JP2004340619A - 噴霧計測方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】噴霧装置1より噴霧する2種類の液体2と3のうち一方の液体2にレーザ色素6を混入しておく。噴霧装置1の噴霧領域7にレーザシート光9を照射し、レーザシート光照射面10における同一の撮影領域11を同時撮影できるようカメラ12と13を対向配置し、カメラ13にはレーザ色素6から発生する蛍光のみを通す光学フィルター14を装着しておく。カメラ12では撮影領域に在る液体2と3のすべての液滴によるレーザシート光9の散乱光が検出される一方、カメラ13ではレーザ色素6を含む液体2の液滴のみが検出されることから、画像解析装置15にて両カメラ12と13の画像を比較して、撮影される液滴が液体2と3のいずれかを区別させ、この区別された各液滴の散乱光情報から液体2と3の噴霧特性を個別に計測させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は互いに混和しない複数の液体を混合噴霧するときに、各液体の噴霧特性を個別に計測できるようにするための噴霧計測方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液体燃料を噴霧(噴射)し、該燃料を雰囲気中に微少な液滴として分散させた状態にて燃焼させるようにする噴霧燃焼方法は、噴霧燃焼バーナやディーゼル機関、その他の各種燃焼装置で広く実施されており、この種の噴霧燃焼方法では、噴射装置より噴霧される燃料の濃度、流速等は、着火性能や燃焼効率、更には、排出される大気汚染成分を制御する上で重要な要因となる。そのため、上記のような噴霧燃焼方法を実施する場合、その燃焼状態を制御するために、噴霧により形成される燃料の液滴の粒径や分布濃度、流速等の噴霧特性を計測することが要求されることがある。
【0003】
このように噴霧により形成される液滴の粒径や流速等の噴霧特性を計測する計測技術としては、従来、位相ドップラ流速計、レーザ回折装置等が商品化されて一般に使用されている。
【0004】
又、近年では、噴射(噴霧)装置からの燃料噴射により形成される燃料の噴霧領域内に、レーザ光を薄い膜状に照射できるようにした、所謂レーザシート光を照射し、該レーザシート光の照射面に存在する燃料粒子(液滴)の散乱光(Mie散乱光)をカメラ等の撮像装置により検出し、得られた像を解析することにより噴霧された燃料粒子の粒径や濃度分布等を計測する手法が提案されてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、蛍光を利用して粒子を測定する技術として、液体中に分散する粒子(エマルション滴)の粒径を計測できるようにするために、分散質に予め所定濃度で蛍光色素を溶解させた後、上記蛍光色素の溶解しない分散媒中にて上記測定対象となるエマルション滴を形成させるようにし、この形成されたエマルション滴を、レーザ光を照射したキャピラリー内に分散媒と共に流通させ、上記蛍光色素がレーザ光によって励起されることにより生じる励起光としての蛍光を検出することにより上記エマルション滴の存在を検知すると同時に、上記検出される蛍光の強度がエマルション滴のサイズに比例して変化する蛍光色素の含有量を反映していることに基づいて、上記検知されたエマルション滴の粒径を求めるようにする手法が従来提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
又、蛍光を利用した粒子測定法の他の例としては、液中に含まれる粒子を、気泡と区別しながら計数できるようにするために、上記粒子や気泡を含んだ液体を、レーザ光を照射したフローセル中に流通させ、該フローセルを粒子が通過するときには、レーザ光が上記粒子により散乱されることによって散乱光が生じると同時に、レーザ光が照射された該粒子より蛍光が発生する一方、上記フローセルを気泡が通過するときには散乱光しか生じないことに基づいて、上記フローセルより検出される光に蛍光が含まれているか否かをスペクトル分析することにより、粒子と気泡とを区別し、粒子のみを計数できるようにする手法も従来提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0007】
ところで、上述した噴霧燃焼方法を実施する場合、燃料に対し、たとえば、水系の液体等、上記燃料とは混和せずに噴霧時に該燃料の液滴とは別の液滴を形成するようになる液体を混合して噴霧することがある。この場合、これら複数の液体の混合噴霧により形成される噴霧領域においては、燃料の液滴と、該燃料とは混和しない液体の液滴がそれぞれ別々に浮遊して存在していると考えられ、このために、該各液体の液滴の粒径や流速等の噴霧特性を、各液体ごとに個別に計測できるようにすることが望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−162119号公報
【特許文献2】
特開2002−372489号公報
【特許文献3】
特開2001−74644号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した既に商品化されている位相ドップラ流速計、レーザ回折装置等の噴霧計測装置では、位相ドップラ効果やレーザ回折は、いずれも、計測対象となる粒子の粒径や移動速度に依存して変化する変化量に基づくものであって、計測対象となる粒子の種類に依存するものではないため、上記のように複数種の液体を混合噴霧した噴霧領域にて、該各液体の個別の噴霧特性を同時に計測することは困難である。
【0010】
又、特許文献1に示された手法は、レーザシート光の照射面に粒子が存在することにより発生する散乱光を検出し、この検出された散乱光に基づいて噴霧特性を解析するものであることから、該特許文献1に示された手法においても、粒子の種類を判別することはできず、したがって、複数種の液体を混合噴霧した噴霧領域にて個々の液体の噴霧特性を個別に計測することができるものではない。
【0011】
一方、特許文献2に示されたものは、検出される蛍光の強度から、キャピラリー中を通過する液体中に含まれるエマルション滴の粒径を計測するものであって、検出対象であるエマルション滴の種類を識別する考えは全く示されていない。
【0012】
なお、特許文献3に示されたものは、液中に含まれる粒子を、レーザ光を照射したときの蛍光の有無により該液中に含まれる気泡と識別できるようにする考えが示されているが、これは、フローセル中を一つずつ順に粒子状のものが通過するときに、該粒子状のものが、目的とする粒子又は気泡のいずれであるかを検出するものであり、このために、液体の噴霧により噴霧領域、すなわち、三次元空間を飛翔している各液滴の種類の判別に適用することは困難であり、しかも、粒子と気泡の識別は、フローセルより検出される光をスペクトル分析することにより行うようにしていることから、複数の粒子の識別を同時処理することができないという問題もある。
【0013】
したがって、従来は、互いに混和しない複数の液体を混合噴霧している噴霧領域にて、該各液体の個別の噴霧特性を同時計測できるようにするための効果的な手法は提案されていないというのが実状である。
【0014】
そこで、本発明は、複数種の液体の混合物を噴霧する噴霧領域にて、各液体の噴霧特性を個別に且つ同時に計測できるようにするための噴霧計測方法及び装置を提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、混和しない複数種類の液体を混合噴霧する前に、1つの液体を除く他の液体にレーザ色素を混入して、該複数種類の液体が噴霧される噴霧領域内にレーザシート光を照射し、上記液体の種類に対応させた数のカメラで上記レーザシート光の照射面における同一の撮影領域を同時に撮影して、液滴による上記レーザシート光の散乱光の画像と、上記レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光のみの画像を検出して比較することにより、撮影された液滴が上記複数種類の液体のいずれであるかを判別し、更に、該液体の種類が判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報に基いて、それぞれの液体の噴霧特性を計測するようにした噴霧計測方法、及び、一方の液体にレーザ色素が混入してある互いに混和しない2種類の液体を混合噴霧する噴霧装置を備え、且つ該噴霧装置による噴霧領域近傍の所要個所に、該噴霧領域へレーザシート光を照射するためのレーザシート光照射装置を設け、液滴による上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラと、上記レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光のみを検出できるようにしたカメラを、上記噴霧領域内のレーザシート光照射面の所要個所に設定する同一の撮影領域を撮影できるよう設置し、更に、上記各カメラの画像を基に、上記撮影領域に存在する液滴の種類を判別すると共に、種類の判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報を基に、それぞれの液体の噴霧特性を計測する機能を有する画像解析装置を備えてなる構成を有する噴霧計測装置とする。
【0016】
互いに混和しない2種類の液体を、一方の液体に予めレーザ色素を混入した状態にて混合噴霧し、形成される噴霧領域内にレーザシート光を照射すると、該レーザシート光の照射面にレーザ色素を混入した液滴が存在する場合は、該液滴より、レーザシート光と同波長の散乱光と、上記レーザ色素からの蛍光が発せられる。一方、レーザシート光の照射面にレーザ色素を含まない液滴が存在する場合には、該液滴よりレーザシート光の散乱光のみが発せられる。したがって、上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラでは、上記レーザ色素の有無に拘らずすべての液滴の像が得られる一方、上記レーザ色素より発生する蛍光のみを検出できるようにしたカメラでは、上記レーザ色素を混入した一方の液体の液滴の像しか得られない。このことに基づいて、上記各カメラにて同一の撮影領域を同時に撮影して得られる画像を比較すれば、上記レーザシート光の散乱光検出用カメラの画像上にて得られる各液滴の像が、レーザ色素を含む液体の液滴の像か、あるいは、レーザ色素を含まない液滴の像かを直ちに判別できることから、このレーザ色素を含むか否かにより種類の判別される各液滴について、上記レーザシート光の散乱光検出用カメラの画像上にて得られる像をそれぞれ解析することにより、上記各液体の噴霧特性が個別に計測されるようになる。
【0017】
又、上記各カメラを、撮影領域を挟んだ対称位置に対向配置するようにした構成とすることにより、該各カメラにて同一の撮影領域を容易に撮影できる。
【0018】
更に、互いに混和しない3種類以上の液体を一つの液体を除く他の液体にそれぞれ異なる蛍光を発するレーザ色素を予め混入した状態にて混合噴霧する噴霧装置を備え、且つ該噴霧装置による噴霧領域近傍の所要個所に、該噴霧領域へレーザシート光を照射するためのレーザシート光照射装置を設け、液滴による上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラと、上記各レーザ色素に対応させて該各レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光をそれぞれ特異的に検出できるようにしたカメラを、上記噴霧領域内のレーザシート光照射面の所要個所に設定する同一の撮影領域を撮影できるよう設置し、更に、上記各カメラの画像を基に、上記撮影領域に存在する液滴の種類を判別すると共に、種類の判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報を基に、それぞれの液体の噴霧特性を計測する機能を有する画像解析装置を備えてなる構成を有する噴霧計測装置とすることにより、互いに混和しない3種類以上の液体を混合噴霧する場合における各液体の個別の噴霧特性を同時に計測することができる。
【0019】
更に又、レーザシート光照射装置を、噴霧装置の噴霧領域に対して該噴霧装置の主な噴霧方向に平行なレーザシート光照射面を形成できるよう配置した構成とすることにより、レーザシート光照射面の所要個所に設定される撮影領域では、噴霧装置から噴霧される各液滴を、ほぼ上記撮影領域の面に沿って移動させるようにすることができるため、各カメラにて所要の時間間隔で連続撮影すれば、得られる画像上における各液滴の像の時間経過に伴う相対移動距離を基に、上記噴霧装置より噴霧される各液滴の流速を計測することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至図3(イ)(ロ)は本発明の噴霧計測方法及び装置の実施の一形態として、互いに混和しない2種類の液体を混合噴霧するときに該各液体の噴霧特性を個別に測定できるようにする場合を示すもので、所要高さ位置に下向きに設置した噴霧装置1に、互いに混和しない2種類の液体2と3の供給部4と5をそれぞれ接続し、一方の液体2には、蛍光色素として、たとえば、ローダミン6G(Rhodamine6G)等のレーザ色素6を供給部4にて予め混入させるようにする。上記一方のレーザ色素6の混入された液体2と、レーザ色素を含まない液体3とを上記噴霧装置1へそれぞれ供給して、該噴霧装置1より混合状態で噴霧できるようにする。
【0022】
上記噴霧装置1からの噴霧により形成される液体2と3の噴霧領域7の一側位置には、レーザ光をシート状に照射するレーザシート光の照射装置8を設けて、該レーザシート光照射装置8より上記噴霧領域7の中心部に向けてレーザシート光9を照射できるようにし、この照射されるレーザシート光9と上記噴霧領域7との交差部分に形成されるレーザシート光照射面10が、上記噴霧装置1による主な噴霧方向と平行な配置となるようにする。
【0023】
上記噴霧領域7の中央部となるレーザシート光照射面10に、所要サイズ、たとえば、5×5mmの撮像領域11を設定して、該撮像領域11を挟んで上記レーザシート光照射面10と直交する方向の対称位置に、高速度カメラ12と13をそれぞれ対向させて設置し、該各カメラ12と13により上記撮影領域11を両側から同時に撮影できるようにする。上記一方のカメラ12は、撮像領域11に存在する液滴にレーザシート光9が照射されることにより発生する散乱光の検出用とすると共に、他方のカメラ13の前側には、上記一方の液体2に混入してあるレーザ色素6にレーザシート光9が照射されるときに該レーザ色素6が励起されることに伴って発生する蛍光の波長のみを特異的に通過できるようにした光学フィルタ14を装備させて、カメラ13を上記レーザ色素6からの蛍光検出用とする。
【0024】
更に、上記各カメラ12と13は画像解析装置15に接続し、該カメラ12と13にて得られる画像上における上記噴霧装置1より噴霧される液体2の液滴2aと液体3の液滴3aのそれぞれ像より、画像解析装置15にて該各液滴2a,3aの粒径や濃度、速度を各液体2,3ごとに個別に算出するようにする。
【0025】
ここで、本発明による噴霧計測原理について説明する。
【0026】
上記噴霧装置1より2種類の液体2と3が混合して噴霧されると、噴霧領域7には該各液体2,3の液滴2a,3aがそれぞれ形成される。この形成された各液滴2a,3aが、上記噴霧領域7にてレーザシート光9の照射を受けると、図2(イ)(ロ)に示す如く、該各液滴2a,3aからは、上記照射されるレーザシート光9と同様の波長を有する散乱光(Mie散乱光)16が発生する。更に、上記一方の液体2の液滴2aでは、その内部にレーザ色素6が存在しているため、このレーザ色素6に特有の、上記レーザシート光9の波長とは異なる波長の蛍光17が発生するようになる。なお、上記図2(イ)(ロ)では、レーザシート光9及び散乱光16よりも蛍光17の矢印の方が長波長として示してあるが、これは単に光の波長が変化していることを模式的に示しているに過ぎず、蛍光17をレーザシート光9よりも長波長側のものに限定するものではない。
【0027】
したがって、噴霧領域7におけるレーザシート光照射面10に設定されている撮影領域11を撮影する2台のカメラのうち、光学フィルタ14を装備させていない散乱光検出用のカメラ12では、上記撮影領域11にて散乱光16を発生することとなる上記双方の液体2と3の液滴2aと3aが共に撮像される。一方、光学フィルタ14を備えた蛍光検出用のカメラ13では、上記蛍光17を発生する一方の液体2の液滴2aのみが撮影されることとなる。
【0028】
上記各カメラ12と13は同じ撮影領域11を対向位置から同時に撮影できるようにしてあるため、図3(イ)に示す如き上記散乱光検出用のカメラ12にて撮影される上記撮影領域11の画像と、図3(ロ)に示す如き上記蛍光検出用のカメラ13にて撮影される上記撮影領域11の画像とは鏡像配置となるが、蛍光検出用のカメラ13では蛍光17を発する液体2の液滴2aのみが撮影されている。そのため、該カメラ13の像(図3(ロ))と、散乱光検出用のカメラ12の像(図3(イ))とを比較すると、双方のカメラ12と13のいずれでも像が得られる液滴は上記一方の液体2の液滴2aであり、且つ上記散乱光検出用のカメラ12のみでしか撮影されない液滴は、液体3の液滴3aであることが判る。このことから、上記散乱光検出用のカメラ12で撮影される各液滴が、上記2種類の液体2と3のいずれの液滴2a,3aであるかが識別できることとなる。これを画像解析装置15にて行わせている。
【0029】
したがって、上記画像解析装置15は、上記2つのカメラ12と13の画像を比較することにより、散乱光検出用のカメラ12で得られる画像上における各液滴が上記2種類の液体2と3のいずれの液滴2a,3aであるかを判別すると共に、該判別されたそれぞれの液体2と3の液滴2a,3aごとに、レーザシート光9の散乱光16の画像情報を基に、従来と同様の散乱光の解析手法により各液滴2a,3aの粒径をそれぞれ求めることができるようにしてある。又、撮影領域11中に存在する各液体2,3の液滴2a,3aの数から、噴霧領域7内に噴霧された各液体2,3の各液滴2a,3aの数密度を算出することもできるようにしてあり、この算出された上記各液滴2a,3aの数密度より各液体2,3の噴霧濃度をそれぞれ求めることができるようにしてある。
【0030】
更に、上記撮影領域11は、噴霧装置1による主な噴霧方向に平行となるように配してあるため、上記各カメラ12,13にてそれぞれ所要の時間間隔、たとえば、10μ秒間隔で連続撮影すると、画像中における各液滴2a及び3aの像は時間の経過と共に相対移動されることとなる。したがって、上記画像解析装置15は、上記各カメラ12,13により連続撮影された前時間の画像と後時間の画像における各液滴2a,3aの像の相対移動距離と、連続撮影の時間間隔と、設定してある撮影領域のサイズを基に、各液滴2a,3aの速度をそれぞれ算出できるようにしてある。
【0031】
このように、噴霧装置1より2種類の液体2と3を混合噴霧するときに、一方の液体2に予めレーザ色素6を混入させておくことにより、撮影領域11に存在する液滴を、上記液体2の液滴2aと液体3の液滴3aに区別でき、それぞれ区別された液体2の液滴2aと液体3の液滴3aについて、それぞれレーザシート光9の散乱光16の画像情報を基に、噴霧により形成される液滴2a又は3aの粒径、数密度(各液体2,3の噴霧濃度)、速度という個別の噴霧特性を同時に計測することが可能になる。
【0032】
次に、図4は本発明の実施の他の形態として、互いに混和せず、噴霧したときにそれぞれの液滴を別々に形成する3種類の液体を混合して噴霧するときに、該各液体ごとの噴霧特性を個別に計測できるようにする場合を示すもので、図1に示したものと同様の構成において、噴霧装置1に、液体2と3のいずれとも混和しない第3の液体18の供給部19を接続すると共に、該第3の液体18の供給部には、レーザシート光9が照射されることにより励起されて上記液体2に混合するようにしてあるレーザ色素6とは異なる波長の蛍光を発生する別のレーザ色素20を添加できるようにする。更に、上記レーザ色素20の発する蛍光のみを通過させる光学フィルタ22を装備した第3のカメラ21を、カメラ12及び13と同一の撮影領域11を撮影できるように設ける。そのために、たとえば、図4に一形態を示す如く、上記レーザシート光9の散乱光を検出するためのカメラ12の前方位置に、ハーフミラーやビームスプリッターのような光分配器23を設けて、上記観測領域11より上記カメラ12へ入射するレーザシート光9の散乱光や蛍光を、上記光分配器23にて上記カメラ12の方向と直角方向へ分配できるようにすると共に、該分配された散乱光及び蛍光が入射する上記光分配器23の側方位置に、上記光学フィルタ22を装備させたレーザ色素20の蛍光検出用のカメラ21を設置するようにする。
【0033】
これにより、図5(イ)に示す如き散乱光検出用のカメラ12の画像では、図3(イ)に示したと同様に、レーザシート光9の散乱光により撮影領域11に存在するすべての液体2,3,18の液滴2a,3a,18aの像が検出されることになる。図5(ロ)に示す如きレーザ色素6の蛍光検出用のカメラ13の画像では、図3(ロ)に示したと同様に、撮影領域11に存在するレーザ色素6を含んでなる液滴、すなわち、液体2の液滴2aのみの像が検出されることになる。更に、図5(ハ)に示す如きレーザ色素20の蛍光検出用のカメラ21の画像では、撮影領域11に存在するレーザ色素20を含んでなる液体18の液滴18aの像のみが検出されるようになる。
【0034】
上記カメラ12と13の画像は、図3(イ)(ロ)に示したと同様に互いに鏡像配置となっており、又、カメラ21の画像は、上記散乱光検出用のカメラ12に入射する光を分配しているものであるため、該カメラ12と同じ配置となっている。したがって、画像解析装置15では、図5(イ)に示されたすべての液滴2a,3a,18aの像のうち、図5(ロ)に示したカメラ13の画像の対応する位置に像が検出されるものを液体2の液滴2aとして判別し、図5(ハ)に示したカメラ21の画像の対応する位置に像が検出されるものを液体18の液滴18aとして判別し、図5(ロ)及び図5(ハ)のいずれにも対応する位置に像が検出されないものを液体3の液滴3aとして区別させるようにすることができるようにしてある。更に、画像解析装置15では、上記区別された各液体2,3,18の液滴2a,3a,18aごとに、それぞれのレーザシート光9の散乱光の画像情報を解析することにより、各液体2,3,18の液滴2a,3a,18aの粒径を個別に解析することができると共に、該各液体2,3,18ごとに噴霧濃度を算出し、更には、所要の時間間隔で連続撮影した前時間と後時間の画像における各液滴2a,3a,18aの像の相対移動距離よりそれぞれの液体2,3,18が噴霧される流速を算出することができるようにしてある。
【0035】
その他、図4にて図1に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、3種類の液体2,3,18を混合噴霧するときに、該各液体2,3,18の個別の噴霧特性を同時計測することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、噴霧領域7におけるレーザシート光9の照射位置は、噴霧特性の計測を所望する個所に対応させて上記噴霧領域7における中心部以外のいかなる個所に設定してもよい。又、上記したレーザシート光照射装置8と複数台のカメラ12,13,21からなる装備を、上記噴霧領域7の複数個所に設けて該噴霧領域7の複数個所における噴霧特性をそれぞれ計測するようにしてもよい。噴霧領域7に対して照射するレーザシート光9の向きは、噴霧装置1の主な噴霧方向に平行なレーザシート光照射面10を形成できるよう配置するものとして示したが、各液体2,3,18の液滴2a,3a,18aの流速の計測を特に必要としない場合には、上記レーザシート光9を噴霧領域7に対して照射する向きは自在に設定してよいが、各カメラ12,13,21は上記レーザシート光照射面10に形成される撮影領域11を垂直方向から撮影できるようにすることが望ましいため、上記レーザシート光9の向きは、噴霧装置1による主な噴霧方向に直交する方向からは多少傾けることが好ましい。図1ではカメラ12とカメラ13を、撮影領域11を挟んだ対称位置に対向させて配置するものとして示したが、図4におけるカメラ12とカメラ21の配置と同様に、撮影領域11にて発せられる散乱光あるいは蛍光を光分配器23を介して分配できるようにすれば、上記カメラ12とカメラ13を、共に上記撮影領域11の一側に配置するようにしてもよい。4種類以上の液体を混合して噴霧するときに各液体ごとに噴霧特性を調べる場合に適用してもよく、この場合は、1つの液体を除く他の液体に対しそれぞれ異なる蛍光を発するレーザ色素を予め混入した状態で噴霧装置1より噴霧できるようにすると共に、光学フィルタを装備しないレーザシート光9の散乱光検出用のカメラの他に、上記使用する各レーザ色素に対応させて、それぞれのレーザ色素の発する蛍光のみを特異的に通過させることができる光学フィルタを備えたカメラを備えるようにし、且つ撮影領域11より発せられる散乱光と蛍光を、図4に示したと同様の光分配器23を用いてすべてのカメラに入射させることができるよう適宜分配させるようにすればよい。使用するレーザ色素は、噴霧特性を計測しようとする各液体の性状に対応させて自在に選定すればよい。噴霧装置1は下向き以外の方向に噴霧するものであってもよく、この場合は、レーザシート光照射装置8及び各カメラ12と13又は12と13と21の配置を上記噴霧装置1による噴霧領域7に対応させて適宜変更すればよい。噴霧装置1としては、噴霧により別々の液滴を形成する複数の液体を混合して噴霧するものであれば、噴霧燃焼方法に使用する燃料噴射装置以外の各種噴霧装置における噴霧特性の計測に適用できること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明者等の行った実験結果について説明する。
液体2を水とし且つ液体3をハイドロフルオロエーテル(HFE)として、上記水とHFEの混合噴霧を行う場合に、水に予めレーザ色素6としてのローダミン6Gを添加しておき、上記図1乃至図3に示した方法及び装置を用いて、水とHFEの噴霧特性として、噴霧により形成される液滴の粒径分布をそれぞれ計測した。
その結果は図6に示すとおりであった。なお、水の液滴の粒径の計測結果は白抜きのバーで示し、HFEの液滴の粒径の計測結果は斜線を引いたバーで示してある。
図6から明らかなように、水とHFEを混合して噴霧する場合であっても、水の液滴の粒径分布と、HFEの液滴の粒径分布を、それぞれ個別に計測できることが判かる。
【0039】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 混和しない複数種類の液体を混合噴霧する前に、1つの液体を除く他の液体にレーザ色素を混入して、該複数種類の液体が噴霧される噴霧領域内にレーザシート光を照射し、上記液体の種類に対応させた数のカメラで上記レーザシート光の照射面における同一の撮影領域を同時に撮影して、液滴による上記レーザシート光の散乱光の画像と、上記レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光のみの画像を検出して比較することにより、撮影された液滴が上記複数種類の液体のいずれであるかを判別し、更に、該液体の種類が判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報に基いて、それぞれの液体の噴霧特性を計測するようにした噴霧計測方法、及び、一方の液体にレーザ色素が混入してある互いに混和しない2種類の液体を混合噴霧する噴霧装置を備え、且つ該噴霧装置による噴霧領域近傍の所要個所に、該噴霧領域へレーザシート光を照射するためのレーザシート光照射装置を設け、液滴による上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラと、上記レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光のみを検出できるようにしたカメラを、上記噴霧領域内のレーザシート光照射面の所要個所に設定する同一の撮影領域を撮影できるよう設置し、更に、上記各カメラの画像を基に、上記撮影領域に存在する液滴の種類を判別すると共に、種類の判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報を基に、それぞれの液体の噴霧特性を計測する機能を有する画像解析装置を備えてなる構成を有する噴霧計測装置としてあるので、上記互いに混和しない2種類の液体を混合して噴霧する場合に、該各液体の液滴の粒径や噴霧濃度に関する個別の噴霧特性を同時に計測することができる。
(2) 上記各カメラを、撮影領域を中心とする点対称位置に対向配置するようにした構成とすることにより、該各カメラにて同一の撮影領域を容易に撮影できる。
(3) 互いに混和しない3種類以上の液体を一つの液体を除く他の液体にそれぞれ異なる蛍光を発するレーザ色素を予め混入した状態にて混合噴霧する噴霧装置を備え、且つ該噴霧装置による噴霧領域近傍の所要個所に、該噴霧領域へレーザシート光を照射するためのレーザシート光照射装置を設け、液滴による上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラと、上記各レーザ色素に対応させて該各レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光をそれぞれ特異的に検出できるようにしたカメラを、上記噴霧領域内のレーザシート光照射面の所要個所に設定する同一の撮影領域を撮影できるよう設置し、更に、上記各カメラの画像を基に、上記撮影領域に存在する液滴の種類を判別すると共に、種類の判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報を基に、それぞれの液体の噴霧特性を計測する機能を有する画像解析装置を備えてなる構成を有する噴霧計測装置とすることにより、互いに混和しない3種類以上の液体を混合噴霧する場合における各液体の個別の噴霧特性を同時に計測することができる。
(4) レーザシート光照射装置を、噴霧装置の噴霧領域に対して該噴霧装置の主な噴霧方向に平行なレーザシート光照射面が形成できるよう配置した構成とすることにより、レーザシート光照射面の所要個所に設定される撮影領域では、噴霧装置から噴霧される各液滴を、ほぼ上記撮影領域の面に沿って移動させるようにすることができるため、各カメラにて所要の時間間隔で連続撮影すれば、得られる画像上における各液滴の像の時間経過に伴う相対移動距離を基に、上記噴霧装置より噴霧される各液滴の流速を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の噴霧計測方法及び装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図2】図1のレーザシート光照射面に液滴が存在するときに生じる現象を示すもので、(イ)はレーザ色素を含有した液滴の場合を、(ロ)はレーザ色素を含まない液滴の場合をそれぞれ示す概要図である。
【図3】(イ)(ロ)は図1の各カメラにて得られる画像をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の実施の他の形態を示す概要図である。
【図5】(イ)(ロ)(ハ)は図4の各カメラにて撮影される画像をそれぞれ示す図である。
【図6】水とHFEを混合噴霧した場合のそれぞれの粒径分布を計測した実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 噴霧装置
2 液体
2a 液滴
3 液体
3a 液滴
6 レーザ色素
7 噴霧領域
8 レーザシート光照射装置
9 レーザシート光
10 レーザシート光照射面
11 撮影領域
12 カメラ
13 カメラ
15 画像解析装置
16 散乱光
17 蛍光
18 液体
18a 液滴
20 レーザ色素
21 カメラ
Claims (5)
- 混和しない複数種類の液体を混合噴霧する前に、1つの液体を除く他の液体にレーザ色素を混入して、該複数種類の液体が噴霧される噴霧領域内にレーザシート光を照射し、上記液体の種類に対応させた数のカメラで上記レーザシート光の照射面における同一の撮影領域を同時に撮影して、液滴による上記レーザシート光の散乱光の画像と、上記レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光のみの画像を検出して比較することにより、撮影された液滴が上記複数種類の液体のいずれであるかを判別し、更に、該液体の種類が判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報に基いて、それぞれの液体の噴霧特性を計測するようにしたことを特徴とする噴霧計測方法。
- 一方の液体にレーザ色素が混入してある互いに混和しない2種類の液体を混合噴霧する噴霧装置を備え、且つ該噴霧装置による噴霧領域近傍の所要個所に、該噴霧領域へレーザシート光を照射するためのレーザシート光照射装置を設け、液滴による上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラと、上記レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光のみを検出できるようにしたカメラを、上記噴霧領域内のレーザシート光照射面の所要個所に設定する同一の撮影領域を撮影できるよう設置し、更に、上記各カメラの画像を基に、上記撮影領域に存在する液滴の種類を判別すると共に、種類の判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報を基に、それぞれの液体の噴霧特性を計測する機能を有する画像解析装置を備えてなる構成を有することを特徴とする噴霧計測装置。
- 各カメラを、撮影領域を挟んだ対称位置に対向配置するようにした請求項2記載の噴霧計測装置。
- 互いに混和しない3種類以上の液体を一つの液体を除く他の液体にそれぞれ異なる蛍光を発するレーザ色素を予め混入した状態にて混合噴霧する噴霧装置を備え、且つ該噴霧装置による噴霧領域近傍の所要個所に、該噴霧領域へレーザシート光を照射するためのレーザシート光照射装置を設け、液滴による上記レーザシート光の散乱光を検出するカメラと、上記各レーザ色素に対応させて該各レーザ色素に上記レーザシート光が照射されるときに発生する蛍光をそれぞれ特異的に検出できるようにしたカメラを、上記噴霧領域内のレーザシート光照射面の所要個所に設定する同一の撮影領域を撮影できるよう設置し、更に、上記各カメラの画像を基に、上記撮影領域に存在する液滴の種類を判別すると共に、種類の判別された各液滴によるレーザシート光の散乱光の画像情報を基に、それぞれの液体の噴霧特性を計測する機能を有する画像解析装置を備えてなる構成を有することを特徴とする噴霧計測装置。
- レーザシート光照射装置を、噴霧装置の噴霧領域に対して該噴霧装置の主な噴霧方向に平行なレーザシート光照射面を形成できるよう配置した請求項2、3又は4記載の噴霧計測装置。
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