JP2006112368A - 脈動式ダイヤフラム燃料ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】 脈動式ダイヤフラム燃料ポンプについて、簡易な構成を用いて製造コストを低廉としながら、内装したダイヤフラムのずれや緩みを確実に回避して、気密性を確保するとともに適度なダイヤフラムの張力を維持させる。
【解決手段】 ポンプ本体とダイヤフラムカバー体との重ね合わせ部において、一方の端面に環状に穿設された係合凹部30およびもう一方の端面に環状に突設され係合凹部30と断面形状が略一致してダイヤフラム2を挟んで係合する係合凸部140からなる係合構造を備えており、且つ、ダイヤフラム2はビードを有さない平板状とされ、ポンプ本体3とダイヤフラムカバー体14との接合時にこの係合構造でダイヤフラム2の周縁部を挟み込むことでダイヤフラムを遠心方向に伸展させて所定の張力を与えながら固定するものとした。
【選択図】 図1
【解決手段】 ポンプ本体とダイヤフラムカバー体との重ね合わせ部において、一方の端面に環状に穿設された係合凹部30およびもう一方の端面に環状に突設され係合凹部30と断面形状が略一致してダイヤフラム2を挟んで係合する係合凸部140からなる係合構造を備えており、且つ、ダイヤフラム2はビードを有さない平板状とされ、ポンプ本体3とダイヤフラムカバー体14との接合時にこの係合構造でダイヤフラム2の周縁部を挟み込むことでダイヤフラムを遠心方向に伸展させて所定の張力を与えながら固定するものとした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、エンジン運転に伴ってクランクケース内や吸気管内に発生する脈動圧力により駆動されてエンジンに供給するための燃料を供給する脈動式ダイヤフラム燃料ポンプに関するものである。
2サイクルまたは4サイクルの小形ガソリンエンジンに供給する燃料の輸送手段として、例えば特開平5−1635号公報に記載されているように構造が簡単であるとともに機械的損失を伴わずに駆動できる、という利点を有する脈動式ダイヤフラム燃料ポンプが広く使用されている。
図3は従来から広く実施されている脈動式ダイヤフラム燃料ポンプを示す縦断面図であって、ポンプ本体53の一つの面にポンプダイヤフラム52とダイヤフラムカバー体64とが重ねられており、ポンプ本体53側の空間およびダイヤフラムカバー体64側の空間はポンプ室54および脈圧室55をそれぞれ形成し、脈圧室55はエンジンのクランクケースまたは吸気管に接続される脈圧導入口65を開口させている。
ポンプ本体53のもう一つの面にはパルセータダイヤフラム56a,56bとキャップ体66とが重ねられており、ポンプ本体53に設けられてパルセータダイヤフラム56a,56bで覆われた二つのくぼみは吸込室57および吐出室58をそれぞれ形成し、キャップ体66に吸込室57、吐出室58と向かい合わせて設けた二つのくぼみは空気室59a,59bを形成している。また、ポンプ本体53に形成されてポンプ室54と吸込室57、吐出室58とを区画する仕切壁60には逆止弁としての吸込弁61aおよび吐出弁61bが設けられている。
エンジンの運転に伴ってクランクケース内や吸気管内、一般にはクランクケース内に発生する脈動圧力が脈圧室55に導入されてポンプダイヤフラム52を往復変位させ、図示しない燃料タンクの燃料を燃料入口61から吸込室57、吸込弁61a、ポンプ室54、吐出弁61b、吐出室58を経て、燃料出口62へと送り、図示しない気化器によりエンジンに供給する。
斯かる脈動式ダイヤフラムポンプにおいては、エンジンからの脈動を燃料側に伝達するダイヤフラムに膜状のゴム材が用いられるのが一般的であり、ポンプ本体53の両側においてダイヤフラムカバー体64、キャップ体66との間に挟まれ樹脂溶着等で固着されて強度および気密性を確保するようになっている。
また、各ダイヤフラム52,56a,56bには、ずれによる張力および気密性の低下を防止するため、ビード52d,56dがポンプ本体53とダイヤフラムカバー体64およびキャップ体66との接合部分に設けられた装着溝に一致するように突設されており、ダイヤフラムカバー体64およびキャップ体66を本体に取付けることにより各ビード52d,56dが装着溝に嵌入して各ダイヤフラムの周縁部側が確実に固定されるようになっている。
これに加えて、ポンプダイヤフラム52には取付け後に張りを持たせる目的で、リテーナ52aとこれを支持しながら付勢力を与えるスプリング52bが設けられているのが一般的である。さらに、特開平8−270791号公報には、ダイヤフラムのビード内径部に複数の突起部を設けこれがケースの装着溝に当接することにより、ダイヤフラムを脈動させたときにずれおよびガタの発生を回避させる技術が提示されている。
このような構成とすることで、製造時或いは使用中にダイヤフラムにずれが発生することを回避することができるものであるが、ダイヤフラムの周縁部に係合構造としてのビードを設けることは製造コスト上昇の原因となり、またこれに加えてリテーナおよびスプリングを加えたり、さらにビード内径部に突起部を設けたりすることは、製造コストを一層高騰させることになる。
特開平5−1635号公報
特開平8−270791号公報
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、脈動式ダイヤフラム燃料ポンプについて、簡易な構成を用いて製造コストを低廉としながら、内装したダイヤフラムのずれや緩みを確実に回避して、気密性を確保するとともに適度なダイヤフラムの張力を維持させることで、良好なポンプ性能を長期間に亘って発揮できるようにすることを課題とする。
そこで、本発明は、ポンプ室が形成されたポンプ本体と脈圧室が形成されたダイヤフラムカバー体とがポンプ室と脈圧室とを区画するダイヤフラムを挟み込んで外側周縁部で重ね合わされ、ポンプ室と吸込室および吐出室とを隔てるポンプ本体の仕切壁に設けた燃料通路部分に吸込弁および吐出弁を配設した脈動式ダイヤフラム燃料ポンプについて、ポンプ本体とダイヤフラムカバー体との重ね合わせ部において、一方の端面に環状に穿設された係合凹部およびもう一方の端面に環状に突設され係合凹部と断面形状が略一致してダイヤフラムを挟んで係合する係合凸部からなる係合構造を備えており、且つ、ダイヤフラムはビードを有さない平板状とされ、ポンプ本体とダイヤフラムカバー体との接合時にこの係合構造でダイヤフラムの周縁部を挟み込むことでダイヤフラムを遠心方向に伸展させて所定の張力を与えながら固定するものとした。
このようにポンプ本体とダイヤフラムカバー体との重ね合わせ面において環状の凹凸による係合構造を形成させた簡易な構成で、ポンプ本体とダイヤフラムカバー体との接合時にダイヤフラムを挟み込むだけでその周縁部が挟み込み方向に牽引され中央部が遠心方向に伸展されて、組立て後のダイヤフラムの張力が充分に確保される。また、ダイヤフラムの周縁部が屈曲・伸展された状態で堅固に固定されることから、組立て後の気密性の向上が期待できるとともに長期間に亘ってダイヤフラムのずれを回避することができる。
また、この係合凸部の断面形状を垂直面と水平面とを備えて少なくとも2箇所の直角部を有したものとし、係合凹部の断面形状をこの直角部に対応する位置に直角部を備えたものとすれば、挟み込まれたダイヤフラム周縁部が屈曲されることで更にその牽引力が大きくなるとともに組立て後のダイヤフラムのずれが最小限に抑えられるものとなる。
更に、この脈動式ダイヤフラム燃料ポンプは組立てるだけでダイヤフラムの張力が充分に各区保されることから、ダイヤフラムにリテーナを付設しないとともに、これに付随するスプリングを配設ないものとすれば、さらに製造コストを低く抑えることができる。
加えて、ポンプ本体の吸込室および吐出室側とこれに重ね合わせるキャップ体との重ね合わせ部に上述した係合構造を設けるとともにこれに挟み込まれるパルセータダイヤフラムがビードを有しない平板状のものとすれば、上述と同様の効果をパルセータダイヤフラムを挟み込んだ係合部分にも期待することができる。
上述のように簡易な構成で製造コスト低減を可能とした本発明によると、脈動式ダイヤフラム燃料ポンプ組立て後に内装したダイヤフラムのずれや緩みの発生を確実に回避して、気密性を確保するとともにダイヤフラムの張力を長期間に亘って良好に維持することができ、充分なポンプ性能を発揮できるものである。
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本実施の形態の脈動式ダイヤフラム燃料ポンプの縦断面図およびその拡大部分図である。尚、本実施の形態の脈動式ダイヤフラム燃料ポンプの基本的な構成および作用は、先述した従来のものと同様であるので詳細な説明は省略し、その特徴部分についてのみ詳述するものとする。
本実施の形態の脈動式ダイヤフラム燃料ポンプは、ポンプ室4の一部を形成するポンプダイヤフラム2および吸込室7と吐出室8の一部を形成するパルセータダイヤフラム6a,6bにビードのないゴム平板を用いたものであり、円内に表示した接合部分の拡大部分図に示すように、これらを挟み込むポンプ本体3のポンプ室4側とダイヤラムカバー体14との接合面およびポンプ本体3の吸込室7および吐出室8側とキャップ体16との接合面に断面形状が凹凸の係合からなる係合構造を備えた点を特徴とする。また、このような構成とすることにより、接合時および組立て後において各ダイヤフラムの張力は良好に維持されるため、リテーナやこれに付随するスプリングは不要であり配設していない。
ポンプ本体3とダイヤフラムカバー体14の接合作業時における接合面部分の動作を示す部分拡大図である図2(A),(B),(C)を参照して、ポンプ本体3外側周縁部から上方に垂直に延設された周壁端面には、これに沿って平面視環状に穿設された係合凹部31が形成されているが、これは断面形状において垂直な側壁と水平な底壁および端面からなる複数の直角部を有している。
一方、キャップ体14の下面側周縁部から下方に垂直に延設された周壁端面には、これに沿って環状に突設され断面形状が係合凹部30に略一致した係合凸部140が形成されている。この係合凸部140は、その横幅が係合凸部140の溝幅よりも僅かに小さく、ポンプ室4側の垂直面と係合凹部30の垂直面との間に平板状のダイヤフラム2周縁部を挟みながら下方向に押し込んで係合するようになっている(図2(C)参照)。また、係合凸部140の先端面には、これに沿って環状に突設された超音波溶着およびずれ防止用のリブ140a,140bが突設している。
本実施の形態における脈動式ダイヤフラム燃料ポンプは、ポンプ本体3とダイヤフラムカバー体14との接合部に上述した係合構造を備えていることから、組立て時にポンプ本体3とダイヤフラムカバー体14とを係合させる場合、図2(A)の状態からダイヤフラムカバー体14を下方に押し込むと、係合凸部140の先端面に設けたリブ140a,140b先端がダイヤフラム2表面に当接し、その摩擦力によりこれを滑らせることなく係合凹部30に押し込む。
このとき、図2(B)に示すようにダイヤフラム2周縁部は係合凹部30の垂直面と係合凸部140の垂直面とで形成される隙間に挟まれるが、この隙間の幅はダイヤフラム2の厚さよりもやや小さいことから、ダイヤフラム2をこの両垂直面で圧迫するとともに係合凸部140の垂直面と水平面とで形成される先端角部で下方に引き下げるため、ダイヤフラム2は中心部分が遠心方法に向かって伸展させられる。
そして、図2(C)に示すように、係合終了時にはこの係合構造によりダイヤフラム2は2箇所でほぼ直角に屈曲された状態で固定されるため、挟み込みによる固定が強固なものとなり、長期間に亘る使用にもずれやガタツキが生じることなく良好な張力を維持するとともに、気密性を確実なものとしている。また、リブ140a,140bがダイヤフラム2周縁部表面に食い込んだ状態で超音波溶着されることでさらに堅固に固着される。
一方、ポンプ本体3の吸込室7および吐出室8側とこれに重ね合わせるキャップ体16にも、吸込室7および吐出室8の周縁側重ね合わせ面に上記同様の係合構造を備えており、ビードのない平板状のパルセータダイヤフラム6a,6bを挟み込んで接合させることにより、上記同様にダイヤフラムの張力をおよび気密性を良好なものとしている。尚、パルセータダイヤフラム6a,6bは一枚のゴム平板を挟み込むことでも形成させることができる。
以上述べたように、極めて簡易な構成の係合構造を備えてリテーナやこれに付随するスプリングを要しないとともに、ビードのない簡易なゴム平板をダイヤフラムに用いた本実施の形態により、製造コストを大幅に低減させながら良好な張力および気密性を維持することができ、良好なポンプ性能を長期間に亘って発揮させることを可能とするものである。
3 ポンプ本体、 2 ポンプダイヤフラム、 6a,6b パルセータダイヤフラム、 14 ダイヤフラムカバー体、 16 キャップ体、 4 ポンプ室、 5 脈圧室、 7 吸込室、 8 吐出室、 16 仕切壁、 30 係合凸部、 140 係合凹部
Claims (4)
- ポンプ室が形成されたポンプ本体と脈圧室が形成されたダイヤフラムカバー体とが前記ポンプ室と前記脈圧室とを区画するダイヤフラムを挟み込んで外側周縁部で重ね合わされ、前記ポンプ室と吸込室および吐出室とを隔てる前記ポンプ本体の仕切壁に設けた燃料通路部分に吸込弁および吐出弁を配設した脈動式ダイヤフラム燃料ポンプにおいて、
前記ポンプ本体とダイヤフラムカバー体との重ね合わせ部において、一方の端面に環状に穿設された係合凹部およびもう一方の端面に環状に突設され前記係合凹部と断面形状が略一致して前記ダイヤフラムを挟んで係合する係合凸部からなる係合構造を備えており、且つ、前記ダイヤフラムはビードを有さない平板状とされ、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムカバー体との接合時に前記係合構造で前記ダイヤフラムの周縁部を挟み込むことで該ダイヤフラムを遠心方向に伸展させて所定の張力を与えながら固定する、
ことを特徴とする脈動式ダイヤフラム燃料ポンプ。 - 前記係合凸部は断面形状に垂直面と水平面とを有して少なくとも2箇所の直角部を有し、前記係合凹部は断面形状に前記直角部に対応する位置に直角部を有している、ことを特徴とする請求項1に記載した脈動式ダイヤフラム燃料ポンプ。
- 前記ダイヤフラムにリテーナが付設されていないとともに該リテーナに付随するスプリングが配設されていない、ことを特徴とする請求項1または2に記載した脈動式ダイヤフラム燃料ポンプ。
- 前記ポンプ本体の吸込室および吐出室側とこれに重ね合わせるキャップ体との重ね合わせ部に前記係合構造を備えているとともに、該係合構造に挟み込まれるパルセータダイヤフラムがビードを有さない平板状とされている、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した脈動式ダイヤフラム燃料ポンプ。
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2004
- 2004-10-18 JP JP2004302402A patent/JP2006112368A/ja active Pending
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