼入れ加熱温度において安定に存在する発明鋼は、そうでない比較鋼に対して107回強度が高かった。
Figure 2006132751
Figure 2006132751
Figure 2006132751
転動部品の実用最大接触面圧は高くとも4GPa程度であり、4GPaの最大面圧が作用したときに転動表面に繰返し作用する周方向の引張り応力は、転がり摩擦を考慮しても計算上700MPa程度である。また、今回の疲労試験では、3質量−ppmの拡散性水素を強制的に導入した影響を見たが、実際にはそれほど多量の水素が侵入するのはごく稀なケースと考えられる。すなわち、107回強度が700MPa以上であれば実用に十分に耐え得るものと考えられる。この観点から表1〜表3の発明鋼の107回強度を見ると、いずれの発明鋼も107回強度は700MPa以上である。一方、比較鋼の107回強度はすべて700MPa未満である。したがって、合金元素として少なくともVを含有し、かつ焼入れ加熱温度もしくは浸炭温度においてV炭化物が安定に存在することが、耐水素疲労強度を良好に保つために必要条件と言える。
2.加工性確認試験
上記のように、Vの添加は耐水素疲労強度の向上に不可欠である。しかし、Vを多量に添加しすぎると加工性が損なわれる。そこで、加工性を確認するため、表1の発明鋼および比較鋼を同一条件で球状化焼鈍した後、厚さ10mmの試験片を製作した。それに直径2mmのドリルで一定条件で穴をあけ、ドリルが折れるまでに空けられる穴の数を調べた。図2に表1のHの値と空いた穴の数との関係を示す。
図2を参照して、Hの値が70程度以下ではドリルの寿命は緩やかに低下し、それを超えると急激に寿命は低下した。上記(1)式からわかるように、Vの添加量はHの値の上昇に対する寄与が最も大きい。したがって、耐水素疲労特性と加工性とのバランスを良好に保つためには、むやみにVを添加しすぎず、かつSi、Mn、Moの添加量を適正に調整することで、Hの値が70以下となるようにすることが望ましい。
上記より転動接触を受ける表面および表層におけるC、Si、Mn、Cr、Vの含有量が、それぞれC:0.5質量%以上1.2質量%以下、Si:0.1質量%以上1質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.5質量%以下、Cr:0.1質量%以上2質量%以下、V:0.1質量%以上の範囲内にある組成の鋼材であれば、目的とする耐早期はく離特性を得ることができる。またVの含有量は2.0質量%以下であることが好ましい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、その特異な構造および使用条件から潤滑油の分解などにより転動表面で発生する水素が侵入することによって生じる早期剥離を抑制できる自動調心ころ軸受に適用され得る。
本発明の一実施の形態における自動調心ころ軸受を示す部分断面図である。 表1のHの値と空いた穴の数との関係を示す図である。
符号の説明
2 ころ(転動体)、3 外輪、3a 外輪の転走面、4 内輪、5 保持器、6 案内輪、10 自動調心ころ軸受。

Claims (3)

  1. 内輪および外輪の一方の転走面を球面状にした軸受であって、
    内輪、外輪および転動体であるころの少なくとも1つの部材が、合金元素として少なくともVを含有し、かつ転動接触を受ける表面および表層におけるC、Si、Mn、Cr、Vの含有量が、それぞれC:0.5質量%以上1.2質量%以下、Si:0.1質量%以上1質量%以下、Mn:0.1質量%以上1.5質量%以下、Cr:0.1質量%以上2質量%以下、V:0.1質量%以上の範囲内にある組成の鋼材よりなることを特徴とする、自動調心ころ軸受。
  2. 前記内輪、前記外輪および前記ころの少なくとも1つの前記部材が、Si、Mn、V、Moの含有量から(1)式で求まるHが(2)式を満たす鋼材であることを特徴とする、請求項1に記載の自動調心ころ軸受。
    H=5.8[Si]+11.5[Mn]+56.2[V]+15.2[Mo]…(1)
    H≦70…(2)
  3. 前記少なくとも1つの部材が浸炭窒化処理されている、請求項1または2に記載の自動調心ころ軸受。
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