JP2006111922A - フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料 - Google Patents

フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料 Download PDF

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充史 藤井
Toshimitsu Morioka
利充 森岡
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Abstract

【解決手段】
金がエタノールに代表されるアルコール系水酸基含有化合物溶媒中にコロイド状に分散した金コロイドアルコール溶液と、フッ素系高分子材料とを接触させて該高分子材料の表面に金微粒子を付着させた後、金微粒子の表面を活性化させ、次いで、無電解又は電解金メッキを行うことを特徴とする、フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法、及び、該方法で得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料。
【効果】
実質上、不純物を含まない(すなわち金の単元素よりなる)金メッキ被覆層をフッ素系有機高分子材料の表面に形成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料に関し、さらに詳しくは実質上、不純物を含まない(すなわち金の単元素よりなる)金メッキ被覆層をフッ素系有機高分子材料の表面に形成する方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系有機高分子材料に関する。
プラスチック、エラストマーなどの有機高分子材料の表面を金メッキしたものは、例えば、導電性電子部品として、また、金の色調と光沢が付与された装飾品として、また、半導体製造プロセス用の耐プラズマ性高分子部材などとして、様々な分野で利用されている。
これら高分子材料に金メッキを施すには、例えば、パラジウム(Pd)処理、ニッケルメッキによる前処理を必要とするなど、煩雑な処理工程を必要とし、また、有害物質(例:シアン化合物)を使用しなければならないなどの問題点があった。
また、(プラスチック等の表面に形成されている)金メッキ被覆層には、通常、金(Au)以外の成分がある程度混在しており、純粋な金(Au)被覆層でなく、そのため、高純度の金被覆層が要求される用途には適用できないという問題点があった。
例えば、各種プラズマによる処理が行われる半導体製造プロセスでは、プラズマによる攻撃を受ける箇所にも有機高分子材料が使用されている。
このような用途に対しては、有機高分子材料に耐プラズマ性を付与するために、金被覆層を形成させることが考えられるが、金被覆層(金メッキ層)に半導体の特性に重大な悪影響を及ぼす成分が混在していると、プラズマ攻撃を受けることによりこれらが飛散し、却って半導体の製造歩留まりを著しく下げる懸念があるため、金(Au)など限られた金属の皮膜が純粋な状態で高分子材料の表面に形成された被覆材(体)が要請されている。
しかしながらこれまでに知られている金メッキ法は以下のようなものである。
例えば、基材表面に金メッキをする場合、核としてパラジウム(Pd)を用い金メッキする方法や、基材表面にニッケル(Ni)などを先にメッキした後、置換して金メッキをする方法が一般的に知られている。
これらの方法による場合には、メッキ液中に金以外の他の金属元素が溶出するため、金属成分として、金以外の成分が混在してしまうという問題点がある。
また例えば、特開2003−183851号公報(特許文献1)には、基材の表面の少なくとも一部に、湿式めっき法または乾式めっき法により、主としてAuで構成され、かつIr、Ru、Ptから選択される少なくとも一種の添加元素を含む材料で構成される被膜層を形成する工程を有する装飾品の表面処理方法が開示されている。
該公報に記載の方法では、金以外の不純物が含まれてしまうという問題点がある。
また、特開平10−294024号公報(特許文献2)には、樹脂、ゴム等の基材を射出成形して被覆しようとする部位の金属表面に予めレーザー光を照射して凹凸が形成された電気電子部品が開示されている。また、金属(基材)表面にレーザー光を照射して凹凸を形成し、その後に、金属表面の全範囲に下地メッキを行い、さらに、当該凹凸形成部位の直上の下地メッキの表面に部分メッキ層(例:Auメッキ層)を形成する、電気電子部品
の製造方法が開示され、金属(基材)と下地メッキとの密着性が良好で、平滑である旨記載されている。
しかしながら、金メッキの具体的な方法までは明記されていない。
特開昭61−259548号公報(特許文献3)には、半導体基板上にゴム状弾性体と、該ゴム状弾性体の大部分を金属又は導電性物質で被覆してなる突起電極を設けた半導体装置が開示され、シリコーンゴムの表面に無電解金メッキにより、金の導電層を形成した態様が示されている。しかしながら該公報に記載の方法では、基板との接着性が十分でない、純粋な金のみからなる層が形成されない、などの問題点がある。
このようにこれまで知られている方法では、下地層に金以外の金属を使用するため、無電解金メッキ等を用いても、実質上、純粋な金のみからなる層を、樹脂、弾性体等の表面、あるいは予め上記のような種々の表面処理された基材の表面に形成することは困難であった。
なお、特に、フッ素ゴムなどのフッ素系材料に対するメッキ処理に用いられるメッキ液は、その殆どが水溶媒を用いたものであり、そのため、フッ素系材料表面に親水性をもたせるため、上記先行例にも見られるように前処理として、プラズマ照射(金以外の金属薄膜に関するものであるが、例えば、特許文献4)あるいは、紫外線照射、ナトリウムによる脱フッ素処理などを行うことが提案されているが、このような特殊な物理的前処理工程(プラズマ照射、紫外線照射)あるいはこのような劇薬(ナトリウム)を用いた化学的前処理工程を行うと、そのための特別な設備、管理等が必要になり、費用が嵩むという問題点がある。
特開2003−183851号公報 特開平10−294024号公報 特開昭61−259548号公報 特開昭63−227762号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、不純物を含まない(すなわち金の単元素よりなる)金メッキ被覆層をフッ素系高分子材料の表面に形成する方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料を提供することを目的としている。
本発明は、フッ素ゴムなどのフッ素系材料に対するメッキ処理の前処理として特に好適に適用でき、安全で、低コストで効率よく実施可能な前処理法を提供することを目的としている。
本発明に係るフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法は、金がアルコール系水酸基含有化合物溶媒中にコロイド状に分散した金コロイドアルコール溶液と、フッ素系高分子材料とを接触させて該高分子材料の表面に金微粒子を付着させ、次いで、金微粒子の表面を活性化させ、次いで、無電解又は電解金メッキを行うことを特徴としている。
本発明では、上記金コロイドアルコール溶液とフッ素系高分子材料との接触に先立ち、予め、前処理として、フッ素系高分子材料の物理的エッチング処理および/または化学的エッチング処理を行うことが好ましい。
本発明では、上記アルコール系水酸基含有化合物が、式:「R−OH」(R:炭素数が
1〜4のアルキル基)で表される脂肪族アルコールであることが好ましい。
具体的には、上記アルコール系水酸基含有化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの飽和アルコール;ビニルアルコールなどの不飽和アルコール;などがある。
本発明では、上記金微粒子表面の活性化は、高分子材料表面の金微粒子と、酸とを接触させることにより行うものであることが好ましい。
本発明に係る金皮膜付きフッ素系高分子材料は、上記の何れかに記載のフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法により得られる。
本発明によれば、金メッキの成膜状態が安定しており、不純物を含まない(すなわち金の単元素よりなる)、緻密で密着性、平滑性共に優れた金メッキ被覆層(金皮膜)をフッ素系有機高分子材料の表面にコンスタントに形成する方法が提供される。
また、本発明によれば、上記方法により得られ、皮膜中に金のみを含み、不純物を実質上含まず、有機高分子に対して攻撃性、破壊性の高い高エネルギー線やプラズマなどに対する保護膜として、ガス透過に対するバリヤーとして良好に機能を発揮し得る金皮膜(金被覆層)を具備した金皮膜付きフッ素系高分子材料が提供される。
本発明によれば、フッ素ゴム、フッ素樹脂などのフッ素系材料に対する無電解金メッキ処理に先立って上記のような特定の前処理を行うことにより、例えば、フッ素系高分子材料(特にその表面)に、より一層、密着性と表面平滑性共に優れ、ガス透過性の低減された緻密な金皮膜を、安全かつ低コストで効率よく形成できる。
以下、本発明に係るフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料について具体的に説明する。
[フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法]
まず、本発明に係るフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法(以下、単に「本発明の金皮膜の形成方法」、「本発明の方法」などと略称することがある。)について、工程に沿って分説する。
<金コロイド等>
用いられる金コロイドアルコール溶液(イ)には、媒質の金コロイド(金)と、溶媒(分散媒)のアルコール系水酸基含有化合物とが含まれているが、金コロイドの粒径は、通常、コロイド粒子サイズである1〜1000nm程度、好ましくは5〜20nm程度である。
アルコール系水酸基含有化合物としては、飽和系、不飽和系の何れでもよく、式:「R−OH」(R:炭素数が1〜4のアルキル基)で表される、含まれるアルキル基の炭素数が1〜4の脂肪族アルコールであるメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールに代表される飽和アルコール系水酸基含有化合物や、ビニルアルコールに代表される不飽和アルコール系水酸基含有化合物が好ましく、これらアルコール系水酸基含有化合物は、溶媒中での金微粒子の均一微粒化分散性に優れる点、あるいは、フッ素系高分子材料表面に、形成された金皮膜に凹凸が極めて少なく、金皮膜が所望の部位全体に亘って一様に隙間なく一定の厚みで強固に付着(密着)し成膜状態の安定した、金皮膜付きフッ素系高分子材料がコンスタントに得られる点、などの点で望ましい。
これらのアルコール系水酸基含有化合物は1種または2種以上組合わせて用いてもよい。
このような金コロイドアルコール溶液(イ)としては、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、日本ペイント社製の金コロイド{溶媒:エチルアルコール、金平均粒径10nm、金濃度:20重量%}、等が挙げられる。
なお、金コロイド溶液として、上記金コロイドアルコール溶液(イ)に代えて、例えば、溶媒として、α−ターピネオール等の水酸基含有テルペン系化合物のみを含む金コロイド溶液(例:田中貴金属工業(株)製金コロイド)、あるいは、溶媒としてこのようなテルペン系化合物を主成分として含む金コロイド溶液を用いる場合には、例えば、本発明で規定するような金濃度で使用しても、物理的・化学的エッチング処理(前処理)の有無に関係なく、金皮膜が点、群島状、アメーバー状などとなって散在するように形成されるに過ぎず、成膜状態は極めて不十分であり、金皮膜の密着性も著しく劣ってしまい、所望の良好な金皮膜をフッ素系高分子材料表面に形成することは困難である。
また、本発明では、上記金コロイドアルコール溶液(イ)中の金濃度が、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%となる量で、換言すれば、通常0.05〜5.18mol/L(リットル)好ましくは0.26〜2.59mol/Lの濃度で含まれていることが好ましい。上記範囲より金含量が低濃度では金の含有率が低いため、使用する際の効率が悪く、上記範囲を超えるとコロイド分散状態が不安定となり、密着性や均一性などに問題が生じる恐れがある。
なお、本発明で用いられる金コロイドアルコール溶液(イ)の溶媒は通常、アルコール系水酸基含有化合物であるが、アルコール系水酸基含有化合物とアルコール系水酸基含有化合物に可溶な有機溶媒とを混合したものであってもよい。その場合の上記有機溶媒の量は、アルコール系水酸基含有化合物に対して50体積%未満、好ましくは10体積%未満が望ましい。アルコール系水酸基含有化合物に可溶な有機溶媒の具体例としては、アセトン、エチレングリコールなどを挙げることができる。
また、上記成分以外に金コロイドアルコール溶液(イ)に含有可能なその他の成分としては、イオンや錯体として金属を含まない界面活性剤、pH調整剤等が挙げられる。
<金微粒子の高分子材料表面への付着>
本発明に係るフッ素系高分子材料表面への金皮膜(金被覆層)の形成方法では、金がアルコール系水酸基含有化合物溶媒中にコロイド状に分散した金コロイドアルコール溶液(イ)(特にその中のコロイド状金)とフッ素系高分子材料(ロ)とを接触させて該高分子材料の表面に金微粒子を付着させている。このように無電解または電解金メッキに先立ち、予め、金微粒子を高分子材料の表面に付着させているので、付着されている金微粒子を核として、後述する無電解金メッキに代表される金メッキを行うと、実質上金のみを含み(金の単元素からなる)緻密でガス不透過性の金属膜(金皮膜)を形成することができる。
このように金コロイドアルコール溶液(イ)と、フッ素系高分子材料(ロ)との接触方法や添加順序等は特に限定されず、例えば、上記溶液(イ)に上記高分子材料(ロ)を浸漬等して両者を接触させてもよく、高分子材料(ロ)に溶液(イ)を塗布等し両者を接触させてもよく、両者を同時に容器内等に添加等してもよく、また溶液(イ)は、一度に全量を用いてもよく、あるいは少しずつ添加してもよい。
このような溶液(イ)と高分子材料(ロ)との接触は、通常、常温下で実施されるが、必要により、例えば20〜80℃、好ましくは20〜50℃程度の温度で加熱して行ってもよく、また必要により攪拌機等を用いて攪拌してもよく、例えば、常温下では、溶液(イ)と高分子材料(ロ)とを接触させた状態で通常0.1〜10分間程度、好ましくは0.2〜1分間分間程度保持することが望ましい。
なお、本発明では、金メッキの対象は、高分子材料、好ましくはフッ素系高分子材料(樹脂、弾性体)の表面であるが、フッ素系材料としては、従来より公知のものを広く使用でき、例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン共重合体ゴム、フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/テトラフロロエチレンの共重合体、テトラフロロエチレン/プロピレンの交互共重合体、テトラフロロエチレン/パーフロロメチルビニルエーテルの共重合体、フルオロフォスファゼン系、ヘキサフルオロプロピレンオキシドの単独共重合、含フッ素ニトロソ系、含フッ素トリアジン系、フッ化ビニリデン/テトラフロロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体等のゴム(弾性体)が挙げられる。
<前処理>
なお、本発明では、上記金コロイドアルコール溶液(イ)とフッ素系高分子材料(ロ)との接触に先立ち、予め、フッ素系高分子材料(ロ)の物理的エッチング処理および/または化学的エッチング処理等の前処理、好ましくは物理的エッチング処理と化学的エッチング処理の両方による前処理を行うことにより、より密着性と平滑性の両方共に優れた金薄膜が高分子材料表面へ形成されるようにすることが望ましい。
なお、物理的エッチング処理のみを行い、化学的エッチング処理を行わない場合には、全く前処理しない場合に比して高分子材料への密着性は向上するが、金皮膜に微細な凹凸が見られ平滑性は著しくは向上しないことがある。
反対に、化学的エッチング処理のみを行い、物理的エッチング処理を行わない場合には、前処理を全く行わない場合に比して、高分子材料への金皮膜の密着性が十分に向上しないことがある。なお、上記密着性は、市販の粘着テープを金皮膜付きフッ素系高分子材料の金皮膜の表面に付着させておき、急速に引き剥がすことにより、金皮膜の剥離の有無や、剥離面積の大小を観察して評価することができる。
物理的エッチング処理としては、ショットブラストが、特別の処理設備が不要で安全かつ容易に実施可能な点で好ましい。特に、ショットブラストの際には、研磨材として、例えば、商品名「シナノランダムGCF220」{平均粒径:70μm、ケメット・ジャパン(株)製}などを使用できる。また、ショットブラスト以外の物理的エッチング処理法としては砥石による研磨、サンドペーパーなどによる処理が挙げられる。
また化学的エッチング処理としては、フッ素系材料を酸、例えば、pH:1〜5程度の酸と接触させればよい。酸としては、取扱いの容易性、環境への影響等を考慮して、酢酸などの無機酸を好適に使用し得る。具体的には、例えば、酢酸水溶液(濃度100〜300mL/L、pH3)に常温〜加熱下(例:40〜95℃)で所望時間(例:30分〜6時間程度)浸漬等すればよい。なお、高温ほど短時間の浸漬で済む。
なお、塩酸や硫酸等の無機酸による処理も可能である。
<付着した金微粒子等の乾燥>
本発明では、上記のように金コロイドアルコール溶液(イ)と高分子材料(ロ)とを接触させることにより、高分子材料(ロ)の表面に付着した金微粒子を、通常、乾燥させることが好ましい。これにより、金微粒子表面、高分子材料表面等の溶媒が揮散・除去される。また、これにより金微粒子が高分子材料(ロ)の表面に均一に隙間なく付着した状態となる。なお、もし、金微粒子の付着が不十分な場合は、必要により、さらに1〜数回、上記「金微粒子の高分子材料表面への付着」とその「乾燥」工程を繰り返してもよい。
金微粒子の乾燥方法には特に制限はなく、例えば、常温下、加熱下での自然乾燥、風乾等を採用しうる。
<金微粒子表面の活性化>
本発明では、次いで、高分子材料表面に付着している金微粒子、特にその表面を活性化させる。
金微粒子、特にその表面を活性化させるには、金微粒子と酸とを接触させればよい。酸としては、前記前処理で使用したものを使用してもよいが、好ましくは、pH1〜3程度の塩酸、硫酸などの無機酸が挙げられる。具体的には、例えば、塩酸水溶液(濃度100〜300mL/L、pH2)に常温〜加熱下(例:20〜50℃)で所望時間(例:5秒〜5分間程度)浸漬等すればよい。なお、高温ほど短時間の浸漬で済む。
酸処理後、酸を水洗除去する。
<無電解または電解金メッキ>
本発明では、上記のように、金コロイドをフッ素系材料系高分子材料表面に付着させ、乾燥させ、必要により酸にて金微粒子表面の活性化処理を行った後、電解または無電解金メッキを行う。
ここでは、簡便な無電解メッキについて説明する。
このように無電解金メッキを行うと、実質上、不純物を含まない(すなわち金の単元素よりなる)、緻密で、ガス不透過性の金メッキ被覆層をフッ素系有機高分子材料の表面に形成することができる。
無電解金メッキ(化学還元型の無電解金メッキ)は、常法により実施でき、例えば、「プリント配線板のメッキ技術」(槙書店、1996年5月30日刊、124〜125頁)等にも記載されているように、メッキ処理される素材が樹脂や弾性体(例:本発明のフッ素系高分子材料)等の非金属であるため、素地金属と析出金属の電位差が還元反応の駆動力となって析出する「還元型の無電解メッキ」が適用できない場合に用いられる。
この無電解金メッキでは、浴中の還元剤が酸化することによって放出される負の電荷を持ったイオンによって、浴中の金属イオン(金イオン)が還元析出して金メッキが行われる。
用いられる無電解金メッキ浴には、金イオンの供給源となる金属塩、金属イオンの還元に寄与する還元剤が含まれているが、その他に、例えば、pH調整剤、pH変動の抑制に寄与するpH緩衝剤、アルカリ性浴で金属イオン(金イオン)の沈殿防止や金属イオン濃度の変化調整に寄与する錯化剤、キレート、安定剤等による反応抑制効果を緩和し、メッキ速度を向上させる促進剤、析出した金属の自己分解防止に寄与する安定剤、皮膜改良剤等が本発明の目的に反しない範囲で含まれていてもよい。
金イオン供給源としては、例えば、大和化成(株)製のノンシアン無電解金メッキ液である、「ダインゴールドM−20」(金含有量:20g/L)などを使用でき、還元剤と
しては、大和化成(株)製の「還元型ダインゴールドAC−5R」などを使用できる。
この無電解金メッキ浴は、純水を添加して、その金濃度が通常、1.4〜2.0g/Lになるよう「ダインゴールドM−20」1容量部に対して、「還元型ダインゴールドAC−5R」を2容量部で、また純水を7容量で配合。)と成るように調整して用いられる。また、フッ素系有機高分子材料の表面積に対し浴負荷(メッキ浴の量に対するメッキ表面積の比率。液濃度は関係ない。)が通常、1.0dm2/L以下好ましくは0.5dm2/Lになるよう無電解メッキ浴の量を調整して用いられる。
本発明では、上記無電解金メッキ浴中に、金微粒子の表面活性化処理されたフッ素系高
分子材料を浸漬し、例えば、50〜90℃程度の加熱下に、1〜12時間程度(例:80℃×4時間)、金メッキ処理すればよい。
<金皮膜付きフッ素系高分子材料>
上記のようにして得られた本発明に係る金皮膜付きフッ素系高分子材料では、厚さが例えば、0.5〜6μm程度でほぼ一様な厚みを有し、高純度で、緻密で、ガス不透過性の密着性に優れた金皮膜(金被覆層)が、有機高分子材料、特に弾性体の表面に形成されている。
このような金皮膜付きフッ素系高分子材料は、その皮膜中に金のみを含み、不純物を実質上含まないため、有機高分子に対して攻撃性、破壊性の高い高エネルギー線やプラズマなどに対する耐性(抵抗性)を有し、このような特性の求められる分野、例えば、耐プラズマ性の求められる半導体製造プロセスに使用される有機高分子材料として、導電性電子部品として、あるいは金の色調と光沢が付与され耐変色性等に優れた装飾品などとして種々の分野で好適に用いられる。
[実施例]
以下、本発明の好ましい態様について実施例に基いてさらに具体的に説明するが、本発明は係る実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
(1)材料
「JIS B 2401」に規定するOリングの材質区分中、汎用フッ素ゴムである4種D材料(フッ化ビニリデンとヘキサフロロプロピレンとの共重合体)を基材としてシート状に作成した試料を使用した。
(2)前処理
(イ)物理的エッチング処理
物理的エッチング処理としては、ショットブラストを行った。ショットブラストには、研磨材として「シナノランダムGCF220」(ケメット・ジャパン(株)製、平均粒径
70μm、材質:炭化ケイ素)を用いた。
(ロ)化学的エッチング処理
化学エッチングは、酢酸(濃度200ml/リットル(L))に、85℃×1時間浸漬することにより行った。
表1に示すように、試料の前処理としては、試料に物理的エッチングのみ、さらに化学エッチングを行ったもの、化学的エッチングのみの3種の試料を実施例用試料、比較例用試料共に準備した。
(3)金コロイド(金コロイド溶液)
金コロイド溶液は、実施例用(A)として日本ペイント社製の金コロイド溶液(溶媒or分散媒:エチルアルコール、金含有量20g/L)を用い、比較例用(B)として、田中貴金属社製の金コロイド溶液(溶媒or分散媒:α−ターピネオール、金含有量20g/L)を、それぞれ金の濃度が2wt%になるように各溶液に含まれている溶媒、すなわち、実施例用の金コロイド溶液はエチルアルコールで、また、比較例用の金コロイド溶液はα−ターピネオールで、希釈して使用した。
(4)無電解メッキ処理液
大和化成(株)製のノンシアン無電解金メッキ液「ダインゴールドM−20」及び還元剤「ダインゴールドAC−5R」を、純水で、金濃度が2.0g/Lになるように調整し
、また、試料の表面積に対し浴負荷が0.5dm2/L以下になるよう十分な量の無電解金
メッキ処理液を準備した。
(調整比率:金メッキ液「ダインゴールドM−20」を1容量に対して、還元剤「ダイン
ゴールドAC−5R」を2容量、純水を7容量で配合。)
(4)試作手順
表1に示すように、必要により前処理を施した実施例用または比較例用の試料を、所定濃度に調整した実施例用の金コロイド溶液(A)、あるいは、比較例用の金コロイド溶液(B)に、1分間浸漬した後、速やかに取り出し、溶媒を風乾にて除去した。
次いで、塩酸(150ml/リットル)に30秒間浸漬した後、水洗して、金属の表面を活性化させた。
水洗された試料を無電解金メッキ浴中に浸漬し、80℃で4時間保持し、メッキ処理を行った。
その後、試料をメッキ浴から取り出して、試料の表面状態を観察した。
結果をまとめて表1に示す。
Figure 2006111922
なお、上記例では、Au膜厚が10μm以下のみの例を示したが、メッキ厚みはメッキ処理時間により増加するため長時間メッキ処理を実施すればAu膜厚がより大きいものも製造可能である。
(メッキ時間の経過に伴い、)浴の金濃度が低下するため浴負荷が小さい条件で、たとえば50時間連続で無電解金メッキを実施すれば約25ミクロンの金膜厚になる。

Claims (4)

  1. 金がアルコール系水酸基含有化合物溶媒中にコロイド状に分散した金コロイドアルコール溶液と、フッ素系高分子材料とを接触させて該高分子材料の表面に金微粒子を付着させ、次いで、金微粒子の表面を活性化させ、次いで、無電解又は電解金メッキを行うことを特徴とする、フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法。
  2. 上記金コロイドアルコール溶液とフッ素系高分子材料との接触に先立ち、予め、前処理として、フッ素系高分子材料の物理的エッチング処理および/または化学的エッチング処理を行うことを特徴とする、請求項1に記載のフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法。
  3. 上記アルコール系水酸基含有化合物が、式:「R−OH」(R:炭素数が1〜4のアルキル基)で表される脂肪族アルコールである請求項1〜2の何れかに記載のフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のフッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法により得られる金皮膜付きフッ素系高分子材料。
JP2004300301A 2004-10-14 2004-10-14 フッ素系高分子材料表面への金皮膜の形成方法及び該方法により得られた金皮膜付きフッ素系高分子材料 Withdrawn JP2006111922A (ja)

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