JP2006118459A - スクロール型圧縮機並びにこれを備えた燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】スクロール型圧縮機の運転中、旋回軸と接触する接触型シール部材のめくれ上がりを防止して軸受部のグリス漏出を防止すること。
【解決手段】ハウジング内に、前記ハウジングの一部に支持された駆動軸19と前記駆動軸19に偏心して設けられた旋回軸19aとを備え、前記旋回軸19aの軸受部に保持された旋回スクロール12を前記ハウジングに固定された固定スクロール11に噛合させ、前記旋回軸19aの軸受部にオイル漏れを防止する接触型シール部材を備えたスクロール型圧縮機において、前記旋回軸19aにおける前記接触型シール部材としてのリップシール30と対向する周面は、前記駆動軸19の軸心を基準として前記旋回軸19aの軸心を通る方向において、前記旋回軸19aの軸心から周面までの距離が略最も長く設定された、略曲面によって構成されている。
【選択図】 図3

Description

この発明は、スクロール型圧縮機並びにこれを備えた燃料電池システムに関する。
圧縮機の一種であるスクロール型圧縮機は、高効率であり、家庭用エアコン、自動車用エアコン等に広く用いられている。更に最近では、燃料電池の電極に空気などの圧縮気体を供給するためにも使用されつつある。
スクロール型圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールとを備え、旋回スクロールが固定スクロールに噛み合って旋回し、作動流体を圧縮する。この旋回スクロールは、駆動軸により旋回(公転)運動が付与されると共に、駆動軸の周辺に均等に配置された従動軸によりその自転が防止されている(例えば特許文献1や特許文献2を参照。)。
特開2002−70764号公報(第3−8頁、図1、図2) 特開平7−259774号公報(第5−9頁、図4)
本発明の目的は、スクロール型圧縮機の運転中、旋回軸と接触する接触型シール部材のめくれ上がりを防止することにある。
上記課題を達成するため、本発明に係る第一のスクロール型圧縮機は、駆動軸と旋回軸とを備えたスクロール型圧縮機であって、旋回軸用の軸受部は、旋回軸との間に接触型シール部材が配置されている。そして、旋回軸における接触型シール部材と対向する周面は、(1)駆動軸の軸心を基準として旋回軸の軸心を通る方向において、旋回軸の軸心から周面までの距離が略最も長く設定されており、かつ、(2)略曲面によって構成されている。したがって、例えば次のような構成の圧縮機も第一の圧縮機に含まれる。
その圧縮機は、ハウジング内に、その一部に支持された駆動軸と駆動軸に偏心して設けられた旋回軸とを備え、旋回軸の軸受部に保持された旋回スクロールをハウジングに固定された固定スクロールに噛合させ、旋回軸の軸受部にオイル漏れを防止する接触型シール部材を備えている圧縮機である。そして、旋回軸の接触型シール部材と摺接する部位における、駆動軸の中心軸線から半径方向に最も離れた位置を中心に旋回軸を半径方向に膨らんでいる(上記(1)、(2)に対応)。
上記第一のスクロール型圧縮機における、旋回軸は、駆動軸(公転軸)の軸心を基準として、最も外側(離れた位置)が、旋回軸の軸心から最も距離が離れる、いわゆる「膨れている」形状となっている。この最も「膨れている」位置は、圧縮機が旋回運動する際に、常時、対向する側に設けられた接触型シール部材に対して遠心力に起因する力を最も印加する位置である。そのため、従来、旋回軸の断面形状が通常の略円の場合には、この位置に対応する接触型シール部材(オイルシール等)がめくれやすくなってしまっていた。一方、第一の圧縮機によれば、この位置が「膨れている」形状を採用しているため、この位置に対向する部分に存在する接触型シール部材に対して、他の部分と同等の力を印加させることが可能となる。つまり、遠心力に起因する力が、他の部位に比べて極めて大きく印加される、といったことを防止できる。したがって、上記位置における接触型シール部材は、それがめくれて(リップがめくれて)締め代が減少してしまう、といったことを防止できる。これにより、旋回軸の軸受部からのオイル洩れを防止できる。また、これを防止するために特別な接触型シール部材を採用したり、他の部材を設けたりする、といったことが必要なくなる。
第二のスクロール型圧縮機は、駆動軸と旋回軸とを備えたスクロール型圧縮機であって、旋回軸用の軸受部は、旋回軸との間に接触型シール部材が配置され、旋回軸における接触型シール部材に対向する周面には、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大部材が装着されている。そして、接触型シール部材に対向する部分における、旋回軸の軸心から、この軸に装着された周面径拡大部材の周面までの距離は、駆動軸の軸心を基準として旋回軸の軸心を通る方向において、旋回軸の軸心から周面までの距離が略最も長く設定されており、かつ、接触型シール部材に対向する部分における、旋回軸及び周面径拡大部材の最も外側の面は略曲面によって構成されている。
上記第二のスクロール型圧縮機における、旋回軸周面は、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大部材が装着されており、これによって「膨れている」形状となっている。そして、最も「膨れている」位置は、圧縮機が旋回運動する際に、常時、対向する側に設けられた接触型シール部材に対して遠心力に起因する力を最も印加する位置となっており、上記第一のスクロール型圧縮機の場合と同様の作用効果を得ることができる。更に、厚みの異なる周面径拡大部材を旋回軸の回りに装着すれば良いので、取り付けが簡単である。又、旋回軸の断面形状を円にすれば良いので加工がし易い。又、周面径拡大部材を旋回軸とは異なる硬い材料で構成したり、周面径拡大部材の表面に硬化処理を施して、接触型シール部材との接触部の対摩耗性を高めるなどの対策がし易い。
第三のスクロール型圧縮機は、駆動軸と旋回軸とを備えたスクロール型圧縮機であって、旋回軸用の軸受部は、旋回軸との間に接触型シール部材が配置され、旋回軸における接触型シール部材に対向する周面には、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大嵌合部材が嵌め込まれている。そして、周面径拡大嵌合部材が旋回軸に嵌め込まれた状態における当該部材の前記接触型シールと対向する面は、駆動軸の軸心を基準として旋回軸の軸心を通る方向において、旋回軸の軸心から周面までの距離が略最も長く設定された、略曲面によって構成されている。
上記第三のスクロール型圧縮機における、旋回軸周面は、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大嵌合部材が嵌め込まれており、これによって「膨れている」形状となっている。そして、最も「膨れている」位置は、圧縮機が旋回運動する際に、常時、対向する側に設けられた接触型シール部材に対して遠心力に起因する力を最も印加する位置となっており、上記第一のスクロール型圧縮機の場合と同様の作用効果を得ることができる。更に、厚みの異なる周面径拡大嵌合部材を旋回軸の回りに嵌め込めば良いので、取り付けが簡単である。又、旋回軸の断面形状を円にすれば良いので加工がし易い。又、周面径拡大嵌合部材を旋回軸とは異なる硬い材料で構成したり、周面径拡大嵌合部材の表面に硬化処理を施して、接触型シール部材との接触部の対摩耗性を高めるなどの対策がし易い。
なお、周面径拡大部材は、上記したような構成を実現できるものであればどのようなものでもよく、例えば、旋回軸に接着することで上記構成を実現したり、複数の部材で構成されており、これをそれぞれ旋回軸に接着することで上記構成を実現したりするものなど、上記技術的範囲に含まれるものであればどのように変形することもできる。周面径拡大嵌合部材は、旋回軸に嵌め込んで上記構成を実現するものであり、いわゆる「カラー」もこれに含まれる。
上記第一から三のスクロール型圧縮機において、接触型シール部材に対向する位置の曲面の形状が、駆動軸の軸心を基準として旋回軸の軸心を通る方向における周面上の点と、旋回軸の軸心とを結ぶ直線の方向を長軸方向とする略楕円としてもよい。
この場合には、周面径拡大部材及び周面径拡大嵌合部材も含めた際の最も外側の面の断面形状が楕円となっている。
上記一から三のスクロール型圧縮機において、接触型シール部材と対向する部位における断面形状の外周は、旋回軸の軸心を中心としてこの軸心から外周面までの距離が最も遠い方向を90度(ラジアン、θ=90度)とした際における、0度以上180度以下の範囲(0度≦θ≦180度)の、旋回軸の軸心から外周面までの距離Rが、
R=a sinθ + a
で表される曲線と略一致させてもよい。
この場合には、「膨れている」形状が、上記式で表されるサインカーブとなっている。
これらの形状を採用すると、接触型シール部材に加わる力を、駆動軸を基準として最も離れた位置とそうでない位置とで大きく変わらないようにしたり、ほぼ均一にしたりすることができることを本願発明者らは見いだした。すなわち、上記したようなめくれの問題を極めて生じにくくしたり、生じなくしたりできることを見いだした。
上記一から三のスクロール型圧縮機を用いた燃料電池システム。
この場合には、例えば燃料電池の電極に圧縮気体を供給のためにスクロール型圧縮機を用いる燃料電池システムの場合に、その圧縮気体中にオイル等が僅かでも混合してしまうと電極を傷める恐れがあるが、上記一から三のスクロール型圧縮機を用いることによってオイル漏れを防止でき、燃料電池の電極の寿命を向上させることが可能である。
この発明によれば、駆動軸の回転に伴う遠心力による接触型シール部材のめくれを防止するができる。
(第1の実施形態)
以下、本実施形態の第1の実施形態に係るスクロール型圧縮機を図1〜図6に基づいて説明する。
この実施形態のスクロール型圧縮機は、燃料電池用スクロール型圧縮機(以下、単に圧縮機と称する)であり、図1においてその一例を示している。
図1に示される圧縮機は、駆動軸19と旋回軸19aとを備えたスクロール型圧縮機であって、前記旋回軸用の軸受部は、旋回軸19aとの間に接触型シール部材としてのリップシール30が配置され、前記旋回軸19aにおける前記接触型シール部材としてのリップシール30と対向する周面は、前記駆動軸19の軸心を基準として前記旋回軸19aの軸心を通る方向において、前記旋回軸19aの軸心から周面までの距離が略最も長く設定された、略曲面によって構成されている。そして圧縮機構部、クランク機構部、駆動モータ部とからなり、燃料電池の酸素極に空気を圧送するものである。
前記圧縮機構部は、固定スクロール11と、旋回スクロール12と、該固定スクロール11と旋回スクロール12とにより形成された圧縮室13とからなる。
固定スクロール11は、円盤状の固定基盤11aと、この固定基盤11aから立設される渦巻状の固定ラップ11bと、固定ラップ最外壁11cとからなる。
そして、固定基盤11aと固定ラップ最外壁11cによりフロントハウジングが形成される。
このフロントハウジング側面には圧縮室13内に空気を吸入するための吸入口13aが設けられており、固定基盤11aの中央には、燃料電池の酸素極に配管などで結合される吐出口13bが設けられている。
旋回スクロール12は、円盤状の旋回基盤12aと、この旋回基盤12aから立設される渦巻状の旋回ラップ12bとからなり、旋回基盤12aの背面側中央には、主軸受としてころ軸受14を保持する有底円筒状の凹状保持部12cが旋回スクロール12の旋回軸用の軸受部として設けられ、その外周側に3箇所(図1においては1箇所のみ示す)に均等に配設され、従軸受としてのラジアルボールベアリング15を支承する有底円筒状の凹状保持部12dが設けられている。
前記クランク機構部は、旋回スクロール12に旋回運動(公転運動)を行わせる駆動クランク機構16と、旋回スクロール12の自転を防止する従動クランク機構17と、それらを収納するクランク室18とからなる。駆動クランク機構16は、駆動軸19の軸心に対して偏心して設けられた旋回軸19aと、この旋回軸19aを支承する前記ころ軸受14が保持された前記凹状保持部12cとにより構成される。このころ軸受14が潤滑剤付軸受に相当し、その内部には潤滑剤としてのグリスが封入されている。凹状保持部12cの開口側には、この凹状保持部12cに保持され、旋回軸19aの外周面に摺接する接触型シール部材としてのリップシール30が配設されている。この部分の構造については後で詳説する。
又、従動クランク機構17は、凹状保持部12dと、従動軸20のクランクピン20aを支承するラジアルボールベアリング15とにより構成され、従動軸20のリヤ側は、複列のボールベアリング20cにより支承されている。凹状保持部12dの開口側には、シール部材31が配設されている。
前記駆動モータ部は、センターハウジング21と、このセンターハウジング21にボルト固定されたリヤハウジング22と、両者21、22の間で駆動モータ23を収容するモータ室24とにより構成されている。
まず、駆動モータ23は、この駆動モータ23の中央を貫通する駆動軸19と、この駆動軸19に嵌入されたロータ25と、さらにその外周側に設けられ、コイル26が巻回されたステータ27とからなる同期モータである。
また、駆動モータ23は、図示しないインバータにより回転数等が制御され得る。
駆動軸19は、ボールベアリング32によりフロント側が支承されており、リヤハウジング22の中央にて、ボールベアリング33により支承される。
さらに、この駆動モータ23を覆うセンターハウジング21には、ステータ27の位置に合わせてウォータジャケット28が設けられており、駆動モータ23が冷却水により冷却されるようになっている。
この駆動モータ部は前記クランク機構部とともにセンターハウジング21内に収容され、該クランク機構部と該駆動モータ部とはセンターハウジング21の略中央に一体成形されて配設された支持フレーム29により仕切られている。
なお、前記ボールベアリング32とボールベアリング20cとは、該支持フレーム29に装着されている。
次にリップシール30を備えた凹状保持部12Cの構造について、図2〜図6を用いて詳細に説明する。
図2に示すようにリップシール30は、断面コの字型のリング状シール部材で、合成ゴム等で形成されている。リップシール30は、その外周側は嵌め合い部30aを形成しており、凹状保持部12cの開口側の内周面に嵌合することにより取り付け固定されている。又、リップシール30の内周側はリップ部30bを形成しており、その先端部が旋回軸19aの外周面に一定の押圧力で接触し、凹状保持部12cの内部を密閉し、ころ軸受14に充填したグリスが旋回軸19aを伝わって凹状保持部12c外へ漏出することを防止している。
図3に示すように駆動軸19の軸心をOとし、旋回軸19aの軸心をPとすれば、旋回軸19aは駆動軸19の軸心Oよりgだけ偏心して配置されている。
又、旋回軸19a上のリップシール30と摺接している部分は、図3の右方向となる半径方向に膨らみをもった楕円部19bを形成している。この楕円部19bは、旋回軸19aが駆動軸19の軸心Oの回りを旋回するときに生じる遠心力の方向が旋回軸19aの周面より外方に向かう領域に形成されている。
従って、図4に示す通り、通常の停止状態では、楕円部19bに当接しているリップ部30bは、楕円部19bと反対側の真円部19cへ当接している状態(一点鎖線で示す)と比較して、変形量が大きく押圧力がやや上昇した状態である。
前記した旋回軸19aの楕円部19bについてさらに詳細に説明する。
図5で示すように、駆動軸19の軸心O及び旋回軸19aの軸心Pと垂直な断面で考えて、旋回軸19aの外周真円上の点をそれぞれ、Q1、Q2、Q3、Q4とし、それぞれの点より駆動軸19及び旋回軸19aの軸心O及びPを臨む時の各軸心O及びPを通る各垂線との角度をθn、αnとすれば、それぞれの点での角度はθ1、θ2、θ3、θ4及びα1、α2、α3、α4となる。ここで0°≦θn≦180°であって、θ1≒30°、θ2≒90°、θ3≒120°、θ4≒180°とする。又、軸心Oとそれぞれの点Q1、Q2、Q3、Q4間の距離をそれぞれr1、r2、r3、r4とする。そして、前記軸心OとPを結ぶ方向をX方向とし、それと直角方向をY方向とする。
旋回軸19aの楕円部19bは、駆動軸19の軸心Oを基準として旋回軸19aの軸心Pを通る方向において、旋回軸19aの軸心Pから周面までの距離が略最も長く設定された、略曲面によって構成されている。即ち、軸心Pと旋回軸19aの外周真円上の点Q2を結ぶ方向の距離が最も長く設定されており、その周囲に向けて順次長さを減少させた楕円状に周面が構成されている。
駆動軸19の回転に伴い旋回軸19aが旋回運動する時、旋回軸19aと摺接するリップシール30のリップ部30bには、回転に伴う遠心力が作用するが、例えば、Q1点では、この遠心力の大きさをベクトルで表してF1とすれば、F1の作用方向は回転中心OとQ1を結ぶ線上で旋回軸19aの外方に向いており、その大きさは、F1=mr1ω2となる。ここで、mはリップ部30の単位質量であり、ωは駆動軸19の回転による角速度であるが、この場合にはm及びωは一定と考えられるので、リップシール30に作用する遠心力F1は、F1∝r1でQ1と中心Oとの距離r1に比例することになる。そして、このF1のX方向の成分を求めるとF1sinα1となる。
同様にQ2点では遠心力をF2としてF2∝r2で、作用方向は回転中心OとQ2を結ぶ線上で旋回軸19aの外方向きとなり、X成分はF2sinα2となるがα2=90°なのでsin90°=1となり、X成分はF2と等しくなる。
Q3点では遠心力をF3としてF3∝r3で、作用方向は回転中心OとQ3を結ぶ線上で旋回軸19aの外方向きとなり、X成分はF3sinα3となる。
Q4点では遠心力をF4としてF4∝r4で、作用方向は回転中心OとQ4を結ぶ線上で旋回軸19aの外方向きとなり、X成分はF4sinα4となる。
そして図6には、横軸に角度θnをとり、縦軸に遠心力Fnをとったときの特性曲線を表しており、曲線R1が旋回軸19aの外周上の各点Qnでの遠心力の大きさFnを示し、曲線R2がこのX成分のFnsinαnを示している。
この特性曲線R1、R2はθ2≒90°でピークを持つ上に凸な曲線である。この遠心力は、旋回軸19aの外周上の各点でリップシール30のリップ部30bをめくれさせようとする力に相当するが、そのめくれに相当する分だけ旋回軸19aの外周部を外部方向に膨らませてあり、前記楕円部19bの膨らみは前記特性曲線R1或いはR2に比例して設定されている。
従って、遠心力の作用によってリップ部30bが外部方向にめくれても、そのめくれに相当する分だけ旋回軸19aの外周部が外部方向に膨らんでいるので、リップ部30bと旋回軸19aとは一定の押圧力を維持したまま、摺接していることになり、このめくれによる軸受からのグリスの漏出が発生することはない。
次に、この実施形態に係る圧縮機の作用について説明する。
駆動モータ23に電力が供給されると、駆動軸19が回転し、駆動クランク機構16を介して旋回スクロール12が固定スクロール11に噛み合いつつ旋回する。
そして、吸入口13aから圧縮室13に空気が吸入され、旋回スクロール12の旋回とともに、この吸入空気が圧縮され、吐出口13bから圧縮空気が吐出されて、燃料電池の酸素極にこの圧縮空気が供給される。
なお、吸入口13aから空気が吸入されると、吸入空気は圧縮室13及びクランク室18に充満されることになる。
駆動軸19の高速回転に伴い、凹状保持部12cに保持され、旋回軸19aと摺接するリップシール30のリップ部30bには遠心力が作用し、特に駆動軸19の軸心Oを基準として旋回軸19aの軸心Pを通る方向において、駆動軸19の軸心Oから最も離れた位置にあるQ2点で最大となり、リップ部30bを外部方向にめくれさせるように働く。
このため、軸受14のグリスがリップシール30のめくれ部分から外方へ漏出する恐れがある。しかし、そのめくれに相当する分だけ旋回軸19aの外周部が外部方向に膨らんで楕円部19bが形成され、しかも楕円部19bは常時外側に位置しているので、リップ部30bと旋回軸19aとは一定の押圧力を維持したまま、摺接され、リップ部30bのめくれによる軸受14からのグリスの漏出が発生することはない。
この実施形態に係る圧縮機によれば以下の効果を奏する。
(1)駆動軸19の回転に伴う遠心力の作用により、旋回軸19aに接触しているリップシール30の摺接部であるリップ部30bに一部めくれを発生させるような力が働くが、旋回軸19aの周面の遠心力が最も作用する側が半径方向に膨らんで楕円部19bが形成されているので、リップシール30と旋回軸19aとは一定の押圧力を維持した摺接状態を保つことができ、軸受14からのグリスの漏れを防止できる。これにより軸受14の耐久性を向上させることができる。
(2)リップシール30と摺接している旋回軸19aの一部に形成されている楕円部19bの膨らみは、旋回軸19aの外周真円上の各点でリップシール30に作用する遠心力Fnに比例して設定されており、遠心力が大きく作用しめくれの大きい個所は大きく膨らみ、遠心力が小さく作用しめくれの小さい個所は膨らみが小さい。従って、旋回軸19aの楕円部19bとリップシール30とは、回転状態においては一定の押圧力に維持されたままであり、接触過多による駆動モータのトルク増加とか、シール部材の摩耗損失を招くことは無い。
(3)リップシール30と摺接する旋回軸19aの外周上の一部を膨らませ楕円部19bを形成することにより、軸受14からのグリスの漏出を防止できるので、圧縮気体中にグリス等の混入を防ぐことができ、燃料電池の電極の寿命を向上させることが可能である。
(4)凹状保持部12cに保持されたころ軸受14に旋回軸19aを嵌入させ、リップシール30をその開口側に装着させたスクロール型圧縮機に本願出願人が提案するオイル漏れ防止技術を併用すれば、リップシール30の取付けが簡単であり、又、ビス等でシール部材を固定するための余分なスペースの確保をしなくても良い。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る圧縮機について図7、図8に基づき説明する。
この実施形態の圧縮機は、第1の実施形態における旋回軸上の楕円形の膨らみ部の構成を変更したものであり、それ以外については基本的に同一であることから、説明の便宜上、先の説明で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、変更した個所のみ説明を行う。
この実施形態の圧縮機は、駆動軸19と旋回軸19aとを備えたスクロール型圧縮機であって、旋回軸用の軸受部は、旋回軸19aとの間に接触型シール部材としてのリップシール30が配置され、旋回軸19aにおけるリップシール30に対向する周面には、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大部材若しくは周面径拡大嵌合部材としてのカラー50が装着されている。
そして、リップシール30に対向する部分における、旋回軸19aの軸心Pから、この軸に装着されたカラー50の周面までの距離は、駆動軸19の軸心Oを基準として旋回軸19aの軸心Pを通る方向において、旋回軸19aの軸心Pから周面までの距離が略最も長く設定され、リップシール30に対向する部分における、旋回軸19a及びカラー50の最も外側の面は略曲面によって構成されており楕円形状となっている。
図7に示すように、旋回軸19a上に設けられる楕円形の膨らみを軸の加工によらずに、周面径拡大部材若しくは周面径拡大嵌合部材としてのカラー50を用いて構成したものである。
カラー50は、旋回軸19a上のリップシール30との摺接部に取付けられており、図8に示される断面形状の通り、旋回軸19a上で駆動軸19の軸心(図8では点Oで示す)より最も離れた位置を中心にしてその周囲を半径方向に膨らませた楕円部50aが形成され、その反対側には薄肉状の真円部50bが形成された肉厚の異なるリング状の部材である。また、カラー50は、金属材料で硬度の少し高いものを使用しており、旋回軸19aへの取付けは、圧入あるいはキー溝によリ固定されている。
カラー50の楕円部50aの形状は、第1実施例で説明した楕円形状と全く同じく、図6で示す上に凸な曲線R1、R2に比例して設定されている。
従って、駆動軸19の回転に伴う遠心力の作用により、リップ部30bの一部にめくれを発生させるような力が働くが、カラー50には遠心力が最も強く作用する個所を中心に楕円部50aが形成されているので、リップシール30と旋回軸19a上のカラー50とは一定の押圧力を維持した摺接状態を保つことができ、軸受14からのグリス漏れを防止できる。
第2の実施形態に係る圧縮機によれば以下の効果を奏する
尚、第1実施形態の(1)〜(4)の効果は共通なので省略し、それ以外の効果を記す。
(1)カラー50は予め肉厚の異なるリング形状に形成した後旋回軸19aに嵌め込めば良いので、膨らみ部の加工が容易になる。
(2)旋回軸19aの膨らみを別体のカラー50で形成できるため、カラー50のみを硬度の高い金属材料で形成したり、遠心力に対して歪まない材料の選択が容易である。また、対摩耗性を高めるための表面加工等も行いやすい。
なお、本発明は、上記した第1、第2の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記第1の実施形態では、膨らみ部の断面形状を楕円形状として説明したが、旋回軸の軸心を中心として軸心から外周面までの距離が最も遠い方向を90度(ラジアン、θ=90度)とした際における、0度以上180度以下の範囲(0度≦θ≦180度)の、旋回軸の軸心から外周面までの距離Rは、
R=a sinθ + a
で表される曲線と略一致するようなサインカーブで形成される曲面としてもよい。
ただし、aは、0度方向(θ=0度)における距離R(0)と90度方向(θ=90度)における距離R(90)の差の絶対値、R(90)−R(0)である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものでないことは当然である。すなわち、上記実施例においては、いくつかの好適な構成を示したが、本発明は、上記した通りの構成を最低限備えていればその作用を奏し、以上のような構成に設計すればさらにこれらの作用を奏するものである。具体的には、旋回軸の接触型シール部材としてのオイルシールに対向する部分を、駆動軸の軸心を基準として旋回軸の軸心を通る方向を最も「膨らませ」、この膨らみに対応するような曲面でその外周を構成すればよいのである。このことは、上記説明から明らかである。また、この構成を具現化する際には、旋回軸そのものをこのような形状に成型することもでき、また、旋回軸径拡大部材や旋回軸径拡大嵌合部材等の、旋回軸とは異なる部品を装着したりはめあわせたりすることで、上記位置における外周形状を以上のように設計することも当然に可能である。
以下、その他の変形例を記載するが、これらの変形例も本発明に含まれる一例を示すものであって、本発明の技術的範囲はこれらの記載に限定して解釈されるものでないことは当然である。すなわち、これらの変形例を適宜組み合わせて採用することも当然に可能であるし、これらと同等又は類似の、公知の技術を適宜組み合わせることも可能であるし、それ以外の公知の技術を適宜採用することも可能である。
○ 上記第1、第2の実施形態では、軸受に用いられる潤滑剤としてグリス等の半固体潤滑剤の使用を説明したが、これに限らず黒鉛や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、更には潤滑油等の液体潤滑剤でも構わない。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、圧縮機により圧縮する気体を空気としたが、空気に限らず冷媒ガスとしてもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、駆動軸と旋回軸を一体構成として説明したが、別体構成として旋回軸を別部材で作成し、駆動軸に圧入等の手段にて取付けてもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、燃料電池用のスクロール型圧縮機として説明したが、エアコン用のスクロール型圧縮機に適用しても構わない。
○ 接触型シール部材と接触する旋回軸周面及び周面径拡大部材周面の断面形状は、前記実施形態に示した楕円状或いはサインカーブ以外の曲面で形成してもよい。
○ 上記第2の実施形態でカラーとして示した周面径拡大部材は、シート状の部材を旋回軸周面に貼り付けることによって構成してもよい。
○ 上記の第1、第2の実施形態では、接触型シール部材をリップシールとして旋回スクロールの凹状保持部に取付け、旋回軸と摺接させるとして説明したが、前記リップシールを旋回軸に取付け、凹状保持部と摺接させるようにしても構わない。
第1の実施形態に係るスクロール型圧縮機の断面図である。 第1の実施形態に係るスクロール型圧縮機の要部の拡大断面図である。 図2のA−A側断面図である。 図2のB部の部分拡大図である。 第1の実施形態に係る遠心力の作用と楕円部の形状を説明するための図である。 第1の実施形態に係る遠心力の大きさを説明するための図である。 第2の実施形態に係るスクロール型圧縮機の要部の拡大断面図である。 図7のC−C側断面図である。
符号の説明
11 固定スクロール
12 旋回スクロール
12c 凹状保持部
14 ころ軸受
19 駆動軸
19a 旋回軸
19b 楕円部
30 リップシール
30a 嵌め合い部
30b リップ部

Claims (6)

  1. 駆動軸と旋回軸とを備えたスクロール型圧縮機であって、
    前記旋回軸用の軸受部は、旋回軸との間に接触型シール部材が配置され、
    前記旋回軸における前記接触型シール部材と対向する周面は、前記駆動軸の軸心を基準として前記旋回軸の軸心を通る方向において、前記旋回軸の軸心から周面までの距離が略最も長く設定された、略曲面によって構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  2. 駆動軸と旋回軸とを備えたスクロール型圧縮機であって、
    前記旋回軸用の軸受部は、旋回軸との間に接触型シール部材が配置され、
    前記旋回軸における前記接触型シール部材に対向する周面には、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大部材が装着され、
    前記接触型シール部材に対向する部分における、前記旋回軸の軸心から、当該軸に装着された周面径拡大部材の周面までの距離は、前記駆動軸の軸心を基準として前記旋回軸の軸心を通る方向において、前記旋回軸の軸心から周面までの距離が略最も長く設定され、
    前記接触型シール部材に対向する部分における、前記旋回軸及び周面径拡大部材の最も外側の面は略曲面によって構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  3. 駆動軸と旋回軸とを備えたスクロール型圧縮機であって、
    前記旋回軸用の軸受部は、旋回軸との間に接触型シール部材が配置され、
    前記旋回軸における前記接触型シール部材に対向する周面には、この部分における径の太さを実質的に太くするための周面径拡大嵌合部材が嵌め込まれ、
    前記周面径拡大嵌合部材が前記旋回軸に嵌め込まれた状態における当該部材の前記接触型シールと対向する面は、前記駆動軸の軸心を基準として前記旋回軸の軸心を通る方向において、前記旋回軸の軸心から周面までの距離が略最も長く設定された、略曲面によって構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
  4. 前記旋回軸の軸心と略垂直な平面における断面形状は略楕円であって、
    前記駆動軸の軸心を基準として前記旋回軸の軸心を通る方向における周面上の点と、当該旋回軸の軸心とを結ぶ直線が、前記断面形状と略一致する前記楕円における長軸と略一致するように設計されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
  5. 前記旋回軸の軸心と略垂直な平面における断面形状は、旋回軸の軸心を中心として当該軸心から外周面までの距離が最も遠い方向を90度(ラジアン、θ=90度)とした際における、0度以上180度以下の範囲(0度≦θ≦180度)の、旋回軸の軸心から外周面までの距離Rが、
    R=a sinθ + a
    (ただし、aは、0度方向(θ=0度)における距離R(0)と90度方向(θ=90度)における距離R(90)の差の絶対値、R(90)−R(0)である)で表される曲線と略一致することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクロール型圧縮機を用いた燃料電池システム。
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JP2012031849A (ja) * 2010-07-07 2012-02-16 Hitachi Industrial Equipment Systems Co Ltd スクロール式流体機械

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