JP2006112951A - 電流積算装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】積算精度向上を図った電流積算装置を提供することを課題とする。
【解決手段】CPU23aは、電流信号S1の大きさが閾値以下のとき、その電流信号S1に応じた大きさの放電電流Id又は充電電流Icの積算を行わない。閾値は、電流信号S1が飽和するような放電電流Id又は充電電流Icが流れた後、その放電電流Id又は充電電流Icが0に戻った時点で出力される電流信号S1の大きさ以上に設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電流積算装置に係り、特に、バッテリに流れる放電電流又は充電電流を積算する電流積算装置に関するものである。
旧来の車両における推進駆動源は、ガソリンや軽油等を燃料とするエンジンが主流である。近年では、燃焼ガスを直接排出しない電動モータを唯一の又は補助的な推進駆動源として使用する車両が登場しており、そのような電源モータを搭載した車両においては、電動モータに電力を供給するバッテリの残容量を把握しておくことが、重要となる。
そこで従来から用いられているのが、電流積算方法である。この電流積算方法は、バッテリの初期残容量から放電電流の積算値を減算し、充電電流の積算値を加算してバッテリから取り出せる電流量を算出するものである(特許文献1、2)。また、放電電流の積算値から積算消費電力を、充電電流の積算値から積算充電電力を求め、満充電容量から積算消費電力を減算するとともに積算充電電力を加算して、バッテリから取り出せる電力を算出するものも考えられている。
この電流積算方法を実施するに当たり、バッテリに流れる放電電流又は充電電流を検出する電流センサが必要である。この電流センサとして、たとえば磁気センサを用いた場合、磁性体の残留磁気の影響により電流センサの入力−出力特性は、図2に示すように、ヒステリシス曲線となる。つまり、放電電流も充電電流も流れておらず、電流センサの出力が0の状態にあるときに放電電流又は充電電流が流れると、電流センサの出力はその放電電流又は充電電流の大きさに応じて大きくなる。その後、放電電流又は充電電流が減少して0になっても電流センサの出力は0に戻らずオフセット出力Voffが発生してしまう。
このため、放電電流又は充電電流が流れていないにもかかわらず電流センサの出力は0とならず、このオフセット分の放電電流又は充電電流の積算が行われてしまう。上述したオフセットの大きさ自体は小さいものであるが、積算されることにより無視できない大きさとなり、放電電流又は充電電流の積算値に大きな誤差が生じてしまうという問題があった。
また、図2に示すような、放電電流及び充電電流の各々に対応した極性を出力する電流センサにあっては、上述したヒステリシスの影響で発生するオフセット出力Voffより小さい出力となる領域A1、A2では、実際には放電電流が流れているにも拘わらずその出力が充電電流を示したり(領域A1)、実際には充電電流が流れているにも拘わらずその出力が放電電流を示すことがある(領域A2)。このため、充電電流が流れているにも拘わらず放電電流が積算されてしまったり、放電電流が流れているにも拘わらず充電電流が積算されてしまったりして、放電電流又は充電電流の積算値に非常に大きな誤差が生じてしまうという問題があった。
また、放電電流又は充電電流を積算する手段として、マイクロコンピュータ(μCOM)を用いた場合、電流センサの出力をA/D変換器でディジタル値に変換してμCOMに供給する必要がある。しかしながら、A/D変換器として例えば±3LSBの精度誤差があるものを使用すると、放電電流も充電電流も全く流れていなくても、電流センサのデジタル出力は0とならず、精度誤差±3LSB分のオフセットが発生する場合があり、これが積算されてしまう。この場合もオフセット自体は小さいものであるが、積算されることにより無視できない大きさとなり、放電電流又は充電電流の積算値に大きな誤差が生じてしまうという問題があった。
特開平6−141473号公報 特開2002−181906号公報
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、積算精度向上を図った電流積算装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、バッテリに流れる放電電流又は充電電流に応じた大きさの電流信号を出力する電流センサと、前記電流信号の大きさに応じた放電電流又は充電電流を積算する積算手段とを備えた電流積算装置であって、前記積算手段は、前記電流信号の大きさが閾値以下のとき、当該電流信号に応じた大きさの放電電流又は充電電流の積算を行わないことを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項1記載の発明によれば、積算手段は、電流信号の大きさが閾値以下のとき、その電流信号に応じた大きさの放電電流又は充電電流の積算を行わない。従って、電流センサのヒステリシスや、電流センサの出力をアナログ/ディジタル(A/D)変換するA/D変換器の精度誤差が原因となって、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさが閾値以下であれば積算されることがない。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電流積算装置であって、前記閾値は、前記電流信号が飽和するような放電電流又は充電電流が流れた後、当該放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさ以上に設定されることを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項2記載の発明によれば、電流センサがヒステリシスを持っている場合、閾値は、電流信号が飽和する放電電流又は充電電流が流れた後、その放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさ以上に設定される。従って、電流信号が飽和するまで放電電流又は充電電流を流した後、その放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさは、ヒステリシスに起因して発生する電流信号のオフセットの最大値となる。この最大値以上の値に閾値を設定することにより、電流センサのヒステリシスに起因して、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさは閾値以下となり積算されることがない。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の電流積算装置であって、前記電流信号をアナログ/ディジタル変換するアナログ/ディジタル変換手段をさらに備え、前記積算手段は、前記アナログ/ディジタル変換手段が変換した電流信号に基づき前記積算を行い、前記閾値は、前記アナログ/ディジタル変換手段の精度誤差の最大値に相当する電流信号の大きさ以上に設定されることを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項3記載の発明によれば、積算手段は、A/D変換手段が変換した電流信号に基づき積算を行う。閾値は、A/D変換手段の精度誤差の最大値に相当する電流信号の大きさ以上に設定される。従って、A/D変換手段の精度誤差(例えば2〜3LSB)に起因して、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、精度誤差の最大である3LSBのデジタル電流信号が出力されてしまう場合であっても、その電流信号の大きさは閾値以下となり積算されることがない。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の電流積算装置であって、
前記電流信号をアナログ/ディジタル変換するアナログ/ディジタル変換手段をさらに備え、前記積算手段は、前記アナログ/ディジタル変換手段が変換した電流信号に基づき前記積算を行い、前記閾値は、前記電流信号が飽和するような放電電流又は充電電流が流れた後、当該放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさに、前記アナログ/ディジタル変換手段の精度誤差の最大値に相当する電流信号の大きさを加算した値以上に設定されることを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項4記載の発明によれば、閾値は、電流信号が飽和するような放電電流又は充電電流が流れた後、その放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさに、A/D変換手段の精度誤差の最大値に相当する電流信号の大きさを加算した値以上に設定される。従って、電流センサのヒステリシスとA/D変換手段の精度誤差との両方の影響を受けて、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさは閾値以下となり積算されることがない。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4何れか1項記載の電流積算装置であって、前記電流センサは、前記バッテリに流れる放電電流又は充電電流に応じた大きさであり、かつ、前記放電電流及び前記充電電流の各々に対応した極性を持つ電流信号を出力し、前記積算手段は、前記電流信号が放電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた放電電流を積算する放電積算手段と、前記電流信号が充電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた充電電流を積算する充電積算手段とを有することを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項5記載の発明によれば、電流センサが、バッテリに流れる放電電流及び充電電流に応じた大きさであり、かつ、放電電流及び充電電流の各々に対応した極性を持つ電流信号を出力する。積算手段において、放電積算手段は電流信号が放電電流に対応する極性であるとき、その電流信号の大きさに応じた放電電流を積算し、充電積算手段は電流信号が充電電流に対応する極性であるとき、その電流信号の大きさに応じた充電電流を積算する。従って、電流センサのヒステリシスに起因して、実際には放電しているにも拘わらず電流信号の極性が充電に対応するものであったり、実際には充電しているにも拘わらず電流信号の極性が放電に対応するものであった場合でも、そのときの電流信号の大きさが閾値以下のものについては積算されることがない。
請求項6記載の発明は、バッテリに流れる放電電流及び充電電流に応じた大きさであり、かつ、放電電流及び充電電流の各々に対応した極性を持つ電流信号を出力する電流センサと、前記電流信号が放電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた放電電流を積算する放電積算手段と、前記電流信号が充電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた充電電流を積算する充電積算手段とを備えた電流積算装置であって、前記バッテリの平衡状態時の開回路電圧を推定又は実測する開回路電圧検出手段と、前記バッテリの端子電圧を計測する端子電圧計測手段とをさらに備え、前記放電積算手段は、前記推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧より前記バッテリの端子電圧が大きいときは前記電流信号が放電電流に対応する極性であっても、前記積算を行わず、前記充電積算手段は、前記推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧より前記バッテリの端子電圧が小さいときは前記電流信号が充電電流に対応する極性であっても、前記積算を行わないことを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項6記載の発明によれば、放電積算手段は、バッテリ充電中に発生する充電分極の影響で、推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧よりバッテリの端子電圧が大きいときは、電流信号が放電電流に対応する極性であっても、放電電流の積算を行わない。充電積算手段は、バッテリ放電中に発生する放電分極の影響で、推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧よりバッテリの端子電圧が小さいときは、電流信号が充電電流に対応する極性であっても、積算を行わない。従って、電流センサのヒステリシスに起因して、実際には放電しているにも拘わらず極性が充電に対応するものであったり、実際には充電しているにも拘わらず極性が放電に対応するものである電流信号については積算されることがない。
請求項7記載の発明は、バッテリに流れる放電電流又は充電電流に応じた大きさの電流信号を出力する電流センサと、前記電流信号の大きさに応じた放電電流又は充電電流を積算する積算手段とを備えた電流積算装置であって、前記バッテリの放電又は充電が行われていないことを検出する放電/充電検出手段をさらに備え、前記積分手段は、前記放電が行われていないことを検出したとき前記放電電流の積分を行わない、または、前記充電が行われていないことを検出したとき前記充電電流の積分を行わないことを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項7記載の発明によれば、放電/充電検出手段がバッテリの放電又は充電が行われていないことを検出する。積分手段が放電が行われていないことを検出したとき放電電流の積分を行わない、または、充電が行われていないことを検出したとき充電電流の積分を行わない。従って、電流センサのヒステリシスや、電流センサの出力をA/D変換するA/D変換器の精度誤差が原因となって、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、放電電流又は充電電流の積算が行われることがない。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の電流積算装置であって、前記バッテリは、車両に搭載され、車両のアイドリングの状態に応じて使用されることがないものであり、前記放電/充電検出手段はアイドリングの状態に応じて放電が行われていないことを検出することを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項8記載の発明によれば、放電/充電検出手段はアイドリングの状態に応じて放電が行われていないことを検出する。従って、アイドリングの状態をみるだけで簡単に放電が行われていないことを検出することができる。
請求項9記載の発明は、請求項7又は8記載の電流積算装置であって、前記バッテリは、車両に搭載され、前記放電/充電検出手段はアイドリングストップ時に充電が行われていないことを検出することを特徴とする電流積算装置に存する。
請求項9記載の発明によれば、放電/充電検出手段はアイドリングストップ時に充電が行われていないことを検出する。従って、アイドリングの状態をみるだけで簡単に充電が行われていないことを検出することができる。
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、電流センサのヒステリシスや、電流センサの出力をアナログ/ディジタル(A/D)変換するA/D変換器の精度誤差が原因となって、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさが閾値以下であれば積算されることがないので、放電電流又は充電電流が流れていないときに、放電電流又は充電電流の積算が行われてしまうという事態を回避でき、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項2記載の発明によれば、電流信号が飽和するまで放電電流又は充電電流を流した後、その放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさは、ヒステリシスに起因して発生する電流信号のオフセットの最大値となる。この最大値以上の値に閾値を設定することにより、電流センサのヒステリシスに起因して、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさは閾値以下となり積算されることがないので、より一層、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項3記載の発明によれば、A/D変換手段の精度誤差(例えば2〜3LSB)に起因して、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、精度誤差の最大である3LSBのデジタル電流信号が出力されてしまう場合であっても、その電流信号の大きさは閾値以下となり積算されることがないので、より一層、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項4記載の発明によれば、電流センサのヒステリシスとA/D変換手段の精度誤差との両方の影響を受けて、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさは閾値以下となり積算されることがないので、より一層、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項5記載の発明によれば、電流センサのヒステリシスに起因して、実際には放電しているにも拘わらず電流信号の極性が充電に対応するものであったり、実際には充電しているにも拘わらず電流信号の極性が放電に対応するものであった場合でも、そのときの電流信号の大きさが閾値以下のものについては積算されることがないので、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項6記載の発明によれば、電流センサのヒステリシスに起因して、実際には放電しているにも拘わらず極性が充電に対応するものであったり、実際には充電しているにも拘わらず極性が放電に対応するものである電流信号については積算されることがないので、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項7記載の発明によれば、電流センサのヒステリシスや、電流センサの出力をA/D変換するA/D変換器の精度誤差が原因となって、放電電流又は充電電流がまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、放電電流又は充電電流の積算が行われることがないので、放電電流又は充電電流が流れていないときに、放電電流又は充電電流の積算が行われてしまうという事態を回避でき、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項8記載の発明によれば、アイドリングの状態をみるだけで簡単に放電が行われていないことを検出することができるので、より一層、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
請求項9記載の発明によれば、アイドリングの状態をみるだけで簡単に充電が行われていないことを検出することができるので、より一層、精度向上を図った電流積算装置を得ることができる。
第1実施形態
以下、本発明の電流積算装置を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の電流積算装置を組み込んだ充電容量算出装置の一実施形態を示すブロック図である。図中符号1で示す本実施形態の装置は、エンジン3に加えてモータジェネレータ5を有する車両に搭載されている。
そして、この車両は、エンジン3の出力をドライブシャフト7からディファレンシャルケース9を介して車輪11に伝達して走行させる。また、この車両は、減速時や制動時にモータジェネレータ5をジェネレータ(発電機)として機能させ、運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ13を充電させるように構成されている。ここで言うバッテリ13とは、鉛酸電池や、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの二次電池を示す。
本実施形態の装置1は、また、バッテリ13に直列接続され、バッテリ13に流れる放電電流Id及び充電電流Icを検出する電流センサ15と、バッテリ13に並列接続した1Mオーム程度の抵抗値を有し、バッテリ13の端子電圧Vを検出する電圧センサ17(=端子電圧計測手段)とを備えている。上述した電流センサ15は、図2に示すように、バッテリ13に流れる放電電流Id及び充電電流Icに応じた大きさであり、かつ、放電電流Id及び充電電流Icの各々に対応した極性を持つ電流信号S1を出力する。また、電流センサ15は、磁気センサから構成されており、ヒステリシスを持っている。
また、本実施形態の装置1は、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力がインタフェース回路(以下、「I/F」と略記。)21に内蔵されたA/D変換器(図示せず)によるA/D変換後に取り込まれるマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略記。)23をさらに備えている。このことから明らかなように、I/F回路21が請求項中のA/D変換手段として機能する。
そして、前記マイコン23は、CPU23a、RAM23b及びROM23cを有しており、このうち、CPU23aには、RAM23b及びROM23cの他、前記I/F回路21が接続されている。また、上述した図示しないスタータスイッチ、イグニッションスイッチやアクセサリスイッチ、モータジェネレータ5以外の電装品(負荷)のスイッチ等が、さらに接続されている。
前記RAM23bは、各種データ記憶用のデータエリア及び各種処理作業に用いるワークエリアを有しており、前記ROM23cには、CPU23aに各種処理動作を行わせる制御プログラムが格納されている。
なお、上述した電流センサ15及び電圧センサ17の出力である電流値及び電圧値は、短い周期で高速にサンプリングされてI/F回路21を介して、マイコン23のCPU23aに取り込まれ、取り込まれた電流値及び電圧値は、各種の処理のために使用される。
上述した構成の充電容量検出装置の動作について以下説明する。一般に、充放電が繰り返されても、電流時間積によって充電容量SOCを推定できる。放電時のSOCは、
放電直前のSOC−Σ(放電電流×時間) …(1)
により、充電時のSOCは、
充電直前のSOC+Σ(放電電流×時間×充電効率) …(2)
によりそれぞれ求められる。
上式により、バッテリが使用中(充放電中)であっても、常にバッテリのSOCが推定できる。なお、充電の場合の式中にある充電効率は、バッテリの充電抵抗を測定することによって推定できるものであり、ここでは詳細な説明は省略する。
ところで、電流センサ15から出力される電流信号S1は、図2に示すように、ヒステリシスを持っている。このヒステリシスの影響を受けると、実際には放電電流Idも充電電流Icも流れていないのに、電流信号S1はその大きさが0にならずオフセット出力Voffが発生してしまう。これにより、このオフセット出力Voff分に相当する放電電流Id又は充電電流Icの積算が行われてしまう。
また、上述したヒステリシスの影響で発生するオフセット出力Voffより小さい出力となる領域A1、A2では、実際には放電電流Idが流れているにも拘わらず、電流信号S1の極性が充電電流Icを示したり(領域A1)、実際には充電電流Icが流れているにも拘わらず、電流信号S1の極性が放電電流Idを示したりすることがある(領域A2)。このため、単に、電流信号S1の極性に応じて充電電流Ic、放電電流Idの積算を行うと、図3に示すように、例えば、実際には放電が生じており、L1に示すように放電電流Idの積算が行われなければならないのに、L2に示すように充電電流Icの方の積算が行われてしまい、その誤差ΔE1が大きくなってしまう。
上述したヒステリシスの影響を受けて電流信号S1に発生するオフセット出力Voffは、電流信号S1が飽和するような大きな放電電流Id又は充電電流Icを流した後、その放電電流Id又は充電電流Icが0に戻った時点で出力される電流信号S1の大きさである飽和残留出力Vfを越えることはない(∵Voff≦Vf)。そこで、本実施形態の電流積算装置を組み込んだ充電容量検出装置は、この飽和残留出力Vf以上の値に閾値Zを設定し(∵Z≧Vf)、電流信号S1の大きさが閾値Z以下であれば電流値0とみなし、放電電流Idの積算も充電電流Icの積算も行わないようにする。
以上の電流積算装置によれば、ヒステリシスの影響を受けて電流信号S1に発生するオフセット出力Voffは閾値Z以下となるため、そのオフセット出力Voffが積算されることがなく、積算誤差を小さくすることができる。また、電流信号S1が領域A1、A2上にあるときも積算が行われることがなくなり、電流センサ15のヒステリシスに起因して、図3に示すように、例えば、実際には放電が生じており、L1に示すように放電電流Idの積算が行われなければならないのに、L2に示すように充電電流Icの方の積算が行われてしまうということがなく、L3に示すように充電電流も放電電流も積算が行われないため、誤差ΔE1を小さくすることができる。逆に、実際には充電しているにも拘わらず極性が放電に対応するものである電流信号についても積算されることがなく、積算誤差を小さくすることができる。
また、ヒステリシスの影響を受けて電流信号S1に発生するオフセット出力Voffは、上述した飽和残留出力Vfを越えることがない。しかしながら、I/F回路21に内蔵されたA/D変換器として例えば±2〜3LSBの精度誤差があるものを使用すると、電流信号S1のディジタル値のオフセットは、飽和残留出力Vfに、精度誤差の最大値である3LSBが加算された大きさとなることがある。そこで、飽和残留出力Vfに精度誤差の最大値3LSBに相当する電流信号S1の大きさである出力Vbを加算した値以上に閾値Zを設定することも考えられる(∵Z≧Vf+Vb)。具体的には、A/D変換器の精度誤差が±2〜3LSBであり、1LSB当たり約120mAであれば、最大値3LSBに対応する電流値約360mAに対応する電流信号S1の大きさである出力Vbを飽和残留出力Vfに加算し、加算した値以上に閾値Zが設定されている。
以上の電流積算装置によれば、電流センサ15のヒステリシスとI/F回路21内のA/D変換器の精度誤差との両方の影響を受けて、放電電流Id又は充電電流Icがまったく流れていないにも拘わらず、電流信号が0とならない場合であっても、そのときの電流信号の大きさは閾値Z以下となり積算されることがなく、積算誤差を小さくすることができる。
また、電流センサ15内にオペアンプなどのオフセット発生原因となる回路素子をふくんでいる場合、上述したVf+Vbにさらにオペアンプ等のオフセット分を加えた値以上に閾値Zを定めるようにしてもよい。
また、電流センサ15としてヒステリシスがほとんどない高精度のものが使用され、A/D変換器として精度誤差が無視できないものを使用している場合もある。この場合、閾値Zとしては、上述した出力Vb以上の値に設定すれば、A/D変換器の精度誤差に起因して電流信号S1にオフセット出力Voffが発生しても、そのオフセット出力Voffを積算してしまうことがなく、積算誤差を小さくすることができる。
上述した概略で説明した充電容量検出装置の詳細な動作について図4のCPU23aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。CPU23aはイグニッションスイッチのオンによって動作を開始し、先ず、電流センサ15から出力される電流信号S1を読み取り、充放電に伴って流れる電流の測定を行う(ステップS1)。次に、電流信号S1の大きさが閾値Z以下であるか否かを判断する(ステップS2)。
CPU23aは、電流信号S1の極性から充電であるか放電であるかを判断する(ステップS3)。放電であるときはステップS4に進んで上述した式(1)に示した計算を行い、放電によって減少するSOCを計算する。充電であるときにはステップS5に進んで上述した式(2)に示した計算を行い、充電によって増加するSOCを計算する。ステップS4及びステップS5の計算は、電流測定を所定のサンプリング周期によって計測するごとに行ってからステップS6に進んで、充放電が終了したか否かを判定し、終了するまでステップS1乃至ステップS6を繰り返す。
充放電が終了すると、ステップS6からステップS7に進み、上記ステップS4又はS5において計算したSOCを用いて、充放電後の平衡状態時の開回路電圧OCVを求める。以上のことから明らかなように、CPU23aは請求項中の積算手段、放電積算手段、充電積算手段及び開回路電圧検出手段として機能する。
第2実施形態
次に、第2実施形態における電流積算装置を組み込んだ充電容量検出装置について説明する。第2実施形態における充電容量検出装置の構成は、図1について上述した第1実施形態と同等であるので、詳細な説明は省略する。
以下、第3実施形態における充電容量検出装置の動作について説明する。上述したようにヒステリシスの影響を受けると、領域A1に示すように、実際には放電電流Idが流れているにもかかわらず、出力である電流信号S1の極性が充電電流Icを示すことがある。また、領域A2に示すように、実際には充電電流Icが流れているにも拘わらず、出力である電流信号S1の極性が放電電流Idを示すことがある。このため、電流信号S1の極性に応じて充電電流Ic、放電電流Idの積算を行うと、図3に示すように、例えば、実際には放電が生じており、L1に示すように放電電流Idの積算が行われなければならないのに、L2に示すように充電電流Icの方の積算が行われてしまい、その誤差ΔE1が大きくなってしまう。
そこで、バッテリ充電中に発生する充電分極の影響で、推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧(以下、単にOCV)よりバッテリの端子電圧が大きいときは、電流信号S1が放電電流Idに対応する極性であっても、電流値0とみなし、放電電流Idの積算を行わないようにする。また、バッテリ放電中に発生する放電分極の影響で、推定又は実測されたOCVよりバッテリの端子電圧が小さいときは、電流信号S1が充電電流Icに対応する極性であっても、電流値0とみなし、積算を行わないようにする。
以上の電流積算装置によれば、電流信号S1が領域A1、A2上にあるとき積算が行われることがなくなり、電流センサ15のヒステリシスに起因して、図3に示すように、例えば、実際には放電が生じており、L1に示すように放電電流Idの積算が行われなければならないのに、L2に示すように充電電流Icの方の積算が行われてしまうということがなく、L3に示すように充電電流も放電電流も積算が行われないため、誤差ΔE2を小さくすることができる。逆に、実際には充電しているにも拘わらず極性が放電に対応するものである電流信号については積算されることがなく、誤差を小さくすることができる。
上述した概略で説明した充電容量検出装置の詳細な動作について図5のCPU23aの処理手順を示すフローチャートを参照して以下説明する。ステップS1、ステップS3〜S7については上述した図4のステップS1、ステップS3〜S7と同様のため、詳細な説明は省略する。異なる処理はステップS2である。第2実施形態では、ステップS7で求めたOCVとバッテリの端子電圧Vとを比較して、OCV<Vであり充電中にも拘わらず電流信号S1の極性が放電に対応するものであったり、OCV>Vであり放電中にも拘わらず電流信号S1の極性が充電に対応するものであったとき、OCV、Vの大小関係が示す充放電状態と、電流信号S1の極性が示す充放電状態とが一致していないと判断して(ステップS2でN)、再びステップS1に戻る。
これに対して、OCV<Vである充電時に電流信号S1の極性も充電に対応するものであったり、OCV>Vとなる放電時に電流信号S1の極性も放電に対応するものであった場合、OCV、Vの大小関係が示す充放電状態と、電流信号S1の極性が示す充放電状態とが一致していると判断して(ステップS2でY)、ステップS3に進む。
第3実施形態
次に、第3実施形態における電流積算装置を組み込んだ充電容量検出装置について説明する。第3実施形態における充電容量検出装置の構成は、図1について上述した第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
以下、第3実施形態における充電容量検出装置の動作について説明する。上述したようにヒステリシスの影響を受けたり、A/D変換器の精度誤差の影響を受けると電流信号S1にオフセットが生じて、放電電流も充電電流も流れていないにも拘わらず、オフセット分の放電電流又は充電電流の積算が行われてしまう。
ところで、例えば、バッテリを2個搭載し、アイドリング時は鉛バッテリを使用し、アイドリングストップ時はリチウムイオンバッテリを使用する場合がある。また、アイドリングストップ時にはモータジェネレータ5から鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリへの充電は行われない。以上のことに着目し、CPU23aは、アイドリングストップを検出したとき、鉛バッテリは放電もされず、充電も行われないとして、鉛バッテリに流れる放電電流又は充電電流の積算を行わないようにすることが考えられる。また、CPU23aは、アイドリングストップを検出したとき、リチウムイオンバッテリの充電が行われないとして、リチウムイオンバッテリに流れる充電電流の積算を行わないようにすることが考えられる。
さらに、CPU23aは、アイドリングを検出したとき、リチウムイオンバッテリの放電が行われないとして、リチウムイオンバッテリに流れる放電電流の積算を行わないようにすることが考えられる。バッテリの充電又は放電が行われいないことの検出は上述したアイドリングの状態だけでなく、例えば、バッテリに接続された負荷への操作信号などからも検出することができる。以上のことから明らかなように、CPU23aは請求項中の放電/充電検出手段として機能する。
本発明の電流積算装置を組み込んだ充電容量算出装置の一実施の形態を示すブロック図である。 図1の充電容量算出装置を構成する電流センサ15の入力−出力特性を示すグラフである。 図1に示す充電容量算出装置の積算動作について説明するためのグラフである。 図1の充電容量算出装置を構成するCPU23aの第1実施形態における処理手順を示すフローチャートである。 図1の充電容量算出装置を構成するCPU23aの第2実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
15 電流センサ
17 電圧センサ(端子電圧計測手段)
21 I/F(アナログ/ディジタル変換手段)
23a CPU(積算手段、開回路電圧検出手段、放電積算手段、充電積算手段、放電/充電検出手段)

Claims (9)

  1. バッテリに流れる放電電流又は充電電流に応じた大きさの電流信号を出力する電流センサと、前記電流信号の大きさに応じた放電電流又は充電電流を積算する積算手段とを備えた電流積算装置であって、
    前記積算手段は、前記電流信号の大きさが閾値以下のとき、当該電流信号に応じた大きさの放電電流又は充電電流の積算を行わないことを特徴とする電流積算装置。
  2. 請求項1記載の電流積算装置であって、
    前記閾値は、前記電流信号が飽和するような放電電流又は充電電流が流れた後、当該放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさ以上に設定されることを特徴とする電流積算装置。
  3. 請求項1記載の電流積算装置であって、
    前記電流信号をアナログ/ディジタル変換するアナログ/ディジタル変換手段をさらに備え、
    前記積算手段は、前記アナログ/ディジタル変換手段が変換した電流信号に基づき前記積算を行い、
    前記閾値は、前記アナログ/ディジタル変換手段の精度誤差の最大値に相当する電流信号の大きさ以上に設定されることを特徴とする電流積算装置。
  4. 請求項1記載の電流積算装置であって、
    前記電流信号をアナログ/ディジタル変換するアナログ/ディジタル変換手段をさらに備え、
    前記積算手段は、前記アナログ/ディジタル変換手段が変換した電流信号に基づき前記積算を行い、
    前記閾値は、前記電流信号が飽和するような放電電流又は充電電流が流れた後、当該放電電流又は充電電流が0に戻った時点で出力される電流信号の大きさに、前記アナログ/ディジタル変換手段の精度誤差の最大値に相当する電流信号の大きさを加算した値以上に設定されることを特徴とする電流積算装置。
  5. 請求項1〜4何れか1項記載の電流積算装置であって、
    前記電流センサは、前記バッテリに流れる放電電流又は充電電流に応じた大きさであり、かつ、前記放電電流及び前記充電電流の各々に対応した極性を持つ電流信号を出力し、
    前記積算手段は、前記電流信号が放電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた放電電流を積算する放電積算手段と、前記電流信号が充電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた充電電流を積算する充電積算手段とを有することを特徴とする電流積算装置。
  6. バッテリに流れる放電電流及び充電電流に応じた大きさであり、かつ、放電電流及び充電電流の各々に対応した極性を持つ電流信号を出力する電流センサと、前記電流信号が放電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた放電電流を積算する放電積算手段と、前記電流信号が充電電流に対応する極性であるとき、当該電流信号の大きさに応じた充電電流を積算する充電積算手段とを備えた電流積算装置であって、
    前記バッテリの平衡状態時の開回路電圧を推定又は実測する開回路電圧検出手段と、
    前記バッテリの端子電圧を計測する端子電圧計測手段とをさらに備え、
    前記放電積算手段は、前記推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧より前記バッテリの端子電圧が大きいときは前記電流信号が放電電流に対応する極性であっても、前記積算を行わず、
    前記充電積算手段は、前記推定又は実測された平衡状態時の開回路電圧より前記バッテリの端子電圧が小さいときは前記電流信号が充電電流に対応する極性であっても、前記積算を行わないことを特徴とする電流積算装置。
  7. バッテリに流れる放電電流又は充電電流に応じた大きさの電流信号を出力する電流センサと、前記電流信号の大きさに応じた放電電流又は充電電流を積算する積算手段とを備えた電流積算装置であって、
    前記バッテリの放電又は充電が行われていないことを検出する放電/充電検出手段をさらに備え、
    前記積分手段は、前記放電が行われていないことを検出したとき前記放電電流の積分を行わない、または、前記充電が行われていないことを検出したとき前記充電電流の積分を行わないことを特徴とする電流積算装置。
  8. 請求項7記載の電流積算装置であって、
    前記バッテリは、車両に搭載され、車両のアイドリングの状態に応じて使用されることがないものであり、
    前記放電/充電検出手段はアイドリングの状態に応じて放電が行われていないことを検出することを特徴とする電流積算装置。
  9. 請求項7又は8記載の電流積算装置であって、
    前記バッテリは、車両に搭載され、
    前記放電/充電検出手段はアイドリングストップ時に充電が行われていないことを検出することを特徴とする電流積算装置。
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