JP2006126050A - ガス流可視化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 蛍光剤をオイルに溶解してなる蛍光オイル33から微細な蛍光オイルミストを生成し、これを空気中に供給して微細蛍光オイルミスト・空気流34を発生させる蛍光ミスト・空気流発生装置3と、所望の流路12aに供給された微細蛍光オイルミスト・空気流34に光L1を照射してこのオイルミスト・空気流34をなす蛍光オイルミストから蛍光を発生させ、流路12aにおける空気の流れ12を可視化する光照射装置4を設ける。また、蛍光を検出する蛍光検出手段65〜67と、検出された蛍光に基づいて流路12a中の空気流を可視化可能に表示するディスプレイ67aを設ける。従来技術の粉体粒子を用いた方法において生じた、流路形状を変えたり可視化部を汚すことなく空気流を可視化する。
【選択図】 図1
Description
具体的には、例えば燃料電池に用いる極細(1mm以下)の径を有する流路においては、粉体粒子からの散乱光よりも、流路壁面や背面からの散乱光の方が強くなり、粉体粒子、つまりガス流についての撮影・観察ができなくなった。また、上記のような極細径の流路においては、粉体粒子が空気流路壁面や背面等に付着して流路形状を変えたり、可視化部が汚れて見えなくなってしまうこともあり、これらによっても上記と同様にガス流の撮影・観察ができなくなった。
さらに、実発電時の燃料電池内のガス流は、何らかの可視化用トレーサを混入しなければ見えない。しかし、上記のような粉体粒子からなるトレーサを供給し続ければ、燃料電池は発電しなくなる。可視化のために用いる上記粉体粒子は不純物であって、長時間供給し続けると物理的にも化学的にも燃料電池性能を低下させるからであり、このため、実発電時における上記ガス流の撮影・観察が充分にできなくなった。
特許請求の範囲の請求項2に記載のガス流可視化装置は、蛍光剤をオイルに溶解して得られた蛍光オイルから生成した微細な蛍光オイルミストをガス中に供給し、前記蛍光オイルミストを含むガスを流路中に供給し、この流路中を流れるガス流に対して光を照射し、前記ガス流中に含まれる前記蛍光オイルミストから発生する蛍光を検出し、前記検出した蛍光に基づいて、前記流路中におけるガスの流れを可視化することを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項3に記載のガス流可視化装置は、微細に形成された蛍光剤をガス中に供給する微細蛍光剤供給手段と、前記蛍光剤が供給されたガスを流す流路に、光を照射する光照射手段と、前記ガスに含まれる前記蛍光剤からの蛍光信号を検出する蛍光検出手段と、この蛍光検出手段により検出された蛍光信号に基づいて、前記流路中のガスの流れを可視化可能に表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項4に記載のガス流可視化装置は、蛍光剤をオイルに溶解して得られた蛍光オイルから微細な蛍光オイルミストを生成し、この蛍光オイルミストをガス中に供給する蛍光オイルミスト供給手段と、前記蛍光オイルミストが供給されたガスを流す流路に、光を照射する光照射手段と、前記ガスに含まれる前記蛍光オイルミストからの蛍光信号を検出する蛍光検出手段と、この蛍光検出手段により検出された蛍光信号に基づいて、前記流路中のガスの流れを可視化可能に表示する表示部と、を備えたことを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のガス流可視化装置がさらに、微細な蛍光オイルミストのみを前記流路に供給するようにガス中に含まれる蛍光オイルミストを分別する分別手段を備えていることを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のガス流可視化装置がさらに、前記流路に接続する第1流路と、この第1流路に対して鉛直方向に交差するように分岐する第2流路とを備えた分岐路を備えており、前記蛍光オイルミスト供給手段によって蛍光オイルミストが供給されたガスが前記流路に流入する前に、前記分岐路を通過することで、微細な蛍光オイルミストのみが前記第1流路側に流れるように構成されていることを特徴とする。
また、特許請求の範囲の請求項5及び6に記載の各発明によれば、これら各請求項に記載した構成により、微細な蛍光オイルミストのみを流路に供給でき、微細蛍光オイルミストの動き、つまりガス流を、より一層容易にかつ正確に捉えることができると共に、流路中に蛍光オイルミストが付着して汚すことのない構成とすることが可能となる。
図1は、本発明によるガス流可視化装置が適用されたガス流流速分布測定装置の一例を示す構成図である。図示例においては、可視化され、その流速分布が測定される対象が、燃料電池のガスの流れ、具体的には燃料電池の酸素供給源としての空気の流れ(空気流)である場合について説明する。
水素ボンベ13は水素H2の供給源、エアーコンプレッサ14は空気(Air)の供給源であって、これら水素ボンベ13、エアーコンプレッサ14からのガス(H2,Air)は各々流量計15及びバブラ16を順に介して燃料電池本体11の各流路に供給されるように構成されている。そして、これら水素ボンベ13及びエアーコンプレッサ14は、上記燃料電池本体11とで燃料電池1の主要部をなす。空気の供給源としては、エアーコンプレッサ14に代えてエアーボンベを用いてもよい。
エアーコンプレッサ14側のバブラ16の出口側の配管(空気流配管)17には、バブラ16の出口側を大気中に開放自在の第1弁18と、この第1弁18の閉弁時にエアーコンプレッサ14からの空気流19の燃料電池本体11への供給を操作自在の第2弁20とを有する。
なお図中21は、燃料電池本体11からの排水・排気ガス22を回収する回収箱であり、この回収箱21に回収された水・ガスはフィルタ23を通して外部に排出される。また24は、燃料電池1の負荷、ここでは可変負荷である。
上記蛍光オイル33としては、具体的にはナイルレッド(NileRed)等の蛍光色素をオリーブオイル中に、蛍光色素/オリーブオイル=20mg/20ml等の割合で混合・攪拌し、溶解して得られた蛍光オイルが用いられる。
上記オイルはオリーブオイルに限らず、例えばサラダオイルを用いてもよい。要は、オリーブオイル程度の粘性及び蛍光剤を溶解させ得る性質を有していればオリーブオイルに代えて使用することができる。蛍光剤も蛍光色素:ナイルレッドに限らない。要は、蛍光剤への光照射装置4からの照明光(励起光)L1とは異なる波長の蛍光を発生するものであればよい。これらオイル及び蛍光剤は、人体に対して無毒なものがよいことは勿論である。
図示例では、照明光L1として後述するようにSHG−Nd:YAGレーザ光(532nm)が用いられており、蛍光剤として蛍光色素:ナイルレッドが用いられた、微細蛍光オイルミスト・空気流34中の微細蛍光オイルミスト(粒子)からは、上記Nd:YAGレーザのSHG光である照明光L1の照射時(蛍光体励起時)に530〜610nmの蛍光が発生する。つまり、照明光532nmに対して530〜610nmの蛍光が発生するので、この蛍光を用いることによって、空気流路壁面や背面等からの照明光L1の散乱光の影響を受けることなく、又は照明光L1をカットすることなく、空気流12についての撮影・観察が可能となる。
この場合、空気流31は、先端35aが塞がれ、蛍光オイル33中に浸漬されたパイプ35の先端部35bの軸回り方向に90度間隔で開けられた直径0.5mm程度の4つの空気流噴出口35cから、例えばO.3MPa−2.4l/min等の圧力−流量で噴出される。なお、図2中のAは、パイプ35の先端部35bの拡大図である。
上記空気流31の空気流噴出口35cからの噴出により生成した微細蛍光オイルミスト36は、空気流31と共に、先端37aが蛍光オイル液面33aの上方に開口する蛍光ミスト流配管37内に流体(微細蛍光オイルミスト・空気流34)となって送給される。
蛍光ミスト流配管37の後端37bは、微細蛍光オイルミスト・空気流34を燃料電池本体11の空気流路12aに供給可能に延出されている。この蛍光ミスト流配管37の燃料電池本体11近傍部分は、上記空気流配管17に設けられた第2弁20から燃料電池本体11側の同燃料電池本体11近傍部分と共用されているが、この共用配管部分37c(17a)よりも密閉容器32側の蛍光ミスト流配管37部分には第3弁38が設けられている。
なお、第1ドレン39は、一端が密閉容器32内の蛍光オイル液面33aの上方に開口し、他端が排気回収箱21内で開口し、中間部分には第1ドレン弁40が設けられている。
なお、燃料電池本体11の空気流路12aに係る部分は、ここを流れる微細蛍光オイルミスト・空気流12に光L1を照射するために、また、これにより蛍光オイルミストから発生する蛍光、換言すれば微細蛍光オイルミスト・空気流12を撮影・観察するために、その一部又は全部を透光性の部材で形成されている。
これは、図3に取り出し拡大して示すように、光照射装置4により光L1が照射される空気流路12aに接続される第1流路12bと、この第1流路12bに対して鉛直方向に交差するように分岐する第2ドレン(第2流路)52とを有する分岐路51を備えてなる。すなわち蛍光オイルミスト分別手段5は、上記分岐路51を備え、微細蛍光オイルミスト・空気流34が空気流路12aに供給される前に分岐路51を通過することで、例えば10μm以下の微細な蛍光オイルミスト54のみが第1流路12b側に流れるように構成されている。
このような構成によれば、微細蛍光オイルミスト・空気流34が空気流路12aに供給される前に、そのオイルミスト・空気流34中に含まれる相対的に大径の蛍光オイルミスト53が自重又は慣性によって第2ドレン52側に流れる。その結果、空気流路12b,12a側へは相対的に小径の(微細な)蛍光オイルミスト54のみが供給される。
なお、図3中のBは、微細蛍光オイルミスト・空気流34の供給路51及びその近傍部分の拡大図である。
図3中の第2ドレン52は、図1に示すように出口部が排気回収箱21内に延出して開口し、また分岐路51との中間部分には第2ドレン弁41を備えている。
特に、上記蛍光ミスト・空気流発生装置3を用いた構成によれば、
(1)蛍光剤をオイルに溶解して得られた蛍光オイル33を微細ミスト化して流路12a内に供給することが可能となり、
(2)微細蛍光オイルミスト36から発生する蛍光を用いる可視化手法が実現され、流路12a壁面や背面等からの照明光L1の散乱光の影響が除去されることが可能となり、
(3)微細蛍光オイルミスト36を用いることによる流路12a壁面や背面への付着や汚れが防止されることも可能となる。
したがって、可視化用トレーサとしての蛍光(微細蛍光オイルミスト)の動きを容易、かつ充分に捉えることができ、極めて細い径や間隙の流路を通るガス流についても容易、かつ充分に可視化できるようになる。特に、燃料電池本体11内部に形成された流路12a中のガス流(空気流12)の可視化を発電動作中に行う場合にあっても、燃料電池性能を低下させることなく長時間、ガス流を撮影・観察することが可能となる。
また、蛍光オイルミスト分別手段5を備えることによれば、空気流路12a側へは微細な蛍光オイルミスト54のみが供給されるようになり、特に上掲(3)の流路12a壁面や背面への付着や汚れが防止される効果が増し、可視化用トレーサとしての蛍光(蛍光オイルミスト)の動きを一層、容易、充分に捉えることができようになる。本実施形態では、この蛍光オイルミスト分別手段5が簡単に実現できるという利点もある。
図示例のガス流可視化装置では、上述したような実発電中のガス流の可視化を行えることの他、ガス流の可視化を行うことなく、つまり蛍光ミスト・空気流発生装置3からの微細蛍光オイルミスト・空気流34を空気流路12aに供給せず、エアーコンプレッサ14からの空気流19を空気流路12aに供給することも可能である。すなわち、ガス流の可視化を行わずに発電動作させることも可能である。
第1〜第3弁18,20,38及び第1ドレン弁40は、上記の動作の切換えを行うためのもので、ガス流の可視化を行いながら発電動作させる可視化発電時には、第1及び第3弁18,38を開放しておき、第2弁20及び第1ドレン弁40を閉じておく。可視化を行わずに発電動作させる通常発電時には、各弁18,20,38,40は上述可視化発電時とは逆に操作、つまり、第1及び第3弁18,38を閉じておき、第2弁20及び第1ドレン弁40を開放しておけばよい。
第2ドレン弁41は、基本的なガス流可視化に必須のものではなく、蛍光オイルミスト分別手段5を機能させ、空気流路12aに微細な蛍光オイルミストのみを供給するときに開放される。蛍光オイルミスト分別手段5を機能させず、微細蛍光オイルミスト・空気流34をそのまま空気流路12b,12a側に供給するとき、あるいは上記通常発電時には閉じておく。
ガス流流速分布測定装置は、ここではパルスジェネレータ61、遅延装置62、レーザ制御装置63、ダブルパルスレーザ装置(図示例ではガス流可視化装置の光照射装置4が兼用されている)を備えてなる。ダブルパルスレーザ装置4は、例えば5μsの時間差で出射される2本のパルスレーザ光を、照明光L1として燃料電池本体11内の空気流路12aを流れる空気流ないし微細蛍光オイルミスト・空気流12に側方から照射可能である。
またこのガス流流速分布測定装置は、上記微細蛍光オイルミスト・空気流12に照明光L1を照射したときの微細蛍光オイルミスト・空気流12中の蛍光オイルミストからの蛍光(蛍光信号)を取り込み、撮影するための蛍光顕微鏡64、トリガカメラ65及び励起光ブロッキングフィルタ66(蛍光検出手段)を備える。蛍光顕微鏡及64びトリガカメラ65相互間に挿入された励起光ブロッキングフィルタ66は、波長532nmのNd:YAGレーザのSHG光が除去され、上記蛍光オイルミストからの蛍光成分の波長、ここでは530〜610nm(532nmを除く)の光のみをトリガカメラ65に取り込むために設けられている。
さらにこのガス流流速分布測定装置は、トリガカメラ65をONさせると共に、同カメラ65からの撮像信号(蛍光信号)に基づいてディスプレイ67aに上記5μs間における蛍光オイルミスト、換言すれば空気流を可視化可能に表示し、またこの空気流の流速分布を演算して表示するパーソナルコンピュータ67を備える。このパーソナルコンピュータ67は、ディスプレイ67aに表示された画像を録画し、あるいは演算して得られた流速分布に基づき種々の解析処理も行い得る。なお、図中64aは、蛍光顕微鏡64の対物レンズである。
このようなガス流流速分布測定装置によれば、上述したガス流可視化装置によって可視化されたガス流(図示例では空気流、以下同じ。)を撮影・観察することができるばかりでなく、得られたガス流の画像データに基づいて、同ガス流の流速分布や、この流速分布に基づいた各種の解析処理が可能となる。
また、燃料電池におけるガス流に限定されることもない。要は、1mm程度以下の極細径の円や楕円、一辺が1mm程度以下の極小辺の長方形や正方形あるいは相互間隔が1mm程度以下の狭隘部等に流されるガス流の全てについて適用可能である。本発明は、このような微細な流路内のガス流の可視化を可能とすることで、既知のPIV/PTV法を用いた画像解析で、ガス流の流速分布等を計測することが可能となるため、ガス流路の設計・シミュレーションに有効に利用することができる。
さらに上述実施形態では、ガス流に照射する光L1としてレーザ光を用いたが、これのみに限定されることはない。要は、蛍光剤から蛍光を発生させ得る光であればよい。
なお本発明は、例えば自動車の排気管、エンジン筒等の流路のように大径の流路におけるガス流の可視化も可能であることは勿論である。
Claims (6)
- 微細に形成された蛍光剤をガス中に供給し、
前記蛍光剤を含むガスを流路中に供給し、この流路中を流れるガス流に対して光を照射し、
前記ガス流中に含まれる前記蛍光剤から発生する蛍光を検出し、
前記検出した蛍光に基づいて、前記流路中におけるガスの流れを可視化することを特徴とするガス流可視化方法。 - 蛍光剤をオイルに溶解して得られた蛍光オイルから生成した微細な蛍光オイルミストをガス中に供給し、
前記蛍光オイルミストを含むガスを流路中に供給し、この流路中を流れるガス流に対して光を照射し、
前記ガス流中に含まれる前記蛍光オイルミストから発生する蛍光を検出し、
前記検出した蛍光に基づいて、前記流路中におけるガスの流れを可視化することを特徴とするガス流可視化方法。 - 微細に形成された蛍光剤をガス中に供給する微細蛍光剤供給手段と、
前記蛍光剤が供給されたガスを流す流路に、光を照射する光照射手段と、
前記ガスに含まれる前記蛍光剤からの蛍光信号を検出する蛍光検出手段と、
この蛍光検出手段により検出された蛍光信号に基づいて、前記流路中のガスの流れを可視化可能に表示する表示部と、
を備えたことを特徴とするガス流可視化装置。 - 蛍光剤をオイルに溶解して得られた蛍光オイルから微細な蛍光オイルミストを生成し、この蛍光オイルミストをガス中に供給する蛍光オイルミスト供給手段と、
前記蛍光オイルミストが供給されたガスを流す流路に、光を照射する光照射手段と、
前記ガスに含まれる前記蛍光オイルミストからの蛍光信号を検出する蛍光検出手段と、
この蛍光検出手段により検出された蛍光信号に基づいて、前記流路中のガスの流れを可視化可能に表示する表示部と、
を備えたことを特徴とするガス流可視化装置。 - 請求項4に記載のガス流可視化装置がさらに、微細な蛍光オイルミストのみを前記流路に供給するようにガス中に含まれる蛍光オイルミストを分別する分別手段を備えていることを特徴とするガス流可視化装置。
- 請求項4に記載のガス流可視化装置がさらに、前記流路に接続する第1流路と、この第1流路に対して鉛直方向に交差するように分岐する第2流路とを備えた分岐路を備えており、
前記蛍光オイルミスト供給手段によって蛍光オイルミストが供給されたガスが前記流路に流入する前に、前記分岐路を通過することで、微細な蛍光オイルミストのみが前記第1流路側に流れるように構成されていることを特徴とするガス流可視化装置。
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