JP2006131574A - ポルフィリン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させることにより下記構造式(1)で表さ
れる化合物を製造する。
(式(1)中、Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7およびQ8は独立に水素原子あるいは1価の有機基を表わし、Q1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およ
びQ8はそれぞれ環構造を形成していてもよい。但しQ1およびQ2、Q3およびQ4、Q5およびQ6、ならびにQ7およびQ8のうち少なくとも一組はビシクロ構造を有するものであ
る。
【選択図】 なし
Description
具体的には、下記構造式(1)で表されるテトラビシクロポルフィリン化合物およびその誘導体を合成する方法が報告されている(非特許文献1,2および3参照)。
また、上記反応式(3)で表されるルートでは、(i)の脱炭酸により(iii)を誘導するの
に、高温での加熱が必要であり、熱的に安定でないビシクロ環の処理としては好ましくない。また、生成物(v)はメソ位にベンゼン環の置換された、平面性の悪いものであり、半導体として期待されるポルフィリン化合物前駆体としては性能面において不十分である。
の製造方法、に存する。
本発明の第2の要旨は、ピロール誘導体が、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体とを反応させて得られるものである、上記ポルフィリン化合物の製造方法、に存する。
<ポリフィリン化合物の合成方法>
本発明は、ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させて合成することを特徴とするビシクロ構造を有するポルフィリン化合物の製造方法である。
この反応経路は、下記反応式(6)で表される。
Qa、Qb、Q1〜Q8およびR1〜R8が1価の有機基である場合、その例としては、本反応を阻害しないものであれば特に限定されない。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−へプチル基等が置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が置換されてもよい炭素数3〜18の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等が置換されてもよい炭素数2〜18の直鎖又は分岐のアルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が置換されてもよい炭素数3〜18の環状アルケニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、4−ピペリジル基、モルホリノ基等が置換されてもよい複素環基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等が置換されてもよい炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等が置換されてもよい炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルコキシ基;プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等が置換されてもよい炭素数3〜18の直鎖または分岐のアルケニルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基等が置換されてもよい炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキルチオ基が例示される。
イソチオシアナト基;メルカプト基;ヒドロキシ基;ヒドロキシアミノ基;ホルミル基;スルホン酸基;カルボキシル基;−COR9で表されるアシル基、−NR10R11で表されるアミノ基、−NHCOR12で表されるアシルアミノ基、−NHCOOR13で表されるカーバメート基、−COOR14で表されるカルボン酸エステル基、−OCOR15で表されるアシルオキシ基、−CONR16R17で表されるカルバモイル基、−SO2R18で表されるスルホニル基、−SO2NR19R20で表されるスルファモイル基、−SO3R21で表されるスルホン酸エステル基、−NHSO2R22で表されるスルホンアミド基、−SOR23で表されるスルフィニル基が挙げられる。ここでR9、R12、R13、R14、R15、R18、R21、R22、R23は置換されてもよい炭化水素基、または置換されてもよい複素環基を表し、R10、R11,R16,R17,R19,R20は水素原子、置換されてもよい炭化水素基、置換されてもよい複素環基のいずれかを表す。
上記構造式(1)で表されるポルフィリン化合物の具体例としては、代表的には以下のものが挙げられる。
上記反応式(6)において用いられるピロール誘導体とホルムアルデヒドの使用量は、通常1:1のモル比で反応させてポルフィリン化合物を生成することが好ましい。ただし反応がスムーズに進行するようにモル比を適宜調節し、ホルムアルデヒドの使用量を多めに反応させることもできる。具体的には、ホルムアルデヒドのピロール誘導体に対するモル比として、下限が通常、80モル%以上、好ましくは90モル%以上であり、上限が通常、500モル%以下、好ましくは200モル%以下である。但しホルムアルデヒドは気化しやすくホルムアルデヒドのピロール誘導体に対するモル比が少なすぎると、生成するポルフィリンの収率が低下する傾向がある。逆に多すぎると、ホルムアルデヒドが大量に残ったり、副反応を引き起こししてしまい、ポリフィリン化合物を精製処理する際に手間がかかってしまう傾向がある。
上記反応式(6)において反応は、通常、常圧で行われるが、必要に応じて加圧下、または減圧下でも実施できる。
ピロール誘導体とホルムアルデヒドとの反応は、後の精製時の操作が楽になるので、通常の空気中の酸素に触れる状態(空気酸化状態)で反応を行えばよい。好ましくは酸化状態下で反応を行うのがよい。具体的には、反応時に空気をバブリングする方法を用いたり、クロラニルやDDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノパラベンゾキノン)のような酸化剤を添加すればよい。
<ピロール誘導体>
上記反応式(6)おいて使用する環構造を有する下記構造式(7)で表されるピロール誘導体は、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体とから以下の反応式(8)および(9)の2段階の反応で合成するのがよい。この2段階で反応させる工程により反応の工程が単純になり、シクロヘキサジエン誘導体の構造を生かして種々の誘導体を合成できることの点で好ましい。
<シクロヘキサジエン誘導体>
下記構造式(10)で表されるシクロヘキサジエン誘導体は、例えば、下記式(11)の方法で合成される。
<ピロール誘導体の合成条件>
ピロール誘導体は上記反応式(8)および(9)を行うことにより合成される。
上記反応式(8)において、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体の使用量は、ジシアノアセチレンのシクロヘキサジエン誘導体に対するモル比として、下限が通常、50モル%以上、好ましくは80モル%以上であり、上限が通常、500モル%以下、好ましくは200モル%以下である。但し、反応中に化合物の一部が分解したり、副反応が起こり反応系から除かれてしまうことがあるため、適宜反応の進行をモニターしながらジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体の使用量を決定すればよい。
この温度が低すぎると冷却する手間がかかり、さらには溶媒が凍結したり、反応速度が遅くなり、収率が低下する傾向がある、逆に高すぎると副反応が進行したり分解反応が顕著になり、収率が低下する傾向がある。
上記反応式(8)において原料の仕込みは、通常ジシアノアセチレンの溶液を冷却しながら徐々にシクロヘキサジエンを添加する方法が用いられる。
上記反応式(8)において反応時間は、反応の進行をモニターしながら決定することが好ましい。通常30分以上24時間以内となるよう反応を行い、適宜反応時間を決定することが好ましい。
さらに、上記反応式(8)の反応で得られた反応物を還元剤の存在下で還元して
ピロール誘導体を合成する。ここで用いられる還元剤は、水素化アルキルアルミニウムや水素化リチウムアルミニウム等の水素化アルミニウム化合物や、三塩化チタン等の低原子価化合物が好ましく用いることができる。
ラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等の溶媒が好ましい。
上記反応式(9)において原料の仕込みは、還元剤の溶液を冷却しておき、これに反応物の溶液を温度が上がり過ぎないように注意しながら滴下して進めることが還元剤の取り扱いが容易になる点で好ましい。但し反応物の溶液に還元剤を滴下してもよい。
上記方法により合成した反応物質は、通常0℃以上室温以下で、抽出および/または精
製作業を行えばよい。具体的には、有機溶媒と希塩酸、希硫酸、または希硝酸等の酸を加え、有機層を分液し濃縮してピロール誘導体を抽出すればよい。また、ピロール誘導体は必要に応じてクロマトグラフィー、再結晶または再沈殿等を用いて、好ましい純度まで精製をすればよい。
本発明で得られたポルフィリン化合物は、高い溶解度を有するポルフィリン化合物であり、ポルフィリン化合物を含有した溶液の塗布によりポルフィリンの膜を作製することができる。この膜は、ポルフィリンの機能を有するため、着色、触媒、または太陽電池等の用途に用いることができる。さらに加熱することによりビシクロ構造が変化して平面性の高いベンゾポルフィリンを誘導するための前駆体と用いられ、ベンゾポルフィリンに変換された膜は、半導体特性を示し、トランジスタ、ダイオード、光ダイオード、有機EL、光導電体または太陽電池等に利用することができる。
実施例1
<ジシアノアセチレンの合成>
2個のフラスコを連結し、片方のフラスコは−79℃に冷却し、もう一方には、アセチレンジカルボン酸アミド(45mmoL),およびP2O5(17g,60mmoL)をス
ルホラン70mLに溶解させた後、温度を120℃に上げ、30分間激しく撹拌した。その結果、冷却したフラスコにジシアノアセチレンが得られた。収量は1.9gであり、収率は55%であった。
上記で得られたジシアノアセチレン1.74g(22.9mmoL)をクロロホルム20mL に溶解した溶液に、1,3−シクロヘキサジエン2.5mL(26mmoL)を
氷冷しながら徐々に添加した。その溶液を室温で、14時間撹拌した後、減圧で溶媒を除き化合物1を得た。化合物1は高純度であり、次のピロール合成に利用可能であった。分析サンプルは、シリカゲル(ヘキサンー酢酸エチル)カラムクロマトグラフィーで精製した。収量は2.95gであり、収率は83%であった。得られた化合物の融点は101〜102℃であった。
Found:, C, 76.85; H, 5.16; N, 17.91.
<化合物2の合成>
三口フラスコに温度計を設置し、アルゴンガスで置換した後、1モル-水素化ジイソブ
チルアルミニウム(DIBAL)ヘキサン溶液4mL をいれ、−20℃に冷却した。化
合物1(48.8mg,0.66mmoL)を 塩化メチレン30mLに溶解した溶液を
−15℃以下に保ちながら滴下した。
た。シリカゲルカラム(ヘキサンー酢酸エチル)で精製して、化合物2を得た。収量は26mgであり、収率は63%であった。得られた化合物の融点は、130〜131℃であった。
7.53. Anal Calcd for C10H11N: C, 82.67; H, 7. 72;
N, 9.55. Found: C, 82.72; H, 7.63; N, 9.65
<テトラビシクロポルフィリンの合成>
α-フリービシクロピロール(化合物2、0.89g,6.13mmoL)、ホルマリ
ン(0.56mL)、トルエン(300mL)、パラトルエンスルホン酸(23mg)をDe an−Starkを取り付けた反応容器に入れ、アルゴンガスで置換し、遮光した後130℃で一晩撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、air-バブリングを室温で一晩行った。反 応溶液としてNaHCO3水溶液100mLを用いて1回、水100mLを
用いて1回、飽和食塩水100mLで1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、減圧下、濃縮した。
Claims (2)
- ピロール誘導体とホルムアルデヒドとを反応させることにより下記構造式(1)で表さ
れる化合物を製造することを特徴とするポルフィリン化合物の製造方法。
- ピロール誘導体が、ジシアノアセチレンとシクロヘキサジエン誘導体とを反応させて得られるものである、請求項1に記載のポルフィリン化合物の製造方法。
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JP2004323950A JP2006131574A (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | ポルフィリン化合物の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009034971A1 (ja) | 2007-09-12 | 2009-03-19 | Fujifilm Corporation | 置換基脱離化合物の製造方法、有機半導体膜およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004006750A (ja) * | 2002-03-27 | 2004-01-08 | Mitsubishi Chemicals Corp | 有機半導体材料及び有機電子デバイス |
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2004
- 2004-11-08 JP JP2004323950A patent/JP2006131574A/ja active Pending
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