JP2006131574A - ポルフィリン化合物の製造方法 - Google Patents

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JP2006131574A JP2004323950A JP2004323950A JP2006131574A JP 2006131574 A JP2006131574 A JP 2006131574A JP 2004323950 A JP2004323950 A JP 2004323950A JP 2004323950 A JP2004323950 A JP 2004323950A JP 2006131574 A JP2006131574 A JP 2006131574A
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Abstract

【課題】 平面性の高く良好な半導体特性を有するテトラベンゾポルフィリン誘導体に変換可能な前駆体化合物ビシクロ構造を有するポルフィリン化合物を、工業的に有利な方法で製造する方法を提供する。
【解決手段】
ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させることにより下記構造式(1)で表さ
れる化合物を製造する。
Figure 2006131574


(式(1)中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7およびQ8は独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およ
びQ8はそれぞれ環構造を形成していてもよい。但しQ1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8のうち少なくとも一組はビシクロ構造を有するものであ
る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、平面性の高いポルフィリン化合物を効率的に製造する方法に関する。
ビシクロ構造を有するポルフィリン化合物は、溶媒への溶解性が高く溶液プロセスで製膜でき、加熱処理によって平面性の高く良好な半導体特性を有するテトラベンゾポルフィリン誘導体に変換できるために、有機半導体膜を作製するための前駆体化合物として非常に有用な化合物であることが知られている(特許文献1参照)。
具体的には、下記構造式(1)で表されるテトラビシクロポルフィリン化合物およびその誘導体を合成する方法が報告されている(非特許文献1,2および3参照)。
Figure 2006131574
例えば、下記反応式(2)および(3)で示される合成ルートが開示されている。
Figure 2006131574
Figure 2006131574
上記反応式(2)で表されるルートでは、中間体としてヒドロキシメチルピロール誘導体 (ii)を経由するが、この化合物(ii)は、熱及び光に対して不安定であることが分かっている。したがって、この(ii)の不安定さに由来して、最終生成物(iv)を高収率で得ることが困難であった。
また、上記反応式(3)で表されるルートでは、(i)の脱炭酸により(iii)を誘導するの
に、高温での加熱が必要であり、熱的に安定でないビシクロ環の処理としては好ましくない。また、生成物(v)はメソ位にベンゼン環の置換された、平面性の悪いものであり、半導体として期待されるポルフィリン化合物前駆体としては性能面において不十分である。
また、原料として使用される上記(i)の化合物の製造は非常に不安定であり、悪臭を発するイソシアノ酢酸エチルを使用する点においても工業上問題がある。
特開2004-6750号公報 「J.Chem.Soc.、Perkin Trans.」,1(イギリス),1997年 ,p.3161−3166 「Chem.Commun.」(イギリス),1998年,p.1661−1662 「Heterocycles」(日本),第52巻,2000年,p.399−411
本発明の目的は、平面性の高く良好な半導体特性を有するテトラベンゾポルフィリン誘導体に変換可能な前駆体化合物であるビシクロ構造を有するポルフィリン化合物を、工業的に有利な方法で製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、合成ルートにつき種々検討を行った結果、ヒドロキシメチルピロール誘導体を使用することなく、ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させることにより、ビシクロ構造を有するポルフィリン化合物を高収率で且つ安定に製造できること、および、この原料となるビシクロ構造を有するピロール誘導体を工業的有利に合成する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の第1の要旨は、ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させることにより下記構造式(4)で表される化合物を製造することを特徴とするポルフィリン化合物
の製造方法、に存する。
Figure 2006131574
(式(4)中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7およびQ8は独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8はそれぞれ環構造を形成していてもよい。但しQ1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8のうち少なくとも一組は下記構造式(5)で表わされる環構造を有するものである。
Figure 2006131574
(式(5)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、R1およびR2、R3およびR4、R5およびR6、ならびにR7およびR8はそれぞれ環構造を形成していてもよい。)
本発明の第2の要旨は、ピロール誘導体が、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体とを反応させて得られるものである、上記ポルフィリン化合物の製造方法、に存する。
平面性の高く良好な半導体特性を有するテトラベンゾポルフィリン誘導体に変換可能な前駆体化合物であるビシクロ構造を有するポルフィリン化合物を、工業的に有利な方法で製造する方法を提供する。
以下に本発明につきを詳細に説明する。
<ポリフィリン化合物の合成方法>
本発明は、ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させて合成することを特徴とするビシクロ構造を有するポルフィリン化合物の製造方法である。
この反応経路は、下記反応式(6)で表される。
Figure 2006131574
ここで、QaおよびQbは、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8に対応し(QaおよびQbがQ1およびQ2に対応するとは、Qa=Q1の時Qb=Q2に、またはQa=Q2の時Qb=Q1となることを意味する。)、Qa、Qb、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7およびQ8はそれぞれ独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8は環構造を形成していてもよい。但し、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8のうち少なくとも一組は上記構造式(5)で表わされる環構造を有する。
これらの中でも、Q1〜Q8及びR1〜R8が水素原子又は炭素原子と水素原子からなる置換基であるものから選ばれるものが容易に合成できる点で好ましく、Q1〜Q8及びR1〜R8がすべて水素原子又は炭素原子と水素原子からなる上記構造式(5)のビシクロ構造を有するものから選ばれるものが最も好ましい。
a、Qb、Q1〜Q8およびR1〜R8が1価の有機基である場合、その例としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されない。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−へプチル基等が置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が置換されてもよい炭素数3〜18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等が置換されてもよい炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が置換されてもよい炭素数3〜18の環状アルケニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等が置換されてもよい複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等が置換されてもよい炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等が置換されてもよい炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルコキシ基;プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等が置換されてもよい炭素数3〜18の直鎖または分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等が置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキルチオ基が例示される。
他の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアナト基;イソシアナト基;チオシアナト基;
イソチオシアナト基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ヒドロキシアミノ基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−COR9で表されるアシル基、−NR1011で表されるアミノ基、−NHCOR12で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR13で表されるカーバメート基、−COOR14で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR15で表されるアシルオキシ基、−CONR1617で表されるカルバモイル基、−SO218で表されるスルホニル基、−SO2NR1920で表されるスルファモイル基、−SO321で表されるスルホン酸エステル基、−NHSO222で表されるスルホンアミド基、−SOR23で表されるスルフィニル基が挙げられる。ここでR9、R12、R13、R14、R15、R18、R21、R22、R23は置換されてもよい炭化水素基、または置換されてもよい複素環基を表し、R10、R11,R16,R17,R19,R20は水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい複素環基のいずれかを表す。
本発明において、ピロール誘導体は1種類を用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
上記構造式(1)で表されるポルフィリン化合物の具体例としては、代表的には以下のものが挙げられる。
Figure 2006131574
<ポリフィリン化合物の合成条件>
上記反応式(6)において用いられるピロール誘導体とホルムアルデヒドの使用量は、通常1:1のモル比で反応させてポルフィリン化合物を生成することが好ましい。ただし反応がスムーズに進行するようにモル比を適宜調節し、ホルムアルデヒドの使用量を多めに反応させることもできる。具体的には、ホルムアルデヒドのピロール誘導体に対するモル比として、下限が通常、80モル%以上、好ましくは90モル%以上であり、上限が通常、500モル%以下、好ましくは200モル%以下である。但しホルムアルデヒドは気化しやすくホルムアルデヒドのピロール誘導体に対するモル比が少なすぎると、生成するポルフィリンの収率が低下する傾向がある。逆に多すぎると、ホルムアルデヒドが大量に残ったり、副反応を引き起こししてしまい、ポリフィリン化合物を精製処理する際に手間がかかってしまう傾向がある。
上記反応式(6)において用いられる溶媒は、反応する化合物が溶解するものであれば特に限定されず、従来公知の触媒が用いられ、反応に悪影響を与えないものを適宜選択すればよい。具体的にはクロロホルムや塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエンやベンゼン、キシレンやクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類、ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類、あるいはエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類の溶媒等が挙げられる。
また溶媒の使用量は使用する溶媒の種類にもよるが、ピロール誘導体に対する重量比として、下限が通常、10倍以上、好ましくは50倍以上であり、上限が通常、10000倍以下、好ましくは5000倍以下である。この量が少なすぎると、化合物が溶解せずに不均一な反応系になり反応がスムーズに進行せず、ポルフィリンの収率が低下する傾向がある。逆に溶媒の量が多すぎると、大きな反応容器を用いる必要があり、反応生成物を精製処理する際に大量の溶媒を除かなければならなくなる。
上記反応式(6)において用いられる溶媒は、通常、酸を用いる。酸としては、反応系内に溶解又は微分散するものであれば特に限定されるのもではないが、固体酸、液体酸または気体酸を用いることが好ましい。具体的には、固体酸は、無機酸でも有機酸でも良く、具体的にはAlCl3、AsF5等のルイス酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸等が置換されていてもよい脂肪族カルボン酸;安息香酸、トルイル酸、フタル酸、トリメリト酸等が置換されていてもよい芳香族カルボン酸;置換されていても良い脂肪族スルホン酸;ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸等が置換されていてもよい芳香族スルホン酸等が挙げられる。液体酸は、無機酸でも有機酸でも良く、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸、BF3、TiCl4,SnCl4等の無機酸や、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、トリフルオロ酢酸等が置換されていても良い脂肪族カルボン酸;置換されていても良い芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が置換されていても良い脂肪族スルホン酸;置換されていても良い芳香族スルホン酸が挙げられる。気体酸は、無機酸でも有機酸でも良く、具体的には塩化水素、フッ化水素、臭化水素等のハロゲン化水素ガスが挙げられる。これらの中でもより好ましい溶媒は、液体酸である。
また触媒として用いる酸の量は、反応がスムーズに進行する量に調整する事が好ましいが、ピロール誘導体1モルに対して下限が通常、0.001モル以上、好ましくは0.01モル以上用いることが好ましい。0.001モルより少ないと、ポルフィリンの生成量が少なくなる傾向ある。また上限が通常、反応に悪影響を与えない量であれば特に問題ないが、好ましくは5モル以下、さらに好ましくは1モル以下である。
上記反応式(6)において反応温度は使用する触媒の種類にもよるが、通常室温以上、好ましくは100℃以上、上限が通常180℃以下、好ましくは150℃以下である。反応温度が低すぎると反応速度が遅くなる傾向があり、逆に高すぎると原料や生成物の分解による収率の低下や純度の低下が引き起こされる傾向がある。
上記反応式(6)において反応は、通常、常圧で行われるが、必要に応じて加圧下、または減圧下でも実施できる。
上記反応式(6)において反応時間は、反応の進行をモニターしながら決定すればよいが、通常30分以上である。しかし反応を長時間行うと、副反応で収率が低下する可能性があるので、12時間以内に反応が終了するように適宜酸化剤の量や反応温度を調整して反応を行うことが好ましい。
ピロール誘導体とホルムアルデヒドとの反応は、後の精製時の操作が楽になるので、通常の空気中の酸素に触れる状態(空気酸化状態)で反応を行えばよい。好ましくは酸化状態下で反応を行うのがよい。具体的には、反応時に空気をバブリングする方法を用いたり、クロラニルやDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノパラベンゾキノン)のような酸化剤を添加すればよい。
添加する酸化剤の使用量は、ピロール誘導体のモル数に対し下限が通常0.1モル倍以上、好ましくは0.3モル倍以上、上限が通常3倍モル以下、好ましくは1.5倍モル以下であり、反応の状況をクロマトグラフィー等で原料、ポルフィリノーゲンや生成物の量をモニターしながら、必要最小限を加える。空気をバブリングする場合には酸化剤を用いても用いなくてもよい。
上記方法により合成したポルフィリン化合物は、溶媒を濃縮したり、貧溶媒を加えることにより抽出すればよい。またポルフィリン化合物を望ましい純度まで精製をするには、必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶もしくは再沈殿等を用いればよい。
<ピロール誘導体>
上記反応式(6)おいて使用する環構造を有する下記構造式(7)で表されるピロール誘導体は、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体とから以下の反応式(8)および(9)の2段階の反応で合成するのがよい。この2段階で反応させる工程により反応の工程が単純になり、シクロヘキサジエン誘導体の構造を生かして種々の誘導体を合成できることの点で好ましい。
Figure 2006131574
Figure 2006131574
Figure 2006131574
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ上述した構造式(2)におけるものと同義である。
<シクロヘキサジエン誘導体>
下記構造式(10)で表されるシクロヘキサジエン誘導体は、例えば、下記式(11)の方法で合成される。
Figure 2006131574
ここでXは塩素や臭素等のハロゲン原子を表わす。
<ピロール誘導体の合成条件>
ピロール誘導体は上記反応式(8)および(9)を行うことにより合成される。
上記反応式(8)において、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体の使用量は、ジシアノアセチレンのシクロヘキサジエン誘導体に対するモル比として、下限が通常、50モル%以上、好ましくは80モル%以上であり、上限が通常、500モル%以下、好ましくは200モル%以下である。但し、反応中に化合物の一部が分解したり、副反応が起こり反応系から除かれてしまうことがあるため、適宜反応の進行をモニターしながらジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体の使用量を決定すればよい。
上記反応式(8)において用いる溶媒は、両方の物質を溶解するものであれば、特に限定されず、従来公知の触媒が用いることができる。具体的にはクロロホルムや塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエンやベンゼン、キシレンやクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル類、ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類、あるいはエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類の溶媒等が挙げられる。
また溶媒の使用量は使用する溶媒の種類にもよるが、シクロヘキサジエン誘導体に対する重量比として、下限が通常、3倍以上、好ましくは5倍以上であり、上限が通常、50倍以下、好ましくは20倍以下である。この量が少なすぎると溶解せずに不均一な反応系になって反応がスムーズに進行しにくくなる。逆に溶媒の量が多すぎると大きな反応容器を用いる必要があり、反応生成物を濃縮処理する際に大量の溶媒を除かなければならなくなる。
上記反応式(8)において反応温度は、通常室温でもよいが、反応を制御するために冷却あるいは加熱してもよい。好ましい反応温度は、下限が通常−50℃以上、好ましくは−30℃以上、上限が通常100℃以下、好ましくは20℃以下である。
この温度が低すぎると冷却する手間がかかり、さらには溶媒が凍結したり、反応速度が遅くなり、収率が低下する傾向がある、逆に高すぎると副反応が進行したり分解反応が顕著になり、収率が低下する傾向がある。
上記反応式(8)において圧力は、通常、常圧でよいが、必要に応じて加圧下、または減圧下でも実施できる。
上記反応式(8)において原料の仕込みは、通常ジシアノアセチレンの溶液を冷却しながら徐々にシクロヘキサジエンを添加する方法が用いられる。
上記反応式(8)において反応時間は、反応の進行をモニターしながら決定することが好ましい。通常30分以上24時間以内となるよう反応を行い、適宜反応時間を決定することが好ましい。
上記反応式(8)の反応終了後、溶媒を濃縮することにより反応物を分離する。
さらに、上記反応式(8)の反応で得られた反応物を還元剤の存在下で還元して
ピロール誘導体を合成する。ここで用いられる還元剤は、水素化アルキルアルミニウムや水素化リチウムアルミニウム等の水素化アルミニウム化合物や、三塩化チタン等の低原子価化合物が好ましく用いることができる。
上記反応式(8)において用いる溶媒は、反応物質を溶解し、かつ自身が反応したりして妨害しないものであれば特に限定されず、従来公知の触媒が用いることができるが、低温反応の場合には溶媒の凝固点が反応温度よりも低いものを選ぶ必要がある。具体的にはクロロホルムや塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類、トルエンやベンゼン、キシレンやクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、ピリジン、キノリン等の含窒素有機溶媒類、あるいはエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等の溶媒が好ましい。
また溶媒の使用量は使用する溶媒の種類にもよるが、上記反応式(8)において得られた反応物に対する重量比として、下限が通常10倍以上、好ましくは50倍以上であり、上限が通常5000倍以下、好ましくは1000倍以下である。この量が少なすぎると反応物が十分に溶解せず、不均一な反応系になり発熱が大きくなり、反応がスムーズに進行しなくなる傾向がある。逆に触媒の量が多すぎると大きな反応容器が必要で非効率になったり、反応生成物を精製処理する際に手間がかかる。
上記反応式(9)の反応は非常に激しいため、アルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気下で低温にて行う。反応温度は、反応が激しく起こらないように制御できる温度を選ぶ必要があり、上限が通常30℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下であり、下限は通常−50℃以上、好ましくは−30℃以上の温度である。また、滴下速度を調整して温度が急激に上がらないようにする。但し、この温度が低すぎると低温に保持するため冷却する手間がかかる。その結果、溶媒が凍結したり反応速度が遅くなり収率が落ちる傾向がある。逆に反応温度が高すぎると反応がスムーズに進行しない傾向がある。
上記反応式(9)において圧力は、通常、常圧でよいが、必要に応じて加圧下、または減圧下でも実施できる。
上記反応式(9)において原料の仕込みは、還元剤の溶液を冷却しておき、これに反応物の溶液を温度が上がり過ぎないように注意しながら滴下して進めることが還元剤の取り扱いが容易になる点で好ましい。但し反応物の溶液に還元剤を滴下してもよい。
上記反応式(9)において用いる反応容器は、密閉型反応容器でも開放型反応容器でもよいが、反応系を不活性雰囲気に保つため、開放型の場合には不活性ガスでシールできるものを用いることが好ましい。
上記方法により合成した反応物質は、通常0℃以上室温以下で、抽出および/または精
製作業を行えばよい。具体的には、有機溶媒と希塩酸、希硫酸、または希硝酸等の酸を加え、有機層を分液し濃縮してピロール誘導体を抽出すればよい。また、ピロール誘導体は必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶または再沈殿等を用いて、好ましい純度まで精製をすればよい。
<ポルフィリン化合物の用途>
本発明で得られたポルフィリン化合物は、高い溶解度を有するポルフィリン化合物であり、ポルフィリン化合物を含有した溶液の塗布によりポルフィリンの膜を作製することができる。この膜は、ポルフィリンの機能を有するため、着色、触媒、または太陽電池等の用途に用いることができる。さらに加熱することによりビシクロ構造が変化して平面性の高いベンゾポルフィリンを誘導するための前駆体と用いられ、ベンゾポルフィリンに変換された膜は、半導体特性を示し、トランジスタ、ダイオード、光ダイオード、有機EL、光導電体または太陽電池等に利用することができる。
以下に本発明の実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
Figure 2006131574
上記(12)の反応を以下の手順により実施した。
<ジシアノアセチレンの合成>
2個のフラスコを連結し、片方のフラスコは−79℃に冷却し、もう一方には、アセチレンジカルボン酸アミド(45mmoL),およびP25(17g,60mmoL)をス
ルホラン70mLに溶解させた後、温度を120℃に上げ、30分間激しく撹拌した。その結果、冷却したフラスコにジシアノアセチレンが得られた。収量は1.9gであり、収率は55%であった。
<化合物1の合成>
上記で得られたジシアノアセチレン1.74g(22.9mmoL)をクロロホルム20mL に溶解した溶液に、1,3−シクロヘキサジエン2.5mL(26mmoL)を
氷冷しながら徐々に添加した。その溶液を室温で、14時間撹拌した後、減圧で溶媒を除き化合物1を得た。化合物1は高純度であり、次のピロール合成に利用可能であった。分析サンプルは、シリカゲル(ヘキサンー酢酸エチル)カラムクロマトグラフィーで精製した。収量は2.95gであり、収率は83%であった。得られた化合物の融点は101〜102℃であった。
1HNMR (CDCl3) 1.54−1.58 (4H, m), 4.02 (2H, m), 6.3 8-6.41 (2H, m); IR 686,736,1342,1585, 2221 cm−1; Anal Calcd for C1082: C, 76.90; H, 5.16; N, 17.94.
Found:, C, 76.85; H, 5.16; N, 17.91.
<化合物2の合成>
三口フラスコに温度計を設置し、アルゴンガスで置換した後、1モル-水素化ジイソブ
チルアルミニウム(DIBAL)ヘキサン溶液4mL をいれ、−20℃に冷却した。化
合物1(48.8mg,0.66mmoL)を 塩化メチレン30mLに溶解した溶液を
−15℃以下に保ちながら滴下した。
滴下終了後、−20℃以下の温度で2時間攪拌した。その後、塩化メチレン50mLを添加し、次いで1N−HCl30mLを0℃でゆっくり添加した。有機層と水を用いて1回、飽和食塩水を用いて1回で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥後、濃縮し
た。シリカゲルカラム(ヘキサンー酢酸エチル)で精製して、化合物2を得た。収量は26mgであり、収率は63%であった。得られた化合物の融点は、130〜131℃であった。
1HNMR 1.64 (4H, m), 3.82 (2H, m), 6.45 (2H, d, J = 2.1), 6.50 (1H, d, J = 4.27), 6.52 (1H, d, J = 4.2 7),
7.53. Anal Calcd for C1011N: C, 82.67; H, 7. 72;
N, 9.55. Found: C, 82.72; H, 7.63; N, 9.65
<テトラビシクロポルフィリンの合成>
α-フリービシクロピロール(化合物2、0.89g,6.13mmoL)、ホルマリ
ン(0.56mL)、トルエン(300mL)、パラトルエンスルホン酸(23mg)をDe an−Starkを取り付けた反応容器に入れ、アルゴンガスで置換し、遮光した後130℃で一晩撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、air-バブリングを室温で一晩行った。反 応溶液としてNaHCO3水溶液100mLを用いて1回、水100mLを
用いて1回、飽和食塩水100mLで1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、減圧下、濃縮した。
これをシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3)で精製し、CHCl3とMeOHを用いて再結晶することにより目的のテトラビシクロポルフィリンが紫色結晶として得られた。収量は0.292g(0.47mmoL)であり、収率は30.6%であった。

Claims (2)

  1. ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させることにより下記構造式(1)で表さ
    れる化合物を製造することを特徴とするポルフィリン化合物の製造方法。
    Figure 2006131574
    (式(1)中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7およびQ8は独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8はそれぞれ環構造を形成していてもよい。但しQ1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8のうち少なくとも一組は下記構造式(2)で表わされる環構造を有するものである。
    Figure 2006131574
    (式(2)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、R1およびR2、R3およびR4、R5およびR6、ならびにR7およびR8はそれぞれ環構造を形成していてもよい。)
  2. ピロール誘導体が、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体とを反応させて得られるものである、請求項1に記載のポルフィリン化合物の製造方法。
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