JP2006130539A - 鋳型の製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Matsumura
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Abstract

【課題】より均一な組織を有する金属化合物鋳型の製造方法を提供すること。
【解決手段】金属間化合物を基材とする鋳型表面層を、密閉容器内に多孔質焼結体の原料元素の混合粉末を充填する第一工程と、充填した前記混合粉末を密閉容器内で反応させ燃焼合成体を製造する第二工程と、燃焼合成体を粉砕し粉状又は粒状にする第三工程と、粉砕した粉状材料又は粒状材料を鋳型の反転形状をもつ型内に充填する第四工程と、充填した粉砕材料を型内で焼結させ金属間化合物鋳型表面層を製造する第五工程とから製造する。このように、二段階の燃焼過程を経るため、均一な組織を有する金属間化合物鋳型表面層を製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、少なくとも表面層材料が多孔質焼結体よりなる鋳型の製造方法に関し、特には金属間化合物よりなる鋳型の製造方法に関する。
一般に鋳型材料には以下の性質が求められる。
(1)高温まで降伏せず、高強度である。
(2)熱応力によるクリープ変形をし難い。
(3)加熱、冷却の繰返しに伴う熱サイクル疲労に強い。
(4)溶湯との接触、急激な温度変化による熱衝撃に強い。
(5)溶湯の衝突による機械的損傷に強い。
(6)溶湯との反応性が低く、侵食に強い。
(7)熱伝導率が良い。
(8)耐酸化性に優れる。
係る鋳型材料としては従来SKD61材等が用いられていた。
また、たとえばダイカスト鋳造に用いられるダイカスト金型の構造は金型形状の難易度に依存して多様であるが、一般的には製品形状を転写する製品部分(一般的にキャビティ)及び製品部分に材料を注入するための部分や出来上がった製品を取り出す部分の機能部とよりなる全体構造を有する。また係る金型は一般的にはキャビティが彫られる面(一般的にキャビティ面)の反対側の面の機能部(機能部品と連動するための部分)の切削加工を行った後にキャビティ面の切削加工を行い、さらにキャビティ面の研磨を行うという製造工程を経て製作されていた。
以上の鋳型については以下の問題が指摘されていた。
(1)鋳型の製作に長大な期間を必要とする。
(2)たとえばSKD61材については高温でのクリープや熱疲労の問題がある。
このような問題を解消し得る材料として、多孔質焼結体、特にはTiAl、Ni3Al、FeAl、MgAlに代表される金属間化合物の適用を検討することができる。
これらの多孔質焼結体としての金属間化合物は、高温強度が室温と比べ、数倍に高まる性質から、鋳型へ応用した場合では、鋳型の高温強度の向上が期待される。しかし、一般に、金属間化合物は高融点であり、TiやAlのように活性金属を高温で溶解する場合には極めて酸化し易く、また坩堝材との反応を防止する対策が必要となる。そのためそのような溶解装置も超高温真空炉を準備する必要があり過大な設備投資が必要となる。さらに、TiとAl、NiとAl、FeとAlでは、相互間に比重差もあり、重力偏析や、鋳造偏析も起こり、均質材が得にくいという問題がある。また、硬く、延性に乏しい性質から、鋳造後の機械加工も困難であり、加工方法に相当の検討が必要となり実際的には、金型材料としての適用は困難であった。
そこで、このような金属間化合物の問題を解消し得る手段として、本発明者らは、金属間化合物の製造法として知られる粉末の熱爆発反応を利用する燃焼合成法を適用して、高温強度が大きい金属間化合物からなる鋳型を極めて高効率に製作することができることを見出し、既に出願している(特許文献1)。
具体的には、燃焼合成法によって製造される多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とする表面層と、金属材料を基材とする本体部とよりなることを特徴とする鋳型であり、金属材料を基材とする本体部が溶接金属により形成されるものである。
多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とする表面層の製造は、鋳型の反転形状をもつグラファイト製マスタ型に、金属間化合物を構成する元素の混合粉末を充填し、混合粉末をグラファイト製マスタ型内で反応させることによって行なわれる。
ここで、問題となるのは多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とする表面層の組織の均一性である。燃焼合成法により作成される多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とする表面層の組織の均一性は、以下の各因子に影響される。
(1)原料粉末の粒径
(2)原料粉末の混合状態
(3)原料粉末の混合比
(4)原料粉末への助材の添加量
(5)グラファイト製マスタ型内へ粉末を充填する際のプレス圧
(6)反応時におけるグラファイト製マスタ型内の温度分布
(7)燃焼合成時の雰囲気,(真空度,雰囲気ガス種,ガス圧等)
(8)加圧焼結時の成形圧力(HIP圧、ホットプレス圧)
このように、多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とする表面層の組織の均一性は、多数の因子に影響を受ける。この中でも、特に影響が大きいのは、反応時におけるグラファイト製マスタ型内の粉末の温度分布であり、熱爆発反応時における金属間化合物の生成熱が混合粉末全体に均等に伝達されない場合には、均一な組織が得られない。特に、グラファイト製マスタ型に近い表面部は、グラファイト製マスタ型に熱を奪われ、いわば生焼けとなる可能性が高い。
このように、均一な組織の鋳型が得られない場合、鋳型の機械的性質は低下し、上述した鋳型材料に求められる諸性質は十分には達成されないこととなる。
特願2004−194905
本発明は、以上の問題点に鑑み、より均一な組織を有する金属化合物鋳型の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の鋳型の製造方法は、密閉容器内に多孔質焼結体の原料元素の混合粉末を充填する第一工程と、充填した前記混合粉末を密閉容器内で反応させ燃焼合成体を製造する第二工程と、前記燃焼合成体を粉砕し粉状又は粒状にする第三工程と、前記粉砕した粉状材料又は粒状材料を鋳型の反転形状をもつ型内に充填する第四工程と、充填した粉砕材料を前記型内で焼結させ多孔質焼結体表面層を製造する第五工程とを有してなることを特徴とする。また、前記多孔質焼結体が金属間化合物であることを特徴とする。
以下に各工程について説明する。
多孔質焼結体の原料元素の混合粉末、特には金属間化合物の原料元素の混合粉末の混合比率は、目的とする多孔質焼結体、特には金属間化合物の化学量論組成に基づき調整することができる。さらに多孔質焼結体の原料元素の混合粉末、特には金属間化合物の原料元素の混合粉末の混合比率を化学量論組成に対し、所要の原料元素が過剰となるよう調整することもできる。さらに目的とする多孔質焼結体の原料元素の混合粉末、特には金属間化合物の原料元素の混合粉末に加え、助剤となる金属元素粉末を添加してもよい。その場合に助剤となる金属元素粉末添加量は0.01%〜10%とするのが良く、さらには0.1〜8%とするのが望ましく、もっとも望ましくは0.3〜6%とするのがよい。
また、金属間化合物の種類によっては、微量な元素粉末を添加することにより金属間化合物の性質が改善されることが報告されている。例えばNi3AlではB添加、TiAlではCr,Mn,V,Moなどの添加が有効とされている。
坩堝等の密閉容器内への混合粉末の充填において、混合粉末の充填率は、燃焼合成の反応を確実に行わせるため高くする必要がある。しかし、充填率が高すぎる場合には、燃焼合成体が強固となり、後の工程において燃焼合成体を粉砕することが困難となる。
したがって、後の工程における燃焼合成体の粉砕を考慮し、密閉容器への混合粉末の充填率は、30%から70%程度とするのが望ましい。
また、坩堝等の密閉容器を用いる代わりに、粉末圧縮金型にて、混合粉末を圧縮成形し圧粉体としてもよい。この場合も同様に、後の工程における燃焼合成体の粉砕を考慮し、粉末圧縮金型への混合粉末の充填率は、30%から70%程度とするのが望ましく、圧縮圧力は、20MPa〜65MPa程度に制御するのが望ましい。
坩堝等の密閉容器に充填した混合粉末を反応させるには、混合粉末を充填した密閉容器を加熱し、混合粉末の熱爆発反応を生じさせることによって行われる。これにより、密閉容器内に金属間化合物の組織を有する燃焼合成体を得ることができる。
また、混合粉末を圧粉体とする場合には、混合粉末を予備成形し,その圧粉体を熱爆発反応させることによって燃焼合成が行われる。
その際の加熱温度は、多孔質焼結体、特には金属間化合物原料元素及び助剤金属元素の中でもっとも低い融点を示す材料の融点、又は共晶温度以上とすることが必要である。しかし、炉の温度分布や温度むらを考慮し、その融点以上で融点よりも50℃高い温度以下とするのが良く、さらにはその融点よりも5℃〜40℃以上高い温度とするのが望ましく、その融点よりも10℃〜30℃以上高い温度とするのがもっとも望ましい。
以上において加熱温度は、粉末間に微量な液相ができる状態に管理されることが望ましく、液相が過剰である場合には混合粉末相互の連結が失われてメルトダウンによって形状保持が困難になって、メルトダウンした場合には密閉容器との濡れ性の問題から液滴状となり粉末成形性が消失する。
したがって、粉末間に微量な液相を生成させて粉末を焼結させる加熱温度に制御して、混合粉末がいわゆる半溶融状態とされるのが望ましい。
また、加熱雰囲気は不活性ガス又は真空雰囲気とし、さらに加熱の際には、粉末間の不要な残留空気を除去する目的で、十分なガス置換、又は加熱脱気処理を併用するのが効果的である。
以上の金属間化合物の組織を有する燃焼合成体の製造方法は、粉末の熱爆発反応を利用するものであり、燃焼合成法、自己伝播反応焼結法、SHS法とも称される多孔質焼結体、特には金属間化合物の迅速製造法である。この迅速製造法すなわち燃焼合成法は、高融点無機化合物を瞬時に合成する方法である。係る燃焼合成法によれば秒単位、分単位で、簡単に高融点化合物が製造でき、超高温炉などの大規模な設備を必要とすることもない。
次に、燃焼合成法によって得られた燃焼合成体を、粉砕装置によって粉砕し、粉状又は粒状にする。これによって、金属間化合物の組織を有する粉状材料又は粒状材料を得ることができる。
この燃焼合成体を粉砕することによって得られる粉状材料又は粒状材料(以下、「粉砕材料」と称する。)の粒径は、後の工程における焼結を考慮し、小さくすることが望ましい。ただし過度に微細な粉末とすると、後工程のグラファイト製マスタ型への圧縮成形性が低下するため、焼結性と圧縮成形性双方のバランスを考慮する必要がある。また、粉末形状も後工程のグラファイト製マスタ内での圧粉性、充填性を向上させるため、球状とするのが望ましい。箔片状、繊維状では圧粉性、充填性が低下することが多い。ただし、鋳型の機械的性質向上の目的で金属間化合物に複合組織、繊維組織を作りたい場合では、この限りでない。
また、粉砕材料をふるいで分級し、粒度をそろえることも、後の工程における圧粉、焼結を考慮すれば望ましい。
次に、金属間化合物の組織を有する粉砕材料を焼結させることによって、多孔質焼結体表面層すなわち金属間化合物表面層を製造する。以下に、粉砕材料の焼結方法を説明する。
なお、ここでいう焼結とは、常圧焼結及び加圧焼結双方を意味するものである。
まず、目的とする鋳型の反転形状をもつ型、例えばグラファイト製マスタ型、金型、又はセラミックス型等の型内へ粉砕材料を充填し、その後、粉砕材料を圧縮し圧粉体を作製する。この場合、鋳型の寸法精度、形状、強度等を向上させるために、圧粉体の充填率を高めること、及び圧粉圧力を高圧とすることが望ましい。
次に、得られた圧粉体を加熱し常圧焼結させることによって、多孔質焼結体表面層すなわち金属間化合物表面層を製造する。しかし、金属間化合物の粉末は、焼結させるのが困難なものが多く、単に加熱するのみでは密度が向上せず、なかなか緻密化しない場合が多い。そこで、焼結方法として、HIP(熱間静水プレス)、SPS(プラズマ通電焼結)、HP(ホットプレス)など加圧焼結を適用することが考えられる。
以上のように、粉砕材料の焼結を、圧粉体を作成する加圧成形工程と、圧粉体を加熱する熱処理工程に分けて行っても良いし(常圧焼結)、また、加圧成形工程と熱処理工程を同時に行うことで粉砕材料の焼結を行ってもよい(加圧焼結)。
なお、加熱雰囲気は、不活性ガス又は真空雰囲気とする。
金属間化合物を構造材料として利用するうえでは、強度の面から焼結体は緻密である必要がある。しかし、鋳造鋳型として金属間化合物を用いる場合は、鋳造時のガスを速やかに鋳物から放出させるため、鋳型材料としては多孔質材料の方が望ましい場合がある。鋳物製造の金属溶解時には、溶融金属には多量のガスが溶け込み、凝固時に金属から放出される。また、注湯時には、鋳型内部にガスが巻き込まれ、これらは湯とともに鋳型内部へと持ち込まれる。こうしたガスは、鋳型の内部に閉じ込められ、製品の仕上がりを劣化させるばかりでなく鋳造欠陥の原因ともなる。こうしたことから、鋳造では鋳型に通気性のあるものが用いられる場合があり、代表例としては砂型なども用いられている。
本発明により製造する金属間化合物鋳型は、粉状材料又は粒状材料の焼結によって鋳型を製造するものであるため、通気性を有する多孔質構造であり、鋳造欠陥を防止する上で効果がある。また、多孔質構造を有するため、注湯時の熱衝撃も緩和し、鋳型の長寿命化を図る上でも効果がある。工業用レンガなどの耐熱衝撃性は、多孔質によるところが大きい。さらに鋳物では、凝固金属が熱収縮のため、離型がしばしば問題となる。しかし、金属間化合物を多孔質構造とすることで、鋳型のヤング率を下げ、熱収縮による食い込み防止、離型性の向上も期待される。
さらに、本発明の鋳型製造方法では焼結された多孔質焼結体、特には金属間化合物表面層上に肉盛溶接層を形成する。かかる肉盛溶接層が鋳型の本体部を構成し、この鋳型本体部によって多孔質焼結体、特には金属間化合物表面層が支持される。
以上の本発明の鋳型製造方法によって製造される鋳型の多孔質焼結体、特には金属間化合物層の理論真密度に対する相対密度は50〜97%程度とされ、好ましくは75%以上で、もっとも好ましくは85%以上とされる。
この本発明の鋳型表面部には耐食バリア層を設けることができ、この耐食バリア層は多孔質焼結体、特には金属間化合物層表面に形成した酸化皮膜若しくは多孔質焼結体、特には金属間化合物層表面に溶射によって形成された耐食層及び/又は離型層とすることができる。
本発明の鋳型製造方法では、多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とする表面層を有する鋳型を製造することができる。したがって、得られた鋳型は、(1)高温まで降伏せず、高強度である。(2)熱応力によるクリープ変形をし難い。(3)溶湯の衝突による機械的損傷に強い。(4)耐酸化性に優れる。という利点を備える。
また、本発明の鋳型製造方法は、目的とする鋳型の反転形状をもつ型内に、金属間化合物の組織を有する粉砕材料充填し、その充填した粉砕材料をマスタ型内で反応させ、多孔質焼結体、特には金属間化合物の鋳型表面層を製造するものである。したがって、特には大規模な設備を必要とせず、秒単位、分単位で、簡単に高融点の多孔質焼結体、特には金属間化合物の鋳型表面層を製造して、さらに金属材料を基材とする本体部を肉盛溶接によって迅速に効率よく造型して極めて短時間に高機能の鋳型を製造することができる。
また、本発明の鋳型製造方法は、粉状材料又は粒状材料の焼結によって鋳型を製造するものであるため、多孔質組織を有する鋳型を製造することができる。したがって、鋳物製造において金属を溶解する場合の溶融金属へのガスの溶け込みや、注湯時の鋳型内部へのガスの巻き込みを防止することができるという利点があり、これにより鋳造欠陥を防止することができる。
さらに、本発明の鋳型製造方法は、原料粉末を燃焼合成し金属間化合物を析出させ、得られた燃焼合成体を粉砕し、金属間化合物の組織を有する粉砕材料を加圧焼結するという二段階の燃焼過程を経るため、均一な組織を有する多孔質焼結体表面層すなわち金属間化合物鋳型表面層を製造することができる。
本発明の鋳型の製造方法に適用される代表的多孔質焼結体、特には金属間化合物として表1に示すものが挙げられる。
Figure 2006130539
以上の多孔質焼結体である金属間化合物を用い、本発明では次のようにして鋳型の製造を行う。なお、本発明に用いられる金属間化合物は、表1で示したものに限られるものではない。
(1)出発原料、粉末の混合(第一工程)
まず、金属間化合物を構成する元素の原料粉末を混合する。例えば、TiAl金属間化合物鋳型を製造する場合では、TiとAlの混合粉末を充填する。またNi3Alでは、NiとAlの粉末を、FeAlでは、FeとAlの混合粉末を充填する。元素粉末の混合比率は、目的とする金属間化合物の化学量論組成となるよう配合する。例えばTiAlでは原子比でTi:Al=1:1、Ti3Alでは原子比でTi:Al=3:1、Ni3Alでは原子比でNi:Al=3:1、NiAlでは原子比でNi:Al=1:1、FeAlでは原子比で、Fe:Al=1:1とする。
しかし、金属間化合物の種類によっては、化学量論組成からずれた組成の方が機械的強度や硬度、熱伝導率、耐溶損性など特性が優れる場合がある。このような場合には、所望の性質に応じ粉末の混合比を調整することが出来る。
例えば、粉末の混合比率を、Ti:Al=1:1からTiリッチ(Ti過剰)、又はAlリッチ(Al過剰)としても良い。こうすることで、TiAl相の他、 Ti3Al相、TiAl3相も合成され、これら化合物の複合材が得られる。
合成される金属間化合物粒子の結合度を調整する場合は、原料となるTiとAlの混合粉末に加え、CoとAlの混合粉末、NiとAlの混合粉末などを助剤として微量に添加する。添加量は微量で良く、0.01%〜10%程度である。助剤は、金属間化合物生成の反応熱を補うとともに、反応時に微量な融液を生成し、粒子同士の接合を促進する働きをする。
上記のようにして調合した混合粉末を密閉容器としての坩堝内に充填する。混合粉末の充填率は、燃焼合成の反応を確実に行わせるため高くする必要がある。しかし、充填率が高すぎる場合には、燃焼合成体が強固となり、後の工程において燃焼合成体を粉砕することが困難となる。したがって、後の工程における燃焼合成体の粉砕を考慮し、坩堝への混合粉末の充填率は、30%から70%程度とするのが望ましい。
(2)粉末の熱爆発反応による金属間化合物の合成(第二工程)
粉末の熱爆発反応の原理
Ti粉末+Al粉末=TiAl+反応熱 (a)
3Ni粉末+Al粉末=Ni3Al+反応熱 (b)
Fe粉末+Al粉末=FeAl+反応熱 (c)
上記のような金属間化合物の生成熱爆発反応を用いた燃焼合成法によって、金属間化合物の組織を有する燃焼合成体を得ることができる。燃焼合成法は、粉末の反応を断熱的に生じさせ、その反応を加速度的、爆発的に生じさせることで化合物を合成しつつ、粉末を焼結するものである。粉末を密に充填し、かつ断熱容器内で反応させた場合では、反応熱が系内にとどまり、反応熱による温度上昇が生じ、温度上昇の結果、あたかも燃焼するようにして、化合物の合成と粉末の焼結が短時間に生じる。この現象が燃焼合成と称されている。
本発明においては、混合粉末を詰めた坩堝を真空加熱炉、又は不活性ガス雰囲気電気炉内にて加熱し、上記(a)〜(c)の反応を生じさせる。
加熱温度は、上記金属間化合物の場合では、Alの融点である660℃以上が必要である。炉内温度の不均一も見込み、余裕を考え700℃以上とするのが望ましい。
加熱雰囲気は、粉末の酸化を防ぐため、Ar、He、Neなど不活性ガス雰囲気、又は真空雰囲気とする。
粉末の熱爆発反応は、加熱により、まず混合粉末のAl粉末が融解し、Ti、Ni、Fe粒子の周囲へと浸透する。この溶融浸透したAlが、Ti粒子や、Ni粒子、Fe粒子に吸収され、(a)〜(c)の反応を開始する。その反応熱により、粉末の温度が上昇し、温度が上昇したことで反応がさらに促進される。これが連鎖的に繰り返され、反応が加速度的、爆発的に進み、最終的には金属間化合物の組織を有する燃焼合成体を得ることができる。
なお、燃焼合成は、後の粉砕工程のことを考慮し、無加圧で燃焼合成させることが望ましい。
金属間化合物の種類によっては、燃焼合成のための化合物の発熱量が過多となったり、逆に不足となる場合もありうる。このような場合には、金属間化合物鋳型の性質に悪影響を及ぼさない助剤の添加や、予加熱などを用いるのも良い。
具体的には、TiAl、Ti3Al金属間化合物では、燃焼合成を行う上で、反応熱量が不足ぎみであり、燃焼合成体が不完全状態となりやすい。こうした場合には、NiとAlの混合粉末、又はCoとAlの混合粉末などをTiAl金属間化合物の原料粉末に添加する。NiとAlの混合粉末、CoとAlの混合粉末は、反応の発熱量が大きく、TiとAlの原料粉末の熱不足を補う働きをする。
逆に、NiAlでは反応の発熱量が多すぎ温度上昇が著しく、燃焼合成体が融解することもある。このような場合には、燃焼合成の開始温度以下で燃焼合成が起こらぬよう長時間予備加熱し、粉末の固体間反応(拡散反応)で僅かに金属間化合物を生成させ、その後、燃焼合成の開始温度まで加熱し、燃焼合成反応により金属間化合物を得る。このように、低温で予備加熱することで、反応量を抑え発熱量が適度にコントロールされる.
逆に、鋳型の組織制御、強度、特性制御の目的、あるいは焼結性の制御の目的で、第二工程での燃焼合成であえて完全な燃焼合成をさせず、いわば生焼け状態の燃焼合成体を粉砕して不完全反応状態の粉末を作製し、この粉末を後の工程において常圧焼結又は加圧焼結させても良い。こうすることで燃焼合成によって得た粉末の焼結性を制御したり、目的とする鋳型の鋳型の組織制御、強度、特性制御を図ることも可能となる。
(3)燃焼合成体の粉砕(第三工程)
燃焼合成法によって得られた燃焼合成体を、粉砕装置によって粉砕し、粉状又は粒状にする。これによって、金属間化合物の組織を有する粉末を得ることができる。
粉砕装置としては、クラッシャー、ボールミル、スタンプミル、アトライター等を用いる。燃焼合成体を粉砕するその他の手段としては、燃焼合成体を旋盤、フライス盤、のこ盤等の機械加工装置で切削し,その切削粉をそのまま用いてもよい。
さらには、最初に燃焼合成体を旋盤、フライス盤、のこ盤等の機械加工装置で切削した後、その切削粉をクラッシャー、ボールミル、スタンプミル、アトライター等を用いてさらに粉砕し、微粉末とすることも有効な手段である。
粉砕材料の粒径は、後の工程における焼結を考慮し、小さくすることが望ましい。しかし過度に微細な粉末は、後工程のグラファイト製マスタ型への圧縮性を阻害することから、圧縮成形性を損なわない程度とするのが望ましい。従って具体的には、粉砕された粉末の平均粒径は、粉砕方法に大きく依存するが、1〜50μm程度とするのが望ましい。
粉砕を行う上で、粉砕装置や機械加工工具からの粉末の汚染の問題が懸念される。粉砕装置や機械加工工具では、加工容易で安価材料である鋼を用いた装置や工具がしばしば用いられる。しかし、鋼を用いた装置や工具を用いて金属間化合物を粉砕した場合には、鋼の磨耗粉も混入することがある。そこで、極力磨耗による混入を抑えるためには、比較的金属間化合物への影響が出難くかつ磨耗の少ない、セラミックス製容器、ボール、工具、又は超硬工具等を用いるのが有効な手段となる。
(4)粉砕粉末の焼結(第四工程、第五工程)
金属間化合物の組織を有する粉砕材料を焼結させることによって、多孔質焼結体表面層すなわち金属間化合物表面層を製造する。
まず、目的とする鋳型の反転形状をもつ型、例えばグラファイト製マスタ型、金型、又はセラミックス型等の型内へ粉砕材料を充填し、その後、粉砕材料を圧縮し圧粉体を作製する。この場合、鋳型の寸法精度、形状、強度等を向上させるために、圧粉体の充填率を高めること、及び圧粉圧力を高圧とすることが望ましい。したがって、圧粉体の充填率向上のために、CIP(冷間静水圧プレス)処理を施すのが効果的であり、圧粉圧力は、65MPa〜200MPaの高圧とする。
次に、得られた圧粉体を不活性ガス雰囲気、又は真空雰囲気にて加熱し常圧焼結させることによって、多孔質焼結体表面層すなわち金属間化合物表面層を製造する。しかし、金属間化合物の粉末は、焼結させるのが困難なものが多く、単に加熱するのみでは密度が向上せず、なかなか緻密化しない場合が多い。そこで、焼結方法として、HIP(熱間静水プレス)、SPS(プラズマ通電焼結)、HP(ホットプレス)を適用することが有効である。
焼結温度は、焼結手法、加圧手段にもよるが、1100℃〜1400℃、加圧力は、10MPa〜30MPa(HP,SPS)、20MPa〜200MPa(HIP)である。
また、SPSの場合には、十分な温度が得られるよう通電電流を制御する。例えば、直径50mm程度の金属間化合物を焼結する場合には、通電電流は1000〜10000A程度である。
以上のように、本発明の鋳型製造方法は、粉状材料又は粒状材料の焼結によって鋳型を製造するものであるため、多孔質組織を有する鋳型の表面層を製造することができる。
金属間化合物鋳型を製造するうえでは、材料を多孔質とし、通気性を確保することが重要であるが、これらは、原料粉末の粒径、焼結助剤量、あるいは型へ粉末を充填する際のプレス圧により制御する。さらにHIP、ホットプレスを併用する場合では、HIP圧、ホットプレス圧、温度なども制御する。SPSの場合では、加圧力の他、通電電流を制御する。
鋳型の強度を考えれば、密度は高い方が好ましいが、通気性、耐熱衝撃性を考慮し、多孔質焼結体表面層すなわち金属間化合物表面層の密度は、50%から97%程度となる条件を選ぶのが望ましい。
(5)耐食性の向上、鋳型ボディーの構築
多孔質焼結体、特には金属間化合物がAl溶湯と直接接触した場合、反応や欠損を起こす恐れも考えられる。対策として、
(a)湯との接触面を空気中で加熱し、酸化させ、酸化皮膜を形成させる。例えばTiAlの高温酸化によって生じるAl2O3やTiO2を、耐食バリアとする。
(b)耐食性の高いAl2O3などを、耐食層、離型層として表面に溶射する。裏面側には、ロウ材等で気孔を封し、水路を設け、冷却する。もしくは、水冷パイプを接合する。あるいは水冷構造を有する部材を溶接もしくはロウ付で接合する。あるいは水冷部材そのものを溶接肉盛で直に構築することも可能である.また水冷構造を有する部材と金属間化合物鋳型の表層を、熱伝導性シート材を介して機械的に連結させてもよい。
図1は本発明の鋳型の概念図である。
図1に示されるように鋳型1表面部の反転形状を有するマスタ2上に多孔質焼結体、特には金属間化合物からなる形状オフセット部3を介して多孔質焼結体、特には金属間化合物からなり本体部5と楔機能を有する表層部4が造型される。形状オフセット部3はマスタ2からの離型時に消失し、表層部4が鋳型1の表層部として露出され、多孔質焼結体、特には金属間化合物を基材とすることから耐熱性、通気性が良好である。さらに金属間化合物からなる表層部4の強度を補充するという機能を有し本体部6と楔機能を有する第一の本体部5が金属材料によって造型される。さらに第一の本体部5に対し熱変形を吸収するための型温度バランスの均一化層6を介して第2の本体部7が金属材料によって造型される。均一化層6は第2の本体部7と楔機能を有する。この第2の本体部7は冷却用の水冷ジャケットを内蔵すると共にたとえばダイカストマシン等の鋳造機械との取り付け機能部を構成する。
以上のように、表層部4の裏面側には、溶接肉盛によって造型した本体部分を配置し、その本体部分の作成時に温度バランスの均一化機能としての良熱伝達材の選定や熱量の外部放出のための水路を与えて、金型の本来の目的の熱交換機能を与える。
以上において第一の本体部5及び型温度バランスの均一化層6、第2の本体部7はマスタ2上に造型された金属間化合物からなる表層部4に対し肉盛溶接を行うことによって高効率で造型することができる。その際、第一の本体部5及び型温度バランスの均一化層6、第2の本体部7それぞれは異なる溶接材料、溶接方法によってそれぞれその機能に応じた造型を行うことが可能である。
例えば第一の本体部5は金属間化合物からなる表層部4との間での拡散の進行による材質的な連続性が確保され、かつ熱膨張・収縮の不均一によって反り、ひずみ等が発生する程度が抑制されるようにその溶接材料・方法が決定される。
また以上において、対象となる鋳型の構造によっては金属間化合物層のみによって鋳型を構成することが可能であり、例えば比較的に単純形状の中子等はその全体を金属間化合物を基材として造型することが可能である。
以上の本発明の鋳型1においては表層部4がキャビティ面を形成し、必要に応じてキャビティ面の研磨が行われ、その反対の面の機能部(機能部品と連動するための部分)が第2の本体部7によって形成される。
以下に、本発明の実施例につき説明する。
図2(a)は、TiとAlの混合粉末の圧粉体の外観図であり、図2(b)は、TiAl燃焼合成体の外観図であり、図3は、Ti-Al混合粉末圧粉体及びTiAl燃焼合成体を粉砕して得た粉末のX線回折結果であり、図4は、TiAl燃焼合成体の粉砕粉末の外観図であり、図5は、粉砕粉末の粒度分布を表すグラフである。
(1)粉末の混合、圧粉体の作成(第一工程)
原料粉末として平均粒径19μmのTi粉末、平均粒径1μmのAl粉末、及び平均粒径3μmのNi粉末を用いた。Ti粉末とAl粉末との混合比率は原子比でTi:Al=1:1、また、TiAlの燃焼合成体の熱不足を補う目的で、助剤としてNiとAlの混合粉末(原子比でNi:Al=1:1)をTi-Al混合粉末100molに対し、Ni-Al混合粉末を2molの割合で添加した。
これら原料粉末を乳鉢で混合し、この混合粉末を金型にて85MPaの圧力で圧縮し、混合粉末圧粉体を得た(図2(a))。
(2)熱爆発反応による金属間化合物の合成(第二工程)
第一工程によって得られたTi-Al混合粉末圧粉体を電気炉内で加熱し、燃焼合成体を得た(図2(b))。加熱条件は、図9に示す模式図のように、室温から10℃/minの昇温率で加熱し、TiAlの燃焼合成開始温度である660℃に対して炉内温度を考慮し40℃高い700℃にて燃焼合成反応を起こさせた。
このときTi-Al混合粉末圧粉体は、電気炉内にてほぼ断熱的に反応し、燃焼合成が進行する。したがって、反応熱はおよそ温度上昇に費やされ、試料の温度は、一時的にTiAlの断熱燃焼温度の1460℃(TiAlの融点)程度まで上昇する。
その後、さらに燃焼合成体の合成を確実とするために1100℃まで加熱し、1時間保持後、室温まで10℃/minの降温率で徐冷しTiAl燃焼合成体を得た。なお、その際の電気炉内の雰囲気は真空とした。
(3)TiAl燃焼合成体の粉砕(第三工程)
第二工程によって得られたTiAl燃焼合成体に旋盤、フライス盤にて機械加工を施し、図4に示す粉砕粉末を得た。図4からわかるように、機械加工のため、粉砕粉末中に500μm〜1000μmほどの粗大な粉末も混入している様子が観察される。このような粗大な粉末があると、後の工程における圧縮性や焼結性に悪影響を及ぼすことも考えられるため、粗大粉末除去の目的で120メッシュ(目の開き125μm)のふるいで分級を行った。ふるいにより粗大粉末を除去した結果、図5に示すように平均粒径84μmのTiAl金属間化合物粉末が得られた。このように、ふるいによる分級によって、粗大粉末を除去でき、粒径のそろったTiAl粉末が得られたことがわかる。
なお、粉砕によって得られた粉末が加工硬化し、圧縮成形性に劣る場合には、粉砕、ふるいで分級の後、粉末を真空又は不活性雰囲気で焼鈍することが有効である。
また、図3のTi-Al混合粉末圧粉体とTiAl燃焼合成体の粉砕粉末とのX線回折結果を比較すると、Ti-Al混合粉末圧粉体の燃焼合成によって、原料粉末のTiとAlのピークが消え、代わってTiAl金属間化合物の組織を有する粉末が得られたことがわかる。なお、原料粉末、及び粉砕粉末には、助剤として添加したNiも含まれるが、Ni量が微量でかつX線回折分析装置の感度の関係から、添加したNiは検出されていない。
(4)粉砕粉末の焼結(第四工程、第五工程)
TiAlは難焼結性であるため、焼結し難いという問題がある。そこで、第三工程にて得られたTiAl粉砕粉末に、焼結助剤として、さらにNi粉末を2mass%添加し、この混合粉末を鋳型の反転形状をもつグラファイト製マスタ型内に125MPaの圧力で圧密し、TiAl圧粉体を作製した。
そして、得られたTiAl圧粉体を真空電気炉で常圧焼結して、多孔質焼結体、特にはTiAl金属間化合物を基材とする鋳型の表面層であるTiAl焼結体を得た。焼結条件は、室温から10℃/minの昇温率で加熱し、1150℃で1時間保持後、室温まで10℃/minの降温率で徐冷した。
(比較例)
次に、本発明の実施例に対する比較例として燃焼合成法によって製造されるTiAl金属間化合物を基材とする鋳型の表面層(以下、「TiAl燃焼合成体」と称する。)について説明する。
比較例のTiAl燃焼合成体の原料粉末及び混合比率は、実施例と同一である。比較例のTiAl燃焼合成体は、本発明の実施例のような二段階の燃焼過程を経るものではなく、Ti-Al混合粉末を直接目的とする鋳型の反転形状をもつグラファイト製マスタ型に充填し、グラファイト製マスタ型を加熱することによって、充填した混合粉末をグラファイト製マスタ型内にて燃焼合成させることによって製造される。
また、グラファイト製マスタ型への混合粉末の充填圧力は、本実施例における第一工程における圧縮圧力と同一であり、加熱条件は、本実施例における第二工程における加熱条件と同一条件である。
以下に、本発明の実施例であるTiAl金属間化合物を基材とする鋳型の表面層であるTiAl焼結体(以下、「TiAl焼結体」と称する。)と、比較例によって得られるTiAl燃焼合成体とを対比して評価する。
図6は、実施例のTiAl焼結体のビッカース硬度試験結果であり、図7は、比較例のTiAl燃焼合成体のビッカース硬度試験結果であり、図8は、比較例のTiAl燃焼合成体の表面部と内部の組織写真である。
実施例のTiAl焼結体の硬度は、図6からわかるように、表面部及び内部とも300Hv程度であり、表面部と内部の硬度差が無く、かつ本来のTiAl金属間化合物の硬度に達している。このことより、実施例のTiAl焼結体の組織は均一であると判断できる。
したがって、本発明の鋳型製造によれば、均一な組織を有する金属間化合物鋳型を得ることができる。
これに対して、比較例のTiAl燃焼合成体は、図7からわかるように、表面部、特に表面から5mmまでの部分の硬度は、内部の硬度よりも小さく、かつその表面部の硬度は本来のTiAl金属間化合物の硬度に達していない。また、表面部の硬度のばらつきが大きい。
また、図8の組織写真からわかるように、比較例のTiAl燃焼合成体の内部組織は、燃焼合成により粉末が焼結し、互いに結合したネットワーク組織を形成しているの対して、表面部の組織は、内部よりも明らかに粉末の結合度(焼結度)が低い。なお、写真における黒色の部分は孔であり、白色の部分はTiAl金属間化合物である。
このような、比較例のTiAl燃焼合成体における表面部と内部との硬度や組織の違いは、グラファイト製マスタ型に近い表面部は、グラファイト製マスタ型に熱を奪われ熱が伝達し難く、均一な組織が得られ難いためであると考えられる。
以上のように、混合粉末を直接目的とする鋳型の反転形状をもつグラファイト製マスタ型に充填し、燃焼合成体を製造する場合には、比較例のTiAl燃焼合成体のように、均一な組織が得られない場合も起こり得る。このような状態では、鋳型材料に求められる諸性質は十分には達成されないこととなる。
本発明は、鋳造技術に用いられる金型及の製造方法として適用される。
本発明の鋳型の概念図である。 (a)TiとAlの混合粉末の圧粉体の外観図である。(b)TiAl燃焼合成体の外観図である。 Ti-Al混合粉末圧粉体及びTiAl燃焼合成体を粉砕して得た粉末のX線回折結果である。 TiAl燃焼合成体の粉砕粉末の外観図である。 粉砕粉末の粒度分布を表すグラフである。 本発明の実施例のTiAl焼結体のビッカース硬度試験結果である。 比較例のTi-Al燃焼合成体のビッカース硬度試験結果である。 比較例のTi-Al燃焼合成体の組織写真である。 本発明の実施例の第二工程における加熱条件の模式図である。
符号の説明
1・・・鋳型、2・・・マスタ、3・・・形状オフセット部、4・・・表層部、5・・・第一の本体部、6・・・均一化層、7・・・第2の本体部

Claims (15)

  1. 密閉容器内に多孔質焼結体の原料元素の混合粉末を充填する第一工程と、
    充填した前記混合粉末を密閉容器内で反応させ燃焼合成体を製造する第二工程と、
    前記燃焼合成体を粉砕し粉状又は粒状にする第三工程と、
    前記粉砕した粉状材料又は粒状材料を鋳型の反転形状をもつ型内に充填する第四工程と、
    充填した粉砕材料を前記型内で焼結させ多孔質焼結体表面層を製造する第五工程とを有してなる鋳型の製造方法。
  2. 多孔質焼結体の原料元素の混合粉末を圧縮成形し圧粉体とする第一工程と、
    前記圧粉体を熱爆発反応させ燃焼合成体を製造する第二工程と、
    前記燃焼合成体を粉砕し粉状又は粒状にする第三工程と、
    前記粉砕した粉状材料又は粒状材料を鋳型の反転形状をもつ型内に充填する第四工程と、
    充填した粉砕材料を前記型内で焼結させ多孔質焼結体表面層を製造する第五工程とを有してなる鋳型の製造方法。
  3. 前記多孔質焼結体が金属間化合物である請求項1又は請求項2に記載の鋳型の製造方法。
  4. 前記第二工程は、混合粉末を充填した前記密閉容器を加熱し、前記混合粉末の熱爆発反応によって前記密閉容器内に燃焼合成体の合成が行われる請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  5. 前記第二工程は、前記圧粉体を加熱し、前記混合粉末の熱爆発反応によって燃焼合成体の合成が行われる請求項2に記載の鋳型の製造方法。
  6. 前記多孔質焼結体の原料元素の混合粉末の混合比率は、目的とする多孔質焼結体の化学量論組成に基づき調整される請求項4又は請求項5に記載の鋳型の製造方法。
  7. 前記多孔質焼結体の原料元素の混合粉末の混合比率が化学量論組成に対し、所要の原料元素が過剰となるよう調整される請求項4又は請求項5に記載の鋳型の製造方法。
  8. 目的とする多孔質焼結体の原料元素の混合粉末に加え、助剤となる元素粉末を添加する請求項6に記載の鋳型の製造方法。
  9. 前記助剤となる元素粉末添加量が0.01%〜10%である請求項8に記載の鋳型の製造方法。
  10. 前記第二工程における加熱温度は、前記多孔質焼結体原料元素及び前記助剤金属元素の中でもっとも低い融点を示す材料の融点に対して10℃〜50℃以上高い温度とする請求項8又は請求項9に記載の鋳型の製造方法。
  11. 粉末間に微量な液相を生成させて前記燃焼合成体を製造する請求項10に記載の鋳型の製造方法。
  12. 前記型がグラファイト製マスタ型、金型、及びセラミックス型のいずれかである請求項1〜11のいずれか一に記載の鋳型の製造方法。
  13. 前記燃焼合成体を粉砕する手段がクラッシャー、ボールミル、スタンプミル、アトライター、旋盤、フライス盤、及びのこ盤のうち一以上含む請求項1〜12のいずれか一に記載の鋳型の製造方法。
  14. 前記第二工程及び前記第五工程が、不活性ガス又は真空雰囲気にて行われる請求項1〜13のいずれか一に記載の鋳型の製造方法。
  15. 前記多孔質焼結体表面層上に肉盛溶接層を形成する請求項1〜14のいずれか一に記載の鋳型の製造方法。

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