JP2006113343A - 平版印刷版材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】 感度、保護層の接着性、保護層除去性、インキ着肉性、耐刷性が改良され、プレヒート温度上限の向上した平版印刷版材料を提供する。
【解決手段】 支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤を含有する光重合性感光層及び保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤を含有する光重合性感光層及び保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、平版印刷版材料に関し、さらに詳しくは、感度、保護層の接着性、保護層除去性、インキ着肉性、耐刷性が改良され、プレヒート温度上限の向上した平版印刷版材料に関する。
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータをレーザー光源で直接感光性印刷版に記録するCTPが開発され、実用化が進んでいる。
CTPに用いられる印刷版材料のうち、比較的高い耐刷力を要求される印刷の分野においては、重合可能な化合物を含む重合型の感光層を有するネガ型の感光性平版印刷版材料を用いることが知られている(例えば特許文献1)。
これらの重合型の感光層を有する平版印刷版材料は、単に感光層を設けたのみでは、感光層が空気中の酸素の影響を受け、感度が低下する等、保存安定性が不充分であった。
酸素の影響を少なくするための方法として、感光層上に酸素遮断層(保護層)を設ける方法が知られている。
例えば、水溶性高分子〔PVA〕に、水不溶のアクリル、ピロリドン、塩素化ビニル系重合体の粒子を含有する保護層を有する平版印刷版材料が開示され(例えば、特許文献2参照。)、該粒子の粒径、活性剤添加、添加量及びアルカリ溶性について記載されている。また、最外層に、水溶性樹脂と親水部と疎水部を有する微粒子を含有する方法も開示され(例えば、特許文献3参照。)ている。
しかしながら、これらの方法においては、感度、保護層の接着性、保護層除去性、インキ着肉性が不充分であり、耐刷力を向上させる為に現像前にプレヒートを行う場合、その温度の許容性が少なく、現像ラチチュウードが不充分である、などの問題があった。
特開平10−104835号公報 (特許請求の範囲、実施例)
特開昭49−70702号公報 (特許請求の範囲、第9〜10頁)
特開2000−147780号公報 (特許請求の範囲、実施例)
本発明の目的は、感度、保護層の接着性、保護層除去性、インキ着肉性、耐刷性が改良され、プレヒート温度上限の向上した平版印刷版材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤を含有する光重合性感光層及び保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤を含有する光重合性感光層及び保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
(請求項2)
前記Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子が、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版材料。
前記Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子が、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版材料。
(請求項3)
前記エマルジョンは、更に分散剤を含有しており、該分散剤は、ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2記載の平版印刷版材料。
前記エマルジョンは、更に分散剤を含有しており、該分散剤は、ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2記載の平版印刷版材料。
(請求項4)
前記ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールが、無変性またはアニオン変性であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版材料。
前記ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールが、無変性またはアニオン変性であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版材料。
(請求項5)
支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤、下記一般式(I)で表される化合物及びその縮合物から選ばれる化合物を少なくとも一種含有する光重合性感光層を有し、かつ、保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤、下記一般式(I)で表される化合物及びその縮合物から選ばれる化合物を少なくとも一種含有する光重合性感光層を有し、かつ、保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
(式中、nは1〜10の整数を表し、R1〜R5はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い芳香族複素環基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアシル基、置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアクリロイルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、置換基を有していても良いアルキルカルボニルオキシ基、ニトロ基、スルホ基、置換基を有していても良いアルキルチオ基、置換基を有していても良いアルキルスルホニル基、置換基を有していても良いフェニルスルホニル基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアミド基を表す。R6、R7は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い芳香族複素環基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアクリロイル基を表す。)
(請求項6)
前記Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子が、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンであることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版材料。
(請求項6)
前記Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子が、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンであることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版材料。
(請求項7)
前記エマルジョンは、更に分散剤を含有しており、該分散剤は、ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項6記載の平版印刷版材料。
前記エマルジョンは、更に分散剤を含有しており、該分散剤は、ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項6記載の平版印刷版材料。
(請求項8)
前記ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールが、無変性またはアニオン変性であることを特徴とする請求項7記載の平版印刷版材料。
前記ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールが、無変性またはアニオン変性であることを特徴とする請求項7記載の平版印刷版材料。
本発明により、感度、保護層の接着性、保護層除去性、インキ着肉性、耐刷性が改良され、プレヒート温度上限の向上した平版印刷版材料を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。
本発明は、支持体上に、光重合性感光層及び保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層がケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする。本発明にかかる鹸化度が85%〜100%であるポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコール、及びその部分エステル、エーテル、アセタールを含む。
本発明のTg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子としては、上記特性を有する化合物であれば、いずれの化合物も使用可能である。
樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ウレタン、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル系共重合体等を挙げられる。中でも感光層と接着性の観点から、アクリル系、ウレタン系共重合体が特に好ましい。樹脂粒子のTgは35℃未満が好ましく、15℃以下がより好ましく、0℃以下が特に好ましい。
これらの樹脂粒子は、水分散エマルジョンの形態が好ましく、カチオン性を示している事が重要である。樹脂粒子は、共重合性成分として低Tg樹脂とカチオン性ユニットとを含んだ共重合体であることが好ましい。好ましいカチオンユニットは、4級オニウムが挙げられ、特に4級アンモニウム骨格が好ましい。
更にTg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子は、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンである事が好ましく、より好ましくは平均粒径0.01〜0.50μmであり、特に好ましくは0.01〜0.30μmである。
この様な樹脂粒子に分散剤を更に加えて、安定化させることが好ましい。具体的には活性剤、オリゴマーまたは高分子分散剤として樹脂粒子を被覆している形態など何れも好ましいが、特に好ましくは、高分子分散剤を用い樹脂粒子を被覆している形態である。
この様な高分子分散剤としては、Mwは5000以上30万以下が好ましく、特に好ましくは1万以上10万以下である。
この様な高分子分散剤として好ましく用いられる化合物は、従来一般的にラジカル重合の保護層に用いられる樹脂が特に好適に使用できるが、最も好ましいのが、ポリビニルアルコールである。
本発明では保護層のバインダーは、ケン化度85〜100%であるポリビニルアルコールであり、バインダーとの相性から、樹脂粒子の分散安定性が非常に良好で、且つ膜形成後に接着性と酸素遮断性能を高いレベルで両立させるために、高分子分散剤がポリビニルアルコールである事が重要なポイントである。
更に、高分子分散剤として用いられるポリビニルアルコールは、ケン化度20〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜85%、更に好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは20〜70%である。
またカチオン性を示す樹脂粒子の表面を有効に保護し、分散安定性を高める為に、ケン化度20〜90%のポリビニルアルコールは、無変性またはアニオン変性であることが好ましく、特に好ましくは、アニオン変性である。
この様な樹脂としては、ゴーセナール〔T330、T330S、T330H、T330ST、T350、T230、T215、T−HS−1以上日本合成化学社〕、ゴーセラン〔F78、L0301、L0302、L3266、CKS50以上日本合成化学社〕
クラレCポリマー〔C506、CM318以上クラレ社〕等をあげることが出来る。
クラレCポリマー〔C506、CM318以上クラレ社〕等をあげることが出来る。
本発明に係る保護層には、更に必要に応じて、親水性素材、界面活性剤、マット剤、などを含有することができる。
親水性素材としては、ポリサッカライド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド、等が挙げられる。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤いずれも用いることができ、特にフッ素系界面活性剤が好ましく用いることができる。
マット剤としては、径が概ね0.1〜10μmの無機、有機の粒子を用いることができる。
保護層塗布液を調製するには、上記の素材を適当な溶剤に溶解して塗布液とすることができ、この塗布液を本発明に係る光重合性感光層上に塗布し、乾燥して保護層を形成することができる。保護層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
保護層用塗布液を調製するには、上記の素材を水を主体とする溶媒に溶解して保護層用塗布液とすることができる。
水以外の溶媒としては、アルコール類、多価アルコール類などが挙げられる。
水を主体とするとは、溶媒の50質量%以上が水であることをいい、75質量%以上が好ましく特に、95質量%以上が好ましい。
この保護層用塗布液を本発明に係る光重合性感光層上に塗布し、乾燥して保護層を形成する。
保護層用塗布液を塗布、乾燥する場合の乾燥温度が、光重合性感光層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)より低いことが好ましい。
この乾燥温度と、光重合性感光層が含有するバインダーのガラス転移温度(Tg)の差は20℃以上であることが好ましく、より好ましくは40℃以上であり、上限は概ね60℃程度である。
保護層用塗布液は、更に必要に応じて、さらに界面活性剤などを含有することができる。
保護層用塗布液の塗布方法としては、エアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等の公知の塗布方法を用いることができる。
本発明に係る光重合性感光層は、画像露光により重合により硬化して画像を形成し得る層であり、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合材を含有するか、更に、一般式(I)で表される化合物及び/又はその縮合物を含有する。
本発明に用いることができる重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物は、分子内に、重合可能な、エチレン性不飽和結合を有する化合物であり、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。
これらの重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物に特に限定は無いが、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
本発明に係る光重合性感光性層に用いられる重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物は、少なくとも一つの、光で酸化し得る基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物であることが好ましい。
特に好ましいのは、少なくとも1つの光酸化性基と少なくとも1つのウレタン基とを、分子中に含む、付加重合性化合物である。適当な光酸化性基としては、特に、複素環の構成員となっていてもよいチオ基、チオエーテル基、ウレイド基、アミノ基、およびエノール基である。それらの基の例としては、トリエタノールアミノ基、トリフェニルアミノ基、チオウレイド基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、アセチルアセトニル残基、N−フェニルグリシン残基およびアスコルビン酸残基である、好ましいものは、3級アミノ基、チオエーテル基を含む付加重合性化合物である。
光酸化性基を含む化合物の例は、ヨーロッパ特許出願公開第287,818号、同第353,389号および同第364,735号各明細書に記載されている。そこに記載されている化合物のなかで好ましいものは、第3アミノ基に加えて、ウレイド基および(または)ウレタン基をも含むものである。
また、少なくとも1つの光酸化性基と少なくとも1つのウレタン基を有する化合物としては、特開昭63−260909号公報、特許2669849号公報、特開平6−35189号公報、特開2001−125255に記載のものが挙げられる。
さらに、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
ここで言う、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert.−ブチルジエタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(iso−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオール等が挙げられるが、これに限定されない。
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチル−シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これに限定されない。分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物としては、特に限定されないが、好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
また、これらの分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
M−1:トリエタノールアミン(1モル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物
M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物
この他にも、特開平1−105238、特開平2−127404記載の、アクリレートまたはアルキルアクリレートが用いることが出来る。
M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノールアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物
この他にも、特開平1−105238、特開平2−127404記載の、アクリレートまたはアルキルアクリレートが用いることが出来る。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類;例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類;例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート;例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類;その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類;等のプレポリマーが挙げられる。
エチレン性不飽和結合含有化合物として、ホスファゼンモノマー・トリエチレングリコール・イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性・ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを挙げることができる。
更に、エチレン性不飽和結合含有化合物として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
この他に特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会p.11〜65に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
本発明に係る平版印刷版材料では、上記した重合可能な、エチレン性不飽和結合含有化合物を光重合性感光層の1.0〜80.0質量%の範囲で含有するのが好ましく、より好ましくは3.0〜70.0質量%の範囲である。
本発明にかかる光重合性感光層には、上記のエチレン性不飽和結合含有化合物を複数用いることが好ましい。
本発明に用いることができる光重合開始剤は、画像露光により、(1)重合可能な、エチレン性不飽和結合含有化合物の重合を開始し得る化合物であり、好ましく使用できるものとして、チタノセン化合物、モノアルキルトリアリールボレート化合物、鉄アレーン錯体化合物、トリハロアルキル化合物などが挙げられ、またこれらを併用して用いることも特に好ましいる態様である。
チタノセン化合物としては、特開昭63−41483、特開平2−291に記載される化合物等が挙げられるが、更に好ましい具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ジ−クロライド、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−フェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル(IRUGACURE727L:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(IRUGACURE784:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(2−5−ジメチルピリ−1−イル)フェニル)チタニウム等が挙げられる。
モノアルキルトリアリールボレート化合物としては、特開昭62−150242、特開昭62−143044に記載される化合物等挙げられるが、更に好ましい具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ブチルートリナフタレン−1−イル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ブチルートリフェニル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ブチルートリ−(4−tert−ブチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ヘキシルートリ−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウムn−ヘキシルートリ−(3−フルオロフェニル)−ボレート等が挙げられる。
本発明に用いることができる、鉄アレーン錯体化合物の構造は、下記一般式(a)で表される化合物が好ましい。本発明の製版方法において、前記光重合開始剤が鉄アレーン錯体化合物である態様は特に好ましい態様である。
一般式(a)[A−Fe−B]+X-
式中Aは、シクロペンタジエニル基、アルキル置換シクロペンタジエニル基を表す。式中Bは芳香族環を表す。式中X-はアニオンを表す。
式中Aは、シクロペンタジエニル基、アルキル置換シクロペンタジエニル基を表す。式中Bは芳香族環を表す。式中X-はアニオンを表す。
芳香族環としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、ビフェニル、フルオレン等が挙げられる。X-としては、PF6 -、BF4 -、SbF6 -、AlF4 -、CF3SO3 -等が挙げられる。
鉄アレーン錯体化合物は、重合可能な基を有する化合物に対して0.1〜20質量%の割合で含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明に係る光重合性感光性層は、トリハロアルキル化合物を含むことが好ましい。トリハロアルキル化合物はトリハロアルキル基を有する化合物であり、特に付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物として光で酸化し得る基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物を含む場合に特に好ましく用いられる。
トリハロアルキル基を含む化合物としては、塩素または臭素を含有した化合物が特に適当である。
トリハロアルキル基としては、トリハロメチル基が好ましく、直接に、あるいは連続的に共役した鎖を経由して、芳香族炭素環または複素環に結合していることが好ましい。好ましくはふたつのトリハロメチル基を持つトリアジン環、を母核としてもつもの、特にEP−A−137452号、DE−A−2118259号および同2243621号各明細書に記載された化合物、が好ましい。これらの化合物は、近紫外領域、たとえば350〜400nm、に強い光吸収を示す。
複写光のスペクトル領域において、それ自身光吸収しないか、ごくわずかだけ光吸収する併用開始剤、例えば、メソメリーを可能にする短い電子系を伴った置換基または脂肪族置換基を含むトリハロメチルトリアジン、も適当である。同様に適当なのは、異なった基本骨格をもち、短波紫外領域で光吸収する化合物であり、例えばフェニルトリハロメチルスルフォンまたはフェニルトリハロメチルケトン、例えばフェニルトリブロモメチルスルフォン、である。
本発明に係る光重合性感光層には、その他に任意の光重合開始剤を併用して用いることが可能である。
例えばJ.コーサー(J.Kosar)著「ライト・センシテイブ・システムズ」第5章に記載されるようなカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ並びにジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。更に具体的な化合物は英国特許1,459,563号に開示されている。
即ち、併用が可能な光重合開始剤としては、次のようなものを使用することができる。
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン−i−プロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−i−プロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体;α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物の他、特公昭59−1281号、同61−9621号ならびに特開昭60−60104号記載のトリアジン誘導体;特開昭59−1504号、同61−243807号記載の有機過酸化物;特公昭43−23684号、同44−6413号、同44−6413号、同47−1604号ならびに米国特許3,567,453号記載のジアゾニウム化合物;米国特許2,848,328号、同2,852,379号ならびに同2,940,853号記載の有機アジド化合物;特公昭36−22062b号、同37−13109号、同38−18015号ならびに同45−9610号記載のo−キノンジアジド類;特公昭55−39162号、特開昭59−14023号ならびに「マクロモレキュルス(Macromolecules)」10巻,1307頁(1977年)記載の各種オニウム化合物;特開昭59−142205号記載のアゾ化合物;特開平1−54440号、ヨーロッパ特許109,851号、同126,712号ならびに「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」30巻,174頁(1986年)記載の金属アレン錯体;特開平5−213861号及び同5−255347号記載の(オキソ)スルホニウム有機硼素錯体;「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(CoordinationChemistryReview)」84巻,85〜277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体;特開平3−209477号記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;四臭化炭素、特開昭59−107344号記載の有機ハロゲン化合物、等。
高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。
また、これらを2種以上併用してもかまわない。
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
さらに、本発明に係る高分子結合材は、他の共重合モノマーとして、下記(1)〜(14)に記載のモノマー等を用いる事が出来る。
(1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
(2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
(3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
(4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
(5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
(6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
(7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
(8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
(9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
(10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
(11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
(12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
(13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
(14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
さらにこれらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。
上記ビニル系重合体は、通常の溶液重合により製造することができる。また、塊状重合または懸濁重合等によっても製造することができる。重合開始剤としては、特に限定されないが、アゾビス系のラジカル発生剤が挙げられ、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等が挙げられる。また、これらの重合開始剤の使用量は、共重合体を形成するのに使用されるモノマー全体100質量部に対し、通常0.05〜10.0質量部(好ましくは0.1〜5質量部)である。また、溶液重合を行う際に使用される溶媒としては、ケトン系、エステル系、芳香族系の有機溶媒が挙げられ、なかでもトルエン、酢酸エチル、ベンゼン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン等の一般にアクリル系ポリマーの良溶媒が挙げられ、なかでも沸点60〜120℃の溶媒が好ましい。溶液重合の場合、上記溶媒を使用し、反応温度として通常40〜120℃(好ましくは60〜110℃)、反応時間として通常3〜10時間(好ましくは5〜8時間)の条件で行うことができる。反応終了後、溶媒を除去して共重合体を得る。また、溶媒を除去せずに引き続き後記の二重結合の導入反応を行うこともできる。
得られる共重合体の分子量は、使用される溶媒および反応温度を調整することによって調節することができる。目的とする分子量の共重合体を得るために使用される溶媒および反応温度等は、使用されるモノマーによって適宜決定することができる。また、特定の溶媒を上記溶媒に混合することによっても得られる共重合体の分子量を調節することができる。このような溶媒としては、例えば、メルカプタン系(例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等)、四塩化炭素系(例えば、四塩化炭素、塩化ブチル、塩化プロピレン等)等が挙げられる。これらの溶媒を上記反応に使用する溶媒に混合する割合は、反応に使用するモノマー、溶媒、反応条件等によって適宜決定することができる。
さらに、高分子結合材は、側鎖にカルボキシル基および重合性二重結合を有するビニル系重合体であることが好ましい。例えば、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。
分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。また、上記ビニル系重合体の分子内に存在する水酸基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。分子内に不飽和結合とイソシアネート基を共に有する化合物としては、ビニルイソシアネート、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−またはp−イソプロペニル−α,α′−ジメチルベンジルイソシアネートが好ましく、(メタ)アクリルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
上記した本発明に用いることができる側鎖にカルボキシル基および重合性二重結合を有するビニル系重合体は、全高分子結合剤において、50〜100質量%であることが好ましく、100質量%であることがより好ましい。
光重合性感光性層中における高分子結合剤の含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
次に、本発明の前記一般式(I)の化合物及び/又はその縮合物について説明する。
一般式(I)において、nは1〜10の整数を表すが、好ましいnとしては、1〜5が挙げられる。より好ましくは1〜3が挙げられる。
R1〜R5としては、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、又は、各々置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルケニル基、アリールオキシ基、アクリロイルオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、アミノ基、またはアミド基を表す。
好ましいR1〜R5としては、水素原子、水酸基、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。より好ましくは、水素原子、水酸基、置換基を有していても良い炭素数1〜5のアルキル基又は置換基を有していても良い炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。
R6、R7は、それぞれ独立して、水素原子、あるいは、各々置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、芳香族複素環基、アルケニル基、またはアクリロイル基を表す。
R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い芳香族複素環基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアクリロイル基を表す。
好ましいR6およびR7としては、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリール基、置換基を有していても良い炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していても良いアクリロイル基が挙げられる。更に好ましいR6およびR7としては、水素原子、置換基を有していても良い炭素数1〜10、特に好ましくは1〜5のアルキル基が挙げられる。
R1〜R7で定義された基が有していても良い置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アシル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、芳香族複素環基、水酸基が挙げられ、これらの置換基もさらに置換されていても良い。これら置換基の中でも好ましくは、アルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、アルコキシカルボニル基及び水酸基である。
又、一般式(I)で示される化合物の縮合物としては、一般式(I)で示される複数の化合物が、R1〜R7の位置で、直接又は接合基を介して結合した化合物が挙げられる。接合基としては2価以上の連結基であれば特に限定されるものではなく、通常、2〜5量体が挙げられる。
以下に、一般式(I)の化合物及びその縮合物の具体例を示すが、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
これら一般式(I)で表される化合物の添加量は、全固形分質量に対して好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましいのは0.5〜5質量%の範囲である。
更に、一般式(I)で表される化合物及びその縮合物は、二種以上併用しても良い。
本発明に係る支持体は光重合性感光層を担持可能な板状体またはフィルム体であり、感光層が設けられる側に親水性表面を有するのが好ましい。
本発明に係る支持体として、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板、また、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルムに前述の金属薄膜をラミネートまたは蒸着したもの等が挙げられる。
また、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム等の表面に親水化処理を施したもの、あるいは親水層を設けたもの等が使用できるが、アルミニウム支持体が好ましく使用される。アルミニウム支持体の場合、純アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。
支持体のアルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。
又アルミニウム支持体は、保水性付与のため、表面を粗面化したものが用いられる。
粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、又、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
本発明において、光重合性感光層は、感光層用の塗工液を調製し、感光層塗工液を、従来公知の方法で支持体上に塗布し、乾燥することにより得らる。
塗工液の塗布方法としては、例えばエアドクタコータ法、ブレードコータ法、ワイヤバー法、ナイフコータ法、ディップコータ法、リバースロールコータ法、グラビヤコータ法、キャストコーティング法、カーテンコータ法及び押し出しコータ法等を挙げることが出来る。
感光層の塗設での乾燥温度は、非画線部のカブリ等の観点より、60〜160℃の範囲が好ましく、より好ましくは80〜140℃、特に好ましくは、90〜120℃の範囲である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
実施例1
(高分子結合剤Aの合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸メチル58.0部(0.58モル)、メタクリル酸35.0部(0.41モル)、メタクリル酸エチル6.0部(0.05モル)、エタノール100部及びα,α′−アゾビスイソブチロニトリル1.23部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させて高分子重合体を得た。
(高分子結合剤Aの合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸メチル58.0部(0.58モル)、メタクリル酸35.0部(0.41モル)、メタクリル酸エチル6.0部(0.05モル)、エタノール100部及びα,α′−アゾビスイソブチロニトリル1.23部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させて高分子重合体を得た。
その後、該重合体に、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド1部及びグリシジルメタクリレート28.0部(0.2モル)を加えて、温度25℃で3時間反応させて高分子結合剤Aを得た。GPCを用いて測定した質量平均分子量は約70,000、酸価95であった。
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。
この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、塩酸濃度11g/L、温度25℃、周波数50Hz、50A/dm2の交流電流において20秒間電解粗面化処理を行った。
電解粗面化を行った後、水洗し、50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行い、水洗し、50℃に保たれた30%硫酸中で30秒間中和処理を行い、水洗した。次いで20%硫酸溶液中で、25℃、電流密度5A/dm2、電圧15Vの条件下で40秒間陽極酸化処理を行い、水洗した。
更に、0.44%のポリビニルホスホン酸水溶液に、75℃、30秒間ディップ処理を行い、次いで蒸留水で水洗し、25℃の冷風で乾燥し、光重合性感光性平版印刷版用支持体を得た。この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
(平版印刷版材料の作製)
上記表面処理済み支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.9g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、110℃で1.5分間乾燥した。
上記表面処理済み支持体上に、下記組成の光重合性感光層塗工液を乾燥時1.9g/m2になるようワイヤーバーで塗布し、110℃で1.5分間乾燥した。
その後、更に該感光層上に、下記組成の保護層塗工液を乾燥時1.5g/m2になるようにアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に保護層を有する平版印刷版材料1〜12を作製した。
《光重合性感光層塗工液》
高分子結合剤A 45.0部
増感色素A 4.0部
鉄アレーン化合物:イルガキュア261〔チバスペシャリティーケミカルズ社製〕
3.2部
トリアジン化合物:TAZ−107[みどり化学社製] 2.5部
付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体(化合物A) 30.0部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G:新中村化学工業社製) 15.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製 30%MEK分散物)
3.0部
ヒンダードアミン光安定化剤(LS770:三共ライフテック社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(F178K:大日本インキ化学工業社製) 0.5部
シクロヘキサノン(沸点=155℃) 820部
高分子結合剤A 45.0部
増感色素A 4.0部
鉄アレーン化合物:イルガキュア261〔チバスペシャリティーケミカルズ社製〕
3.2部
トリアジン化合物:TAZ−107[みどり化学社製] 2.5部
付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体(化合物A) 30.0部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G:新中村化学工業社製) 15.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製 30%MEK分散物)
3.0部
ヒンダードアミン光安定化剤(LS770:三共ライフテック社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(F178K:大日本インキ化学工業社製) 0.5部
シクロヘキサノン(沸点=155℃) 820部
《保護層塗工液》
ポリビニルアルコール(PVA) (種類と量を表1に示す)
その他樹脂 (種類と量を表1に示す)
界面活性剤(サーフィノール465:日新化学社製) 0.5部
水 900部
(画像形成)
このようにして作製した光重合型平版印刷版材料について、408nm、30mW出力のレーザーを備えた光源を備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製改造品)を用い、2400dpi(dpiとは1インチ即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で画像露光を行った。
ポリビニルアルコール(PVA) (種類と量を表1に示す)
その他樹脂 (種類と量を表1に示す)
界面活性剤(サーフィノール465:日新化学社製) 0.5部
水 900部
(画像形成)
このようにして作製した光重合型平版印刷版材料について、408nm、30mW出力のレーザーを備えた光源を備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製改造品)を用い、2400dpi(dpiとは1インチ即ち2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で画像露光を行った。
次いで、現像前に加熱装置部、保護層を除去する前水洗部、下記現像液組成1を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のためのガム液(GW−3:三菱化学社製を2倍希釈したもの)を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)で現像処理を行い、平版印刷版を得た。
加熱部条件は、版面温度110℃±5℃、熱処理時間15秒であった。
版面温度は、サーモラベル[日油技研社製]を作製した支持体の粗面化面に貼り付け処理した時の温度を測定した。
《現像液組成1》
Aケイ酸カリウム 8.0部
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 3.0部
エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水和塩 0.1部
苛性カリ pH=12.1なるよう調整
(平版印刷版の評価)
上記のようにして得られた平版印刷版について、以下の評価をした。評価結果を表1に示す。
Aケイ酸カリウム 8.0部
ニューコールB−13SN(日本乳化剤社製) 3.0部
エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム2水和塩 0.1部
苛性カリ pH=12.1なるよう調整
(平版印刷版の評価)
上記のようにして得られた平版印刷版について、以下の評価をした。評価結果を表1に示す。
《感度》
レーザーの露光エネルギーを変化させながら、100%ベタ画像を出力する。上記の画像形成方法に従い、現像した画像の各エネルギーの濃度を濃度計〔D196:GRETAG社製〕で測定する。
レーザーの露光エネルギーを変化させながら、100%ベタ画像を出力する。上記の画像形成方法に従い、現像した画像の各エネルギーの濃度を濃度計〔D196:GRETAG社製〕で測定する。
平版印刷版材料の飽和ベタ濃度から濃度が落ちはじめる露光エネルギー、感度とした。
飽和ベタ濃度×0.9となるエネルギー量を換算して求めた。
飽和ベタ濃度×0.9となるエネルギー量を換算して求めた。
《保存安定性》
平版印刷版材料を強制劣化させるため、55℃、20%相対湿度の環境下の恒温槽に3日間保存し(DT保存)、保存する以前のサンプルと比較し、上記の感度評価を行い感度変化の大きさを保存安定性の指標の一つとした。
平版印刷版材料を強制劣化させるため、55℃、20%相対湿度の環境下の恒温槽に3日間保存し(DT保存)、保存する以前のサンプルと比較し、上記の感度評価を行い感度変化の大きさを保存安定性の指標の一つとした。
また、上記保存後の平版印刷版材料について、下記の汚れ防止性を評価し保存安定性の指標の一つとした。
汚れ防止性:
上記保存後の平版印刷版材料非画像部の汚れ防止性の、評価には現像インク:PI−2[富士写真フィルム社製]及びPSスポンジ[富士写真社製]を用い、同一条件で十分に現像インクを付与し、十分に水洗、乾燥した非画像部をルーペで観察し、A−Cの3段階にランク評価し、汚れ防止性の指標とした。
A・・・汚れ無し
B・・・弱い汚れ有り
C・・・強い汚れ有り
《保護層接着性》
保護層の接着評価として、スクラッチ試験を行った。作製した感材を25℃50%の環境で蛍光灯下に2時間放置後測定。測定は、スクラッチ試験機Heidon−18:Heidon社製を用い、0.1mmφサファイヤ針、0〜100g連続加重、速度1000mm/min、N=5の平均値を評価。評価は感光層から保護層が剥がれた加重を目視で評価した。
上記保存後の平版印刷版材料非画像部の汚れ防止性の、評価には現像インク:PI−2[富士写真フィルム社製]及びPSスポンジ[富士写真社製]を用い、同一条件で十分に現像インクを付与し、十分に水洗、乾燥した非画像部をルーペで観察し、A−Cの3段階にランク評価し、汚れ防止性の指標とした。
A・・・汚れ無し
B・・・弱い汚れ有り
C・・・強い汚れ有り
《保護層接着性》
保護層の接着評価として、スクラッチ試験を行った。作製した感材を25℃50%の環境で蛍光灯下に2時間放置後測定。測定は、スクラッチ試験機Heidon−18:Heidon社製を用い、0.1mmφサファイヤ針、0〜100g連続加重、速度1000mm/min、N=5の平均値を評価。評価は感光層から保護層が剥がれた加重を目視で評価した。
表1から、本発明の平版印刷版材料は、保護層の接着性に優れ、かつ高感度で保存性に優れることが分かる。
実施例2
感光層を以下に変更し、実施例1と同様に平版印刷版材料21〜26を作製した。保護層塗工液のポリビニルアルコール(PVA)とその他樹脂の種類と量は表2に示す。プレヒートの評価を追加した以外は実施例1同様に評価した。
感光層を以下に変更し、実施例1と同様に平版印刷版材料21〜26を作製した。保護層塗工液のポリビニルアルコール(PVA)とその他樹脂の種類と量は表2に示す。プレヒートの評価を追加した以外は実施例1同様に評価した。
《光重合性感光層塗工液》
高分子結合剤A 45.0部
増感色素A 4.0部
鉄アレーン化合物:イルガキュア261〔チバスペシャリティーケミカルズ社製〕
3.2部
トリアジン化合物:TAZ−107[みどり化学社製] 2.5部
付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体(化合物A) 30.0部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G:新中村化学工業社製) 15.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製 30%MEK分散物)
3.0部
ANCAMIN K−54:エアプロダクツ社製
(例示化合物I−29) 1.45部
ヒンダードアミン光安定化剤(LS770:三共ライフテック社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(F178K:大日本インキ化学工業社製) 0.5部
シクロヘキサノン(沸点=155℃) 820部
《プレヒートラチチュード評価》
露光後の平版印刷版材料について、熱処理温度を変化させ、その他は同じ条件での現像処理を行った後、印刷し非画像部に汚れ若しくはシャドー部のインキ絡みの生じることのない、温度の上限を求めた。
高分子結合剤A 45.0部
増感色素A 4.0部
鉄アレーン化合物:イルガキュア261〔チバスペシャリティーケミカルズ社製〕
3.2部
トリアジン化合物:TAZ−107[みどり化学社製] 2.5部
付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合含有単量体(化合物A) 30.0部
ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G:新中村化学工業社製) 15.0部
フタロシアニン顔料(MHI454:御国色素社製 30%MEK分散物)
3.0部
ANCAMIN K−54:エアプロダクツ社製
(例示化合物I−29) 1.45部
ヒンダードアミン光安定化剤(LS770:三共ライフテック社製) 0.5部
弗素系界面活性剤(F178K:大日本インキ化学工業社製) 0.5部
シクロヘキサノン(沸点=155℃) 820部
《プレヒートラチチュード評価》
露光後の平版印刷版材料について、熱処理温度を変化させ、その他は同じ条件での現像処理を行った後、印刷し非画像部に汚れ若しくはシャドー部のインキ絡みの生じることのない、温度の上限を求めた。
印刷条件:175線の画像を適性露光量で露光、各温度で熱処理後、現像して作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(大日本インキ化学工業社製の、大豆油インキ”ナチュラリス100”)及び湿し水(東京インク(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行い、刷りだし1000枚後の非画像部及びシャドーを目視評価し、基準である熱処理105℃の印刷物と比較し良否判断した。得られた上限値を表2に示す。
この評価の際には、上記現像処理機の加熱装置部分の電源は切り、加熱処理は露光後、セーフライト環境下に置いた別の加熱装置を用いて、所望の版面温度となるように設定し、30秒間熱処理を行った。
表2から、本発明の平版印刷版材料は、保護層の接着性に優れ、かつ高感度で保存性に優れ、プレヒートラチチュードも優れた現像安定性の高い平版印刷版であることが分かる。
Claims (8)
- 支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤を含有する光重合性感光層及び保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
- 前記Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子が、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンであることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版材料。
- 前記エマルジョンは、更に分散剤を含有しており、該分散剤は、ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2記載の平版印刷版材料。
- 前記ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールが、無変性またはアニオン変性であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版材料。
- 支持体上に、重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物、光重合開始剤、高分子結合剤、下記一般式(I)で表される化合物及びその縮合物から選ばれる化合物を少なくとも一種含有する光重合性感光層を有し、かつ、保護層を有する平版印刷版材料において、該保護層が少なくとも、ケン化度が85〜100%であるポリビニルアルコールと、Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子とを含有することを特徴とする平版印刷版材料。
- 前記Tg35℃未満の水不溶のカチオン性樹脂粒子が、平均粒径0.005〜1.000μmの範囲のエマルジョンであることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版材料。
- 前記エマルジョンは、更に分散剤を含有しており、該分散剤は、ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項6記載の平版印刷版材料。
- 前記ケン化度が20〜90%のポリビニルアルコールが、無変性またはアニオン変性であることを特徴とする請求項7記載の平版印刷版材料。
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