JP2006116487A - 金属ろ材を用いた立型フイルタープレス - Google Patents

金属ろ材を用いた立型フイルタープレス Download PDF

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Abstract

【課題】 金属ろ材を使用して、洗浄水量と目詰まりを少なくして、ケーキの回収率を高めた立型フイルタープレスを提供する。
【解決手段】 剥離ロール(24)と案内ロール(25)に吊設する0.1〜0.5mm厚みの金属薄板ベルト(28)に、厚み方向に貫通する0.1〜0.5mmの微細孔を設けた金属貫通ベルト(29)を配設し、剥離ロール(24)に掛け回した金属薄板ベルト(28)の反転走行位置の側端部に洗浄ノズル(36、38)を対設し、洗浄ノズル(36、38)を被覆した洗浄ボックス(37、39)を金属薄板ベルト(28)の幅方向に配設したもので、厚み方向に貫通する微細孔は、ケーキが滞留することがなく、目詰まりろ材の交換を大幅に減少する。金属貫通ベルト(29)は表面が平らなので、洗浄が容易で、水量も著しく少なくてよく、水圧も低圧でよい。
【選択図】 図4

Description

この発明は、浄水汚泥、産業排水、或いは鉱石スラリー等の無機質を含有する原液を対象とする立型フイルタープレスの改良に関する。
立型フイルタープレスは、比較的ろ過性の良い無機系スラリーの脱水機として広く普及している。立型フイルタープレスは、据付面積に比較してろ過面積が広く取れ、脱水ケーキの厚みが均等になる利点がある。ろ過室に生成した脱水ケーキは、ケーキ洗浄やエアーブローにより含水率を低減させる機種として評価されている。例えば、垂直方向に並列したろ板間に、一枚のろ布を走行自在に無端状に配設した立型フイルタープレスは、特許文献1に記載してあるように公知である。この無端状のろ布は、複数のロールの反転部位でケーキを剥離させ、エンドレスに構成した一ヶ所でろ布を洗浄している。また、それぞれのろ板間の側方に配設した一対のロールに無端状にろ布を掛け回した立型フイルタープレスも、例えば、特許文献2に記載してあるように公知である。そして、濃縮装置であるが、ろ布の代わりにワイヤーメッシュ構造の無端ベルトを一対のプーリー間に掛け渡した固液分離装置も、例えば、特許文献3に記載してあるように公知である。
特開昭63−200808号公報(特許請求の範囲、図1) 特開昭52−53575号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2003−236596号公報(段落番号0014、図3)
従来のろ板間に一枚のろ布を無端状に吊設した立型フイルタープレスは、部品点数が少ないメリットが有るが、ろ布は一ヶ所の破れで全室交換のデメリットがある。鉱石スラリー等の無機質を多く含む原液の脱水では、繊維の劣化が早く全室のろ布の交換が頻繁となり経費が膨大となる。一枚の無端状ろ布は、蛇行防止の都合上高速化は困難であり、ケーキ剥離とろ布洗浄の時間を短縮することは困難である。そして、ろ過面として使った側のろ布をろ板上面に滑らせるので、残留ケーキがろ布損傷の原因となり易い。また、並列したろ板ごとにろ布を掛け回した立型フイルタープレスでも、合成繊維等を使用しており、ろ材機能を維持(目詰まり進行の防止)するため、ケーキ排出時に洗浄する必要がある。
ろ布はポリプロピレンなどの合成繊維、或いは、綿等の天然繊維で織ったろ材であり、ろ布の表面には微細な凹凸と、ろ布内部には屈曲したろ液通路がある。このろ布に付着する固形物は、スクレーパだけで完全に剥離することは不可能であり、ろ布の折り目にスラリーの固形物が滞留し、或いは鉄、マンガン、カルシュウムといったろ液、或いは洗浄水に含まれる成分が析出して目詰まりを起こす。特に、鉱石スラリーは磨耗性があり、これがろ布表面に残留すると、ろ布の消耗を早めるため、常に洗浄を行って大量の洗浄水が必要となる。ろ布の折り目に滞留する固形物は、高圧ジェッター洗浄や薬品洗浄を行えば、不純物除去は可能であるが、洗浄排水処理が問題となる。ろ布表面の微細な凹凸はケーキ洗浄やエアーブローを行う際に、シール漏れを防止するための膜厚を厚くした目止め処理が必要である。ろ布は合成繊維、或いは綿等の天然繊維なので、高温、溶剤の脱水には適さない。
ろ布は織繊維間の目詰まりや繊維の劣化等により、ろ過速度の低下と剥離不良が進行し寿命に至る。汚れたろ布を扱う環境劣悪な交換作業を頻繁に行う必要があり、膨大な交換費用が必要である。汚れたろ布はリサイクルできず、大量の廃棄物が発生し、焼却或いは埋立処分をせざるを得ない。ろ布は目詰まりが進行すると脱水性能が低下するため、これを見込んだ脱水機の割り増しサイズを選定する必要がある。また、濃縮装置に用いるワイヤーメッシュ構造の無端ベルトは、耐磨耗性と洗浄性が良く、高温、溶剤の脱水にも適用できるものであるが、メッシュ構造のため金属線材間の表面と裏面に微細な開口が形成されており、ケーキの回収率が良いが、目詰まりしやすく多量の洗浄水が必要となる。仮に、このワイヤーメッシュ構造の無端ベルトを立型フイルタープレスに使用すれば、メッシュ構造の無端ベルトに張力を加えるために伸びの問題があり、ろ過面の網目にバラツキが生じ、ケーキの回収率が悪くなる恐れがある。この発明は、目詰まりと洗浄水が少なくて済むろ材を使用して、ケーキの回収率を高める金属ろ材を用いた立型フイルタープレスを提供する。
この発明に係る金属ろ材を用いた立型フイルタープレスは、多数のろ板を垂直方向に開閉自在に並列し、上下のろ板間にろ材を走行自在に吊設したフイルタープレスにおいて、ろ材を0.1〜0.5mmの金属薄板ベルトで構成し、少なくともろ板のろ過床に配設する金属薄板ベルトを、厚み方向に貫通する0.1〜0.5mmの多数の細孔を設けた金属貫通ベルトとすると共に、金属貫通ベルトの孔サイズをろ材厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径としたもので、金属貫通ベルトの厚み方向に貫通した孔は、ケーキが滞留することがなく、ろ布のように固形物の繊維内滞留に起因する目詰まりは進行しない。加工性、強度、脱水性能を総合的に考慮して、金属貫通ベルトの孔加工は、孔サイズをろ材厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径としたので、パンチング加工や化学腐食/エッチングが可能となる。
ろ板のろ過床に配設する金属貫通ベルトの開口率を3〜30%としたもので、ろ材の強度を維持しながら従来のろ布と同等の通水性を確保できるものである。そして、金属貫通ベルトによる脱水ケーキは、ろ布に近似した脱水ケーキとなり、適切なケーキ水分と回収率が得られるもので、長期使用が可能なろ材機能となる。また、金属薄板ベルトに形成した金属貫通ベルトは、磨耗と目詰まりの進行が遅く長寿命であり、ろ材の交換は大幅に減少する。劣化した金属貫通ベルトの汚れは容易に除去できるので、金属薄板ベルトはマテリアルリサイクルが可能である。金属薄板ベルトの厚みが薄いので剥離ロールと案内ロール等のロール径が小さくなり、ろ板の厚みも薄くすることが可能となる。
金属薄板ベルトを掛け回す一対のロールを、駆動力を伝達する剥離ロールと金属薄板ベルトを緊張支持させる案内ロールで構成し、剥離ロールに掛け回した金属薄板ベルトの反転走行位置の側端部に洗浄ノズルを対設し、洗浄ノズルを被覆した洗浄ボックスを金属薄板ベルトの幅方向に配設したもので、金属貫通ベルトの両サイドのろ過面に噴射した洗浄水を洗浄ボックスに受止めて、ろ過面に付着する微細なケーキの破片を洗浄水で流し出すだけでよい。そして、金属貫通ベルトは表面が平らなので洗浄が容易であり、水量も著しく少なくて水圧も低圧でよい。ろ材厚みが0.1〜0.5mmの金属薄板ベルトを剥離ロールと案内ロールに無端状に掛け回すので、ロール径が細くなり、金属貫通ベルトは張力と曲げ強度を維持しながら、ろ過面圧を大きくして充分な脱水ろ過が達成できる。
洗浄ノズルを対設した金属薄板ベルトの前段にスクレーパを当接し、金属薄板ベルトが離反した剥離ロールにも直接スクレーパを当接したもので、周回する金属貫通ベルトのろ過面からケーキ剥離と、残渣の洗浄を行うので、金属薄板ベルトは高速走行でもケーキ排出とろ過面の洗浄が可能となる。金属である金属貫通ベルトは、磨耗と目詰まりの進行が遅いので、ろ材機能が維持されて長寿命であり、ろ材の交換は大幅に減少する。閉板したろ板の漏れ液の防止は、ろ板の上下周縁部のシール面に可撓性のシール部材を嵌着したもので、金属貫通ベルトは表面が平らなので、シール漏れが防止でき、シール部材は薄膜でよい。また、金属薄板ベルトに配設した金属貫通ベルトの周部に目止め材を貼着して、シール効果が得られるものである。
この発明の金属ろ材を用いた立型フイルタープレスは上記のように構成してあり、金属薄板ベルトに形成した金属貫通ベルトは、従来の綾織や平織を施したろ布や金網のように、表面に微細な凹凸や段部、或いは屈曲したろ液通路がないので、固形物の繊維内滞留に起因する目詰まりは進行することがなくケーキの回収率が高くなる。金属貫通ベルトは表面が平らなので、従来のろ布と比較して、低い水圧と少ない洗浄水でケーキを洗い流し、ろ材面の再生が可能となる。また、金属貫通ベルトは、目詰まりの進行が遅いので、ろ材の交換は大幅に減少し、作業環境の悪いベルトプレスの機体に交換作業を行う必要がなく、短期消耗品であるろ布のように廃棄物が発生することもない。金属薄板ベルトの厚みが薄いので剥離ロールと案内ロール等のロール径が小さくなり、フイルタープレスの装置全体がコンパクトになる。金属貫通ベルトに磨耗の表面処理を施せば半永久的に使用でき、高温、溶剤等への適用も可能である。
この発明に係る金属ろ材を用いた立型フイルタープレスを図面に基づき詳述すると、先ず、図1は立型フイルタープレスの要部縦断面図であって、昇降自在な上部フレーム1と、固定配置された下部フレーム2の間に多数のろ板3、4、5が配設してあり、図示を省略するが、多数のろ板3、4、5をジャッキ等で案内杆に沿って昇降させ、上下のろ板3、4、5を開閉自在に並列してある。図2はろ板の縦断面図であって、ろ板3はその上面を凹面状に形成し、周縁部をシール面3aとしてある。このシール面3aの内側に支持板6に支架されたパンチングメタル7が張設してあり、パンチングメタル7の表面をろ過床7aとしてある。この発明の実施例では、ろ過床7aが厚み2mm、孔直径3mmのパンチングメタル7を使用している。支持板6の下方をろ液室8としてあり、ろ液室8に連通するろ液通路9をろ板3のシール面3aの内部に設けてある。
図2に示すように、ろ板3の下面も凹面状に形成して、周部をシール面3aとしてあり、その内側にダイアフラム10が張設してある。ダイアフラム10の上部に加圧室11と、その下部に原液室12を構成してある。ろ板3のシール面3aの内部に加圧室11に連通する流体供給通路13と原液室12に連通する原液通路14を設けてある。加圧室11に加圧水、或いは圧縮空気を供給すれば、膨張したダイアフラム10で原液室12の脱水されたケーキを圧搾し、低含水率とすることができる。
図1に示すように、上部フレーム1の下面に、ろ板3の上面を平板状とした始端側のろ板4が連結してある。このろ板4の下面部を凹面状に形成して周部をシール面4aとしてある。このシール面4aの内側にダイアフラム10が張設してあり、ダイアフラム10の上部に加圧室11とその下部に原液室12を構成してある。下部フレーム2の上部に、ろ板3の下面を平板状とした後端側のろ板5が離反させて配設してある。このろ板5の上面にろ液室8を形成し、ろ液室8の上部にパンチングメタル7が張設してある。始端側のろ板4と終端側のろ板5の間に、上面にろ液室8と下面に原液室12を設けた多数のろ板3・・・が並列してある。なお、高圧搾を必要としない原液にあっては、ダイアフラム10を廃止して、ろ板3の下面を原液室12としてもよいものである。
図3はロールを支架したろ板の平面図であって、ろ板3の両側面に延設したブラケット15、16に上下に貫通した原液入口孔17とろ液出口連通管18が配設してある。原液入口孔17に原液通路14とろ液出口連通管18にろ液通路9をそれぞれ連通してある。図示を省略するが、並列したろ板3・・・の上下両端部のろ板4、5にも両側面に延設したブラケット15、16が配設してあり、上下に貫通した原液入口孔17とろ液出口連通管18を配設してある。多数のろ板3・・・、4、5を閉板した時に、上下の原液入口孔17・・・とろ液出口連通管18・・・で連通管を形成させる。原液の供給は、連通させた原液入口孔17・・・から閉板した上側のろ板3、4の原液通路14を介して原液室14に供給する。分離したろ液は、下側のろ板3、5のろ液室8からろ液通路9を介して連通させたろ液出口連通管18に排出させる。なお、下部フレーム2に原液入口孔17とろ液出口連通管18に連通する原液供給管19とろ液出口管20が配設してあり、上部フレーム1に原液入口孔17に連通するバックブロー管21が配設してある。
図2及び図3に示すように、ろ板3、5の周部にフレーム22が連結してあり、ろ板3、5の前後に延設した支持フレーム23、23に剥離ロール24と案内ロール25が支架してある。剥離ロール24に駆動スプロケット26と案内ロール25に従動スプロケット27が嵌着してあり、駆動スプロケット26が駆動機(図示せず)に連動連結してある。図4は金属薄板ベルトを吊設したろ板であって、剥離ロール24と案内ロール25に厚みが0.1〜0.5mmの金属薄板ベルト28が掛け回してあり、水平状に配設したろ板3、4、5の周部を周回するようにろ板間に吊設してある。厚みの薄い金属薄板ベルト28を剥離ロール24と案内ロール25に掛け回すので、ロール径を比較的細く設定できる。ロール径が細くなると金属薄板ベルト28は張力と曲げ強度を維持しながら、ろ過面圧を大きくして、充分な脱水ろ過が達成できる。なお、金属薄板ベルト28は、好ましくは、0.15〜0.3mmの厚みとすれば、可撓性が増加して装着が容易となり、更に剥離ロール24と案内ロール25を小径とすることができ、ろ板3、5の厚みも薄くすることが可能となる。金属薄板ベルト28は、各ろ板に独立して装着しているので、万が一機械的損傷が発生した時も、そのろ板3、5の金属薄板ベルト28だけ交換すれば良く、交換時間も短時間で済み経済的である。
図5は金属薄板ベルトの要部平面図であって、金属薄板ベルト28のろ板3、5のろ過床7aに載置する位置に、厚み方向に貫通した微細孔を有する金属貫通ベルト29が形成してある。金属貫通ベルト29は電子ビーム、もしくはレーザービームで孔加工を施してあり、厚み方向に貫通する多数の0.1〜0.5mmの微細孔を設けてある。金属貫通ベルト29の孔サイズは、ろ材厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径としてある。加工性、強度、脱水性能を総合的に考慮して、金属貫通ベルト29の孔加工は、孔サイズをろ材厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径としたので、パンチング加工や化学腐食/エッチングが可能となる。金属貫通ベルト29は、図3に示す、ろ板3、5のろ過床7aの大きさとしてあり、ろ板3、4、5間を閉板する時に、ろ板3、5の上面に張設したパンチングメタル7に載置できるようにしてある。厚み方向に貫通した金属貫通ベルト29は、ろ布や金網のように綾織等の織目の屈曲したろ液通路や平織等の段付きがなく、微細孔に汚泥が滞留し、或いは、鉄、マンガン、カルシュウムといった洗浄水に含まれる成分が析出固着することがない。
図5に示す、金属薄板ベルト28に形成した金属貫通ベルト29の開口率は、3〜30%としてあり、ろ材の強度を維持しながら従来のろ布と同等の通水性を確保できるものである。また、金属貫通ベルト29による脱水ケーキは、ろ布に近似した脱水ケーキとなり、適切なケーキ水分と回収率が得られるもので、長期使用が可能なろ材機能となる。好ましくは、金属貫通ベルト29を0.15〜0.3mmの口径と厚みとし、開口率を5〜30%とすれば、従来のろ布と同等の通水性を確保できる。そして、金属貫通ベルト29は、金網のように織目に起因する目詰まりや、張力や劣化による伸びがなく長寿命であり、ろ材の交換は大幅に減少する。金属薄板ベルト28は、各ろ板3、5に独立して装着しているので、万が一機械的損傷が発生した時も、そのろ板3、5の金属薄板ベルト28だけを交換すれば良く、交換時間も短時間で済み、経済的である。金属薄板ベルト28は平坦な金属なので、劣化した金属貫通ベルト29の汚れは容易に除去できるので、マテリアルリサイクルが可能となる。なお、金属貫通ベルト29の微細孔の形状は円形、長円形、スリットでもよいものである。
図6は金属薄板ベルトの端部の平面図であって、剥離ロール24と案内ロール25に掛け回した金属薄板ベルト28の反転部近傍の端部に補強バー31が連結してあり、金属薄板ベルト28の両側部に沿って配設したローラーチエーン30に止着してある。剥離ロール24と案内ロール25の両端部にそれぞれ駆動スプロケット26と従動スプロケット27が嵌着してあり、この駆動スプロケット26と従動スプロケット27に金属薄板ベルト28を張設する無端状のローラーチエーン30、30が噛み合わせてある。駆動機で駆動スプロケット26を回動させて金属薄板ベルト28を走行させ、ろ板3、4、5の閉板時に、金属貫通ベルト29がろ板3、5のパンチングメタル7のろ過床7aに載置できるようにしてある。ろ板3、4、5を閉板して原液室12に供給した原液は、金属貫通ベルト29で固形物を捕捉して、分離したろ液を支持板6の下方のろ液室8に排出する。
図5に示すように、金属薄板ベルト28に形成した金属貫通ベルト29の周部に目止め材32を貼着してある。微細孔を設けた金属貫通ベルト29の周部の金属薄板ベルト28は、表面が滑らかなので、シール漏れが防止でき、目止め材32は薄膜でよい。また、閉板したろ板3、5の漏れ液の防止は、金属薄板ベルト28の目止め材32と一緒に、或いは代りに、ろ板3、5の上下のシール面3a、5aにシール部材として可撓性のOリング33を嵌着してもよいものである。図4に示すように、剥離ロール24に掛け回した金属薄板ベルト28の反転位置にスクレーパ34が当接してあり、金属薄板ベルト28を走行させて、圧搾脱水されたケーキAを載置する金属貫通ベルト29を剥離ロール24の回りを周回させながらスクレーパ34でケーキAを剥離する。金属薄板ベルト28が離反した剥離ロール24にも直接スクレーパ35が当接してあり、金属貫通ベルト29の微細孔を目抜けして、剥離ロール24に付着した微細ケーキを掻き取るようにしてある。
図4に示すように、剥離ロール24に掛け回した金属薄板ベルト28の反転走行位置の側端部に外面洗浄ノズル36、36が対設してあり、側端部の外面洗浄ノズル36、36を被覆した外側洗浄ボックス37を金属薄板ベルト28の幅方向に配設してある。剥離ロール24の離反走行位置の金属薄板ベルト28の裏面にも内面洗浄ノズル38、38が対設してあり、内面洗浄ノズル38、38を被覆した内側洗浄ボックス39を金属薄板ベルト28の幅方向に配設してある。ケーキを剥離した金属貫通ベルト29の両サイドのろ過面に洗浄水を噴射するので、外側洗浄ボックス37と内側洗浄ボックス39に受止めた洗浄水で金属貫通ベルト29の表裏面に付着する微細なケーキの破片を流し出すことができる。金属貫通ベルト29の微細孔の表面が平らなので、洗浄が容易で、水量も著しく少なくてよく、水圧も低圧でよい。
金属貫通ベルト(厚み方向に貫通した微細孔を有する金属性薄板状ろ材)の適正ろ材仕様を、孔サイズと厚み、厚みに係わる強度と加工上の制約、孔直径と開口率が脱水性能に及ぼす影響について総合的に検討し、適正なろ材仕様を導き出した。先ず、金属貫通ベルトの微細孔は厚みより小さな孔直径となると、孔通路にケーキが滞留して目詰まりし易くなり、適当でないことが分かった。また、金属貫通ベルトの孔加工は、厚みより直径の小さい孔加工が困難なパンチングあるいはレーザー加工による孔加工の制約を考慮して、厚みは孔直径と同等かそれ以下が好ましい。電子ビームによる加工であれば、厚みより直径の小さな孔加工が可能であるが、真空容器内での加工の制約があり、加工サイズに限界(1m幅以上は困難)があり実用性に欠ける。そして、レーザー加工は溶かして孔加工するので、孔周辺に熱収縮による残留応力が発生し、ひいては強度低下に繋がる。孔加工方式は、実用的にはパンチング加工が最も採用し易く、化学腐食/エッチングも採用が可能である。これらの知見から、金属貫通ベルトの孔サイズとろ材厚みの関係は、厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径を採用する必要がある。
金属貫通ベルトの厚みが0.5mm以上になると、繰返し応力を許容値20〜30Kg/cm2程度に抑えるために、ロール径はφ500mmより大きくなることが計算式より導き出せる。厚みが0.5mm以上ではロール直径は厚みにほぼ比例して更に大きくなる。そして、金属貫通ベルトの張力を通常ベルトと同様の5〜10kg/cm2とすると、φ500〜φ1000mmのロールに対して、ロール反転掛け回し部のろ過面圧は0.1〜0.4kg/cm2と低くなる。張力を15kg/cm2とかなり大きくとっても、0.3〜0.6kg/cm2程度のろ過面圧しかない。従って、厚みが0.5mm以上ではロール直径が太くなり、ろ過面圧が不足して充分な脱水ろ過が達成できないため、金属貫通ベルトの厚みは0.5mm以下とすべきである。金属貫通ベルトを掛け回す複数本の圧搾ロール、駆動ロール、張力調整ロール、蛇行修整ロール、及びカウンターロール等最低限必要なロール部材で構成しても、上下ろ材で合計8本程度は必要であり、ベルトの厚みが0.5mm以上では装置が著しく大きくなり、実用に耐えない。
Figure 2006116487
表1は金属貫通ベルトの厚みに対する適正ロール最小径を示しており、ステンレス等の金属の場合、曲げ強度の制約により直径は厚みの1000倍程度必要である。厚みが0.5mmを超えると、ロール直径が500mm以上となるため、実用的ではなく、金属貫通ベルトの厚みは0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下とすべきである。
Figure 2006116487
表2は金属貫通ベルトの厚みと引張り応力の関係を示してあり、開口率10%の金属貫通ベルトに張力10Kg/cm2を加えて試算した。適正な脱水ろ過面圧を確保するためには、通常ベルト張力は5〜10kg/cm2を加えるが、このときの引張り応力は20Kg/mm2以下に抑える必要があり、金属貫通ベルトの厚みは0.1mm以上となる。
図7は千鳥型パンチング孔を開口した金属薄板ベルトであって、金属薄板ベルトに60度千鳥型パンチング孔を開口し、孔直径Dをφ0.3mm、ピッチPを0.45mmとして、開口率を40%に設定して残留板部位Aを試算した。
残留板部位Aの割合は、=0.33となる。
金属貫通ベルトの厚み0.3mm以下では開口率を40%にすると、即ち、多数の孔を明けると、張力に対向する残留板部位Aが33%に減少し、強度がに低下する。
また、孔直径Dをφ0.3mm、ピッチPを0.52mmとして、開口率を30%に設定すると、
残留板の割合は、=0.42となる。
開口率を30%以下にすれば、概ね強度がに低下する。
表3は金属薄板ベルトに60度千鳥型パンチング孔を開口し、孔直径Dをφ0.3mmとした時の開口率と残留板部位割合の関係を示す。
Figure 2006116487
引張強度は、厚みと残留板部位の割合の積、即ち、残留板部位の断面積で決まるため、厚みが0.3〜0.5mm程度と厚い場合は、比較的大きな開口率が採れる。厚みが0.1〜0.2mmと薄くなると、厚みに比例して断面積が減少するので、大きな開口率は採れない。厚みが0.1〜0.2mmでは、開口率を20〜30%に採ると、引張応力が大きくなり、やはり、曲げ応力との合力許容値が限界となる。そして、厚みが0.3〜0.5mmでは、開口率が20〜30%程度の時、引張応力は0.1〜0.2mmに比べて小さいが、曲げ応力が大きくなり、やはり、合力許容値が限界となる。従って、ろ布並みの通水性を確保するには、開口率20%以上必要であるが、上記強度の都合により、上限30%、好ましくは、20%以下となる。
上記考察に基づき、直径113mm、ろ過面積0.01m2のリーフ試験機を使用して、本願発明に使用する金属貫通ベルトと従来のろ布の加圧脱水試験を行った。本試験に使用する金属貫通ベルトは、厚みが0.05〜1.0mmのステンレス板を使用して、パンチングもしくはレーザーにより0.05〜1.0mmの孔加工をしてあるろ材を使用した。比較するろ布は、厚みが1.5mm、通気度1500cc/分・cm2のポリプロピレン製の1/2綾織のろ布で、新しいろ布と長期使用した目詰まりろ布を使用した。原液は濃度2.8%、有機物含有率27%の一般的な浄水スラツジに高分子凝集剤を添加して、ケーキ水分、回収率の比較試験を行った。その結果は、表4に示す通りである。
Figure 2006116487
一般的にろ布の相当孔直径は10μと言われ小さいが、金属貫通ベルトは0.1mm(100μ)以上と大きいので対象原液によっては、回収率はろ布よりも劣るが、厚み方向に貫通した孔なので長期使用後も目詰まりが進行しない。表4に示すように、孔直径が0.1mm以上で、開口率が10%以上であれば、ケーキ水分はろ布と同等程度に減少するが、孔直径が大きくなると回収率が悪くなる。孔直径が0.6mm以上では回収率90%以下となり実用上不充分な性能となる。逆に、孔直径が小さくなると、回収率は良くなるが、孔直径0.05mmで開口率10%でも目詰まり傾向であり、孔直径0.05mmで開口率5%では、長期使用の目詰まりろ布に等しいろ材機能となる。孔直径と開口率が小さくなると、回収率は向上するが、ろ液を排出し切れずにケーキ水分が高くなる。孔直径0.1mmで開口率3%が実用の限界となる。従って、加工性、強度、脱水性能を総合的に考慮すると、厚みと同等或いは厚みより大きい孔を採用する必要がある。表5に示すように、使用可能範囲は、0.1〜0.5mmの厚み、金属貫通ベルトの孔サイズをろ材厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径とすれば、開口率は3〜30%と予測できる。好ましくは、0.15〜0.3mmの孔径と厚み、開口率は5〜20%となる。
Figure 2006116487
この発明に係る金属ろ材を用いた立型フイルタープレスは、ろ過材を厚み方向に貫通する微細孔を有する厚みの薄い金属貫通ベルトで構成したので、金属貫通ベルトは、ろ布や金網のように綾織等の織目の屈曲したろ液通路や平織等の段付きがなく、固形物の繊維内滞留に起因するろ布のような目詰まりは進行することがなく、ケーキの回収率も高くなる。金属貫通ベルトは表面が平らなので、洗浄が容易であり、水圧、水量とも著しく少なくてよい。即ち、ろ材としてろ布を採用した場合、摺動による磨耗、摩滅が進行し、ろ材表面の微細なろ過孔が変形あるいは閉塞し、いわゆる目詰りの状況に至るものであるが、本願発明では、ろ材に厚み方向に貫通した微細孔を有した金属製薄板ろ材を用いたので、ろ材の磨耗、摩滅や微細なろ過孔が変形あるいは閉塞し難く、初期のろ材機能を維持できるものである。従って、微細無機質を含有する浄水汚泥、産業排水、或いは鉱石スラリー等の無機質を多く含む原液を対象とする立型フイルタープレスに適するものである。
この発明に係る立型フイルタープレスの要部縦断面図である。 同じく、ろ板の縦断面図である。 同じく、ロールを支架したろ板の平面図である。 同じく、金属薄板ベルトを吊設したろ板の要部縦断面図である。 同じく、金属薄板ベルトの要部平面図である。 同じく、金属薄板ベルトの端部の平面図である。 千鳥型パンチング孔を開口した金属薄板ベルトの斜傾図である。
符号の説明
3、4、5 ろ板
3a、4a、5a シール面
7a ろ過床
13 流体供給通路
24 剥離ロール
25 案内ロール
28 金属薄板ベルト
29 金属貫通ベルト
32 目止め材
33 Oリング
34、35 スクレーパ
36 外面洗浄ノズル
38 内面洗浄ノズル
37 外側洗浄ボックス
39 内側洗浄ボックス

Claims (6)

  1. 多数のろ板(3、4、5)を垂直方向に開閉自在に並列し、上下のろ板(3、4、5)間にろ材を走行自在に吊設したフイルタープレスにおいて、ろ材を0.1〜0.5mmの金属薄板ベルト(28)で構成し、少なくともろ板(3、5)のろ過床(7a)に配設する金属薄板ベルト(28)を、厚み方向に貫通する0.1〜0.5mmの多数の細孔を設けた金属貫通ベルト(29)とすると共に、金属貫通ベルト(29)の孔サイズをろ材厚みと同等或いは厚みより大きな孔直径としたことを特徴とする金属ろ材を用いた立型フイルタープレス。
  2. 上記ろ板(3、5)のろ過床(7a)に配設する金属貫通ベルト(29)の開口率を3〜30%としたことを特徴とする請求項1に記載の金属ろ材を用いた立型フイルタープレス。
  3. 上記金属薄板ベルト(28)を掛け回す一対のロールを、駆動力を伝達する剥離ロール(24)と金属薄板ベルト(28)を緊張支持させる案内ロール(25)で構成し、剥離ロール(24)に掛け回した金属薄板ベルト(28)の反転走行位置の側端部に洗浄ノズル(36、38)を対設し、洗浄ノズル(36、38)を被覆した洗浄ボックス(37、39)を金属薄板ベルト(28)の幅方向に配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の金属ろ材を用いた立型フイルタープレス。
  4. 上記洗浄ノズル(36)を対設した金属薄板ベルト(28)の前段にスクレーパ(34)を当接し、金属薄板ベルト(28)が離反した剥離ロール(24)にも直接スクレーパ(35)を当接したことを特徴とする請求項3に記載の金属ろ材を用いた立型フイルタープレス。
  5. 上記ろ板(3、4、5)の上下周縁部のシール面(3a、4a、5a)に可撓性のシール部材(33)を嵌着したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の金属ろ材を用いた立型フイルタープレス。
  6. 上記金属薄板ベルト(28)に配設した金属貫通ベルト(29)の周部に目止め材(32)を貼着したことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の金属ろ材を用いたベルトプレス。
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