JP2006111899A - 金属Ni及び/又はCoの回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料に対する酸素の比率が化学量論比未満の条件の下で、該燃料を酸素バーナで燃焼させて還元雰囲気を生成せしめ、その火炎中に、Ni及び/又はCo化合物を含む原料粉体10を供給して火炎中でNi及び/又はCo化合物を選択的に還元して微粒金属Ni及び/又はCoを粉体10中に析出させるとともに続いて火炎の熱で溶融凝集させて周囲の酸化物から遊離し、独立した金属粒子14として、その後火炎で処理した後の粉体10を冷却して溶融金属Ni及び/又はCoを粉体10中で粒状に固化させた上で、粉体10中の他のものから分離し回収する。
【選択図】 図2
Description
またNi酸化物やCo酸化物を触媒材料として使う触媒製造工場からは、NiやCoを含む原料屑や廃触媒及び排水処理スラッジ等が排出され、これもまた現状では大半が破棄されて埋立処分されている。
この点はCoについても同様である。
この方法は、ダストや乾燥したスラッジを液体燃料や気体燃料を熱源とする酸素バーナの火炎中に供給して溶融し、炉内下部の溶融プール内で炭素粉を加えてスラグの一部を還元してメタル化し、その後スラグと別々に排出或いは同時に排出後分離してFeNiCr合金として回収する方法である。
また溶融メタルがFe,Crとの合金となっていてNi単体でなく、即ちNi品位(Ni濃度)が下がっていて、高品位のNi原料として使い難い問題がある。
また溶融メタルがFe,Crとの合金となり、Ni品位が下がるとともに還元し難い酸化クロムがスラグになってスラグの粘性を著しく高めるため、溶融メタルの沈降分離を妨げてしまい、生産性が悪くなる。
従ってスラグの粘性を下げるために蛍石(CaF2)等を加える必要があり、この場合スラグ利用上の安全性担保に支障があるF溶出の問題が新たに発生する恐れがある。
イ.先ず低コストで金属NiやCoを選択的に回収できること
ロ.溶融熱源に電力を使わないこと
ハ.燃料を使用する場合にも原料全部を溶融せずに済ませ得ること
ニ.連続的に金属Ni及び/又はCoを回収し得て生産性が高いこと。即ち生成物の排出を連続的としてバッチ運転ではなく連続運転ができること
ホ.前工程としての造粒・焼成工程を不要となし得ること
ヘ.原料全体を溶融せずに必要部分のみ部分的に溶融し、エネルギー使用を可及的に少なくすること
ト.溶融スラグとメタルの分離促進のためにスラグの粘性を下げる操作等に手間が掛かるといったことがないこと
チ.回収対象の原料粉体に含まれているFeやCrまでも還元して溶融することなく、目的とする金属Niや金属Coのみを溶融して高品位の金属Niや金属Coを回収し得ること
ステンレス製造工場で発生するダストや圧延スケール,メッキ工場や触媒工場で発生する排水スラッジ等の廃棄物中において、NiやCoはFe,Cr等とともに通常水酸化物や酸化物の化合物形態で含まれている。
但しそれらの水酸化物は低温で容易に分解して酸化物となる。
この縦軸は酸素との親和力の強さ、即ち酸化物としての安定性を表しており、標準生成自由エネルギーの低いものほど、即ち図中下側のものほど酸化物として安定していること、つまり酸素との親和力が大きいことを表している。
本発明者はこの点に着眼し、粉体中のNiやCoをFeやCrに対して選択的,優先的に還元できるのではないかという発想を得、各種の試験研究を行った。
図中10は廃棄物の原料粉体中の一つの粒子を示しており、そこにはNiやCoの化合物(主として水酸化物)が、FeやCrその他の水酸化物とともに混在状態で含まれている。即ちNiやCoの化合物が他の化合物とともに集合体を形成して一つの粒子10を成している。
この粉体中の粒子10が酸素バーナの火炎中に投じられると、その熱によって水酸化物が容易に分解して酸化物となる。
Ni(OH)2→NiO+H2O
となって酸化物に転化する。
而して粒子10中において酸化物となったNiやCoは、酸素バーナによる酸素不足の下での燃焼によって生成した還元雰囲気、詳しくは発生したH2やCOガスによってFeやCrその他の酸化物等に対して優先的に還元される。
そして還元によって生成した金属NiやCoが粒子10内において微粒析出する(図2(ロ)参照)。
しかるに本発明では、このようにして生成した微粒金属NiやCoが、続いて他の酸化物から選択的,優先的に溶融せしめられる。
即ち、微粒金属Ni,Coだけが溶融して、周囲の他の酸化物は溶融せず、それらNi,Coだけが球となって溶融し、周囲から遊離する。
図中14はそのように球となって周囲から遊離し独立したNi,Coの金属粒子を表している。
そのとき生成する溶融金属の球は周辺のNiやCoの量の多少によって大きさが様々となるが、概略5〜50μm程度の小さな粒状物となる。
このため、後において粉体からそれら金属NiやCoを分離し回収する際、容易にこれをなし得るようになる。
従って原料を従来のように造粒することなく粉体のまま処理でき、造粒のために手間がかかるといった問題も解決できる。
尚本発明では、Ni,Coを回収した後の残りからは、従来の方法に従って金属Fe,Crも回収することができる。
このようにすることによって火炎温度を高温且つ適正な温度となすことができる。
0.4未満であると煤が多く発生するようになり、CによってNiやCo以外の酸化物が還元され易くなってしまう。
これに対して酸素の量を化学量論比に対して0.4以上と成しておけば煤を多く発生させることもなく、また酸素バーナの火炎温度を金属NiやCoの溶融温度よりも高くすることができる。
一方その上限については良好な還元性雰囲気を生成させる上で0.9以下とするのが良い。
酸素バーナの火炎中への原料粉体の供給方法としては、図3に示しているように酸素バーナ16の外部に設けた外部流路18を通じて火炎H中に原料粉体を供給するようになすこともできるが、酸素バーナ16の本体内部に設けた内部流路20を通じて原料粉体を火炎H中に供給するのが望ましい。
原料粉体の粉体粒径を50μm以下としておくことによって、これを火炎中に投じたときに速やかに昇温させることができるとともに、粉体の粒子内部への還元ガスの浸透,拡散を良好に行わせ得て、還元反応を促進することができる。
このため原料粉体を予め粉砕及び篩い分けして、粒度調整しておくことが望ましい。
このようにすることで、原料粉体を円滑に火炎中に供給することができる。またその気体の酸素濃度を10%以下としておくことで、酸素が過剰に供給されてしまうのを防ぐことができる。
このようにすることで、より還元力の強いH2OをCOに較べて多く発生させることができるとともに、併せてFeやCr等の酸化物をも還元し易いCを減らすことができ、目的とする適正な還元雰囲気が得られ易くなる。
このようにすれば、酸素バーナの火炎から排出された粉体中の金属Ni,Coを再酸化させずに急冷でき、そして水砕により金属Ni,Coの粒が周囲の酸化物との熱膨張差の相違によって大きく収縮して他から良好に縁切りされ、分離回収が行い易くなる。
またこの請求項10の方法によれば、その冷却に用いたガスに粉体を同伴させて、そのまま下流側で集塵機によりこれを捕集し、そこから金属Ni及び/又はCoを他から分離し、回収することができる。
粉体中で冷却により収縮固化した金属Ni及び/又はCoを他から分離する手段として、請求項11に従い嵩比重差又は磁性差を利用してこれを他から分離し、回収するようになすことができる。
金属Ni,Coが酸化物に対して比重が高く、更にはまたそれらが酸化物に較べて磁性が強いため、それらを利用して他から良好に分離し回収することができる。
この場合比重差による遠心分離や加圧浮上分離等を用いることができ、或いはまた金属と酸化物の磁性差による磁気分離によって分離することができる。
図4は触媒製造工場の排水スラッジやメッキ工場の排水スラッジ等、水分が40〜80%もある原料を処理する場合のプロセス例である。
尚、図4(イ)において32Aは乾燥機本体で、この乾燥機本体32Aと熱風発生炉32Bとが乾燥装置を成している。
40は定量切出装置で、この定量切出装置40と粉砕装置36との間にサイクロン38が設けられている。
尚、熱風発生炉32Bは酸素バーナ16からの未燃ガスを2次燃焼させてそこで熱風を発生させ、乾燥機本体32Aでの原料の乾燥用の熱源としている。
このプロセス例では、原料を気流搬送するために乾燥が必須であるので、酸素バーナ16からの排ガスの未燃分を熱風発生炉32Bで2次燃焼させ、乾燥用の熱源としている。
ここで酸素は、吸着剤を用いた酸素発生装置により大気から酸素濃度93%として製造され、酸素バーナ16に対してLPG燃料と必要な還元雰囲気が得られる比率で供給される。
反応処理物は水砕固化装置28で水砕固化されて、その後粉砕され、遠心分離機にかけられて金属Ni,Coが他から分離される。
このプロセス例では酸素バーナ16が横向きに配置され、その先端側に横型反応炉26が取り付けられている。
48は排ガス冷却筒で、50はバグ集塵機、52は粉砕装置、56は遠心分離機である。この遠心分離機56と粉砕装置52との間にはサイクロン54が設けられている。
図5(ロ)に、この例の処理プロセスがブロック図として表してある。
またダストから成る、火炎Hによる処理後の粉体は排ガスに同伴して排ガス冷却塔48に導入される。
乾燥及び粉砕後の原料粉体は、窒素ガスによって定量切出装置40から気流搬送されて酸素バーナ16に供給される。
原料粉体は酸素バーナ16の本体内の内部流路を通じて火炎H中に供給され、Ni酸化物やCo酸化物が選択的に金属に還元されて溶融され、他の酸化物から分離析出する。
反応後の粉体及び燃焼排ガスは、低O2の冷却用ガスを使用した排ガス冷却塔48で急冷され、粉体はバグ集塵機50で捕集された後、粉砕装置52と遠心分離機56とで金属Ni,Coが他から分離回収される。
また燃焼排ガスは2次燃焼された後に排出される。
[実施例1]:メッキスラッジからの金属Ni回収例
NiメッキとCrメッキを行っているメッキ工場の排水処理後のスラッジから、図5のプロセスによって金属Niを回収した例を示す。
燃料はLPGで10m3N/h使用、酸素は93vol%のものを使用した。
ここで金属Ni回収率は、
金属Ni回収率=((回収物量×金属Ni濃度)/(原料量×原料中Ni濃度))×100とした。
結果が処理条件とともに表2に示してある。
表3に実施例2における回収物中の成分組成が原料の成分組成とともに示してある。
Ni,Co触媒製造工場の排水スラッジから、図4に示すプロセスで金属Ni,Coを回収した例を共に示す。
燃料はLPGで10m3N/h使用、酸素は93vol%のものを使用し、
金属Ni回収率=((回収物量×金属Ni濃度)/(原料量×原料中Ni濃度))×100とし、
金属Co回収率=((回収物量×金属Co濃度)/(原料量×原料中Co濃度))×100とした。
結果が処理条件とともに表4に示してある。
表5にこの実施例2における回収物の成分組成が原料の成分組成とともに示してある。
14 金属粒子
16 酸素バーナ
H 火炎
Claims (11)
- 燃料に対する酸素の比率が化学量論比未満の条件の下で、該燃料を酸素バーナで燃焼させて火炎とともに還元雰囲気を生成せしめ、該火炎中に、Ni及び/又はCo化合物を含む原料粉体を供給して、該火炎中でNi及び/又はCo化合物を選択的に還元して微粒金属Ni及び/又はCoを該粉体中に析出させるとともに続いて該火炎の熱で溶融凝集させ、その後該火炎で処理した後の粉体を冷却して溶融金属Ni及び/又はCoを該粉体中で固化させた上で、該粉体中の他から分離し回収することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1において、前記酸素バーナの支燃性ガスとして酸素濃度90vol%以上の気体を用いることを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記燃料を、該燃料に対する酸素の比率が前記化学量論比の0.4〜0.9の条件の下で前記酸素バーナにより燃焼させることを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記原料粉体を、前記酸素バーナの本体内に設けた内部流路を通じて前記火炎中に供給することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記原料粉体を水分10質量%以下に乾燥した上で前記火炎中に供給することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記原料粉体を粉体粒径が50μm以下となるように調整して前記火炎中に供給することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜6の何れかにおいて、前記原料粉体を酸素濃度10vol%以下の気体を用いた気流搬送により前記火炎中に供給することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜7の何れかにおいて、水蒸気又は水を前記原料粉体の質量の1%以上前記火炎中に供給することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜8の何れかにおいて、前記火炎中で処理した後の、金属Ni及び/又はCoを含む粉体を水中又は水流中に投じて水砕固化した後に、該金属Ni及び/又はCoを他から分離し回収することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項1〜8の何れかにおいて、前記火炎中で処理した後の、前記金属Ni及び/又はCoを含む粉体を酸素濃度5vol%以下のガス雰囲気中で冷却し、該ガスに該粉体を同伴させて集塵機にて捕集した上で、前記金属Ni及び/又はCoを他から分離し回収することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
- 請求項9,10の何れかにおいて、前記火炎中で処理した後の粉体を更に粉砕した上で、前記金属Ni及び/又はCoを嵩比重差又は磁性差を利用して他から分離し回収することを特徴とする金属Ni及び/又はCoの回収方法。
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JPS57143448A (en) * | 1981-01-29 | 1982-09-04 | Midrex Corp | Method and apparatus for selectively reducing metal oxide |
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