JP2006118428A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】逐次同定したモデルパラメータを用いて故障診断等を容易に実施する。
【解決手段】制御対象の動特性を逐次同定するために、制御対象を離散数式モデルで表したプラントモデルを用い、該プラントモデルに制御対象への入力を加えた際の出力であるプラントモデル出力と制御対象の実出力との誤差をゼロに近づけるようにしてプラントモデルのパラメータを同定する。また、逐次同定された離散モデルパラメータを連続時間表現のモデルパラメータに変換する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関等の制御対象を数式モデルで表したプラントモデルを用い、該プラントモデルのパラメータを逐次同定することで制御対象の動特性を自動的に適応させるようにした制御装置に関するものである。
従来から、離散時間において制御対象の動特性を逐次同定し該同定結果に基づき制御を実行する制御装置が提案されている。該制御装置は、制御対象を離散数式モデルで表したプラントモデルを持ち、プラントモデルに実際の制御入力を与えた時のプラントモデル出力と実際の制御対象の出力との誤差をゼロに近づけるようにプラントモデルのパラメータを逐次推定し、同定したモデルパラメータに基づいて制御器が制御入力を算出するものである。
例えば、内燃機関の空燃比制御システムでは、制御器からの燃料噴射量指令に基づき燃料噴射を行う内燃機関と該内燃機関から排出される排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサとが制御対象(実プラント)に該当し、この制御対象を数式モデルで表すことでプラントモデルが構築される。かかる場合、制御対象においてはセンサのばらつきや経時変化等が存在し、それが原因で制御対象とプラントモデルとに差異が生じるが、その差異を解消するようにモデルパラメータが適宜調整されるようになっている。また、こうして制御対象の状態によってモデルパラメータ調整が行われる構成では、モデルパラメータをモニタすることで制御対象におけるセンサのばらつきや経時変化等の程度を知ることができ、更には故障診断等の実施も可能となると考えられる。しかしながら、モデルパラメータは離散時間表現のパラメータであり、物理的意味を理解し難い。それ故に、当該パラメータを用いて故障診断等を実施するのは困難であるという問題があった。
一方、モデルパラメータの同定機構が誤同定してしまうと、その間違った同定結果に基づき制御を実行してしまうため、制御性の著しい悪化を生じかねない。したがって、最低限の制御性を補償するためには、モデルパラメータの誤同定による制御性の悪化を防ぐための処理が必要不可欠である。
例えば、特許文献1では、スライディングモード制御により燃料噴射量のフィードバック制御量を算出する内燃機関の空燃比制御装置において、燃料噴射手段から空燃比検出手段までの間のプラントを伝達関数で表したプラントモデルを、燃料噴射量と実空燃比に基づいて逐次同定し、該同定したプラントモデル(のパラメータ)を用いて、前記スライディングモード制御の制御ゲインを算出している。この場合、前記制御ゲインの算出はプラントモデルのパラメータの推定値の一つで除算することにより行われるため、逐次同定により前記パラメータが小さな値で推定されると、各制御ゲインが大きく算出されることになる。特に、プラントの実際のむだ時間が、逐次同定のために設定されたむだ時間よりも大きい場合は、前記入力側パラメータが小さい値に推定され、この入力側パラメータが小さくなりすぎると、算出される各制御ゲインが過大となり(すなわち、制御量も過大となり)、制御が発散してしまうという問題が生じる。そのため、制御ゲインの算出に用いるパラメータの推定値に制限を設けることで、過大な制御ゲインの算出、制御の発散を防止している。
しかしながら、前記パラメータの推定値への制限のリミット値は、実験やシミュレーションにより試行錯誤的に求めなければならない。さらには、前記推定パラメータが小さくなりすぎることは、むだ時間の実対象とのずれ等に起因して誤同定していることによるため、最適なリミット値が見つからない可能性も考えられる。
特開2003−184612号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、逐次同定したモデルパラメータを用いて故障診断等を容易に実施できる制御装置の提供を第1の目的とし、同じく逐次同定したパラメータに対して最適に制限等をかけてひいては制御性の向上を図ることができる制御装置の提供を第2の目的とする。
本発明において、同定手段は、制御対象を離散数式モデルで表したプラントモデルを用い、該プラントモデルに制御対象への入力を加えた際の出力であるプラントモデル出力と前記制御対象の実出力との誤差をゼロに近づけるようにしてプラントモデルのパラメータを同定する。プラントモデルは、例えば応答遅れ要素とむだ時間要素とを用いて表され、同定手段によって、制御対象の動特性が逐次同定される。また、連続化手段は、前記同定手段により同定された離散モデルパラメータを連続時間表現のモデルパラメータに変換する。
要するに、逐次同定されるモデルパラメータは、制御対象(実プラント)の個体差ばらつきや経時変化等を反映したものであり、故障診断等の各種処理に利用できると考えられる。この場合、離散モデルパラメータは物理的意味が分かりにくく、その離散モデルパラメータを利用して故障診断等を実施しようとしても、そのままでは故障診断等の実施が困難になる。これに対して上記構成によれば、離散モデルパラメータを連続時間表現のモデルパラメータ(1次遅れ系では時定数に相当)に変換するため、逐次同定したモデルパラメータを用いて故障診断等を容易に実施することができるようになる。
また、前記連続化手段により変換された連続モデルパラメータに対して所定の数値処理を施すと良い(連続パラメータ処理手段を設ける)。連続パラメータ処理手段は、連続モデルパラメータに対してフィルタ処理又はリミット処理を施すものであると良い。この場合、数値処理の対象となるのは、離散時間表現から連続時間表現に変換された連続モデルパラメータ(すなわち、物理的意味の理解しやすいパラメータ)であり、フィルタ処理やリミット処理の設定が比較的容易に実施できる。
連続パラメータ処理手段として、前記連続化手段により変換された連続モデルパラメータと連続時間ノミナルモデルパラメータとの差分を所定範囲内に制限するようにしても良い。この場合、ノミナル値からの誤差分だけに制限がかけられ、連続パラメータに対して効果的な数値処理を施すことができる。なお、連続時間ノミナルモデルパラメータは、その都度の制御対象の状態等(内燃機関を制御対象とする場合には機関運転状態等)に応じて設定されると良い。
前記所定範囲を規定するガード値に対し連続モデルパラメータと連続時間ノミナルモデルパラメータとの差分が継続的に張り付いている場合、前記所定範囲を拡張側に変更するようにしても良い。
また、前記所定の数値処理が施された後の修正後連続モデルパラメータを再度離散化し、該離散化により算出した修正後離散モデルパラメータに基づき、前記同定手段のプラントモデル出力を逐次算出すると良い。ここで、修正後離散モデルパラメータは、逐次同定された離散モデルパラメータに対し、連続時間表現への変換→所定の数値処理(フィルタ処理又はリミット処理)→再離散化が行われたパラメータであり、この修正後離散モデルパラメータを基にモデル同定を行うことで、同定手段における誤同定等の問題が解消できる。つまり、逐次同定されたパラメータに対して最適に制限等がかけられ、ひいては制御性の向上を図ることができる。
また、前記制御対象の実出力が所定の目標値になるように制御対象への入力を算出する操作量算出手段を備えた構成では、前記所定の数値処理が施された後の修正後連続モデルパラメータを再度離散化し、該離散化により算出した修正後離散モデルパラメータに基づき前記操作量算出手段を実行すると良い。前述のとおり修正後離散モデルパラメータは、逐次同定された離散モデルパラメータに対し、連続時間表現への変換→所定の数値処理(フィルタ処理又はリミット処理)→再離散化が行われたパラメータであり、この修正後離散モデルパラメータを基に制御入力を算出することで、制御ゲインの発散等の問題が解消できる。つまり、逐次同定されたパラメータに対して最適に制限等がかけられ、ひいては制御性の向上を図ることができる。
個体差ばらつきや経時変化等により制御対象(実プラント)とプラントモデルとに差異が生じている場合、逐次同定したモデルパラメータを学習処理により記憶保持するのが有効である。そこで、前記連続パラメータ処理手段により所定の数値処理が施された後の修正後連続モデルパラメータを学習する。これにより、制御対象とプラントモデルとの差異が好適に解消され、その都度現実の動特性に追従した制御が可能となる。学習時には修正後連続モデルパラメータがバックアップ用メモリ(スタンバイRAM等)に記憶保持され、故障診断など各種処理に適宜用いられる。
かかる場合、学習手段は、前記連続化手段により変換された連続モデルパラメータと連続時間ノミナルモデルパラメータとの差分に対し前記連続パラメータ処理手段による所定の数値処理を施した値を基に学習値を更新すると良い。
また、前記学習手段は、前記差分になまし処理を施して学習値を更新すると良い。この場合、学習値の急激な変化が抑制され、安定した制御が実現できる。誤同定やノイズ等による制御の乱れも抑制できる。
また、前記学習手段は、前記同定手段におけるプラントモデル出力と前記制御対象の実出力との誤差が所定範囲内である場合に学習値を更新すると良い。この場合、適正な同定が行われていることを条件に学習処理が行われるため、学習値の信頼性が高められる。
ところで、内燃機関と該内燃機関の排出ガスを基に空燃比を検出する空燃比センサとを制御対象とし、燃料噴射補正量を入力として加えた時のプラントモデル出力と前記空燃比センサの出力との誤差に基づいて前記同定手段による同定を実行する制御装置では、空燃比フィードバック制御として、空燃比センサによる検出空燃比が目標空燃比に一致するよう燃料噴射補正量が算出される。また、触媒劣化検出として、目標空燃比を一時的に振幅させ、その時の触媒の下流側空燃比の挙動に基づいて該触媒の劣化状態が検出される。かかる場合において、触媒の劣化検出実行時に前記同定手段による同定を実行すると良い。
また、内燃機関の特定運転状態(例えば定常状態)を判定するための運転状態判定手段を備え、該判定手段が特定運転状態であると判定した場合に前記同定手段による同定を実行すると良い。例えば、内燃機関の回転速度及び負荷の変化率の絶対値が所定値以下である場合に、特定運転状態であると判定される。このように同定実行条件を規定することにより、同定の精度が向上する。
また、修正後連続モデルパラメータを用いて内燃機関の故障診断を実行すると良い。この場合、修正後連続モデルパラメータは、逐次同定された離散モデルパラメータに対し、連続時間表現への変換→所定の数値処理(フィルタ処理又はリミット処理)が行われたパラメータであり、物理的意味が分かりやすい連続時間表現パラメータであることから故障診断が容易に実施できる。また、適正な数値処理が行われているため、故障診断精度を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態では、内燃機関である車載多気筒ガソリンエンジンを対象にエンジン制御システムを構築し、当該制御システムにおいてはエンジン制御用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等を実施することとしている。先ずは、図1を用いて本制御システムの主要な構成を説明する。
図1において、エンジン10には気筒毎に電磁駆動式の燃料噴射弁11が取り付けられている。燃料噴射弁11により燃料噴射が行われると混合気が形成され、この混合気が吸気バルブ(図示略)の開放に伴い各気筒の燃焼室に導入されて燃焼に供される。エンジン10で燃焼に供された混合気は、排気バルブ(図示略)の開放に伴い排気として排気マニホールド12を介して排出される。排気マニホールド12の集合部には混合気の空燃比を検出するためのA/Fセンサ13が設けられている。A/Fセンサ13は広域の空燃比をリニアに検出可能な広域空燃比センサであり、本センサの出力が「制御対象の実出力」に相当する。
図示は省略するが、本制御システムでは、前記A/Fセンサ13以外にも吸気管負圧を検出するための吸気管負圧センサ、エンジン水温を検出するための水温センサ、エンジン回転速度を検出するためのクランク角センサなど各種センサが設けられており、A/Fセンサ13の検出信号と同様、各種センサの検出信号もエンジンECUに適宜入力されるようになっている。
上記構成のエンジン10では、A/Fセンサ13による検出空燃比が目標値に一致するよう気筒毎の燃料噴射量がF/B(フィードバック)制御される。空燃比F/B制御の基本構成を説明すれば、A/Fセンサ13による検出空燃比と目標空燃比との偏差が算出され、その空燃比偏差が制御器20に入力される。制御器20では、空燃比偏差に基づいて空燃比補正係数FAFが算出され、その空燃比補正係数FAFと基本噴射量とから最終噴射量が算出される。そして、この最終噴射量に基づいて燃料噴射弁11による燃料噴射が行われる。
制御器20は、事前にモデル化し適合したプラントモデルを基に設計されたものであり、本来はこの制御器20により最適な空燃比F/B制御が実現される。しかしながら、実際の制御対象(エンジン10、A/Fセンサ13等)では個体差や劣化等によってF/B制御誤差が生じる。そこで本システムでは、適応制御と称される制御方式を用い、制御器20におけるF/Bゲインを制御対象(プラント)の現時点の動特性に自動的に適応させ、制御系の性能を常に最良の状態に保持するようにしている。すなわち、制御対象を数式モデルで表したプラントモデルを用い、該プラントモデルに制御対象への入力を加えた際の出力であるプラントモデル出力と制御対象の出力(A/Fセンサ13による検出空燃比)との誤差をゼロに近づけるようにしてプラントモデルの可変パラメータを逐次推定する。ここで、プラントモデルは離散時間で表した離散プラントモデルである。
本実施の形態では、制御器20が「操作量算出手段」に相当し、適応機構により可変パラメータを逐次推定し、該パラメータを離散プラントモデルに反映させるようにした機能ブロックが「同定手段」に相当する。
プラントモデルの離散化は以下のように行う。ここでは、制御対象をむだ時間を有する一次遅れ系とみなす。まず、連続時間伝達関数は、出力をy、入力をuとして次の(1)式で表される。
Figure 2006118428
Tは時定数、Lはむだ時間である。また、むだ時間Lをサンプリング周期dtで除算した商をむだサンプリング回数d、余りを余むだ時間L1とする。
Figure 2006118428
むだ時間Lがサンプリング周期dtで割り切れない場合、余むだ時間L1は0〜dtの正の値をとるが、微小であると考え切り捨てるものとし、上記(1)式をz変換すると次の(3)式となる。ただしkは整数であり、k×dt⇒kと略記するものとする。
Figure 2006118428
上記(3)式の離散時間表現モデルのパラメータ(以下、離散パラメータとする)を、上記(1)式の連続時間表現モデルのパラメータ(以下、連続パラメータとする)で表現すると以下の関係式となる。
Figure 2006118428
以下、上記(4)式の変換(T→a1,b1)をモデルパラメータの離散化と呼ぶ。また、この逆変換(a1,b1→T)をモデルパラメータの連続化と呼び、その変換式を次の(5)式で表す。
Figure 2006118428
上記(4),(5)式に関して、実際はオンボードで演算可能にするため近似演算を用いる。例えば2次までテイラー展開+誤差大の範囲はテーブルでもつものとする。
さて、同定器により同定するのは、離散パラメータθ(θ=[a1,b1]T:上付きTは転置を表す)であり(b1はa1より算出可)、同定値θ_hat(x_hatはxの同定値もしくは推定値を表すものとする、以下同様)より前記(5)式の連続化を用いて連続パラメータの推定値T_hatが算出可能となっている。
以下、離散パラメータを同定する同定処理について説明する。本同定処理では、同定誤差(制御対象の実出力と離散プラントモデル出力との偏差)をゼロにするように、離散モデルのパラメータを逐次最小二乗法により推定する。以下、図1を基に詳細に説明する。
離散プラントモデルは上記(3)式で表される数式モデルであり、離散パラメータθ(θ=[a1,b1]T)は適応機構により逐次推定される。適応機構は、前述したように同定誤差をゼロに近づけるように離散パラメータθを推定するものである。同定誤差は、離散プラントモデルに実際の制御入力uを加えたときのモデル出力y_hatと制御対象の実出力yとの誤差である。なお、離散プラントモデルに加えられる制御入力uや制御対象の実出力y(検出空燃比)には、不要な直流成分やノイズ成分などが含まれる。それ故に、制御入力uは、低周波成分除去手段としてのHPF(ハイパスフィルタ)により直流成分が除去される。また、制御対象の実出力yについて、制御器20での空燃比F/B用の出力yは、高周波成分除去手段としてのLPF(ローパスフィルタ)によりノイズ成分が除去され、パラメータ同定用の出力yは、HPFとLPFとを組み合わせたBPF(バンドパスフィルタ)により直流成分とノイズ成分とが除去される。このとき、空燃比F/B用の出力yと同定用の出力yとには各々別のLPFを設定することができるようになっている。
また、同定誤差eには必要に応じてフィルタ処理(LPF)や不感帯処理が施される。このとき、フィルタ処理により同定パラメータの振動が抑制され、不感帯処理により過同定が抑制される。
まず、上記(3)式を線形パラメトリックな自己回帰モデルとして表現しなおす。
Figure 2006118428
ここで、θ_hat(k)=[a1_hat(k),b1_hat(k)]T,ζ(k)=[y(k),u(k-d)]Tである。同定誤差eは次の(7)式で求められる。
Figure 2006118428
次に、適応機構において、同定誤差eをゼロにするように離散パラメータの推定値θ_hatを算出するパラメータ調整則は、本実施の形態では重み付き最小二乗法の原理に基づいて導出される。次の(8)式に示す同定誤差eの2乗和を評価関数として考える。
Figure 2006118428
ここで、λは忘却係数とも呼ばれる重み係数である。上記(8)式の評価関数が最小となるような調整則は次式のように与えられる。
Figure 2006118428
上記(9)式において、同定誤差eに乗算する行列ゲインΓ及びスカラゲインγは次式のようになる。
Figure 2006118428
本実施の形態では、離散パラメータのノミナル値θmからの誤差分Δθ_hatのみをパラメータ調整則で推定する形としており、上記(9)式は次の(11)式のように修正される。
Figure 2006118428
そして、上記(11)式で求められた離散パラメータの推定値θ_hat(=Δθ_hat+θm)が離散プラントモデルに反映される。
なお、パラメータ調整則は上記以外に、例えば固定ゲイン則、漸減ゲイン則、可変ゲイン則、固定トレース則等であってもよい。
ここで、離散パラメータのノミナル値θmは図2のようにして算出される。すなわち、あらかじめ設定したノミナルモデルスケジューラを用い、その都度のエンジン運転状態(本実施の形態では回転速度と負荷)に基づいて時定数、むだ時間及びむだサンプリング回数のノミナル値(Tm,Lm,dm)が算出される。また、上記(4)式を用いた離散化処理にて、離散パラメータのノミナル値θmが算出される。
また、図1において、上記パラメータ調整則に従い推定された離散パラメータθ_hatは上記(5)式により連続化され、これにより連続パラメータ(時定数の推定値T_hat)が算出される。更に、推定値T_hatについてノミナル値Tmからの誤差分ΔT_hatが算出される。そして、この誤差分に対してフィルタ処理やリミット処理が適宜施される(連続パラメータ処理手段に相当)。
また、リミット処理後の誤差分を基に学習値が更新され、その学習値がスタンバイRAM等に格納される(学習手段に相当)。この学習値はスタンバイRAMより適時読み出され、ノミナル値Tmとの加算により連続パラメータが算出される。更に、該連続パラメータが離散化されて離散パラメータθcが算出され、制御器20において離散パラメータθcを用いて制御対象への入力(ここでは空燃比補正係数FAF)の算出が行われる。
一方、連続パラメータの誤差分ΔT_hatにノミナル値Tmが加算されることで修正後連続パラメータTtmpが算出され、その修正後連続パラメータTtmpを用いて故障診断処理(OBD)等が適宜実施される。
また、修正後連続パラメータTtmpが離散化され、それにより修正後離散パラメータθtmpが算出される。そして、プラントモデルにおいて、修正後離散パラメータθtmpを用いてモデル出力y_hatが算出される。
以上説明した適応制御処理等は、エンジンECUにあらかじめ格納された演算プログラムに従い実行される。以下、エンジンECUの処理内容を説明する。
図3は、空燃比F/B制御を実現するための燃料噴射制御処理を示すフローチャートであり、本処理は所定のクランク角度毎(本実施の形態では30°CA毎にエンジンECUにより実行される。
図3において、先ずステップS101では、例えば基本噴射量マップ等を用い、その都度のエンジン回転数や負荷等の運転状態パラメータに基づいて基本噴射量TPを算出する。続くステップS102では、空燃比F/B制御の実行条件判定を実施する。実行条件判定処理を詳しく説明すれば、図4に示すように、ステップS111では、A/Fセンサ13が使用可能な状態であるか否かを判別する。具体的には、A/Fセンサ13が活性化していること、フェイルしていないこと等を判別する。また、ステップS112では、エンジン水温が所定温度(例えば70℃)以上であるか否かを判別する。そして、A/Fセンサ13が使用可能であり且つエンジン水温が所定温度以上であれば、ステップS113に進む。ステップS113,S114では、回転速度とエンジン負荷(例えば吸気管負圧)とをパラメータとする運転領域マップを参照し、今現在のエンジン運転状態がF/B実行領域にあるかどうかを判定する。そして、F/B実行領域にあれば、ステップS115で実行フラグをONし、実行領域になければ、ステップS116で実行フラグをOFFする。その後本処理を終了する。
図3の説明に戻り、ステップS103では実行フラグがONであるか否かを判別する。実行フラグがOFFであればステップS104に進み、空燃比補正係数FAFを1.0とする。この場合、空燃比F/Bは行われないこととなる。また、実行フラグがONであればステップS105に進み、空燃比補正係数FAFの算出処理を実行する。最後に、ステップS106では、空燃比補正係数FAFやその他各種の補正係数(例えば冷却水温補正係数、学習補正係数、加減速時の補正係数等)により基本噴射量TPを補正し、最終の燃料噴射量TAUを算出する。
次に、前記ステップS105で実行される空燃比補正係数FAFの算出サブルーチンを図5のフローチャートを基に説明する。
図5において、ステップS210では、同定実行条件の判定処理を実行する。本実施の形態では、エンジン排気管に設けた触媒の劣化検出処理が実行されていること、又はエンジン運転状態が定常状態であることを同定実行条件としている。ここで、触媒の劣化検出手法は種々提案されているが、その劣化検出に際し所定周期で空燃比を強制的に振幅させることを要件とするものであれば、任意の検出手法が適用できる。例えば、空燃比を理論空燃比を中心にして所定周期で振幅させ、その時の触媒下流側の空燃比変化(応答周期など)をモニタする。そしてそのモニタ結果から触媒劣化状態を判定する。こうした触媒の劣化検出は、空燃比を振幅させてもエミッション悪化が生じにくい運転状態下で実施されるのが通常である。故に、エミッションを良好に維持するには、触媒の劣化検出に合わせて同定を行うのが望ましい。
また、エンジン回転速度の単位時間当たりの変化量が所定値以下であること、及び負荷の単位時間当たりの変化量が所定値以下であることからエンジン運転状態が定常であるかどうかを判別する。
すなわち、図6に示すように、ステップS211では、今現在触媒の劣化検出処理が実行されているか否かを判別し、続くステップS212,S213では、今現在のエンジン運転状態を判定して定常状態にあるか否かを判別する。そして、触媒の劣化検出処理が実行されている場合、又はエンジン運転状態が定常である場合に、ステップS214に進んで同定フラグをONする。またそれ以外の場合、ステップS215に進んで同定フラグをOFFする。
但し、同定実行条件を、触媒劣化検出の実行時であることのみとしたり、逆に触媒劣化検出の実行時であることを条件から外したりすることも可能である。また、エンジンの定常判定処理において、所定時間以上の間、定常判定が行われない場合に、エンジン回転速度や負荷変化量の定常境界値を拡張側に変更してもよい。
図5の説明に戻り、ステップS220では、同定フラグ=ONであるか否かを判別し、同定フラグ=ONであることを条件にステップS230,S240を実行する。すなわち、ステップS230では、同定実行時の目標空燃比の設定を行う。このとき、同定実行時の目標空燃比設定は、元々の目標空燃比に振幅±0.05、周期1.4secの矩形波又は正弦波を加算するものとする。但し、振幅や周期といった信号の性質は他のものでも良く、設定したプラントパラメータ数の1/2のPE(persistently exciting)性を有する信号であればよい。振幅はSN比を良くするため、可能な限り大きく設定する。ここで、パラメータの逐次同定を可能にするためには、制御対象の動特性を十分に励起する入力uを与える必要があり、同定すべきパラメータの個数がp個の場合において、入力u(t)がp/2個以上の周波数成分を含むようにする。これにより、パラメータの推定値が真値に収束する。
その後、ステップS240では、同定処理を実行する。ステップS250では、制御量算出処理を実行する。
図7は、前記図5のステップS240で実行される同定処理サブルーチンを示すフローチャートである。
図7において、ステップS301では、同定用入出力の直流成分(トレンド)の除去処理及び同定出力用のノイズ除去処理を実施する。具体的には、制御器20にて算出されるFAFやA/Fセンサ13の検出空燃比に対してトレンド除去処理が実施される。この除去処理は、直流成分除去が可能なものであれば任意で良く、例えば移動平均処理などが実施される。また、A/Fセンサ13の検出空燃比に対してなまし処理(LPF処理)が実施される。
ステップS302では、制御対象の実出力と離散プラントモデルの出力とから同定誤差eを算出する。その後、ステップS303,S304では、同定誤差eに対してなまし処理(LPF処理)と不感帯処理とを実行する。これにより、同定誤差e_tildeが算出される。
そして、ステップS305では、上記(11)式等で規定したパラメータ調整則に従い、パラメータ適応処理を実行する。これにより、制御対象の実出力と離散プラントモデルの出力との誤差をゼロに近づけるようにして離散パラメータθ_hatの推定値が算出される。
その後、ステップS306では、前記算出した離散パラメータの推定値θ_hatに対して上記(5)式により連続化の処理を実行し、連続パラメータ(時定数の推定値T_hat)を算出する。そして続くステップS307では、連続パラメータのノミナル値Tmからの誤差分ΔT_hatに対してリミット処理を実行する。更に、ステップS308では、連続パラメータの誤差分ΔT_hatの学習処理を実行する。
図8は、前記図7のステップS307で実行されるリミット処理を示すフローチャートである。
図8において、ステップS311では、連続パラメータである時定数の推定値T_hatからノミナル値Tmを減算して誤差分ΔT_hatを算出する。ノミナル値Tmは、マップ等を参照して算出されるパラメータマップ値であり、特にその都度のエンジン運転状態に基づいて算出される。続くステップS312では、誤差分ΔT_hatに対してLPF処理を実行する。なお、ΔT_hatに対するLPF処理は、他のタイミングで実施されても良く、例えば当該ΔT_hatにガードをかけた後に実施されても良い。
ステップS313では、誤差分ΔT_hatが正側のガード値δpよりも大きいか否か、又は誤差分ΔT_hatが負側のガード値−δmよりも小さいか否かを判別する。ΔT_hat≦δpで且つΔT_hat≧−δmの場合、ステップS314に進み、カウンタpcnt,mcntを0にクリアする。更に、ステップS315では、ガード値δp,δmとして初期値δp0,δm0をセットする。
また、ΔT_hat>δpであるか、又はΔT_hat<−δmであれば、ステップS316に進み、誤差分ΔT_hatをガード値δp,δmでガードする。このとき、ΔT_hat>δpの場合にはΔT_hat=δpとし、ΔT_hat<−δmの場合にはΔT_hat=−δmとする。
その後、ステップS317では、カウンタpcnt,mcntの加算処理を実行する。このとき、ΔT_hat>δpの場合にはカウンタpcntをインクリメントし、ΔT_hat<−δmの場合にはカウンタmcntをインクリメントする。ステップS318では、pcnt>Nであるか、又はmcnt>Nであるかを判別する。そしてYESであればステップS319に進み、ガード値δp,δmを増加側に変更する。このとき、pcnt>Nの場合にはガード値δpにΔδpを加算し(δp=δp+Δδp)、mcnt>Nの場合にはガード値δmにΔδmを加算する(δm=δm+Δδm)。つまり、所定時間継続してΔT_hatがガード値に張り付いている場合にガード値が拡げられる。
なお、所定時間継続してΔT_hatがガード値に張り付いている場合、又はΔT_hatがガード値に対して絶対値で所定値以上大きい場合に、適応機構をリセット(初期化Δθ=0)するものとしてもよい。また、ΔT_hatの所定回数前と現在の値との差が所定値以上である場合に、適応機構をリセット(初期化Δθ=0)するものとしてもよい。
図9は、前記図7のステップS308で実行される学習処理を示すフローチャートである。
図9において、ステップS331では学習可否判定処理を実行する。この判定処理では、同定誤差がゼロ付近で収束していることを条件に修正後連続パラメータTtmpにより学習用パラメータTaの算出が行われ、その実施状況に応じて学習フラグが操作される(詳細は後述する)。そして、ステップS332で学習フラグ=ONであると判別されると、ステップS333では学習値の更新処理を実行する。
かかる場合、ステップS333の学習値更新処理では、後述する図10の学習可否判定処理において算出された時定数の学習用パラメータTaとノミナル値Tmとの偏差ΔTが算出され、そのΔT値が、スタンバイRAM内に既に記憶されている前回学習値に書き換えられて格納される。例えば、図12に示すように、エンジン負荷と回転数を測定可能な所定範囲内で各々4分割して合計16個の領域を設け、それらの領域毎に学習値ΔTを割り当てる。図中、学習値ΔTに付した添え字は領域番号である。なお、エンジン負荷と回転数とをパラメータとする各スタンバイRAM領域は各々均等に分割されていても良いが、不等分割されていても良い。
図10は、前記図9のステップS331で実行される学習可否判定処理を示すフローチャートである。
図10において、ステップS351では、今現在、各種燃料増量や燃料カットが実施されていないか否かを判別する。そして、燃料増量等の実施中であればステップS352に進み、フラグjfg、カウンタjcntを共に0にクリアする、プラントモデルの可変パラメータθpとしてその時の同定値θ_hatを設定する、学習フラグをOFFするといった初期化処理を実行する。
また、各種燃料増量や燃料カットが実施されていなければ、ステップS353でフラグjfgが1であるか否かを判別し、jfg=0の場合には更にステップS354で同定誤差e_tildeの絶対値が所定値ε1よりも小さいか否かを判別する。そして、|e_tilde|≧ε1であればそのままステップS359に進み、学習フラグをOFFする。また、|e_tilde|<ε1であれば、ステップS355でフラグjfgに1をセットすると共にカウンタjcntを0にクリアする。すなわち、同定誤差e_tildeが所定範囲内に収束していることでフラグjfgがセットされる。なお、ステップS354の条件が所定時間継続して満たされない場合には所定値ε1を大きくし、同条件が満たされたら該ε1を初期値に戻す構成であっても良い。
その後、ステップS356では、前記リミット処理後のΔT_hatを基に算出した連続パラメータT_hat(=ΔT_hat+ノミナル値Tm)を修正後連続パラメータTtmpとし、続くステップS357では、該Ttmpを離散化して修正後離散パラメータθtmpを算出する。そして、ステップS358では、修正後離散パラメータθtmpをプラントモデルの可変パラメータθpとして設定する。これにより、プラントモデルにおいて、修正後離散パラメータθtmpを用いてモデル出力が算出される。ステップS359では、学習フラグをOFFする。
一方、フラグjfgに1がセットされた後は、ステップS353からステップS360に進み、ステップS360では、同定誤差e_tildeの絶対値が所定値ε2よりも小さいか否かを判別する。このとき、ε2≧ε1である。そして、|e_tilde|<ε2であれば、ステップS363でカウンタjcntの加算処理を実行する。続くステップS364ではjcnt≧Nであるか否かを判別し、jcnt≧Nとなるまではそのまま処理を終了する。
そして、jcnt≧Nになると、ステップS365でフラグjfgを0にクリアし、ステップS366では、プラントモデルの可変パラメータθpをその時の同定値θ_hatに戻す。また、ステップS367では、修正後連続パラメータTtmpを学習用パラメータTaとし、ステップS368では、学習フラグをONする。
また、jcnt≧Nとなる前に|e_tilde|≧ε2となる場合(すなわちステップS360がNOのとなる場合)には、ステップS361でフラグjfgを0にクリアすると共に、ステップS362でプラントモデルの可変パラメータθpをその時の同定値θ_hatに戻す。
図11は、前記図5のステップS250で実行される制御量算出処理を示すフローチャートである。
図11において、ステップS401では、ノミナルパラメータマップを参照し、現在のエンジン運転状態(負荷と回転数)に基づいてノミナルパラメータ(時定数のノミナル値Tm)を算出する。また、ステップS402では、スタンバイRAM内に格納されている学習値ΔTnを読み出すと共に、前記ノミナルパラメータを加算して連続パラメータ(時定数)を算出する。このとき、現在のエンジン運転状態(負荷と回転数)に基づいて図12のマップ内の学習値ΔTnがスタンバイRAMより読み出される。
その後、ステップS403では、前記算出した連続パラメータに対して離散化処理を実行し、離散パラメータθcを算出する。ステップS404では、例えば極配置F/B演算手法により、離散パラメータθcを用いて空燃比補正係数FAFの演算を実施する。ただし、極配置F/B演算手法については本発明の要部でなくその詳細は本願出願人による先の出願(例えば、特開平2002−81344号公報等)に開示されているため、詳しい説明は割愛する。
以上詳述した本実施の形態によれば、同定誤差に基づいて逐次推定された離散パラメータを連続パラメータに変換し、その連続パラメータに対してリミット処理等の所定の数値処理を施すようにした。そして、リミット処理後の修正後連続パラメータを故障診断等に利用するようにした。この場合、離散時間→連続時間の変換がなされた修正後連続パラメータは物理的意味が理解しやすいパラメータであるため、故障診断等を容易に実施することができる。また、連続パラメータを対象にリミット処理が適正に行われることで、故障診断精度を向上させることができる。
パラメータリミット処理では、連続パラメータと連続時間ノミナルパラメータとの差分を所定範囲内に制限するようにしたため(図8のリミット処理参照)、ノミナル値からの誤差分だけに制限がかけられ、連続パラメータに対して効果的な数値処理を施すことができる。
更に、リミット処理後の修正後連続パラメータを再度離散化し、該離散化により算出した修正後離散パラメータに基づき、プラントモデル出力を逐次算出したり、制御器20において制御対象への制御入力を決定したりするようにした。この場合、誤同定の防止や制御ゲインの発散防止等を図ることができる。これにより、高精度な空燃比フィードバック制御が実現できる。
また、修正後連続パラメータを学習する構成としたため、制御対象とプラントモデルとの差異が好適に解消され、その都度現実の動特性に追従した制御が可能となる。このとき、プラントモデル出力と制御対象の実出力との誤差が所定範囲内である場合に学習値を更新するようにしたため(図10の学習可否判定処理参照)、適正な同定が行われていることを条件に学習処理が行われ、学習値の信頼性が高められる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記実施の形態では、適応機構において、離散パラメータの推定値θ_hatについてノミナル値θmからの誤差分Δθ_hatを算出する構成としたが、これを変更しても良い。例えば、適応機構において、離散パラメータの推定値θ_hatについてノミナル値θmと学習値(スタンバイRAMに記憶されている時定数の学習値を離散化したもの)との加算値からの誤差分Δθ_hatを算出する。
また、リミット処理において、連続パラメータの推定値T_hatについてノミナル値Tmからの誤差分ΔT_hatを所定範囲内に制限する構成としたが、これを変更しても良い。例えば、連続パラメータの推定値T_hatについてノミナル値Tmと学習値(スタンバイRAMに記憶されている時定数の学習値)との加算値からの誤差分ΔT_hatを所定範囲内に制限する。
学習値の更新に際し、今回算出した学習値ΔTnになまし処理を施して今回学習値を算出するようにしても良い。すなわち、
ΔTn(k)=(m−1)/m*ΔTn(k−1)+1/m*ΔTn
としてその都度の学習値ΔTnを算出する。これにより、学習値の急激な変化が抑制され、安定した制御が実現できる。誤同定やノイズ等による制御の乱れも抑制できる。
上記実施の形態では、連続パラメータの推定値のノミナル値からの偏差を学習値として記憶保持する構成としたが、連続パラメータの推定値をそのまま学習値とすることも可能である。
発明の実施の形態におけるエンジン制御システムの概略を示す構成図である。 ノミナルモデルスケジューラと離散化処理の概要を示すブロック図である。 燃料噴射制御処理を示すフローチャートである。 F/B実行条件判定処理を示すフローチャートである。 空燃比補正係数算出処理を示すフローチャートである。 同定実行条件判定処理を示すフローチャートである。 同定処理を示すフローチャートである。 リミット処理を示すフローチャートである。 学習処理を示すフローチャートである。 学習可否判定処理を示すフローチャートである。 制御量算出処理を示すフローチャートである。 学習値のマップデータを示す図である。
符号の説明
10…エンジン、13…A/Fセンサ、20…制御器。

Claims (15)

  1. 制御対象を離散数式モデルで表したプラントモデルを用い、該プラントモデルに前記制御対象への入力を加えた際の出力であるプラントモデル出力と前記制御対象の実出力との誤差をゼロに近づけるようにして前記プラントモデルのパラメータを同定する同定手段と、
    前記同定手段により同定された離散モデルパラメータを連続時間表現のモデルパラメータに変換する連続化手段と、
    を備えることを特徴とする制御装置。
  2. 前記連続化手段により変換された連続モデルパラメータに対して所定の数値処理を施す連続パラメータ処理手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記連続パラメータ処理手段は、前記連続モデルパラメータに対してフィルタ処理又はリミット処理を施すものであることを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
  4. 連続時間ノミナルモデルパラメータを設定するためのノミナルパラメータ設定手段を備え、前記連続パラメータ処理手段は、前記連続化手段により変換された連続モデルパラメータと前記連続時間ノミナルモデルパラメータとの差分を所定範囲内に制限することを特徴とする請求項2又は3に記載の制御装置。
  5. 前記所定範囲を規定するガード値に対し前記連続モデルパラメータと前記連続時間ノミナルモデルパラメータとの差分が継続的に張り付いている場合、前記所定範囲を拡張側に変更することを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記連続パラメータ処理手段により所定の数値処理が施された後の修正後連続モデルパラメータを再度離散化する離散化手段を備え、該離散化手段により算出される修正後離散モデルパラメータに基づき、前記同定手段の前記プラントモデル出力を算出することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の制御装置。
  7. 前記制御対象の実出力が所定の目標値になるように前記制御対象への入力を算出する操作量算出手段と、前記連続パラメータ処理手段により所定の数値処理が施された後の修正後連続モデルパラメータを再度離散化する離散化手段とを備え、該離散化手段により算出される修正後離散モデルパラメータに基づき前記操作量算出手段を実行することを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の制御装置。
  8. 前記連続パラメータ処理手段により所定の数値処理が施された後の修正後連続モデルパラメータを学習する学習手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至7の何れかに記載の制御装置。
  9. 前記学習手段は、前記連続化手段により変換された連続モデルパラメータと連続時間ノミナルモデルパラメータとの差分に対し前記連続パラメータ処理手段による所定の数値処理を施した値を基に学習値を更新することを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
  10. 前記学習手段は、前記差分になまし処理を施して学習値を更新することを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
  11. 前記学習手段は、前記同定手段におけるプラントモデル出力と前記制御対象の実出力との誤差が所定範囲内である場合に学習値を更新することを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の制御装置。
  12. 内燃機関と該内燃機関の排出ガスを基に空燃比を検出する空燃比センサとを制御対象とし、燃料噴射補正量を入力として加えた時のプラントモデル出力と前記空燃比センサの出力との誤差に基づいて前記同定手段による同定を実行する制御装置において、
    前記空燃比センサによる検出空燃比が目標空燃比に一致するよう燃料噴射補正量を算出するフィードバック制御手段と、
    目標空燃比を一時的に振幅させ、その際、内燃機関の排気系に設けた触媒の下流側空燃比の挙動に基づいて該触媒の劣化状態を検出する触媒劣化検出手段とを備え、
    該触媒の劣化検出実行時に前記同定手段による同定を実行することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の制御装置。
  13. 内燃機関制御システムに適用され、内燃機関の特定運転状態を判定するための運転状態判定手段を備え、該判定手段が特定運転状態であると判定した場合に前記同定手段による同定を実行することを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の制御装置。
  14. 前記運転状態判定手段は、内燃機関の回転速度及び負荷の変化率の絶対値が所定値以下である場合に、特定運転状態であると判定することを特徴とする請求項13に記載の制御装置。
  15. 内燃機関制御システムに適用され、前記修正後連続モデルパラメータを用いて内燃機関の故障診断を実行することを特徴とする請求項1乃至14の何れかに記載の制御装置。
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