JP2006114402A - メタルマスク位置アラインメント方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多数の開口部を有するマスク部2を複数個配置したメタルマスク1を枠状のフレームに固定するに際し、各マスク部の位置を正確に位置決めする技術を提供する。
【解決手段】 メタルマスク1の各辺を、複数のテンションユニット13で把持して引っ張り、メタルマスク1にテンションを加えると共に、そのメタルマスク1の下側にガラススケールを重ね合わせておき、メタルマスク1のA、B、C、Dで示す領域のマスク部2の開口部が、ガラススケールに設けている基準マークに正しく重なる位置となるように、各テンションユニット13が付与するテンションを調整することで各マスク部2の位置を正確に位置決めする構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、有機EL素子製造工程で使われる蒸着マスクに使用される、多数の微少な開口部を備えたマスク部を有するメタルマスクのような、極く薄い且つ剛性の異なる領域を備えたメタルマスクをゆがみのない平坦な状態で枠状のフレームに固定する技術に関し、特に、メタルマスクをフレームに固定するに当たってメタルマスクの位置アラインメントを取る方法及び装置に関する。
従来、有機EL素子製造において真空蒸着が行われており、その蒸着マスクとして、蒸着を許容する開口部として作用する多数の細長い微少なスリットを備えたマスク部を有するメタルマスクが使用されている。そして蒸着に当たってはそのメタルマスクを、前記マスク部よりも大きい開口を備えた剛性の大きい枠状のフレームに磁石等によって取り付けていた。しかしながら、近年、パターニングの微細化が進み、マスク部に形成しているスリットが微細になり且つメタルマスクの板厚自体も薄くなってくると、メタルマスクを単に枠状のフレームに磁石等を用いて固定しただけでは、マスク部にゆがみやたるみが生じ、スリット精度が維持できなくなるという問題が生じた。そこで、本出願人は先に、メタルマスクをフレームに取り付けた状態で、そのメタルマスクをマスク部のスリット方向に引張った状態に保持することの可能なメタルマスクの保持治具を開発した(特許文献1参照)。この保持治具を用いると、マスク部のスリット間にある細線部分(無孔部分)を長手方向に引っ張った状態に保持できるので、スリットを直線状に且つ一定ピッチに保持でき、高精細パターニングが可能であるという利点が得られる。
しかしながら、特許文献1に記載のメタルマスクは、1枚のメタルマスクに1個のマスク部を形成しているのみであるので、生産性が悪いという問題点があった。生産性を上げるには、1枚のメタルマスクに複数個のマスク部を形成した多面付けメタルマスクを用いればよいが、多面付けメタルマスクでは、単にその両端をつかんで引っ張っただけでは、メタルマスクの全幅を均等に引っ張っても、マスク部と非マスク部とで剛性が異なるため、マスク部にゆがみやたるみが生じ、所望のスリットパターンが得られず、しかも、各マスク部の位置精度も悪くなるということが判明した。例えば、有機EL素子製造に用いる蒸着用の多面付けマスクの場合、各マスク部の位置に関して±10μm以下のトータルピッチが求められることがあるが、そのような寸法精度を達成することは困難である。
そこで、この問題を解決すべく検討した結果、メタルマスクの4辺のそれぞれを、複数のクランプで把持し、各クランプによって前記メタルマスクにテンションを加え、かつそのテンションを各クランプごとに調整することで、メタルマスクをしわやたるみの無い平坦な状態とし、各マスク部のスリットを直線状に且つ一定ピッチに保持できることを見出した。また、メタルマスクにテンションを加えて平坦な状態とし、その状態で枠状のフレームにスポット溶接等によって固定することで、クランプを外した後においてもメタルマスクをテンションが掛けられ平坦となった状態に保持でき、従って、単純な構造のフレームを用いて多面付けマスクをゆがみやたるみの無い状態に保持できることを見出した。
ところで、このようにメタルマスクの4辺のそれぞれにテンションを加えてフレームに固定する際、単にメタルマスクにしわやたるみが無いようにテンションを調整しただけでは、メタルマスクに生じる伸びが必ずしも均一とはならず、そのためメタルマスクに形成している複数のマスク部の位置が適正な位置からずれてしまうことがあった。すなわち、複数のマスク部は縦方向、横方向にそれぞれ所定のピッチで正確に位置決めしておく必要があるが、そのピッチの誤差が大きくなるとか、全体的にねじれたような配置になることがあった。これを防ぐには、メタルマスクにテンションを加えた状態で、いくつかのマスク部の位置を、X−Y方向(縦横方向)の位置を高精度(ミクロンオーダー)で測定可能な測長装置を用いて測定し、適正な位置となるようにテンションを調整するという方法を採ればよい。しかしながら、この方法には、(1)測長装置は高価である、(2)測長に時間を要するため、作業効率が悪い、(3)一度に複数箇所の位置管理ができない等の問題があった。
特開2003−68453号公報
本発明はかかる状況に鑑みてなされたもので、蒸着用の多面付けマスクのようなメタルマスクにテンションを加えて、ゆがみやたるみの無い状態とした際において、測長装置に比べて安価な設備を用い且つ測長装置を用いる場合よりも短時間で、そのメタルマスク内の複数箇所の位置を高精度で適正な位置となるように管理することの可能なメタルマスク位置アラインメント方法及び装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべくなされた本願請求項1に係る発明は、多数の開口部を有するメタルマスクの4辺のそれぞれを、複数のクランプで把持し、各クランプによって前記メタルマスクにテンションを加える張り工程と、前記メタルマスクに形成している多数の開口部のうち、少なくとも複数の開口部の適正位置を示す位置に、前記開口部よりも小サイズの複数の基準マークを形成したガラススケールを、前記張り工程の前又は後で、前記メタルマスクの下面に近接した位置に位置させる工程と、前記メタルマスクの複数箇所の開口部をそれに対応するガラススケールの基準マークに合わせ込むように前記複数のクランプによるテンションを調整するテンション調整工程とを有するメタルマスク位置アラインメント方法を要旨とする。
請求項2に係る発明は、上記請求項1に係るメタルマスク位置アラインメント方法において、前記テンション調整工程に先立って、前記メタルマスクとガラススケールの少なくとも一方を縦横方向並びに回転方向に移動させて粗位置決めする工程を有する構成としたものである。
請求項3に係る発明は、多数の開口部を有するメタルマスクの4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニットと、該複数のテンションユニットで張られた状態のメタルマスクの下面に近接した位置に配置され、前記メタルマスクに形成している多数の開口部のうち、少なくとも複数の開口部の適正位置を示す位置に形成され、前記開口部よりも小サイズの複数の基準マークを有するガラススケールと、該ガラススケールの下面側に配置された透過用照明装置と、前記複数のテンションユニットで張られた状態のメタルマスクの上方に配置され、前記メタルマスクの開口部と前記ガラススケールの基準マークの重なり部分を撮像する撮像手段と、前記複数のテンションユニットが付与するテンションを個々に調整可能な調整手段とを有するメタルマスク位置アラインメント装置を要旨とする。
請求項4に係る発明は、前記した請求項3の発明でガラススケールの下に配置していた透過用照明装置に代えて反射鏡を配置し、前記メタルマスクの開口部と前記ガラススケールの基準マークの重なり部分を反射光を利用して撮像する構成としたものである。
請求項5に係る発明は、上記請求項3又は4記載のメタルマスク位置アラインメント装置において、前記ガラススケールをX、Y、θステージに搭載しておき、X、Y、θステージによってメタルマスクとガラススケールとの粗位置決めを行なうことができる構成としたものである。
請求項6に係る発明は、上記請求項3、4又は5記載のメタルマスク位置アラインメント装置において、前記撮像手段を、4箇所の開口部を同時に撮像しうるよう4個設けるという構成としたものである。
上記した本発明の方法及び装置によれば、メタルマスクの4辺にテンションを加えた状態でその下面にガラススケールを近接して位置させ、メタルマスクの複数箇所の開口部とガラススケールの基準マークの重ね合わせ状態を見ることでメタルマスクの開口部が所定の適正な位置となっているか否かを見ることができ、メタルマスクの開口部をガラススケールの基準マークに合わせ込むようにメタルマスクに付与するテンションを調整することで、メタルマスク内の位置を高精度で適正となる位置に合わせ、アラインメントを取ることができ、例えば、メタルマスクに複数のマスク部が形成されている場合において各マスク部の位置を高精度で所定の位置に位置決めすることができる。このアラインメントを行なうに際しては、メタルマスクの開口部とガラススケールの基準マークを合わせればよいので、判断が容易であり、メタルマスクのテンション調整を容易に行なうことができ、短時間での調整が可能である。更に、測長装置が不要なため、安価な装置で機能を満足でき、経済的に有利である。
本発明は、ゆがみやたるみのない平坦な状態に保持する必要がある任意のメタルマスクに対して適用可能であるが、特に精密さを要求される有機EL素子製造用の蒸着用多面付けマスクとして使用するメタルマスクに適用することが好ましい。以下、有機EL素子製造における蒸着用多面付けマスクとして使用するメタルマスクを例にとって本発明の好適な実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係るメタルマスク位置アラインメント装置(以下アラインメント装置と略称する)の主要部分の概略斜視図、図2はそのアラインメント装置を、一部を断面で示す概略側面図、図3はアラインメント装置に設けているテンションユニットの概略側面図、図4はアラインメント装置に設けている複数のテンションユニット及びそれに保持されているメタルマスクを示す概略平面図、図5は他の実施の形態に係るアラインメント装置を、一部を断面で示す概略側面図、図6は、これらのアラインメント装置で取り扱うメタルマスク及びそれを固定する枠状のフレームを示す概略斜視図、図7はフレームにメタルマスクを固定して形成した蒸着マスク装置の概略斜視図、図8(a)はガラススケールに形成している基準マークを拡大して示す概略平面図、(b)はメタルマスクに形成している開口部を拡大して示す概略平面図、(c)は開口部と基準マークの重なり領域を撮像してモニターに表示した状態を示す概略正面図である。
図6において、1は蒸着マスクとして使用する直角四辺形状のメタルマスクであり、複数のマスク部2を縦横に並べて形成している。各マスク部2は、蒸着を許容する多数の微少な開口部を備えたものである。各マスク部における開口部の形状、配列は任意であり、例えば、細長いスリット状の開口部を平行に並べたもの、矩形状の開口部を縦方向に並べると共に平行にも並べたもの等を挙げることができる。マスク部2に形成されている多数の開口部は、その内の一部のものが後述するように、メタルマスク1の位置決めに使用される。3はメタルマスク1を取り付けるための剛性の大きいフレームであり、メタルマスク1の多数のマスク部2を形成した領域(有効領域という)を包含する大きさの開口4を備えている。メタルマスク1は、フレーム3よりも縦横両方向ともに大きいサイズに作られており、フレーム3の外周縁にほぼ対応する位置に、折り曲げることで容易に切断可能な易切断線5を形成している。なお、易切断線5は、メタルマスク1に加える引張力には耐え得る強度を備えたものである。メタルマスク1の厚さ、マスク部2の寸法、それに形成した開口部の寸法等は特に限定するものではないが、代表的なものとして、メタルマスク1の厚さは30〜200μm、マスク部2の寸法は長さが50〜70mm、幅が30〜50mm、開口部の幅が40〜100μm、開口部間の無孔部分の幅が80〜150μm等を例示できる。
図1〜図4において、全体を参照符号10で示すアラインメント装置は、支持台11と、その支持台11に、メタルマスク1の4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニット13を備えている。
各テンションユニット13は、図3に拡大して示すように、ベース部材15と、そのベース部材15に直動案内16を介して移動可能に保持されたクランプ17と、クランプ17を往復動させる駆動手段18等を備えている。ここで、駆動手段18にはエアシリンダが用いられているが、エアシリンダに代えて、油圧シリンダ、サーボモータ等を用いてもよい。クランプ17は、固定爪17aと、可動爪17bと、可動爪17bを固定爪17aに強く押し付けて両者の間にメタルマスク1を把持するよう可動爪17bを旋回させ且つ閉位置に保持するトグル機構及びエアシリンダ(共に図示せず)等を備えている。各テンションユニット13は、図4から良く分かるように、メタルマスク1の各辺をそれぞれ複数のテンションユニット13で把持してその辺に直角方向にテンションを加えることができるように配置されている。更に、メタルマスク1の各辺を把持するように配置されている複数のテンションユニット13のクランプ17は、メタルマスク1のマスク部2と非マスク部に合わせて配置されており、従って、メタルマスク1のマスク部2を形成した縦方向に延びる領域及び横方向に延びる領域と、マスク部の無い縦方向に延びる領域及び横方向に延びる領域とを、すなわち剛性の異なる領域を、それぞれ別個のクランプ17で引っ張ってテンションを付与することが可能である。
複数のテンションユニット13にそれぞれ設けられている駆動手段18には、メタルマスク1に付与するテンションを個々に調整できるよう、その駆動手段による駆動力を個々に調整する調整手段(図示せず)が設けられている。更に具体的には、駆動手段18を構成するエアシリンダにはエア供給配管が接続されており、そのエア供給配管に、各エアシリンダへの供給圧力を個々に調整可能なレギュレータが調整手段として設けられている。なお、全部のテンションユニット13の駆動手段(エアシリンダ)18を同時に作動させることができるよう、これらのエアシリンダに連結されているエア供給配管には共通の開閉弁を介してエアが供給されるようになっており、且つ各エアシリンダの作動タイミングを調整することができるよう各エアシリンダへのエア供給配管にスピードコントローラも設けられている。
図2、図3において、テンションユニット13のベース部材15には、フレーム3を支持するフレーム支え20が設けられている。このフレーム支え20は、その上にフレーム3を乗せることで、フレーム3を水平面内の所定位置に位置決めすると共にフレーム3の上面が、クランプ17に把持されてテンションを付与されているメタルマスク1にほぼ接する位置となるように上下方向にも位置決めすることができるように配置されている。
更に、支持台11には、X、Y、θステージ23が設けられ、その上面に、透過用照明装置24とガラススケール25が設けられている。X、Y、θステージ23は、透過用照明装置24とガラススケール25を搭載している上面を、水平面内で縦方向(X方向)、横方向(Y方向)に位置調整することができると共に中心の垂直な軸線を中心として回転方向(θ方向)にも位置調整することができるものである。透過用照明装置24はガラススケール25の全面を下から照明することができるものである。
ガラススケール25は、透明なガラス基板の表面に多数の基準マークを、メタルマスク1の開口部の適正位置を示すように形成したものであり、その基準マークにメタルマスク1に形成している開口部を合わせることで、メタルマスク1をゆがみやたるみの無い平坦な状態とし且つ複数のマスク部2のピッチを適正値として各マスク部2を所定位置に位置決めすることができるように設けるものである。図8はガラススケール25に形成する基準マークとメタルマスク1のマスク部2に形成している開口部との関係を説明するものである。図8(b)に示すように、メタルマスク1の複数のマスク部2のそれぞれには、多数の開口部40が形成されている。開口部40の形状、サイズ、ピッチ等は所望の蒸着パターンに応じて定められるものであるが、1例として、図示したような矩形状で幅が50μm、長さが150μmの開口部40が用いられているものとする。この開口部40を備えたメタルマスク1に対して用いるガラススケール25には、図8(a)に示すように、多数の基準マーク42が形成されており、各基準マスク42は、開口部40よりも縦横両方ともに小さいサイズに、例えば、幅が30μm、長さが130μmに作られている。これによって、基準マスク42と開口部40とがそれぞれの中心を合わせて重ね合った状態では、ガラススケール25の下側から透過用照明装置24(図2参照)で照明した状態で基準マスク42と開口部40との重なり部分を上方から撮像して図8(c)に示すようにモニター43に表示すると、開口部40内に基準マーク42が入り、基準マーク42の外側に矩形状の明るい部分44が現れる。この矩形状の明るい部分44を目視することで、或いは画像処理して認識することで、基準マーク42と開口部40とが正しく重なっていることを認識できる。
ガラススケール25に形成する基準マーク42は、メタルマスク1に形成している全ての開口部40に対応させて設けておくことが好ましく、これにより、任意の位置のマスク部2の開口部40を基準マーク42に合わせてマスク部2の位置決めを行なうことができるが、これに限らず、ガラススケール25の所望の領域のみに基準マーク42を形成するようにしてもよい。メタルマスク1の位置合わせに際しては、全部のマスク部2について位置合わせを行なわなくても、4箇所程度のマスク部2、例えば、図8(b)に示すように、メタルマスク1に複数のマスク部2を縦横に並べて設けている場合、最も外側の列で最も外側に位置するマスク部2(A、B、C、Dに示す位置のマスク部)について位置合わせを行なえば、他のマスク部2の位置も適正な位置となることが多いので、これらの複数箇所のマスク部2について位置合わせを行なうことができるよう、これらのマスク部2に対応する領域に基準マーク42を形成しておけばよい。また、一つのマスク部2について位置合わせを行なうために用いる開口部40は一つで良いので、一つのマスク部2に対応する領域に設ける基準マーク42は1個あればよいが、単に1個の基準マーク42を設けただけでは、その基準マークの位置を探すのが困難となるため、一つのマスク部2に対して多数の基準マーク42を形成しておくことが好ましく、更には、一つのマスク部2の全開口部40に対応して基準マーク42を形成しておくことが一層好ましい。このように、メタルマスク1のA、B、C、Dで示す領域のマスク部2の全開口部40に対応させてガラススケール25に基準マーク42を形成しておくと、メタルマスク1の下にガラススケール25を重ね合わせた状態で、メタルマスク1の各辺に加えるテンションを調整して、A、B、C、Dに示す位置の各マスク部2にある任意の1個の開口部40を対応する基準マーク42に合わせることで、メタルマスク1をゆがみやたるみの無い状態に張り且つ各マスク部2を所定の位置に位置決めすることができる。
図2において、ガラススケール25は、その上で複数のテンションユニット13によって張られているメタルマスク1に非接触ではあるが、極めて近接した位置となるように配置されている。ここで、ガラススケール25をメタルマスク1に対して非接触としたのは、両者が擦れ合って傷が付くのを防止するためであり、近接配置したのは、ガラススケール25の基準マーク42とメタルマスク1の開口部40とを同時に且つ正確に撮像可能とするためである。ガラススケール25とメタルマスク1の間隔は50〜200μm程度に、好ましくは50〜100μm程度に設定しておく。なお、ガラススケール25をあらかじめ図2に示す位置に固定しておく代わりに、メタルマスク1を張る時にはガラススケール25及び透過用照明装置24を下方に待機させておき、メタルマスク1の開口部の位置合わせを行なう時に、ガラススケール25及び透過用照明装置24を上昇させてガラススケール25がメタルマスク1に近接した位置とすることができるように適当な昇降機構を設けても良い。
図1、図2において、アラインメント装置10は更に、支持台11に固定されている側枠27に水平に移動可能に保持された移動台28と、その移動台28に保持された4個の撮像手段30を備えている。この撮像手段30は、ガラススケール25の基準マークとメタルマスク1の開口部とを同時に撮像可能なものであり、この実施の形態ではCCDカメラが用いられている。CCDカメラ30は、メタルマスク1の領域A、B、C、Dにあるマスク部2の一つの開口部(好ましは、多数のマスク部2を配置した領域の四隅に近い位置の開口部)を同時に撮像することができる位置にそれぞれ設けられており、且つ、その焦点深度は、メタルマスク1の開口部とガラススケール25の基準マークを同時に撮像できるように定められている。
次に、上記構成のアラインメント装置10によるアラインメント動作を説明する。撮像手段30を保持している移動台28が、複数のテンションユニット13及びガラススケール25等の上方を外れた待機位置にある状態で、複数のテンションユニット13のフレーム支え20にフレーム3を保持させ、次いで、その上にメタルマスク1を乗せ、その4辺を複数のテンションユニット13のクランプ17で把持させる。この状態が図4に示す状態である。この際、複数の位置決めピン(図示せず)を用いてフレーム3に対してメタルマスク1を位置決めしておく。次に、移動台28がガラススケール25の上方に移動してきて、所定位置に停止する(図2参照)。次に、各クランプ17に連結している駆動手段(エアシリンダ)18に加圧エアを送って各クランプ17をメタルマスク1から離れる方向に移動させ、メタルマスク1に多数のクランプによって縦横両方向に小さいテンションを加え、メタルマスク1を張った状態とする。その後、位置決めピンを外してメタルマスク1に大きいテンションを支障なく加えることができるようにする。なお、メタルマスク1から位置決めピンを外しても、フレーム3に対するメタルマスク1の位置はあまり変動することはなく、メタルマスク1のフレーム3に対する所望の位置決め精度は保たれる。
次に、CCDカメラ30で撮像を開始し、モニター43(図8参照)に画像を表示する。オペレータはそれを確認しながら、X、Y、θステージ23を調整してガラススケール25の位置をX方向、Y方向、θ方向に移動させ、ガラススケール25の基準マーク42をメタルマスク1の開口部40に粗位置決めする。粗位置決めした後は、X、Y、θステージ23をその位置に固定し、モニター43で確認しながら、メタルマスク1にテンションを加えている複数のテンションユニット13の駆動手段18の駆動力を個々に調整してメタルマスク1に加えるテンションを調整し、4箇所の開口部40を対応する基準マーク42に一致させてゆく。そして、4箇所の開口部40が基準マーク42に一致すると、メタルマスク1に形成されている複数のマスク部2がそれぞれ所定の位置に位置決めされたこととなる。また、メタルマスク1はゆがみやたるみのない平坦な状態で且つマスク部2のスリット(開口部)が平行に引き揃えられた状態となる。すなわち、メタルマスク位置アラインメントが完成する。
その後は、メタルマスク1にテンションを加えた状態で、移動台28をメタルマスク1の上方を外れた待機位置に戻し、メタルマスク1をフレーム3にレーザ等(図示せず)を用いてスポット溶接(図4の符号33参照)し、固定する。その後、メタルマスク1をクランプ17から外し、メタルマスク1の周縁部分を易切断線5を利用して除去する。以上により、図7に示すように、フレーム3にメタルマスク1を固定した構成の蒸着マスク装置8を製造できる。
得られた蒸着マスク装置8では、メタルマスク1がゆがみやたるみの無い状態で且つマスク部2の開口部が正確に平行に揃った状態に保たれており、且つ各マスク部の位置も所定の寸法精度内に保たれている。かくして、この蒸着マスク装置8を用いて蒸着を行うことにより、微細なパターンの蒸着を多面付けで正確に行うことができる。
なお、上記した実施の形態では、ガラススケール25の下に透過用照明装置24を設け、ガラススケール25とメタルマスク1を透過した光をCCDカメラ30で撮像することで、ガラススケール25の基準マーク42とメタルマスク1の開口部40の重なり状態を監視しているが、CCDカメラ30による撮像は、透過光に限らず、表面側からの照明による反射光を用いる構成としてもよい。その場合、図5に示すように、ガラススケール25の下に反射鏡35を設けておくことが、メタルマスク1の開口部40を通過する反射光量を増すことができるので、好ましい。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、メタルマスク1に付加するテンション調整の際に、メタルマスク1の開口部40とガラススケール25の基準マーク42が正しく重なっているか否かの判断をモニター43を目視して行なっているが、目視による代わりにCCDカメラ30からの信号を画像処理して判定する構成としてもよい。また、上記実施の形態では、CCDカメラ30を4箇所に設けているが、これに限らず、1個或いは2個のCCDカメラ30を用い、そのCCDカメラ30を撮像すべき位置に移動させて用いる方法を採っても良い。ただし、図示の実施の形態のように、4箇所にCCDカメラ30を設けておくと、4箇所の開口部40を監視しながらテンション調整を行なうことができ、テンション調整を容易に且つ敏速に行なうことができる利点が得られる。更に、上記の実施の形態では、4個のマスク部2の開口部をガラススケールの基準マークに合わせることで、メタルマスク1の位置決めを行なっているが、位置合わせに用いるマスク部2は4個に限らず、適宜増減可能であり、例えばメタルマスクの縦方向のみ、或いは横方向のみの位置決めで十分な場合には、2個のマスク部2の開口部を用いて位置合わせを行なえばよい。
更に、上記した実施の形態では、メタルマスク1とガラススケール25の粗位置決めを行なうために、ガラススケール25をX、Y、θステージ23に保持させているが、この代わりに、メタルマスク1を保持するテンションユニット13をX、Y、θステージに保持させるようにしてもよい。また、場合によっては粗位置決めを省略し、テンション調整のみで開口部と基準マークの位置合わせを行なうようにしてもよい。ただし、実施の形態で説明したように、粗位置合わせを行なっておくと、開口部と基準マークの位置合わせのためのテンション調整が容易となる利点が得られる。
本発明の実施の形態に係るアラインメント装置の主要部分の概略斜視図 図1に示すアラインメント装置を、一部を断面で示す概略側面図 図1に示すアラインメント装置に設けているテンションユニットの概略側面図 図1に示すアラインメント装置に設けている複数のテンションユニット及びそれに保持されているメタルマスクを示す概略平面図 本発明の他の実施形態に係るアラインメント装置を、一部を断面で示す概略側面図 図1に示すアラインメント装置で取り扱うメタルマスク及びそれを固定する枠状のフレームを示す概略斜視図 フレームにメタルマスクを固定して形成した蒸着マスク装置の概略斜視図 (a)はガラススケールに形成している基準マークを示す概略平面図、(b)はメタルマスクに形成している開口部を示す概略平面図、(c)は基準マークと開口部の重なり領域を撮像してモニターに表示した状態を示す概略正面図
符号の説明
1 メタルマスク
2 マスク部
3 フレーム
4 開口
5 易切断線
8 蒸着マスク装置
10 アラインメント装置
11 支持台
13 テンションユニット
15 ベース部材
16 直動案内
17 クランプ
17a 固定爪
17b 可動爪
18 駆動手段(エアシリンダ)
20 フレーム支え
23 X、Y、θステージ
24 透過用照明装置
25 ガラススケール
27 側枠
28 移動台
30 撮像手段(CCDカメラ)
33 スポット溶接部
40 開口部
42 基準マーク
43 モニター
44 明るい部分

Claims (6)

  1. 多数の開口部を有するメタルマスクの4辺のそれぞれを、複数のクランプで把持し、各クランプによって前記メタルマスクにテンションを加える張り工程と、前記メタルマスクに形成している多数の開口部のうち、少なくとも複数の開口部の適正位置を示す位置に、前記開口部よりも小サイズの複数の基準マークを形成したガラススケールを、前記張り工程の前又は後で、前記メタルマスクの下面に近接した位置に位置させる工程と、前記メタルマスクの複数箇所の開口部をそれに対応するガラススケールの基準マークに合わせ込むように前記複数のクランプによるテンションを調整するテンション調整工程とを有するメタルマスク位置アラインメント方法。
  2. 前記テンション調整工程に先立って、前記メタルマスクとガラススケールの少なくとも一方を縦横方向並びに回転方向に移動させて粗位置決めする工程を有することを特徴とする請求項1記載のメタルマスク位置アラインメント方法。
  3. 多数の開口部を有するメタルマスクの4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニットと、該複数のテンションユニットで張られた状態のメタルマスクの下面に近接した位置に配置され、前記メタルマスクに形成している多数の開口部のうち、少なくとも複数の開口部の適正位置を示す位置に形成され、前記開口部よりも小サイズの複数の基準マークを有するガラススケールと、該ガラススケールの下面側に配置された透過用照明装置と、前記複数のテンションユニットで張られた状態のメタルマスクの上方に配置され、前記メタルマスクの開口部と前記ガラススケールの基準マークの重なり部分を撮像する撮像手段と、前記複数のテンションユニットが付与するテンションを個々に調整可能な調整手段とを有するメタルマスク位置アラインメント装置。
  4. 多数の開口部を有するメタルマスクの4辺の各々の複数箇所を把持してテンションを加えることができるように配置された複数のテンションユニットと、該複数のテンションユニットで張られた状態のメタルマスクの下面に近接した位置に配置され、前記メタルマスクに形成している多数の開口部のうち、少なくとも複数の開口部の適正位置を示す位置に形成され、前記開口部よりも小サイズの複数の基準マークを有するガラススケールと、該ガラススケールの下面側に配置された反射鏡と、前記複数のテンションユニットで張られた状態のメタルマスクの上方に配置され、前記メタルマスクの開口部と前記ガラススケールの基準マークの重なり部分を撮像する撮像手段と、前記複数のテンションユニットが付与するテンションを個々に調整可能な調整手段とを有するメタルマスク位置アラインメント装置。
  5. 前記ガラススケールがX、Y、θステージに搭載されていることを特徴とする請求項3又は4記載のメタルマスク位置アラインメント装置。
  6. 前記撮像手段が、4箇所の開口部を同時に撮像しうるよう4個設けられていることを特徴とする請求項3、4又は5記載のメタルマスク位置アラインメント装置。
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