JP2006123150A - 電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法 - Google Patents

電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子ビーム誘起蒸着法を用いてナノ構造を作成する際に途中でナノ構造物を傾けることなく電子ビームの入射軸方向の制御を行うことができることを含め、ナノ構造作成の自由度を高め、応用範囲を広げることのできる新規な、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法を提供する。
【解決手段】 この出願の発明の電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法は、原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、電子ビームの入射軸方向の制御を行うことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この出願の発明は、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ナノ構造作成の自由度を高め、応用範囲を大きく広げることが期待できる新規な、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法に関するものである。
近年、半導体デバイスにおける集積度の高まりにつれ、より微細な構造を位置と大きさを制御しつつ作製する技術への要求が高まっている。またさらに、量子効果を用いたデバイスの実用化に向けた取り組みも盛んに行われており、大きさがナノメートル程度のドットあるいは他の形態の微細構造を作成する方法が求められている。
現在、このような微細構造の作成には、一般的にリソグラフィーと呼ばれる技術が用いられている。この技術は、光もしくは電子によって感光する樹脂を材料表面に塗布し、マスクを用いて材料表面を所望の形状に感光させた後、酸などでエッチングすることで微細構造を作成する技術である。ところが、この技術では、感光剤の特性によるボケやエッチングのキレなどにより、作成できる微細構造のサイズには限界がある。
このようなリソグラフィーに代わる技術として、微細構造の原料となる元素を含んだガスを材料上に流し、そこに電子ビームを照射し、電子ビーム及びそれにより生じる熱、電場、2次電子、X線及び光の少なくとも1つと原料ガスとの反応による原料ガスの分解などにより、微細構造の原料を材料上に堆積させる電子ビームによるガスデポジション法が知られている。この出願の明細書においては、このような電子ビームによるガスデポジション法を「電子ビーム誘起蒸着法」と称する。
K. Edinger, T. Gotszalk, I. W. Rangelow, "Novel high resolution scanning thermal probe", J. Vac. Sci. Technol. B 18 (2001) 2856
しかしながら、電子ビーム誘起蒸着法においては電子ビームを用いてナノ構造を作成するため、レーザービームやイオンビームを用いた場合と異なり、分解能が高い反面、高速電子ビームの透過能の高さから、作成されるナノ構造の電子ビーム入射軸方向の制御が難しいという問題があった。そのため、電子ビームによるナノ構造の作成は多くが2次元的に行われており、3次元の構造を必要とする場合は途中でナノ構造物を傾けるなどの手法をとらざるを得ず、応用範囲を広げることの妨げとなっていた(非特許文献1)。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたもので、電子ビーム誘起蒸着法を用いてナノ構造を作成する際に途中でナノ構造物を傾けることなく電子ビームの入射軸方向の制御を行うことができることを含め、ナノ構造作成の自由度を高め、応用範囲を広げることのできる新規な、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記課題を解決するものとして、第1には、原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、電子ビームの入射軸方向の制御
を行うことを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法を提供する。
また、第2には、原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法により2次元ナノ構造を作成する方法に対し、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、電子ビームの入射軸方向の制御を行い、3次元ナノ構造を作成することを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法を提供する。
また、第3には、原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、ナノ構造の蒸着のオン・オフを行うことを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法を提供する。
さらに、第4には、原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、蒸着位置での電子ビームの輝度を変化させ、作成されるナノ構造の形状、組成、内部構造又は結晶構造を変化させることを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法を提供する。
この出願の発明によれば、電子ビーム誘起蒸着法において電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面(蒸着面)に対して高さ方向に制御することにより、電子ビームの入射軸方向の制御を行うことが可能となり、これによりナノ構造物を途中で傾けることなしに、上下方向にも制御されたナノ構造の作成が可能になる他、焦点の高さ方向のずれに伴う電子ビームの輝度変化により、作成されるナノ構造の形状、組成、内部構造、結晶構造を変化させることができる。また、蒸着のオン・オフ制御などを行うことが可能となる。従って、この出願の発明によれば、電子ビーム誘起蒸着におけるナノ構造作成の自由度を高め、応用範囲を大きく広げるものと期待される。
さらに、10年程度後の超集積半導体電子デバイスでは、パターン寸法やその寸法精度が数nmを要求されており、この出願の発明を用いることによって、集積度が高い電子デバイスが作成可能となるばかりでなく、量子効果を利用したデバイスの開発、実用化に向けて大きく寄与することとなる。また、これらは一旦実用化されれば今日の半導体産業を一変させるものであり、その基本技術として非常に大きな経済効果をもつものと期待される。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明は、電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面(蒸着面)に対して高さ方向(以下、単に高さ方向と称する)に制御する手法を採用している。この電子ビームの焦点位置の制御により、電子ビームの入射軸方向の制御を行うことが可能となり;また2次元ナノ構造を作成する方法に対しその制御を組み合わせることにより、また3次元ナノ構造を作成することが可能となり;またナノ構造の蒸着のオン・オフを行うことが可能となり;さらに蒸着位置での電子ビームの輝度を変化させ、作成されるナノ構造の形状、組成、内部構造又は結
晶構造を変化させることが可能となる。
この出願の発明で用いる電子ビームの発生は、たとえば電界放出型電子銃を用いて行う。用いる電子エネルギーは特に限定されないが、より微細なナノ構造の作成の観点から、10〜200keV程度のものが好ましく、電流値は0.2〜0.8nAが好ましい。
電子ビームの焦点の高さ方向の位置制御は、たとえば試料上の磁界レンズの電流値を変化させることで行うことができる。
電子ビームの材料面上でのスポットサイズは、作成対象により異なり、また焦点位置の制御により変動するが、最小径はたとえば数ナノメートルにまで集束したものとすることができる。
この出願の発明で用いる原料ガスとしては、たとえばW(CO)6、Cr(CO)6、Mo(CO)6、Fe(CO)6、Au(CH32等を用いることができる。原料ガスの供給は、たとえばノズルを用いて材料上の所要の位置に噴出する方法等、各種の方法を用いることができる。原料ガス供給速度は、作成する対象により異なるが、一般に0.5〜3.5×10-4PaLS-1程度である。
材料(基板)としては、カーボン膜、Si、Al、GaAs等を用いることができる。
電子ビーム誘起蒸着法では、電子ビームあるいは材料を水平方向などに移動させることにより線状や面状などの1次元、2次元ナノ構造を作成できるが、この出願の発明では、焦点の高さ方向の位置制御を行うことにより、3次元ナノ構造を、構造物を傾けないで作成することができる。
電子ビームの焦点位置は、材料上(蒸着面)を基準(0)として+方向(上方向)及び−方向(下方向)のいずれにも制御することができる。電子ビームの焦点位置の制御量に応じて作成されるナノ構造における濃度(組成)が変化する。たとえば、焦点位置が蒸着面から+方向あるいは−方向への移動距離が大きくなるにつれてナノ構造における濃度が少なくなり、ある値を超えると蒸着しなくなる。焦点位置の制御量は、作成対象に応じて異なるが、±5000nm程度とすることができる。
電子ビーム誘起蒸着法によるナノ構造作成における電子ビームの焦点位置の制御の具体例を挙げると次のようになる(より詳細には実施例で詳述する)。
たとえば、まず、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用い、電子ビームのエネルギーを200keVとし、原料ガスをW(CO)6とし、カーボン膜上にタングステンナノワ
イヤを作成したケースについて述べる。
走査速度を一定にし、カーボン膜面として一定速度でライン状に走査させた場合には、カーボン膜面上にスムーズなタングステンナノワイヤが形成された。そのタングステンナノワイヤ中のタングステンの組成は走査速度を増加させると、減少した。以上は従来法。
上記と同様に走査を行い、電子ビームの焦点の高さ位置を0nmから+方向の特定値まで連続的に変化させた場合、始点を中心とした扇形状の蒸着物が形成された。上記特定値をいくつかの異なる値に設定して複数の蒸着を行ったところ、上記特定値が小さいときは、非常に円周角の小さい扇形状の蒸着物であったものが、上記特定値が大きくなるにしたがい円周角が次第に大きな扇形状の蒸着物となった。
蒸着を−方向とした場合も同様な蒸着物が得られ、そのプロファイルは+方向とほぼ同様なものであった。
また、走査速度を上記と同様にした場合の蒸着において、焦点の移動距離を異ならせることにより、密度の高い蒸着物と密度の低い蒸着物が作成された。たとえば6nm/sの走査速度の場合、その組成の急激な変化が起きる焦点の高さ位置は約±250nmであった。
また、走査速度を上記と同様にした場合の蒸着において、焦点の移動距離をある値以上にすると、蒸着が行われなくなる。これを利用することにより蒸着のオン・オフの制御が行うことができる。
さらに、走査速度を2nm/sとした場合にカーボン膜から上方に向かった、いわゆる自己支持型ナノワイヤが作成されることを確認した。そしてその自己支持型ナノワイヤは焦点位置を+方向位置に制御すると、上方への形成が促進され、逆に−方向位置に制御すると上方への形成が抑制されることを確認した。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
走査型透過電子顕微鏡(JEM−2500SE)を用い、200keVの電子ビームを照射し、原料ガスをW(CO)6ガスを内径0.2mmのノズルを介してカーボン多孔膜
に導入して電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成した。室温で圧力は3〜4×10-5Paの範囲、ガス導入量は2×10-4PaLS-1とした。電子ビームの公称プローブサイズは0.8nm、電流値は約0.5nAであり、コンピュータ接続された走査式電子ビーム発生装置により電子ビームの走査を制御した。焦点の制御は磁界レンズの電流値を変化させることにより行った。
図1の(a)、(a’)は、焦点をカーボン膜面に合わせて2nm/sのゆっくりした横方向の走査により作成された自己支持型タングステンナノワイヤ(従来例)を示す2次電子(SE)像を示す図で(a’)は(a)をワイヤ軸方向に30゜回転させたものである。
図1の(b)、(b’)は、焦点をカーボン膜面から+2880nm(上側に移動)の位置まで徐々に変化させて2nm/sの横方向の走査を行って作成された自己支持型タングステンナノワイヤ(実施例)を示す2次電子(SE)像を示す図で(b’)は(b)をワイヤ軸方向に30゜回転させたものである。はっきりと上方向に成長していることがわかる。
図1の(c)、(c’)は、焦点をカーボン膜面から−2880nm(下側に移動)の位置まで徐々に変化させて2nm/sの横方向の走査を行って作成された自己支持型タングステンナノワイヤ(実施例)を示す2次電子(SE)像を示す図で(c’)は(c)をワイヤ軸方向に30゜回転させたものである。上向きの成長が抑えられ、真横に成長していることがわかる。
横方向の電子ビームの走査速度を6nm/sとし、焦点の高さ位置をカーボン膜の表面である0nmから特定の値まで変化させたこと以外は実施例1と同様にしてナノ構造を作
成した。
図2の(a)、(a’)は、焦点をカーボン膜面(0nm)としたまま横方向の走査により作成されたタングステンナノワイヤ(従来例)を示す図である。
図2の(b)、(b’)は、焦点を最初はカーボン膜面(0nm)に合わせて徐々に+480nm(上側に移動)の位置まで変化させて横方向の走査により作成されたタングステンナノワイヤ(実施例)を示す図である。
図2の(c)、(c’);(d)、(d’);(e)、(e’);(f)、(f’);は、それぞれ焦点を最初はカーボン膜面(0nm)に合わせて徐々に+720nm、+1440nm、+3840nm、+7680nm(上側に移動)の位置まで変化させて横方向の走査により作成されたタングステンナノワイヤ(実施例)を示す図である。
図2において左側の図は2次電子(SE)像、右側の図はSTEM暗視野(HAADF)像である。焦点位置の制御を行った場合、扇形状の蒸着物が得られている。
右側の図は、電子番号に比例したコントラストが得られる手法で撮影された像であり、その濃淡から、タングステンの濃度が変化していることがわかる。これらの濃度は焦点位置の変化により制御することができる。
焦点の制御と走査速度を6nm/sとしたこと以外は実施例1と同様にして、ナノ構造を作成した。
図3(a)の2次電子(SE)像に示すように、電子ビームをまずカーボン膜表面上に集束させ、点Aから走査を開始した。点Bにおいて焦点の高さ方向位置を徐々に増加させ、30秒後に点Oにおいて+1920nmとした。点Oから焦点の高さ方向位置を徐々に減少させ、点Cにおいてカーボン膜表面上に集束させ、そのまま点Dまで走査した。図3(b)のATEM暗視野(HAADF)像からわかるように、焦点を変化させることで、蒸着のオン・オフが行われている。
図5(b)は別の例である。そこでは、点Aから点Fまでのライン走査の間に、電子ビームの焦点が点BとDにおいてフィルム表面から移動しており、点CとEで再び膜表面上となっている。その結果、タングステンワイヤはAB、CD、EFの部分において蒸着が行われている。
この出願の発明による実施例1で作成された自己支持型タングステンナノワイヤの像を従来例のものと比較して示す図である。 この出願の発明による実施例2で作成されたタングステンナノワイヤの像を従来例のものと比較して示す図である。 この出願の発明による実施例3で蒸着のオン・オフ制御した例を示す図である。

Claims (4)

  1. 原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、電子ビームの入射軸方向の制御を行うことを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法。
  2. 原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法により2次元ナノ構造を作成する方法に対し、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、電子ビームの入射軸方向の制御を行い、3次元ナノ構造を作成することを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法。
  3. 原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、ナノ構造の蒸着のオン・オフを行うことを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法。
  4. 原料となる元素を含んだガスを材料上に流しながら、電子ビームを材料上の所望位置に向かって照射する電子ビーム誘起蒸着法によりナノ構造を作成する方法において、電子ビームの焦点位置を、電子ビームの照射面に対して高さ方向に制御することにより、蒸着位置での電子ビームの輝度を変化させ、作成されるナノ構造の形状、組成、内部構造又は結晶構造を変化させることを特徴とする、電子ビーム誘起蒸着法を用いたナノ構造作成制御方法。
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