JP2006125026A - プレストレスト構造部材及びこれを備えた組積造建築物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 建築物の外観を損なうことなく、耐震性を向上させることができる組積造建築物の構築技術を提供することを技術的課題とする。
【解決手段】 本発明は、組積造建築物に用いるプレストレスト構造部材10であって、プレストレスを導入するPC鋼材2を挿通するための穴部が形成された単位構造部材1aを複数備え、前記単位構造部材1aは、前記穴部の軸方向において複数連結されている。また、本発明は、前記プレストレスト構造部材10を複数備えた組積造建築物であって、前記穴部の軸方向と略平行に互いに隣接して配置された複数のプレストレスト構造部材1と、前記プレストレスト構造部材1間に配置された断熱材3と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明は、組積造建築物に用いるプレストレスト構造部材10であって、プレストレスを導入するPC鋼材2を挿通するための穴部が形成された単位構造部材1aを複数備え、前記単位構造部材1aは、前記穴部の軸方向において複数連結されている。また、本発明は、前記プレストレスト構造部材10を複数備えた組積造建築物であって、前記穴部の軸方向と略平行に互いに隣接して配置された複数のプレストレスト構造部材1と、前記プレストレスト構造部材1間に配置された断熱材3と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、組積造建築物を構成するプレストレスト構造部材及びこれを備えた組積造建築物に関し、特に、戸建住宅及び集合住宅の建築物に好適に用いることができる技術に関する。
コンクリートブロックやセラミックブロックなどの単体を積み上げて構築される組積造建築物は、長い歴史を有しており、古来より世界中で多くの組積造建築物が作られてきた。しかし、組積造建築物は一般的に耐震性が低く、地震に弱いため、建築階数に制限があり、一般的な住宅等においては、その適用が困難であった。
このような問題に鑑みて、鉄筋等の補強により、耐震性を強化した組積造建築物が提案されてきた。例えば、柱、梁、ブレースとからなる鉄骨フレームを組み立て、その鉄骨フレームを組積造建築物の壁体に連結させて、組積造建築物の耐震性を向上させる方法があった。
前記方法によれば、鉄骨フレームを連結した部分については耐震性が向上されるが、鉄骨フレームを連結しない部分については耐震性が低く、壁体を構成する単体同士の結合が壊れるおそれがあった。また、組積造建築物を構成する壁体に鉄骨フレームを連結するため、建築物の外観が損なわれるという問題があった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、建築物の外観を損なうことなく、耐震性を向上させることができる組積造建築物の構築技術を提供することを技術的課題とする。
本発明は、前記技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、組積造建築物に用いるプレストレスト構造部材であって、プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が形成された単位構造部材を複数備え、前記単位構造部材は、前記穴部の軸方向において複数連結されていることを特徴とする。
前記組積造建築物のプレストレスト構造部材は、プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が前記単位構造部材に形成されているため、当該穴部にPC鋼材を挿通させて緊張させることにより、プレストレスを導入し、構築される建築物の耐震性を向上させることができる。
また、複数の単位構造部材を積み重ねて構築する組積造建築物において、PC鋼材を緊張させることによって単位構造部材同士を連結することができるため、別途連結作業を行う必要がなく、作業効率を向上させて、工期の短縮化及び施工コストの縮減を図ることが可能となる。。
尚、本発明に係るプレストレスト構造部材は、前記プレストレスによって強度を高めることができるため、種々の材質を単位構造部材として用いることが可能となる。例えば、プレキャストコンクリート、プレストレストコンクリート、アルミ、煉瓦、ブロック、石材、ガラス、木材、竹材等導入されるプレストレスに耐え得る種々の材質を単位構造部材
として適用することができる。
として適用することができる。
前記プレストレスとは、外力による応力を打ち消すために、部材にあらかじめ与えておく応力のことである。本発明に係るプレストレスト構造部材は、前記プレストレスによって構造部材としての強度が備わるため、建築物の構造部材して適用でき、プレストレスト構造部材を組み合わせることにより建築物を構築することができる。そのため、設計上の制限が少なくなり、自由度の高い建築物を構築することが可能となる。
また、前記プレストレスト構造部材は、前記単位構造部材の少なくとも一側面に添って配置された断熱材を備えていることが望ましい。前記プレストレスト構造部材によれば、建築物を構築する際に前記断熱材を建築物の内側、外側等、構築する建築物に応じて適宜に選択して配置することができる。例えば、断熱材を建築物の外側に配置することにより、近年、高い気密性、ヒートブリッジ、結露の防止、高い熱的性能等の観点から所望されている外断熱効果を得ることができる。
前記断熱材とは、建築物を構成する壁の内外の熱の出入りを防ぐために設けられる部材であり、住宅においては、一般的に屋根や壁の下地と仕上げ材との間に仕込む。その種類としては、有機発泡系として発泡ポリスチレン系断熱材、発泡ポリエチレン系断熱材、無機繊維系としてグラスウール系断熱材、ロックウール系断熱材を例示できる。
加えて、本発明に係るプレストレスト構造部材は、前記断熱材が外装材を兼ねていることを特徴としても良い。前記外装材とは、建築物の外周に配置され、紫外線や風雨、雪、外気温、騒音等から建築物を保護する部材である。前記外装材は、耐久性、耐水性、遮音性、断熱性等の性能とともに、デザイン性やコスト、施工性が要求される。
前記外装材は、タイル、煉瓦、石(御影石、大理石、軽石)、ALC、サイディングボード、木等が例示され、構築する建築物の構造、デザイン、施工等に応じて適宜に選択して用いることが望ましい。前記断熱材が外装材を兼ねることにより、外装材の施工が不要となり、更なる工期の短縮、施工コストの縮減を図ることができる。
また、本発明は、前記プレストレスト構造部材を複数備えた組積造建築物であって、前記穴部の軸方向と略平行に互いに隣接して配置された複数のプレストレスト構造部材と、前記プレストレスト構造部材間に配置された断熱材と、を備えることを特徴とする組積造建築物である。
前記組積造建築物は、前記プレストレスト構造部材を複数併設し、その間に断熱材を配置しているため、断熱材が外観からは見えず、外観上組積造特有の重厚さを出すことが可能となる。また複数のプレストレスト構造部材とその間の断熱材を併設しているため、外部から浸水しても、断熱材があることによって縁が切れ、建築物内部への浸水を防ぐことが可能となる。
加えて、本発明に係る組積造建築物によれば、組積造のプレストレスト構造部材を予め組み立てて、それをユニットとして現場にて組み立てて組積造建築物を構築することができる。従来の、組積造建築物は、現場にて、単位構造部材を1つ1つ積み重ねて構築していた。そのため、構築する建築物の周囲に足場を組み立てる必要があった。
しかし、本発明によれば、予めプレストレスト構造部材をユニット化して現場にて組み立てることができるため、足場が不要となり、隣地境界線とのスペースを最小限にすることができる。従って、限られた土地を有効活用することがでるとともに、更なる工期の短縮及び施工コストの縮減を図ることができる。
さらに、本発明は、前記プレストレスト構造部材を複数備えた組積造建築物であって、前記穴部の軸方向と略平行に互いに隣接して配置された複数のプレストレスト構造部材を備え、前記プレストレスト構造部材間には、空気層が形成されていることを特徴とする組積造建築物である。
前記組積造建築物は、前記プレストレスト構造部材を複数併設し、その間に空気層を形成しているため、当該空気層によって内部結露の原因となる水蒸気や侵入した雨水の排出に対して好適な効果を発揮し、室内環境を向上させることができる。また、前記プレストレスト構造物間に断熱材を配置した組積造構造物と比較して、断熱材を配置するスペースが不要であるため、狭小地であっても最大限に土地を活用して建築物を構築することができる。
以上のように本発明によれば、建築物の外観を損なうことなく、耐震性を向上させることができる組積造建築物を提供することができる。
以下、本発明に係るプレストレスト構造部材を用いた組積造建築物の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、煉瓦製の単位構造部材を用いた実施形態である。図1は、本実施の形態に係る組積造建築物の一部斜視断面図であり、図2は、図1に示すプレストレスト構造部材10のA−A矢視図である。
前記プレストレスト構造部材10は、単位構造部材としての煉瓦1aを積載した二枚の壁材1と、壁材1間に配置された断熱材3と、を備えている。前記壁材1の煉瓦1aには、上下方向に貫通した貫通穴が形成されており、この貫通穴にはPC鋼棒2が挿通され、プレストレスが導入されている。PC鋼棒2によってプレストレスが付加されることによりプレストレスト構造部材10の引張力に対する強度が高くなり、構築される建築物の耐震性が向上する。
また、煉瓦1aを積載した壁材1間には、断熱材3が配置されているため、断熱材3の効果により構築される建築物の気密性等が高められ、ヒートブリッジ及び結露が防止がされる。一方、断熱材3は壁材1間に配置されているため、外観から視認されず、建築物の外観を損なわせることなく、組積造建築物の特有の重厚感が作り出される。
次いで、前記プレストレスト構造部材10を用いた住宅の構築について、その施工手順と共に詳細に説明する。まず、住宅の設計図を基に、単位構造部材としての煉瓦1aを設置箇所に積載する。その際には、各煉瓦1a間に漏水等を防ぐためモルタルを塗布する。煉瓦1aの積載が完了した後、煉瓦1aの貫通穴にPC鋼棒2を挿通させる。そして、PC鋼棒2を緊張することにより、壁材1にプレストレスが導入されると共に、積載された煉瓦1a同士が連結され、一枚目の壁材1ができる。
一枚目の壁材1ができた後、当該壁材1の壁面に添って断熱材3を配設する。この際、必要に応じて、断熱材3に併設して、透湿防水シート及び空気層を設けても良い。断熱材3を配設した後、一枚目の壁材1と同様にして、二枚目の壁材1を組み上げる。そして、仕上げに煉瓦1a間の目地処理をすることによって、組積造建築物が構築される。
このようにして構築された組積造建築物は、前記PC鋼棒2によってプレストレスが導入されているため、高い耐震性を有する。また、単位構造部材としての煉瓦1a間の連結をPC鋼棒2によって行っているため、作業効率が向上し、工期短縮、施工コストの縮減
が実現される。
が実現される。
また、前記実施形態では、単位構造部材としての煉瓦1aを現場にて積載したが、予め工場において煉瓦1aの積載及びPC鋼棒2の緊張を行って壁材1を構築することにより、現場における作業を少なくすることができ、更なる作業効率の向上を図ることが可能となる。加えて、本実施形態に係るプレストレスト構造部材10は、壁材1間に断熱材3を配置したが、この構成は設計条件及び施工条件に応じて適宜に変形して行うことができる。
次いで、前記プレストレスト構造部材10の他の実施形態を例示的に説明する。尚、ここで挙げる実施形態は、本発明に係るプレストレスト構造部材を例示したものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
図3から図9は、本発明に係るプレストレスト構造部材10の実施例を示す概略断面図であり、各図はそれぞれ実施形態の図2に相当する図である。尚、各図において、前記実施形態の同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図3から図9に示すプレストレスト構造部材10は、それぞれ図2に示すプレストレスト構造部材10の変形例であり、図3は、断熱材3の代わりに空気層5を形成しており、図4は、断熱材3と空気層5を併設した変形例である。
前記断熱材3の代わりに空気層5を設けることにより、断熱材3の施工の手間が省けるとともに、断熱材3のスペースがなくなるため狭小地の住宅に適用することが可能となる。また、断熱材3と空気層5とを併せて設けることにより、断熱材3と空気層5の相乗効果により高い断熱性能を得ることができる。
また、図5から7に示すプレストレスト構造部材は、実施形態に係るプレストレスト構造部材10において建築物の外側に配置されていた壁材1の代わりに外装材4を用いたものである。図5から図7に示すプレストレスト構造部材10は、それぞれ図2から図4に示したプレストレスト構造部材10の建築物の外側に配置された壁材1に代えて外装材4を用いたものである。
前記外装材4とは、例えば、軽量気泡コンクリート(ALC)、断熱材裏打ちサイディングボード、軽石、木材等が挙げられ、住宅の構造及び施工条件等に応じて適宜に選択して用いることができる。例えば、図5に示すプレストレスト構造部材10のように断熱材3が一体となった断熱材裏打ちサイディングボードを外装材4として用いることにより、作業効率を向上させることができる。
また、図8に示すように断熱材性能を備えた外装材であるALC6を用いることにより、外装材が断熱材を兼ねるため、断熱材の施工が不要となり、更なる工期の短縮、施工コストの縮減を図ることができる。
また、図9に示すプレストレスト構造部材は、図2に示すプレストレスト構造部材の建築物の内側に配置されていた壁材1に代えて内装材7を用いたものである。このプレストレスト構造部材は、従来の組積造にプレストレスを付加たものであり、このプレストレスの付加により構造上弱かった部分を補うことができる。このプレストレスト構造部材は、外断熱より断熱性能は劣るが、施工において組積後は内部仕上げ工事をするのみであり、躯体工事が最小限にすることができるというメリットを備える。
1 壁材
1a 煉瓦
2 PC鋼棒
3 断熱材
4 外装材
5 空気層
6 ALC
7 内装材
10 プレストレスト構造部材
1a 煉瓦
2 PC鋼棒
3 断熱材
4 外装材
5 空気層
6 ALC
7 内装材
10 プレストレスト構造部材
Claims (6)
- 組積造建築物に用いるプレストレスト構造部材であって、
プレストレスを導入するPC鋼材を挿通するための穴部が形成された単位構造部材を複数備え、
前記単位構造部材は、前記穴部の軸方向において複数連結されていることを特徴とするプレストレスト構造部材。 - 前記単位構造部材の少なくとも一側面に添って配置された断熱材を備えることを特徴とする請求項1に記載のプレストレスト構造部材。
- 前記断熱材は、外装材を兼ねていることを特徴とする請求項2に記載のプレストレスト構造部材。
- 前記単位構造部材と断熱材との間には、空気層が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプレスレスト構造部材。
- 請求項1に記載のプレストレスト構造部材を複数備えた組積造建築物であって、
前記穴部の軸方向と略平行に互いに隣接して配置された複数のプレストレスト構造部材と、
前記プレストレスト構造部材間に配置された断熱材と、を備えることを特徴とする組積造建築物。 - 請求項1に記載のプレストレスト構造部材を複数備えた組積造建築物であって、
前記穴部の軸方向と略平行に互いに隣接して配置された複数のプレストレスト構造部材を備え、
前記プレストレスト構造部材間には、空気層が形成されていることを特徴とする組積造建築物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004313952A JP2006125026A (ja) | 2004-10-28 | 2004-10-28 | プレストレスト構造部材及びこれを備えた組積造建築物 |
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JP2004313952A JP2006125026A (ja) | 2004-10-28 | 2004-10-28 | プレストレスト構造部材及びこれを備えた組積造建築物 |
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ID=36720030
Family Applications (1)
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JP2004313952A Withdrawn JP2006125026A (ja) | 2004-10-28 | 2004-10-28 | プレストレスト構造部材及びこれを備えた組積造建築物 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006125026A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101288808B1 (ko) * | 2011-05-20 | 2013-07-23 | 한국건설기술연구원 | 진공단열재를 내장하는 단열블럭 |
CN108412081A (zh) * | 2018-01-30 | 2018-08-17 | 天津城建大学 | 施加有水平预应力的砌体结构及砌体的砌筑施工方法 |
CN109098307A (zh) * | 2018-07-13 | 2018-12-28 | 中国冶集团有限公司 | 出砖入石的墙体结构及砌墙方法 |
-
2004
- 2004-10-28 JP JP2004313952A patent/JP2006125026A/ja not_active Withdrawn
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